第146号
第146号
第146号
2021・02・25更新
観梅期を迎えた水戸講道館(2月16日)
1841年に水戸藩第9代藩主・徳川斉昭公の手によって創設された藩校の弘道館は、近世日本の教育遺産群として日本遺産にも登録された。第125回水戸の梅まつり(開催期間:2021年2月13日〜3月21日)の開催は延期となりました。
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ジェンダー不平等をなんとしてでも克服しよう!
ー森氏の女性蔑視発言につづく自民党役員連絡会の決定ー
日本において女性の社会進出は進んでいない。世界経済フォーラム(年次総会、所謂「ダボス会議」)が2019年12月に公表したジェンダーギャップ指数によれば、日本は153か国中で121位。ドイツ(10位)、フランス(15位)、英国(21位)、米国(53位)はおろか、中国(106位)や韓国(108位)にも及ばない。
とりわけ低いのは政治の分野で、日本はほぼ最下位に近い144位だ。小泉政権時の2003年6月に掲げた「2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度」という政治目標は達成されないまま。目標年である2020年9月に成立した菅政権では女性の閣僚はわずか2名で、9.5%という絶望的な数字だ。
しかも2020年12月15日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画では、その目標値を「2020年代の可能な限り早期に30%程度」と緩め、国政選挙での女性候補の割合を「25年に35%」と掲げたものの、努力目標にとどめている。
こうした体質を露呈させたのが、2月16日の自民党役員連絡会の「女性議員を5名程度、オブザーバーとして参加させる」というの決定だ。さっそくロイターは「日本の与党は女性議員が会議に参加することを容認するが、発言は認めない」と題した記事を世界に配信し、BBCも「自民党、女性議員に党会議『見せる』が、発言は認めず 方針表明」と報道した。自民党の前近代性が世界に流布されたことになった。
実際に女性議員の割合は、自民党を中心とする院内会派は衆議院で7.5%、参議院でも15.8%と、立憲民主党を中心とする院内会派の13.3%・32.6%や共産党の25%・38.5%など他の政党と比べても低い(2021年2月3日現在)。
自民党ばかりではない。連立を組む公明党も女性議員の割合は、衆議院では14.3%、参議院では17.9%と、決して高くはない。さらに2020年9月27日に開かれた党大会で衆議院選の公認候補が発表されたが、その中に女性候補の名前はなかったのだ。
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今月早春の句
早梅や筑波へ茜雲一朶
停年に縁なき余生春炬燵
鳥雲に入る傘立てに妻の杖
春浅き闇をうすめて筑波の灯
薄氷の解けて月日の動き初む
高 島 つよし
本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 小貝保育園長、当研究所顧問
じぐざく俳句人生
高 島 剛(茨城県自治体問題研究所顧問)
高校三年の国語のテキストは「奥の細道」であった。授業が進むにつれて文章のすばらしさもさるところながら、五・七・五の短い詩に魅せられ、芭蕉をまねた俳句を書き止めるようになった。その頃、同級生に地元の俳句会員がいて指導者に紹介してくれるということになった。
昭和二十三年十月の晴れた日、友人と高校の門を出て、豊水橋を渡り、秋色濃い鬼怒川の堤防を上流にむかって歩いて行った。約八キロ離れた小学校に着いたのは二時間後、秋の陽は西に傾きかけていた。そこで俳句会の指導をしている先生に紹介してもらい私の俳句人生が始まった。
会員は十代、二十代の人が多く句会は月二回、指導者の務める小学校で夜行われ、鬼怒川を渡船を利用していた私と友人は泊まりになることが多かった。結社は「朝霧」(水戸市)、「鹿火屋」(神奈川県)に所属し毎月投稿していた。
昭和三十年代に入ると、労働運動が盛んになり、安保闘争も盛り上がってきた。そのため、私は県職の組合活動に専念するようになり俳句は中断してしまった。
再び俳句を始めるようになったのは組合の専従が終った昭和五十九年頃からである。
俳句会の名も「青磁会」として、下館、千葉、東京在住の人もいて会員は二十名を超えていた。平成二年に県職を停め小貝保育園の園長になったが俳句会には引き続いて参加していた。しかし、平成八年ごろより始まった特別養護老人ホームの建設に全神経を使うようになり句会への出席はおろそかになった。
そしてまた、平成十年より七年間俳句が出来ず空白の期間が続いた。俳誌への投稿も辞めざるを得なかった。
再三の中断ののち、また、句会に参加するようになったのは平成十七年三月からである。
それ以来今日まで、俳句の友人にも恵まれ何とか自分なりの俳句で続けている。
梅ちらりほらり下総流山(平成十七年三月)
倶会一処遠蜩を妻と聴き(平成十七年八月)
赤紙のコピー十二月八日(平成十七年十二月)
自句自註Ⅰ
梅ちらりほらり下総流山(平成十七年三月)
