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2019/05

2019/05

月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2019年05月分


3.11東日本大震災



水害避難計画県内29% 浸水恐れの要配慮者施設 目標達成、程遠く(5.3 茨城)

 河川氾濫などで浸水の恐れがある病院や福祉施設、学校など「要配慮者利用施設」が、避難確保計画の作成を急いでいる。避難時の移動手段やルートを事前に決めておくもので、2017年に施設管理者に義務付けられた。ただ、作成率は昨年3月末時点で全国17・1%、県内29・0%。県は「講習会などを開催し、この1年で増えた」としているが、作成率100%には程遠い。西日本豪雨など水害が多発する中、利用者の逃げ遅れゼロへ一刻も早い計画作成が求められる。
 県内の対象施設は昨年3月末時点で計594施設。このうち避難確保計画の作成を済ませたのは同時点で170施設と、3割に満たなかった。計画作成の前段となる地域防災計画への施設指定も進んでおらず、44市町村のうち24市町村が指定ゼロだった。法改正から2年近くたっても計画作成の施設がほとんどない自治体の担当者からは、「移動させること自体が難しい入所者のいる施設も多く、具体的にどういう方法でどこに避難させるか、すぐに決められない」「災害時に施設の誰が指揮し、人員配置をどうするかなど、命に関わる問題なので非常に難しい」などの声が聞かれた。施設管理者からの相談も多いという。

大災害に議会は進まぬ備え 745自治体対応マニュアル未策定 (5.6 朝日)

 大規模災害で被災した地方議会が機能不全に陥らないための対応マニュアルが、少なくとも700超の自治体で未策定であることがわかった。早稲田大学マニフェスト研究所(東京)が調査した。
 東日本大震災で機運が高まった議会の災害対策だが、道半ばの様子が浮き彫りになった。同研究所は2月、全地方議会(1788自治体)に回答を依頼。4月までに47都道府県と1398市区町村(回収率81%)から回答を得た。「定めていない」と答えた議会は回答全体の52%にあたる745。「定めている」は48%の697議会だった。
 都道府県別で策定済みと回答した議会が5割以上だったのは23都府県。2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手と宮城(6~7割台)、直下型地震が懸念される東京や埼玉、神奈川(7割超)、南海トラフ地震の津波被害想定地域の静岡や愛知、三重(6~7割台)が比較的高かった。 一方で日本海側は能登半島地震があった石川、中越地震を経験した新潟を除くと多くが3~4割台だった。
 国や自治体に地域防災計画の策定を義務づけている災害対策基本法には、議会についての規定がない。だが東日本大震災では被災議会が機能停止し、首長が災害復旧の補正予算を議会に諮らず決める「専決処分」も多発。
 効果的な情報収集も後手に回り、行政のチェック機能を十分に果たせなかったケースが相次いだ。こうした事態を踏まえて震災後、災害時の対応マニュアルづくりに着手する議会が相次いでいる。

大雨防災情報 5段階に 県内で運用開始 リスク示し避難促す  (5.30 茨城)

 大雨で水害や土砂災害の危険が予想される際、これまでの避難勧告などの防災情報に、5段階の「警戒レベル」を追記して発表する制度が29日、県内で運用が始まった。県や水戸地方気象台が発表する指定河川洪水予報や土砂災害警戒情報のほか、市町村が防災行政無線で避難勧告などを発令する際にも使われる。住民に全員避難を求める「レベル4」など、五つの区分でリスクの度合いを端的に示し、住民に適切な避難行動を促す狙いがある。
 警戒レベルは1で災害への心構えを高め、2で避難場所や避難ルートの確認を含む避難準備を行う。3で高齢者や障害者、乳幼児らは避難を始め、その他の人も避難準備や自主避難を始める段階。4は全員が速やかに避難。5は既に周囲で災害が発生している恐れが高く、「命を守る最善の行動」を求めている。
 レベル3は「氾濫警戒情報」「洪水警報」、レベル4は「氾濫危険情報」「土砂災害警戒情報」、レベル5は「氾濫発生情報」「大雨特別警報」などにそれぞれ相当する。
 実際には、県と同気象台が共同で発表している指定河川洪水予報では、これまで「OO川では、氾濫注意水位に到達し、今後、水位はさらに上昇する見込み」と発表していたが、29日からは冒頭に「警戒レベル2相当(洪水)」と付けて発表し、避難準備を促す。また、気象庁はホームページを改修し、土砂災害や洪水の危険度を地図上に色分けして表示する「危険度分布」に警戒レベルを加えた。 6月下旬には土砂災害の危険度分布の網目を細かくする。
防災・減災に向け、自分の身は自分で守る「自助」、ひいては地域で助け合う「共助」により重点が置かれた。
 県河川課水防災・砂防対策室は「警戒レベル相当情報を追記することで、住民自身が自主的に避難行動を取るための参考にしてほしい」と話す。

