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2023/12

2023/12

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2023年12月


原発問題(東海第二原発関係も含む)

原発問題(東海第二原発関係も含む)

東海第二、放射性物質拡散なら 最大17万人が避難対象 原電が試算 (11.29 朝日)

 首都圏唯一の商業炉で、半径30キロ圏に全国の原発で最多の約92万人が暮らす日本原子力発電東海第二原発(出力110万キロワット)について、事故時の放射性物質の拡散予測を、茨城県が28日公表した。県の依頼で原電が試算した。試算は、30キロ以内で、避難が必要になる区域が最大になる事故といった条件をもとに、原電が実施した。県によると、避難計画の実効性の検証を目的として自治体が電力会社に試算を求めたのは全国で初という。
運転中に炉心がメルトダウンする事故を想定し、代替電源やポンプ車、放出する放射性物質を減らすフィルター付きベント装置などの非常用設備が使えた場合と、ポンプ車以外が使えなかった場合について、風向きや気象条件を変えてそれぞれ11通りずつ計22通りを公表した。
5キロ圏の住民(東海第二では東海村など約6万4千人)は予防的にすぐに避難する。5~30キロ圏の住民は原則、屋内退避。線量の実測値から、すぐに避難するか、1週間以内に避難(一時移転)するかを判断する。試算によると、非常用設備が使えた場合は5~30キロ圏は避難の基準に達しなかった。
一方で、ポンプ車以外が使えなかった場合は、南西方向の風向きで、長雨の時に5~30キロ圏の那珂市とひたちなか市で最大約10万5千人の避難(一時移転)が必要になった。5キロ圏の約6万4千人と合わせ、約17万人が避難対象になるという。ただ、県によると、試算の条件は避難の範囲が30キロ以内に収まることが前提で、最悪の想定ではないという。県の担当者は「ポンプ車も使えない場合などを考えれば、避難が必要な人数は30キロ圏を超えてさらに増える可能性もある」と述べた。

東海再処理施設の新しい溶融炉の運用試験 原子力規制委が視察 (12.3 朝日)

使用済み核燃料の再処理で生じた高レベル放射性廃液のガラス固化作業でトラブルが相次いでいる日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(東海村)を、原子力規制委員会が11月30日に視察した。トラブルを踏まえて形状を改良した新たな溶融炉を2024年度末までに導入する予定で、その運用試験などを確認した。
この施設は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す日本初の再処理施設で、1981年に本格運転が始まった。ただ、運転には巨額の費用がかかることなどから2014年に廃止措置が決まった。
原子力機構によると、今年10月末時点で378立方㍍の廃液が残っている。廃液の処理としてガラスと混ぜて固める固化作業を進める。28年度に終える方針だが、トラブルが相次ぎ、作業の中断を繰り返している。
これを受け、規制委は9月、廃止措置に向けた全体計画の見直し案を12月に開く会合に提出するよう求めている。新たな溶融炉は、ガラスが堆積しないよう底部の形状を四角錐から円錐に変更するなどの改善をしたという。基本構造は従来の炉と同じで、48時間で300キログラムほどのガラス固化体1本ができるという。
放射性物質を含まない模擬廃液を使った溶融炉の運用試験を視察した規制委の田中知委員は「しっかりした対応をしていることが分かった。今回の視察も踏まえ、今後の議論や意見交換がより実効的になっていくことが必要だ」と述べた。

原発避難 不足は12.5万人分 県が議会答弁 (12.14 朝日)

 東海第二原発(東海村)事故の際に30キロ圏内の92万人が避難する場合について、県防災・危機管理部の山崎剛部長は13日の県議会で「現在さらに必要となる避難所(避難先)は12万5千人分となっている」と答弁した。不足している避難先の規模が明らかになったのは初めて。今後、県は避難先の確保に向けて検討を進める。
 県は従来、避難所での1人あたりのスペースについて2平方㍍を目安としてきた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受けて災害時の避難のあり方に見直しを迫られ、密を避ける観点から目安を3平方㍍とする方針を2021年9月に示していた。1人あたりの避難スペースが広がり、新たに避難所を確保する必要がある。この日、山崎部長は避難先の不足分を13万8千人分と説明。このうち、年内に広域避難計画の策定を目指す東海村の1万3千人分については新たに避難先を確保できる見通しになり、最終的に不足分が12万5千人分と示した。
 答弁では、今後について「公的施設だけではなく、民間企業や他県などにも協力を頂けるよう要請していきたい」と述べた。

早期再稼働の請願採択 東海第2 村議会が賛意 (12.16 茨城)

 東海村議会は15日、日本原子力発電東海第2原発の早期再稼働を求める請願2件を賛成多数で採択した。2011年の東日本大震災で被災して運転停止後、村議会が再稼働に賛成の意思を示すのは初めて。今後、国に再稼働を求める意見書を提出する。同時に、再稼働反対を求める請願3件も審議したが、いずれも賛成少数で不採択とした。
 採択された請願は21年、村商工会と村環境整備事業協会がそれぞれ提出した。温室効果ガスの削減や地元経済の活性化のためとして、早期再稼働を国に求めるよう促した。
討論で、賛成した議員2人は「(温室効果ガス排出量が実質ゼロの)カーポンニュートラルの実現やエネルギーの安定供給のため必要」「安全対策工事の進展で、多くの人が来て地元経済に良い影響が出ている」などと主張。
反対した議員は、東京電力福島第1原発事故を念頭に、「原発事故の被害は甚大。環境は破壊され、住民の生存権や人格権が脅かされる」と訴えた。別の議員は東海第2の防潮堤工事の施工不良や敷地内で火災が相次いでいる問題に触れ、「(事業者に)原発を動かす資質があるのか疑問」と述べた。
採決は議長を除く15人で行われ、再稼働を求める請願は最大会派「新政とうかい」の議員ら9人が賛成、公明2人は棄権した。議会後、山田修村長は取材に「議会の判断として尊重する」と述べる一方、再稼働に同意するかどうかについては明言しなかった。
 東海第2は運転停止となった後、18年に原子力規制委員会の新規制基準審査に合格。21年には水戸地裁が避難計画の不備を理由に運転を認めない判決を言い渡した。