千葉県流山市の東葛病院に月二回通院している。昨年(平成十六年)に入ると商店街に「誠」の桃太郎旗が目につくようになり、下の方に下総の国流山と書かれてある。そう言えば平成十六年のNHKの大河ドラマは「新選組」であった。
浅学の悲しさ、何で新選組なのと思っていたら、テレビは新選組終焉の地が流山であることを放映していた。
新選組の滅びの美学みたいなものが流山の地名と重なって深く心に残った。
大河ドラマは、「義経」に変わった。
それでも街のところどころには桃太郎旗が残っており、「誠」の字は薄く消えかかり、旗の下の方は風で破れている。
病院の送迎バスの窓からは咲き出した梅の花が眺められるようになった。
倶会一処遠蜩を妻と聴き(平成十七年八月)
お盆も近いので夕方墓の掃除をすることにした。わが家の宗派は浄土宗なので墓石には「倶会一処」と刻まれている。掃除が終わると涼しい風に乗って蜩の声が聞えて来た。
そう言えばわが家の近くではいろいろな種類の蝉が登場するが蜩だけは鳴かなかった。
子供のころは夕方になると近くの香取神社へ蜩の鳴き声を聞きにいった。哀調を帯びた声がなんとなく好きだった。
人の死や離別を連想することもあった。
今年も何人かの友人、知人が幽明世界を異にした。
倶会一処=念仏を唱じればすべての人は死後浄土へ迎えられる。死は別れることだけでなく、再び浄土でなつかしい人とも出合うことが出来るのだ一と勝手に解釈し、蜩の明るい鳴き声を耳の奥でしかと確めた。
赤紙のコピー十二月八日(平成十七年十二月)
水海道駅前を通りかかると知合いの市議会議員がハンドマイクで街頭宣伝を行っていた。
「今日は、太平洋戦争の開戦記念日です。日本を再び戦争ができる国にする憲法九条改正に反対しましょう」。そのかたわらで二人の女性が通りがかりの人に召集令状(通称赤紙)の複製品を配っていた。
昭和十六年、私は国民学校五年生だった。「神国日本」、「八紘一宇」、「神州不滅」などのスローガンを刷り込まれた軍国少年達にとって開戦の日は興奮が頂点に達し、暗くなるまで燥ぎまくった。
次の日は高学年生が朝、暗いうちから校庭に集められ、三粁ほど離れた村社八幡神社へ戦捷祈願の参拝を行った。
やがて、あすこの家にも、こちらの家にも赤紙が来た一ということが教室の中で囁かれるようになった。
ラムネ好き心太好き護憲派で(平成十七年八月)
母の日の妻にて不即不離(つかずはなれず)に(平成十八年五月)
おほかたは難聴どうし日向ほご(平成二十九年)
記さねば人の名忘る流れ星 (平成三十一年)
改憲も護憲も盛んサングラス(令和元年六月)
自句自註Ⅱ
ラムネ好きところてん好き護憲派で(平成十七年八月)
友達十名位で毎年夏と秋に福島県桧枝岐温泉に一伯旅行を行っている。
途中、五十里湖を見下す山の中に「湖畔亭ほそひ」というお店があり、こゝの手打ちそばは絶品なのでいつも昼食を摂ることにしている。いろりのある座敷が食堂で、部屋の隅に谷水を曳いた木の桶があり飲み物を冷やしてある。
そばが来る間、瓶の容器にガラス玉の入ったラムネを飲むことにしている。注文すると昔ながらの方法で作った冷たい心太ところてんも出してくれる。部屋の中に大判の「旅の思出」帳が置かれてあり、皆で寄せ書をすることにしている。
何を書こうかとボールペンを握ったとき、今年の三月、俳句を再会した頃「水海道憲法九条を守る会」の設立総会が盛大に開催され、それに参加していたことが頭の隅に込めていた。
母の日の妻にて不即つかず不離はなれずに(平成十八年五月)
昭和三十一年一月に挙式した。妻はその年に出産をしたが、腎臓疾患から来る「シカン」という病気で二日二晩生死の界をさまよった。幸い母子とも無事であったが、ショックから過去の記憶をすべて失い、正常にもどったのは半年後であった。
それから五十年。今年金婚式をむかえた。とくに記念するようなことはやらず、母の日にはこれまでと同じように子や孫から、チマチマした物を贈られて喜んでいる。それをみると
「五十年不即つかず不離はなれず」という感慨が強い。
俳句には一切関心のない妻であるが、認知症予防のためと最近「えんぴつで奥の細道」という本を買ってきて、ひまをみては筆記に熱中している。
ときには同じ夏を声を出してくりかえし朗読し、「暗記はむずかしい」とぼやいたりしている。
改憲も護憲も盛んサングラス(令和元年六月)
サングラスは夏の強い日差しから眼を守るための眼鏡である。瞳の色の渋い西洋の人は欠かせないが、日本人には、生理的に必ずしも必要ではなく、アクセサリーとして季節に関係なく一年を通して使用する人も多い。
俳句は十七字で物事を表現する短詩であるため、省略の文芸ともいわれている。しかし、この使用を間違えると読む人の共感を得られず一人よがりの俳句になってしまう。
七月の参議院選挙が近づき政治家による政策論争が活溌になって来ている。その中の一つが憲法問題である。
やれ改憲だ、護憲だという論争は必ずしも政治にたずさわるひとだけでなく、学者や一般の人も含めて巾広く行われている。
そんな中で、サングラスを掛けた人が侃々諤々の論陣を張っている姿が強い印象として残っている。
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寄 稿
「冤罪を体験して」後編
