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2023/09

2023/09

過去の自治関連ニューススクラップ

月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2023年9月分

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大井川知事も嘆いた最低賃金の低さ

 9月26日付朝日新聞のつぎの記事が本所報編集委員会で話題になった。
 県の公開質問状に対する茨城地方最低賃金審の回答に知事「受け入れられぬ」 
 県内の最低賃金を巡り、42円引き上げて953円とする改正額が低いとして県が出した公開質問状に対し、茨城地方最低賃金審議会が文書で回答した。
 審議会は「過去最高の引き上げ率・引き上げ額」と強調し、「コロナ禍の経済への影響が残るなか、原燃料価格の高騰、人件費の増大などを中小企業では価格転嫁できていない状況を総合的に勘案した」と説明した。県は審議会長あて質問状で、「本県の最低賃金は、本来、あるべき額よりも低く抑えられている」「近隣他県との格差是正に配慮されたものとは考えられない」と記し、最低賃金を990円程度とするのが適当だと主張していた。
 最低審の回答に対し大井川和彦知事は25日、「妥当な見解として受け入れることはできない」と反発。「過去の経緯に縛られることなく、現在の経済実態を正しく反映し、最低賃金を本来あるべき水準とすることが審議会に期待される役割」とするコメントを出した。
 わが国の最低賃金について現状を捉えようと調べたところ、東京統一管理職ユニオン執行委員長 大野 隆氏の「最低賃金「平均1000円」は余りにも低い」(「現代の理論」デジタル、第35号,2023.8.17)と題する論稿が目にとまった。前半部分の要旨だけを紹介する。
 先ず、「1000円」は13年前の目標だった、という見出しで、7月28日「中央最低賃金審議会 目安に関する小委員会」が令和5年度の各都道府県の引上げ額の目安について、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円に取りまとめた、目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,002円となると、紹介。
 岸田政権が1000円にこだわり、大幅に引き上げたかのように報じられたが、この「目標1000円」は、2010年、当時の民主党政権が設定したものであり、当時の最低賃金は全国加重平均で730円だった。その頃の私たちは、「誰でもどこでも今すぐ1000円、1500円を目指す」をスローガンにしていた。
 その後、2015年、安倍政権もその目標を採用し、2020年までに年率3%ずつ上げて1000円を実現すると約束した。だから、加重平均でようやく1000円になったとしても、13年前の目標を大幅に遅れて実現したというのが実際だ。むしろアベノミクスの失敗がこの遅れを生んだのだ。
 今回の引上げは、額も低いし、地域間格差も拡大する、として全く評価できない、絶対額が低く、かつ地域間格差が拡大すると指摘。加重平均1002円だが、1000円以上は8都府県のみ、900円未満が15県もある(最低は892円で、青森、秋田、高知、鹿児島、沖縄など9県)。最低と最高の格差も221円となり、地域間格差も広がる。
 さらに、国際的に比べても極端に低い、として、立命館大学産業社会学部教授の大野威氏によると、今年6月11日現在の各国の最低賃金額(その時の為替レートで円換算した)は、
イギリス1809円 フランス1728円 ドイツ1780円 アメリカ(連邦)1013円  カリフォルニア州2167円 
マサチューセッツ州2097円 ミシガン州1412円  カナダ1602円  オーストラリア2120円 韓国1019円 ニュージーランド1919円。
 
 地域別に最低賃金を決めている国は極めてわずかなので(圧倒的多数は全国一律)、日本の額の低い県と比べると、もっと大きな差があるということになる。
 歴史的に見ても、日本の最賃が低すぎることが分かる。先に述べた、2010年の日本の最賃は730円だった。当時の1ドル・80円でドル換算すると、9.125ドルになる。これが、現在を1000円として1ドル140円で計算すると、7.14ドルになる。
 資本・大企業を潤わせるための過度の円安誘導政策が、このような結果を生んでいるのである。アベノミクスの罪は重い、と。以下略。


災害・対策(東日本大地震含む)

被災訓練 防災へ住民組織「自主防災組織」カバー率上昇 全国85% (9.2 日本経済)

 自然災害が頻発するなか、町内会などを基盤とした自主防災組織の重要性が増している。どれだけの世帯が組織の対象となっているかを示すカバー率を見ると近年災害が多かった西日本の自治体の伸びが目立つ。活動メンバーの高齢化も進むが身近な住民で支えあう「共助」の拠点としての機能を高める努力も続く。
 自主防災組織は災害対策基本法などに基づく任意団体。町内会や小中学校の通学区域単位で組織されるケースが多く、平常時は住民参加の防災訓練や備蓄の点検などをする。災害時には自治体などと連携し、住民の避難誘導や支援物資の配布といった活動を担う。消防団などと被災者の救助や初期消火をすることもある。
 1995年の阪神大震災を契機に設立が進み、活動範囲の世帯数を全世帯数で割ったカバー率も上昇。総務省消防庁によると全国の2022年4月時点のカバー率は84.7%と95年の約2倍になった。10年前と比べた上昇巾を見ると岡山県が約33ポイントでトップだった。22年4月時点のカバー率が全国で最も高かったのは兵庫県(97.4%)だった。カバー率の上昇が関東で最大(全国で11位)だったのが茨城県。東関東大震災を機に5カ年計画で向上させる取組みを推進した。県の担当者が未結成地区のある市町村に出向き、必要性を説いて自主防災組織の結成を住民に働きかけるよう促した。(茨城のカバー率は82.1%)

台風13号被災支援 県が補正案20億円 生活再建や中小へ融資 (9.20 朝日)

 県は19日、台風13号による大雨で被災した住宅や中小企業への支援などに充てる総額20億8400万円の補正予算案を発表した。26日の県議会閉会日に提出する。補正予算案では、被災した住宅の応急手当てや被災者の生活再建のための支援に6億100万円を計上した。災害救助法が適用された北茨城、高萩、日立市では、家屋が全半壊した677世帯に1世帯あたり約70万円を支給する。
 また、被災した県全域の549世帯を対象に、被災者生活再建支援法が適用されない半壊の世帯にも県独自の支援金20万円を配り、床上浸水の世帯に2万円の見舞金を支給する。災害と死亡に因果関係があると認められた犠牲者は2人いる。1人あたり最大で500万円の災害弔慰金が遺族に支給される。補助事業として800万円を計上した。他にも、被災した中小企業への融資枠16億9千万円を設け、そのうち県が5億6400万円を出資する。