水害時広域避難 下流13市町協定 鬼怒川・小貝川 (5.31 朝日)

 鬼怒川と小貝川下流域の県内13市町は30日、大規模水害時の広域避難に関する協定を結んだ。2015年の常総水害で多くの住民が逃げ遅れたことを教訓とし、自治体の垣根を超えてすみやかに安全な場所に誘導するのが狙いだ。下妻市役所に首長らが集まり協定書に署名した。協定では、各自治体の長は必要と判断した際に協力要請ができると規定したほか、役割の分担などを定めた。
 調印式に先立って開かれた減災対策協議会で承認された広域避難計画によると、想定最大規模の雨により水害が起きた場合、常総市や筑西市など5市に避難者が出る。洪水浸水想定区域などに暮らす約18万人のうち約3万5千人に広域避難が必要になるとした。

原発問題(東海第二原発関係も含む)

東海第二原発「茨城方式」が問われる(社説)(5.6 朝日)

 相手の同意を得るめどがたたないのに、「見切り発車」で原発を動かす準備を進め、外堀を埋めていく。そんなやり方では、地元の不安や疑間は深まるばかりではないか。東海第二原発(茨城県)の再稼働をめざす日本原子力発電(原電)が、地元で住民説明会を始めた。原子力規制委員会の審査結果や、新規制基準に対応する安全対策工事について説明し、理解を広げるねらいだ。原電は昨年、地元6市村と安全協定を結んだ。再稼働について、協定は「事前協議で実質的に事前了解を得る」と定める。ただ、6市村すべての同意が必要なのか、肝心の点がはっきりせず、原電と6市村の間で解釈の食い違いが表面化している。
 地元側には「1市村でも納得しなければ再稼働に進めない」との受け止めが多い。しかし、原電は「とことん協議する」などと、あいまいな態度を続け、不信を招いている。事実上の同意権を、県と立地市町村だけでなく、周辺まで広げた「茨城方式」は、今の再稼働手続きの欠陥を正すうえで、意義が大きい。事故のリスクや避難対策を負わされる周辺市町村が、関与を望むのは当然のことだ。原発がある他の地域も茨城の動向を注視する。原電が新協定を結んだのは、広く地元の信頼を得るためだったはずだ。6市村の意向に沿って運用しなければならない。
 新協定で同意のハードルは大幅に上がり、6市村との協議をどう進めるかも見えない。それでも原電は今後、安全対策工事を本格化させる構えだ。再稼働に向けて既成事実を積み重ねるような姿勢は、地元に対し不誠実だと言わざるを得ない。東海第二は東日本大震災で被災した古い原発で、住民らの不安は根強い。県内市町村の半数以上で、議会が再稼働に反対する趣旨の意見書などを可決した。30キロ圏内の人口は全国の原発で最多の94万人にのぼり、市町村の避難計画づくりは難航している。県も独自に安全性の検証作業を続けている。原電は地元の不安や要望に真摯に向き合い、自治体や住民らとの対話に注力すべきだ。
 少なくとも1740億円と見込まれる費用を、経営難の原電は自力で調達できず、株主の東京電力などに支援してもらう方針だ。福島の原発事故を起こして実質国有化された東電には、とりわけ重い説明責任がある。地元同意を得られなければ、この巨額の資金は無駄になる。その場合、関係各社の経営陣は、結果責任を厳しく問われることも忘れてはならない。

地方制度・自治体論・地方自治一般

地方選の低調 再統一検討してみては(社説)(5.5 朝日)

 先月の統一地方選であらわになったのは、変わらぬ低投票率と無投票当選の増加である。投票率アップやなり手不足の解消には自治体の努力と工夫が欠かせないが、それだけでは限界もある。すべての自治体の首長・議会選挙を一斉に行う。今回は27%だった統一率を再び100%に戻すといった抜本的な改革を考える時ではないか。前半の11道府県知事選の平均投票率は47・72%で前回よりやや持ち直した。 一方、41の道府県議選をはじめ、後半の市長選、市議選は50%%割り、多くの選挙で過去最低を記録した。1950年代をピークに右肩下がりの傾向が続いている。低投票率の根本的な原因は、地方自治の活力の低下だろう。政府主導のお仕着せではなく、地域の実情にあった政策を打ち出し、賛否や成果を問う。こうなれば住民の関心はおのずと高まるはずだ。鳥取県知事や総務相を務めた片山善博・早大大学院教授は、自治の再活性化に加え、すべての選挙を11月にずらして再統一し、4年に1度に固定することを提唱している。
 年度の始まりの4月に当選した知事や市町村長は、前任者がつくった予算での自治体運営を強いられる。首長選がある年は暫定的な当初予算が組まれるとはいえ、その後に新首長が使える財源はごくわずかというケースもある。自らの経験から、11月選挙なら翌年度の予算案づくりに最初からかかわることができ、メリットは大きいという。再統一すれば有権者の関心は高まり、政党が財政や分権など地方がらみの政策に本腰を入れる効果も期待できる。

