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第127号

第127号

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第127号

2019・07・24更新
あゆ祭り (2)

鮎のつかみどり大会=大子町

 奥久慈の夏を楽しむイベント「鮎のつかみどり大会」が開催される。久慈川と押川の合流点に、2000平方mもの広大な特設会場が設けられ、約1万尾の鮎が放流される。花火を合図に一斉にスタート。会場内には鮎の塩焼きサービスもあり、捕まえた鮎をその場で焼いて食べられる。



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100回云っても嘘はウソ

 安倍首相が選挙期間中に、「この6年間、私たちの経済政策によって、働く人、雇用は380万人も増えた。年金の支え手が400万人近く増えたということ。それだけ保険料収入は増えた」とことさらに誇示演説。
 事実はどうか。総務省の労働力調査(年平均ベース)によると、企業や団体などに雇われている雇用者のうち役員を除いた働き手は、第2次安倍政権発足後の2013年から18年までの6年間で383万人増えた。「380万人増」という主張は正しい。
 ただ、増えた働き手のうち55%はパートやアルバイトなど非正規で働く人々が占める。非正規で働く人の多くは所得が少なく、不安定な生活を送っている。総務省が5年ごとに公表している就業構造基本調査によると、非正規で働く人の75%が年収200万円未満だった。この中には学生バイトや主婦のパートも含まれているが、いわゆるワーキングプアにあたる人も一定数いるとみられる。
 首相はこれまで「この国から非正規という言葉を一掃する」と何度も訴えてきたが、役員を除いた働き手に占める非正規雇用の割合は2018年平均で37・9%となり、過去最高の水準になっている。
 非正規雇用が増え続ける一因には、企業が人件費を抑えようと正社員よりもパートやアルバイトを雇ってきたことがある。特に近年目立つのが、非正規で働く高齢者の増加だ。労働力調査によると、この6年間に増えた働き手383万人のうち40%は、パートやアルバイトを中心に非正規で働く65歳以上が占めている。定年後の再雇用でも、賃金など待遇面は現役時代より下がるのが一般的だ。
 加えて、1990年代後半以降、自民党政権が企業の求めに応じて派遣労働などの規制緩和を進めたことも非正規雇用の増加につながった。 秘書や通訳など26業種に限られていた派遣業は、小渕政権下の1999年、建設業や製造業などを除き原則自由になった。さらに、安倍首相が政府・与党の中枢にいた小泉政権では、2004年3月に施行された改正労働者派遣法によって、派遣期間の上限は1年から3年に延び、製造業への派遣労働も解禁された。
 一方、年金の支え手である加入者数は、保険料の納付期間が終了して加入者でなくなる人と新規加入者を出し入れすると、12年度末が6736万人、17年度末が6733万人で、ほぼ横ばいだ。「年金の支え手が400万人近く増えた」かどうかははっきりしない。
 ウソは泥棒の始まりというが、ウソ、ごまかしで票をかすめ取るのは、主権者への侮辱・選挙権侵害で、このうえにある政治は、必ず堕落、腐敗していく。

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遣り残す事なほ多き衣替え
  青嵐豆腐の水を揺らし過ぐ  
裏門は開けることなし竹落葉
  また一つ空き家がゆる合歓の花
水打って今日のはじまる美容院

高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴四十年 元茨城県職員 小貝保育園長、当研究所顧問

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第45回茨城県自治体問題研究所総会開催

自治研究活動の大切さを再確認して進もう 

 茨城県自治体問題研究所の第45回の総会が7月7日(日)つくば市自治労連会館で開催されました。

竹下講演 (2)

 前段記念講演として、自治体問題研究所常務理事竹下登志成さんに「自治体戦略2040構想をどうみるか」(講演概要別掲)と題してお願いしました。  
                  
 はじめに田中理事長から次の要旨での挨拶がありました。

 安倍政権は6年半経過し暴走が続いている。自治体労働者も働き方法が施行された。戦闘機の爆買、北朝鮮問題など山積みしている。
 7月21日の参議選は年金問題や消費税10%値上げが争点である。
 自治体戦略2040、非正規職員の増大、保健所の統廃合問題。大規模公共事業の無駄遣い、東海第2原発再稼働ストップでは、多くの自治体と県民の70%が反対している。
 6月23日まちづくり学校の実施した。
 会員の減少、世代交代のなか、事務局体制の強化により研究の活動を活発にして行きたい。

