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2019/11

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月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2019年11月分


台風15号、19号災害

決壊河川半数、浸水想定なし 中小36河川、人手・費用足りず  (11.3 朝日)

 台風19号で堤防が決壊した71河川のうち半数の36河川で、洪水で水につかるおそれがある地域を示す「浸水想定区域図」が作られていなかっ た。いずれも県が管理する中小規模の河川で、浸水想定の対象になっていなかった。住民が的確に避難できなくなる可能性もあり、専門家は作成対象を広げるよう求めているが、人手や費用などで課題も残っている。
 水害への備えを定めた水防法では、河川を管理する国や都道府県に対して、流域面積が広く水位が上がれば氾濫などで大きな被害が出るおそれがある河川を指定し、浸水想定区域図を作るよう義務づけている。
 朝日新聞が、国土交通省と台風19号で決壊が起きた七つの県へ取材したところ、計71河川のうち約50.7%にあたる5県の36河川で、浸水想定区域図が作られていなかった。宮城と福島がそれぞれ13河川と最も多く、次いで栃木が7河川、長野が2河川、埼玉が1河川だった。町役場周辺が大規模に浸水した宮城県丸森町では、決壊した3河川すべてで浸水想定区域図がなかった。宮城県の担当者は「大規模な河川の浸水想定作業を優先した」。

台風15・19号の農業被害 総額136億8643万円 (11.6 茨城)

 9月の台風15号と10月12日に上陸した台風19号による農林水産関係の推計被害総額が136億8643万円に上ったことが5日、県のまとめで分かった。平成以降の風水害では、2015年9月の関東・東北豪雨時の121億2416万円を抜き、1991年秋の台風と長雨による約287億円に次いで2番目の甚大な規模となった。
県農業技術課によると、台風19号の被害額が林業と水産関係を除き、農業関係はほぼ出そろった。同日午前11時時点で推計総額76億3157万円に上り、台風15号の60億5485万円を上回った。
農地・土地改良施設の被害額は52億1千万円と、10月31日の集計より約27億1千万円も大幅に増えた。被害が最も大きいのは大雨や河川氾濫により浸水した農地で、田畑への土砂流入など14億2300万円。市町村別では常陸太田市、守谷市、常陸大宮市、水戸市、那珂市の順に大きかった。次いで農業集落排水施設13億4500万円、用水機場12億3200万円。同課は「県北や県央地域で調査が進み、被害額が積み上がった」としている。農作物の被害額は12億1344万円。39市町、3937haで被害に遭った。53品目のうち最も大きいのはハクサイの2億7644万円。農業用施設の被害は38市町の4億3967万円。林業と水産関係の調査は継続する。

北茨城 水沼ダム緊急放流 水位調整、間に合わず 想定超豪雨、運用に課題     (11.7 茨城)

 台風19号が本県に上陸した10月12日夜から13日未明、水沼ダム(北茨城市華川町)と竜神ダム(常陸太田市下高倉町)は、貯水量が満杯となりダム決壊の危険があるとして、初の緊急放流に踏み切った。管理者の県によると、水沼ダムでは操作要領に従い事前放流による水位調整を2日前から始めたが、想定より早く大雨が降り出し、制限水位まで下げることが間に合わなかった。想定を超えた豪雨は今後のダム運用に課題を突き付けた。

決壊堤防県内12カ所 応急復旧が完了(11.7 茨城)

 記録的な大雨をもたらした台風19号による被害で、県災害対策本部は6日、県内で決壊した河川の堤防12カ所全てで応急復旧工事が完了したと発表した。
応急復旧が完了した国家管理河川は、常陸大宮市(野口、下伊勢畑)と那珂市下江戸の那珂川、常陸大宮市(富岡、塩原、下町)の久慈川の計6カ所。いずれも決壊箇所の盛り土と遮水シート貼り、ブロックの敷設が完了した。
 国土交通省常陸河川国道事務所は「今後、堤防調査委員会で被災メカニズムを検証し、本復旧の方法を検討していく」と話した。
県管理河川では、堤防が、決壊した水戸市(藤井町、成沢町)の藤井川と常陸大宮市小貫の久慈川、常陸太田市(茅根町、常福地町)、の里川、常陸太田市松栄町の浅川の計6カ所で応急復旧を終えた。このほか、護岸崩壊や越水、河岸侵食などによる被災で応急復旧が必要とされた54カ所全てで応急復旧工事が終了した。

堤防決壊 8割が合流点    (11.8 朝日)

 台風19号の大雨で堤防が決壊した140カ所(71河川)のうち、8割にあたる112カ所(62河川)が、支流と本流の合流点から約1キロの範囲だったことがわかった。専門家は「合流点近くに住む人は、浸水が起きやすいことを自覚しておくべきだ」と指摘している。国土交通省と河川決壊があった宮城、福島、栃木、茨城、埼玉、長野、新潟の7県が発表した資料や担当者への取材で、台風19号で決壊した71河川の堤防140カ所の具体的な地点を特定。川幅などの小さな川(支流)が大きな川(本流)に合流する地点と、その決壊箇所の関係を調べた。それによると、合流点から約1キロの範囲で支流の堤防が決壊していたのは、35力所(28河川)だった。
 合流点から約1キロ以内の決壊であれば、多くで「バックウォーター現象」が起きた可能性があるという。
 この現象では、増水した本流の流れにせき止められる形で支流の水位が上がり、水があふれて決壊につながる。宮城県丸森町では、支流の五福谷川や新川が氾濫。合流点付近では7カ所で堤防が決壊し、市街地全体が浸水した。本流側でも合流点近くの77カ所(38河川)の堤防が決壊した。支流の流量が多かったり、流れ込む角度が直角に近かったりすると、本流側でも合流点付近の水位が高くなり、堤防の決壊につながりやすいという。

台風15・19号被害 中小支援へ補助金新設(11.9 茨城)

 台風15号や19号など一連の豪雨による被災者の生活支援と事業再建に向けた対策パッケージを実行に移すため、政府は8日、2019年度予算の予備費から1316億円を支出することを閣議決定した。中小企業の復旧支援として503億7千万円を計上。本県はグループ補助金の対象からは外れたが、被災自治体が中小企業を支援する取り組みを補助する「自治体連携型補助金」を新設し、特に本県を含めた5県についてグループ補助金と同等の支援策が用意された。

台風19号後1カ月 県内建物被害4659棟 200世帯、自宅へ戻れず    (11.12 茨城)