桜井 昌司(布川事件国家賠償請求裁判原告)
私の無期懲役刑が確定して千葉刑務所へ移送されたのは31歳の夏だった。
無期懲役は期限がない。反省していると思われないと社会には帰れない。刑務所に行っても再審を行うと決めていた私は、もう社会には帰れないこともあると覚悟を決めた。
これで人生が終わったかもしれないと思うと、目の前が暗くなる絶望を感じたが、すぐに立ち直った。人生は一度しかないし、今日という日も人生に一度しかない。それならばたとえ刑務所で過ごしても一日しかない今日という日を大切に過ごそうと考えた。
ここから私の新しい人生が始まることになる。
刑務所の日常を簡単に説明すると、朝は6時半に起きて、夕方は4時半まで、午前と午後の15分休憩、50分の昼休みの他は、厳しい監視の下での作業だ。月、水、金が運動の日ならば、火、木が風呂の日で、毎週交互にある。土、日は休みで慰問や映画などの行事が無いときは舎房に閉じ込められる。9時には就寝時間となるが看視灯が消えることはない。この繰り返しだ。
行事としては将棋・囲碁大会、野球大会、ソフトボール大会、運動会、のど自慢大会などの工場対抗的な娯楽の他、俳句や短歌、音楽や民謡などクラブ活動もあった。歌手や素人の慰問、著名人の講演などもあった。
私は怠け者で意志も弱くて社会で真面目に働いたことがなかった。だから冤罪に巻き込まれたのだが、刑務所で働くならば一生懸命にやろうと思った。
靴工場に配属され、48名ほどの仲間と一緒に過ごすことになったが、誰にも負けない作業量をこなし、良い製品を作った。クラブ活動にも参加して音楽クラブでトランペット担当になった。野球、将棋、何でも全力で楽しんだ。
国民救援会東京都本部に作られた「桜井・杉山君を守る会」は、毎月、激励の面会に来てくれた。その皆さんの支援に応えるために誠実に毎日を過ごして18年。逮捕されて29年が過ぎた1996年に、私は仮釈放で社会に帰った。
何をするのも自分の意志。自由は怖いような思いだった。しかし、人生に一度限りの今日を大切に、何時も全力で過ごした刑務所生活は、私を変えてくれていた。土木作業の仕事も自分の力で食べて生きて行く毎日も、総てが新鮮で楽しかった。
日本弁護士連合会の支援を得た再審請求活動と茨城県にも作られた守る会の支援活動も活発になり、皆さんもご存知下さるように再審裁判に輝かしい勝利の歴史を刻む「再審無罪判決」に繋がることになる。
それで私の闘いは終わるはずだったが、「桜井と杉山が犯人であることは変わらない」とまで公言して警察も検察も反省しなかった。そこまで言うならば「まだ隠している無実の証拠を出させよう」と考えて国賠裁判を始めた。
多くの国民は総ての証拠が裁判にされるものと考えているが、そうではない。ひとたび起訴をしたならば検察は不利な証拠を隠して裁判には提出しない。少しは刑事裁判での証拠開示問題は解決されたが、今でも総てが明らかになる制度ではない。民事裁判では、今でも証拠を出さないでも許される制度のままだ。
東京地裁では「公益の代表である検察は証拠を開示する義務がある」とする画期的な判決を出した。しかし、警察も検察も抵抗して高裁での審理が続き、その判決は6月25日に予定されている。警察の偽証を「勘違いした証言だ」とか、検察に証拠隠しを「法律がないから許される」とした弁解が通じるとは思えません。必ず高裁でも勝利して証拠開示に苦しむ冤罪仲間の力にしたいと願っています。
この4月15日にはマガジンハウスから「俺の上には空がある、広い空が」と題する本も出版されます。癌になったことで自分の人生を顧みると、人生は一度限り今日も一日限り、との思いで毎日を全力で、明るく楽しく過ごした74年の人生は、何も思い残すことのない充実した歳月でした。
これも救援会の皆さんなど、誠実に真面目に一生懸命に活動して人間社会を豊かにしようと闘っている皆さんと出会い、その善意とともに過ごしたお蔭でした。
これからも皆さんから頂いた宝物に感謝を忘れずに命ある限り闘うつもりでいる。
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資 料
菅政権のデジタル化政策は何を狙っているのか
―自治体問題研究所理事長・岡田知弘さんへのインタビューからー
本資料は、菅政権が住民の暮らしと地方自治体をどこへ導こうとしているのか、真の地方自治と地域再生の展望とは、自治体問題研究所理事長の岡田知弘京都橘大学教授に聞く、と題して、しんぶん赤旗(1月31日、2月1日)に載った記事を一部省略して紹介したものです。
住民置き去りのデジタル化
地方自治のあり方に大さな影響を与える地方制度調査会の答申が昨年6月に提出されました。菅政権のデジタル化政策を示すもので、内容は、コロナ禍の教訓をデジタル化の遅れに求め、マイナンバーなどを利用した個人情報の活用を経済成長につなげるため、デジタル化を一気に進めようというものです。そもそもコロナ禍の教訓は、1990年代末からの「構造改革」・自治体合併、交付税の圧縮による保健所の統廃合や公務員の大幅削減で、必要な対応ができていないことにあります。自然災害時も同様ですが、「答申」はこれらの問題を一切検証していません。デジタル化には電気が必要ですが、自然災害で停電した時には役に立ちません。