「河川合流部越水 設計時は想定外」 日立市、庁舎地下水没で (9.29 朝日)

 台風13号による大雨で、日立市役所の地下が水没し停電した被害の後、初めてとなる市長定例会見が28日、同市役所であった。2011年の東日本大震災で被災し、防災拠点として建て替えられた庁舎。市は「設計時点で川の越水による浸水は想定していなかった」と繰り返した。市役所西側では二つの河川が合流し、暗渠(地下水路)で市役所敷地の下に流れこむ構造になっている。8日夕以降、大雨によって合流地点付近で越水し、電気室のある地下に水が流れ込んだ。
 会見で市の担当者は「庁舎地下にある雨水貯留槽が満杯になっても、2カ所あるポンプから排水する仕組みがあった」と説明。現庁舎の建設当時、市内で最大だった1時間降水量88ミリを想定して設計したと明らかにした。しかし、河川合流部分で越水する事態は想定していなかったという。
 小川春樹市長は今回の事態を「異常な気象による特異な事象}としながら、「あらゆる角度から検証したい」と述べた。

原発問題(東海第二原発関係も含む)

東海第二 放射性物質の拡散予測 県、原電に追加試算を要請へ (9.7 朝日)

 日本原子力発電東海第二原発で事故が起きた際に、放射性物質がどのように拡散するかの予測(シミュレーション)について、県は近く原電に対して、追加の試算を文書で求める。これまでの想定とは別の事故想定も追加し、当初の予測と比較して説明できるようにするとしている。
 県は原子力災害に備えた避難計画をつくる上で、実効性を検証することを目的に、拡散予測を原電に要請。原電は複数の安全対策が全く機能しなくなった場合などで、風向きや降雨によってどう拡散するか予測した報告書を昨年末に提出。県は専門家に検証を依頼し、今年3月に「おおむね妥当」と評価を受けた。
 ただ、検証した専門家からは、データの信頼性を補強するため、条件の異なる試算との比較をすべきだとの指摘があった。さらに、関係自治体の首長会議で「現状では住民への説明が難しい」との意見があった。このため、県は再試算を決めた。県原子力安全対策課によると、追加試算では別の事故想定や別の計算式の使用、拡散に影響する気象条件の「大気安定度」などを考慮するよう求めるという。

原発広域避難計画 東海村年内策定 (9.14 朝日)

 東海村は13日、村内にある日本原子力発電東海第二原発の重大事故に備えた村の広域避難計画について、年内に策定し公表する方針を示した。山田修村長が、村議会で一般質問に答えて表明した。
 村は2016年に取手、守谷、つくばみらいの3市を避難先とする広域避難計画案を公表。それぞれの市と避難訓練をすることで、課題の洗い出しなどを進めてきた。昨年10月の守谷市との訓練で3市それぞれと一度は訓練を終えたことになり、山田村長は「一つの区切りだ」と話したことから、避難計画の策定時期が注目されてきた。
 東海第二原発の30キロ圏内には、全国の原発では最多の約92万人が住む。周辺自治体には事故が起きた際の広域避難計画の策定が義務づけられているが、対象となる14市町村のうち、策定済みとしているのは5市町にとどまっている。原発が立地する東海村が計画を策定することで、他の自治体の策定作業にも影響を及ぼす可能性がある。
 16年に東海村が計画案を示した後、新たに浮上したのが新型コロナ対策だ。県は避難所の受け入れ人数について、1人あたりの面積を2平方㍍で算出してきたが、密を避ける観点から3平方㍍に広げる方向で調整を進めている。

原発再稼働の請願 村議会特別委採択 東海村12月本会議で可決へ (9.22 朝日)

 東海第二原発(東海村)の早期再稼働を国に求める請願について、東海村議会は21日、原子力問題調査特別委員会を開き、賛成多数で採択した。村商工会が2021年4月に提出していた。12月の村議会本会議で可決される見込み。この日の委員会では、賛成する委員から「電気料金が上がっている。村として原子力を利用し、苦しい中小企業を支えたい」との意見が出た一方、反対の委員からは「ウクライナ侵攻で原発の危うさに気づいた人もいたと思う。国は再生可能エネルギーや蓄電池に力を入れるべきだ」との意見が出た。
 委員会には、再稼働に賛成する請願2件と反対する請願2件などが出されており、請願者から直接意見を聞いたり、国の担当者から原子力政策の説明を受けたりするなどの議論を続けてきた。
 今回はこの4件のうち最初に出された請願を採択した。請願は本会議で採決されるが、委員会は議長を除く全議員で構成されているため、委員会の結論が覆る可能性は低い。可決されれば、議会として意見書を国に提出することになる。

JCO臨界事故24年東海村役場で黙躊 (9.28 朝日)

 作業員2人が死亡、周辺住民ら660人余が被曝した東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」の臨界事故から、30日で24年になる。それを前に27日、村役場では職員約100人が集まって黙祷し、「事故を風化させない」と思いを新たにした。
 山田修村長は黙祷後の訓話で、「原子力防災対応は村の重要な責務で、職員として大きな使命だと次世代の職員もしっかり認識していただきたい」と切り出し、「行政に携わる者も事業者任せにすることなく、しっかりと自分事化し、住民を守るための行動を心掛けよう」と述べた。
 事故当時はまだ生まれていなかった村出身の若手職員は、どう受け止めたか。税務課の佐藤桃子さん(20)は「原子力施設のある村として、絶対に風化させてはいけない。(原子力の)恩恵を受けているからこそリスクを理解し、職員として住民の皆様に寄り添った対応をしたい」と話した。
 村総務人事課によると、正職員423人のうち事故当時から在籍していた職員は92人。事故後に入った職員は331人にのぼる。

施設事故の退避など広域計画とセットで 東海村長、公表の考え (9.28 朝日)