 台風19号の上陸から12日でーカ月を迎える。県災害対策本部によると、11日午後3時現在で、記録的大雨による河川氾濫などで県内の建物被害は4659棟。避難所生活を送る被災者は当初の約2万人から43人まで減ったが、仮設住宅や自治体から提供された公営住宅などの仮住まいから、自宅に戻れない被災者は依然多い。決壊した河川の堤防や道路などインフラの応急復旧は進む一方、被災者の生活再建は道半ばだ。
■避難所 ピーク時(10月13日)44市町村で526カ所開設され、1万9595人の避難者がいたが、3市町の25世帯43人まで減少した。大子町は避難所2カ所に18世帯31人、水戸市はーカ所に4世帯6人、常陸大宮市はーカ所に3世帯6人が今も避難している。
■住宅 建物被害は全壊が9市町で286棟、半壊が!3市町で2206棟、一部損壊が32市町村で1246棟、床上浸水が8市町で207棟、床下浸水が15市町で714棟。
被災者を対象に公営住宅が提供され、11日午後1時現在で県営住宅に104世帯の入居が決定している。市町営住宅は79世帯、国家公務員宿舎は8世帯、賃貸型応急住宅は8世帯。大子町と常陸大宮市では仮設住宅の建設が進められ、常陸大宮市ではすでにトレーラーハウス型仮設住宅の提供が開始し、5世帯12人が入居予定。自宅に帰れない被災者は少なくとも200世帯以上おり、親戚の家に身を寄せる被災者も多い。罹災証明書の申請件数は39市町で2956件、交付件数は2506件。
■行方不明 常陸大宮市では、10月12日夜に外の様子を見に行った男性(71)が行方不明となったまま。死者は桜川市と大子町で計2人、中等症7人、軽傷13人。
■堤防 決壊した堤防12カ所全てで応急復旧が完了。県管理河川で、護岸崩壊や越水による被災で応急復旧が必要とされた54カ所も全てで応急復旧工事が終了した。
■交通 袋田-常陸大子間の第6久慈川橋梁が流失したJR水郡線は西金-常陸大子間で不通が続き、代替輸送バスを運行している。農林水産、中小企業、農林水産業の被害額は76億5388万円。9月の台風15号と合わせると、平成以降の風水害では2015年9月の関東・東北豪雨時の121億2416万円を抜いて2番目の甚大な規模。中小企業の推計被害額は74億9421万円。
■災害ごみ 県災害対策本部の5日午後3時現在の建物被害数を基にした推計で県内8万5千トン。多いのは水戸市4万6千トン、常陸大宮市1万4干トン、大子町1万3千トン、常陸太田市6千トン。県廃棄物対策課は「今後、被災建物の解体0みの受け入れを検討していく」と説明する。

災害発生情報 6割も未発令 決壊市町村確定困難で (11.13 毎日)

 10月の台風19・21号の影響で堤防が決壊するなどした12都道府県の70市町村のうち、6割にあたる41市町村が「災害発生情報」を発令しなかったことが毎日新聞のアンケートで判明した。5月に運用が始まった災害発生情報は、自治体が住民に出す避難情報で最高レベルに当たり住民に身を守ってもらうための「最後の一手」とされる。ただ、発令するには災害が起きていることを確認する必要があり、大災害時には発令が困難な実態が浮かんだ。
 従来、自治体が出す最高度の避難情報は「避難指示」だった。災害情報はその一段階上で、政府が新設した。災害の発生を周知することで、自宅の2階以上に避難してもらうなどの「命を守る最善の行動」を促す効果があるとされる。新指針の運用が始まって以来、多数の死者が出る災害は今回が始めて。
 災害発生情報を出す必要があったとみられる70市町村にアンケートを実施し回答をもらった。
警戒レベルを導入しなかった4市町村を除き66市町村が新指針を使ったが、うち41市町村はレベル5の災害発生情報を発令しなかった。発令したのは25市町村だった。

常総水害の教訓生きた 台風19号常総市の災害対策  (11.15 朝日)

 4年前に起きた常総水害では、常総市の災害対策本部がうまく機能せず、避難の呼びかけが後手に回った。台風Ю号では、一つの部屋に市と関係機関の職員が集まって情報共有するなど、教訓を生かした行動ができたという。
 「水位が上昇する見込み。落ち着いて避難行動をおねがいします」台風19号が県内を通過し、鬼怒川の水位が上昇してぃたlθ月13日午前3時43分、常総市の神達岳志市長は自身のフェイスブックに書き込んだ。すでに避難勧告を発令していた流域の住民らに避難を促すためだ。市長に鬼怒川の情報を伝えたのは、国土交通省下館河川事務所長。携帯電話に直接かかってくる「ホットライン」だ。鬼怒川上流のダムの放流の可能性など、12日午前から翌13日午後までに計20回以上やり取りした。ほかに、気象台長からも直接情報が伝えられた。市防災危機管理課の担当者は「トップ同士でやりとりすると、水位の予測などで踏み込んだ情報が得られる」と利点を強調する。
 市と関係機関の連携は、4年前の常総水害の教訓を踏まえたものだ。当時、対策本部の会議に関係機関の職員は参加せず、PCは1台で固定電話も1回線。外部有識者による検証報告書で改善を求められた。今回は対策本部の部屋を2・3倍広い部屋に変更し、関係機関の職員も常駐した。
市や関係機関が昨年3月にそれぞれの役割と防災行動を時系列でまとめた「タイムライン」も実施した。
 住民が自分で避難行動作成
 常総水害を教訓にした備えの強化は、鬼怒川・小貝川流域の自治体で広がる。国や県と減災対策協議会を構成する13市町は、すべてがタイムラインを策定済みだ。首長が参加する実践的な訓練も繰り返し実施している。今年6月には筑西市や守谷市、つくば市など8市町が県、国とともに図上訓練を開いた。

災害ごみ 想定外の広域処理  (11.18 茨城)

 台風19号の被災地で、浸水した家屋などから大量に出た災害ごみ。被災自治体では自前の施設だけでは処理し切れず、大子町は日立市に、常陸大宮市は土浦市に一部受け入れを要請、広域連携で処理を急いでいる。一方で、被害が広範囲に及んだため想定していた広域処理の枠組みでは対応できず、民間事業者との連携など課題も浮き彫りになっている。
■ブロック超える
 台風19号による県内の災害のみの発生量は8万7千トン(推計)。水戸市が4万6千トンと最多で、常陸大宮市と大子町が1万4千トンで続く。大子町の発生量は町の年間ごみ排出量の約2倍、常陸大宮市は約1年分に相当する。
災害ごみは市町村で処理するのが原則だが、本県では発生量が多い場合に備えて、県北▽県央▽鹿行▽県南・県西▽石岡の5ブロックに分けて市町村同士が相互支援する協定を結んでいる。
だが今回は県北地域で常陸太田、常陸大宮、大子の3市町が大規模な浸水被害に見舞われ、協定に基づき助け合うはずのブロック内で「受け皿」が不足する事態が生じた。
大子町は10月末から日立市へ1日20トンを上限に搬出できるようになったが、常陸大宮市の場合、県を通じた支援要請に応じた土浦市のごみ処理場へ搬出を始めたのは、被災1カ月が過ぎた今月19日になってからだった。
常陸大宮市は現在、自前のごみ処理場が収容能力を上回ったため災害ごみの搬入を一時停止中。土浦市には1日20トンを上限に29日まで搬出可能だが「車両の台数や距離などの関係で上限までは運べていない」(市担当者)という。
ブロック外の市町村との調整に時間を要したことから県は今後「県全域での市町村間の協定を検討したい」としている。
■民間と連携「鍵」
 自治体間の協力に加え、災害ごみの処理を迅速に進める鍵となるのは、民間との連携だ。今回は、常陸太田、常陸大宮、大子の3市町と城里町の計4市町が、産業廃棄物処理業者でつくる「県産業資源循環協会」に処理を委託。自治体側が仮置き場からの「年内搬出」を目指す中、協会員約60社が出動し、収集、運搬のほか、自社の焼却施設などで受け入れている。一方で現場の作業員の頭を悩ませているのが、仮置き場で山積みとなっている混合状態のごみの存在だ。
 運び込まれる際に分別を徹底できなかった例も多く、搬出の際に手間が増え、処理がはかどらない要因になっている。
 同協会の古矢満会長は仮置き場の運用を例に挙げ、「迅速な処理には初動がすごく大事。被災直後や事前の計画作りから市町村と連携できればより早く進められる」と話し、今後は県と結んでいる災害協定を市町村にも広げていきたい考えという。