 来賓挨拶で、茨城自治労連副委員長の廣江さんから連帯の挨拶がありました。

 叶谷事務局長、岡村次長から提案された経過報告、決算、監査報告があり承認されました。
 発言では、穂積さんから昨年開催した「戦争の遺構と平和を語り継ぐまちづくりシンポジウム」およびその後の県土木事務所への要望や北茨城市の取組みについて報告がありました。
 保健所廃止問題(常陸大宮、鉾田、常総)について長山さんから問題提起がありました。
 東海第2原発直下型地震や避難計画の学習会の開催について本田さんから発言がありました。
 飯田さんから①県政に対する評価、LGBTパートナーショップ宣誓制度、②偕楽園有料問題 ③茨城県租税対策再建機構の税の取り立てについて意見がありました。

次の通り役員が、選出されました。
2019年度役員 
理事長  田中重博
副理事長 澁谷敦司 酒井 進(新) 飯田三年 榊原 徹
理 事  池羽路一 石橋英司 佐川泰弘 佐藤英一 白石 勝巳 高木知子 高畑 孝 長山重道 濱野 真 穂積建三 本田精一 山口由夫 山本千秋 渡辺久人(新)
監  事 岩瀬 亮 加藤木 正
事務局長 叶谷 正   同次長 岡村瑞比古
顧  問 秋元喜代二 浅野長増 木戸田四郎 田村武夫 高島 剛 本田忠弘 宇佐神忠捷 川﨑不二男 恵田三郎 今泉 正 山浦五十一 宮田哲雄 川並英二

(文責 岡村)

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茨城研究所45回総会記念講演

竹下 登志成(自治体問題研究所常務理事)

「自治体戦略2040構想をどうみるか―くらしと地域の目から―

 「あなたたちはがんばれば報われると思ってここまで来たはずです。ですが、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。あなたたちが『がんばったから報われる』と思えるのは周囲が励まし、背を押したからこそ。あなたたちのがんばりは、恵まれない人びとを助けるために使ってください」(上野千鶴子・東大学長の入学式での祝辞、4月12日)。

・「年金デモ」「2000万円ためられない!」(6月16日)-「95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要」と試算した金融庁金融審議会の報告書に国民反応!

 
資料

【還暦の貯蓄額】4人に1人(24・7%)が100万円未満。1000万円未満が3分の2。「1億円以上」が8・1%、「5000万〜1億円」が6・9%いるため、平均は2956万円!

所得格差をはやりの例えで言うならば、

「もし地球が10人の村で、まんじゅうが100個あったら、最高所得者の2人が86個を食べて、最低所得者の2人が1個を半分にして食べている」(井上ひさし・生活者大学校講師陣『あてになる国のつくり方―フツー人の誇りと責任』光文社、2002年10月)

1「自治体戦略2040構想研究会報告」(以後「報告書」)-そのねらいは?

 日本の人口が大幅に減っても、多国籍企業が国際競争に勝ち残っていけるよう国土と地域を抜本的につくり変える。→ある事件を取り出して、それを利用して自分たちが日ごろ考える方向にもっていこうという、政府がよく使う手。
→「人口減少時代に合った新しい社会経済モデル」「2040年ごろに迫り来る我が国の内政上の危機を乗り越えるために必要となる新たな施策の開発とその施策の機能を最大限発揮できるようにするための自治体行政(OS)の書き換えを構想する」

 (1) その問題意識は? 山﨑重孝氏「これ以上の市町村合併を進めていくことは、なかなか困難であるというのが実感」だから「今後の改革にはこれと異なる『ネットワーク論』が重要」。→2018年7月8日、第32次地方制度調査会第1回総会での安倍首相の発言。「人口減 少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対処する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について調査審議を求める」。

(2) 具体的な提案は
☆「スマート自治体」=行政の役割を「公共サービスを提供する役所」から「公共サービスを管理する役所」に=市町村とその職員は、船は漕がずにかじ取りだけする。

①AI(人工知能)やロボットで処理できる事務作業はすべてそれで自動処理する。
②従来の半分の自治体職員でも自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みの構築。
③自治体行政の標準化・共通化の推進、標準化された共通基盤を用いたサービス提供体制。