 東海村の山田修村長は27日、試験研究炉などの原子力施設で事故が起きた際の、村民の屋内退避・避難誘導計画について、日本原子力発電東海第二原発の重大事故に備えた広域避難計画と合わせて公表するのが望ましいとの考えを示した。広域避難計画は年内に策定し公表する方針を表明している。
 村内には、日本原子力研究開発機構の研究用原子炉「JRR3」や、核燃料の再処理施設、加工施設などがある。それぞれに原子力災害対策重点区域が設定されており、重点区域の範囲や対象行政区、避難先などが異なる。
 山田村長は「村には多くの原子力関連事業所が立地している。発災事業所の違いによって住民の避難に関する初動が大きく異なることを、しっかり早めに周知徹底するのが肝要だ」と指摘し、「そのためには広域避難計画とセツトにして公表できればと考えている」と述べた。

地方制度・自治体論・地方自治一般

辺野古、沖縄県敗訴が確定 最高裁判決 国の是正指示「適法」 (9.5 茨城)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更を承認しなかった沖縄県に対する国土交通相の是正指示は違法だとして、県が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日、県側の上告を棄却した。是正指示を 適法」とした県側敗訴の福岡高裁那覇支部判決が確定した。
 裁判官5人の全員一致の意見。辺野古移設で県と国が争った訴訟は13件あり、7件で県側敗訴が確定した。4件は和解や取り下げで終結。今回の判決で主要な法律上の論点が出そろい、現在係属中の2件も旧の勝訴は厳しい見通しとなった。国が埋め立て工事再開へ向かう可能性があり、法的対立は節目を迎えた。
 軟弱地盤改良工事は知事の承認が必要。移設反対を掲げる沖縄県の玉城デニー知事は今回の判決確定に伴って設計変更を承認する義務を負う形となる。玉城氏蕪後の記者会見で「公平・中立な判決を期待したが、極めて残念だ」と述べ、地方公共団体の主体的な判断を無にする内容だとした上で今後の対応を検討する意向を示した。
 松野博官房長官は記者会見で「沖縄県において判決に沿った対応が速やかになされるものと考えている」と述べた。
 是正指示は県に対して承認を強制する「執行力」がなく、知事には従わない選択肢もある。政府関係者によると、その場合は国側が工事再開に向け、今月中にも知事の代わりに承認できる「代執行」の手続きに入ることを検討。まずは国交相による知事への承認の勧告が想定される。

料金値上げの恐れ「1県1水道」 水戸市長「参入せず」くりかえし問題提起 (9.13 しんぶん赤旗)

 水戸市の高橋靖市長は11日、水道事業をめぐり茨城県が進める「1県1水道」に参入しないことを表明しました。日本共産覚市議団は「水道料金の値上げになりかねない県の過大な水源開発の責任を市町村に押し付けるものだ」と批判し、参入しないよう求めていました。
 1県1水道は、市町村などが管理・運営する水道事業を県内で一本化し、料金などの統一をめざすものです。
 同日の市議会で高橋市長は、市独自の検証で、同市の給水原価が1県1水道に移行した場合に比べ安く抑えられると答弁。「市民負担の増大と水道の安定供給、健全経営を考慮した結果、広域連携には参加しない」と表明しました。
 問題を繰り返し指摘してきた日本共産党の田中真己議員は12日の一般質問で「市町村の自己水源を閉じさせて、余っている高い県の水を買わせることが目的だ」と強調。県内105カ所ある浄水場について、対象となる浄水場を明らかにしないまま35カ所にまで減らす県計画の問題を指摘しました。また、水余りの中で市が受水している県水道の停止と、県中央広域水道からの撤退、霞ケ浦導水事業の中止を求めました。

自治体での男女賃金格差、正規職員でも (9.22 しんぶん赤旗)

 特定事業主である地方自治体で働く職員の男女賃金格差が公表された(2022年度)。各都道府県・政令指定都市のデータをもとに、男性を100とした場合の女性の賃金割合を集計したところ、全職員で見た男女の賃金格差で、民間企業平均より格差が大きいのは47都道府県のうち15県(31・9%)、20政令指定都市のうち11市(55・0%)に達している。
 「任期の定めのない常勤職員」で、民間企業平均より格差が大きいのは、47都道府県のうち1県(2・1%)で、政令指定都市ではなかった。「任期の定めのない常勤職員以外の職員」では19道府県(40・4%)です。正規職員の男女割合は6対4に対して、非正規職員(会計年度任用職員)は女性が76・6%を占めており、正規職員と非正規職員との賃金格差が大きいことなどが全職員の賃金格差が大きい原因になっているとみられる。

ハラスメント議員の公表、自治体職員が被害 条例制定の動き (9.23 朝日)

「子どもは産まないのか」と女性に聞いたり、漢字変換のちょっとしたミスに激怒したり――。地方議会では、一般企業が撲滅に取り組むハラスメントがいまだに横行している。
 自治体職員が議員からハラスメントを受けたとする事案が全国で相次ぎ、条例をもうける事態にまでなっている。
 「議員の中には職員を『しもべ』のように下に見る人もいる。職員たちは議案を通してもらいたいから、黙って耐え、何も言わない」。こう打ち明けたのは千葉県柏市の職員だ。柏市議会は今春、実態を明らかにしようと職員にアンケートを実施した。全職員約2800人のうち157人が「ハラスメントを受けたことがある」、316人が「見たことがある」と回答した。内容別(複数回答)にみると、最多は「ささいなミスを大声で叱責、必要以上に長時間の叱責、意に沿わない対応に胴喝」のパワハラが169人。
 市議会は6月にハラスメント防止条例案を可決、即日施行した。条例にはハラスメントを行った議員名を公表するだけでなく、ハラスメントを見聞きした議員も本人に指摘したり、議長に報告したりする義務をもうけた。
 地方自治研究機構(東京)の調査では、9月1日現在でハラスメント防止条例を制定しているのは全国の約1800自治体のうち31自治体。このうち議員を対象に含めている条例は28。条例制定はまだまだ少数派だ。

鹿島セントラル売却了承 県議会特別委 洞峰公園譲渡も (9.26 茨城)

