2020/10
2020/10
月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2020年10月分
2020年コロナ禍・経済的影響
登録義務化きょうからアマビエ条例県議会可決 (10.2 朝日)
1日に県議会で可決された新型コロナウイルスの感染者が出た店や施設の利用者にメールで注意喚起する県の独自システム「いばらきアマビエちゃん」への登録を義務づける条例案。対策を義務化する条例制定は都道府県では初めてとみられる。施行は2日。条例案は、不特定多数の人が訪れる飲食店やホテル、映画館など事業者側の登録と、利用する県民の登録の双方を義務づける。罰則はないが、取り組まない事業者は勧告後に事業者名を公表する。
県民には感染した場合に発症前後の行動歴の調査や検体の提出、採取の協力を義務づける。感染者や医療従事者らへの差別的な取り扱い禁止も盛り込んだ。条例化の旗振りをしたのは大井川和彦知事だ。8月の会見で「意識の高い人の一部の取り組みに終わらせないため、条例化で対策の徹底が必要」と説明した。
採決では、議長を除いて最大会派・いばらき自民(41人)などが共産(2人)を除き賛成。採決に先立ち行われた討論では、共産の江尻加那県議が「登録しない事業者を公表する社会的制裁には反対。登録は事業者の判断で行うもので、強制するものではない」と反対を表明した。
新型コロナ・インフル 地域で診療・検査へ 県や医師会 医療機関確保急ぐ (10.19 茨城)
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備え、県医師会などは、かかりつけ医で両方の診療と検査ができる体制づくりを急いでいる。これまで保健所が中心だった役割を、今月からは地域の身近な医療機関が担うためで、「人ロ1万人当たり1カ所の配置」が当面の目標。協力してくれる医療機関の確保を急ぐとともに、住民には「必ず予約を」と呼び掛けている。
患者情報を一元化管理 県、医療システム導入(10.29 茨城)
新型コロナウイルス感染患者の増加に備えて県は、入院対応に当たる県内39病院との間で、陽性患者の受け入れ状況などを共有する独自の医療連携システムを導入した。県全体の病床の空き状況や患者の重症度などを一元管理することで、スムーズな入院調整や医療現場の負担軽減につなげるのが狙いだ。導入したのは「県コロナ感染症医療連携システム(i― HOPE)」。9月下旬に導入し、新型コロナ対応で司令塔となる県入院調整本部と、重点医療機関などの39病院で共有する。自治体独自のシステム構築は全国的にも珍しい試みという。
システムで病院側は、新型コロナの入院患者数と症状の程度、人工心肺装置「ECMO(エクモ)」や人工呼吸器の使用の有無などを入力する。病院ごとの現状が自動集計され、病床稼働率など県全体の状況が一覧化される仕組み。病床の空き具合や機器の使用状況が一目で分かるため、特定の病院に患者が集中しないよう迅速に入院先を調整できる。医師や看護師が手軽に報告できるよう入力項目は必要最小限にし、スマートフォンでも使える。
病院側には定時報告を求めており、一覧情報は毎日昼ごろ更新される。容態悪化の恐れのある患者がいれば、現場の人員が手厚い昼間のうちに重症者に対応できる病院への転院調整が可能になり、現場の負担が減る。
コロナ・インフル両対応 診療・検査629カ所指定 県、来月2日運用開始 (10.30 茨城)
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた医療提供体制で、県は30日、発熱患者の相談や診療、検査に対応する「診療・検査医療機関」に、県内629カ所を指定したと発表した。保健所中心だった従来の方針に代わる新たな体制として11月2日から運用を始める。併せて県は、指定機関のうち名称公表などの条件を満たす医療機関に協力金100万円を補助する。大井川和彦知事が30日に臨時会見し、明らかにした。
原発問題(東海第二原発関係も含む)
福島第1処理水、海洋放流へ 政府、月内にも決定 (10.16 茨城)
東京電力福島第1原発で汚染水浄化後に残る放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分に関し、政府が海洋放出を決定する方針を固めたことが15日、関係者への取材で分かった。月内にも関係閣僚による会議を開いて決定する。
風評被害対策は新たな会議体を設署して具体化を進める見涌し。増え続ける処理水の扱いに関する議論が2013年に始まって7年。大きな節目となるが、風評被害の懸念を訴え続けてきた漁業者らの反発は必至だ。
海洋放出には設備工事や原子力規制委員会の審査が必要なため、放出開始まで2年程度かかる見込み。政府はそれまでの間、国内外の理解を得るべく説明を続ける。風評対策の会議体では、福島県や漁業団体との議論を想定している。
全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は15日、加藤勝信官房長官と面会し、海洋放出に反対する要請をした。
第1原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水などで現在も汚染水、処理水が増え続けている。
東電によると、今年9月時点で処理水は123万トンに上り、処理途中の水も含めて1044基のタンクに保管。東電は、このままでは敷地に余裕がなくなり廃炉作業に支障が出ると説、東電によると、今年9月時点で処理水は123万トンに上り、処理途中の水も含めて1044基のタンクに保管。東電は、このままでは敷地に余裕がなくなり廃炉作業に支障が出ると説明、タンク容量も22年夏には限界に達するとしている。