☆公共私によるくらしの維持
①自治体の「プラットフォーム・ビルダー」への転換。→では誰が公共サービスを提供するのか? →「定年後の世代はもちろん、現役世代であっても、一定時間は助け合いの役割も担う『一人複役』が可能となる環境を整備することが必要」であり、「高齢者も含めた誰もが、支える側にも、支えられる側にもなることができる仕組みが求められる」(「報告」「公共私によるくらしの維持」)
→では自治体はなにをするの? 「共や私」を支え、「共や私」が必要な人材や財源を確保できるよう支援と環境整備をする。自分では汗を流さない!
 しかも地域の福祉サービスに必要な資金の確保は? 「社会福祉法人による地域貢献の取組や共同募金の活用、企業又は個人からの寄付拠出の働きかけ等」の取り組みを推進し、市町村は「確保した自主財源等を原資として、主任自立支援相談員や生活支援コーディネーターなどの多職種間での連携・協働を図りつつ、ボランティア等地域住民の参画を促し、単身世帯への見守りや買い物支援、各種制度の対象とならない生活支援サービスなど、地域に不足する社会資源の創出を図るための取組を推進する」(「報告」)。 
②新しい公共私相互間の協力関係の構築。←地域運営組織にかかる認可地縁団体の見直しのほか、新たな地域自治組織のあり方として、「公共組合」と「特別地方公共団体」の法的検討がなされ、「市町村より狭域において、市町村の民主的意思形成過程とは別の意思形成からなる『地域自治組織』」が模索されている(「地域自治組織のあり方に関する研究会」報告書、2017年7月)
③くらしを支える担い手として定年退職者、就職氷河期世代が働ける新たな仕組み、地域を基盤とした新たな法人の創設。

☆圏域マネジメントと二層制の柔軟化
①地方圏の圏域マネジメントの確立。
②二層制の柔軟化、それぞれの地域に応じ、都道府県と市町村の機能が結集した行政の共通基盤の構築。

☆東京圏のプラットフォームの確立
 →これに対する反応
①立谷秀清・全国市長会会長(福島県相馬市長) 「それぞれの市町村で地方創生総合戦略をつくって、自主独立の精神でやっていこう、できるだけ頑張ろうと。まだ3年、4年なのです。その3年、4年で、どうせ駄目だから、圏域という新しいガバナンスをやりましょう。新しい体制を法制化しましょうと、これは今やっている努力に水を差す以外の何物でもない」「今、地方創生の努力の成果もまだ検証できないうちに、どうせあなた方は2040年にだめになるという議論が果たして適切かどうか、これは大臣に十分お考えいただきたい」。
 「地方分権という考え方のもとに地方の将来を議論しようとしているときに、この研究会には地方の代表がまったく入っていない。これはおかしな話だ」。
②荒木泰臣・全国町村会会長(熊本県嘉島町長) 「上からの押し付けではなく、選択可能な制度や仕組みがいろいろ準備され、その中から自治体が主体性をもってこれだというものを選択し、実行できることが何よりも重要だ」。
③桜井正人・全国町村議会議長会会長 「国を大樹に例えるならば、国民は肥沃な土壌だ。町村は大樹を支え、土壌から水や養分を送る『根』の役割を担っている。政府においては(市町村)合併の推進や道州制の導入といった行政効率のみを優先した政策によって、自らの根を打ち切ることだけは絶対にないようお願いしたい」。

2 公務員の「働き方改革」は「働かせ改革」=会計年度任用職員制度の採用

 ・安倍内閣の「働き方改革」は、①同一労働同一賃金の実現、②地用時間労働の解消、③高齢者の就業促進、であったはずが? 経団連『新時代の「日本的経営」』(1995年)の方向へ 
 ①市場動向に素早く対応するための雇用システム、②終身雇用を解体し、有期雇用を増やすための「雇用ポートフォリオ(雇用形態の多様化)」、③年功型慣行を止め成果・実績主義の推奨=非正規雇用の急増と成果主義の広がり→こうした流れを公務員の分野にも適用しようとするのが「公務員制度改革大綱」の決定、任期付き職員法の施行。公務員の「働かせ方」をフレキシブルに!
・会計制度任用職員制度とは?(2017年5月法制化)
「会計年度」限り(単位)有期雇用される職員の登場、非正規公務員の公認
・臨時・非常勤地方公務員は64万人(2016年4月の総務省まとめ)、全総数の19・6%と言われるが、全職員の半数を超える自治体も。
・「会計年度任用フルタイム勤務職員」と「会計年度任用パートタイム勤務職員」の登場
 →これまで常勤職員がしていた仕事を会計年度任用職員がするようになったとたん、その仕事が「非常勤のしごと」になってしまう→限りのない非正規化の進行
「組織の管理・運営自体に関する業務や、財産の差し押さえ、許認可といった権力的業務」(総務省「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」)以外は非常勤職員で? 
 