 県議会は25日、県有施設・県出資団体等調査特別委員会(田山東湖委員長)を開き、鹿島セントラルホテル(神栖市)の民間売却と、洞峰公園(つくば市)を同市に無償譲渡するとした県の方針をいずれも了承した。売却、譲渡後のサービスや事業の継続性、従業員の雇用維持などを確認し、妥当と判断した。
 鹿島セントラルホテルの審議では、民間売却以降もホテルとしての営業継続に県が関与していく必要性を指摘。ホテル従業員の雇用継続や処遇改善などとともに、「民間譲渡後も一定程度、県が関与していく考えが確認できた」として、県の方針を了承した。
 県は県は10月に公募を始め、来年9月の定例会に県が所有するホテル敷地の売却に関する議案を提出、同月末にも売却したい考え。
 洞峰公園の審議では、県からつくば市への無償譲渡後も管理主体の変更に伴うサービスの質が維持されることなどを確認。公園内施設の修繕についても、県と市で合意している点を挙げ「利用者サービスに問題はない」とした。
 今後、早ければ12月の県議会定例会で都市公園条例の改正を経て、実際に市へ譲渡される見通し。

県有施設調特委、県の方針を了承 (9.26 朝日)

 県や県出資団体が所有する施設のあり方を検証する県議会の調査特別委員会は25日、鹿島セントラルホテル(神栖市)の民間への売却と、洞峰公園(つくば市)を同市へ無償譲渡するという県の方針を了承した。
 県などが出資する第三セクター「鹿島都市開発」所有の鹿島セントラルホテルの売却については、ホテルの新館建設時に県から受けた融資の返済が約60億円残っている。民間譲渡するだけでは同社の債務超過は解決しないのではないかという議会側の懸念に対し、県は「(赤字の)ホテル事業を譲渡後に残る、施設や土地の管理事業では継続的に黒字を計上している。直近3年間で年3億~4億円の利益を計上している」と説明し、理解を求めた。
 洞峰公園のつくば市への無償譲渡については、県民共有の財産でありながら無償譲渡するのは県民の理解が得られるのかという疑問が、議会側から寄せられていた。県は、これまでの議論で公園の日常的な管理コストが年1億5千万円にのぼり、施設の修繕費も年平均8千万円かかっていることを説明してきた。こうした経費がつくば市に移ることになる。

まちづくり・都市計画 

道の駅、進化続け30年 登録は県内16カ所に (9.3 茨城)

 道路沿いの憩いの場として親しまれる「道の駅」は、建設省(現国土交通省)の登録制度が始まり、今年で30年を迎えた。全国で整備が進み、県内も16カ所に増加。休憩する立ち寄り先から目的地へと進化し、地域振興を担う存在に。子ども向けの遊具を充実させたり、豊かな自然をPRしたり、個性を磨く動きも目立つ。

増え続ける公園 進まぬ再生 小規模9割で管理重荷 民間活用も明暗 (9.12 日本経済)

 地方自治体などが設置する都市公園の再生が進んでいない。公園の数は約60年間で25倍となったが、2021年度の維持管理費はピーク時の9割だ。 全体の9割を占める小規模な公園の維持管理の負担が重く、再編に悩む自治体もある。公園に出店した企業の収益を整備費に充てる制度の活用が進むものの住民合意などを巡って明暗が分かれている。
 国土交通省によると21年度末時点の都市公園は約11万4000カ所で1960年度末と比べて25倍になり総面積も約13万haと9倍に増え、いずれも過去最高となった。整備が進んだ背景には56年都市公園法、72年の都市公園等整備緊急措置法の制定がある。都市公園法施行令は1人当たりの面積の標準値として10㎡と定める。2021年末10.8㎡となり、東京・大阪など大都市圏を除けば達成している。
 都計法などが原則的に開発区域の面積の3%以上で公園や緑地広場の設置を求めたことも整備を後押しした。一方、開発によって増えたのが小規模公園だ。都市公園の総数の9割、総面積の3割が近隣住民らが利用する「住区基幹公園」が占める。公園の維持管理費は増えていない。国交省によると2021年度は3980億円とピークだった。17年度の9割の水準だ。
 自治体の財政状況が厳しい中、人手確保や手入れが十分に行き届いていない構図が浮かぶ。都市公園法は、公益上特別の必要がある場合などを除き「みだりに廃止してはならない」と規定する。建設から30年以上の公園は5割に達し老朽化対策も必要だ。自治体が再生の活路をみいだすのは企業との連携だ。
 飲食店や売店などを設置し民間の収益を公園の整備に充てる「パークPFI」制度が17年に創設された。パークPFIの活用は21年度まで100件を超えるものの万能と言えない。健康・スポーツ、文化、防災など多面的な機能を発揮するよう見直していく必要がある。
都市公園=都市公園法が定める国や自治体が設置した公園 
  ・近隣の住民が利用する「住区基幹公園」
  ・都市全域の住民が使う「都市基幹公園」
  ・広域の住民の需要に対する「大規模公園」
  ・国が設置する「国営公園」
  ・自然環境の保全などで設ける「緩衝緑地等」 

県内基準地価 住宅地 32年ぶり上昇 TX沿線、波及拡大 (9.20 茨城)

 県は19日、7月1日時点の基準地価を発表した。住宅地、商業地、工業地などを合わせた全用途の平均は前年比0・4%増え、2年連続で上昇した。住宅地は1991年以来、32年ぶりに上昇。つくばエクスプレス(TX)沿線で地価の上昇が続いているほか、周辺地域にも波及効果が拡大している。

人口減少対策の切り札「コンパクトシティー」が破綻 (9.20 毎日)

 商業施設や住宅を中心に集約させる「コンパクトシティー」構想は、疲弊する地方都市の「切り札」として、約30年間にわたり期待されてきた。だが、いまだに明確な成功事例を築くことができていない。
 コンパクトシティー構想は1970年代に米国で始まり、日本でもバブル崩壊後の90年代に議論された。98年には「中心市街地活性化法」が制定され自治体の中心市街地活性化(中活)基本計画が国から設定され中心部の再開発などで補助金が受けられるようになった。だが、コンパクトシティーの意味合いは次第に変容する。郊外開発の制限や居住地の集約という概念は薄れ中心市街地をどうにぎわせるかの議論に偏っていく。
 青森県の中活基本計画は07年富山市と共に全国で初めて認定される。市は、07~17年の10年間、国の支援を受けて中心街地の整備を進めたが基本計画で設定した交通量や商品販売額などの目標値を達成できなかった。
 中心市街地の活性化を設ける一方で、郊外開発を認める国のチグハグな対応も制度を骨抜きにした。
 中心地の衰退は続き、国は06年に「まちづくり3法」(大型店(1万㎡超)の出店を規制するなど郊外立地の規制を強化した。16年に総務省がまとめた「地域活性化に関する行政計画」では中活基本計画を国が認めた44件のうち目標をすべて達成できた計画はゼロ。事業は「中心市街地に限定した取り組みには限界がある」など酷評された。
 こうした批判の高まりを受け、14年には特定区域に商業地や住宅地を誘導する「改正都市再生特別措置法」が施行された。自治体が「立地適正化計画」を策定し、国が補助金などで誘導を後押しする内容だ。
 青森市は新町再開発に約33億円の補助金を投じている。だが、中心市街地全体の人通りはけっして多いとはいえない。22年10月、中心市街地で実施した調査で歩行者運行量は平日53044人、休日38088人で中活基本計画で定めた目標値の7割程度にとどまっている。
 政府は、現在もコンパクトシティー形成を「国策」として掲げる。都市のコンパクト化を目指す自治体を後押しするため、国交省や経産省など関係省庁による支援チームを設置。市町村の取り組みを省庁横断で支援している。
 国交省によると「立地適正化計画」について、今年3月末現在で全国675自治体が作成公表などの具体的な取り組みを行っているという。