サービス低下
デジタル化による自治体システムの統一で、申請書類を全国一律にしようとしています。これを進めるとどうなるでしょうか。
例えばS市の妊娠届には、申請者の状況を詳しく書く欄があります。生活保護や医療、教育など行政がさまざまな部門と連携して子どもの誕生を待ち、誕生後もサポートするためです。ところが情報の共有化・標準化を進めると、S市のような独自の工夫をすると、追加料金が発生し、標準化の名のもとに当該自治体固有のサービスが一気に無くなるのは必定です。
情報流出危機
さらに、自治体システムの統合による大規模な個人情報流出・流用事故が懸念されます。
今国会に提出予定の「デジタル関連法案」では、新設のデジタル庁が各省庁への勧告権限を有し、自治体を管理・監督する権限も強化しようとしています。また、各自治体の個人情報保護条例が情報流通の「障害」になっているとして、条例での縛りを限定する法案も準備しています。
マイナンバーに関わる個人情報流出・漏えい報告は、わずか1年間で217件(2019年度)にも及んでいますが、対策は不明確です。デジタル化には個人情報漏えいとい
対策は不十分です。
デジタル化には個人情報漏えいという人格権の侵害や社会経済的損失の可能性があるのに、安全性が確認されないまま、推進だけが言われるよ点に大きな問題があります。
自治体が持つ個人情報を民間企業に渡し、情報化都市をつくろうというのが、昨年の通常国会で成立したスーパーシティ法(改定国家戦略特区法)です。国が支援するハードとソフト事業によって情報系企業の利益が確実に保障される半面、住民は生活全てを監視されることになります。
例えば、ある人が交通カードを使いどこで電車に乗りどの店で何を食べたか、病歴や銀行取引状況など、全てマイナンバーカード等で把握・監視されます。国はデジタル化により個人情報を吸い上げ、国のやりたいことを地方自治体に押し付けることができ、住民の声も通りにくくなります。
SDGsとは
財界は、自治体がもつ個人情報を手に入れ、行政サービスを民間企業が担う「超スマート社会」「Society(ソサエティ)5・0」を進めようと提言しています。しかし、これだけを前面に押し出すと合意が得にくいので「持続可能な地域や都市をつくる」「環境や貧困、医療・福祉の持続」のためのSDGs(エス・ディー・ジーズ=持続可能な開発目標)と言って、正当化をはかっています。
SDGsの17番目の目標には「パートナーシップで」目標達成に取り組むとして、官民連携を掲げています。貧困や環境問題を引き起こした多国籍企業がビジネスチャンスとして推進主体になるもので、注意が必要です。SDGsには一見良いことが書かれていますが、どんな主体がどのように取り組み、私益ではなく「住民福祉の増進」が実際に実現できるかどうか、政策ごとの検証が必要です。
和歌山県では国の言いなりにならず保健所の統廃合をほとんど行わなかったため、昨春、日本で最初の病院クラスター(感染者集団)が発生した際、PCR検査を県独自の判断で大規模に実施し、早期に収東させました。東京・世田谷区では区独自に財源を確保しPCRの社会的検査を大規模に実施しました。国と都にも支援を求め、国の補助が実現し他の自治体も活用しています。
地方から国ヘ 今こそ憲法生かす政治ヘ
こうした流れは、1970年代の公害対策の拡充に通じます。三重県で四日市ぜんそくが発生した当時は「謎の風土病」と言われていました。しかし、研究者らが原因はコンビナート企業からの排出ガスだと突き止めました。さらに医師会や自治会から無料診断、医療費救済の要望が出されました。当時の四日市市は保守市政でしたが、住民運動の高まりにより、市長も現場の声に耳を傾けざるを得なくなり、市独自の公害被害者の救済制度ができます。
さらに全国市長会と連携して国と交渉し、公害対策基本法、患者救済・補償が実現します。革新自治体が広がった時期と重なります。この一連の過程と世田谷区などの動きはとてもよく似ています。
コロナ禍で苦しむ住民の課題を解決するのは、住民に最も身近な自治体の現場しかありません。そこで創意工夫して制度をつくり全国に普及する。そして、国が法制度を大きく変えるという流れは歴史の必然ともいえます。
かつて明治憲法には「地方自治」条項はありませんでした。戦前の都道府県や市町村は、中央集権体制のもとで国の出先機関であり、戦争動員機関でした。現政権が目指している方向も、情報化によって自治体を国の出先にするものだといえます。これでは住民の命も生活も守れません。
現行の日本国憲法における地方自治は、主権者である住民が抱える課題を解決し、福祉を向上させることを最大目的としています。
今こそ憲法を生かす政治に転換できる時機です。住民や公務員、地方議員、首長の皆さんには、国の動きだけでなく、足元の地域をよく見てほしい。その中に必ず困難を突破できるヒントがあります。
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今月の 川柳
コロナにも寿命があると老いた医者
五輪旗で人の命を計ってる
デジタル化アナログ爺さん日向ぼこ
トランプの遺産相続荷が重い
フグの日に福を祈って豆を食べ
飯がわりサプリメントが胃でさわぎ
商店がコロナに消され人も消え
