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り)RIGHT:2024・11・21更新
常陸太田市制施行70周年・合併20周年記念「第37回里美かかし祭」
田の守り神として古来親しまれてきた「かかし」のコンテスト。来場者投票で順位決定。いずれも一般の方々よりコンクール形式で応募を募ったオリジナル作品。開催期間2024-10-26~2024-11-23 開催地住所 里美ふれあい館
10/27衆議院選挙の結果を受けて
裏金政治をめぐって自民党に鉄槌が下った。国会解散まで戦後最短の審議で選挙に臨み、「みそぎ」をはかった石破新政権だったが、議席の単独過半数どころか、自公による過半数獲得も達成できなかった。与党の一翼を担った公明党の新代表と副代表も、選挙区での落選を余儀なくされた。選挙の公示前、自民党は、裏金問題への対応として自党の候補者10 人を「非公認」としたが、間もなくそれら候補者支部への 2000 万円の資金供与も明らかとなり、同党の政治改革への不信を増長させた。
今回、この「偽装公認」問題、そして裏金問題自体を幾多のマスメディアに先駆けて明らかにし野党躍進の契機をつくりだしたのが日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』であったことは、記憶にとどめておくべきである。
今回の選挙では、いかなる強大な権力も、その体内に巣くう腐敗の事実が明らかとなり、国民の信頼を失えば、一夜のうちにその基盤が瓦解するという、民主政治の真実が再確認されることになった。日本の有権者は、今回の選挙で明確に、政治権力に対して抜本的な政治改革の必要性を突きつけた。
裏金問題は、依然としてまったく解決しておらず、引き続き国会内外での追及が続けられなければならない。そして今回争点となったこの裏金問題の解決も、民主政治にとってはいわば最低限のスタートラインにすぎないことも再確認すべきである。
私たちの眼前には、自公政権 12 年間、あるいは「失われた 30 年」で蓄積された多くの政治課題が山積している。しかし、選挙期間中に全国で、それらの重要争点が十分に議論されたとはいえない。 (全国市民連合の声明より一部紹介)
今月の俳句
廃校のところどころに曼殊沙華
炊きあげて湯気豊かなる今年米
木枯らしの芯に昭和のポスト建つ
満員の縄電車来る園小春
冬ざるる風に揺らるる吊玩具
高 島 つよし
本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問
資料紹介
現場からの農村学教室
テーマ ; 市町村合併の地域への影響 規模の拡大 逆効果も
宮崎 雅人(埼玉大学学術院教授)
今年は地方創生の取り組みが行われて10年ということで、1999年に「平成の大合併」が始まって25年という年でもある。市町村合併は地域にいったい何をもたらしたのか。改めて検証する必要がある。
「平成の大合併」は、人口減少・少子高齢化が進展する中で、地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤を確立することを目的として行われた。したがって市町村の財政が合併市町村と非合併市町村とでどのように異なるのかと明らかにすることは、合併の目的が達成されたのかを検証する一つの方法であると思われる。
そこで筆者は、差分の差分法(DID)という手法で、市町村合併が歳出に与えた影響について分析を行った。この手法は、ある時点において何らかの介入が開始された介入群と、同じ時点においてそのような介入が起きなかった対象群を研究対象としている。
ここでは合併を行った市町村を介入群、合併を行わなかった市町村を対象群として分析した。具体的には、2004年度に合併した市町村を介入群、04年度に「法定合併協議会」(関係市町村による合併に関する検討を行う協議会)を他の市町村と設置したものの、最終的に合併しなかった市町村を対象群とした。
合併しなかった他の市町村全てを対象群としたのではなく、「合併しそうだったけれどもしなかった」市町村としている。
見込みと違い歳出増
歳出総額、人件費、物件費、普通建設事業費について検証したところ、物件費と普通建設事業費は、合併によって増加したことが明らかになった。物件費には、備品の購入や職員の旅費だけでなく、民間企業に業務を外注するための委託料や「非正規公務員」と呼ばれている職員の賃金も含まれている。
筆者の分析からは、合併によってこうした経費が増加したといえる。
さらに、普通建設事業費は、道路やいわゆる「ハコモノ」を建設するためなどに支出されるものである。市町村合併を推進するための「市町村の合併の特例に関する法律」に基づき、市町村は合併特例債という特別の地方債を発行し、合併後の新たな計画に関連する事業を行うことができた。
この地方債は、事業費の95%に充てることができ、元利償還金の70%が地方交付税の算定基礎である基準財政需要額に算入されたため、合併市町村は事業費の大半を国が「面倒を見てくれる」と考えた。このため市町村合併の大きな財政的なインセンティブ(誘因)となり市町村は普通建設事業費を支出した。それゆえ、合併によってこの経費が増加したという結果が得られたと考えられる。