基準地価 住宅地32年ぶり上昇 上位はTX駅近く・水戸も回復傾向 (9.20 朝日)

 県は19日、土地を売買する目安となる基準地価(7月1日時点)を公表した。住宅地全体の上昇率は0.3%で、1991年以来32年ぶりの上昇となった。つくばエクスプレス(TX)の影響で地価が上がる県南に加え、水戸市も31年ぶりに上昇地点が現れた。専門家は「今後、茨城の地価は堅調に推移する」と予想する。
 県によると、地価の調査は547地点で実施。商業地の上昇率は0.6%で2年連続の上昇。工業地は8年連続の上昇となり、1・2%上がり、上昇率は前年より拡大した。住宅地で地価が最高だった地点は、9年連続でTXつくば駅に近いつくば市吾妻1の16の24。1平方㍍研あたり19万6千円だった。住宅地の上昇率が大きい地点の1~11位はTXの最寄り駅がある土地だった。
 水戸市の住宅地は、住環境が優れた3地点で31年ぶりに上昇に転じた。この要因について、地価調査に協力した不動産鑑定士、羽場睦夫さんは「日銀の金融政策が変更される可能性がある。住宅ローン金利が徐々に上がり始めており、賃貸住宅にいた人たちが水戸で家がほしいと動き始め、回復傾向になってきた」と話す。
 工業地は31年ぶりに下落地点がなくなった。特に県南地域の常磐道、圏央道のインターチェンジ付近のエリアを中心に好調だ。

ひたち海浜公園で宿泊 民間活用 魅力創出へ実験 (9.22 茨城)

 国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)は、園内での宿泊事業の導入を目指す。泊まりながら夜間のネモフィラを観賞できるなど新たな魅力創出が狙い。民間の資金とノウハウを生かすパークPFI制度の活用を視野に、月内にも社会実験に着手する予定。公園事務所は門夜間の安全管理など課題を把握した上で検討を進めたい」としている。
 宿泊事業の導入により、誘客を一層進めたい考え。同園が2021年に実施したパークPFIの需要調査で、宿泊事業に関心の高い民間事業者が複数あったことなどを踏まえた。宿泊できる国営公園は3カ所ある。ごのうち、海の中道海浜公園(福岡県)は同制度を活用している。宿泊の用地は海に面した「砂丘エリア」の一部を想定する。同エリアは砂地や林を中心とした約45診。未利用地も多く、活用が課題となっていた。
 宿泊事業はキャンプ、グランピング、ホテルなど形態を問わない。例えば宿泊客の夜聞のネモフィラ散策など、新たな楽しみ方の創出に期待を寄せる。一方、これまでに夜を通して開園したことはなく、夜間の来園客の安全をはじめ、維持管理にどのような課題があるか把握する必要,がある。今回、キャンプ運営の社会実験を行い、課題を抽出する。
 公園は1991年に開園した県内有数の人気スポットで、昨年度は約170万人が訪れた。面積は215haと広大で、春はネモフィラ、秋はコキアなど、四季を通じて草花が楽しめる。
 遊園地のプレジャーガーデン、林間アスレチック広場、バーベキュー広場などもある。実験では民間事業者を募集し、9月下旬から11月まで、1泊2日か2泊3日で計6回を予定している。場所は砂丘エリアに近い約700㎡の「グリーンエ房前広場」。工房は事務所としても使えるため、イベント開催も可能。テントや寝袋などは同園が用意する。
 県はひたちなか市や大洗町の海浜地区をより魅力的な観光地にする「ひたちなか大洗リゾート構想」を掲げており、県地域振興課は「(同地域の)滞在時間の長期化などにつながってほしい」と宿泊事業に期待を寄せる。

守谷にスポーツ拠点整備 ヤクルト球団と市民用併設 (9.25 茨城)

 守谷市はプロ野球のヤクルト2軍の誘致に伴い、球団施設に市民向けの野球場やサッカー場などを併設した総合公園を整備することを決めた。場所は同市野木崎地区。隣接する既存の常総運動公園と合わせ、スポーツの一大拠点となる。10月にも球団側と基本協定を結び、整備を加速させる。球団施設は2027年1月の完成を予定する。

地域経済 

県工業団地2年4カ月で完売 つくばみらい (9.7 朝日)

 県がつくばみらい市に造成中の工業団地「圏央道インターパークつくばみらい」に、空調大手のダイキンエ業(大阪市)と大手住宅メーカーの大和ハウスエ業(同)が進出する。これで同工業団地は事業開始から2年余で「完売」した。ダイキンは、東日本では初となる住宅用エアコンの生産拠点を建設する計画だ。
 県立地整備課とダイキンによると、同社は同工業団地北側の9.8㌶を約39億円で取得。約200億円を投じて、新しい生産拠点「つくば製作所」(仮称)を建てる。2028年までに操業を開始し、その時点で300~400人を雇用。最終的には約1千人の雇用を見込んでいる。同社は生産拠点が関西圏に集中。深刻化する輸送費の高騰や運転手不足といった長距離輸送の課題への対応、災害リスクの分散などを考慮し、関東に新拠点をつくることにした。同工業団地については、東京都心から40キロ圏の立地環境が魅力的だったという。
 大和ハウスは1・8㌶を約6億円で取得した。県によると、同工業団地は、全分譲面積が約60㌶で、今年度中に用地造成が完了する予定。都心から40キロで、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)や常磐自動車道の新設予定のインターチェンジから近く、交通利便性が売りだった。

