茨城の自治ニュース
月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2024年08月
災害・対策(能登半島地震含む)
「巨大地震注意」で8市町村 地震の備え再確認 住民に呼びかける(8.10 朝日)
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を気象庁が8日発表したことを受け、県内でも沿岸を中心とした各自治体が災害時の対応を再確認するよう住民に呼びかけるなど、対応に追われた。
国は、南海トラフ地震で震度6弱以上の揺れや、海岸堤防が低く津波高3㍍以上が予想される地域などを「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定している。
県内では日立、東海、ひたちなか、水戸、大洗、鉾田、鹿嶋、神栖の8市町村が対象となっている。県防災・危機管理課によると、那珂川の河口から津波が遡上して浸水する懸念がある水戸市以外は太平洋沿岸の自治体で、最大で3~6㍍の津波被害が予想されている。
8市町村では8日夜~9日、自治体のホームページや公式SNSを通じて住民に災害への備えをするよう促した。水戸市では9日、津波で浸水する可能性がある地域に住む、高齢者や障害者といった避難行動要支援者に対して、職員が個別に電話をかけて注意喚起をしたという。東海村にある日本原子力発電東海第二原発では8日夜、地震や津波発生時の連絡態勢を再確認するよう発電所内の部署に指示した。
別の自治体担当者は「危機感をあおりすぎて食料品や備蓄品の買い占めが起きては逆効果なので、気をつけたい」と話した。
災害時1000人規模即時派遣 省庁職員、事前リスト化(政府案) (8.25 茨城)
政府が能登半島地震を教訓に策定する災害対応の強化策案が24日判明した。関係者が明らかにした。南海トラフ巨大地震などの大規模災害時、政府から千人規模の人員を即時に派遣できる態勢の構築が柱となる。
国土交通省など関連府省庁の防災部局職員や経験者らを事前にリスト化し備える。少子高齢化の中、高齢者ら要配慮者の避難生活を支援する災害派遣福祉チーム(DWAT)の活動範囲を拡充するため、災害救助法改正も検討する。能登半島地震を巡っては、政府の初動対応が遅れたとの批判があった。岸田文雄首相は3月、課題を検証するよう指示し関係省庁が議論してきた。26日に政府の復旧・復興支援本部を開き、対応強化策案を報告する。
強化策案では、大規模災害が発生した地域へ迅速に派遣する人員として国交省や内閣府、総務省消防庁など防災に関連する府省庁職員や経験者ら約1300人を事前に登録。平時からの研修や訓練で災害対応能力を底上げする。被災地の行政支援が主な役割で、政府の現地対策本部や被災自治体との連携調整を行う。現場で人命救助に当たる自衛隊や警察、消防などは1300人に含まない。
派遣する人員や資機材の充実、活動強化に向け災害対策基本法の改正も視野に入れる。自治体や省庁が管理する定点カメラの設置場所をデータベース化し迅速な被災情報の収集に努める。避難所の備蓄状況を公表し、荷台にトイレを搭載した「トイレカー」などの登録制度を創設。避難所で活用する。
DWATは各地の保健師らで構成し、現状では避難所が活動の中心となっている。能登半島地震で福祉施設の多くが被災し、高齢者らが不便な避難生活を強いられたことを踏まえ、避難所以外の施設や在宅避難にも十分対応できるよう改める。災害救助法は、具体的な救助内容として医療や助産を挙げ、費用の国費負担を定める。ただ高齢者の介助などの福祉は明記されていない。
原発問題(東海第二原発関係も含む)
安全対策完了2年余延期 東海第2 防潮堤造り直し (8.24 茨城)
東海第2原発(東海村白方)の再稼働に必要な安全対策工事について、日本原子力発電(原電)は23日、終了時期を9月から2年3カ月延長し、2026年12月とすると発表した。延期は3回目。不備が見つかった建設中の防潮堤の基礎部分は実質的に造り直し、柱の中央部の補強、地盤改良、基礎の追加により強度を確保する方針を示した。
知事「適時情報を」
原電は同日、原子力規制委員会に安全対策工事の工事計画変更届を提出。原子力安全協定を結ぶ県と東海村をはじめ、原発周辺15市町村に書面で報告した。工事の延長を巡り、変更時期を早期に示すべきとしてきた大井川和彦知事は「鋼製防護壁の不具合への対応を含め、安全性を高める工事を着実に実施し、県や市町村、県民に対し適時適切に情報提供し、信頼を得られるよう努めてほしい」とのコメントを出した。
原電は同日、県庁で会見を開き、工期変更の理由などを説明した。不備の部分を地中に残しながら基礎の構造として扱わず、代わりに鉄骨を使った中央部の補強、セメントによる地盤改良、鋼管矢板を増やして基礎幅を広げる三つの対策を組み合わせるなどし、津波への強度を確保する。
現行計画の工期が迫る中での発表に、工事の規模から「全容を調査するのに時間を要した」と釈明。