3 地域経済はどうなる?

 令和という元号になって初めての国賓としてやってきたトランプ大統領の訪日の目的-安保と貿易交渉、経済交渉でアメリカ側は自由貿易交渉として22項目を要求。安倍政権側は「日米物品貿易交渉」であると主張。
・国際経済の環境と地域経済―TPP11が12月30日に発効、EUとのEPA(経済連携協定)も発効
トップ会談で決めていく。日米FTAは外交的な主権がほとんど発揮できない事態。

4 地 域

・部分的一点突破型開発-ディベロッパーの開発ごとに容積率の緩和をしてきた結果、環境・保育園・小学校はどうなるのか。住みづらい地域が出現。武蔵小杉のタワーマンション
・第二次国土形成計画がつくられて―首都圏の国際競争力の強化を目的に、国家戦略特区を活用した膨大な規制緩和、オリンピックを目標にしたインフラストラクチャー整備が進んでいる。東京一極集中を放置、東京一極集中は「歯止めがかかるような状況とはなっていない」と認める。
・地方はどうなる? 人口が大幅に減っても生き残れるように―「コンパクトシティ」。まちを縮小できれば限られた財源でも運営できる、という考え方。「立地適正化計画」「公共施設等総合管理計画」
・連携中枢都市圏―経済対策を中心に集中させ、人口減で財政的に厳しくなる周辺自治体の介護保険や義務教育を中心市に依存させる。
・中山間地域―コンパクトシティのミニ版=「小さな拠点」-学校や診療所といった公共施設、道の駅やガソリンスタンドといった商業施設を集める。周辺は公共交通網の整備で。
・地域運営組織―商業施設が撤退するような過疎地では、住民自らガソリンスタンドなどを運営する。NPOや企業も含めた新しいコミュニティ組織をつくる。自らビジネスで財源を手当てして、財政的にも行政から独立していくべきだ。
・政府の「ひと・まち・しごと創生会議」、2020〜40年度の「基本方針」骨子案公表(5月20日-「将来的な地方移住にもつながる『関係人口』を創出・拡大」を新たな視点に掲げた。

〇ロボット
〇人口減少→ヨーロッパ諸国の人口増対策に学ぶ

7月の 川柳

38線越えて非核の鐘ならし
  G20はしゃいでみたが実が成らず
2〇〇〇万かついでみたい夏の夢
  不公平令和安保に立つけむり
返したいけど持っていない免許証
  漂着は昔椰子の実今はプラゴミ
原発はもう沢山と啼くカラス
  年金に火がつき消防隊も逃げ
若稲の田をかけて行く青い風

 
 

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

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イラスト1


第61回 自治体学校 in 静岡 2019年7月27日(土)・28日(日)・29日(月)
こちらhttps://www.jichiken.jp/events/190727-gakko-61/

新刊紹介
疾病に苦しむ人が、だれでも、どこでも、いつでも無償で医療が受けられる社会を求めて!
『医療保険「一部負担」の根拠を追うー 厚生労働白書では何が語られたのか』 

芝田英昭著
A5判・並製カバー・180頁 定価(本体1800円+税)

 
 1962 年以降の皆保険体制の下、日本の医療保険は大きく発展してきた。しかし、国庫負担、患者の一部負担は、「厚生労働白書」から読み取れるように、時々の経済情勢、財政的制約から導き出されたものであり、決して人権思想が反映された結果とは言えなかった。今、国民から求められているのは、基本的人権を基軸にした社会保障の構築であり、その基礎にあるのが、人間の尊厳であり人権思想なのである。
 疾病に苦しむ人はたくさんいる。そのだれもが、いつでも、どこでも、無償で医療が受けられる社会の実現に向けて、「権利としての社会保障」の観点から論究する。