再稼働の請願採択 東海第二 村議会が意思表明 (12.16 朝日)

 東海第二原発(東海村)の早期再稼働を国に求める2件の請願について、東海村議会は15日の本会議で、賛成多数で採択した。国に再稼働を求める意見書も可決し、年内に国に送付する。村議会が再稼働を求める姿勢を示すのは、2011年3月の東京電力福島第一原発の事故後、初めて。再稼働に反対するなどの請願3件は採択されなかった。
 採択された請願は21年に村商工会などが提出。震災後は停止したままの東海第二に触れ、「売り上げ減少などの厳しい状況が続いている」などとし、国に早期再稼働を求める意見書を出すことを求めていた。村議会では、東海第二をめぐって出された計5件の請願について、請願者から直接意見を聞いたり、国の担当者から原子力政策の説明を受けたりするなど議論を古い請願では2年以上続けてきた。
 だが、議論が進められる間に、政府は、原発の新規建設や60年超の運転を認める「GX(脱炭素化)実現に向けた基本方針」をまとめ、大きく政策を転換させた。東海第二の再稼働も進める構えだ。今回、再稼働を求める請願に賛成した村議は「妥当な結果だ。国の政策にも合致しており、後押しだと感じた」と述べた。
 本会議の討論は割れた。再稼働に賛成する議員は、脱炭素やエネルギーの安定供給を確保するためとして必要性を訴えた。「明らかに工事量、流入人口が増加し、村内経済に良好な状況になってきている」と話した。一方、反対した議員は、広域避難計画は公表の目安が示されただけで、計画が実際の役に立つことは一切証明されていないと強調。「事故が起こった時は大混乱を極める」と訴えた。
議会の閉会後、山田修村長が報道陣の取材に応じた。山田村長は「現時点の議会はそういう判断をしたということで尊重したい」と述べた。

東海再処理、目標延期 廃液固化 完了38年度末 (12.21 茨城)

 日本原子力研究開発機構は20日、廃止措置中の東海再処理施設(東海村)で、高レベル放射性廃液をガラスで固める作業の完了時期を現計画の2028年度末から38年度末に10年延期すると発表した。固化作業は機器トラブルなどで中断を繰り返し、時期の修正を迫られていた。原子力規制委員会に報告した。

廃液のガラス固化 作業完了は38年度 東海再処理施設7~10年延期 (12.22 朝日)

 日本原子力研究開発機構は廃止措置中の「東海再処理施設」(東海村)について、高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固める「ガラス固化作業」を終える時期が2035~38年度になる見通しを明らかにした。これまでの計画では28年度の完了で、7~10年延びることになる。
 施設には、再処理で生じた高レベル放射性廃液378立方㍍(10月末時点)が残っている。この廃液は、冷却機能が失われると沸騰し、水素爆発する可能性がある。大量の放射性物質が外部に出る恐れもある。ガラス固化作業は、原子力規制委員会がリスク低減目的の特例措置として許認可前に容認。原子力機構は16年から作業を始め、28年度に終わる予定だったがトラブルが相次いで作業の中断を繰り返していた。規制委は今年9月の会合で、工程の見直し案を提出するよう求めていた。
 東海再処理施設は、1981年に使用済み核燃料からブルトニウムを取り出す日本初の再処理施設として本格運転が始まった。2007年までに使用済み核燃料1140トンを再処理したが、施設の老朽化や運転を続けるために巨額の費用がかかることなどから14年に廃止することが決まった。

東海村が避難計画策定 原発の重大事故に備え 県南3市の134施設に (12.28 朝日)

 日本原子力発電東海第二原発の重大事故に備え、立地の東海村は27日、広域避難計画を策定し、公表した。国は原発30キロ圏内の自治体に広域避難計画の策定を義務づけており、県内で対象となる14市町村のうち6つめの策定自治体となる。ただ、どのように避難するかも含めて不確定な点は多い。
 村の人口は約3万8千人。事故の際は80キロ以上離れた県南の取手、守谷、つくばみらいの3市に、全員が避難することになる。避難所の数は134。このうち民間施設は18ある。村は2016年の広域避難計画案で3市を避難先と決めた。だが新型コロナの感染拡大に伴って県は避難所での1人あたりのスペースを広げる方針を示した。このため避難所数は当初案の70から倍近くに増えた。避難は、住民がどの避難所に避難するか事前には決めず、3市にある避難経由所に向かってもらい、到着後に避難所を指定する「ターミナル方式」だ。
 この日、国や県の担当者が参加した村防災会議で計画を協議し、了承された。また、村は研究用原子炉など複数の原子力施設を抱えており、これら施設ごとの原子力災害に備えた計画も了承された。
しかし、避難の際の移動方法は、それぞれが車で移動したり県が用意するバスに乗ったりとさまざまな想定がされる。県によると、バスは50人乗りで数百台が必要になるという。事故時は他の自治体でもバスが必要になることも考えられ、バスや運転手を確保できるのか。この点について山田村長は「東海村だけでは対応できない。県や国が入った議論の中で、まとまるもの」と話した。
 方法は、それぞれが車で移動したり県が用意するバスに乗ったりとさまざまな想定がされる。県によると、バスは50人乗りで数百台が必要になるという。事故時は他の自治体でもバスが必要になることも考えられ、バスや運転手を確保できるのか。この点について山田村長は「東海村だけでは対応できない。県や国が入った議論の中で、まとまるもの」と話した。

原子力施設ごとに異なる対応

 原発以外の原子力施設で事故が起きた場合は、動き方が異なる。村には日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所や核燃料サイクル工学研究所と、原子燃料工業の東海事業所や三菱原子燃料がある。事故に備え、屋内退避や住民避難誘導の計画も策定した。
 原子力科学研究所の事故の場合、対象は全村民になり、常陸太田市や高萩市などに避難する。三菱原子燃料の事故の場合は、対象は約7千人となり、避難先は村内や日立市などと決められ、対応が複雑だ。村によると、地区ごとに避難先が異なるといい、「地区ごとに丁寧に伝えていきたい」としている。

