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第179号

第179号

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第179号

2023・12・23更新

蓮根収穫1

蓮根収穫

蓮根の収穫=土浦市


 正月料理の食材などとして年末に向け需要が高まるレンコンの収穫が、霞ケ浦周辺で最盛期を迎えている。生産農家らは腰の上まで泥水に漬かり、レンコンを掘り出す。年末まで繁忙期が続く。レンコンは穴が多く開いた形状から、先が見通せる縁起物としてよく用いられる。#show(auto-1sQxDf.jpg,aroundr,,蓮根収穫1)




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東海第2原発 防潮堤建設に施工不良、規制庁が確認!

 日本共産党の塩川鉄也議員が11月17日の衆院内閣委員会で、日本原子力発電東海第2原発の防潮堤工事の施工不良について、原子力規制庁の認識をただした。
 規制庁は原電報告から、4月に鋼製防護壁の北側基礎で鉄筋カゴが(基礎に届かず)上方で高止まりし、6月には南側基礎部分のコンクリ―卜の未充填と鉄筋の変形が、8月には北側基礎部分でもコンクリートの未充填鉄筋の変形があつたことを確認したと答弁。塩川氏は原電が施工不良を公表したのは共産党茨城県委員会が告発した10月16日で、内容も南側だけだったとして、「6月に把握してから4カ月たっている。おかしいではないか、しかも 原電は北側には言及していない」と強調し、「原電の姿勢は不誠実で、隠ぺいだ」と厳しく批判した。
 また、原電が8日の東海村議会で、北側基礎の鉄筋カゴの高まりを「問題ない」「工事を再開している」としたことを同庁は了解したのかとただすと、古金谷氏は「耐震性能等の観点から対応が必要な問題だ」「(了解の)判断はしていない」と答弁。
 塩川氏は「原電は重大な施工不良を住民にも知らせず、工事最優先で安全を軽視する姿勢だ」として、同庁がお墨付きを与えてはならないと主張した。(2023.11.20しんぶん赤旗に詳報)。
 施工不良が見つかったのは、工事関係者の内部告発に依っている。その勇気を称えたい。
                 

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今月の俳句

平穏な余生を願いみかん蜜柑剥く
   狛犬の背に木枯の陽が揺るる
冬ざるる産土神(うぶすながみ)の朱の鳥居
   夜もすがら山なき郷の虎落笛(もがりぶえ)  
日と水の護符(ごふ)を柱に今朝の冬


高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問

 寄 稿 

気候危機対策として今やることは

鈴木 宣直(元気象台長 笠間市在住)

 11月8日、欧州連合の気象機関が今年の1~10月の世界平均気温が観測史上過去最高となったと発表しました。今年も世界各地で熱波、山火事、暴風雨、洪水が発生し、多くの人々の生活を脅かす
気候危機と呼ばれる気候変動が続きました。今年の高温は、エルニーニョ現象の発生も影響していたといわれます。
 茨城県においても今年の夏の気温は異常な高温となりました。水戸、土浦の状況は次の表のとおりです。

項 目水 戸土 浦
6Tmax32.233.0
6△T+1.9+1.7
7Tmax37.538.1
7△T+3.1+3.1
8Tmax36.037.8
8△T+2.9+2.8
9Tmax34.935.5
9△T+3.8+3.6
10Tmax26.727.4
10△T+0.4+0.2

    Tmax = 各月の最高気温(℃)
    ΔT   =各月の日平均気温平均値とその平年値との差(℃)