税金がやせた背中をかきむしり
青天の梅花ただよう偕楽園
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)
新刊紹介
社会保障法 ――権利としての社会保障の再構築に向けて
伊藤周平著
A5判 定価(本体3200 円+税)
書籍の内容
暮らしのなかから社会保障を考えるために
社会保障の削減が進む現在、生存権侵害という観点から社会保障のあり方を追究する。章ごとにひとつのテーマ、公的扶助(生活保護)、年金、社会手当、医療保障、労働保険、社会福祉を取り上げ、憲法との関係から現状の不備を検証する。社会保障法の全体像をとらえた最新、最適なテキストにとどまらず、暮らしを社会保障から見直そうする人たち必携の一冊。社会保障法辞典としても使える事項・判例索引完備。
「公共私」・「広域」の連携と自治の課題
榊原秀訓・岡田知弘・白藤博行編著
A5判 定価(本体2300 円+税)
書籍の内容
コロナ禍への対応を理由として「行政のデジタル化」が最優先で進められている。地方自治制度の抜本的な改変をねらう「自治体戦略2040 構想」とその具体化を諮問された第32 次地制調の答申は、自治体の事務の標準化(統一化)や全国的なクラウド化などのデジタル化具体策とどう関係するのか。また、「組織の枠超えとしての公共私の連携」論や「地域の枠越えとしての広域連携」論は、デジタル化でどう具体化されようとしているのか。
コロナ禍の下で国が進めている地方自治制度再編の動向を分析し、自律・自治の自治体論を考える。
地域と自治体 第39集
準新刊
『検証 介護保険施行20年 ―介護保障は達成できたのか』
芝田 英昭(編著), 河合 克義, 服部 万里子, 井口 克郎, 日下部 雅喜, 森 周子:金 滉垣, 鈴木 森夫, 藤原 るか(著)
¥2,420(税込)・発行年月日: 2020/12/15 ページ数: 248ページ ・本のサイズ: A5
書籍の内容
介護の危機をのりこえるために
介護保険が目的とした「社会的入院の解消」「介護の社会化」「介護離職の解消」等は達成できたのか。果たして介護保険は必要とするサービスを提供しているのか、市場化・営利に走る介護現場の深刻な人材不足、保険者である市町村の混乱をどうするのかなど、介護保険が高齢者福祉に与えた影響をとらえつつ考察する。
また、介護保険の利用当事者として「認知症の人と家族の会」の運動を跡づけ、劣悪な労働環境に置かれる在宅介護の現場を実態報告する。併せて、同様な介護保険制度をもつドイツ、韓国の現状レポートを収録。権利としての社会保障の視点から「介護保障とは何か」を総合的にとらえる。
コロナ禍のなか、自治体はどう予算を編成するのか
新型コロナ対策と自治体財政
平岡和久・森 裕之著
A5判 144頁 定価(本体1500 円+税)
Ⅰ部 新型コロナ対策と自治体財政の動向・課題
1 新型コロナ対策と自治体財政
新型コロナ禍の地域経済/ 自然災害としてのコロナ禍と政策のあり方/ 新型コロナ第一波と対策の問題点、教訓/ 自治体財政の仕組みと見方/ 政府のコロナ対策と補正予算/ 地域経済対策の展開と課題/ 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金/ 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金/ 自治体の独自対策と財源確保策/ 政府の対策と財政政策の課題/ 第二波、第三波における自治体の対策と財政運営の課題
2 都道府県、政令市、中核市の財政担当課へのアンケート調査から見るコロナ対策と自治体財政の課題 アンケート調査の概要/ 各自治体の財政状況と補正予算
3 自治体財政運営の課題
今後10 年以上にわたる地方財政の混乱/ 短期的な財政運営/ 中長期的な財政運営/ 国による行財政措置
Ⅱ部 資料 アンケート回答内容
資料1 コロナ対策と財政に関する都道府県アンケートの回答の整理/ 資料2 コロナ対策と財政に関する政令市アンケートの回答の整理/ 資料3 コロナ対策と財政に関する中核市アンケートの回答の整理/ 資料4 自治体のコロナ対策と補正予算に関する事例
自治体は国のデジタル端末になるのか?
デジタル化でどうなる暮らしと地方自治
白藤博行・自治体問題研究所編
A5判 定価(本体1400 円+税)
コロナ禍のなかで、行政のデジタル化が声高に叫ばれ、官民で国民・住民の個人情報を利活用しようという政策が進んでいる。その基盤づくりとして、行政のレベルでは戸籍・税務・健康保険など自治体の行う事務の「標準化・統一化」と全国レベルでのクラウド化が、国民・住民にはマイナンバーカードの取得が推進されている。
しかし、この仕組みでは、国民・住民の個人情報の大規模な漏洩が危惧されることや、国民・住民が自己の情報をコントロールする権利の保障がどうなるかなど、検討されるべき課題も多い。
政府が進めているIT 戦略の内容にそって、行政デジタル化が暮らしや自治体行政に何をもたらすかを考える。
地域の病院は命の砦
― 地域医療をつくる政策と行動 ―
横山壽一・長友薫輝編著
A5判 ・並製カバー・160 頁 定価(本体1300 円+税)
地域の病院がなくなる?!