地方制度・自治体論・地方自治一般

自民派閥 パー券還流、不記載 裏金か (12.2 茨城)

 自民党派閥の政治団体による政治資金パーティーを巡る問題で、安倍派(清和政策研究会)がパーティー券の販売ノルマを超えて所属議員が集めた分について、議員側に還流させるキックバックを続けてきたとみられることが1日、関係者への取材で分かった。政治資金収支報告書に記載されず、2022年までの5年間で1億円以上が裏金になった可能性がある。東京地検特捜部は、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いでの立件を視野に調べる。
 政治資金規正法違反の不記載罪などの時効は5年。罰則は禁鋼5年以下または罰金100万円以下と定められている。
 この問題を巡っては、神戸学院大の上脇博之教授が東京地検に自民5派閥に関する告発状を提出。各派閥の会計責任者らがパーティー券の収入を記載しなかった疑いなどがあるとしている。

行政手続き「動く市役所」で 笠間市 (12.4 朝日)

 笠間市は「動く市役所サービス」を始めた。デジタル端末を載せた車両で地域に出向き、高齢者や障害者が市役所まで足を運ばなくても、オンラインで各種の行政手続きや相談をすることができる。
ワンボツクス車のなかに机や椅子があり、机の正面に大型画面、机の上に手元を写す小型カメラを備えている。利用者は椅子に座り、大型画面を通して市の担当者とやり取りしたり、小型カメラで手元に置いた申請書類などを映し出して記入方法を教わったりする。
 10月17日から運用を始めた。市役所から15キロほど離れた福原地区をモデル地区とし、地域交流センターに週1回(火曜の午前10時~午後3時)出向いて住民に対応している。
 企画政策課の片岡昌之さんは「マイカーはあっても『交通量の多い市役所までの運転は自信がない』という高齢者もおり、どのような使い方が適しているかをつかんで運行エリアを広げたい」と話している。
 市の人口は7万人あまりで高齢化率は約33%。単身の高齢者世帯は約2600世帯、夫婦など高齢家族のみの世帯も約2700世帯にのぼる。 一方で面積240平方キロは県内44市町村で5番目に広い。高齢者らへのきめ細かな行政サービスをいかに行うかが課題となっており、今回の移動行政サービスを導入した。

市政の課題解決へ 専門的知見を拝借 (12.14 朝日)

 かすみがうら市は「政策ァドバイザー」制度を新設した。市の施策立案や課題解決に関して、専門的な識見や経験を持つ人から指導や助言を得て、市政に反映させるのがねらい。「福祉」「観光」「子育て」の3分野に4人が委嘱された。市長や担当部局の求めに応じて随時活動する。委嘱式は11月21日にあった。
 福祉分野「やさしいまちづくリアドバイザー」として県障害者カヌー協会代表の朝日省一さん(51)=同市=、観光分野「おもてなしァドバイザー」にファミリーレストラン「ビッグボーイジャパン」社長と「ココスジャパン」取締役を歴任した稲葉匡さん(68)=同市=、子育て分野「子育て応援アドバイザー」には一般社団法人「子育てネットワークままもり」=守谷市=代表理事の富下嘉代子さん(52)と副代表理事の柳澤留美さん(47)が、それぞれ就いた。
 宮嶋謙市長は「公共施設整備でのバリアフリーやキッズスペースのあり方、新しい観光施策の立案、予算編成など折に触れてお知恵を拝借したい」と期待する。

エリザベスさんに在留許可を (12.16 朝日)

 牛久市に住み難民認定を申請中のエリザベスさん(55)について、牛久市議会は15日、人道的理由で日本にとどまれる「在留特別許可」を与えるよう国に求める意見書を賛成多数で可決した。首相や法相らに近く提出する。
議会事務局によると、同市議会で難民申請者の在留許可に関する意見書の可決は初めて。
 オブエザ・エリザベス・アルオリウォさんはナイジェリア出身。故郷の悪習である女性器切除を逃れて出国し、1991年に初来日した。不法滞在が理由で2011年と16~17年の計20カ月、入管施設に収容されたが、現在は収容を一時的に解かれた「仮放免」の身だ。17年から難民として認定されるよう2度目の申請をしている。
 6月の入管法改正で、3度目以降の申請者は原則的に強制送還されることになった。エリザベスさんは2度目の難民申請が不認定となれば強制送還の対象となる。このため支援団体が1247人の署名を添えて、特別な事情がある場合などに法相の裁量で滞在や就労などを認める在留特別許可を求める請願を市議会に提出していた。

最賃未満の正規公務員、7自治体 (12.20 しんぶん赤旗)

 神奈川県労働組合総連合は、自治体労働者の労働条件改善などを求めて、県内すべての自治体と懇談した結果を発表した。懇談は2005年から毎年取り組む活動で、事前にアンケートを実施し、▽正規・非正規の職員数など雇用実態▽賃金など労働条件▽公契約条例―などについて文書回答を得て、11月に各自治体の人事・契約関係部署の職員らと懇談した。
 懇談で重点的に求めたのは▽最低賃金の改定に伴う非正規職員全体の賃金引き上げ▽非正規職員への正規職員に準じた勤勉手当や月例給の4月にさかのぼっての支給▽地域手当の見直し▽公契約下の賃金調査や適正な賃金の実現―など。
 公務員には最低賃金法が適用されず、高卒の正規職員の初任給が時給換算で県の最低賃金を下回る実態があり、神奈川労連の計算では、今年度の賃金改定などを反映させても7自治体で下回る結果だった。これを改善しようと自治体が独自に国の基準を上回る地域手当を支給した場合、国は特別交付税を減額しています。同労連は「″ペナルティー〃覚悟で引き上げるところもあるが、財政的に負担が大きく、『自治体の独自性を損なう』との意見も出ている」と批判。
 今後、国に対し最低賃金法を公務員にも適用し、ペナルティーはやめるよう、全労連とともに求めていくと述べた。

予算・税・財政 

これでいいのか ふるさと納税「プレミアム大還元祭」「得トクキャンペーン」(12.20 毎日)