原子力規制庁が6月、基礎部分を建て直しを含めて検討するよう原電に要請したことを受け、対策の方向性を決めたという。原電は近く開かれる原子力規制委員会審査会合で対策を説明する予定。原電東海事業本部の坂佐井豊本部長は「不備の部分を残しつつ、補強工事を行うことが、最も安全性の高い工法である」と強調した。
工期延長「強度上がる」 原電 26年末まで 公表姿勢に批判も (8.24 朝日)
日本原子力発電は23日、9月に完了予定としていた東海第二原発の安全対策工事を、2026年12月まで延長すると発表した。消費者の電気料金は大手電力を通じて原電に支払われており、原電は発電しないまま近年は黒字が続いている。原電は同日、原子力規制委員会に計画変更を届け出て、県や東海村を含む周辺自治体に報告した。工期の延長は今回が3度目。これまでの工期延長では、地盤改良や新型コロナの感染予防対策などを理由に挙げていた。今回は、防潮堤の基礎部分に施工不備が見つかったことが主な理由だ。
防潮堤の基礎となる地中の壁面で、コンクリートが詰められていない隙間があったり、鉄筋が変形したりして工事が中断していた。6月に規制委から基礎部分の造り直しを含めて検討するよう求められたが、原電は今月、現在の基礎部分は残したまま、地盤改良や起訴の追加などで補強する方針を示した。
県庁で会見した原電東海事業本部の坂佐井豊本部長は、「構造の強度は上がり、安全性も上がる。ご理解いただけると考えている」とした。今後、規制委との間で審査会合が開かれ、安全性などが議論される。安全対策工事の工費総額は、従来の約2350億円から現時点で変更はないという。坂佐井本部長は「元請け会社と協議をしているところ。設計が間違っているわけではなく施工上の問題。そこが増えるかどうか判断できない状況」と話した。
再稼働に向けては、安全対策工事以外にも周辺自治体の広域避難計画を整備する必要がある。計画策定が求められる14市町村のうち、策定済みなのは7市町村と半分にとどまっている。21年3月には、水戸地裁が避難計画の不備を理由に再稼働を認めない判決を出した。
東海第2 防潮堤工法「実現性ない」規制委、再説明求める (8.30 茨城)
日本原子力発電(原電)は29日、建設中に施工不備が見つかった東海第2原発(東海村白方)の防潮堤について、基礎を残したまま追加して工事を進める方針を原子力規制委員会の会合で示した。具体的な設計や工事方法は今後検討するとしたため、規制委側は「実現性の見通しが全く立っていない」と検討後の再説明を求めた。
会合で原電は、基礎を撤去すれば工事が長期化し、近くの重要設備に影響する恐れがあると説明。今回の方針では、鋼板や鉄骨による基礎内部の強化や、周辺地盤の液状化を防ぐ薬液注入などを組み合わせて強度を確保するとした。これに対し、審査チームの委員は不備が見つかった基礎部分を地中に残すことによる影響が今後の論点になる」と指摘。別の委員は「実現性のある構造や施工方法が定まった段階で具体的な内容を説明してほしい」と求めた。
東海第2原発は2018年9月に規制委の審査に合格。再稼働に必要な安全対策工事を今年9月に終える予定だったが、昨年6月に建設中の防潮堤に不備が見つかり、26年12月に遅らせた。
実現性ある対策立案 規制庁が原電に要求 (8.30 朝日)
日本原子力発電東海第二原発(東海村)の安全対策工事で、防潮堤の基礎部分で見つかった施工不備をめぐり、原子力規制委員会の審査会合が29日に開かれた。原電は現在の基礎部分を残したまま、構造としては頼らない設計に変更する方針を説明。原電は新しい構造を決定し、10月初旬に詳細を示すという。
原電は、現在の基礎部分周辺の地盤改良や、鋼管矢板などを増設した基礎の追加などを施すことで、安全性を保った基礎になると説明した。現在の基礎部分を撤去すると、大深度の掘削状態が長期間継続することになり、発電所の安全性が懸念されるとした。
一方で、原子力規制庁は、残す基礎部分は防潮堤にどのような影響を与えるのか今後の論点になるため、様々な観点で検討するように指摘。また―地盤改良や基礎の追加をすることで、原発敷地内のほかの周辺施設に地中の杭を損傷させるなどの影響を与えないかなどを検証し、実現性のある対策工事を綿密に立案するよう原電に要求した。原電は、9月に完了予定としていた安全対策工事を2026年12月まで延長すると発表していた。
地方制度・自治体論・地方自治一般
国家公務員 初任給2万円超上げ勧告 人事院過去最大、月給2.76%増 (8.9 茨城)
人事院は8日、2024年度の国家公務員給与を引き上げるよう国会と内閣に勧告した。初任給は高卒、大卒ともに2万円を超える増額で、過去最大の上昇幅。月給は最も人数が多い行政一職の平均で2・76%(1万1183円)引き上げる。2%を超えるアップは、1992年度の2・87%以来、32年ぶり。賃上げが進む民間との格差を埋める。
人材確保のため、若年層に手厚く配分する。ボーナス(期末・勤勉手当)は0・10カ月増の4・60カ月分。月給とボーナス両方のプラス勧告は3年連続となる。人事院勧告は、各地の人事委員会が地方公務員の給与改定を勧告する際の参考となるため、自治体でも給与増が進む見通しだ。川本裕子人事院総裁から勧告を受け取った岸田文雄首相は「民間の賃上げ状況を反映していただいた。しっかりと受け止める」と述べた。