病院は、地域で暮らし続けるために欠くことができません。ところが、国は、町や村に1 つしかない病院をふくめて、全国424 の公立・公的病院を名指しし、統合再編を含めた病床削減計画の提出を自治体に求めています。そこには、「地域医療構想」の早期実現という政策があります。
本書では、地域医療を取り巻く情勢を整理した上で、「地域医療構想」とはなにか、「地域医療構想」が病院再編とどう連動しているか、地域医療を守り発展させるための政策や課題をどう考えていくかなどについて、各地の実践にそいながら紹介します。
主な内容
地域医療を守る 住江憲勇/眞木高之/尾関俊紀
第Ⅰ部 地域医療をとりまく情勢
社会保障改革と地域医療 横山壽一
第Ⅱ部 地域医療をつくる政策と行動
1 地域医療構想と地域づくり 長友薫輝
2 424 病院リストの根拠「診療実績データの分析」のねらいと問題点 塩見 正
第Ⅲ部 地域医療の現場
1 難病医療の拠点・国立徳島病院を守る 井上 純
2 広大・多雪・寒冷な北海道の地域医療を守れ 沢野 天
3 三重県の地域医療構想と公立・公的病院の再編・統合 新家忠文
4 愛知県の実態から考える大都市圏域における地域医療構想の問題点 長尾 実
5 京都の地域医療構想にかかわる諸課題と地域医療実態調査の取り組み 塩見 正
資料 厚生労働省が再編統合の検討を求めた公立・公的病院424 施設
「競争の時代」の国・地方財政関係論
競争の時代に一般財源は自治体の自由になるのか!
中島正博著
A5判・上製カバー・228 頁/定価(本体2500 円+税)
1980 年代後半からの30 年間の国と地方の財政関係を地方財政計画に基づいて分析する。この30 年間を「地方分権さきがけ
「財政構造改革期」「競争の時代」に分け、地方財政計画が地方の財源保障機能から競争を前提にしたシステムへと変容する様子を追う。そこでは分権と集権のせめぎ合いを観察し、「一般財源」が本当に自治体の自由になっているかを検証する。併せて、地域振興政策として島根県海士町の定住政策、宮崎県西米良村の人口減少対策を紹介する。
序 章 本書の目的と課題
第1 章 地方財政計画と地方交付税
第2 章 地方財政の構造変化と計画・決算のかい離
第3 章 定住政策と地方交付税
第4 章 地方創生と地方交付税
第5 章 地方財政における「自由な財源」とは何か
終 章 「競争の時代」の国・地方財政関係
疾病に苦しむ人が、だれでも、どこでも、いつでも無償で医療が受けられる社会を求めて!
『医療保険「一部負担」の根拠を追うー 厚生労働白書では何が語られたのか』
芝田英昭著
A5判・並製カバー・180頁 定価(本体1800円+税)
1962 年以降の皆保険体制の下、日本の医療保険は大きく発展してきた。しかし、国庫負担、患者の一部負担は、「厚生労働白書」から読み取れるように、時々の経済情勢、財政的制約から導き出されたものであり、決して人権思想が反映された結果とは言えなかった。今、国民から求められているのは、基本的人権を基軸にした社会保障の構築であり、その基礎にあるのが、人間の尊厳であり人権思想なのである。
疾病に苦しむ人はたくさんいる。そのだれもが、いつでも、どこでも、無償で医療が受けられる社会の実現に向けて、「権利としての社会保障」の観点から論究する。
プロローグ●健康は自己責任か
第1章●医療保険「一部負担」の意味とは
①医療保険における一部負担の制度的根拠
②社会保障審議会等の歴史的文書に見る医療保険における一部負担の考え方
第2章●『厚生労働白書』(『厚生白書』)に見る医療保険「一部負担」記述の変遷
1950年代厚生白書/1960年代厚生白書/1970年代厚生白書/1980年代厚生白/1990年代厚生白書
2000年代厚生労働白書/2010年代厚生労働白書
第3章●医療保険一部負担に関する先行研究
①厚生労働白書は医療保険「一部負担」の根拠を示せたか ②モラルハザード、濫用防止は心理的圧力 ③医療サービスは「私的財」なのか
第4章●一部負担の受診抑制と世界のトレンド
①一部負担と受診抑制 ②一部負担増による受診抑制の研究事例 ③一部負担無料化の意義
第5章●医療保険の保険料・一部負担の未来展望
①社会保険に一部負担は必要か ②国保保険料の応益割と保険料上限の廃止 ③健康保険における標準報酬月額の上限を撤廃すべき ④健康保険から排除される被用者と無保険問題
第6章●人権としての社会保障と能力の共同性
①社会保障を考える基本的視点としての尊厳と人権 ②人間の尊厳の要素としての人格 ③日本国憲法に見る社会保障と人権 ④能力の共同生から社会保険料応能負担の根拠を考える
問い直そう税金―消費税増税ではない別の選択肢がある!
鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』
A5判 定価(本体1000 円+税)
税の目的、仕組みと問題点、改革の方向について入門的に解説し、わが国の税制全体を問い直すことで、消費税増税ではない別の選択肢があることを明らかにします。
本書を推薦します 白藤博行氏(専修大学法学部教授)
法律の世界では、租税法律主義といって、納税者の権利を守る大原則があります。でも、私たちは、日ごろ税の中身のことをどこまで考えているでしょうか。消費税が上がるといっても、「またか」で終わっていませんか。私たちは、公共サービスを受給する権利がありますが、税を公平に負担する義務もあります。ですから税
の集め方や使い道を、主権者としてしっかりと考えなければなりません。
私たちは居酒屋でビール1 本の追加を迷っていますが、何百兆円もの「内部留保」がある大企業は、労働者に相応の賃金を払い、まっとうな法人税を納めているのでしょうか。主権者の税への無関心は、悪政を助長します。「税のバイブル」である本書を読んで、賢い主権者・納税者になりましょう。
『公契約条例がひらく地域のしごと・くらし』
働く人の労働条件・事業者の経営環境・地域産業振興を一体で改善するみち
永山利和・中村重美著
A5判/定価(本体2000 円+税)
公共工事や公共サービスの低価格受注が広がり、疎漏工事や官製ワーキング・プアが問題となってきた。
この課題を解決する公契約条例の意味と実際(世田谷区・野田市など)を紹介する。
世田谷区長・ジャーナリスト 保坂展人とさん推薦
8年がかりの粘り強い運動により区議会全会一致で成立した世田谷区公契約条例は2014 年に成立後も改善と進化を遂げていく。2019年には労働報酬下限額を1,070 円とする。全国に拡がる公契約条例の基礎から今後の課題等必携の一冊。
『新版 自治体の財政』
まちの財政のしくみを分かりやすく解説! 自治体財政入門書
初村尤而著(都市行政コンサルタント)
A5判 定価(本体2000円+税)
暮らしのなかのお金の流れに注目して、予算書・決算書を読みます。公共サービスのあらましをたどって、歳入・歳出のしくみを解説します。そして、地方交付税、基準財政需要額や財政健全化指標、企業会計など自治体財政に欠かせない用語も分かりやすく説明し、数字に隠れた市民生活や地域の現状へといざないます。
主な内容
第1章 私たちの暮らしと財政
第2章 予算書、決算書を読んでみよう
第3章 歳出(経費)のしくみ
第4章 歳入(財源)のしくみ
第5章 さまざまな自治体財政
第6章 地方公営企業のしくみ
第7章 わがまちの財政健全度を量る指標
第8章 自治体財政のあり方を考える
終 章 財政数値との向き合い方
「自治体戦略2040構想」と地方自治
白藤博行・岡田知弘・平岡和久著
A5判/定価(本体1000 円+税)
アベノミクスの失敗で疲弊が続く地方。住民のいのちと暮らしを守る市町村の役割が再認識されている。
ところが、政府は、連携中枢都市圏(や定住自立圏)のような「圏域」を地方行政の単位として法制化し、住民サービスも自治体間で「標準化」「共通化」「広域化」しAI やロボットそして民間企業に任せ、公務員は半減させるなど、地方自治を骨抜きにすることを狙っている。これらは、「自治体戦略2040 構想」という研究会報告として公表され、法制化への議論とともに、地方財政政策などを通じて具体化も始まった。
本書では、「自治体戦略2040 構想」とは何か、地方自治の姿をどう変えると予想されるのか、憲法と地方自治法が示す自治の視点から見たときに何が問題となるのかについて、解説する。
「豪雨災害と自治体 防災・減災を考える」
A5判・並製・160 頁/定価(本体1600 円+税)
豪雨災害はどのように発生し、どう対応すべきか?
