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第106号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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第106号

2017・10・25更新
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神栖防災アリーナ(仮称)建設工事=神栖市

防災アリーナは、神栖中央公園内で5月に着工。鉄骨地上二階建て、延べ床約1万9千平方メートルで、バスケットボールコート3面分のメインアリーナが中核となる。19年6月の開設を目指し、災害時には約1万人の一時避難所の機能も持つという。既に着工する公共施設を巡る住民投票は異例。総事業費は171億円。

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総選挙と憲法「改正」の危機

 安部首相が臨時国会冒頭に衆議院を解散し総選挙に打って出た。重大なことは、首相が、この総選挙を憲法「改正」実行のお墨付きを得る好機と位置づけたことである。自民党は、選挙の重点公約のひとつに、憲法9条に自衛隊を明記することを中心とする改憲を掲げた。過去を見ても、改憲の具体的内容を選挙戦で正面から争点とした例はない。自民党が改憲の具体的内容を旗印にして選挙を戦うのは結党以来はじめてのことであり、容易ならざる事態といえる。
 しかも解散直前になって、希望の党が旗揚げし、安倍9条改憲に反対するとしていた民進党を吸収・解党させた挙げ句、改憲勢力の一翼として登場した。この結果、たとえ自公勢力が後退しても、希望の党や日本維新の会などとあわせ改憲勢力が3分の2を占める危険性が高まっている。
 安部首相はじめ改憲勢力が2018年通常国会で改憲発議をねらってくるのは間違いない。
 改憲の中心である9条への自衛隊明記は、戦後日本が築いてきた「戦争しない国」の転換をもたらすことは明白である。9条の「武力によらない平和」の理念と真っ向から矛楯する「武力による平和」が明示されることになり、9条の根本的改編が起こる。また、これまで「自衛隊は9条2項が保持を禁じている『戦力』ではない」というために政府が積み上げてきた自衛隊の活動を制約する解釈=専守防衛論の撤回、9条のさらなる空文化が起こるのは必至である。9条明記で合憲とされる自衛隊は、違憲の安保法制=戦争法によって、集団的自衛権行使など海外での武力行使が認められた自衛隊なのである。
 日本海で北朝鮮監視を常時おこなっている米国軍艦・イージス艦・空母の護衛と物資供給の任についている海上自衛体艦は、文字どおりアメリカの軍事行動への加担により、朝鮮半島での軍事衝突に日本を巻き込む危険を増大させている。いまなら違憲・中止せよといえるが、9条明記後は言えなくなる。

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JCFU沿岸漁民フォーラムと日本漁業の今日的課題

二平 章(全国沿岸漁民連事務局長)

JCFU全国沿岸漁民連絡協議会とは

このほど、 JCFU全国沿岸漁民連絡協議会主催の全国沿岸漁民フォーラム「規制改革推進会議と漁業権を考える」が参議院会館講堂で開催され、北海道から長崎県までの全国各地の漁民をはじめ、水産企業、漁協関係者、自治体関係者、マスコミ、国会議員などが参加、会場いっぱいの170人が集まり活発な議論が行われました。
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会は小規模・家族漁業の経営を守ろうと2年前に結成された団体。この2年間で、北海道から長崎県にわたる2000名を越える漁民が加盟、毎年、沿岸漁民フォーラムを開催しながら、水産庁、全漁連、各政党の衆参議員に対し全国要望書の提出行動を展開。また、「海の議員」と称される海区漁業調整委員選挙では、北海道、岩手、千葉、和歌山の各県でJCFU会員の調整委員を誕生させ活動しています。