実りの秋農作物盗難に警戒 被害総額前年比2倍 (9.23 朝日)

 県内で農作物の盗難が増えている。県警が把握した8月末時点の被害総額は前年同期に比べて約2倍にのぼる。夜間に人気のなくなる田畑やビニールハウスを狙う手口は、防犯対策が取りづらく農家の悩みと不安は尽きない。実りの秋を迎え、被害がさらに拡大する恐れがあり、県警は警戒を強化している。

防犯対策費用に壁

 県警によると、県内で確認された農作物の盗難被害は、8月末時点で58件と前年同期(47件)より11件増えている。被害総額も約660万円で、前年同期(約330万円)の2倍に。秋口は収穫期と重なって被害が拡大する恐れがあり、警戒が必要だ。盗難被害があった58件のうち、県西地域が4割超の24件を占め、県南地域が12件、鹿行地域が11件と続く。防犯カメラのない広々とした畑が夜間に狙われ、中にはビニールハウスを外から破って侵入するなど悪質な行為も確認されている。
 予防策としては、防犯カメラのほかに熱や物の動きに反応して警報音が鳴るセンサーなどもあるが、「音が出て近所迷惑にならないか」「設置費用がかかる」といった理由で普及が進んでいないのが実態だ。
 近年の被害は年間80~100件で推移し、収穫期を迎える9、10月に集中する傾向にある。被害現場には物的証拠が乏しく、現行犯以外での検挙が容易ではないという。

最低賃金審、県の公開質問状に回答知事 「受け入れられぬ」 (9.26 朝日)

 県内の最低賃金を巡り、42円引き上げて953円とする改正額が低いとして県が出した公開質問状に対し、茨城地方最低賃金審議会が文書で回答し、25日、県が公表した。審議会は「過去最高の引き上げ率・引き上げ額」と強調し、「コロナ禍の経済への影響が残るなか、原燃料価格の高騰、人件費の増大などを中小企業では価格転嫁できていない状況を総合的に勘案した」と説明した。回答は11日付。審議会は8月7日に最低賃金を茨城労働局長へ答申した。県は同23日付で審議会長あてに質問状を出し、「本県の最低賃金は、本来、あるべき額よりも低く抑えられている」「近隣他県との格差是正に配慮されたものとは考えられない」と指摘。最低賃金を990円程度とするのが適当だと主張していた。
 この回答に対し大井川和彦知事は25日、「妥当な見解として受け入れることはできない」と反発。「過去の経緯に縛られることなく、現在の経済実態を正しく反映し、最低賃金を本来あるべき水準とすることが審議会に期待される役割」とするコメントを出した。

勤める60代 細る就農者 60~64歳就農者3割減 (9.28 日本農業)

 2022年に新規就農した60~64歳が前年を3割下回り急減したことが農水省の調査で分かった。同省の調査では、22年の新規就農者は45840人で統計データのある06年以降最小、全体でも前年は12%減だったがとりわけ減少が目立つのが60~64歳だ。新規就農者は、他の年代では5000人前後だが、この年代は6750人と規模も大きい上に31%も減った。
 60~64歳の中でも8割を占める新規自営農業就業者(親元就農者)が35%減と急落した。「定年後に実家に帰り農業を継ぐなどしてきた層だが、企業の定年延長で働き続ける動きが弱まっている」とみる。60~64歳の新規就農者は長期的にも減少傾向にある。
 13年の高年令者雇用安定法改正で企業は65歳までの雇用が義務付けられ、現在、ほぼ100%の企業が65歳までの雇用を確保している。国家・地方公務員の定年も今年度から徐々に引き上げられ、31年度に65歳となる。
 企業勤めを得て地元に戻る人材に対して産地では「経験を経営管理に活かしてほしい」との声もあり、それだけに「即戦力として期待していた人材が地元に戻って来ない。企業に奪われている」との声も上がっている。

環境と開発 災 害

ヤード5年許可制へ スクラップ規制で県条例案 (9.9 茨城)

 県は8日、鉄くずなど再生可能資源を屋外で保管する「スクラップヤード」を規制する条例案の骨子を明らかにした。保管事業を5年更新の許可制とし、積み上げる高さを最大5メートルに制限。崩落や火災、土壌汚染を防ぐほか、騒音や振動など県議会定例会で、小松崎敏紀氏(いばらき自民)の一般質問に対し、林利家県民生活環境部長が答えた。
 規制の対象となるのは、鉄くずや鋼材など金属スクラップのほか、プラスチック、ゴム、コンクリートなどを収集する面積100平方メートル以上のスクラップヤード。自動車リサイクル法に基づいた再生資源物を扱う施設は除く。
 こうした金属スクラップなど再生資源物は廃棄物処理法の「廃棄物」と異なり「有価物」とされ、法令による規制や保管への基準がない。崩落の恐れなどに対しても、行政は任意による指導しかできないのが課題となっている。
 骨子によると、再生資源物を屋外保管する施設の運営を5年更新の許可制とした。新設する場合は、事前に事業内容を周知するための住民説明会の開催を義務付ける。屋外保管の基準も設定。周囲に囲いの設置を求めるほか、資源物を積み上げる高さを最大5凝とした。施設内の保管面積は1カ所につき、200平方メートル以内に抑え、間隔を2メートル以上空ける。汚水の飛散や流出、地下への浸透を防ぐ措置も求める。
 行政処分の項目についても明確化する。報告徴収や立ち入り調査、許可取り消しなどを可能とする。従わない場合は違反の公表、懲役、罰金などの罰則を適用できるよう定める方針。
県は30日まで、県ホームページ上で条例案の骨子に対するパブリックコメント(意見公募)を行っている。

土地利用規制法 180カ所新たに指定へ 市街地の吉相次ぐ (9.12 しんぶん赤旗)