福島原発処理水 海洋放出へ調整 漁協 水産物の風評被害懸念 (10.17 朝日)
東京電力福島第一原発の処理済み汚染水(処理水)問題で、政府が海に放出する方向で最終調整に入った。水産物への風評被害を危惧する県内の関係者に、当惑が広がった。
10漁協で構成する「茨城沿海地区漁業協同組合連合会」の吉田彰宏専務理事は16日午前、困惑した様子で、「最大の懸念は水産物への風評被害だ」と。原発事故後、水産物のサンプリング検査で安全性を確認し、スーパーなどでアピールを続けてきた。今年2月には、10漁協の代表らが大井川和彦知事を訪ね、国に反対意見を伝えるよう要請した。吉田専務理事は「(原発事故後)10年近くかけて努力してきたものが、振り出しに戻ってしまわないか」と危機感を明らかにした。
大井川知事は2月、漁業者から要請を受けた際、海洋放出案を「全く容認できない」と断言。漁業者とともに県庁内でシュプレヒコールをあげる一幕もあった。ただ、9月に政府が周辺自治体から意見聴取をした際には「検討過程を、透明性を持って示してほしい」と述べ、明確な反対姿勢は示さなかった。会合後の記者団の取材にも「他の選択肢を検討して難しいということが分かれば、最終的にベストな方法を選ぶことについては理解したい」との見解を明らかにした。
東海第二原発 再稼働を考える 県民向け広報紙 来月から県 (10.27 朝日)
日本原子力発電の東海第二原発(東海村)の再稼働について、県は26日、安全性の検証や広域避難計画の検討状況などを県民に周知するため、11月から「原子力広報紙」を発行すると発表した。原子力安全対策課は「知事が再稼働を判断するプロセスの一環で、県民が判断する土壌づくりとしたい」としている。
広報紙は、全県民向けと原発から半径30キロ圏内にあり、広域避難計画策定が義務づけられている14市町村の住民向けの2種類。いずれも県の広報紙とともに新聞に折り込み、今年度は11月1日に県民向け(A4判計8ページ)は84万世帯、14市町村向け(同計4ページ)は33万世帯に配布する。コンビニや公共施設などにも置くほか、県のホームページでも見られるようにする。
安全性の検証を進める県の有識者会議で出された地震や津波対策など200以上の論点の概略のほか、広域避難の際の移動手段や検査体制の課題などをまとめる内容。今年度は1回、来年度以降は年に複数回程度を発行する予定という。
再稼働の判断をめぐり、県は、安全性の検証▽実効性ある避難計画の策定▽県民への情報提供、の3要件が整うことを前提として挙げており、県は広報紙を情報提供の一つの手段と位置づけている。
原子力、超党派で議論 52人参加 県議が研究会発足 (10.30 茨城)
日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)の再稼働問題を含め、原子力行政について幅広く研究する県議会の超党派グループ「原子力政策研究会」が29日、発足した。最大会派・いばらき自民党と、県民フォーラム、公明党の3会派全議員51人と無所属1人の計52人が参加(同日現在)。水戸市内で発会式と設立総会が開かれ、いばらき自民の海野透氏自民党県連会長代行が会長に選出された。今後は月1回程度の研究会や会員同士の議論を行う。
6月の県議会第2回定例会で否決された同原発再稼働の賛否を問う県民投票条例案を巡る議論に伴い、議員それぞれが「原子力」を当事者として考え、改めて深く勉強する必要性を認識したのが発足のきっかけ。
講師を招いての研究会開催や会員同士の議論のほか、市町村議会などとの原子力に関する情報や議論の共有も図っていく。研究会への参加は、いばらき自民が県民フォーラム、公明の2会派などに呼び掛けた。今回、県議のうち同条例案に反対した議員が発足メンバーとなったが、賛成した議員が参加を希望した場合も「受け入れる」(海野会長)という。
地方制度・自治体論・地方自治一般
災害ポランティア県の役割明記自民が条例案 (10.2 朝日)
県議会のいばらき自民党は1日、災害ボランティア活動の環境整備を目的とする条例案をまとめたと発表した。パブリックコメントを通じて意見を募り、12月の定例県議会での提案を目指す。この日発表した条例案は、県の役割を明確にすることが柱。現地の社会福祉協議会がボランテイアセンターを設置するのが難しい場合に必要な措置を講じることや、団体同士の連携を促す取り組みなどを県に求めている。
県庁業務 押印廃止へ 年内目標に電子化推進 (10.3 茨城)
県は、県民による申請・届け出や県庁の内部事務などについて、書類への押印を原則廃止し、電子化を推進すると発表した。県民の利便性向上や業務の生産性向上が狙いで、県単独で対応可能な業務の電子化や押印廃止について年内を目標に進める方針。国の法令が、県の一部業務で電子化の障害となっていると説明し、国に改正を要望していく考えを示した。県が進めるデジタル化は大きく分けて、①県民などが提出する書類、②県が文書に押印する公印、③内部事務の3項目。県民などの提出書類については、全1641業務のうち、県単独で対応可能な721業務(379業務は対応済み)を電子化する。法人設立や土木開発の許認可など662業務については県規定を改正して押印廃止を進め、役所などの窓口を訪れることなく申請・届け出ができる環境を整備する。従来通りの押印による申請なども残す方針。
自治体システム標準化22年度から国支援、導入義務付け(10.5 茨城)
自治体の業務システム標準化に向け、政府が検討している新法案の概要が4日判明した。新システムへの移行は、標準仕様を策定済皿みの住民基本台帳から2022年度に開始。作業量が多い大規模自治体などの特例を除き、17業務について原則として25年度末までに終える。自治体には標準システムの導入を義務付け、国は関連経費を支援する。