毎年のように豪雨災害が猛威を振るっている。その原因・メカニズムを気象学、被害の拡大を地質学から追究し(寺尾徹、田結庄良昭)、2018 年の豪雨が各地にどのような災害をもたらしたか、現地からの詳細な報告を収める(磯部作、越智秀二、村田武、山藤篤、松岡淳、小淵港、田結庄良昭、池田豊)。そして、このような災害に対して自治体はどう対応すればよいのか、防災と減災の視点から問う(室崎益輝、塩崎賢明、有田洋明)。
「水道の民営化・広域化を考える(改訂版)
尾林芳匡・渡辺卓也編著
A5判・並製カバー184 頁/定価(本体1700 円+税)
改正水道法成立!「いのちの水」をどうする。2018 年12 月6 日、改正水道法が成立した。多くの庶民の疑問、マスメディアでの反論をものともせず、既定方針のように審議を通した。水道が生き残るには、民営化、広域化しかないのか。すでに、各地で起こっている「水」めぐる民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくか多角的に考える。
『人口減少時代の自治体政策 市民共同自治体への展望』
中山 徹(著)
発行年月日:2018/11/15 1,200円+税 A5 112ページ
人口減少に歯止めがかからず、東京一極集中はさらに進む。自治体そのものを見直そうとする「2040構想」も始動した。こうしたなか、保守と革新の共同による「市民共同自治体」の動きも出始めている。地域が大きく再編されようとしている今、市民と地域を守るためにはどうしたらよいのか。「市民共同自治体」を提唱して、市民のニーズを政策に活かす方法を考える。
目次
はじめに
1章 新自由主義による国土・地域・コミュニティの再編
なぜ国土・地域・コミュニティの再編なのか
再編の具体的内容とそれを進める政策
自治体再編の方向性
再編のコンセプトと進め方
2章 自治体の動向と市民共同自治体への展望
開発型自治体と削減型自治体
市民共同自治体の誕生
市民共同自治体の展望
3章 市民共同自治体の政策
政策の基本的な枠組み
すべての主要施策に格差是正を貫く
地域のまとまりをどのようにして創り出すのか
行政責任を明らかにする
なぜ市民参加が重要なのか
原発再稼働と自治体
―民意が動かす「3つの検証」― 新潟県はその出口を探す先頭に立っている
立石雅昭・にいがた自治体研究所編
A5判 定価(本体1200 円+税)
福島原発事故から7 年半。控えられていた原発の再稼働が復活してきているが、それでも再稼働はスムーズに進んでいるとは言いがたい。それは、国民の過半数が原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論が強く根を張っているためである。世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は「3 つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げて福島原発事故の検証を行っている。その活動の意味を問う。
序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること 池内 了
1 新潟県検証委員会の活動の意味 大矢健吉
2 技術委員会の検証―明らかにしてきたことと引き続く課題 立石雅昭
3 原発事故による避難(新潟県内避難者)生活の現状と課題 松井克浩
4 原子力災害がもたらした避難(福島県相双地区)生活の実態 丹波史紀
5 避難計画をめぐって 佐々木寛
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質 石崎誠也
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済 保母武彦
どこを目指す !! 自治体戦略2040構想
― 研究会報告の概要と問題点、課題 ―
A5版・24頁 定価250円(地域研卸単価200円)
地域研の皆様へ
地域研の皆様には日頃から大変お世話になっています。
さて、自治体戦略2040構想研究会の最終報告が7月に公表されました。構想研は「2040年頃をターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方を検討する」として2017年10月に設置された総務省の有識者研究会です。
その趣旨は「高齢化がピークを迎え、若い勤労者が激減する2040年頃の姿から自治体の課題を逆算する形で整理し、今の半数の職員でも対応できる仕組みを構築」するというもので、それは今日の地方自治、自治体のあり方を抜本的に見直し再編していくものです。
これを受けて、同月に第32次地方制度調査会が設置され、この内容が諮問されました。
地制調に諮問したということは、その結果を踏まえて法制度改革を行うということです。
私たちも地制調での議論を見極め、内容を検証し、対置政策を示して世論を喚起していくことが必要です。そのため研究所ではまず構想研報告の内容を知らせ、問題点、課題を明らかにしていくことが急務と考え、今回、職場や地域等での学習会向けに標記ブックレットを緊急に発行しましたので1冊送付(贈呈)します。また、皆様には割引単価を設けましたので、普及(490部)にもご協力をお願いします。
なお、ブックレットの表題、目次、報告表題の「自治体戦略2040年構想」は誤記で、正しくは「自治体戦略2040構想」ですので正誤表を入れてあります。
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はじめに 岡田 知弘
自治体戦略2040構想研究会報告の概要と問題点、課題- 角田英昭
1.構想研報告の概要
2.構想研報告の問題点、課題
既刊ブックレットもお手元に!
どこを目指す、自治体戦略2040構想(A5 ・ 24頁) 200円
原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題(A5 ・ 40頁)300円
どこを目指す、公共施設等総合管理計画(A5 ・ 40頁)300円
「いのちの水」をどう守っていくのか!
水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著
A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)
老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から;
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える
川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』
A5 133頁 1600円+税
本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその
後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。
本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。
『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)
A5判110頁 定価(本体1100円+税)
主な内容
日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。
Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用
武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授
B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)
総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業
本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長
A5判110頁 定価(本体1,100円)
日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。
第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ
第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する
第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育
第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする
第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために
改訂新版『地域再生と町内会・自治会』
著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
私は「上原公子」
上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編
国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り 上原公子
第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる
窪田之喜
第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
田中 隆
第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
小川ひろみ
第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
くにたち上原景観基金1万人の会
地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』
岡田知弘・自治体問題研究所編
A5判 216ページ 本体2300円+税
政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。
減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?
人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走
中山 徹 著
国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。
わたしたちにもつとも近い法律の話し
地方自治法への招待
白藤 博行 著
明日に向かう地方自治法と対話しよう!
地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。
高齢期社会保障改革を読み解く
編者 社会保障政策研究会
著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏
安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。
わたしたちの生活はどうデザインされているのか
社会保障のしくみと法
伊藤周平著
社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。
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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)
自治体研究社 定価(本体2,200円十税)
何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。
内 容
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私
中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)
自治体研究社 定価2000円(本体1,852円十税)
人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版)
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!
B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)
財政デザイン研究所代表理事 大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著
●基礎からステップアップまで
決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
財政を学ぶ心構え・分析方法
赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
どこにおカネを使って