日本漁業の主人公は沿岸漁民

 日本の漁業経営体には数千トンの大型船を保有し、海外漁場で魚をとる企業経営体から、船を使用しないで磯浜で貝や海藻を採取する漁民まで含まれます。そのうち沿岸漁業として区分されるのは10トン未満の漁船をもつ小規模な漁業、沿岸で営む定置網漁業、海面養殖業です。日本の漁業経営体数は約9万4500ですが94%の約8万9100が沿岸漁業者。まさに沿岸漁業が日本漁業の主人公といえます。
 この沿岸漁業者は日本全国の海岸、島々に居住し、漁業生産を通して地域経済を支えると共に海岸の保全、海の汚染を監視、海難救助や国境線監視など多面的な役割を担っています。条件不利地も含む全国津々浦々の漁村と自然、地域経済を守っているのは小規模・家族漁業者であり、その発展なくしては「地方創生」などありえません。
 しかし、いま日本の沿岸漁業は担い手の減少がすすみ、この30年間で沿岸漁業経営体は19万6000から8万9100へと、じつに45%にまで減少しています。

「規制改革」という名の漁協攻撃

 このような沿岸漁業衰退の状況に乗じて登場してきたのが、沿岸漁場を資本に売り渡す「規制改革推進」の動きです。安倍内閣の諮問機関である「規制改革推進会議」は「漁業権を民間に開放する」という議論を今年5月から始めています。これに対しフォーラムでは規制改革会議の漁業権開放論について東京大学大学院の鈴木宣弘教授が「亡国の漁業権開放論:資源・地域・国土の崩壊」と題して講演。
 鈴木教授は「漁業権は、海を協調して、立体的、複層的に利用。漁業は企業間の競争、対立ではなく、協調の精神、共同体的な論理で成り立ち、貴重な資源を上手に利用している。その根幹が漁協による漁業権管理だ」と指摘。「漁業権の規制を撤廃して個々が自己利益を追求すれば、結果的に社会全体の利益が大きくなるという論理を、共有資源に適用するのは論外」と批判し、「全国の漁村のコミュニティーや、国土・国境を守る上からも漁業権の開放は容認できない」と訴えました。

沿岸漁民の生活と権利をめぐる諸課題

 フォーラムの第2部では、全国各地の沿岸漁民の生活と権利をめぐる問題について報告。「よみがえれ!有明訴訟」弁護団の堀良一弁護士は、「宝の海」と呼ばれた九州西部の有明海が、諫早湾干拓事業によって水質汚染と干潟の喪失、そして、深刻な漁業被害に見舞われて、開門を求めて裁判に訴えている漁民のたたかいを報告。福島大学の林薫平特任准教授と福島県岩子漁業生産組合の遠藤友幸氏は、原発事故後の福島漁業と汚染水問題について報告。遠藤さんは「アサリは昨年から、ノリは今年から試験操業が始まった。しかし、ノリは今でも基準値以下だが検出限界以下にはならない。漁家の高齢化が深刻な中で、消費者の信頼に応えるような出荷管理をどう実現するかが、大きな悩みだ」と語りました。宮城県からは「復旧・復興支援みやぎ県民センター」の綱島不二雄元山形大学教授が、被災者置き去り、大規模土木工事一辺倒の復興の現状を報告。水産特区を利用した漁業者グループと水産会社の合同会社に漁業権が許可されたものの、社員(漁業者)の退職や赤字経営が指摘され、問題が噴出している事例を報告、「特区という全国の漁業権取り上げ拡大に向けた”小さな穴”をふさぐよう頑張っている」と話しました。
岩手県の小型漁船漁業者100人がサケ刺し網漁業の許可を求めて県を訴えている「浜の一揆訴訟」については澤藤大河弁護士が報告。澤藤弁護士は、本来、大資本や国政と対峙して零細漁民を守るべき漁協が、岩手県では県の許可のもとで定置網によるサケ漁の漁業権を独占している実態を告発。漁業権を定めた漁業法の第1条に、「漁業の民主化をはかることを目的とする」とあることにもふれながら、「漁協・漁業権の二面性を見極めなければならない。漁民のための漁協、漁民の生業と共存してこその漁業権という大原則に徹してこそ、その正当性が発揮できる」と報告しました。