これまで業務システムは自治体がばらばらに整備してきたが、国が定める標準仕様に沿って企業が開発する。情報の項目や書式が統一され、基本的な機能は同じになるため、自治体は複数の企業が提示する価格やサポート内容などを比較して契約先を選べる。共同発注によるコスト削減や、ネットワークを通じた共同管理をしやすくする狙いもある。
17業務は住民基本台帳のほか、地方税や年金、保険、児童手当など主に市区町村が扱う業務。国は新法成立後、標準化に関する基本方針を閣議決定する。全国市長会など地方団体の意見を反映させ、セキュリティー対策も盛り込む方向だ。標準仕様は各業務を所管する総務省や厚生労働省などがそれぞれ定める。地方税や介護保険などは21年8月、国民年金や児童手当などは22年8月をめどにまとめる。
25年度末までの標準化を促すため、国は移行費用を財政支援する。システム変更の前倒しに伴う追加経費も含め、22年度予算案の編成過程で具体策を詰める。システムが大規模で移行に時間がかかる政令指定都市などは、特例として導入完了を26年度以降に先送りできる規定を設ける。
ウェブで模擬市議会取手 法令や採決、課題探る (10.7 朝日)
取手市議会が、オンラインによる模擬市議会を始めた。ゆくゆくはオンラインでの本会議開催をめざしており、法令や採決システムなどの課題を探るのが目的だ。市議らは自宅などからリモート参加し、タブレット端末でテレビ会議システム「Zoom」を使い、議案の質疑や採決を体験した。
この日は、9月定例会での議案や請願の一部を議題に、オンラインで再現。 一般会計補正予算案の質疑では、事務局職員が市長や部長役を務め、提案理由の説明や答弁をした。採決は3通り試したが、それぞれに課題が浮かんだ。
まず、画面上で挙手する方法。この場合、挙手が画面に映りきらないケースがあった。Zoom画面にある親指を立てるマークを使う方法も試したが、マークは10秒ほどで消えてしまった。タブレット端末の表決システムを使う方法では、Zoomと併用すると画面から市議らの姿や音が消え、本人確認のために別の端末が必要になった。一方、市議の中には「オンライン議会には、議員へのなりすましや採決が本人の意思なのかなどの大きな課題がある。完全オンラインは難しいのでは」との声もある。
オンライン本会議の実現には地方自治法の改正が必要で、市議会は6月、同法改正を求める意見書を賛成多数で可決した。
県、押印廃止の方針 申請書類などは662業務 (10.7 朝日)
県は、住民や事業者などから提出される書類や県庁の事務での押印について、年内に原則廃止する方針を2日に発表した。電子申請については、県独自で手続きを決められるものは年内の導入をめざすという。
県によると、押印を廃止するのは、住民などの申請書類などのうち、県が押印を規定している662業務。県庁の内部事務については、人事や会計など約60業務の押印も、10月中に原則廃止することをめざすという。県は2018年4月から業務の電子化を進め、同年7月時点で電子決裁率がほぼ100%となった、としている。
県が電子申請導入を進めるのは、県民などの提出書類に関する全1641業務のうち、県独自に手続きを決められる721業務。そのうち約半数にあたる379業務はすでに電子申請を導入済みだ。引き続き、紙の申請も併用するという。国の法令などにより、県独自に手続きを変更できな920業務は、国に対して法令などの改正を要望するという。
自治体もIT人材不足 (10.8 日本経済)
自治体が不足しているデジタル人材の獲得に乗り出している。東京都が新卒向けの採用職種に「ICT」(情報通信技術)を新設したほか、即戦力の経験者を採用する自治体も多い。ただ企業も獲得に力を入れるデジタル人材を自治体が採るのは容易でなく、副業で採用する例も出てきた。
東京都は、2021年向け採用試験で採用職種に「ICT」を新設した。10人の採用枠に78人から応募があったという。10年にはICTに精通した職員を2年間の任用期間で募集し10人を採用した。(IT部門職員約100人全国最多)デジタル人材の採用に力を入れてきた神戸市は、夏までに「ファストリティリアリング」でデジタル事務に携わった経験者ら2人を「デジタル化専門官」として採用した。
愛媛県は、デジタル分野の企画・立案を担う職員をテレワークも可能な副業・兼業に限定して募集。9月にAIのソフトウェア開発企業などに務める県外居住者3人を採用した。
鎌倉市は、AIのスタートアップなど5社から研修生を受け入れ、ノウハウを取り入れている。
ただ、自治体のデジタル人材は不足しているのが実態だ。総務省によると、19年度の情報主管課の職員数は全自治体で約1万1千人で、10年度より25%少ない。行政のスリム化で人員が減っているほか、情報分野は他部門に比べて優先順位が低くなりがちだ。
「事務方」貢献 改革は新時代へ議会基本条例を制定した地方議会 (10.13 朝日)
コロナ禍で変革を迫られたものの一つに「地方議会」がある。議会開催を見送った地方議会も多い中、茨城県取手市議会は4月からウェブ会議システムでの議会運営を進めている。本会議の出席は「議場にいること」とする地方自治法の壁はあるものの、4月に議長など7人が災害対策会議をウェブ会議で開催。10月2日には模擬本会議も実施した。議会事務局次長の岩崎弘宣さん(47)は「デジタル化で多様な議会活動が可能になる」と語る。取り組みを応援する早稲田大学マニフェスト研究所(マニ研)招聘研究員の長内紳悟さん(39)も「議会改革の新時代の到来です」と言う。