県内災害廃棄物処理 復旧作業、遅延恐れ 30市町村計画未策定  (11.19 茨城)

 台風被害を受けた本県で「災害廃棄物処理計画」を策定しているのは、県内44市町村のうち約3割の14市町村にとどまっている。仮置き場の確保など初動対応に手間取れば復旧作業の遅れにつながるため、県は未策定の30市町村に早期の策定を促している。
 国は東日本大震災などの教訓を踏まえ、自治体に災害廃棄物処理計画を策定するよう求めている。計画には災害時に予想される①ごみの発生量や処理の方針のほか、仮置き場の候補地や収集、分別、運搬方法などを盛り込む。
 県廃棄物対策課によると、これまでに県内で策定を終えたのは土浦、龍ケ崎、常総、常陸太田、北茨城、取手、守谷、稲敷、神栖、阿見、美浦、常陸大宮、かすみがうら、大子の14市町村。
 計画策定が進まないのは全国的な傾向で、自治体からは「職員や時間の確保が難しい」「専門的な知見や情報が足りない」などの声が上がる。このため県は市町村に計画のひな型を提供し、実際に大規模災害を経験した担当者を招いて研修会を開くなど策定を呼び掛けている。本年度中には策定済みの自治体が31市町村まで増える見通しだが、同課は「計画の有無で初動の対応に差が出る。全市町村で策定できるよう後押ししていく」としている。
台風19号による県内の災害の発生量は8万7千トン(推計)に上る。市町村別では水戸市が4万6千トンと最多で、常陸大宮市と大子町が1万4千トン、常陸太田市が6千トンと続く。

台風「ふっこう割」宿泊補助 本県1億3600万円 来月中旬開始へ  (11.20 茨城)

 台風15号、19号の影響で宿泊キャンセルが相次いだ観光業を支援するため、政府が被災地の宿泊施設の宿泊料を1人1泊当たり最大5千円補助する「ふっこう割」について、本県の補助金枠が約1億3600万冊に設定されたことが19日、明らかになった。本県の観光業は、19号で温泉旅館が浸水したりJR水郡線の一部区間が不通になったりしているほか、大子町のりんご園が風評被害に遭うなど打撃を受けた。県は補助金を原資に12月中旬の「ふっこう割」開始を目指す。
 補助金は災害救助法が適用された14都県390市区町村を対象に、総額約24億5千万円が用意され、観光庁が推計キャンセル数に応じて各都県に配分した。最多は千葉の約4億6千万円、次いで長野約4億4千万円、福島約3億5千万円など。
本県では30市町村が適用されているが、県は対象地域や施設をどこにするかなど、今後、事業者の意向も踏まえ詳細を詰める。県観光物産課によると、県内には約1100の宿泊施設があり、うち災害救助法適用の30市町村で約950施設が営業している。ふっこう割は、宿泊費やツアー代金から1人1泊当たり最大5千円を割り引く。上限額は日本人客が1万5千円、外国人客が5万円で、来年3月末までの実施を想定している。宿泊事業者や予約サイト運営業者が割引価格で販売し、差額は都県が支援。

河川管理、国と県で溝 予算整備に差「水系一貫」望む声   (11.21 茨城)

 「国管理、県管理と分かれ過ぎている」「支流への配慮がない」「県だけでは手に負えない」。台風19号上陸から1カ月が過ぎて開かれた「久慈川・那珂川流域減災対策協議会」の会議では、地方から国への不満が噴出し、水系一貫で抜本的な河川整備を望む声が相次いだ。河川管理や復旧を巡る国と県の"壁"が、本流に限らず支流でも多発した氾濫によって露呈した。
■被害9割が地方「国管理、県管理をまとめ、水系一貫として議論していただきたい」常陸大宮市役所で13日、茨城、栃木両県の久慈川、那珂川の流域市町村の首長や担当者らが集まった協議会会合で、伊藤高県土木部長は国の担当者に訴えた。県災害対策本部によると、台風19号による河川の被害状況は、国管理が6河川14カ所に対し、県管理は59河川、2砂防施設、3海岸、1ダムの計135カ所と断然多い。被害箇所の数だけを比べると、約9割が県など地方自治体の管理に集中する。
 県管理の中小河川では、本流から支流に逆流するバックウオーター現象が氾濫の引き金を引いた箇所があった。国管理の本流に比べ、地方が管理する中小河川は水位監視カメラの整備が進んでおらず、目の届きづらさも表面化した。
■「手に負えない」河川法に基づき、特に重要な全国109の水系を国土交通大臣が「一級水系」に指定。その中で本流など主要区間を1級河川」として国が直接管理し、ほかの部分は都道府県などが管理している。
 国管理と県管理の河川では、河川改修や堤防強化の予算や、治水の設備、人員で差があり、被害箇所の復旧にも管理者の違いによってスピード感や整備内容に差が生まれかねない。
 例えば、上流だけ早いなど局所的な河川整備が進めば、上・下流や本・支流でバランスを欠く不安定な治水となり、下流で大きな水害を招く恐れがある。
台風19号で堤防決壊が相次いだ久慈川の本県区間では、国管理は河口から辰ノロ堰(常陸大宮市)までの27・6キロ。
同堰の上流は、大規模な浸水被害やJRの鉄橋流失があった大子町を含め県管理だった。
伊藤部長は「復興的な新たな河川改修に入っていく場合、県だけでは手に負えない」と語った。
■抜本的な治水を 協議会の席上では、河川管理者の"壁"に対し流域市町村から異論の声が多く上がった。
今回の台風19号を踏まえ国側は協議会規約の改正を提案。しかし、従来通り協議する対象を国管理の本流に限る改正案に、高橋靖水戸市長は「那珂川本体でなく、特に支流で大きな被害があった。支流も対象にすべき。ないがしろにしないでほしい」と声を上げた。
久慈川、那珂川上・下流と三つの部会を設置する内容にも、大久保太一常陸太田市長が久慈川流域部会の構成員に「今回大きな被害のあった大子町が入っていない」と異議を唱えた。同町の久慈川に国管理区間がないことが"外された"理由だが、大久保市長は一本の川として防災対策をどうするんだという見方からも加えるべき」と訴えた。
規約改正案はこの日、原案通り承認されたが、国交省の担当者は、首長らから出た意見を再改正案に盛り込み、次回会合で示す方針を示した。
19日の県議会臨時会で大井川和彦知事は「本川の流下能力の大幅な向上が図られるよう、抜本的な河川整備の推進を引き続き国に強く要望していく」と答弁。同じ日、常陸太田、常陸大宮、那珂、大子の4市町の首長らは国交省を訪ね、抜本的な治水対策を強く求める要望書を提出した。