 年末を迎え、ふるさと納税仲介サイトは「納税」をあおる。2023年度のふるさと納税は、初年度の約120倍に上った。加熱する返礼品競争、規制を総務省と自治体のイタチごっこ。「官製カタログショッピング」に群がる利用者…。これでいいのか ふるさと納税。
 大都市と地方との税収の地域格差解消が期待されてスタートした。しかし、地方は都会の住民の税金を「横取り」して財源にできると前のめりになった。国は甘く見ていた返礼品のPR合戦が始まった08年度の全国の寄付額は約81億円に上った。返礼品競争はさらに過熱する。都市部の住民が感じて地方を支援するという創設の狙いからかけはなれていく。15年度の全国の寄付は前年の4倍以上に膨れ上がった。
 激化する競争を見かねた総務省は、返礼品を「換金性の高い商品券や電子機器などを除外」「還元率上限を寄付額の3割以下に」「地場産品に限定」―と次々に通知。しかし、要請に応じない自治体が200近くあり19年には地方税法を改正し法律で縛る。規制に違反した自治体は制度から除外し、税優遇措置を受けられなくなる仕組みを導入した。除外された4市町は「一方的な条件の押し付け」「地方自治の侵害」と反論。法廷で争う事態にまで発展した。
 厳しい規制に抗して自治体は知恵を絞る。

24年度予算案 賃上げ重点112兆円 国債費過去最大 (12.23 茨城)

 政府は22日、2024年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出(支出)総額は過去2番目の規模の112兆717億円。防衛と社会保障に加え、借金の返済や利払いに充てる国債費も過去最大に膨らむ中、限られた予算を岸田政権が力を入れる賃上げ促進に重点的に振り向けた。歳入(収入)の柱の税収は過去最高を見込むが、3割は新たな国債発行で賄う。借金頼みから抜け出せず、綱渡りの財政が続く。
 歳出総額は過去最大だった23年度当初から2兆3095億円減らし、12年ぶりに前年度を下回った。新型コロナウイルス禍対応で急速に膨らんだ歳出を「平時に戻していく」との政府方針に沿った形だが、急な出費に備える予備費を4兆円削減した要因が大きく、歳出抑制は進まなかった。政府は年明けの通常国会に予算案を提出、3月末までの成立を目指す。岸田文雄首相は、予算案の閣議決定を受け「物価高に負けない賃上げを実現する」と官邸で記者団に述べた。
 歳出が最も多いのは37兆7193億円を計上した社会保障費。高齢化に伴って8506億円増えた。次が国債費の27兆90億円で、金利の上昇基調を反映して1兆7587億円増やした。社会保障費と国債費に、自治体に配る地方交付税を加えた三つで歳出の7割超を占め、政権が独自の事業に使える予算の余地が少ないことを浮き彫りにした。
 防衛費は1兆1277億円多い7兆9496億円とした。賃上げ促進では、医師や看護師らの人件費などに相当する診療報酬の「本体」を0・88%増やす。公立小中学校の教職員の初任給を5・9%引き上げることや、保育士の処遇改善も盛り込んだ。少子化対策を担う「こども家庭庁」の予算は特別会計を含め、4728億円増やした。
 新たに発行する国債は34兆9490億円とした。6740億円減らしたが、歳入に占める割合は23年度当初とほぼ同じになった。税収は1680億円多い69兆6080億円。物価高で消費税の税収が押し上げられるため、24年6月から所得税と住民税の減税を実施しても、国の税収は落ち込まないと見込んだ。

まちづくり・都市計画 

超格安 空き家いかが 課題解消へ民間サイトと自治体提携 (12.6 日本農業)
 
 家屋、ガレージ、庭園、倉庫、全部合わせてワンコイン。売りたくても売れない空き家を持つ人、できるだけ安く買いたい人、空き家問題に頭を悩ませている自治体の課題解決を図る「超価格空き家」が全国に広がっている。価格の主流は0円か100円で、民間運営のマッチングサイトが3者をつなぐ。購入の目的はさまざまで、格安空き家見学ツワーを始めた自治体もある。
 釧路市など北海道1市5町、愛媛県八幡浜市、香川県坂出市と提携するのは、不動産の無償譲渡マッチングサイト「みんなの0円物件」を運営する。「0円都市開発会社」(北海道旭川市)。自治体は空き家に悩む所有者にサイトを紹介する。サイトは4年前に開設し、これまでに900件以上が成約した。
 地方の空き家は老朽化などで値が付かず、不動産業者が取り合わない物件も多い。周辺環境の悪化や集落消滅に頭を痛める自治体にとっても「渡りに船」となっている。
 運営会社の収入源は仲介手数料ではなくサイトの広告料。不動産業務が扱いにくく市場に流通しない空き家の解消につながる。一方、格安空き家について「その地域に住みたくなる努力も必要だ」との指摘もある。

住みよいつくばに 市民提言 (12.14 毎日)

 「くじ引き」で選ばれた市民が気候変動対策や住みよいまちづくりを考える「気候市民会議つくば2023」がつくば市で開かれ、74の施策をまとめて市長に提言した。市は2024年度中に全ての提言についてロードマップを作成し、25年度の予算から反映させる方針。
 会議は、9~12月に6回、「ゼロカーボンで住みよいつくば市を実現する施策を検討。「移動・まちづくり」「住まい・建物」「消費・生活」の三つのテーマに沿って専門家から現状や課題の説明を受け、グループに分かれてどのような施策や取り組みが必要か意見交換を重ねた。最終回となった12月10日には、それまでに出た提言について確認、修正し、投票で採決する提言を決めた。

採択された市への提言
 天候に左右されず、徒歩、自転車移動ができるよう屋根付き道路など雨を防げる設備を整備する。
∇ 太陽光パネルのリサイクルや処分の経費を補助する。
∇ 食品や農産物のロスをなくすため規格外の農産物を安く売る店を作ったり、給食等で使ったりする仕組みをつくる。

路線バス維持へ 課題を聞く 共産党茨城県委員会 (12.20 しんぶん赤旗)