 政府は11日、第6回「土地等利用状況審議会」を開催し、土地利用規制法に基づく第3回の指定候補として、全国25都道府県の180カ所を示しました。防衛省本省がある市ケ谷庁舎(東京都)をはじめ、人口密集地の自衛隊基地が相次いで候補となり、本格的な住民監視が進む恐れがあります。今後、地元自治体の意見聴取を行い、年内にも指定を狙っています。
 180カ所の内訳は「特別注視区域」46カ所、「注視区域」134カ所で、区域指定されれば、周囲1㌔が監視対象になり、「機能阻害行為」が確認されれば国が中止を勧告・命令。従わなければ刑事罰が科されます。さらに、司令部機能を有するなど、特に重要とされる「特別注視区域」では土地の売買で国に届け出が必要になります。
 政府はこれまでに219カ所を指定しており、今年度中の600カ所の指定を狙っています。今回は、防衛省市ケ谷庁舎、練馬駐屯地、府中基地(東京都)、習志野駐屯地(千葉県)などを注視区域に、千歳基地(北海道)、百里基地(茨城県)、岐阜基地(岐阜県)、浜松基地(静岡県)、呉地方総監部(広島県)、築城基地(福岡県)、新田原墓地(宮崎県)などを特別注視区域としました。
 また、呉第六突堤(広島県)=一部が特別注視区域=広弾薬庫(広島県)や福岡空港内にある板付基地(福岡県)=注視区域=など6カ所が米軍基地として初めて対象となりました。自衛隊施設が隣接し自衛隊が使用する新千歳空港(北海道)と山形空港(山形県)=一部が特別注視区域=名古屋飛行場、福岡空港など六つの民間空港も注視区域の対象です。
 伊方原発(愛媛県)や、玄海原発(佐賀県)など3カ所の原子力施設も対象(注視区域)となりました。

涸沼の魅力 発信拠点 展示・観察2施設、来年完成 (9.21 茨城)

 ラムサール条約に登録されている澗沼の保全や野鳥の観察を行う「水鳥・湿地センター」の整備が、茨城町と鉾田市の沿岸2カ所で進む。国際的に重要な湿地を守る同条約の登録により、環境省が整備する拠点は関東で初めて。ともに2024年完成の見込みで、地域では澗沼の魅力の発信拠点として期待を寄せる。
 環境省が澗沼沿岸の茨城町下石崎、鉾田市箕輪の2カ所に整備している。展示施設を北岸の茨城町に、観察施設を南岸の鉾田市に配置する。茨城町の展示施設は木造平屋建て、延べ床面積404平万メートル。涸沼に生息する動植物をパネルや水槽で紹介する展示室、学習などができるレクチャールーム、ライブラリーを備える。
 鉾田市の観察施設は木造3階建て、延べ床面積330平万メートルで、2階と屋上が展望スペースとなる。敷地内に市が公園を整備。昆虫や野鳥の繁殖場所となる湿地やビオトープ、遊具を備えた広場を設ける。涸沼は鉾田、茨城、大洗の3市町にまたがり、海水と淡水が混じる関東唯一の汽水湖。スズガモやオオセッカなどの鳥類をはじめ、ヒヌマイトトンボに代表される昆虫類や魚類、植物など多種多様な動植物が生息する。絶滅の恐れがある種を支える湿地など、三つの国際基準を満たし、15年5月にラムサール条約に登録された。
 条約に登録された湿地は国内に53カ所。県内では涸沼のほか、群馬と栃木、埼玉の4県にまたがる渡良瀬遊水地が含まれる。
条約では、湿地の「保全・再生」と「ワイズユース(賢明な利用)」とともに「交流、学習」を目指している。同省は三つの目標を担う施設として、特に水鳥が渡来する登録湿地に水鳥。湿地センターを整備している。施設の誘致は、登録翌年の16年に県と沿岸3市町などでつくる「ラムサール条約登録湿地ひぬまの会」を中心に進めてきた。
 環境省は自治体や市民団体などへのヒアリングを行い、19年に整備に着手した。
地域では、センター設置が澗沼の保全や魅力発信につながると期待する。ひぬまの会が認定する涸沼ラムサールネイチャーガイドの星川理恵子さん(52)は「これまで活動の拠点がなかったが、汽水湖の豊かな自然を間近で伝えることができる」と強調する。

医療・福祉・社会保障・教育 

訪問介護220カ所休廃止 社協5年間、ヘルパー不足 (9.3 茨城)

 社会福祉法に基づき全市区町村にある社会福祉協議会(社協)で、運営する訪問介護事業所が過去5年間に少なくとも約220カ所、廃止や休止されたことが2日、共同通信の全国調査で分かった。5年間で約13%減り、現在は約1300カ所。
 都市部で一般の民聞事業者との競合を理由に撤退するケースもあるが、多くはヘルパーの高齢化や人手不足、事業の収支悪化などが響いている。
 公的な性格を持つ社協が事業をやめると、採算面などで民間が受けたがらない。利用者にサービスが行き届かなくなる恐れがある。
 政府は「住み慣れた地域で最期まで暮らせるように」という理念を掲げるが、厳しい現実が浮き彫りとなった。調査は、都道府県が所有する介護保険の事業所データから社協の訪問介護を抽出。
 2018年と23年(一部は期間が異なる)を比較し、23年データに載っていない事業所について各社協に廃止や休止かどうか尋ねた。
 社協の訪問介護は23年現在、全国に1302カ所(休止中は除く)。5年間に44都道府県で218カ所が廃止(統廃合を含む)や休止となっていた。富山、香川、佐賀の3県では休廃止はなかった。
 新設分を差し引いた減少数は203カ所(13・5%)。減少率が最も高いのは鳥取県で53・3%。大分県が38・5%、千葉県が30・4%、本県が28・6%などと続いた。
 民間を含めた訪問介護事業所は全国的には近年、微増している。首都圏などでの二ーズの高まりが要因だが、地方では訪問先への移動距離が長く、事業の効率化が難しいといった事情がある。社協では人口減に伴う利用者の減少や、高齢化したヘルパーの退職なども重なり、訪問介護は赤字というケースも多い。

県内減少率は28.6%

 県内の社会福祉協議会が運営する訪問介護事業所数は、2023年が25カ所で、18年の35カ所から10件減少した。内訳は11カ所が廃止となり、新設は1カ所にとどまった。減少率は28・6%で、全国で4番目に高い割合となった。
 廃止されたのは石岡、常総、北茨城、坂東、那珂、筑西、常陸大宮、神栖、八千代、境、桜川の11市町にある社協が運営する事業所。18年以降に新設されたのは、大子町社協の指定訪問介護事業所のみだった。