議会改革。まだ進行形なのだ。その証しに、住民との意見交換や情報公開を義務づけ、真に機能する議会運営を目指す「議会基本条例」を制定する議会は今も増えている。地方自治研究者らで作る「自治体議会改革フォーラム」の調査では、昨年度も栃木県那須鳥山市など7の議会が制定し、今年7月段階で888議会に達した。全国1788団体のほぼ半数だ。
地方交付税削減や補助金の廃止などが打ち出された「地方財政改革」の余波で、議会基本条例は全国に波及。11年には年間制定数が100を超え、13年には最多の159だった。
マニ研は10年から「地方議会総合ランキング」を始めた。地方議会の改革度を「情報共有」「住民参加」などの項目で調査。最新の19年度調査では、評価方式の変更もあり、5年連続1位だった北海道の芽室町が2位に退き、兵庫県西脇市が1位となった。西脇市は自治会や高校生と意見交換を重ねて政策立案につなげるなど、「議会機能強化」の点で評価された。長内さんは「対外的な調整や意見集約など、事務方の支えは大きい」。取手市議会の取り組みも事務局の発案だった。新時代の真の立役者は、「事務方」かもしれない。
494議会で意見書 核兵器禁止条約 政府に参加要求 (10.20 しんぶん赤旗)
兵器禁止条約発効が迫るなか、日本政府に禁止条約への参加を求める地方議会の意見書が494となり、全自治体の27%にのぼることが、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の調べで19日までにわかりました。
禁止条約が国連会議で採択された2017年7月7日以降、請願や陳情を趣旨採択した11議会を含めたものです。6月議会以降、9月議会で26増えました。
岩手県議会が2度意見書を可決し、長野、三重、沖縄の3県議会が意見書を可決。鳥取県議会は陳情を趣旨採択しました。市町村議会は趣旨採択を含めて220市216町53村です。岩手県では3月までに県議会と33市町村議会全てで可決。秋田県は県議会と25市町村議会のうち22市町村議会(85%)で可決。北海道は57市町村議会、長野県は県議会と49市町村議会、新潟県は24市町村議会で可決しています。
9月28日に全会一致で可決した大分県国東市議会の意見書は、核兵器廃絶は世界の流れであり、「日本政府はこの条約に反対し参加していないことに心を痛める」と表明。「唯一の戦争被爆国として地球上の核兵器廃絶に向けて主導的役割を果たすことを願います」として、禁止条約参加を求めています。
地方政策 「創生」から「分権」へ(10.20 朝日)
人口が減り続けるなか、持続可能な地域社会を築くことは、菅政権の最重要課題の一つだ。まずは、安倍政権が「地方創生」の名の下で進めてきた諸施策を継承するのだろう。
だが、それでいいのだろうか。三つの理由で疑間を抱く。
第1は、そもそも地方創生は掛け声倒れだからだ。看板だった「東京一極集中の是正」は見る影もない。「2020年に東京圏の転出入を均衡させる」と唱えたのに、実際には転入超過が続いた。
政府機関の地方移転も文化庁の京都移転が目立つくらいだ。
第2は、実際は旧態依然の補助金行政であり、分権改革に逆行しているからだ。「創生」関連の交付金は、道路や港湾などの公共事業も幅広く対象にした。プレミアム商品券の原資にもなった。その累計はざっと9千億円にのぼる。ことしの骨太方針にも、政府は「『新たな日常』が実現される地方創生」との位置づけで、道路や整備新幹線を盛り込んでいる。「創生」を付ければ、何でもありといわんばかりだ。交付金を受け取る自治体にも歓迎する機運があるからこそ、こうした施策が続く。
しかし、政府が行司役で自治体に計画を作らせ、それを見ながら資金を配る手法は、いかにも政府主導、中央集権的だ。近年、地方創生のように政府が自治体に計画策定を求める規定が増えている。 政府による地方への統制が、以前より強化されつつあるように見える。もっと分権を進めて自治体の自由度を広げ、地域づくりを現場に任せるべきだ。第3はコロナ禍である。働き方が変わり、大手人材会社の本社機能の淡路島移転も話題になった。在宅勤務経験者の4人に1人が地方移住への関心を高めている、という内閣府の調査もある。
コロナ対応では、政府に先んじた首長が相次いだ。雇用対策や休業補償、PCR検査で独自策を実施した自治体も多い。全国知事会も「緊急事態宣言を市町村単位で」などと提言した。こうした自治体の臨機応変な対応を可能にする自主財源と権限を思い切って渡す。それが時代に見合う地方政策だろう。その第一歩として、地方創生を根幹から見直すべきときだ。
予算・税・財政
19年度市町村決算歳入歳出、過去最大に幼保無償化、復興税で増 (10.7 茨城)
県内44市町村の2019年度決算概要(普通会計)で、歳入、歳出の総額がともに1兆円を大きく超え、2年連続で過去最大を更新したことが6日までに、県のまとめで分かった。昨年10月に始まった幼児教育・保育の無償化や、震災復興特別交付税を活用したのみ処理施設整備事業などの増加により、ともに決算規模が拡大した。
44市町村の歳入総額は1兆2516億円(18年度比1・5%増、190億円増)。歳出総額は1兆1913億円(同0・8%増、93億円増)。歳入、歳出とも過去最大だった18年度を上回った。
歳入は、18年度からの繰越金や合併特例債、臨時財政対策債が減少したものの、幼児教育・保育の無償化に伴う国庫支出金の増加や、ごみ処理施設整備などによる震災復興特別交付税が増加した。