 日本共産党茨城県委員会(上野高志委員長)は、地域公共交通の維持・充実を求め、茨城県バス協会から聞き取りをした。バス運転士の不足などを受け、関東鉄道が20日以降に路線バス351便の減便を発表していることを受けて実施。住民からは「今でも便が少ない」などの声が寄せられ、免許返納者などの移動手段の確保は大きな課題だとして、協会側の要望を聞き取りました。
 路線バスの減便エリアに含まれる龍ケ崎市の金剛寺博市議は「20時台以降が減便となり退勤者への影響が懸念される」と述べ、路線確保を求めました。関東鉄道側は、高速バスの輸送人員がコロナ前に比べ10月時点で6割台に落ち込んだままだと報告。経営の困難や、路線バスの運行を支える運転士の確保と高齢化が課題とのべた。県委員会は、大井川知事宛に「要望書」を提出。1,バス事業者とコミュニテイーバスを運行する市町村への財政支援、2.運転士の賃金助成、などを要求。

日立次世代都市へ連携 市と日立製作所が包括協定 (12.22 茨城)

 日立市と日立製作所は21日、デジタル技術を活用した次世代未来都市(スマートシティー)の実現へ包括連携協定を締結した。世界有数の総合電機メーカーの同社が先進の技術や知見を生かし、創業の地である同市と協力。脱炭素、医療介護、交通の3分野の課題を解決し、地域の活性化や持続可能なまちづくりを目指す。

脱酸素、医療介護、交通
 協定は「グリーン産業都市」「デジタル医療・介護」「公共交通のスマート化」の三つを軸として、共創プロジェクトを推進する。グリーン産業都市の取り組みでは、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする市の目標達成に向けて、ものづくりが盛んな同市の排出量の約7割を占める産業部門の脱炭素化を推進する。
同社は市内の大みか事業所で先行的に脱炭素化の取り組みを進めており、蓄積したノウハウを生かし、二酸化炭素排出量の見える化や削減能力の算定などを支援する脱炭素経営システムを構築し、市内の中小企業に提供する。再生可能エネルギーを地域で有効活用するため、事業者と公共施設問の融通システムづくりを検討する。通勤車両の電動化のほか、中小企業を集約したスマート産業団地やスマート住宅団地の整備も掲げた。
医療・介護分野では「住めば健康になるまち」を目指し、同社が運営する日立総合病院と連携。オンライン診療の環境整備に加え、健康データを活用した住民の健康把握や疾病予防、地域包括ケアシステムの構築を推進する。
公共交通のスマート化については、既存事業者との連携強化や新たな移動手段の導入を目指す。市の交通のグランドデザインを策定し、高齢者や通勤者向けの次世代モビリティー(乗り物)の導入などを検討していく。

洞峰公園譲渡 来年2月にも 県・つくば市両議会 条例改正案可決 (12.23 朝日)

 県営洞峰公園(つくば市)を県から市に無償譲渡することについて、県議会とつくば市議会は22日、関連する条例改正案をそれぞれ可決した。今後は移管に向けた事務手続きを進め、早ければ来年2月1日の正式譲渡をめざす。 県議会は22日の定例会で、県都市公園条例から洞峰公園に関連する項目を削除する改正案を可決。つくば市議会も、市都市公園条例に洞峰公園を追加する改正案と、来年2、3月の管理委託費約6千万円などを盛り込んだ一般会計補正予算案を可決した。
 洞峰公園の敷地は20㌶。県は2021年夏、公園の一区画の整備や管理を民間業者に任せる「パークPFI」方式を採るための公募を実施。選ばれた業者や県は22年、園内に魅力的なキャンプを意味する「グランピング」やバーベキューができる有料の施設を建てる計画を示した。この計画には、公園の管理コスト圧縮につなげる狙いがあった。県のこうした方針に対し、五十嵐立青・つくば市長は22年3月懸念を表明。県は市が自ら公園を管理する意向があれば市へ無償譲渡することを提案。市が受け入れた。
 市が11月に実施したアンケート結果の速報によると1336人から回答があった。無償譲渡には「賛成」「どちらかといえば賛成」が計74・48%、利用料金の値上げについては同じく計67・59%が賛意を示した。

50年人口 11県 3割超減 (12.23 毎日)

 国立社会保障人口問題研究所は、2050年までの地域別将来推計人口を公表した。50年の人口は、20年に比べ東京都を除く全都道府県で減少し、秋田県など11県では3割超少なくなると予測されている。地方の高齢化も深刻で25道県で高齢者(65歳以上)の人口が4割を超える。

     2020年2050年   (%)
全 国1億2614.61億468.6▼17.0
茨城県286.7224.7▼21.7

地域経済 

有機農業 躍進向け 魅力や課題、意見交わす 水戸でシンポ (12.4 茨城)

 有機農業の今後を考えるシンポジウムが3日、水戸市文京の茨城大図書館で開かれ、県内の農業関係者らによるパネルディスカッションなどが行われた。有機農業推進に向けた取り組みや課題などについて意見を交わした。同大が社会、地域とともに地域課題の解決を目指す、地域研究・地域連携プロジェクトの一環。
 「未来への種まき・・茨城の有機農業の飛躍へ向けて!」をテーマに、同大農学部の小松崎将一教授の研究室が主催した。パネルディスカッションでは、JAやさと有機栽培部会の広沢和善専務理事、JA常陸の秋山豊組合長、県農業技術課の鈴木亮治課長、いばらきコープの八百川典子理事、農業法人「ふしちゃん」の伏田直弘社長がパネリストを務めた。
 それぞれの立場で取り組みを報告した後、司会役の小松崎教授が質問を投げかけ、課題や魅力について意見を交わした。慣行栽培よりも物流費が割高になりがちな点について、広沢専務理事は「生協への出荷は独自便があり、助かっている。ほかから要請がある場合は採算が合うか判断する必要がある」と難しい表情だった。菜を年間1億円以上売り上げる伏田社長は「利益が出るから有機をやっている。みんなやれば良いのにというのが正直なところ[ときっぱり。「これからはどう世界と戦っていくのか考えていく」とさらなる高みを見据えた。