大規模まき網の操業規制でカツオ・マグロ資源の復活を

 和歌山東漁協の杉本武雄副組合長は、諸外国を含む大規模まき網による熱帯域における乱獲で日本沿岸へのカツオ来遊が減少、和歌山沿岸の小規模カツオ一本釣り漁業が2004年以降大不漁に陥っており、小規模家族漁業者ばかりでなく、地域そのものが危機に直面している現実を切迫感をもって報告。
 また、国により昨年から実施されたクロマグロの漁獲規制と沿岸漁民の窮状についても各地から報告が相次ぎました。長崎県対馬市ひき縄漁業協議会の宇津井千可志会長、千葉県沿岸小型漁船漁協の堀川宣明理事、本吉正勝副組合長、北海道焼尻島から参加した高松幸彦留萌海区漁業調整委員らが、マグロをとって生活している小規模漁師が魚がとれず、生活に困窮しており、中には廃業に追い込まれている現状もあることを報告。「資源回復のため資源を保護することには大賛成。しかし、資源減少の主因は産卵魚を乱獲する大規模まき網漁業。小さな一人乗りの船で一本一本マグロを釣る小規模漁業は漁獲規制から外すべき。規制をするなら所得補償をしっかりやるべきだ」と訴えました。

食料自給率向上と沿岸漁業重視の施策こそ大切

 フォーラムでは様々な今日的課題が報告されましたが、日本漁業の94%の経営体を占める沿岸漁業、家族漁業が一方的に衰退する背景には、ともすると大規模漁業、資本漁業対策を重視し、小規模・沿岸・家族漁業の振興対策が不十分であった国の水産政策にその原因があります。農漁業育成政策をすすめるEUに比べ、日本の農漁業政策には、①食糧の安全保障、②持続的な発展のための所得・価格保障、③環境の保全などの基本目標が確立されていません。安易に輸入農水産物にたより、食糧自給率を低下させ、所得対策・価格保障対策が不十分のまま、開発土木行政にまかせて魚介類の生育場である沿岸・汽水・河川の環境悪化に手をこまねいてきたところにその原因があります。
 世界人口の増加や異常気象の影響下で、食料自給は安全保障の観点から国家の基本的要件です。日本周辺の海は世界でも有数の豊かさをもっています。国は豊かな魚介類を国民に届け、食料自給率向上を達成させるためにも、沿岸漁家の減少に歯止めをかけ、安定的な漁業経営を行えるよう沿岸漁業の育成施策を展開させる必要があるでしょう。

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一強の安倍劇場に幕を引き
核条約アイキャンノットと云う総理  
矜持捨てバッジ欲しさに駆けめぐり
沖縄に落ちる魔物が住んでおり
秋雨に水浴びしてるスズメかな

 

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

新刊紹介

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

準新刊

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使っているの?(歳出のしくみ): 目的別と性質別/「充当一般財源等」

『公共施設の統廃合・再編問題にどう取り組む-計画づくりから本格実施へ-』

角田英明
A5版・32頁 一般普及300円(地域研・自治労連割引単価200円)

 全国の自治体では、現在、公共施設等総合管理計画づくりが急ピッチで進められています。
 既に2015年度末までに全国30道府県、15指定都市、396市区町村でつくられ、今年度末にはほぼ全自治体で策定されます。これはこれまでのような個別施設の更新、統廃合に止まらず、公共施設全体を中長期的な視野に立って全面的に見直し、再編していくものです。そのため国は、公共施設等の解体撤去や公共施設の集約化・複合化、転用等に係る財政措置を講じて各自治体に計画の策定と実施を迫っています。同時に、この計画は「地方創生」戦略や市町村合併、指定管理者制度などと一体的に進められています。
 本書では、こうした状況を踏まえ、政府施策や各自治体の計画内容、今後の取組みの課題、方向を検討しました。皆さん方の活動に活用していただければ幸いです。

はじめに 
 1.いま、なぜ、公共施設の統廃合・再編か 
 2.計画の策定・推進に向けた政府の対応 
 3.各自治体の計画づくりと実施方針(秦野市 さいたま市 相模原市)
 4.今後の取り組みの留意点と課題 
 5.「地方創生」総合戦略と一体的に推進 
 6.市町村合併の中で進む公共施設の統廃合・再編 
 7.指定管理者制度における公共施設の再編問題 
おわりに

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