歳出は、被災・老朽化した行政庁舎の整備事業が多くの自治体で終了したことなどで総務費が減少した方、民間保育施設の運営経費増などによる民生費増加に加え、ごみ処理施設整備事業の増によって衛生費も増えた。東日本大震災関連事業費は316億円で、前年度比24・0%減。実質収支は、45年連続で全ての団体が黒字決算となった。数値が高いほど一般財源の余裕度が低いとされる経常収支比率は、前年度より悪化し、0・7%上昇した。上昇した団体数(33団体)が低下した団体数(11団体)を上回り、経常収支比率が90%を超えた市町村は35団体と、前年度から3団体増えた。
市町村の借金に当たる地方債の合計残高は1兆1323億円(0・8%増)で11年連続増加。積立金の合計残高は、財政調整基金、特定目的基金などを取り崩したことにより、9%減の2898億円となった。
県市町村課は、決算の健全化を判断する実質公債費比率と将来負担比率を踏まえ、「指標で見ると全体的に健全」とし、本年度の決算見込みについて「新型コロナウイルスが地方財政に与える影響は、まだ見極められない」と説明した。
まちづくり・都市計画
関係人口創出 官民で協議会 (10.6 日本農業)
政府は、都市に住みながら特定の地域に継続的に係わる「関係人口」の創出・拡大に向けて官民連携の全国協議会を月内に発足させる。都市と地方を結ぶアイディアを共有し、自治体と関係団体、企業との新たな連携を促す場にしたい考え。都市側の要望を地域につなぎ受け入れ体制の整備を後押しする。
政府は、地方の活性化と東京一極集中の是正に向け「関係人口」の創出・拡大を推進。田んぼオーナー制度や祭りなど地域行事への参加の外、副業などを通じ地域に住まなくとも関わりを持つ人を増やし、地域を支える人材になってもらうことを目指す。
これまではモデルづくりが中心だったが、多くの団体が連携できるよう新たに「関係人口創出・拡大官民連携全国協議会」(仮称)を設立することにした。自治体に加え、地方と都市住民をつなぐ事業を企画・運営するNPO法人や大学・農業関係団体、旅行関連業者で構成。協議会設立後も会員を募る。
事務局の内閣官房まち・ひと・しごと創生本部は「関係人口の確保に熱意のある自治体、事業者がそれぞれの強みを生かし、協力する場にしたい。」と話す。
地域に人材、資本を「多核連携型」の国づくりを (10.6 日本農業)
国土交通省は、2050年までの日本の国土や暮らしに関する中長期的な課題や解決策を整理する「国土の長期展望専門委員会(会長増田寛也東大公共政策大学院客員教授)」を開き、中間取りまとめを指示した。東京一極集中の是正に向けて、人材や資本を地域の拠点に集約し、地域内外をつなぐ「多核連携型」の国づくりを打ち出した。食料自給率向上や関係人口拡大も視野に入れる。同専門委は年内にも次回会合を開き、今回の中間取りまとめで掲げた課題の解決策を検討する。
テレワーク移住促進へ 日立市が初 (10.8 毎日)
日立市は、県外から市内に移住してテレワークで仕事をする人に住宅取得費用などを支援する移住促進事業は県内初。住宅を取得すると最大151万円が助成される。対象は、県外企業に勤務しながらテレワークをする人が、県外企業から受注を受けてテレワークをするフリーランスの人で、年齢条件は39歳以下。
住宅を取得した場合は最大、151,5000円、賃貸した場合は同101,5000円、実家にUターンした場合は同400,000円を支給する。通信器機整備やコワーキング施設の利用料なども含まれる。
申し込みは2021年3月15日までで、市は20人の移住を見込んでいる。5年を超える居住を想定しており、3年未満で転出した場合は、助成金の全額、3~5年以内の転出の場合は半額の返還を求める。
コワーキング施設=パソコンを持ち歩いて、どこでも自力に仕事ができる場所(施設)
本県、魅力度42位 8年ぶり最下位脱出 (10.15 茨城)
民間調査会社のブランド総合研究所(東京)による「地域ブランド調査2020」が14日発表され、都道府県魅力度ランキングで本県は過去最高の42位となり、8年ぶりに"指定席"の最下位を脱した。依然として下位ながら、前年より得点を大きく伸ばし、県や県議会、関係団体などの最下位脱出に向けた取り組みが成果を見せた形。
大井川和彦知事は「42位に上がったことは良いこと」としながらも、「実態はもっともっと上位にあってもおかしくない。常に1位を目指しているので満足はできない」と冷静に受け止めた。
調査は千の市区町村と47都道府県を対象に6~7月、インターネットで各地域に対する認知度、魅力度など全84項目について尋ね、20~70代の男女約3万人から有効回答を得た。
調査結果によると、本県の魅力度は13・1点。前年と比べ3・7点増え、前年からの上昇度は3位タイだった。本県について「とても魅力的」との回答は前年の2・3%から5%に倍増し、「やや魅力的」も14・2%から21・3%に大きく増えた。他のランキング項目の「認知度」は33位から23位に、「情報接触度」も38位から24位に上昇した。
本県の結果について、同社の田中章雄社長は「特に地元出身のアイドルやタレント、農林水産物などの認知度が上がり、露出が高まったことで、全般的に底上げされたのではないか」と分析した。
本県の魅力向上に向け、県は18年度に営業戦略部を新設し、プロモーション戦略チームを中心に観光や農産物など県の魅力発信を強化。県議会も本年度、魅力向上特別委員会を設置した。7月には県内企業や団体の代表者らが「いばらきビリ県脱出連絡会議」を発足させ、一丸となった取り組みをスタートしていた。
同調査は2006年にスタートし、都道府県別調査は12回目。魅力度ランキングで、本県はこれまで12年の46位を除き全て最下位で、昨年まで7年連続となっていた。不名誉な結果が定着する一方、「魅力度最下位」が逆に本県の知名度を高めた側面もあり、県は17年度の「いばらきイメージアップ大賞」で同社に特別賞を贈った。