「有機拡大したい」4割  農水省・市町村調査 (12. 9 日本農業)

 環境負荷低滅の取り組みを支援する「環境保全型農業直接支払交付金」を活用して、有機農業を「拡大したい」と考える市町村が4割に上ることが農水省の調べで分かった。同省は肥料価格が高騰する中で堆肥の施用や有機農業に関心が高まっているとみる。
 同交付金は、農業者団体を対象に化学肥料、農薬を原則5割以上減らす取り組み面積に応じて助成する仕組み。同交付金の在り方を検証する第3者委員会で同省が9月に行った市町村アンケートの結果を示した。2022年度に同交付金を活用した855市町村のうち671市町村から回答を得た。
有機農業を「根ざしたい」    42%
取り組みを検討したい       5%
現状程度で続けたい       43%
 同省は25年度から有機農業の面積拡大などを後押しする新たな仕組みを導入する方針。
 アンケートでは、同交付金による環境保全の効果が農家次第で大きく差が生じている実態も分かった。「環境保全効果を発揮できている」と回答した市町村は43%で、17年度より12ポイント減った。一方で、農家の取り組みで「大きな差がある」と回答した市町村は31%で同19%増えた。

有機促進へ慣行と共存 常陸大宮市全国初の協定 (12.17 日本農業)

 常陸大宮市で、地域の有機農耕と慣行農業者が守るべき栽培管理の方法などを定めた協定を結んだ。国のみどりの食料システム法に基づく制度で地域間での有機農業と慣行農業が共存できるようにし、地域ぐるみで有機農業の団地化を促進する。農水省によると、この協定が締結されるのは全国で初めて。今回協定を結んだのは、同市鷹巣地区の農用地所有者ら75人、同地区113haのうち、水田16.3ha(うち有機栽培9.4ha)を協定の対象とした。協定の有効期間は2028年までの5年間。市によると有機農業の団地化に向けて機運が高まっているという。

郵便物 来秋値上げ 手紙84→110円 はがき63→85円 (12.19 茨城 )

 総務省は18日、手紙(25㌘以下の定形郵便物)の郵便料金の上限を84円から110円に引き上げる省令の改正案を審議会に示した。郵便物の減少や人件費、燃料費などの経費高騰で郵便事業が赤字となっていた。
 改正を経て、日本郵便は来年秋にも消費税増税時を除き1994年以来、30年ぶりに値上げするが、赤字の解消は一時的で追加の料金引き上げも視野に入れる。
 手紙に加えて省令改正が必要ない、はがきも63円から85円となり、双方3割を超える値上げとなる。50グラム以下の手紙は94円から110円にするほか、定形外郵便物などは3割の値上げを検討している。レターパックや速達などは、利用者の利便性の観点から値上げ率を抑制する。新聞や学術刊行物といった第3種郵便物や第4種郵便物、今年10月に値上げした、ゆうパックや現金書留の料金は据え置く。
 総務省によると、郵便物は2001年度の263億通をピークに毎年減少。22年度は144億通と、ほぼ半減し、郵便事業は07年の郵政民営化後初めてとなる211億円の赤字に転落した。今回料金を引き上げると25年度は黒字になるが、
 26年度以降は再び赤字に転落する見込みで、短期間での再値上げも想定しているという。郵便事業を維持するため、抜本的な改革が求められそうだ。

農業産出額 本県3位 22年 鶏卵、かんしょ増加 (12.23 茨城)

 2022年の都道府県別農業産出額(速報値)で、本県は前年比3・4%(146億円)増の4409億円で、6年連続で3位となったことが22日、農林水産省のまとめで分かった。鶏卵とかんしょが大きく増えた。生産農業所得は3位から2位に上昇。販売農家1戸当たりの所得は初めて400万円を突破した。農業産出額の1位は北海道で1兆2919億円。2位は鹿児島県で5114億円。本県と鹿児島の差は前年の734億円から705億円に縮まった。
 本県の農業産出額のうち約50%を占める野菜や果実などの「園芸部門」は、販売単価の上昇などで前年4・6%増の2276億円となった。コメは2・5%増の611億円。畜産は2・2%増の1340億円だった。
 品目別に見ると、鶏卵が9・2%増の548億円。かんしょが9・1%増の361億円と大きく増えた。増えた要因について、県は鳥インフルエンザの相次ぐ発生による鶏卵価格の上昇や、かんしょの全国的な需要拡大などが影響したとみている。
 生産農業所得は、原料や資材の高騰で1517億円と3・1%減少したが、3位から2位に上昇した。県によると、販売農家1戸当たりの所得は、前年の393万円から18万円増えて411万円。試算を始めた2017年以降、初めて400万円を上回った。2050年の本県農業を描いた県政策指針「茨城農業の将来ビジョン」では、1農家当たりの所得を1千万円としている。県農業政策課は「収益性の高い農業に構造転換させ、所得の向上を加速させたい」としている。

環境と開発 災 害

脱炭素 企業の調査支援 費用補助 県、新エネ化促す (12・2 茨城)

 温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現を目指し、県は企業による脱炭素事業推進のための調査費用を支援する。新エネルギー導入やサプライチェーン(供給網)を構築する事業を対象に、設備投資や採算性などを試算・計画する経費を補助していく。2050年の目標達成へ向け、企業の脱炭素化を後押しする。
 支援するのは、燃焼時に二酸化炭素(CO2)発生のない水素や燃料アンモニアなどの次世代エネルギー導入や、供給網を構築する事業推進のための調査費用。燃料貯蔵タンクやパイプライン設置を中心とした設備投資、採算性調査などの費用を補助し、将来的な事業化の可能性を探る取り組みを促す。
 CO2排出削減につながる低炭素燃料への転換や次世代エネルギーの導入など、設備新設への調査費も支援する。複数の企業による共同整備も視野に入れる。

COP28「エミレーツ宣言」持続的農業を支援 (12.2 日本農業)