プロローグ●健康は自己責任か
第1章●医療保険「一部負担」の意味とは
①医療保険における一部負担の制度的根拠 
②社会保障審議会等の歴史的文書に見る医療保険における一部負担の考え方
第2章●『厚生労働白書』(『厚生白書』)に見る医療保険「一部負担」記述の変遷
1950年代厚生白書/1960年代厚生白書/1970年代厚生白書/1980年代厚生白/1990年代厚生白書
2000年代厚生労働白書/2010年代厚生労働白書
第3章●医療保険一部負担に関する先行研究
①厚生労働白書は医療保険「一部負担」の根拠を示せたか ②モラルハザード、濫用防止は心理的圧力 ③医療サービスは「私的財」なのか
第4章●一部負担の受診抑制と世界のトレンド
①一部負担と受診抑制 ②一部負担増による受診抑制の研究事例 ③一部負担無料化の意義
第5章●医療保険の保険料・一部負担の未来展望
①社会保険に一部負担は必要か ②国保保険料の応益割と保険料上限の廃止 ③健康保険における標準報酬月額の上限を撤廃すべき ④健康保険から排除される被用者と無保険問題
第6章●人権としての社会保障と能力の共同性
①社会保障を考える基本的視点としての尊厳と人権 ②人間の尊厳の要素としての人格 ③日本国憲法に見る社会保障と人権 ④能力の共同生から社会保険料応能負担の根拠を考える

問い直そう税金―消費税増税ではない別の選択肢がある! 
鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』
              A5判 定価(本体1000 円+税)

 税の目的、仕組みと問題点、改革の方向について入門的に解説し、わが国の税制全体を問い直すことで、消費税増税ではない別の選択肢があることを明らかにします。

本書を推薦します 白藤博行氏(専修大学法学部教授)

 法律の世界では、租税法律主義といって、納税者の権利を守る大原則があります。でも、私たちは、日ごろ税の中身のことをどこまで考えているでしょうか。消費税が上がるといっても、「またか」で終わっていませんか。私たちは、公共サービスを受給する権利がありますが、税を公平に負担する義務もあります。ですから税
の集め方や使い道を、主権者としてしっかりと考えなければなりません。

 私たちは居酒屋でビール1 本の追加を迷っていますが、何百兆円もの「内部留保」がある大企業は、労働者に相応の賃金を払い、まっとうな法人税を納めているのでしょうか。主権者の税への無関心は、悪政を助長します。「税のバイブル」である本書を読んで、賢い主権者・納税者になりましょう。

準新刊

『公契約条例がひらく地域のしごと・くらし』
働く人の労働条件・事業者の経営環境・地域産業振興を一体で改善するみち

永山利和・中村重美著

A5判/定価(本体2000 円+税)

 公共工事や公共サービスの低価格受注が広がり、疎漏工事や官製ワーキング・プアが問題となってきた。
この課題を解決する公契約条例の意味と実際(世田谷区・野田市など)を紹介する。

世田谷区長・ジャーナリスト 保坂展人とさん推薦
 8年がかりの粘り強い運動により区議会全会一致で成立した世田谷区公契約条例は2014 年に成立後も改善と進化を遂げていく。2019年には労働報酬下限額を1,070 円とする。全国に拡がる公契約条例の基礎から今後の課題等必携の一冊。

『新版 自治体の財政』 
まちの財政のしくみを分かりやすく解説! 自治体財政入門書

初村尤而著(都市行政コンサルタント)
   A5判 定価(本体2000円+税)

 暮らしのなかのお金の流れに注目して、予算書・決算書を読みます。公共サービスのあらましをたどって、歳入・歳出のしくみを解説します。そして、地方交付税、基準財政需要額や財政健全化指標、企業会計など自治体財政に欠かせない用語も分かりやすく説明し、数字に隠れた市民生活や地域の現状へといざないます。
主な内容
第1章 私たちの暮らしと財政
第2章 予算書、決算書を読んでみよう
第3章 歳出(経費)のしくみ
第4章 歳入(財源)のしくみ
第5章 さまざまな自治体財政
第6章 地方公営企業のしくみ
第7章 わがまちの財政健全度を量る指標
第8章 自治体財政のあり方を考える
終 章 財政数値との向き合い方

