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第178号

第178号

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第178号

2023・10・28更新

山形町芋煮会全景

やまがた宿芋煮会=常陸大宮市

10月表紙1



 直径3・5㍍の大鍋で作った芋煮を楽しむ常陸大宮市の「やまがた宿芋煮会」が11月20日、同市山方の清流公園で開催。
 コロナの影響で開催は4年ぶり。芋煮は、里芋、奥久慈しゃも肉、玉こんにゃく、など地元産食材を使って作る。
 協賛金1杯300円で提供。




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東海第二原発で防潮堤の基礎に隙間や変形 工事中断へ

 来年9月の完了、その後の再稼働をめざして進められてきた東海第二原発(東海村)の地震や津波に備える安全対策工事について、日本原子力発電(「原電)と略)は10月16日、防潮堤の基礎部分に複数の施工不良が見つかったと発表した。
実は、同日、日本共産党県委員会が県庁での記者会見で、同原発で作業していた工事関係者の証言を紹介して施工不良の内容を明らかにした。この発表に合わせて、原電は急遽メデイアに公表したのである。工事関係者は6月に会社に報告していた。原電は、6月9日に発覚してから防潮堤工事の一部を中断していたが、施工不良の事実を公表しなかったので、工事関係者は共産党県委員会に告発してきたという。
 不備が見つかったのは、防潮堤の取水口付近にある防護壁の南基礎と北基礎。それぞれ基礎は15・5メートル四方で、地下50メートル付近まで打ち込まれているが、地中の壁面の一部にコンクリートが詰められていない隙間があったり、基礎の鉄筋が変形している不備、さらに、基礎が岩盤に到達していない、など。
原電は、この日、原子力規制庁に報告した。
 施工不良を告発した工事関係者は、「コンクリートの入っていない基礎は腐食も早く強度も保てない」「現在の工期ありきの工事の進め方は懸念される」とも訴えているという。
 岸田政権の、原発再稼働にがむしゃらな姿勢が「安全対策工事」の手抜き、杜撰な施工を生み出しているといえる。40年稼働を経た原発の60年延長稼働に始動している全国の原発の安全対策は本当に大丈夫なのだろうか。
                 

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今月の俳句

父の齢超えて父の忌(き)初時雨(しぐれ)
   ガスの炎(ほ)の揺れやまざりし夜長かな
コスモスの風を纏(まと)いて郵便夫
   ふるさとは小道が多し鰯(いわし)雲  
道なりに風も曲りて大花野(おうはなの)


高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問

 寄 稿 

水道料金の大幅値上げにつながる1県1水道はストップを

田中 真己(水戸市議会議員 日本共産党)

1 市町村の自己水源を閉じさせて高い県の水を買わせるのが目的

 日本共産党水戸市議団は、茨城県が推進する1県1水道、経営一体化について、水道料金値上げや、7割もの浄水場の廃止で災害リスクを高めるとして反対し、議会でも水戸市が参入しないよう繰り返し求めてきた。
 そもそも、水道広域化・1県1水道は、水道法の改悪により国が基本方針をたて、県が強化計画をつくり推進しているものである。
 そのねらいは、官民連携の名のもとに、水道事業の運営を民間に開放することに加えて、ダムなど過大な水源開発の反省は皆無のまま、市町村の自己水源を閉じさせて、高い県の水を買わせようというものである。
 茨城県内の水道事業は、県北・県中央・鹿行・県南・県西の5つの圏域に分かれている。県は市町村に対して、今後の人口減、水道使用量と料金収入減、施設老朽化をおどし文句に、「県が一体的に運営してあげるから、まずは経営一体化、いずれ料金統一の1県1水道にしましょう」と圏域ごとの勉強会を続けてきた。
それを一段階ステップアップする「広域連携検討・調整会議」への参加意向の締め切りが2023年9月22日とされた。
 
2 水戸市が不参加を表明し、1県1水道がとん挫

 これに対し9月11日、水戸市の高橋市長は「1県1水道をめざす経営一体化には参加しない」と市議会で表明した。
 これは市民の利益にかなう重要な決断である。特に、水戸市が参加しない理由について「県のシミュレーションを市独自に検証した結果、独自経営を維持した方が給水原価を安く抑えられる」とした点が重要である。
 10月6日の建設企業委員会で詳しい説明があり、私は県と市のシミュレーションに差が出た原因を質問した。
 市は、漏水防止のための鉛管解消を早期に完了させ有収率をアップさせることや、ICT化の推進で経費削減を図ることなどを理由にあげた。
 しかし、県のシミュレーションは収入・支出ともに、将来にわたって一律の設定のため、実態と乖離があるとのことである。

3 ずさんな県のシミュレーション‥市町村の独自検証が不可欠

 水戸市の不参加表明によって、茨城県が進める1県1水道は早くも頓挫した。
 その一方で、「広域連携検討・調整会議」への不参加を表明したのは水戸市だけで、他の自治体はすべて参加することにしたようである。
 しかし今後、他自治体でも水戸市と同じように独自検証を行えば、県と異なる結果が出る可能性が高い。従って市町村ごとに今後の水道事業の独自検証をもとめる働きかけが重要である。