情報公開制度 市町村に温度差 県内半数「住民が基本」(5.8 茨城)

 市町村の情報公開制度に温度差が生じている。情報公開法では「何人も」公文書の開示を請求できると定める一方、県内の半数近い市町村は資格を住民らに限定し、制限のある「任意的公開」で運用している。大量請求による事務の遅れを懸念する行政側の事情があるためだ。識者は「広く公開すべきだ」と提言している。情報公開を取り巻く現状を取材した。

 ■個人の住所で「『佐貫駅』の歴史を残すために、看板などの提供をしてほしい」「資産価値のないものについては大丈夫だと思う」龍ケ崎市が2020年春を目標に進めるJR常磐線佐貫駅の「龍ケ崎市駅」への改称を巡り、市とJR水戸支社で交わされた協議内容の一端だ。茨城新聞の情報公開請求を受け、市が個人情報やJR側の経営上の秘密部分を除き開示した。公開されたのは、顛末・報告書など計51枚で、14年6月から今年1月までの間の交渉過程を記している。
 改称の公表時期から備品の取り扱いまで、両者が細かくやりとりしている様子がうかがえる。
 市の条例では、情報公開の請求権者を市民▽通勤・通学者▽市内に事業所のある個人・法人・団体▽市内で公益活動を行う個人・法人・団体▽利害関係者と規定する。それ以外からの申し出に関しては「応ずるよう努めるものとする」と任意な対応になる、市内に拠点のない茨城新聞は、市民でもある記者個人の資格で請求した。

 ■法律とずれ 国の行政機関が保有する公文書を原則公開するよう定めた情報公開法(01年施行)は、外国人や法人を含む「何人」にも開示を求める権利を保障する。県内の全44市町村でも、これに沿ったり先駆けたりする形で同様の条例を備えている。茨城新聞の調べでは、水戸市をはじめとする23市町が誰にでも情報公開請求の権利を認めている。
 ただ、龍ケ崎市を含む21市町村は住民ら関係者が原則。住民ら以外は「任意的公開」となり、非公開などの決定に対する審査請求ができなかったり、別途手数料がかかったりといった制限がある。結城市のみ任意的公開の規定もなかった。背景には、大量請求に対する不安がある。自治体の担当者は「万人に認めると、たくさんの請求が届いて支障を及ぼす可能性がある」と口をそろえる。加えて、情報公開に関する法的整備は地方で先行した経緯もあり、「情報公開法ができる前に条例を作ったので、結果的に文言がそろわなくなった」(ある市の担当者)ケースもある。
 ■改善の兆し 一方で近年、議会や外部からの提言や指摘で改善する動きも見られる。住民らも積極的に公開を求めていく必要がありそうだ。潮来、神栖、大洗、城里の4市町は、ここ数年のうちに条例を見直し、誰でも請求できるようにした。このほか、小美玉市も改正する方向で前向きな検討に入っている。
 自治体の情報公開について、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京)の三木由希子理事長は「原発や廃棄物など、広く開かれるべき情報もある。本来であれば『何人も』認められるべき」と指摘。「行政側が何もしなければ公開は進まない。議員や住民も要望や提言を通し、情報公開に向けた行動をしていくことが重要だ」と強調した。

ペーパレス推進 県 業務の電子化図る  (5.9 茨城)

 県は本年度、業務の「ペーパーレス化」を推し進める。コピー複合機を使った紙の印刷枚数は2017年度、年間で約8700万枚、金額にして約2億6400万円に上った。紙の削減は資源の有効活用や経費節減につながるが、目的について県行政経営課は「あくまで業務の効率化」としており、資料の検索性向上や業務の電子化を一層図りたい考えだ。同課は各部局に対し、業務に応じた削減目標の作成を求めている。

19年度 副市町村長 県OB、新たに5人 計16人に貴重なパイプ役      (5.17 茨城)