都道府県別の魅力度1位は12年連続で北海道.)前回43位だった栃木県が本県に代わり47位となった。
テレワーク応援県内移住を誘う日立市など相次ぎ事業(10.21 朝日)
県内の自治体が、新たな移住促進事業を相次いで立ち上げている。テレワークの普及で東京などの都市圏への通勤頻度が減った人をターゲットに、アクセスの良さや自然環境を売り込む。
日立市は今月、市内に移住してテレワークをする人に住宅の費用を助成する事業を始めた。県外企業に勤務したり、フリーランスとして県外企業から継続的に仕事を受注したりしている39歳以下が対象だ。
助成金額は、市内に住宅を取得した場合は最大で約150万円、賃借の場合は最大約100万円、実家にUターンした人が最大40万円。 このほか、テレワークに必要な機器の購入費用の一部や、市内3カ所のコワーキング(共同で働く)スペースで使えるチケットも支援する。5年以上の居住が条件で、3年未満で転出した場合は全額、3年から5年以内の転出は半額の返金を求める。住宅の取得と賃借が5人ずつ、Uターンが10人程度を見込み、事業費約1500万円を予算化した。39歳以下に限定したのは、14歳以下の「年少人口」の割合が、全国や県の平均を下回っているためだ。
温暖化 自治体拠点遅れ (10.25 毎日)
異常気温による被害や農業への影響など、過去5年間に地球温暖化が関連しているとみられる影響があった自治体が約8割に上ることが毎日新聞が実施したアンケート(47都道府県と20政令市)で判明した。一方、被害軽減を目指す「気候変動適応法」で求められている対策推進拠点の整備が済んでいた自治体は4割弱にとどまった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が出ている自治体も多く対策の遅れが懸念される。
2015~19年度の間に温暖化が関連しているとみられる影響があったか尋ねるたところ、何らかの影響があったと回答したのは38都道府県、17市の55自治体(82.1%)、自然災害が30都道府県、16市の46自治体(68.7%)、熱中症増加など健康面が26都道府県、10市36自治体(53.7%)だった。
温暖化の被害回避・軽減のための対策「適応策」は、18年12月施行の気候変動適応法により、努力義務として都道府県、市町村に地域できめ細かな対策を進める拠点「地域気候変動適応センター」の整備を求めている。センターを「整備済み」と答えたのは24府県・1市25自治体(37.3%)。
11都道府県・2市の13自治体(19.4%)は整備方針を決めていた。整備の見通しがたっていないか、予定がない自治体が11県・17市の28自治体(41.8%)だった。(茨城県の回答については不明)
津波警戒区域指定3割弱地価懸念・切迫感の薄さ 要因 (10.26 朝日)
津波被害の恐れがある40都道府県のうち、避難対策を強化する「津波災害警戒区域」の指定をすべて終えているのは3割弱にとどまることが、国土交通省への取材でわかった。制度開始から9年近くになるが、地価下落の懸念や切迫感の乏しさなどで進んでいない。
2011年の東日本大震災を教訓に、国はその年の12月、「津波防災地域づくり法」を施行。都道府県に対し、想定される最大級の津波が来た時に浸水の恐れがあり、避難対策の必要がある場所を警戒区域として指定するよう求めた。ただ、義務ではなく、市町村や地元の合意も前提となる。指定された場所がある市町村は、避難場所や避難経路、避難ビルを地域防災計画に盛り込むことや、ハザードマップの作成が義務づけられる。市町村が指定した学校や病院、老人ホームなどの施設は、避難計画を作ったり、避難訓練をしたりすることが必要になる。
国交省によると、9月1日時点で40都道府県のうち、必要な場所すべての指定を終えたのは、山形、富山、愛知、京都、広島、鳥取、山口、徳島、福岡、長崎、沖縄の11府県。北海道や神奈川など6道県は一部の指定が終わっている。
警戒区域の中でも特に危険度が高い場所は、建築制限を伴う「津波災害特別警戒区域」に指定できる。だが、これまでに指定されたのは、静岡県伊豆市の沿岸部の一例だけだ。
「関係人口」1822万人 地域活動参加 625万人(10.28 日本農業)
国土交通省は、「関係人口」が全国に1822万人いるとの推計を発表した。 三大都市圏で858万人、それ以外の地域で96万人と推計した。全国的な実態を明らかにしたのは初めて。 関係人口のうち、地域の祭りを裏方として支えるような「直接寄与型」が625万人の上った。
同省は、移住者など地域と都市の両方の視点を持つ人を「関係案内人」に位置付け、地域に人を呼び込むため、双方のニーズを調整する必要があるとした。受け入れ地域のまとめ役を確保することも重視している。
地域経済
米農家に独自補助金稲敷市コロナ禍 米価下落で (10.7 朝日)
県有数の米どころ・稲敷市が、米価の下落で苦境に立たされている米農家への支援に乗り出した。コロナ禍で飲食店などが使う業務用需要が低迷。新米価格が昨年より落ち込んでいるため、独自の補助金交付を決めた。農家は「ありがたい」と歓迎している。
同市は、県がまとめた今年度の田んぼの作付け状況によると、主食用米の作付面積は5159㌶でトップだ。だが、コロナウイルスの影響で外食需要が激減し、新米価格が下落した。市によると、JA稲敷の主力米の1俵(60キロ)の買い取り価格は、あきたこまちが1万2千円で、昨年より2千円下がり、コシヒカリも1万2500円と昨年に比べて1700円安いという。例えば、あきたこまちを1反(10アール)あたり8俵収穫できた場合でも、1万6千円の減収になる計算。市は、「このままでは米農家の生産意欲が減退する」と危機感を抱き、コロナウイルス緊急経済対策事業の一つとして、農家の支援を決めた。