「自治体戦略2040構想」と地方自治

白藤博行・岡田知弘・平岡和久著 

A5判/定価(本体1000 円+税)

 アベノミクスの失敗で疲弊が続く地方。住民のいのちと暮らしを守る市町村の役割が再認識されている。
 ところが、政府は、連携中枢都市圏(や定住自立圏)のような「圏域」を地方行政の単位として法制化し、住民サービスも自治体間で「標準化」「共通化」「広域化」しAI やロボットそして民間企業に任せ、公務員は半減させるなど、地方自治を骨抜きにすることを狙っている。これらは、「自治体戦略2040 構想」という研究会報告として公表され、法制化への議論とともに、地方財政政策などを通じて具体化も始まった。
 本書では、「自治体戦略2040 構想」とは何か、地方自治の姿をどう変えると予想されるのか、憲法と地方自治法が示す自治の視点から見たときに何が問題となるのかについて、解説する。

「豪雨災害と自治体 防災・減災を考える」

A5判・並製・160 頁/定価(本体1600 円+税)

 豪雨災害はどのように発生し、どう対応すべきか?
 毎年のように豪雨災害が猛威を振るっている。その原因・メカニズムを気象学、被害の拡大を地質学から追究し(寺尾徹、田結庄良昭)、2018 年の豪雨が各地にどのような災害をもたらしたか、現地からの詳細な報告を収める(磯部作、越智秀二、村田武、山藤篤、松岡淳、小淵港、田結庄良昭、池田豊)。そして、このような災害に対して自治体はどう対応すればよいのか、防災と減災の視点から問う(室崎益輝、塩崎賢明、有田洋明)。

「水道の民営化・広域化を考える(改訂版)

尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー184 頁/定価(本体1700 円+税)

 改正水道法成立!「いのちの水」をどうする。2018 年12 月6 日、改正水道法が成立した。多くの庶民の疑問、マスメディアでの反論をものともせず、既定方針のように審議を通した。水道が生き残るには、民営化、広域化しかないのか。すでに、各地で起こっている「水」めぐる民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくか多角的に考える。

『人口減少時代の自治体政策 市民共同自治体への展望』

中山 徹(著)

発行年月日:2018/11/15  1,200円+税  A5 112ページ

 人口減少に歯止めがかからず、東京一極集中はさらに進む。自治体そのものを見直そうとする「2040構想」も始動した。こうしたなか、保守と革新の共同による「市民共同自治体」の動きも出始めている。地域が大きく再編されようとしている今、市民と地域を守るためにはどうしたらよいのか。「市民共同自治体」を提唱して、市民のニーズを政策に活かす方法を考える。

目次
はじめに
 1章 新自由主義による国土・地域・コミュニティの再編
  なぜ国土・地域・コミュニティの再編なのか
  再編の具体的内容とそれを進める政策
  自治体再編の方向性
  再編のコンセプトと進め方
 2章 自治体の動向と市民共同自治体への展望
  開発型自治体と削減型自治体
  市民共同自治体の誕生
  市民共同自治体の展望
 3章 市民共同自治体の政策
  政策の基本的な枠組み
  すべての主要施策に格差是正を貫く
  地域のまとまりをどのようにして創り出すのか
  行政責任を明らかにする
  なぜ市民参加が重要なのか

原発再稼働と自治体
―民意が動かす「3つの検証」― 新潟県はその出口を探す先頭に立っている
立石雅昭・にいがた自治体研究所編

A5判 定価(本体1200 円+税)

 福島原発事故から7 年半。控えられていた原発の再稼働が復活してきているが、それでも再稼働はスムーズに進んでいるとは言いがたい。それは、国民の過半数が原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論が強く根を張っているためである。世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は「3 つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げて福島原発事故の検証を行っている。その活動の意味を問う。

序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること 池内 了
1 新潟県検証委員会の活動の意味 大矢健吉
2 技術委員会の検証―明らかにしてきたことと引き続く課題 立石雅昭
3 原発事故による避難(新潟県内避難者)生活の現状と課題 松井克浩
4 原子力災害がもたらした避難(福島県相双地区)生活の実態  丹波史紀
5 避難計画をめぐって 佐々木寛
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質 石崎誠也
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済 保母武彦