 特に7月、8月は日平均気温平均値の平年値との差ΔTが+3℃前後と非常に高くなり、9月には+3.6~3.8℃とさらに高くなりました。このため、熱中症や、米・野菜などの農作物の生育に被害が出ました。
 11月30日から12月12日まで、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が開催されています。この会議では、2015年にパリ協定で掲げられた気温上昇1.5度の目標についての進捗状況と今後の対策が協議されます。
 それに先立つ11月14日に公表された同条約事務局の報告では、各国の温室効果ガス削減目標が現状のままなら、気温上昇は2.1~2.8度まで上がると分析していて、1.5度目標に到達するため、COP28で各国の真剣な議論と行動が求められています。
 日本は、主要7か国の中で唯一CO2排出の多い石炭火力発電からの撤退期限を決めていない国となっています。日本ではCO2排出量の約8割が発電所、工場などの産業、自動車などの運輸で占められています。全体の削減に大きく寄与するこれらの削減実施に政府、企業が大いに力を注いでもらいたいところです。
 生活・サービス部門で私たちが関われる事柄がないでしょうか。
 全国の自治体で「2050年CO2排出ゼロ」を表明しているところはかなり多くの数にも上っていると予想され、それぞれ2030年までに「地球温暖化対策実行計画」を策定しています。その計画と実施状況を見守ることが必要でしょう。
 11月7日、環境省が行っている脱炭素先行地域の選定事業で、初めて茨城県内からつくば市が 選ばれたことが発表されました。これは環境省が4年ほど前から行っている事業で、脱炭素を先駆けて推進するモデルとなる地域を2025年までに100地域選定するというもので、選定されると5年間で最大50億円の国の交付金が受けられます。
 事業は、つくば市と5つの事業体が共同で事業を行い、太陽光やバイオマス発電と省エネルギー化により脱炭素化を図るものです。つくば市の五十嵐市長は「脱炭素化は行政だけではできない。市民や研究機関、事業者と努力する。」と述べています。
 現在までに選定された74地域には自治体を中心とした地域の事業者、市民団体が含まれています。
地球温暖化対策は、世界的な課題ですが、身近なところでも、気候、災害、食料、エネルギー、産業、交通などすべて私たちの生活と深く関わる課題と結びついています。
 最近、ドキュメンタリー映画「Wende~光と水のエネルギー~」を観ました。
 ヴェンデとはドイツ語で、大転換という意味だそうです。近畿地方で太陽光発電、小水力発電、太陽光発電と農業の組み合わせ(ソーラーシェアリング)、バイオマス発電などに取り組んでいる人々の紹介でした。映画は、地球温暖化対策としての再生可能エネルギー活用事例として観ると、その実践例を知り、またそれに携わる人々が大勢いることを知ることができ、目の前が明るくなりました。
 

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 報 告 

第2回 理事会報告

叶谷 正(茨城県自治体問題研究所 事務局長)

 10月28日(土) 水戸市「ミオス」において、理事11名が参加して、第2回理事会が開催された。冒頭、田中理事長が挨拶に立ち、議事については、経過、今後の予定、会員等現況を一括して報告し、質疑後、報告事項、協議事項について、報告・提案され、討議が行われた。

【協議での意見等】

★第35回まちづくり学校

 来年3月2日、「自治体行政とデジタル化」というメインテーマで、記念講演、基調報告、シンポジウム形式で、会場は結城市民文化センターアクロス及びWebのハイブリッドで行うことが提案された。
 テーマの1つに「地球温暖化・気候危機について考える」があり、正しく自治体ベースで再生エネルギーに取り組んで行かなければ、今後のエネルギー政策は成り立たない。そういう意味では良いアイデアだ。これからの地球環境問題を若い人、特に高校生などに働きかけた方が良い。つくば市のスーパーシティの取り組みで、実際に実験を行っているので、しっかりと検証する。非常に意味があるなどの意見が寄せられた。

 また、日本の30年近い遅れの大きな問題の一つとして、デジタル化の問題があるという言い方をしていたニュース解説者がいたが、このテーマを取り上げる位置づけとして、頭の片隅においた方が良いと感じた。

★2023年度 組織拡大推進計画

 11月1日~12月28日を推進期間として、自治体職員・労組役員、市町村議員、大学教員、研究者、民主団体・組織の会員・読者拡大を重点的に行い、具体的には、民主団体・組織は、研究所の組織財政部会の推進委員が担当し、茨城自治労連関係は、自治労連選出の推進委員が中心となって進める。推進終了後に、活動の経過と成果・課題等を整理するため、総括会議を開く。以上の活動方針で推進することとした。
 意見として、自治労連の単組役員で未加入者がたくさんいるが、どういう働きかけをしたら効果的なのかを自治労連役員と話し合ったほうが良い。
毎年のように役員の顔ぶれが変わってしまうので、まちづくり学校を取り組む中で、自治研活動にもっと接近してもらって、そのうえで、会員・読者にアプローチを行ってはどうか。
 全国の会員数は27年間マイナスで、現在5700~5800人で、5000人を割ると経営が危機的な状況になる。会員拡大は非常に重要で、それが基本だ。他の地方研にも強く訴えにといけない。

★東海第二原発災害時の避難計画調査検討

 今年2月28日に、第6回の調査検討委員会を開催し、広域避難計画を策定した4市(鉾田市・常陸太田市・常陸大宮市・笠間市)を巡回調査した総括(案)の検討を行い、8ヵ月が経過し、その後、停滞している。
 避難計画を策定した5市町のうち、大子町の調査が未実施となっている。最近、東海第二原発の防潮堤の杜撰な工事が判明し、来年の9月工事完了は多少延びる可能性出てきた。東海村は、年内に避難計画を策定すると村長が公言した。日立市長は、年度内に策定したいと言っている。こうした中で、報告書を完成させて、それを公表するタイミングが近づいている。早急に大子町の調査を行い、検討委員会を開き、報告書の完成をピッチあげて進めるべきだとの指摘があった。
 また、この取り組みは、研究所の役割としても極めて大きいとの意見が出された。
★その他
・大津漁協 不当解雇事件の公平な判決を求める署名の取り組み
・巨大な産廃最終処分場について みなさんといっしょに考えるシンポジウム

