「いばらきの地域と自治」最新号

第192号
2025・01・25更新

新年のご挨拶
茨城県自治体問題研究所理事長
田中 重博
新年あけましておめでとうございます。
能登半島の元旦の地震と9月の豪雨による二重被災から1年余り、死者は400人を大きく超え、政府と自治体による地域の復興と再生への強力な持続的支援が必要です。
ロシアのウクライナ侵略戦争やガザへのイスラエルによるジェノサイドの被害が終息する見通しが立ちません。一方、アメリカではトランプが大統領に当選、「もしトラ」が現実のものとなり、世界中に不安を広げています。
国内政治では、裏金問題に対する国民の強い怒りと批判を受け、岸田内閣が退陣、石破政権が発足しましたが、10月の総選挙で国民の歴史的審判が下り、石破自公政権は過半数割れの少数与党に転落しました。この国民がつくりだした新しい政治状況をどう進めるかが問われています。
他方、わが国では、岸田政権の「戦争する国」づくり政策の下、「敵基地攻撃能力の保有」と5年間で43兆円の大軍拡路線が推進され、あわせて米軍と自衛隊の一体化、南西諸島へのミサイル基地建設、全国の基地強靭化計画等が次々と強行され、石破政権もこれを継承しています。
本県でも、向こう10年間で300から500億円もの巨費を投じ百里基地を強靭化する計画が具体化され、また大井川県政は百里空港の新たな3本目の誘導路の建設を進め、百里基地の機能強化に結び付けようとしています。
この「戦争国家」づくりと関連して地方自治法が「改正」され、「国による指示」が書き込まれ、地方自治を制約しながら自治体を戦時体制に動員する「戦争準備」の法的枠組みが整備されつつあることも見逃すことができません。
このような「戦争国家」づくりと地方自治の保障は相いれるものではなく、民主的地方自治を発展させるためにも戦争準備の動きにストップをかけることが重要になっています。
日本被爆者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞は、核兵器廃絶をめざす被団協の長年の粘り強い運動が国際的に認められたものであり、世界と各地の平和と核廃絶を求める運動を大きく励ますものとなりました。
県内では、平和、暮らし、人権、地方自治を求める県民の運動と共同が広がっています。東海第2原発の防潮堤工事施工不良の告発と世論の高まりによって日本原電が大幅な工事延長を余儀なくされたこと(さらに世論と運動を盛り上げ、再稼働阻止と廃炉に追い込んでいかなければなりません)、百里基地での共同訓練や基地機能強化反対の運動、学校給食無償化や高齢者の補聴器補助の取り組みの広がり、大津漁港労働者の不当解雇をめぐる裁判闘争の勝利、水戸市民会館、日立市産業廃棄物最終処分場反対の裁判闘争などです。
本研究所は、以上のような市民運動と連携しつつ、民主的地方自治の発展を求める研究機関として、本年は、「マイナ保険証とデジタル社会」をテーマとする第15回茨城自治体セミナー(3月1日、やたべ)や研究所設立50周年事業を成功させ、情勢に対応した学習会や講演会の企画、会員・読者の拡大、機関紙「茨城の地域と自治」の定期的発行などに取り組みたいと考えています。
本年もよろしくお願いいたします。
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石岡市内を走ると柿を天日干する光景が目に入る。
干し柿には、β‐カロテンやカリウムをはじめ健康や美容によい栄養素が豊富。生の柿に比べて食物繊維を多く含んでいるので便秘解消にも役立といわれる。
今月の俳句
鐘の音の余韻短かし大旦(おおあした)
使わざる鍬掛けてある初明かり
初烏来ている庭の荒れ模様
町の名に裏表あり松飾り
寒の入り仕舞風呂より妻の声
高 島 つよし
本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問
寄 稿
続 茨 城 空 港
梅 澤 優(百里基地反対同盟員)
'茨城空港のあらまし'
