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第116号

第116号

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第116号

2018・08・27更新

倉敷市真備町

堤防が決壊し浸水した住宅・ 岡山県倉敷市 7月7日

 堤防が決壊し、浸水した住宅の屋上で救助を待つ住民ら(岡山県倉敷市真備町)。豪雨で高梁(たかはし)川水系の小田川や高馬川が決壊し、真備町の面積の27%にあたる約1200ヘクタールが浸水。倉敷市真備支所や公民館、学校も水没した。


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犠牲者の7割が60代以上、災害弱者への救助こそ第一に! 

 西日本を中心とする豪雨災害で、死者が全国14府県で220人、行方不明11人(3県)に上った(8月6日現在)。朝日新聞が7月12日時点のまとめで、判明している死者のうち年齢や死亡した状況が明らかになっている141人について調べたところ、60歳以上が100人で7割を超えたと報道。「災害弱者」とされる高齢者が多く犠牲になっている実態が浮き彫りになった。
 今夏の豪雨災害は、雨量が最も多い所でおよそ1,700ミリに達し、各地で平年の7月、1か月分の半分程度の雨が降ったということで、専門家も「台風でないのに、梅雨の豪雨でこれだけ広い範囲で、しかも長い時間、大雨をもたらしたというのには驚いている」と述べている。
 去年(2017年)の九州北部豪雨では、比較的狭い範囲に短時間に集中して猛烈な雨が降ったのに対し、今回は1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が、広い範囲で長い時間、降り続いたという特徴をもっている。その結果、72時間に降った雨の量が、全国にある気象庁の119の観測点で、統計を取り始めてから最も多くなり、

また、48時間の雨量も123の地点で最も多くなって、記録的な豪雨となったという(読売新聞8月4日)。今回、気象庁が大雨の特別警報を5年前の導入以来、最多となる11の府県に発表する異例の措置をとったけれども、被害の拡大を防ぐことはできなかった。
 豪雨がなぜ、これほど広範囲に、しかも長時間にわたって降り続いたのか。予報官の多くが、まれに見る気象条件がいくつも重なって起きたと指摘しており、「記録的大雨」、「想定外」という言葉がメデイアで多用された。政府見解も同趣旨であった。
 豪雨災害、台風災害が常態化しており、しかも年々、災害規模が拡大している。今回の西日本豪雨犠牲者の起因は、土砂崩れ、そして川の氾濫、水路への転落という順になっており、まさに住民生活に直結する治山治水対策の徹底化が求められている。人間の安全保障という観点がいまこそ政策の全分野に貫かれるべきである。
 武力による安全保障に基軸をおく安倍政権の根本的転換を急がなければならない。

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わがまちからの報告

市立中央図書館が市直営に戻る
ー来年4月からー

佐藤 弘子・山田 みえ子(守谷市議会議員)

はじめに

今年6月市議会における佐藤の一般質問に対し市長(松丸修久氏)は「重い決断だと思っている。直営に戻すことは学校図書館・室と密接に関係し、子どもたちの読書・読書環境にたいして重要な意味合いをもっている」と応えました。市長はすでに5月8日の議員全員協議会の場で本年2月に第三者委員会としての「図書館運営協議会」の答申を踏まえ「民間委託はなじまない、直営に戻す」と表明していました。以下、この度の市長表明に至るまでの経過を述べます(詳しくは「議会と自治体」9月号の記事を参考にしてください)。

指定管理者制度導入を市長が示唆(2015年3月議会で)

 前市長(会田真一氏)は施政方針で、2015年2月、図書館運営協議会の答申を得たとして市立中央図書館(以下図書館)運営に指定管理者制度の導入を示唆しました。私たちはこの情報を知らされていませんでした。山田は、市長の施政方針の質疑の場で図書館の運営はどう変わるのか質しました。市は人件費の削減が主目的でありボランティア団体(約20団体)には変わらず活動してほしい。運営経費もこれまでと同額を計上すると答弁しました。
 この年の6月議会に「図書館と歩む会」が「民間事業者に任せるべきでない」とする陳情書を2002筆の連名で提出しました。山田は上記陳情書採択賛成の立場から、市は市民への十分な説明が先決で一旦白紙に戻すべきと主張し、佐藤も最終日条例改正反対の立場から条例改正に際して議会に十分な説明もなく、また社会教育機関としての理念が後退する、自治体の教育・知的財産が特定民間団体に利用される、従業員の労働条件の悪化が予想される、として市の態度を糾弾しました。陳情書は不採択、条例改正は賛成多数で可決されました。