 県内自治体の副市町村長に県職員OB・OGが就くケースが増えている。2018年度、県側の人材確保を理由に大井川和彦知事の方針で現職職員の派遣は取りやめられたが、OBがその穴を埋めている形だ。19年度も5人の元職員が市町村に活躍の場を転じた。県との「パイプ役」としてだけでなく、長年の行政経験や数カ所での副市町村長経験が評価されている。過去には現職、OBを含め44市町村の半数以上に県職員が就いていた時期もあり、県側も市町村の情報を直接収集できるメリットがあったとされる。今後も県職員人気は続きそうだ。
 副市町村長は就任に議会の同意が必要な特別職。県市町村課によると、近年、OBが最も多かったのは橋本昌前知事時代の15年度の23人で、市町村数の52%を占めた。内訳は現職17人、OB6人だった。18年度は現職職員を引き揚げたことでOBのみとなり、ここ7年間で最少の11人。19年度は新たに5人が加わり、16人の県OBが就いている。
 19年度は、副市町村長就任が2回目という市町村行政に精通した人が多い。笠間市副市長も務めた渡辺千明氏はつくばみらい市副市長に就任。下妻市副市長の斎藤章氏は牛久市副市長、大子町副町長の赤津康明氏は城里町副町長をそれぞれ歴任している。15年11月から18年3月まで現職派遣で潮来市副市長を務めた庄司敦子氏は定年を待たず退職し、1年間のブランクを経て"再登板"となった。

業務自動化 自治体で拡大 (5.22 日本経済)

 北関東3県の自治体でRPA(ロボティク・プロセスオートメーション)の導入に向けた動きが広がっている。パソコンのデータ入力など定型作業をソフトウエアで自動的にこなし、人間による業務負担やミスなど軽減できる特徴がある。職員のワークライフバランスや生産性の向上、対人業務の充実などにつなげていきたい考えだ。
つくば市 :2018年度から納税、窓口業務で本格導入
      現在20の業務で活用、今後も本格導入する
茨城県  :19年度下半期に導入予定。業務時間が長く削減効果が大きいと見込まれる20業務を予定。

地方職員「3万人減可能」25年財務省試算(5.23 毎日)

 財務省は、財政制度等審議会分科会で地方財政の改革案を議論した。警察・消防・教員を除いた地方自治体の一般職員数が2018年まで4年続けて拡大して計1万人増えた点を取り上げ、今後の人口縮小ベースに合わせると25年には約3万人減らせるとの提示。人口知能(IA)の活用などで事務作業を効率化し、着実に人員を絞るよう求めた。
 財務省は3万人に関し、大量採用をされなければ自然減で達成可能な水準だとみているが、地方財政規模の伸びを迎える狙いがあり、20年度予算案に反映させたい考えだ。

県内非正規公務員 女性の割合8割超 茨城労連が調査  (5.24 朝日)

 県内の全市町村で公務員として働く非正規職員のうち、女性の割合が8割を超えていることが県労働組合総連合(茨城労連)の調査で分かった。非正規のほとんどは時給制など雇用条件が悪く、女性に低待遇の働き方が集中している実態が裏付けられた形だ。茨城労連によると、全44市町村に昨年12月1日時点の職員数や待遇について調査した(病院・消防を除く)。正規職員で女性が占める割合は40・l%だったのに対し、非正規職員では80・9%と大きな差があった。非正規で女性の割合が高かったのは美浦村98・6%、八千代町95・7%、取手市93%の順だった。最も低かったのは五霞町の10%だった。
 茨城労連は「保育士のような女性が多い職場で非正規化が進んでいることが原因。『女性活躍』といいながら低賃金の非正規労働者を女性が占めていることは改善すべき問題だ」としている。
 全自治体で正規職員は2万378人で前年から122人増加。昨年に続き、2年連続して増えた。だが、非正規職員は1万4372人で同96人増えたため、全職員に占める非正規の割合は同O・l㌽高い4l・4%で高止まりしている。非正規率が高かったのは守谷市52・3%、龍ケ崎市5l・9%、つくば市50・6%の順だった。逆に低かったのは五霞町8・9%、筑西市18・7%、行方市21・4%だった。

予算・税・財政 

ふるさと納税指定へ 2市再度申請の考え つくばみらい・稲敷 (5.17 朝日)