初任給の増額幅は、キャリアと呼ばれる各省庁の幹部候補が2万9300円、それ以外の大卒が2万3800円、高卒が2万1400円。志望者が減る中、採用市場での競争力向上を目指す。官房長官らで構成する関係閣僚会議が勧告を受け入れるかどうかを検討する。受け入れた場合、行政職(平均42・1歳)の平均年収は22万8千円増の691万6千円。人事院は、10年ぶりとなる給与制度の大幅な見直しも勧告した。職員の意欲向上のため、ボーナスは、勤務成績が優秀な職員に手厚く配分する。共働き世帯増加を踏まえ、配偶者手当を26年度までに段階的に廃止する一方、子ども手当を1人当たり月額1万円から月額1万3千円に増やす。
つくば市 国への請求ミス放置 生活保護巡る10年分の国庫負担金1771万円昨年指摘 (8.22 朝日)
つくば市は21日、2014~23年度の10年間、生活保護費に絡む国庫負担金174件、総額1771万826円分の国への請求を怠っていたと発表した。お金は市に入らないことになる。昨年、職員がミスを管理職に報告したが放置されていた。市社会福祉課によると、生活保護費が経済状態の改善などで過払いになった場合、市は対象者に返還を請求する。
徴収不能だった場合は未返還分の4分の3を国に費用請求できるが、その手続きを怠っていた。昨年10月、同課の職員がミスに気づいて管理職2人に報告したが、2人は部長に報告せず、部内でも共有しなかった。市は「管理職が問題の重大性を理解していなかった」としている。今月9日、別の部署に異動した職員が市側に申し出て発覚した。
消防団員 頼れる外国人 263自治体479人、3年で倍に (8.22 朝日)
在留外国人が増える中、外国人の消防団員が2023年4月時点で、全国の263自治体にいることが朝日新聞の調べで分かった。担い手不足に悩む自治体では、地域の一員となっている外国人を積極的に受け入れようとする動きが広がる一方で、消防活動には日本国籍が必要とされる「公権力の行使」が伴うため、外国人の活動内容の明確化を求める声も上がる。
詳しく見ると、全1741市区町村の15%に当たる263自治体で外国人が消防団に入団していた。都道府県別では北海道と長野県が12自治体と最多。次いで茨城と愛知、福岡の各県が11、埼玉県と兵庫県が10、東京都は8だった。団員数は479人で、総務省消防庁が統計を取り始めた20年の269人から倍近くに増えた。すべての都道府県におり、多い順に神奈川県54人▽長野県24人▽愛知県22人▽岐阜県21人▽兵庫県20人だった。
同庁によると、全国の団員数は減少の一途をたどり、23年は計約76万人と計約76万人と00年に比べて約19万人減少。活動の活性化に必要不可欠な30代以下の割合は約65%から約37%となり、高齢化が進む。
ただ、外国人が団員として活動するには課題もある。消防団員は、延焼を防ぐために私有地の建物の破壊や消火活動に伴う公道の規制といった「公権力の行使」をする。この公権力の行使には1953(昭和28)年の国の見解により日本国籍が必要とされている。そのため、外国人団員の活動範囲は各自治体の悩みの種となっている。
西尾市は、原則外国人は日本人の団員とペアになってその指示の下に活動する運用にしている。
金属盗・流通防止ヘ 買い取り規制強化 県警、来月条例改正案 (8.29 朝日)
茨城県は金属類の盗難件数が4年連続全国ワーストーとなっている。被害の多発を受け、県警は28日、取引先の身分確認の徹底など買い取り業者への規制強化などを盛り込んだ条例改正案の概要を発表した。9月4日開会の県議会に提出する。県警などによると、全国で昨年1年間に確認された金属類の盗難件数は前年比5908件増の1万6276件。このうち茨城では、その2割近い2889件が確認された。
県警は、盗まれた金属類の流通を防ぐには、買い取り業者への規制も強化する必要があると判断。同様の被害が相次ぐ千葉県など他の自治体の条例を参考にするなどして改正案をまとめた。改正案では、窃盗被害に遭いやすい鉄や銅、アルミニウムといった材料やそれらの合金、製品などを「特定金属類」と規定する。取扱業者に対しては、売りに来た相手の運転免許証や健康保険証といった身分証明書で本人確認をするだけでなく、証明書の写しを3年間保存することを義務づけた。
罰則は現行の10万円以下の罰金から引き上げる。無許可営業や営業停止命令違反などをした場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となる。本人の確認義務を怠ると、6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される、とした。
予算・税・財政
県内ふるさと納税374億円 23年度116億円増、最多更新 (8.3 茨城)