付帯決議の採択

 また、この6月議会では条例改正にあたって6項目の付帯決議が採択され、第一項目は運営を指定管理者にスムーズに移行すること求めるものでした。その他の項目は陳情書に書かれていたもので最後の第六項目は、図書運営に精通した第三者の監視機能を設置することでした。私たちは当制度導入反対の立場で採決に反対しましたが、最後の項目はこの度の直営復活の指標になったと思います。

図書館運営2ヶ月で館長はじめ6名が退職

 2016年4月からの運営はTRC(図書館流通センター)と常総ビル整美事業体に替わりましたが、6月末までに図書館スタッフ6名が退職。市議会はTRC社長を参考人招致し運営体制の確立を求めました。この年の9月議会で、佐藤の一般質問に対して市は運営改善確認を報告しています。

「図書館を考える会」が再び陳情書提出

 同じ9月議会に対し「会」は運営を市直営に戻すように陳情しました。山田は採択賛成の立場からTRCは利益追求の姿勢が露骨であり直営に戻すべきと主張しました。陳情書は反対多数で不採択となりました。つづく12月議会で佐藤は、陳情書は不採択となったが市はどう受け止めるのか質し、市長は「市長の立場として独善的ではいけないので、付帯決議(2015年6月議会で採択)の第三者委員会で出された結論をみて判断する」と述べました。その年の11月に教育委員会から図書館運営協議会へ平成31年度からの管理運営体制についての諮問が出され、5回(非公開の部分あり)の審議の結果、今年2月、市長に「市直営で行う」という答申が出されました。現在市は来年4月の市直営に向けて新館長、司書等新たな人事配置などの作業を進めています。

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 寄 稿 

第60回自治体学校に学んで

鈴木かずみ(牛久市議会議員)

福岡市で開かれた第60回自治体学校(7月21~23日)のテーマは、「憲法をくらしにいかす地方自治」でした。地方自治のさまざまな問題について熱く学び合いました。私は現在県南水道の広域議員であることから、水道議会(8月3日)が間近に開かれることもあり、水道の民営化問題をめぐっての分科会に関心を持って参加しました。

公共の福祉からの変質をねらう水道法改正

 分科会では、報告と討論を通じて、民営化や民間委託では、企業の利益追求を実現するものにしかならず、市民には何のメリットもないことが浮き彫りになりました。
 先の延長国会で継続審議となった水道事業の広域化と民間参入の促進を図る水道法改正案について尾林芳匡(おばやし・よしまさ)弁護士が報告しました。
 尾林氏は、自治体は“きれいな水、豊富な水、安い水を供給する”という水道法の理念に立ち返り、国はその根拠となる憲法25条2項にのっとって、公衆衛生・社会福祉の向上・増進に努めるべきだと強調しました。水道法改定法で「基盤強化」(経営改善)の名のもと、民営化・広域化を自治体に押しつける安倍政権の政策を批判しました。
 また、水道施設や運営権などを民間に譲渡する「コンセッション方式」で水道民営化が進められている静岡県浜松市の契約書などを詳しく紹介されました。重大事故などが起こったときの賠償責任は自治体に求められる契約になっていること、広域化でさらなる企業の利益につながることが指摘されると会場から驚きの声が上がっていました。
 尾林氏は、「民営化・民間委託は自治体と市民にとって何のメリットもない」と述べ、水道事業の公共性をまもり、▽「地域の条件に応じた計画」の視点をつらぬく、▽水道の「産業化」ではなく、公共部門の維持継承こそ大事、▽国の技術的・財政的支援は「地域の条件に応じた計画」を支えることに徹すること・・・が重要だと話されました。