県健康寿命条例を検討 いばらき自民 予防医学基本に (9.7 茨城)

 県議会のいばらき自民党は、長寿社会に備えた県民の健康づくりを支援する条例の制定に向けて検討を始めた。県内の65歳以上の人口割合が3割を超えるなど高齢化が進む中、生活習慣の改善や認知症対策などを体系的に進め、「健康長寿」や「予防医学」の環境づくりを促す。今後、議員提案を目指す。
 検討しているのは、「県健康長寿日本一を目指す条例」(仮称)。健康上の問題で日常生活を制限せず暮らすための健康長寿や、病気を防ぐ予防医学を基本理念に、生活習慣の改善や認知症対策など具体的な複数項目を掲げ、体系的な取り組みを推進する。主な内容として、生活習慣の改善▽介護予防体操など運動の習慣化▽健康を守る予防医学への理解促進▽食習慣や栄養学による改善▽認知症対策▽健康維持のための口腔ケアーなどを想定する。各項目に対し、県民や県、市町村、民間事業者、医療・福祉など関連団体が担う役割も明確化していく。
 背景には、歯止めのかからない少子高齢化や人口減少がある。厚生労働省による2019年の国民生活基礎調査に基づく集計では、本県の健康寿命は男性が72・71歳で全国19位、女性が75・8歳で17位と、共に全国平均を上回る。ただ、健康寿命から平均寿命までの「日常生活に制限のある期闇」は、男性8・18年、女性11・14年と10年前後の長期に及ぶ。
 静岡や大阪など、国内では4府県で健康長寿に関する条例を定めた事例がある。ただ、「具体的な項目と県民、行政、関係団体などの役割を挙げ、体系的に取り組む内容まで定めた条例は少ない」(同党関係者)という。
 会派内の10人で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、12月開催予定の定例会の常任委員会で審議した上で、24年3月の定例会で提案を目指す。

児童虐待最多21万9170件 22年度「心理的」が6割 (9.8 茨城)

 全国の児童相談所が2022年度に児童虐待の相談を受けて対応した件数が最多の21万9170件(速報値)に上ったことが7日、こども家庭庁のまとめで分かった。前年度比で1万1510件(5・5%)増え、1990年度の統計開始から32年連続で増加。暴言や態度などで心を傷つける心理的虐待が全体の6割近くを占めた。
 こども庁によると、心理的虐待の中では、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」が目立つ。担当者は「夫婦げんかなどで出動した警察からの通告増が要因として大きい」と分析し、対応する児相や自治体への支援を強化する考えを示した。
 虐待相談対応件数は90年度以降、千件台が続いていたが、99年度に1万件を超え、増加幅を大きくしながら2015年度に10万件を、20年度に20万件を上回った。
 22年度の件数の内容別は、心理的虐待が12万9484件(59・1%)で最も多く、次いで身体的虐待5万1679件(23・6%)、ネグレクト(育児放棄)3万5556件(16・2%)、性的虐待2451件(1・1%)の順だった。いずれも前年度から増えた。
 虐待相談経路は、警察が11万2965件(5195%)と半数超を占め、近隣・知人が2万4174件(11・0%)、家族・親戚が
1万8436件(8・4%)。

部活動時間の特例 16校23部に許可 県教委、(9.15 朝日)

 県内の公立高校の部活動の活動時間に厳格な上限を設ける改革をめぐり、県教育委員会は16校の23部に対して、活動時間に幅を持たせる特例措置を認めた。13日付。14日にあった県議会の文教警察委員会で県教委が明らかにした。子どもの健康に配慮していない部活動の長時間化を問題視した県教委は昨年12月、部活動の運営方針を改訂。活動時間を平日は2時間、休日は4時間を上限とすることを基本とした。
 他方、「科学的な指導がある」など一定の条件を満たした場合は、活動時間に幅を持たせる運用を認める特例措置も設けていた。保健体育課によると、特例措置の許可を求める申請は7月までに31校の61部から提出された。このうち58部が運動部だった。
 県教委は書類を精査するとともに、外部の有識者を含んだ審査会を開き、今月13日に各校に結果を通知した。
 特例措置が認められたのは次の通り。硬式野球が最多で水戸一高や藤代高など11校▽バスケットボール4校▽ソフトテニス2校▽ハンドボール2校▽剣道1校▽弓道1校▽空手道1校▽吹奏楽1校。

80歳以上、初の1割超 高齢者29%、世界トップ (9.18 茨城 )

 18日の敬老の日にちなみ、総務省が17日公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は3623万人だった。総人口に占める割合は前年から0・1%増の29・1%で過去最高を更新し、世界トップ。うち80歳以上は27万人増の1259万人で、割合が10・1%と初めて10%を超えた。単身で暮らす人も多く、生活サポートの充実が課題だ。15日時点の推計。
 65歳以上の人数は前年より1万人減った。マイナスは比較可能な1950年以降初めて。過去1年間に、新たに65歳に到達した世代が少ないのが要因という。
 中期的には増える見込みで、国立社会保障・人口問題研究所は2040年に3928万人、総人口の34・8%になると推計している。
 65歳以上の56・6%は女性で2051万人。平均寿命の長さを反映し、男性1572万人を大きく上回った。総人口に占める高齢者の割合29・1%を各国と比較すると、2位のイタリア24・5%、3位のフィンランド23・6%に比べ突出している。75歳以上は72万人増の2005万人で総人口の16・1%を占めた。2干万人を上回るのは初めて。1947~49年生まれの第1次ベビーブーム世代が75歳を迎えているのが影響した。
 
水戸市「育休退園」撤廃 10月から制限「好ましくない」 (9.27 毎日)

 水戸市は、下の子が生まれて保護者が育児休業を取得すると保育施設を利用する上の子が退園となる「育休退園」の制度を10月から徹廃すると発表した。
 同市では、上の子が保育施設の0~2歳児クラスに在籍する場合、保護者が下の子にかかる育休を1年以上取得すると「家庭での保育が可能」として退園させると定めていた。一方3~5歳児クラスに在籍する場合は就学前の時期で集団生活が必要だとして継続利用が認められていた。
 10月からは0~2歳児でも継続利用が可能となる。
 国の制度は、育休中の継続利用も「保育を必要とする事由」と定めているが判断は市町村に委ねられている。県内でも市町村によって対応が分かれている。

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