 国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、気候変動対策と農業・食料システム強化の両立を図る「エミレーツ宣言」を採択した。今年は世界中で前例のない異常気象と食糧難が起きたことから、宣言の賛同国が増加。岸田首相ら134の国・地域の首脳級が採択に応じ気候変動に「緊急適応する」ため農業者支援などの施策に取り組むことを確認した。
 宣言案によると現状認識では「干ばつや洪水などの気候災害で食料の安定的な生産と供給が脅されている」と指摘。「農業・食料システムが小規模農家や家族農業者を含む数十億人の生活を支えている」とし、産業革命後の気温上昇を1.5度未満に抑える「パリ協定」達成のためいかなる道筋でも「農業、食料システムを包摂しなければならない」とした。各国が取り組む必要施策としては、自然の保護と回復を図りながら持続可能な食料安全保障や技術革新への資金・技術支援をする必要性を確認した。
 日本は、「みどりの食料システム戦略」に基づきイノベーション(技術革新)で食料生産拡大と気候変動対策を両立させる。

つくば市と5企業 脱炭素実現へ連携 中心市街地 再エネ導入 (12.7 朝日)

 温暖化の原因となる二酸化炭素(C02)を減らすため、再生可能エネルギーの導入などに取り組む「脱炭素先行地域」に選ばれたつくば市は12日、脱炭素社会の実現を共にめざす五つの企業と連携協定を結んだ。取り組みを、スタートアップ企業の誘致や若者の定着など街のにぎわいづくりにつなげる狙いだ。
 政府は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼ口にし、脱炭素の実現をめざしている。このため、環境省は全国の自治体から脱炭素先行地域を選び、家庭や業務で電気を使ったときに出るC02を30年度までに実質ゼロにする取り組みを支援している。
 つくば市は11月、県内では初めて先行地域に選定された。ここでの先進的な取り組みは、市内全域や他の自治体に波及することが期待されている。そのため、先行地域は国から5年間で最大50億円の交付金を受けることができる。
 つくば市の取り組みは、市内にある熱供給会社のミライデザインパワーなど5社と進める。つくばエクスプレス(TX)つくば駅周辺の中心市街地が対象で、民間や公共の施設、住宅など38の施設で省エネを進めたり、再エネ由来の電力を使ったりする。
 具体的には、それぞれの施設で国の交付金を元に照明をLEDに切り替えるなどで省エネ化を進め、エリア全体で使っている年間約3800万kWhの電力量を、約1100万kWh分減らす。残りの約2700万kWh分は、太陽光発電や魚油などを燃料としたバイオマス発電、市内のゴミ焼却施設での発電を充て、C02の削減を図る。市の地下に張り巡らされた、配水管や電話ケーブルが収納された.トンネル状の「共同溝」に、各施設へつながる独自の小規模送電網(2・6キロメートル)を新たに設置し、これらの電力を安価に供給する。これらの事業は24~28年度に整備され、全体で年間約1万6千ントのC02が削減される見込みという。

不法投棄 増える「ゲリラ」 県、ワースト脱却へ通報アプリや報奨金 (12.7 朝日)

 県内は産業廃棄物の不法投棄が全国最悪クラスの多さだ。環境省の調査によると、10トン以上の不法投棄は2021年度に13件あり、全国最多だった。その前の3年間も1~5番目の多さだった。6日には、廃棄物処理法違反の罪に問われた被告に水戸地裁が有罪判決を言い渡した。
 注目されるのが「ゲリラ的不法投棄」と呼ばれる形態。県不法投棄対策室によると、山奥などの人目につかないところに大量に捨てる従来の典型的な不法投棄とは異なり、大型ダンプカー1~2台分の少量の廃棄物を道路脇などに捨てる行為とされる。県内では、18年度に不法投棄全体の5割程度だったのが、22年度は約7割を占めた。
 県は、21年6月に不法投棄通報アプリ「PIRIKA(ピリカ)」を導入。アプリを通じて不法投棄の写真を撮ると、場所や状況を県が把握し、情報を市町村や、警察出身者などによる専門の機動調査員に伝え、早期撤去や周辺の重点的なパトロールを行う仕組みだ。昨年度は126件、今年度も7月末現在で59件の情報が寄せられているという。
 報奨金制度もあり、不法投棄や土砂の不適切な埋め立てに対し、解決に有力な情報提供をした人に1万円程度を支払っている。県によると、これらの効果もあり、不法投棄の発生件数は20年度の197件をピークに2年連続で減少。
同様の車両を用いた移動行政サービスの取り組みは、境町に次いで県内2件目という。

太陽光発電規制へ条例案 牛久市議会 事前の説明会義務づけ (12.8 朝日)

 太陽光発電施設をめぐる周辺住民とのトラブルなどを防ごうと、牛久市議会の議員たちが7日、施設の設置を規制する条例案を開会中の定例会に提出した。対象を出力と事業面積の両方で規定し、事前の住民説明会開催を義務づけるなどしている。条例案は規制対象を発電出力50キロワット以上、または事業区域1千平方㍍以上の施設と規定。実質的に同一の事業者が近接した場所に分割して設置しても一つとみなし、合計でこの規模だと対象になるとしている。
 事業者は事業区域からおおむね100㍍以内の住民らに対して、事業内容や施工方法を説明し、住民から求められた場合は、説明会を開かなければならない。罰則はないが、必要に応じて市長が事業者に指導や勧告をすることができ、勧告に従わないときは氏名などを公表できるとした。
 県によると、県内では今年7月時点で22市町村に太陽光発電施設を規制する条例がある。

脱炭素先行地域へ連携 つくば市と5者が協定 (12.13 茨城)