「主食用水稲次期作付支援事業」で、来年度以降も米作りを続ける農家を対象に10アールあたり5千円を補助する。肥料や農薬などの購入費用の一部に使ってもらおうと、10月から申請の受け付けを始めた。市は1650戸の3137㌶を対象に見込み、約1億5700万円の予算を組んだ。すでに900戸以上から申請が届いているという。
放棄地を景勝地に 栃木県益子町ランドスケープ計画 (10.11 日本農業)
栃木県益子町は、町内を7地区に分けて里山や窯業などの文化・背景・生活環境の三つの資源を生かして、景観や遊歩道などを整備する「ランドスケープ計画」をまとめた。耕作放棄地の対策として農家と協力して住民が歩きたくなり、観光客や移住者の誘致にもなり関係人口の増加につながる街づくりを目指す。
計画では、里山資源・文化背景・生活環境の三つの視点で、町内7地区ごとの方針を検討。地域住民が愛着を持てるような内容とした。特に里山資源では、整備する遊歩道や自動車道から望む耕作放棄地に地域農家の協力で景観作物やハーブを植える。
環境と開発
県内4ダム AIで事前放流判断 (10.1 茨城)
県内の既存ダムの洪水調整機能を強化するため、県は人工知能(AI)による予測で事前放流を判断する新たなシステムを導入した。国の雨量予測データを基にダムへ流れ込む水量を計算することで、事前放流の必要性や洪水調整のための貯水位などを的確に分析、緊急放流の回避につなげる。
事前放流が不十分だった場合は洪水調整のための容量が不足し、十分な機能が果たせないリスクをはらむ。このため県は、豪雨や台風による被害が想定される際に、AIを活用してダムへの流入量を事前に計算するシステムを構築、的確な事前放流が可能となる体制を整えた。
新たなシステムでは、国土交通省が3日前から提供する1時間ごとの雨量予測データを活用する。このデータをダムごとに記録された過去の洪水被害実績とともに分析し、各ダムに流入する雨量を予測。予測水位が、緊急放流が必要となる「異常洪水時防災操作開始水位」を超えると判断した場合は、事前に貯水位を下げる。
導入したのは、県が管理するダム計7施設のうち、放流ゲートを備える藤井川ダム(城里町)▽竜神ダム(常陸太田市)▽水沼ダム(北茨城市)▽花貫ダム(高萩市)の4施設。県は9月末から実際に運用を開始。同22日に関東地方へ接近した台風12号の際には、藤井川ダムで予測に基づいた事前放流の運用も行った。
進まぬ温暖化適応策 経済、健康 影響顕在化 (10.31 毎日)
毎日新聞のアンケート調査で農林水産業など6分野について、温暖化が関連しているとみられる影響があったかを尋ねたところ、少なくても1分野以上であったと回答した自治体が38都度府県・17政令市の55自治体(82.1%)に上った。災害や地域経済、住民の健康面など悪影響が顕在化している実態が浮び上がってきた。
稲作への影響が顕著になってきていると回答したのが茨城県、穂が出てから20日間の平均気温が26度以上になると低品質の米粒「白未熟粒」が発生しやすくなり、農家の収入減の原因となるか。高温になる年が増加傾向にある。
変化に直面しているも、被害を回避・軽減するための対策「適応策」をなかなか進められない実態も明らかになった。適応策を進める上での課題を尋ねたところ(複数回答)、専門的な職員の不足(37都道府県13市)などが挙がった。
一方、先進的に取り組む自治体の例を見ると、優先的に取り組む必要がある分野を絞り、独自のシミュレーションやリスクの分析が早めの対策につながることがうかがえる。 (滋賀県、岐阜県の例示あり)
医療・福祉・社会保障・教育
県教育委小中授業動画、充実へ5教科4000本予習、復習に活用 (10.4 茨城)
県教委は、新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化を受け、小中学生向けに提供を始めた授業動画「いばらきオンラインスタディ」について、年度内に動画の本数を現在の約千本から4千本に増やす。新型コロナの再拡大に備えるとともに、授業の予習・復習に活用するのが狙い。総再生回数は小学生用と中学生用を合わせ約244万8千回(9月末現在)に上り、活用が広がる。新たに完成した動画は順次公開する予定で、来年度以降も大半が活用できる。県教委は「作成する意義は大きい」と期待する。
授業動画は国語、社会、算数・数学、理科、英語の5教科で、1本10~15分程度。地域によって採用が異なる教科書それぞれに対応しており、小学1年~中学3年までの1年分の授業全てを網羅すると約4千本になる計算だ。
台風19号から1年被災地域 細る絆に不安仮設住宅いまも108世帯 (10.10 朝日)
関東や東北に広く被害を及ぼした昨年Ю月の台風19号から、まもなく1年となる。那珂川と久慈川の堤防が決壊した県内では、これまでに計235世帯が仮設住宅を利用し、今も108世帯が残る。住み慣れた地域に戻る人、別の場所に移る人―。被災地域では、コミュニティーの維持を危ぶむ声もある。
もともと高齢化や人口流出が進む地域で、被災をきっかけに住民同士のつながりが細ることに危機感を抱く人もいる。台風の前は近所の住民で作る自治組織「常会」に5世帯が加入していたが、うち3世帯が別の場所に移って会は解散した。もともと減少が続いていたが、台風で拍車がかかった形だ。常会で分担していたごみの掃除や草刈りなどの負担は重くなりそうだ。隣の常会も台風後に解散したため、新たな常会として合流できないか打診したが、話し合いはまとまらなかった。気にかかるのは、常会の担ってきた作業のことだけではない。高齢者の多い場所で、「つながりがなくなるのはやはり不安だ」と明かす人も多い。