以上が市町村全体の結果であるが、サンプルを都市と町村に分けてみたところ、都市では人件費と物件費が合併によって増加したのに対し、町村では普通建設事業費が増加したことが分かった。都市では、人件費と共に物件費が合併によって増加しているため、公共のサービス提供のための費用がよりかかるようになったといえるかもしれない。
豪州では解消運動も
では、自治体の合併によって歳出が増加したのは、日本の市町村に特有の現象なのであろうか。結論からいえば、そうではない。基礎自治体の強制合併が行われたオーストラリアのニューサウスウエールズ州(NSW州)でも、似たような現象が起こっている。
筆者は、ニューカッスル大学のジョセフ=ドリュー氏と共に、先に述べたDIDの手法を用いて、NSW州の自治体の合併が歳出に与えた影響を分析した。その結果、合併によって経常経費(人件費や物件費)の増加が生じたことが明らかになった。NSW州の政策立案者の意図とは異なり、合併によって歳出は削減されるどころか増加したのである。
NSW州の自治体合併も、合併による規模の経済によって歳出が減少することが想定されていたが、必ずしもそういった結果にはならなかった。
さらに、合併による歳入の増加も生じなかった。 表1は、NSW州の合併自治体で課税制限(インフレ率に連動した上限)を超えた増税の状況を示したものである。合併自治体では、インフレ率を大幅に上回る固定資産税の増税を余儀なくされている。
このように、自治体合併は、歳出入の両面から自治体の財政的持続可能性を高めることにはつながらなかったのである。それゆえ、一部の自治体では、合併解消を目指す運動すら起こっている。1993年NSW州地方自治法の規定に基づき、二つの自治体が合併解消を申請している。地域における民主主義がその原動力となっている。
日豪両国の分析結果から、基礎自治体の合併は歳出削減につながらず、むしろ歳出増加につながったといえる。合併による規模の経済によって歳出が減少することはなかったのである。
今後、日本においてますます人口減少と少子高齢化が進むことが予想される中で、市町村の規模をさらに拡大すべしという議論が再び政治の側から出てくるかもしれない。しかし、ここまで見てきたように、規模の経済が経費節減をもたらすとは限らない。むしろ市町村の規模が大きくなって歳出が増える上に、地域の民主主義が形骸化して、地域の活力が低下する可能性すらある。
規模を拡大して問題に対処するというやり方はやめた方がいいのではないか。
表1―オーストラリアNSW州内の合併自治体における増税一覧―は、スペースの関係で割愛しました(本所報編集委員会)。
(2024年10月20日 日本農業新聞)
宮崎 雅人
2010燃埼玉大学経済学部講師、13年同准教授、15年大学院人文社会科学研究科准教授(組織変更)を経て、21年から同教授。24年4月から組織変更のため埼玉大学学術院教授。専門は財政学・地方財政論。著書に「自治体講堂の政治経済学」(慶応義塾大学出版会)、「地域衰退」(岩波書店)がある。
今月の 川柳
海はるか勝った勝ったと手をたたき
女川ウラン担いで渡り切り
神無しの間にやたら賊あばれ
やぶれても化粧しなおしすまし顔
リスペクト持たない人が返り咲き
うら金の長編ドラマ食卓に
ベイ勝利下剋上というドラマ
無免許で生きておりますボケの秋
期待感なくて総理に顔を売り
夕空に星がまたたき鳴くカエル
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)
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新刊紹介
地方財政の新しい地平 「人と人とのつながり」の財政学
●分断と孤立が社会を覆う。地方財政はどう対抗するのか
定価1,980円(10%税込)
A5判188頁
森 裕之 著(立命館大学教授)
2020年、日本の単独世帯(一人暮らし)は全世帯の3分の1に上りました。孤立・孤独は、所得格差による分断とともに、社会的な問題になっています。いま、「人と人のつながり」を公共政策の柱に据えて行財政の制度と実践を推進することは、地方自治体のミッションといえます。各地の福祉・教育・まちづくりなどの実践を取り上げて地方財政の新しい地平を示します。
目次より: 第1章●公共政策の対象としての「人と人とのつながり」/第2章●「人と人のつながり」の財政学/第3章●「人と人のつながり」をつくるコミュニティ財/第4章●財政改革とコミュニテイ[ 明石市の子ども政策 ]/第5章●生活困窮者支援と「人と人のつながり」[釧路市のパーソナル・サポート・サービス]/第6章●地域福祉と「人と人のつながり」[大牟田市の地域包括ケアシステムと地域共生社会を中心に]/第7章●公共施設と「人と人のつながり」/第8章●「人と人のつながり」を支える地方財源[地方創生に焦点を当てて]/終章●「人と人のつながり」の地方財政論
注文は、茨城県自治体問研究所 Tel & Fax. 029(252)5440 Mail : jichiken-ibaraki@nifty.com
又は、自治体研究社 〒162-3512新宿区矢来町123矢来ピル4F TEL:03-3235-5941/
Fax:03―3235―5933 E―Mail info@jichiken.Jp
以上、「月刊いばらきの地域と自治」第190号から転載
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