 環境省からの脱炭素先行地域の選定を受け、つくば市は12日、事業の共同提案者の電気事業者など5者と連携協定を締結した。市全域の脱炭素化に向け、中心市街地での共同事業を契機に、市民の啓発などで広く連携する狙いがある。同日、市役所で、五十嵐立青市長と各事業者の代表者が協定書に署名した。
 市が連携協定を結んだのは、ミライデザインパワ―中部電力ミライズ▽常陽銀行▽ニッスイつくば工場▽大和ハウス工業茨城支店の5事業者。
 市は2030年度までに脱炭素化に取り組む「先行地域」として環境省から選定を受けたことに伴い、5者と共同事業を実施する。つくばエクスプレス(TX)つくば駅の半径500メートルを対象に、太陽光やバイオマス発電を導入し、地下の共同溝を利用して地域内で電力を自給自足する「マイクログリッド」を構築するなど、計13件の事業に取り組む。国の交付金として5年間で最大50億円の支援を受ける。
 協定書では共同事業のほか、市全域への脱炭素の取り組みの推進や、市民の行動変容の促進などの連携事項を確認した。同駅周辺だけでなく、市全域で脱炭素化に向けた市民の意識醸成などにも取り組む考え。
 締結式で、五十嵐市長は「脱炭素の取り組みは目の前にある今すぐわれわれが取り組むべき課題」とし、「モデルエリアが中心市街地にできたことは重要。市民や事業者の協力で目標達成に向けて進みたい」と述べた。

医療・福祉・社会保障・教育 

市職員 子連れ出勤可能に つくばみらい市で県内初 (12.10 毎日)

 つくばみらい市は、子育て中の職員を支援するため、職員が自分の子供や孫を連れて出勤できる制度を導入した。こうした制度の導入は県内で初めて。
 対象は小学6年生までの子や孫。保育所や窓口業務の職員は対象外。普段世話をしている配偶者や伯父母が不在の時などの緊急一時的な措置としても利用できる。小学校などの長期休暇は「利用促進期間」とし、原則半日程度、理由を問わずに子ずれ出勤が可能となる。
 職員が仕事している間、子供は職員の隣の席や職場内の空きスペースで宿題やおもちゃ遊び、お絵描きをして過ごす。
 市は7月に小3までの子供を連れて出勤できる取り組みを試行。男性6人女性9人の職員と1~8歳の子供18人が利用した。試行後のアンケートでは、回答した子供18人のうち「楽しくなかった」と答えたのは1人のみだった。
 子連れ出勤を実際に見た職員からは肯定的な意見が多かったが「子供を気にかけないといけなくて業務効率が低下した」などの否定的な意見があった。

学術会議法人化を推進 政府が法「改正」方針 介入の仕組み強化 (12.19 しんぶん赤旗)

 内閣府は18日、日本学術会議を国の機関から切り離し法人化するため、法改正に向け具体的に検討を進めるという方針を示しました。同日開かれた「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」(座長・岸輝雄東京大学名誉教授)に提案したもので、学術会議の自律的な会員選考や組織運営に政府が介入できる仕組みを導入する内容です。
 会員選考では、会長が任命する外部有識者による「選考助言委員会」を設置。学術会議は、会員選考方針の策定時にあらかじめ同委員会に意見を聞くとしています。学術会議への介入という批判を受けて、通常国会への提出を見送った
 学術会議法「改正」案とほぼ同じ内容です。
 前回の法案にはなかった新たな介入の仕組みも盛り込んでいます。予算・決算、中期的計画などの重要事項に意見を述べる「運営助言委員会」を置き、委員の過半数を外部者とします(委員は会長が任命)。現在の学術会議にはない「監事」と外部有識者による「評価委員会」を新たに設置。いずれも主務大臣が任命し、監事は業務や財務、幹事会構成員の業務執行を監査。評価委員会は業務や組織運営の状況を中期的計画の期間ごとに評価し、学術会議は中期的計画策定にあたり評価委の意見を聴くとしています。
 新たな法人の発足時の会員選考については「特例的な選考方法」を検討すると表明。有識者懇が同日示した中間報告の案では、現行法のもとで選考された現会員が次期会員を選考する方式は「適当ではない」と主張し、「特別の選考委員会」を設けるなど特例的な方法を検討すべきであると述べています。
 学術会議の光石衛会長は同日、法人化が望ましいとした有識者懇の論点整理(13日)に対し、「科学的な分析に基づくものとはいえない」として協議を強く求める見解を出しました。

高齢者宅の巡回 詐欺防止に効果 県警手応え (12.19 朝日)

 県内に約53万世帯ある高齢者宅を、地域の警察官が一軒一軒訪ねる「巡回連絡」が強化されて半年が経った。県警は、11月末時点で約22万6千世帯を訪問し、高齢者が被害に遭いやすい「ニセ電話詐欺」の件数が減るなど、一定の効果が表れているとする。巡回連絡を活用した県警の「高齢者総合安全対策」は、「県民のディフェンス力向上」の下、6月にスタートした。電話詐欺や住宅侵入窃盗に対する防犯、歩行中の交通事故防止、災害時に逃げ遅れないための準備について、重点的に呼びかけをしている。
 巡回連絡の中で県警は、11月末までに14万7千世帯の固定電話に留守番電話を設定した。オレオレ詐欺の認知件数は、県内では6月以降減少に転じ、11月末までの半年間で前年同期と比べ19件少なくなった。交通事故防止では、12月11日時点で高齢者約13万6千人に、靴に貼るタイプの反射材の配布を終えたという。昨年までの10年間、県内での歩行中の交通事故による死者は415人。うち高齢者は304人だった。このうち72%にあたる219人が、夜間に事故に遭っていたとされる。
 県警は、防犯対策や災害時の安否確認といった必要性を、丁寧に説明したいと理解を呼びかけている。

6138人分の患者情報 茨城東病院が紛失 (12.23 朝日)

 国立病院機構茨城東病院(東海村)は22日、院内で患者延べ6138人の個人情報が入ったUSBメモリーを紛失したと発表した。この日までに第三者への流出や不正利用は確認されていないという。今月15日の夕方、患者データを管理する職員が、鍵のかかっていない自身の机の引き出しにメモリーを入れた。土日を挟んで18日午前にこの職員が引き出しを開けた際、紛失したことに気付いたという。
 メモリーには呼吸器内科を中心とした患者2533人分の氏名や病名が書かれたファイルと、患者3605人の氏名や転院先、死亡日が書かれたファイルが保存されていた。メモリーにはパスワードによるロックがかかっていた。21日、県警に遺失届を出した。22日までに見つかっていないという。

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