4 県の秘密主義はだめ‥黒塗り資料の全面公開を求めて「審査請求」

 県は水道広域化プランで、県内105ある浄水場のうち70か所を閉鎖し、35まで削減しようとしているが、どの自治体のどの浄水場を閉鎖するかは示していない。市町村や住民にとって重要なライフラインをずたずたにする計画を持ちながら詳細を示さず、広域化を強行しようとする県の姿勢は許しがたい。
 そこで私は、閉鎖する浄水場の具体名や、給水原価のシミュレーションの根拠データなどの情報公開を請求した。ところが結果はほぼ黒塗り、いわゆる「のり弁」の資料しか出されなかった。(資料 ① )
 私は10月4日、これを不服として黒塗り資料の全面公開を求め知事に行政不服審査法に基づく「不服審査請求」を提出した。今後、弁護士や大学教授など10人の委員で構成された「情報公開・個人情報保護審査会」で、開示・不開示決定の当否が審査される。
 いうまでもなく水道事業は市町村や住民にとって重要なライフラインであり、その計画の詳細を県民は知る権利がある。
 水道経営一体化・1県1水道は、水道料金値上げや浄水場廃止、経営の民間委託など、住民にとって何ひとつ良いことはない。

 今後も県民にその危険性や実態を知らせ、地方議員とも連携して中止させるため力をつくす決意である。

資料
茨城県の資料
添付資料 1県の黒塗り資料
水戸市の説明資料
水戸市の水道部の説明資料

 

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 報 告 

「境町施設視察研修会」に参加して

岡村 瑞比古(茨城県自治体問題研究所 事務局次長)

10月11日に県庁友の会水戸支部が主催する「令和5年度施設視察研修会と福祉大学」に県庁友の会会員として参加をしました。参加者は総数50名、バス2台うち女性が11名でした。

 今回の視察研修は、新型コロナ感染状況等もあり危ぶまれていましたが コロナも落ち着いてきましたので開催となりました。目的地は「境町」です。面積は46k㎡で人口23944人と小さな町ですが昔から県西の中心都市で県の行政機関等もあり最近、「自動運転バス」や「道の駅さかい」が有名です。見学の目的は、街づくりの状況、くま隈けん研ご吾うじ氏の建築物、スポーツ施設などです。
 視察は2班に分かれて、最初にスポーツ施設・ホッケーフィールドを見学しました。人工芝でブルーの色が鮮やかでした。

 二番目は、次世代型サーヒィン施設S-wave(エスウイェーブ)です。
 東京2020オリンピックで正式種目となったサーフィンなどが体験できる施設が、品川より境町に移転。初心者から才リンピック選手、プロサーファーまで幅広い年齢層の利用が可能であり、水中ウォーキングや親子で楽しめるシュノーケリング、SUPヨガなど日々の体力づくりにも活用ができます。
 三番目は、アーバンスポーツパークです。
 新たな世代のアスリートを創る国際大会の基準を満たしたアーバンスポーツパークBMXフリースタイル、スケートボードなど。
新たに整備されたテニスコートやクラブハウスの隣地に、アーバンスポーツを行う施設を整備。(常設としては日本唯一)アーバンスポーツの総合国際大会である「FISE(エクストリーム・スポーツ国際フェスティバル)」等を招致可能な基準を満たす規模とし、世界的大会の招致や、高水準の設備を利用したい競技者などを呼び込み、交流人ロを拡大しています。
 昼食は「坂東離宮」で弁当を頂きました。その後、橋本町長、議長、教育長さんのあいさつがあり境町の町政について野尻副町長さんから説明がありました。その後ビデオを鑑賞しました。特に、境町が推奨している「すべての子どもが英語を話せるまちへ「スーパーグロバルスクール事業の取組みなど英会話教育がすばらしかったです。
 午後は、S-1ab(ワイナリー)、S-Gallery(美術館)、S-Café等を見学。ワイナリーではおいしいワインを頂きました。
 隈研吾氏の建築物で美術館やワイナリーなど斬新なデザインで雨樋がない建物が珍しかったです。
 そのほか、さつまいも加工研究開発施設や子育て世帯住宅促進住宅など新しい施設ができています。スポーツを中心に都会や世界にまで枠を広げ各施設の整備や人的交流が広がって境町は大きく変貌する要素が見えてきました。

自動運転バス1

 最後に、さかい道の駅で「自動運転バス」一区間だけ試乗しました。定員11人乗り、無人運転。静かで大変乗り心地がよかったとの感想でした。
 自動運転バス「誰もが生活の足に困らない町へ」によると、 BOLDLY(株)(ソフトバンク子会社)及び(株)マクニカの協力のもと、自動運転バスを3台導入し、生活路線バスとして定時・定路線で運行。片道2.5kmのルートを約20分で走行し、病院や郵便局、スーパーキッズハウスなど日常生活に必要な施設付近に設置した停留所で停車する。バスの運行ルートは順次拡大する予定とのことです。
 今回の視察研修は、境町の施設視察に参加をしましたが、幸いにも天候に恵まれ大変勉強になりました。普段あまり外部からの刺激もなく平凡に暮らしている日々なので大変刺激になりました。
 境町は、ふるさと納税22年度は県内トップで59億5千万円です。財政の豊かさと橋本町長さんの若い発想力により大きく発展することを期待しております。