逮捕された竹内知事が額賀と国から言われて、くの字の誘導路解消のために始めた茨城空港は、町民を融和させるに足りる利用者200万人、ミニ新幹線が来る、ジャンボジェットでハワイに行こうと道路に横断幕、水戸から信号無視で来ればの時短、誇大妄想の看板で自衛隊協力店の札を外した商店街に夢をもう一度と思わせたのでしょう。しかし、現実は13年を経ても最終目標に届かず、年10億円の負担ばかりが増える「儲からないお荷物」となったのでした。
職員、警備員の人件費を算入せずに黒字になったとの宣伝は空しいばかりか、東関東自動車道が開通すれば成田はすぐそこと近い将来客足が落ちるのは目に見えています。
駐車場を見れば県内が7割、2割が栃木、残りが他県ナンバーと地方空港としては既に飽和状態にあり、便数も現在の盆、正月と同じ状態を短期的に実現する事は、不可能と思われる。
中期的には、1日80便を目指すというが根拠は何一つない。東南アジアを歴訪したり、企業団体を毎年1,000社も訪問したり2日と開けずに行っていたキャンペーン、これらも効果なくホテル建設計画もあえなく頓挫。既に茨城県は集客に見切りを付けているが、性懲りも無く常磐道へのアクセス道路ではいまだ一度もない交通取締りなど評判下落をおこさないよう躍起になっている。
'誘導路建設のアウトライン'
発端は空港会社の要望によるものと県は説明しているが、航空券の予約が殺到している訳でもなく、増便の見込みもない。春秋航空の再開があるが週3便、年間1万人超という所か。県の詭弁は裏の影を隠すためであり、空港設置管理者の防衛大臣、そして運営者の国交省となろう。「あり方検討会」を見れば小美玉市町や航空会社は付け足しであり、オブザーバーこそ主人公である。会議を秘密会としているのは発言権のない人がもの言うのを県民から覆い隠すために他ならない。
見えてくるのはゼネコンの利益と軍事基地化となる。空港の整備が廃港に直結する将来が待ち受けていると言えよう。誘導路完成の暁には即、自衛隊に差し上げる事は県も明言しているし、滑走路として使用。自衛隊から借りていた滑走路の嵩上げ工事も課題になっている。現在のターミナルビル軒下を通るためビル移転は避けられず、新たなエプロン造成。増設の駐車場や県警ヘリ格納庫なども移転となる。1時間当たり8便を稼働(必須条件)するには窓口は全く足りなく、少なくなる駐車場も立体型にして有料化の方針のなか、着陸料7万円の格安空港の客足はさらに鈍化すると思われる。
中国と台湾だけで東南アジアからも見捨てられた空港に残された道は、客足の見込める千葉の下総基地の共用化で造り壊すゼネコンへの奉仕と、百里基地は念願の防衛予算によらない滑走路獲得となるのです。あるべき姿として出された3つの案が自らを否定する原因となる事は明らかです。なおかつ誘導路には安全確保の路側帯が必須となり土地の強制収用は確実となります。軍事面から見れば小松基地への配備が終われば3年後には百里への安倍F―35となる。昨年から地下化に向けたダンプトラックや業者が入り浸りこの70年間工事は途絶えた事なく、何が行われているか知る由もないが、昨年自衛隊しか使わない「くの字誘導路」のランプ設置や軍事用の地下化高圧ケーブル工事に、茨城空港から代金の一部が支払われた事が明らかになっている。
百里では近々小松のF―15教導隊との演習も見込まれ、毎月となった対地攻撃(AGG)も住民に苦痛を与え続けている。
今、小美玉市では不可解な建設工事が進んでいる。茨城県から小美玉市が土地を購入、朝日航洋というトヨタとの合併が決定済みのヘリコプター修理会社がそれを借りるという、市にとって前代未聞の工事が新誘導路真近に土を嵩上げするためにダンプトラックが何ヶ月も入っている。茨城空港が借りている滑走路は憲法違反の山を、3度で立ち上がる航空法が超えられずに数メートル盛り上げて建設したためである。不可解なのはその後どうなるかである。安全帯には必ず入る位置なのと旧小川町といえばトヨタの幡谷との関係である。百里基地を持ってきたのも幡谷なのだ。