どこを目指す !! 自治体戦略2040構想
― 研究会報告の概要と問題点、課題 ―

A5版・24頁  定価250円(地域研卸単価200円)

地域研の皆様へ
 地域研の皆様には日頃から大変お世話になっています。
 さて、自治体戦略2040構想研究会の最終報告が7月に公表されました。構想研は「2040年頃をターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方を検討する」として2017年10月に設置された総務省の有識者研究会です。
 その趣旨は「高齢化がピークを迎え、若い勤労者が激減する2040年頃の姿から自治体の課題を逆算する形で整理し、今の半数の職員でも対応できる仕組みを構築」するというもので、それは今日の地方自治、自治体のあり方を抜本的に見直し再編していくものです。 
 これを受けて、同月に第32次地方制度調査会が設置され、この内容が諮問されました。
 地制調に諮問したということは、その結果を踏まえて法制度改革を行うということです。
 私たちも地制調での議論を見極め、内容を検証し、対置政策を示して世論を喚起していくことが必要です。そのため研究所ではまず構想研報告の内容を知らせ、問題点、課題を明らかにしていくことが急務と考え、今回、職場や地域等での学習会向けに標記ブックレットを緊急に発行しましたので1冊送付(贈呈)します。また、皆様には割引単価を設けましたので、普及(490部)にもご協力をお願いします。
 なお、ブックレットの表題、目次、報告表題の「自治体戦略2040年構想」は誤記で、正しくは「自治体戦略2040構想」ですので正誤表を入れてあります。

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    はじめに  岡田 知弘
    自治体戦略2040構想研究会報告の概要と問題点、課題- 角田英昭 
    1.構想研報告の概要 
    2.構想研報告の問題点、課題

既刊ブックレットもお手元に!      
どこを目指す、自治体戦略2040構想(A5 ・ 24頁) 200円   
原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題(A5 ・ 40頁)300円   
どこを目指す、公共施設等総合管理計画(A5 ・ 40頁)300円   

「いのちの水」をどう守っていくのか!

水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)

 老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える

川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』

A5 133頁 1600円+税

本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。

 本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。

『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
         

本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)

A5判110頁 定価(本体1100円+税)

主な内容
 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。

Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用

武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授

B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)

 総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
 地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
 地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
 グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
 財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
 合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
 国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業                            

本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長

A5判110頁 定価(本体1,100円)

 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。

第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ

第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する

第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育

第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする

第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために

改訂新版『地域再生と町内会・自治会』

著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司

   
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
 私は「上原公子」

上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編

 国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
 第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り   上原公子
 第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる  
 窪田之喜
 第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
 田中 隆
 第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
 小川ひろみ
 第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
 年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
 くにたち上原景観基金1万人の会

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使っているの?(歳出のしくみ): 目的別と性質別/「充当一般財源等」

『公共施設の統廃合・再編問題にどう取り組む-計画づくりから本格実施へ-』

角田英明
A5版・32頁 一般普及300円(地域研・自治労連割引単価200円)

 全国の自治体では、現在、公共施設等総合管理計画づくりが急ピッチで進められています。
 既に2015年度末までに全国30道府県、15指定都市、396市区町村でつくられ、今年度末にはほぼ全自治体で策定されます。これはこれまでのような個別施設の更新、統廃合に止まらず、公共施設全体を中長期的な視野に立って全面的に見直し、再編していくものです。そのため国は、公共施設等の解体撤去や公共施設の集約化・複合化、転用等に係る財政措置を講じて各自治体に計画の策定と実施を迫っています。同時に、この計画は「地方創生」戦略や市町村合併、指定管理者制度などと一体的に進められています。
 本書では、こうした状況を踏まえ、政府施策や各自治体の計画内容、今後の取組みの課題、方向を検討しました。皆さん方の活動に活用していただければ幸いです。

はじめに 
 1.いま、なぜ、公共施設の統廃合・再編か 
 2.計画の策定・推進に向けた政府の対応 
 3.各自治体の計画づくりと実施方針(秦野市 さいたま市 相模原市)
 4.今後の取り組みの留意点と課題 
 5.「地方創生」総合戦略と一体的に推進 
 6.市町村合併の中で進む公共施設の統廃合・再編 
 7.指定管理者制度における公共施設の再編問題 
おわりに

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