 支部長さんはじめ幹事の皆様に大変お世話になり感謝を申し上げます。

*写真説明
 自動運転バス 「NAVÝAARMA(ナビヤアルマ)」3台{フランスNawa社製)
 3台のうち2台の外装及び座席力バーには、境町出身の美術家である内海聖史氏が制作したキービジュアルを採用し、境町のコンセプトである「自然と近未来が体験できるまち」をイメージしてデザインしています.
また、3台のうち1台の外装には、境町とB0LDLY株式会社が、塊町の近隣を流れる利根川をテーマに公募したデザインを採用しています。

イラスト1

イベント紹介
市町村議員研修案内
第65回 Z00M開催  市町村議会議員研修会
 講義と事例報告で、マイナンバーカードの仕組みや利用の実際がわかる

第1講義11月7日(火)午後(13時~17時)  稲葉―将名古屋大学教授
マイナンバーカードの「市民カード化」 一 その仕組みと実際
事例報告予定; 地域交通、健康医療情報、図書館カード
マイナンバーカードの仕組みや自治体の利用の事例から、自治体議会に求められる課題を考えます。

第2講義11月9日(火)午後(13時~17時)  門脇美恵葉 広島修道大学教授
マイナ保険証と「保険者の自治」
事例報告: 国民皆保険を支える保険者の立場からの「要望書」
神 田 敏 史 神奈川自治労連執行委員
「マイナ保険証」をめぐる動向から、国民の医療保障を自治体・保険者はどう確保するかを考えます。
申し込みはこちらhttps://www.jichiken.jp/event/231107/form/

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今月の 川柳

防衛費秋空突いて雲を切り 
   教会のどこにも居ないマリアさま
ミサイルで国を守るという神話 
   シオニズムいつ迄つづく殺し合い 
インボイスちんぷんかんぷんヘソ曲がり 
   老いの鼻サンマの臭い遠ざかり 
アルプスの次は富士山エベレスト 
   カマキリに身がまいられてアゴを出し 
行きづまり金権政治すんづまり
   聞く耳にとびこんでくる虫の声

 

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)


新刊紹介

新刊

 

準新刊

『新型コロナ最前線 自治体職員の証言 2020-2023 』

日本自治体労働組合総連合[自治労連] 編 
黒 田 兼 一(明治大学名誉教授)監修  
定価(本体1500円+税) 大月書店

 北海道から九州まで41人の自治体職員の証言集
 住民のいのちとくらしを支えるため、自らも感染のリスクを抱えながら その最前線に立っていた自治体職員がつづる。

●デジタル化の「落とし穴」に目をつぶってはいけない'

『デジタル化と地方自治自治体 - DXと「新しい資本主義」の虚妄』

岡田知弘・中山徹・本多滝夫・平岡和久著 A5判並製カバー、174頁 定価1870円

 2017年度から21年度までの5年間に、マイナンバー(カード)の紛失・漏洩事案は5 万6000件を超えた。最近でも、マイナンバーカードを活用した行政サービスで、システム上のトラブルが相次いでいる。コンビニで他人の証明書が誤交付され、マイナ保険証や公金受取口座で他人の情報がひも付けされるなど、混乱をきわめている。
 いずれも個人情報が他人に見えてしまう深刻な不具合だ。個人情報の漏洩は人権侵害問題に直結する。また、地域活性化の手段とされる「デジタル田園都市国家構想」はブラックボックスを抱え込んで、市民を置き去りにして、企業中心の事業へと展開する。
 こうして、地方行政のデジタル化はデジタル集権制の性格を強め、地方自治の基盤を揺るがす危険性に満ちている。

目次 第1章●岸田政権の「新しい資本主義」論と経済安全保障・DX=岡田知弘(京都橘大学教授)第2章●デジタル田園都市国家構想の概要と問題点=中山 徹(奈良女子大学教授)第3章●デジタル社会と自治体=本多滝夫(龍谷大学教授)第4章●デジタル化予算と国家財政、自治体財政=平岡和久(立命館大学教授)

デジタルシリーズ いま、何が問題か

『医療DXが社会保障を変える』
● マイナンバー制度を基盤とする情報連携と人権

稲葉―将・松山洋・神田敏史・寺尾正之著
定価1210円 

 国民の個人情報・医療情報・健診情報が連携されるデータプラットフォームづくりのねらい

『デジタル改革とマイナンバー制度』
● 情報連携ネットワークにおける人権と自治の未来

稲葉―将・内田聖子著
定価990円

マイナンバーカードとマイナポータルの仕組み

『保育・教育のDXが子育て、学校、地方自治を変える』
● 子育て・教育の枠を超えて、こどもの個人情報が利活用される

稲葉―将・稲葉多喜生・児美川孝一郎著
定価1100円

以上、自治体研究社 〒162-8512東京都新宿区矢来町123矢来ビル4F
TEL 03-3235-5941 FAX(03-3235-5933  

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