台風19号で川沿いの大子町役場 浸水、書類電子化で難逃れ  (11.27 朝日)

 台風19号で久慈川やその支流などが氾濫し、住宅580棟(19日現在)が浸水した大子町では、川沿いの町役場も1階が約2㍍も浸水し、多くの書類や事務機器が水没した。だが、福祉課の介護保険関連の書類は昨年8月に電子化されていたため、難を逃れていた。
 町の65歳以上人口は約7400人で、うち5分の1 が介護保険の要介護・要支援認定者だ。今回の水害では、主に地下倉庫や1階に保管していた介護保険認定に関する台帳の約9割が水没。しかし、電子化された データは、庁舎3階のサーバー室で管理していたため、無事だった。被災直後の高齢者の安否確認などにに、迅速に対応することができたという。

原発問題(東海第二原発関係も含む)

東海第2過酷事故 「第2の避難先」最終調整 近県と複合災害想定  (11.6 茨城)

 日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)の過酷事故に備えた避難計画で、県が現行計画で定めた避難先が複合災害などで使えない事態となった場合の「第2の避難先」について、近隣県と最終調整に入ったことが5日、分かった。県原子力安全対策課は「ほぼ固まった。第2の避難先は個別の市町村でなくエリアで考えており、相手自治体と公表に向け調整している段階」としている。
 県の現行計画に定める東海第2の避難対象は、半径30キロ圏内の14市町村に住む約94万人。計画では県内の30キロ圏外の市町村と近隣の福島、干葉、栃木、群馬、埼玉の5県に避難する想定となっているが、原発の単独事故を前提とした内容にとどまっている。
県は大規模地震などの自然災害に伴い第1の避難先が使えない事態に備え、2017年8月から代替の避難先と避難経路の検討に着手していた。
 第1の避難先は、14市町村が県内や近隣5県の市町村と個別に調整。昨年12月に水戸市が埼玉県内の11市町と避難者受け入れに関する協定を締結したことで、水戸市民約27万人を含め30キロ圏内の14市町村に住む住民約94万人の避難先が決定した形となった。第2の避難先について県は、第1の避難先のように個別の市町村でマッチングするのでなく、広くエリアで受け入れを了解してもらう方向で近隣5県と中心協議。その理由として、同課は「過酷事故の発生時、第1の避難先が使える自治体と使えない自治体が生じる可能性など、状況に応じ臨機応変に対応できるよう幅を持たせるため」としている。
 第2の避難先の都道府県名やエリアの公表時期について、同課は「まだ未定」とした上で、「基本的には第1の避難先がある都道府県の中で、第1の避難先になっていない周りの市町村をエリア選定の目安にしている」と説明する。
 複合災害時の代替避難先に一応のめどは立ったが、避難に必要な車両の確保や事故発生当初の検査、安定ヨウ素剤配布の体制など依然として課題は多い。県が試算する広域避難に必要な車両台数は、30キロ圏内に住む要支援者の避難に必要な福祉車両だけでも1万3千台に上るが、車両確保の見通しはまだ立っていない。
 同課は「移動手段の確保について、県バス協会と調整している段階。要支援者の避難に必要な福祉車両に関しても、県ハイヤータクシー協会と調整を進めている」と説明する。

ヨウ素剤配布拡大要請    (11.9 朝日)

 日本原子力発電の東海第二原発(東海村)での重大事故を想定し、県が原発5キロ圏内の住民に配布した甲状腺被曝(ひばく)を防ぐための安定ヨウ素剤について、三つの市民団体が27日、30キロ圏内の住民にも事前配布することなどを求める要請書を県に提出した。要請したのは、東海村や水戸市の住民でつくる「原子力防災を考える会@茨城」や東京に事務局を置く「原子力規制を監視する市民の会」など。避難中に被曝する恐れがあるとして、30キロ圏内の住民にも事前配布するよう求めた。国の指針では、優先的に避難する原発5キロ圏内の住民への事前配布を定めるが、屋内退避を原則とする30キロ圏内の住民は対象外とされている。

再稼働していく必要ある 不要なら自宅から出るな 東海村長、原発巡り発言      (11.17 朝日)

 日本原子力発電(原電)の東海第二原発が立地する東海村の山田修村長が雑誌の対談で、「(原発を)しっかりと再稼働していく必要がある」などと発言し、東海第二原発の再稼働を容認しているのではないかとの批判が上がっている。15日、村議4人に認識を問われた山田村長は「東海第二を意識したものではない」と釈明した。村長の発言は、東京電力柏崎刈羽原発がある新潟県刈羽村の品田宏夫村長と対談した時のもので、原子力専門の季刊誌「エナジー・フォー・ザ・フューチャー」(ナショナルピ―アール社)に掲載された。テーマは「BWR(沸騰水型炉)の再稼働」で、BWRは東海第二や柏崎刈羽、東京電力福島第一などで採用されている。
 山田村長は「再稼働を待っている原発立地自治体の首長が多いので、そう発言した。東海第二原発を意識したものではない」と釈明。

要配慮者の避難 計画策定講習会 常陸太田 43施設参加   (11.20 朝日)

 老人ホームや病院など高齢者や障害者ら「要配慮者」が利用する施設の避難確保計画策定を支援するため、常陸太田市は19日、国土交通省や県の協力を得て講習会を開いた。 2016年8月の台風で岩手県の高齢者利用施設の9人が死亡した被害を受けて、国は17年、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設に、避難確保計画の作成と訓練を義務づけた。同市内の97施設に計画策定義務がある。
 この日の講習会には43施設が参加した。防災気象情報の活用の仕方などについて説明を受けた後、避難先・避難経路の設定などを整理した。市では12月19日までに計画を提出するよう求めている。

東海第2延長認可1年 宙に浮く民意集約 再稼働議論も進まず  (11.28 茨城)