世界の流れは「再公営化」

 分科会では、国際的な研究団体「トランスナショナル研究所」の岸本聡子研究員が、イギリスから帰国して報告しました。
 サッチャー政権下で水道の完全民営化を行ったイギリスでは、民営化は公的財政にプラスになっていないと会計検査院が報告していると紹介。英国はじめ各国で民営化されたサービスを再び民間から「公」のもとに取り戻す運動が広がり、世界の流れは「再公営化」にあることを報告しました。
 民営化によって、水道料金の値上げは40%にもなり、サービスも向上しない、債務は約6兆円にも達し、水事業の多くはタックスヘイブンを介して税金を納めていないこと。下水の未処理で川が汚染されるなど多くの問題が解決されず、再び公営化に戻す動きが出ているとのことです。一度壊したものを元に戻すことは大変な困難さがあることなどリアルなお話でした。日本は、世界の教訓に学ぶべきです。

2018/07/24しんぶん赤旗

しんぶん赤旗

 西日本豪雨災害、台風など日本中で災害が頻発しています。そのたびに命の水の重要性、ライフラインの損害と復旧のひっ迫した状況が伝わってきます。管路の老朽化対策は喫緊の課題です。安倍首相は、次の国会で水道法を改正し、海外企業の利益のために水道民営化を目論んでいます。民営化では水道料金の大幅値上げはさけられません。施策と税金の使い方が間違っています。国は、大幅な補助金を出して計画的に老朽化した管路の更新を、国の政策として優先的にやるべきことではないでしょうか。軍事費を減らして!

裏口にまわれば狭き門があき
夕焼けの雲をながめて待つ花火  
ヒバクシャの声に逆らう橋渡し
平成の最後となるや終戦日
辺野古海信じられぬと盆の風

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

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いべんと

自治体OB会員懇談会2018年度 研修会&総会のご案内

 1 研修会(施設見学)
  ・ 施設見学(現地集合)
       9月9日(日)午後1時00分
  ・鹿島神宮の歴史と参拝
 2 総会・宿泊
  ・場所:『かんぽの宿 潮来』 ☎0299-67-5611
       〒311-2404 潮来市水源1830-1
  ・日程:9月9日(日)PM4:00総会   PM6:00懇親会  
 3 負担金 : 10,000円(1泊2食)

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新刊紹介

「いのちの水」をどう守っていくのか!

水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)

 老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える

準新刊

川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』

A5 133頁 1600円+税

本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。

 本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。

『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
         

本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)

A5判110頁 定価(本体1100円+税)

主な内容
 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。

Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用

武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授

B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)

 総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
 地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
 地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
 グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
 財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
 合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
 国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業                            

本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長

A5判110頁 定価(本体1,100円)

 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。

第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ

第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する

第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育

第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする

第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために

改訂新版『地域再生と町内会・自治会』

著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司

   
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
 私は「上原公子」

上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編

 国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
 第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り   上原公子
 第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる  
 窪田之喜
 第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
 田中 隆
 第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
 小川ひろみ
 第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
 年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
 くにたち上原景観基金1万人の会

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使っているの?(歳出のしくみ): 目的別と性質別/「充当一般財源等」

『公共施設の統廃合・再編問題にどう取り組む-計画づくりから本格実施へ-』

角田英明
A5版・32頁 一般普及300円(地域研・自治労連割引単価200円)

 全国の自治体では、現在、公共施設等総合管理計画づくりが急ピッチで進められています。
 既に2015年度末までに全国30道府県、15指定都市、396市区町村でつくられ、今年度末にはほぼ全自治体で策定されます。これはこれまでのような個別施設の更新、統廃合に止まらず、公共施設全体を中長期的な視野に立って全面的に見直し、再編していくものです。そのため国は、公共施設等の解体撤去や公共施設の集約化・複合化、転用等に係る財政措置を講じて各自治体に計画の策定と実施を迫っています。同時に、この計画は「地方創生」戦略や市町村合併、指定管理者制度などと一体的に進められています。
 本書では、こうした状況を踏まえ、政府施策や各自治体の計画内容、今後の取組みの課題、方向を検討しました。皆さん方の活動に活用していただければ幸いです。

はじめに 
 1.いま、なぜ、公共施設の統廃合・再編か 
 2.計画の策定・推進に向けた政府の対応 
 3.各自治体の計画づくりと実施方針(秦野市 さいたま市 相模原市)
 4.今後の取り組みの留意点と課題 
 5.「地方創生」総合戦略と一体的に推進 
 6.市町村合併の中で進む公共施設の統廃合・再編 
 7.指定管理者制度における公共施設の再編問題 
おわりに

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