ふるさと納税制度に基づく県内自治体への2023年度の寄付総額は、前年度から116億3558万円増の374億1935万円となり、4年連続で過去最多を更新した。総務省が2日発表した。寄付件数も72万3931件増の207万723件で過去最多。各自治体による返礼品強化のほか、返礼品の基準を厳格化した昨年のルール改正に伴う駆け込み需要などが影響した。 総額と件数は、県と県内44市町村がそれぞれ受け付けた合計。ともに全国で8番目に多かった。県内で寄付の受け入れ額が最も多かったのは、境町の99億3812万円。
このほか、10億円を超えたのは守谷市の69億468万円、八千代町の22億8350万円など、計9市町に上った。ふるさと納税を導入している全国約1790自治体のうち、境町は11番目、守谷市は19番目に寄付額が多かった。全国最多は、宮崎県都城市の193億8404万円だった。県内で寄付件数が10万件を超えたのは3市町。最多は境町の65万9070件で、守谷市32万8590件、八千代町16万3542件と続いた。
寄付額を最も伸ばしたのは境町で、前年度から39億8463万円増えた。昨年10月に返礼品に充てる地場産品の基準を厳格化する制度改正に伴い、駆け込み需要が発生して寄付が急増。
能登半島地震の被災地支援のため、被災自治体の事務を肩代わりする「代理寄付」も約4億円に上るなど、総額を押し上げた、八千代町は寄付額が前年度から2・4倍に拡大。22年度以降、返礼品の取り扱い品目を増やし約600品目まで充実させたほか、地元の即席麺メーカー「ヤマダイ」製品に対する「リピーターが増えた」(町産業振興課)ことなどが要因という。
近年、寄付額が減少していた日立市は4年ぶりに前年度比で増加に転じた。昨年度から、返礼品として提供している日立製作所の洗濯機提供エリアを、従来の関東地域から全国に広げたことで人気が高まった。
ふるさと納税は自治体を選んで寄付すると、上限内なら寄付額から2千円を差し引いた分、住民税と所得税が軽減される。総務省は23年10月、返礼品が地場産品に該当するかどうかの基準や募集経費を寄付額の50%以下とするなど、ルールを厳格化している。
ふるさと納税 抜本的是正が急務だ(社説) (8.4 朝日)
ふるさと納税の利用額が年1兆円を超えた。税収を流出させ、高所得者ほど恩恵が大きい「官製通販」がもたすゆがみも広がるばかりだ。政府は仲介サイトのポイント付与を禁止する方針だが、弥縫策にすぎない。抜本的な是正が急務だ。
23年度の寄付総額は約1・1兆円に達した。自治体の返礼品競争や仲介サイトの宣伝で認知度が高まり、4年前の2・3倍に伸びている。最大の弊害は、膨大な税収が失われることだ。寄付額の約3割が返礼品調達に回り、`事務経費や仲介業者の手数料なども含め半分が消える。大都市は多額の税収を失う。国が穴埋めする部分もあるが、結局は国民負担だ。利用できる枠は高所得者ほど大きく、節税の手段になっている。所得再分配を弱め、社会の公正を損なう。
「お得な商品カタログ」のような仲介サイトを見れば、形は寄付でも、見返り目当ての人が多いのは明らかだろう。総じて「ふるさとへの貢献を促す」という大義名分からかけ離れ、政策として無駄や欠陥があまりに多い。
松本剛明総務相は「返礼品目当てではなく、寄付の使い道や目的に着目して行われることが制度の意義」と述べた。ならば実現を図るのが自身の責任だ。返礼品の廃止や利用枠の大幅縮小など、制度を根本から見直し、不毛な競争を終わらせる必要がある。
まちづくり・都市計画
道路橋の修繕 17%未着手 老朽化、人手、財源が不足 (8.27 日本経済)
国土交通省は、老朽化が進む道路施設の点検結果を公表した。自治体が管理し、2014~18年度の点検で5年以内の修繕、徹去が必要と判断された道路橋約6万カ所のうち、17%の約1万カ所は期限となる23年度末時点でも対象が未着手だった。 市区町村管理の40,668カ所に限ると未着手が22%と遅れが目立った。自治体管理のトンネルは3131か所が修繕、徹去が必要と判断され、対策済み82%、作業中13%で未着手は5%167か所。このうち151か所は市区町村の管理分だった。
12年の笹子トンネル事故を受け、道路施設は5年に1度点検が義務化された。対象は道路橋約72万カ所、トンネル約1万1千カ所、道路橋など付属物約4万1千カ所に及ぶ。
各管理者は5年かけて全施設を点検するルールで点検した施設の割合は100%に近い。24年度からは3巡目に入っている。道路などの社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、これから老朽化が急速に進む。
国交省によると建設から50年以上経過する道路橋の割合は33年度末には63%に達する見込みだ。
県公衆無線LAN 2000か所 設置拡大 災害・訪日客も想定 (8.28 茨城)
県が整備を進めている無料の公衆無線LAN「IBARAKIFREE Wi-Fi」の設置箇所が、今秋にも2千カ所を超える見通しとなった。2018年の整備開始以降、公共施設や観光、商業施設などに設置が拡大。円安を追い風にインバウンド(訪日客)が過去最多ペースで増える中、施設の利便性を高め、誘客を促すツールとして普及に力を入れる。