なりふりかまわぬメディアや催事への自衛隊の登場、そして出身のタレントによる隊内でのいじめを握りつぶすなど、本来の姿を隠す露出が多い昨今、私達も物事を深く考える必要に迫られている。
百里での抗議行動追い出しに利用された自衛隊出身のユーチューバーはあまりのも醜い行動のため現在BANされて出る機会が無いのが唯一の心休めだ。
今月の 川柳
さんさんと陽はかがやいて初もうで
金なくもボンヤリとして日向ぼこ
能登の海のたりのたりはまだはるか
欲張って島がほしいとのたまわり
一円を元金にして願をかけ
ジェノサイド戦火拡大自画自賛
埋め立てて基地を造るという愚策
うら金は便利だね~と蛇笑う
白虎に白虎隊が目をさまし
白虎に白虎隊が目をさまし
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)
事務局だより
第3回理事会のご案内
日 時 : 2月8日(土)午後1時30分
場 所 :茨城県自治労連会館会議室
議 題 :
組織拡大推進について
第15回自治体セミナーについて
研究所設立50周年記念事業について
その他
第15回 茨城自治体セミナー
マイナ保険証とデジタル社会
マイナンバーカードと保険証の一体化を考える!

昨年12月2日、健康保険証の新規発行が停止されましたが、保険証の発行を求める声が後を絶ちません。マイナンバーカードへの誤った紐付けで、医療機関での誤表示や窓口負担が異なるトラブルなどが多発し、患者にとって何のメリットもなく、それどころか、地域医療に混乱と悪影響をもたらしています。
本セミナーでは、マイナ保険証に関して、様々な問題点について深堀りし、健康保険証を復活させることが如何に必要か、共に考えたいと思います。
日 時 3月 1日(土) 13時開会(12時半 受付開始)
場 所 市 民 ホ ー ル や た べ
(つくば市谷田部4711 ℡029-837-1131)
講 演 『マイナ保険証とデジタル社会』
本 多 滝 夫 氏(龍谷大学教授)
資料代 1,000円
≪お問い合わせ≫
茨城県自治体問題研究所 ☎ 029-252-5440 (FAX兼用)
茨城県自治体労働組合連合 ☎ 029-864-2548 FAX 029-864-2579
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新刊紹介
登半島地震ブックレット第2弾
能登半島地震被災地からの発信
―人間の復興へのみちを考える
定価500円
A4判
能登を心から愛し生きてきた人々。地震に豪雨災害と度重なる災害を受けて疲弊し、広域避難で外に出ても最後は能登で暮らしたいとの強い思いを抱いています。ブックレットは、生活再建の道筋は異なつていても、里海里山の美しい風景と、誰もが尊厳を回復し暮らしと生業を取りもどしていくために、能登の地で住む人々の願いと歩みをお届けするものです。
1 能登多重災害から復興へー.ブックレット第二弾の発行にあた
って
2 「支援者・被災者によるオンライン報告会』
第1回 2024年7月22日
道の駅狼煙の被害と復興に向けて 小寺美和
「同時者」としての災害経験と人間関係 澤 信俊
3「支援者・被災者によるオンライン報告会』
第2回 2024年9月5日
発災直後の被害と医療状況~復興のために何が出来るか
山本 悟
被災者の声―訪問対話に寄せられた願いと課題
杉本 満
4 現地インタビュ…
能登町宮地地区「春蘭の里」2024年7月18日多田喜一郎さん
能登町宮地地区「春蘭の里」2024年7月18日多田真由美さん
能登町 当日 2024年7月18日 高市範幸さん
能登町宇出津 2024年8月30日 鍛冶屋真一さん
輸島市 町野町 金蔵地区 2024年10月27日 石崎英純さん
輸島市 凰至町 2024年10月27日 梶原泰庸さん
5 「能登半島地震からの復旧・復興に向けての提言」
いしかわ自治体問題研究所
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