 日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)が28日、運転開始から42年目に入った。2011年3月11日の東日本大震災で被災し、定期点検に入ったまま運転停止。今月7日には最長20年の運転延長認可から1年を迎え、原電による本格的な安全対策工事の準備は着々と進む。一方、周辺自治体の首長が再稼働是非の判断で重視する「民意」の集約は宙に浮いたままで、議論も進んでいない。
■全ての前提
 国の原子力規制委員会は27日、東北電力が再稼働を目指す女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)について、新規制基準適合を認める審査書案を了承し、再稼働の前提となる審査に事実上の「合格」を出した。
 東日本大震災の地震や津波で被災した原発では東海第2に続いて2例目。その東海第2の周辺自治体は「合格」から1年以上たった今も、再稼働の是非について民意をどうくみ取り、反映させるか、答えを出せずにいる。住民アンケートを実施した自治体もあるが、避難車両の確保や要支援者の避難など課題が山積し、広域避難計画作りが進んでいないことが、民意集約に至らない大きな要因の一つとなっている。
 大井川和彦知事は12日の定例会見で、「県民の意見をしっかり聞きながら判断したいというスタンスに変わりない。県民一人一人がしっかりとこの問題について理解し、考え、どう判断するかが、全ての前提だと思う」と語った。
 ただ、県は1~3月に東海第2の安全対策について県民の意見を募集したが、再稼働問題は含まれなかった。県の担当者は「安全性の検証と実効性のある避難計画の策定を、期限を設けずに取り組む」と説明。民意集約の方法や時期は見通しが立っていない。
■偏りなく
 原電と新安全協定を結ぶ周辺6市村にとっても、民意の集約や広域避難計画の策定は大きな課題だ。高橋靖水戸市長は25日の定例会見で、広域避難計画策定の難しさを踏まえ、民意集約について「市民の判断材料がない限り、意向を聞くことはできない。(アンケートのサンプルは)偏りがないよう万単位の数が必要」と語った。
 山田修東海村長は9月の村議会で、中国電力島根原発が立地する松江市の住民協議に言及し有効ではないかと関心を示した。同市では、住民団体が無作為に抽出した市民による住民協議会[自分ごと化会議」を企画し、原発の在り方をテーマに議論して中電や行政、市民に対して提案書をまとめている。
■理解を深める場を
 「東海第2の再稼働は県民の賛否を問うべきとして、県民投票の実現を目指す市民団体一いばらき原発県民投票の会が3月に発足。大井川知事に県民投票条例の制定を直接請求することを目指し、署名集めの準備を続けている。県民との対話や意識醸成を促すイベントも並行して各市町村で実施している。
しかし、再稼働の是非を問う住民投票条例制定を求める直接請求は、福島第1原発事故後も各地で成立しているが、条例案はいずれも議会で否決されている。
署名集めの準備に奔走する共同代表の一人、徳田太郎さんは「手応えを日々感じているが、東海第2自体について認知度が低いとも感じている。県民投票が実現したときのために、もっと理解を深める場をつくっていかなければ」と話す。

地方制度・自治体論・地方自治一般

政活費返還訴訟 県「棄却求める」 水戸地裁第1回弁論   (11.1 朝日)

 2017年度に県議会の2会派と議員23人にそれぞれ交付された政務活動費計約1千万円は違法か不当な支出だとして、市民オンブズマンいばらきの大矢尚武代表ら県民2人が大井川和彦知事に対し、会派に返還を請求するように求めた訴訟の第1回弁論が31日、水戸地裁(前田英子裁判長)であった。県は請求棄却を求める答弁書を提出した。訴状によると、原告側が政務活動費の返還を求めている2会派は、いばらき自民党、自民県政クラブで、23議員は両会派または公明党に所属。交通費や視察・研究費、グループ活動費の計約1116万円が、私的利用や選挙活動、政党活動など政務活動以外の支出にあたるとみられるという。
 原告は今年3月に県監査委員に対して住民監査請求をしたが、5月に棄却されていた。

水戸、来年4月中核市 県内初 県から2618の権限移譲 (11.9 茨城)

 政府は8日の閣議で、水戸市を来年4月1日付で中核市に指定することを決めた。保健所の設置や身体障害者手帳の交付など、2618項目の権限が県から移譲される。県内で中核市の誕生は初めて。市は中核市移行のメリットとして、市民サービス向上▽行政機能の強化▽職員の能力向上▽都市のイメージアップを掲げている。
 閣議決定を受け、高橋靖市長は「拡大される権限を生かし、地域の実情に合わせた特色ある施策を展開していく」とコメントした。サービス向上を具体的に見ると、市内で感染症や食中毒などが発生した場合、市が指導や周知を直接行うことができ、対応の迅速化が図られる。不妊治療費の助成など、これまで県と市で手続きが必要だった各種の申請も、市に窓口が一元化し「簡素化につながる」(市中核市移行推進課)。
 市は来年4月からの保健所稼働に向け、市保健センター(同市笠原町)の改修や敷地内への新棟増築を進めている。これまでの休日夜間診療所の運営に加え、飲食店の営業許可や診療所開設届け出の受理などを担う。保護動物の収容や愛護に関する普及啓発を行う動物愛護センターも同市河和田町に整備する。専門職員は2017~19年度に獣医師15人、薬剤師9人を採用。移行に伴い保健所や産業廃棄物関連などの事務を担える職員を、来年4月までに計83人増員する。
 中核市の要件は、15年の地方自治法改正により人口30万人から20万人に緩和された。これを受け、同市は同年の市議会で中核市移行を表明し、準備を進めてきた。この日の閣議で大阪府吹田市の指定も決まり、全国の中核市は60になる。

平成の大合併 傾向調査 小規模旧町村で人口減加速  (11.12 毎日)、(11.22日本農業)

 1999年から2010年までの「平成の大合併」で合併した人口がおおむね4000人未満の旧町村の地域は、合併に加わらず存続を選択した小規模町村に比べ、人口減が加速傾向との調査結果を日弁連が公表した。
 調査した47組の9割で旧町村の方が人口減少率が高かった。役場がなくなった影響で公務員減少や事務所閉鎖などが起き、地域が衰退したのが主な要因としている。
 この調査は、合併した旧町村と存続した町村を組み合せ、原則として05年から15年の国勢調査人口の減少率を比較した。双方とも00年時点の人口が4000人未満や約4000人で、距離が近く産地構造などが似通っているのが条件。これを満たした47組のうち9割にあたる43組で合併旧町村の方が減少率が高かった。

元古河市長らに支払い命令  入札巡る損賠訴訟で逆転判決  (11.29 朝日)

 公共工事の指名競争入札をめぐり、古河市が入札に関わった白戸仲久元市長ら4人に対して損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。野山宏裁判長は、市の請求を棄却した2月の一審・水戸地裁下妻支部判決を変更し、市の主張の一部を認め、4人に計約2500万円を支払うよう命じた。
 市は市内の業者から、入札で排除されたとして訴訟を起こされ、2013年に敗訴が確定。その後、市は元市長ら幹部4人が、指名回避をやめるなど適切な対応を怠つたなどとして約3500万円の支払いを求めて提訴したが、今年2月に棄却されていた。
 判決では、指名回避は「選挙の対立候補を支持した業者を公共工事の入札で冷遇するという元市長の意向が市幹部によって反映されたもの」と指摘。「公権力の行使にあたる公務員が、裁量権を逸脱または濫用」したとして、指名回避は違法と認定した。