県情報システム課によると、県の公衆無線LAN設置箇所数は8月1日現在、公共施設や商業施設など630施設、計1979カ所に上る。4月以降は月10~20カ所のペースで拡大しており、早ければ行楽シーズンを迎える今秋にも、2千カ所を超える見込みだ。
設置施設の内訳は、役所や図書館、公民館などの公共施設が全体の6割超に当たる385施設。このほか、ホテルや飲食店など商業施設が117、博物館や美術館、キャンプ場など観光施設が81、企業や学校などその他が47だった。県の公衆無線LANは18年8月、県民や訪日客の利便性を高めようと、整備に着手した。
県庁舎と県立図書館の3カ所から始め、同月にNTT東日本と整備促進に向けた連携協定を締結。役所や公民館、交流施設を中心に設置数を拡大してきた。今年1~6月に日本を訪れた外国人客は累計約1778万人で、過去最多だった19年を上回る情勢にある。誘客促進には、快適な旅行環境として利便性向上が求められ、民間施設を含めた無線LANの普及は欠かせない。
地震や洪水など大規模災害時の通信手段としての役割も大きい。このため県は、同課のホームページやチラシなどを通し、無線LANを設置する事業者を募っている。無線LANの認証方法は施設によって異なる。パスワード認証の場合は共通で「ibarakiken」で、一度認証を受ければ別の施設でも自動で接続され。
地域経済
本県 最低賃金 1005円 審議会答申 52円引上げ (8.6 茨城)
茨城地方最低賃金審議会は5日、2024年度の本県の最低賃金を1時間当たり52円引き上げ、1005円とするよう茨城労働局の沢口浩司局長に答申した。引き上げ幅は5・46%で過去最高。本県で初めて時給が1000円を超えた。中央最低賃金審議会が7月に示した目安の50円を2円上回った。
同局によると、引き上げは21年連続。専門部会では公益委員の計9人で協議した。この日の専門部会では、公益委員が52円の見解を提示。公益委員の部会長を除いて採決した結果、労働者側と公益委員の5人が賛成し、使用者側の反対3人を上回った。報告を受けた同審議会では会長を除いて採決し、賛成8人、反対5人で結審した。答申には中小企業へのきめ細やかな支援制度改善や、労働者の就業調整につながらない税・社会保険制度の整俺などを盛り込んだ。
連合茨城の大森玄則部長は「地域間の格差を考えると決して十分ではないが、一定の評価はできる」と県経営者協会の沢畑英史事務局長は「企業の負担は相当高まっている。特に中小企業にはこれまで以上の支援をするべき」と強調。
大井川和彦知事は「本県の経済実態が十分に反映されたものとは言えない」とし、「今後も引き続き積極的な引き上げを働きかけていく」とコメントを発表した。
食料自給率 38%変わらず 23年度カロリーベース (8.7 日本農業)
2023年度のカロリーベース食料自給率が前年度と同じ38%だったことが分かった。小麦の生産量増加など好材料もあったが、横ばいにとどまり政府が目標とする45%との差は縮まらなかった。政府は来春、新たな目標を定める。
最低賃金1005円に 52円増 全国目安上回る (8.7 朝日)
県内の最低賃金(時給)が10月1日から1005円になる見通しになった。茨城地方最低賃金審議会が5日、茨城労働局長に答申した引き上げ幅は52円。県内で1千円を超えるのは初めて。引き上げ率の5・46%は、引き上げ額を時給のみで示すようになった2002年以来、最大だ。
審議会「人材確保を考慮」
茨城の審議会は、物価高への対応のほか雇用情勢など県内の実情を含めて判断した。審議会の清山玲会長(茨城大教授)は、「県内の雇用情勢は比較的いい。他県への通勤通学や県外への流出が若年層で生じていることも踏まえ、人材確保という観点も考慮した」と説明した。答申を受けて大井川和彦知事は、同日夜にコメントを発表した。「今回答申された引き上げ額は、県の経済実態が十分に反映されたものとは言えない」と指摘。より高い最低賃金であることが望ましいという姿勢を示し、「積極的な引き上げを働きかける」としている。
答申には、中小企業へのきめ細かな支援の必要性も盛り込まれている。
倒産件数上半期77件 過去10年で最多 負債総額158億円 (8.13 朝日)
帝国データバンク水戸支店がまとめた、今年上半期(1~6月)の県内企業の倒産集計(負債額1千万円以上)によると、倒産件数は77件で、前年同期より5件増えた。上半期の件数としては過去10年で最多。負債総額は約158億2500万円で、前年と比べ約36億2400万円増だった。同支店によると、コロナ対策として企業の資金繰りを支援した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」が終了し、返済や過剰債務の負担が重くのしかかり、事業継続を断念するケースが増えているという。
同支店の担当者は今後の見通しについて「コロナの影響から物価高や人手不足という新たな倒産要因に移行すると予想している。価格転嫁や賃上げの動向が勝ち負けを鮮明にし、コスト増や採用難に耐えられない中小企業の『あきらめ倒産』が続出すると懸念している。