以上。

*お詫び:
 11月号は編集委員の病気などで休刊しました。会員はじめ皆様にはご期待に沿えずお詫び申し上げます。

ポセインチア

ご連絡

第3回 理事会のご案内

日時:1月7日(日)午後1時30分
場所:茨城自治労連会館2階大会議室
議題
① 第35回まちづくり学校について
② 組織拡大推進月間の総括について
⓷ 東海第2原発避難計画調査について

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今月の 川柳

パーティーの金を担いで目方ふえ 
   パビリオン金の成る木に皆さわり
宝塚栄華の夢に水をさし 
   開いた口ふさがらないと歯医者よび 
満員の辞任劇場皆笑い 
   落ちる癖後生大事に持ち歩き 
戦場のトラトラトラはもうごめん 
   ネタニヤフどうするプーチン命狩り 
支持率を軍医に聞いている総理
   坊さんも物価高いと走り出し

 

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)


新刊紹介

『新型コロナ最前線 自治体職員の証言 2020-2023 』
 

マイナンバーカードの暴走!
マイナンバーカードの「利活用」と自治
●主権者置き去りの「マイナ保険証」「市民カード」化

著者  稲栞―将・岡田章宏・門脇美恵・神田敏史 長谷川薫・松山 洋・森脇ひさき       
定価1430円 (10%税込) 自治体研究社     

健康保険証、図書館カードや交通パス、各種資格証明書などとマイナンバーカードを紐づける「一体化」政策が進みつつある。分散管理されてきた個人情報が1枚のカードに集約され二次利用されると考えた場合、私たち国民の個人情報は守られるのか。
 本書第1部では、マイナンバーカード取得「義務化」の実験場とされている医療の実際をとらえ、保険者である自治体の役割を問い直す。第Ⅱ部では、マイナンバーカードの図書館カード利用や、国のデジタル化「先進」事業と位置づけられている自治体の事例から、地方自治における「市民カード」化の意味と問題点を間う。

準新刊

●デジタル化の「落とし穴」に目をつぶってはいけない'

『デジタル化と地方自治自治体 - DXと「新しい資本主義」の虚妄』

岡田知弘・中山徹・本多滝夫・平岡和久著 A5判並製カバー、174頁 定価1870円

 2017年度から21年度までの5年間に、マイナンバー(カード)の紛失・漏洩事案は5 万6000件を超えた。最近でも、マイナンバーカードを活用した行政サービスで、システム上のトラブルが相次いでいる。コンビニで他人の証明書が誤交付され、マイナ保険証や公金受取口座で他人の情報がひも付けされるなど、混乱をきわめている。
 いずれも個人情報が他人に見えてしまう深刻な不具合だ。個人情報の漏洩は人権侵害問題に直結する。また、地域活性化の手段とされる「デジタル田園都市国家構想」はブラックボックスを抱え込んで、市民を置き去りにして、企業中心の事業へと展開する。
 こうして、地方行政のデジタル化はデジタル集権制の性格を強め、地方自治の基盤を揺るがす危険性に満ちている。

目次 第1章●岸田政権の「新しい資本主義」論と経済安全保障・DX=岡田知弘(京都橘大学教授)第2章●デジタル田園都市国家構想の概要と問題点=中山 徹(奈良女子大学教授)第3章●デジタル社会と自治体=本多滝夫(龍谷大学教授)第4章●デジタル化予算と国家財政、自治体財政=平岡和久(立命館大学教授)

デジタルシリーズ いま、何が問題か

『医療DXが社会保障を変える』
● マイナンバー制度を基盤とする情報連携と人権

稲葉―将・松山洋・神田敏史・寺尾正之著
定価1210円 

 国民の個人情報・医療情報・健診情報が連携されるデータプラットフォームづくりのねらい

『デジタル改革とマイナンバー制度』
● 情報連携ネットワークにおける人権と自治の未来

稲葉―将・内田聖子著
定価990円

マイナンバーカードとマイナポータルの仕組み

『保育・教育のDXが子育て、学校、地方自治を変える』
● 子育て・教育の枠を超えて、こどもの個人情報が利活用される

稲葉―将・稲葉多喜生・児美川孝一郎著
定価1100円

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