政治資金収入2l.7億円 昨年国会議員平均4037万円 (11.30 朝日)
 県内で活動する政治団体の2018年分の政治資金収支報告書が29日、出そろった。県選挙管理委員会や総務省などに報告された年間収入(前年繰り越し分を除く)は計21億6985万円。県内に地盤をもつ国会議員で最も収入が多かったのは自民の額賀福志郎氏の8982万円だった。
 県選管と総務省などに出された報告書の収支を、朝日新聞が集計した。1人の政治家が複数の団体を持ち、団体間で資金を移動させていると、実際の収入額よりも見かけの数字が大きくなっている場合もある。
 県選管に提出済みの政党、資金管理団体、その他団体は1051団体(提出率88.7%)。これに総務省と東京都選管に提出された県内に本拠をおく国会議員関係の12団体を合わせた収入総額は、前年繰り越し分を除くと21億6985万円。支出総額は19億5875万円だった。
 18年は県議選が実施されたものの、国政選挙がなかったため、衆院選があった前年に比べて、収入は8%、支出23%減った。

予算・税・財政 

国際戦略総合特区 国の予算先細り 「つくば」近年ゼロ状態  (11.5  茨城)

 2011年から国が始めた「国際戦略総合特区」の予算が先細りになっている。本県はつくば市の筑波研究学園都市に集まる企業や研究機関を生かした「つくば国際戦略総合特区」が同年12月に指定を受け、放射線を使った次世代がん治療(BNCT)をはじめ、ロボットスーツ「HAL」などの医療支援機器の開発、実用化を目指している。「つくば特区」は累計26億円余りの国予算を得ているものの、近年は予算配分がほぼゼロの状態が続いており、「特区の意味合いが薄れている」と不安視する関係者もいる。

交付金の過大請求 3・6億円返還求める 会計検査院、県に(11.9 朝日)

 会計検査院が8日、2018年度の検査結果を公表し、茨城県庁は交付金の過大請求の指摘を受けた。請求方法について解釈の食い違いが原因で、約3億6千万円の返還を求められた。過大請求とされたのは、国の景気対策の一環で自治体の公共事業などに交付される「地域の元気臨時交付金」。国は交付対象を年度内に終了した工事の実績額に限っているが、県は13年度に予定していた老朽校舎改築や道路改良などのうち、複数年度にまたがって行われた11事業44工事で、業者への前払い金で交付申請をしていた。
 県政策調整課によると、公共事業は施工費の一部を前払いすることが多いため、前払い金の時点で請求をしたという。担当者は「公共事業の実態にも即していない」とするが、指摘額は全額返還する。来年1月の県議会に補正予算案を上程する。
 また、県管理の日立港区の準囃工事でも不適切な設計に基づいて工事をしたと指摘を受けた。県港湾課によると、17~18年度に国の補助金3177万円を受けて波除堤の鋼矢板の防食対策を行ったが、適切な設計が取られておらず、延命効果はないと指摘された。うち不当とされたのは1275万円分。県港湾課は「追加工事で対応したい」としている。

県一般会計補正予算案 355億円 (11.13 毎日)

 大井川知事は、台風19号などの被害から復旧支援策を盛り込んだ総額355億円の今年度一般会計補正予算案を発表した。国の支援制度では、対象外の「半壊」の浸水家具を県独自で支援するのをはじめ、中小企業や農家などへの支援も巾広く盛り込んだ。
 被災者生活再建支援法では、全壊と大規模半壊だけを対象に支援金を支給する。浸水1m未満の半壊は同法の対象外だが、県は半壊住宅の世帯に対し市町村と折半して最大25万円を支給することにした。
 中小企業支援では、政府が閣議決定した対策パッケージにある「自治体連携型補助金」が県全体で適用される。具体的には事業の再開の支援は①ビニールハウスなど施設の再建や修理②トラクラーなどの機械や畜舎の修理や買い替え③ビニールハウスなど施設の撤去④倉庫などに保管していた米が浸水被害で出荷できなくなった農家の営業再開が柱。
 この外、風評被害が懸念される観光業で宿泊費の補助。福祉施設の復旧費用の助成を行う。

地 域 経 済 

自治体電力 進む大手寡占 24道府県、新電力から回帰  (11.5 朝日)

 都道府県と政令指定市の本庁舎の電力調達先を調べたところ、新電力会社から大手電力会社に戻った自治体が、半数以上あった。大手電力が新電力より約2割安値で落札したケースもある。調達先を変えていない自治体を含めると大手が8割を占め、寡占化が進んでいる。専門家からは、電力自由化の進展を危ぶむ声も出ている。
 本社など調査自由化進展危ぶむ声
 新電力の契約をめぐっては、企業などとの手続き中に大手電力が大幅な値引きを提案する行為が横行、経済産業省は昨年指針を改め、問題行為と位置づけた。「電気事業の健全な発達に支障が出る恐れがある」との理由からだ。今回の調査で、自治体でも、入札などの結果、大幅な安値による大手電力の「取り戻し」が相次いでいる実態が明らかになった。電力の小売りは日本では2000年に大口向けで始一まり、16年4月に家庭向けを含め全面自由化された。
 だが自由化によってかえって大手の寡占化が進み、電気料金が上がった英国やドイツなどの例もある。日本でも同じようなことが起きれば消費者が払う電気料金に影響しかねない。
 調査は今年6~7月、11~19年度の本庁舎の電力の調達先などを聞いた。11年度以降、新電力と契約実績があったのは31都道府県、7月時点でうち24道府県が、再び大手かその関連会社から調達していた。18~19年度に新電力から大手に変わった自治体が多い。

農家の働き方改革 家族協定 最多を更新(11.10 日本農業)

 家族協定(家族内で休日取得などのルールを決める)を締結している農家戸数が、2018年度は前年度比1%(577戸)増の58,182戸になり過去最高を更新した。毎年3万戸以上が減る家族経営体のなかで、1665戸が新規に締結した。経営改善や女性活躍のほか、家族経営体の維持や継続に役立つ利典を周知していくことが、今後の取組みを広げる上で重要となる。
 都道府県別で締結数が多かったのは、北海道(5770戸)、熊本県(3831戸)、栃木県3751戸)。

昨年廃止された旧種子法″後継. 県議会自民党が条例案  (11.15 朝日)

 稲などの種子生産の管理を都道府県に義務づけた主要農作物種子法(種子法)が昨年廃止され、農業者に不安が高まっていることを受け、県議会のいばらき自民党は、同法に代わる種子条例案をまとめた。
 12月4日開会予定の県議会定例会に提案し、来年4月1日施行を目指している。狙いとして、主要農作物の種子の生産に必要な事項を明確にすることで、①生産の安定と品質の改善を図る②それにより農業所得の増大につなげる――を掲げている。
 対象作物には、同法で管理を義務づけられていた稲や麦、大豆、県内特産のそばも加えた。今後新たに需要が見込める作物の種子についても追加で指定できる。県には優良種子の生産安定や品質改善のため、財政上の措置を義務づける。
 同様の条例は10月までに北海道などが策定しているが、県はこれまで「種子法を踏襲する要綱を策定している」(昨年11月の県議会本会議の知事答弁)として、独自条例の制定には消極的だった。