倒産の主因別では、「販売不振」が59件で最多。「その他の経営計画の失敗」が8件、「経営者の病気、死亡」が3件と続いた。業種別では、「建設」が16件で最多、「製造」が15件、「サービス」が14件だった。
農高教員 見合わぬ待遇 手当半額以下 都道府県3分の1超 (8.16 日本農業)
農業高校の教員などに支給される産業教育手当について、大半の都道府県で本来の支給水準(給料の10%)を下回っていることが分かった。3分の1以上の都道府県は、本来の水準の半額以下で、支給額ゼロの県もあるなど待遇悪化が常態化している。激務に見合った待遇が受けられず教員の成り手不足に拍車をかけ、地域の農業者や産業の担い手を育てる農業教育の弱体化が懸念される。
茨城は5%で全国都道府県で最低のランク
食料自給力が過去最低 芋類中心 23年度 人手不足深刻 (8.21 日本農業)
農水省は、国内で食料を最大限賄う能力を示す2023年度の「食料自給力指標」を示した。芋類をできるだけ作付けした場合の供給量は1人1日当たり前年度比24キロカロリー減の2362キロカロリーで過去最低となった。農業者の減少などで低下傾向にあり労働力確保が急務となっている。 食料自給力指標では、輸入が途絶えるといった有事の際の潜在的な生産能力が把握できる。輸入を組み合わせた現在の食生活では23年度で1人1日当たり2203キロカロリーを確保。このうち1362キロカロリーを輸入で手当てする。体重維持に必要な推定エネルギー量は同2167キロカロリー。
国内生産のみで芋類中心に作付けた場合の1人当たりの供給可能熱量は23年度これを上回った。米・小麦は芋類よりも少ない労働力で生産できることもあり、10年度以降1人当たり1700キロカロリー台での横ばいが続く。 世界人口増加や気候変動で、食料供給を巡りリスクが高まる。同省は、食料自給力向上へ、労働力確保や省力化などの技術改善が重要とした。
新米 最大産地 22%高 新潟コシヒカリ集荷価格 全国波及か (8.21 日本経済)
コメの最大産地である新潟県のJAグループは、2024年産の新米の集荷価格(概算金)を大巾に引き上げる。コシヒカリの1等米だと前年を22%上回る。コメが店頭で品薄になるなど、足元の需給逼迫に加え、膨らむ農家の生産コストも反映させた。新潟県産は指標価格のため、これから出てくる全国の新米価格も上昇する公算が大きい。昨年夏の猛暑による高温障害で流通量が減ったほか、堅調なインパクト需要や他の食品との相対的な値ごろ感から消費が拡大。需要が引き締った。JAグループも大巾な値上げでコメを確保する狙いがある。
もう一つの要因が物価高などを背景にした農家の生産コストの上昇。農家の声を反映して主要なコメ産地も概算金の引上げに動く見通しだ。9月下旬以降、スパー等に並び始める新米は例年以上に高い値段で販売される可能性が高い。
食品スパー等では需給逼迫から価格が上昇しているだけでなく、品薄感が目立つ。貯蔵数量を制限したりするケースも出ている。外食産業への影響も出てきそうだ。
最低賃金27県 目安超え 全国平均、時給1055円 (8.30 茨城)
都道府県別の2024年度最低賃金改定額が29日、出そろった。本県など27県の地方審議会は、全国一律で時給を50円引き上げるとした国審議会の目安額を上回った。徳島は84円で異例の引き上げ幅とした。20都道府県は目安と同じ50円増で決着した。厚生労働省によると、全国平均の時給は51円増の1055円になる。本県は52円増の1005円。全ての働く人が対象で10月以降、各都道府県で順次適用される。
目安への上乗せは前年度の24県を上回った。隣接地域間や都市部との時給格差、それに伴う人材獲得競争が背景にある。物価高に苦しむ労働者の処遇改善につながる一方で、企業側にとっては人件費の負担が重くなる。
時給千円超えは、本県を含む16都道府県に増えた。残る31県もすべて950円を超え、このままのペースで推移すれば来年度の改定で全都道府県での千円超えが視野に入る。
目安への上乗せ額は、徳島が最大で34円。現行方式となった02年度以降で全国最大だった8円を大幅に更新した。徳島の現行額は岩手に次ぎ全国で2番目に低いが、各種の経済指標から「全都道府県の中位より上に位置している」などとして29日、大幅な引き上げを決めた。徳島の決定が全国で最後だった。岩手と愛媛が9円、島根が8円、鳥取は7円、佐賀、鹿児島、沖縄は6円。本県は2円。エリア別でみると、四国と九州・沖縄の全県が上積みをした。
改定後の時給が最も高いのは東京の1163円、最も低いのは秋田の951円。差額は212円。前年度は最も高い東京(1113円)と、最も低い岩手(893円)の差額が220円で縮小した。
最低賃金 徳島84円引き上げ 最大の上げ幅 (8.30 朝日)
最低賃金(時給)の今年度の改定で、徳島県の地方審議会は29日、現行の896円から過去最大の84円引き上げて980円にすると決めた。これで全都道府県分が出そろい、全国加重平均は過去最高の51円(5.l%)引き上がって1055円になった。物価高や人手不足に伴う人材獲得競争を背景に、27県で国側が示した引き上げ額の目安を上回った。