介護保険料滞納差し押さえ最多18年度65歳以上の高齢者1.9万人 (10.11 朝日)
介護保険料を滞納して、預貯金や不動産といった資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者が増えている。2018年度は過去最高の1万9221人にのぼったことが、厚生労働省の調査でわかった。65歳以上の保険料が介護保険制度が始まった00年度から約2倍に上昇していることも影響したとみられる。
調査は全国1741市区町村が対象。差し押さえ処分を受けた人は14年度に初めて1万人を超え、前年の17年度は1万5998人だった。介護保険に加入している65歳以上の人は、18年度末で3525万人いる。
このうち9割は年金から介護保険料を天引きされているが、残り1割は年金額が年18万円未満で、保険料を納付書や口座振替で支払っている。生活保護を受ける人は、生活保護費に介護保険料が加算されて支給される。差し押さえを受ける人は、生活保護は受けていないが、受け取る年金がわずかで保険料を払えなくなった人が多いとみられる。
保険料は40歳から支払うが、未収の保険料は65歳以上の分だけで約236億円(18年度)にのぼる。65歳以上の介護保険料は3年に1度見直されるが、高齢化で介護保険の利用者が増えるのに伴って保険料の上昇が続く。00年度は全国平均で月額2911円だったのが、15年度には5514円、18年度からは5869円になった。団塊の世代がすべて75歳以上になる25年度には7200円程度になると見込まれている。
介護保険料を滞納するとまず督促状が届く。それでも支払われない場合、自治体は資産を差し押さえ、滞納分の支払いにあてることができる。介護サービスを利用している人が滞納した場合、差し押さえではなく、通常1割の利用者負担を3割に引き上げるなどのペナルティーを科すケースもある。差し押さえをするかどうかは自治体の判断にゆだねられる。
少人数学級ぜひ 228議会が意見書国に要求 (10.17 しんぶん赤旗)
国に少人数学級の実現を求める地方議会の意見書が、少なくとも228自治体で採択されていることが本紙の調べでわかりました。北海道、岩手、山梨、和歌山、鹿児島の1道4県の議会も含まれます。県庁所在地・政令指定都市では札幌、金沢、甲府、名古屋、松江、福岡、北九州の各市議会であがっています。
鹿児島県議会は委員会が発議した「安心安全な教育環境のための少人数学級を求める意見書」を全会一致で採択しました。新日本婦人の会鹿児島県本部が、県内の教育委員会にアンケートを実施。安全で豊かな学びを保障するために至急必要なことは、20~30人以下の少人数学級だと7教委が回答しました。同本部は県議会にはたらきかけるだけでなく、12自治体に「国の責任による『20人学級』を展望した少人数学級の前進を求める意見書」の採択を求める請願や陳情を提出。4市-町で採択されました。
台風19号から1年 大子の介護施設 「垂直避難」基本に (10.30 朝日)
大子町の介護老人保健施設は、台風19号を教訓にして避難確保計画を見直した。これまでの計画では、避難時の利用者の車両確保が難しいなどの課題が見つかったためだ。県も実効性ある避難計画のため、避難訓練の実施を呼びかけている。
台風19号後、施設は避難計画を改定。水害が予想される際は、早めに2階に避難する垂直避難を基本とし、水が引いた後に、必要であれば町内の三つの高齢者施設に避難するとした。要介護度の高い高齢者の場合、一般の避難所でケアすることは難しいほか、避難所では感染症のリスクが高まることから、高齢者施設への避難を決めた。これを踏まえ、町内の施設長らと災害に備えて話し合いなどの連携を深めている。
ただ、ほかの高齢者施設に搬送する際の車両と人員の確保は大きな課題だ。町や地域の防災関係者と協議し、確保にむけて働きかけるという。
水害が発生する恐れのある地域で、高齢者や障害者が利用する施設に作成が義務づけられている「避難確保計画」は県内で進んでいる。県は台風19号以降の昨年10月から昨年度で計6回、市町村などと連携して施設管理者への計画作成のワークショップを開催した。
県のまとめによると、策定率は昨年3月末で31・7%だったが、今年同月末で70.4%と増えた(対象施設・計961施設)。一方で、計画の実効性を高めるための訓練の実施に課題が残る。
629カ所両方診察可 コロナ・インフル県の目標超す (10.31 朝日)
大井川和彦知事は30日、県内で新型コロナウイルスとインフルエンザの両方の診療や検査ができる医療機関として629カ所を指定したと発表した。11月2日から、保健所を介さず、指定を受けた地域の医療機関が相談を受けつける運用に移行する。政府は、新型コロナとインフルは初期症状が似ていることから、都道府県が両方の診療や検査ができる「診療・検査医療機関」を指定する方針を示していた。県は518カ所を目標として、県内の医療機関から協力を募っていた。今後、ホームページで医療機関名を公表する。
スムーズな運用には、なお課題が残る。県は指定医療機関の望ましいあり方として、①かかりつけ患者以外も受診可能②自院で検体採取が可能③医療機関名の公表―の三つの基準をあげる。だが、629カ所のうち全ての基準を満たすのは83カ所。患者の殺到や風評被害を懸念して、公表を受け入れているのは148カ所にとどまるという。どの病院が指定されたかの情報は医療機関同士で共有し、仮に最初に相談したかかりつけ医が指定を受けていなくても、検査や受診が可能な病院を案内できるようにする。県は11月13日までにすべての基準の受け入れに応じた医療機関に、100万円を補助することも明らかにした。