茨城県のナシ・サツマイモ・コメ アメリカや東南アジアで高評価  (11.19 日本経済)

 国内3位の農業産出額を誇る茨城県が官民で農産物の輸出に力を入れている。主力のナシやサツマイモ、米は米国や東南アジアで評価が高まっている。ただ、米国の食物検疫が厳しいなど、一段の拡大は課題も多い。
 県が力を入れる米国向けの梨は、今夏に「幸水」が初輸出され、すでに1.7トンが完売。「豊水」「新高」の計4.5トンも出荷された。
 サツマイモも東南アジアからカナダへと販路が拡大している。努力が奏功し、18年度の県産青果物の輸出額が約2億円と前年度比63%増だ。コメは、約8500万円と5.7倍だ。
 輸出に携わる生産者は当初の8人から約70倍になった。一層の拡大には障壁も多い。福島原発事故の余波で茨城産など一部地域の農産物は今も中国に輸出できない。アメリカでは植物検疫が厳しい。検疫基準を満たすため、農家にとって手間とコストの負担は重い。
 韓国なども輸出拡大をねらっており、海外の競争も激しい。「選ばれる商品づくり」が必要と気をひきしめる。

 

まちづくり・都市計画 

J2水戸 スタジアム建設へ 5年後 目標収容1.5万人超 (11.22 茨城)

 サッカーJ2水戸ホーリホック(沼田邦郎社長)が、水戸市内で民設民営のサッカー専用スタジアムの建設に乗り出す方針を固めたことが21日、分かった。5年後の完成を目指す。22日に記者会見を開いて構想を発表する。水戸は同市小吹町のケーズデンキスタジアム水戸(市立陸上競技場)を本拠地としているが、自前の専用スタジアムを新たに整備し、観客動員数の向上とチーム飛躍の起爆剤としたい考えだ。
 関係者によると、スタジアムの収容人数はJ1基準を満たす1万5千人以上。敷地の一角に教育機関などを併設する案のほか、スタジアム内に稼働率を高めるためのテナントを誘致する案も浮上している。
総工費は国内のほかの事例を参考に約100億円を見込む。資金調達や整備手法については、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)や、PPP(公民連携)方式を含め、検討を進めている。

ロケ支援件数 全国トップ  (11.22 日本経済)

 ブランド総合研究所の2019年度都道府県魅力度ランキングで7年連続最下位となった茨城県だが、全国屈指の実力を誇る分野の一つが映画やドラマなどの撮影に欠かせないロケ支援地だ。
 誘致や調整にあたるフィルムコミッション(FC)が02年発足後、これまでの支援作品は6500件を超える。多様なシーン撮影に加え、FCの連携による手厚い支援も評価が高い。
 日経エンタティメントの調査では、茨城のFCが支援した作品は15年までの5年間で264と2位の沖縄の54に大きく差を付けた。
 以降も支援作は増え、18年度は過去最高の606作品で経済波及効果も4億5000万円と推計された。
 茨城のロケ支援の先駆けとなったのが任意団体「プロジェクト茨城」撮影立ち会い会のほか、ロケット展示や原画展などを仕掛け「ロケ地めぐり」を通じた地域活性化を図っている。

地域に根差す高校あれば 過疎地を活性化 民間調査  (11.23 日本農業)

 一般社団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」などは、農業高校など地域に根差した高校が人口や消費の増加など過疎地域の活性化につながることを明らかにした。都道府県立高校が市町村からなくなることで人口の1%が転出することも分かった。
 1990年に1校の公立高校があった1197市町村のうち自治体合併せずに過疎地域に指定されている自治体で、高校が存続している144市町村と、なくなった49市町村の人口動態を比べた。その結果、統廃合により高校が消滅した市町村では6年間で総人口の1%超相当が転出し超過していた。「高校があることで人口や財政効果には一定程度効果がある」ことが推測される。

まちの家計ここに注目 814市区18年度NEEDS調査(日経総合経済データバンク)(11.23 日本経済)

 日本経済新聞は、NEEDSを使い全国791市と東京23区の2018年度決算(普通会計速報)を調べた。高齢者向けサービスや子育て生活保護など地域の社会保障に充てる扶助費が歳出に占める割合は24.6%にのぼり、ほぼ10年間で7ポイント以上増えた。
 少子高齢化が進展するなか、安定的な財源確保が求められる。
 ○財政の硬直度合いを映す(経常収支比率)
  1位 夕張市124.0%(北海道 107.7%)
 ○全般的にじわり上昇(人件費比率)
  1位 銚子市(千葉県) 24.7%
 ○高いほど行政の自主性が高まる(自主財源比率)
  1位 泉佐野市 86.3%
  9位 守谷市  73.2%
 ○東京23区が上位に(住民1人当たり個人住民税額)
  1位 港区 28万1980円
 ○人口1人当たりの普通建設事業費
  1位 陸前高田市(岩手県) 218万1449円
                (前年比30.1%)
 ○投資的経費が3年前に比べ増えた自治体
  1位 中央市(山梨県) 81.9%
  10位 水戸市     21.7%
 ○ゴルフ利用税
  1位 千葉県 43.5億円
  3位 茨城県 26.2 々

環境と開発

偕楽園有料 困惑・不満の声 (11.2 朝日)

 日本三名園の一つ、水戸市の偕楽園が1日、有料になった。県外からの来園者が対象で、入園料収入を活用して園内整備を図ることが目的だ。県民は「梅まつり」期間以外は引き続き無料だが、初日に訪れた県内外の人からは、戸惑いや不満の声が相次いだ。有料化は今年2月、大井川和彦知事が、通年の集客を目的に、県外在住者を対象に行うと発表した。県議会や県の諮問機関「偕楽園公園魅力向上懇談会」での議論を踏まえ、年間で最も来園者が多い「梅まつり」(2~3月)期間中は県民も有料とする方針に変更。6月の県議会で、関連条例案が可決されていた。
 県は年間約1億3千万円の入園料収入を見込み、休憩一所の増設や参道エスカレーターの設置、案内板の設置などを進める予定だ。園内の魅力向上につながる整備費は入園料を活用する一方、年間の維持費約2億円は県予算でまかなう。

つくば霞ヶ浦りんりんロード 自転車道、世界にPR (11.8 茨城)

 政府の自転車活用推進本部(本部長・赤羽一嘉国土交通相)は7日、日本を代表する自転車道として世界にPRする「ナショナルサイクルルート」の第1弾に、本県の「つくば霞ケ浦りんりんロード」(約180キロ)など3ルートを指定した。
 ナショナルサイクルルートの指定は、外国人旅行者を含めた自転車愛好家を呼び込み、地域の活性化につなげるのが狙い。観光立国を目指す政府は国内外へのPRや、自治体に対する自転車道整備費の支援などを実施する。