徳島県は昨年度の改定で全国で2番目の低さとなっていた。審議会は今回、「(経済の)各指標について他都道府県と比較した際の徳島県の立ち位置にふさわしい最低賃金とする必要がある」と説明。労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を総合的に見ると「全都道府県中、中位より上に位置している」とした。
その上で、いまの全国的な最低賃金の「中位」を930円と位置付け、そこから目安の50円を加える決定をした。目安への上乗せは、これまで全国で9円が最高だったが、徳島は34円も上乗せし、全国順位は上から27位に上昇した。最低賃金は一気に1割近く上がる。
環境と開発 災 害
鉾田市の全農地 太陽光発電の設置抑制 (8.29 日本農業)
国内有数の農業地帯である鉾田市で、市内の全ての農地を対象に太陽光発電設備の設置を抑制できる条例を9月1日に施行する。全国で太陽光発電の設置が相次ぎ、地域の農業への支障を及ぼすケースがある中、厳しい条例を設けて農地と市民の生活環境を守る。全農地を対象とする条例は全国的に珍しいという。
市内では太陽光発電設備が相次ぎ、市の把握する設備の面積は約280haに上る。県外の事業者も多い。農地転用をして建設された設備もある他、様々な苦情が市に寄せられるなどのトラブルも起きている。
新たな条例では、適用範囲を10kW以上の事業者に設定。設置禁止区域に加え全ての農地を市が太陽光発電設備の設置を抑制できる対象に位置付けた。
抑制区域への設置を希望する事業者には、事業区域300m以内の住民への説明会を課し、生産者を含めた地域住民から理解を得ることを求める。「市街地にある第3種農地まで含めた条例」は極めてめずらしいのではないか。
医療・福祉・社会保障・教育
県内介護職1万2000人不足 40年度県推計 外国人材活用へ (8.4 茨城)
県は高齢化に伴う介護サービスの需要増加で、介護職員が2040年度に約1万2241人不足するとの推計を明らかにした。65歳以上の高齢者数が同年度に90万人超のピークを迎えるなど、人材不足は厳しさを増す。県は介護分野への外国人材の活用や市町村向け研修会を通した介護予防の取り組みなど、対応策を加速させている。
22年度に県内で働く介護職員数4万3548人を基に、県が推計した。離職者や新規就業者の推移に加え、要介護の認定者数、見込まれる介護サービス需要なども想定し、将来的に必要となる人数と確保できる人数を算出した。推計では、40年度に必要となる介護職員数5万7469人に対し、確保できると見込んだ人数は4万5228人だった。不足数は段階的に拡大し、26年度が3841人、30年度が6641人、35年度が1万111人と見込んでいる。
茨城労働局によると、介護分野における5月の有効求人倍率は4.42倍。全産業の1.36倍に比べ人手不足は深刻な状況にある。同局は「機械化やICT(情報通信技術)の導入が他産業に比べ進みにくい状況も背景にあると話す。
65歳以上の高齢者数は4月1日現在、85万3千人で、総人口に占める割合は30・9%。国立社会保障・人口問題研究所の調べでは、県内高齢者数は40年度にピークの91万9千人に上り、高齢化率は50年度に4割を超える。高齢化による介護サービスへの需要は、さらなる増加が見込まれる。
このため、県は介護予防の推進や外国人材の活用に力を入れている。市町村職員を対象とした研修会にリハビリ専門職を派遣し、高齢者の健康づくりを促すほか、国家資格「介護福祉士」の取得を目指す留学生受け入れも強化。本年度から「特定技能】の在留資格を持つ外国人材と県内事業者とのマッチングにも乗り出す。
県老人福祉施設協議会の木村哲之会長は「介護現場では慢性的に人手が足りない状況にある」と説明。今後も人口減少に伴う労働力の減少が見込まれる中、「ICT導入などによる生産性向上や、外国人材の活用を進めていく必要がある」と指摘した。
運転免許返納支援拡大 県内自治体7割で優遇制度 (8.5 茨城)
運転免許の自主返納者向けに、県内の7割に当たる31市町村が公共交通利用の優遇制度を設けていることが、県の調べで分かった。路線バスや乗り合いタクシーの乗車券配布など、返納を要件とした支援策が拡大。各市町村は「さらなる高齢者の足の確保を検討したい」などと、運転を不安視するドライバーへの返納検討を促している。
県によると、免許返納を要件に公共交通機関を利用するための優遇制度を設けているのは、日立や土浦、古河、かすみがうらなど31市町村(6月1日現在)。返納にかかわらず、県内43市町村(同)が通院やリハビリなどを対象とした公共交通利用を優遇する事業を提供している。
土浦市は免許を返納した65歳以上を対象に「のりあいタクシー土浦」の利用に必要な年会費(1万5千円)を全額助成。日立市では返納手続き後1カ月以内に申請すれば、路線バスやタクシーの乗車券(1万円分)などを交付している。かすみがうら市は乗り合いタクシーの回数券支給(2万1千円分)のほか、本年度から65歳以上を対象に、電動アシスト自転車の購入支援も始めた。5万円を上限に購入費用の5割を助成する。同市政策経営課は「健康づくり支援にもつながる取り組みで、高齢者の足の確保策は引き続き考えていきたい」と話す。
県も2019年度から「高齢運転者運転免許自主返納サポート事業」を始め、県内外の飲食や小売り、理美容など1166店舗(3月現在)が登録。返納者に交付される「運転経歴証明書」を提示すると、商品割引や購入品の配送料優遇サービスなど、さまざまな特典を提供している。
県内の高齢化率が3割を超え、免許返納後の移動手段確保は大きな課題だ。県老人クラブ連合会によると、会場まで移動できずに催しへの参加を取りやめる高齢者が増えているという。坂本鉄夫会長は「免許を返納したくても、車のない生活を考えると実際にはできないのが実情」とさらなる支援充実を訴える。
県警によると、23年に運転免許を返納したのは7960人。年代別では、80歳以上が55%、75~79歳24%、70~74歳15%、65~69歳3%だった。公共交通の維持が課題となる中で、利用を促す視点からも高齢者向けの優遇制度は増加傾向にある。県安全なまちづくり推進室の担当者は「市町村などによる支援策が、運転に不安を感じている高齢者が免許返納を考えるきっかけになるといい」と話す。
教員選考1次試験 「教職専門」を廃止 来年度SPI3活用枠新設 (8.7 朝日)
県教育委員会は、教員選考試験の1次試験で課している「教職専門」を2025年度から廃止することを決めた。教員志願者の負担を減らし、減少傾向にある志願者を確保するのが狙いだ。 一般選考枠での廃止は全国初という。県教委によると、一般選考枠では5月の1次試験で筆記試験として「教職専門」と「専門教科・科目」を出題してきた。「教職専門」は、教育法規や教育心理など教員として身につけるべき知識や教養を問うものだ。
県教委は、免許取得のために大学の教職課程で単位を修得していることや、試験合格後の研修を手厚くすることで、廃止しても教員の質は担保されると説明する。
一方、転職者や民間企業と併願する新卒者の受験を促すため、民間の採用試験で普及している総合適性検査「SPI3」を活用した枠を1次試験に新設する。募集人数は200人程度。
背景には、教員志願者数の減少がある。24年度の試験では、965人の募集枠に対し志願者は2911人。前年度より647人減少。
男性育休取得98%、女性管理職は16% 昨年度県職員ともに過去最高 (8.13 朝日)
県の男性職員(県教育委員会と県警を除く)の育児休業取得率が昨年度は98.4%となり、前年度から19.2㌽増で過去最高となったことが県のまとめでわかった。県は2025年度までに100%とする目標を掲げている。
県は女性職員の課長級以上の管理職の割合も公表。昨年度の女性管理職の割合は16.9%で前年度から3.8㌽で増加し、過去最高だった。県教委や県会を除いた職員数は6372人(今年4月1日時点)で、そのうち女性職員は2561人と約4割いる。県は25年度までに女性管理職の割合を26%に引き上げる目標を掲げている。
保育士配置新基準 県内施設「不足」16% 県、人材バンク活用推進 (8.18 茨城)
国が定める保育士の配置基準が本年度から引き上げられた影響で、県内にある対象施設の16%で保育士が不足していることが分かった。新基準では3~5歳児で、保育士1人当たりが見る子どもの数が5人少なくなった。保育の質向上につながる一方、人材確保が課題となり、県は人材バンクの活用や潜在保育士の掘り起こしを推進する。
県が改正基準の対象となる県内施設のうち、認可保育所440カ所、認定こども園260カ所の計700カ所に対し、6~7月にアンケートを実施した。調査によると、改正の影響で保育士が不足しているのは111カ所だった。内訳は認可保育所が62カ所、認定こども園が49カ所。いずれも、3月31日時点の園児の数に基づいている。
配置基準は、保育士1人が受け持つ子どもの数を示した最低ライン。国が1948年に定めた。新基準では、3歳児が20人から15人に、4・5歳児が30人から25人に引き上げられた。見直しは76年ぶりで、保育士の負担軽減やゆとりのある保育につなげる、保育中の事故や不適切な保育が問題視される状況を受け、政府の「こども未来戦略」にも盛り込まれた。
当面は経過措置が設けられ、旧基準でも運営が可能だ。全国的に保育士の人材不足が課題となっており、現場に混乱が生じないよう配慮された。県内で保育士の有効求人倍率は3・18(2023年度)と高い。県は全施設で基準を満たし、さらに手厚い配置ができるよう人材確保に注力する。
対策の大きな柱は、18年度に設置した「いばらき保育人材バンク」。ポータルサイトなどから求職者や施設が登録でき、水戸と土浦に置く計2拠点の窓口でマッチングを図る。現在の登録求職者は約4千人。県内で保育士の資格を持つのは約3万6千人,このうち6割は潜在保育士とされ、同バンクの活用で即戦力の掘り起こしを進める。
このほか、保育士を目指す学生や再就職を考える潜在保育士の現場見学バスツアー、施設経営者向けの職場環境改善のためのセミナーなど、さまざまな企画にも取り組む。同課は「保育の質向上につながるよう、人材確保に一層力を入れていきたい」としている。