医療・福祉・社会保障・教育 

地域病院迫られる再編 厚労省 公立・公的424施設名指し  (11.5 朝日)

 再編統合の検討が必要だとして、厚生労働省が9月に424の公立・公的病院を名指ししたことで、各地の病院や自治体が反発している。ただ、政策の方向性自体に異を唱える声は少ない。高齢化や人口減少が進む中、医療体制は見直しを迫られている。
 10月29日、厚労省であった自治体や病院関係者との意見交換会。関東甲信越の400人超が詰めかけ、厚労省の対応を批判した。「住民に多くの不安を与え、スタッフにも動揺が広がっている」「必死に地域の暮らしを守っている病院がやり玉に挙がっている。そういう病院がいらないと言われることは、その地域に暮らす必要がないと言われているようだ」
 厚労省側は「病院が将来担うべき役割や必要な規模の縮小、機能分化の方向性を機械的に決めるものではない」とし、丁寧な説明を約束した。今回、「再編統合の必要性について特に議論が必要」だと名指しされた公立・公的病院は、民間を含む全病院の5%にあたる。厚労省は「再編統合は病床削減や機能の連携、集約化などを含む」と強調したが、一部では統廃合を強引に進めるものと受け止められた。
 団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、必要とされる医療は増える。ただ、東京や大阪といった大都市が中心で、人口が減る多くの地域は需要の減る局面に入る。地域の実情に合わせて医療体制を見直すため、国は14年、「地域医療構想」を制度化させた。全国を339区域に分けて「調整会議」を置き、病院関係者らが話し合って規模や役割を見直していく。その一方、政府は17、18年度、公立・公的病院に対し、「地域の民間医療機関では担うことができない医療機能に重点化する」よう見直しを要請。これらの機能として、がんや心疾患での高度医療や、救急・小児・周産期などの不採算部門などを挙げた。ただ、「現状維持」との回答が多く、今回の手段に打って出た。

予防医療 不足なら「罰」として自治体交付金を削減 (11.8 毎日)

 厚労省は、2020年度から、予防医療への取組みが不十分な自治体に「罰則」を科す。事業ごとに加減点数を設け、実施率が低い自治体には減点に応じて交付金を減らす。一方で実施率が高い自治体には手厚く交付金を配分する。
 国民健康保険(国保)の保健事業では、特定健診(メタボ健診)の実施率や健診の受診率、後発医療の使用割合などが高い自治体に交付金を手厚く配分する制度がすでにある。19年度までは1000億円の予算枠を設けてきた。20年度以降は1500億円を原資に、これらの項目の一部で「マイナス評価」による減点方式も採用する。過去の実践よりも実施率が下がったり、全国平均よりも低かったり、といった項目があった場合、獲得点数が減る。点数が低いほど交付金も減る。
 自治体による予防医療への動機づけを強める。

県指定文化財 防火設備緊急点検へ 県教育委(11.14 茨城)

 首里城(那覇市)の火災を受け、県教委は11年ぶりに、県内にある県指定文化財(建造物)の防火設備の整備状況を緊急調査することを決めた。2008年の前回調査では、県指定文化財の防火設備の設置率は国指定を大きく下回っており、11年間で改善が見られたかが焦点となる。フランス・パリのノートルダム寺院や首里城など文化財の火災が相次ぐ中、県教委は調査を契機に、県内の歴史的な建造物に対する防火意識を高めたい考えだ。
 県教委によると、調査の対象は大洗磯前神社(大洗町)の本殿拝殿や筑波山神社(つくば市)境内の春日神社本殿など、78カ所の県指定文化財(建造物)。自動火災報知機(自火報)設置の有無や設置時期など防火設備の現況調査を11月中に市町村に依頼し、12月中に結果をまとめる考え。
 鹿島神宮本殿(鹿嶋市)など国指定の文化財32カ所の防火対策についても、県指定の調査結果と合わせ取りまとめる予定だ。消防法は、文化財保護法で定める文化財(建造物)や寺・神社などに対し、自火報や消火器の設置を義務付けている。前回の緊急調査は、韓国・ソウルで国宝の南大門が放火された事件を受け、08年3月28日付で実施。自火報と消火器の設置の有無に加え、消火栓や放水銃などの消火設備、避雷針の設置の有無を調査した。
 当時の調査結果によると、国指定は自火報、消火器ともに設置率100%。消火設備の整備率は75%、避雷針も同64%に上った。一方で、県指定のそれぞれの整備率は、自火報59%、消火器85%、消火設備42%、避雷針48%にとどまり、国指定に比べて大きく下回る結果だった。
 県文化課によると、文化財は原則として所有者が管理し、防火設備の整備も所有者に任されているのが現状。古民家などは個人が所有する例もあり、行政も費用を補助しているが、スプリンクラーなど多額の費用がかかる消火設備までは整備の手が回らない実情もあるという。
 文化庁は4月に起きたノートルダム寺院の火災を受け、国宝や国の重要文化財に指定されている建造物の防火対策を緊急調査するよう都道府県に通知。9月には防火対策ガイドラインを公表した。10月の首里城火災を受け、各地の史跡などにある復元施設についても防火体制を緊急点検するよう通知を出すなど、文化財の防火対策強化を呼び掛けている。

ICTで保育士確保 取手市 県内初、来年4月公立導入  (11.18 茨城)

 保育士不足が全国的に深刻化する中、取手市は来春、市内全公立保育所に情報通信技術(ICT)を導入する。手書きの作業を電子化して事務仕事を減らし、保育士が本来の保育業務に充てる時間を増やす。市によると、公立保育所へのICT導入は県内初という。働き方改革で保育士確保につなげたい考えだが、周辺自治体が補助金支給で処遇改善を図る中、ICTだけで保育士を市内へ引き留めることができるかという課題も残る。
■残業が減った
■幼保無料化の影響
■引き留め策

公立幼稚園の再編加速  (11.24 茨城)

 県内の公立幼稚園で、再編の動きが加速している。少子化に加え、女性の社会進出など保育需要の高まりを背景に定員を大きく割り込み、「集団教育」の維持が難しくなりつつあるためだ。10月から始まった幼児教育・保育の無償化で、公立園の定員割れはさらに進む恐れもあるため、施設集約や3歳児受け入れなどの歯止めをかける取り組みが広がっている。
■進む拠点化
■低い充足率
■高まるニーズ

教員の働き方改革 給特法改正案、現場は不安 「まず業務量見直しを」 (11.27 茨城)

 教員の勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」の導入を柱とする教職員給与特別措置法(給特法)改正案が衆院本会議で可決され、参院に送付された。長時間労働が深刻な教職員の働き方改革の一環で、繁忙期の勤務時間を延長する代わりに、夏休みなどの長期休暇を取りやすくするのが狙いだ。今国会で成立する公算が大きいが、県内の現場からは「さらに長時間労働につながるのでは」「長期休暇を本当に取れるのか」など、運用や実効性に不安を抱く声が上がっている。
■変形労働時間
■運用に懸念の声
■改革は根本

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