 ふるさと納税の対象自治体が6月から認可制に移行するのを前に、総務省が事前審査した結果、県内ではつくばみらい、稲敷の2市が本指定から漏れた。「返礼品は寄付額の3割以下で地場産品に限る」との国の通知に背いたためとみられる。両市はいずれも、今後はルールに従うとして指定を再度求める考えだ。
 同省が14日、対象自治体を発表した。全国46道府県と1694市区町村を本指定したが、県内2市を含む全国43市町村は、9月までの運用状況を確認した上で本指定とするか判断するとされた。7月に再度申請を受け付ける。つくばみらい市は昨年12月、全国の外食チェーン店で使えて釣り銭も出る食事券「ジェフグルメカード」を返礼品に追加。1万円から200万円まで複数の寄付額を設け、50%という高い返礼割合で話題になった。2017年度までの寄付受け入れ額を見ると最高で約4千万円(15年度)だったが、18年度は食事券の効果で約10億3千万円に跳ね上がったという。1月からは食事券の扱いをやめ、通知に従っている。

ふるさと納税 真の地方自治のために(社説)(5.17 朝日)

 6月から指定制に変わるふるさと納税。納税者は自分が住んでいない自治体を寄付の形で応援し、自治体は創意工夫で自主財源を増やす。そんな理念のもと、2008年度に始まった制度だ。しかし、自治体が多くの寄付を集めようとしてお得感を競う手法が問題となり、総務省が見直しを決めた。地方税法が改正され、返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限られる。納税者が税優遇を受けられるのは、総務省が指定した自治体への寄付だけだ。大阪府泉佐野市や静岡県小山町など4市町は、対象から外れた。北海道森町など43市町村も4カ月間の指定で、今後の取り組みによって改めて判断を受ける。総務省の求めに応じず、昨年11月以降も「制度の趣旨に反する方法」で返礼品を送り、多額の寄付金を集めた自治体へのペナルティーと言える。
 そもそも寄付とは、見返りを求めないもののはずだ。「寄付額の3割以下」の返礼に法律でお墨付きを与えることの是非も、考えるべきではないか。制度が抱える問題点は多い。返礼品を選ぶ民間のポータルサイトヘの手数料も含め、公的以外のものに貴重な税金がどれほど使われているのか、実態が見えない。所得の高い人ほど大きな税優遇を受け、自分が住んでいる自治体の税収を減らす矛盾も、放置されている。
 いまの制度ありきではなく、根本から考え直すべきだ。返礼品競争が過熱したのは、多くの自治体が財源不足に苦しんでいることの裏返しでもあった。都市と地方の間に生じる税収の差を、ふるさと納税で埋めることはできない。

県補正予算案 最優先5病院対策 医師確保に5400万円 (5.24 茨城)

 県が6月の県議会第2回定例会に提出する2019年度補正予算案の概要が23日、議会主要会派への事前説明で明らかになった。県が昨年9月に公表した、最優先で医師確保に取り組む「必要のある県内5病院の追加対策として、医師の募集や派遣に関する費用など5400万円を計上する。県内拠点病院の日立製作所日立総合病院(日立市)など5病院の医師確保に関し、県は医師17人が不足と判断し、これまでに同病院の産婦人科医と小児科医計5人を確保。今回、残り12人の確保に向け一般財源基金を取り崩して予算化する。
 具体的には、募集した医師を県職員に採用して病院に派遣する事業をはじめ、派遣元医療機関に対する補助、民間の人材紹介会社の活用などが主な対策だ。県は病院と連携し医学部への寄付講座設置などを通して医師確保に着手しており、今回は短期的な追加策を打ち出した。
 予算以外の条例改正では、県立高再編関連で、坂東市内の岩井高と坂東総合高を統合して20年度開校するせいふう校名を「坂東清風高」とする条例改正案が提案される。校舎は岩井高を利用する。偕楽園(水戸市)の有料化に関しては、大人料金を300円に設定。県外客は通年で有料に、「水戸の梅まつり」期間は県民も有料とする。
 12保健所を11月から9カ所に再編する条例改正案、自転車保険の加入に努力義務を設ける交通安全条例の改正案も予定している。
3月の県議会第1回定例会で19年度当初予算案が可決されたばかりで、直後の第2回定例会に国補正予算関連ではない県単独の補正予算案が提案されるのは珍しい。定例会は6月6~21日の日程を予定していたが、予算関連議案が新たに加わることが決まり、3日間延長して予算特別委員会も開く方向で調整している。

布川事件 国、県に7600万円賠償命令 東京地裁 証拠開示拒否は違法 (5.28 茨城)

 1967年の布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)が国と県に計約1億9千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であり、市原義孝裁判長は警察官や検察官による違法行為を一部認め、計約7600万円の支払いを命じた。
 市原裁判長は、警察官が取り調べや公判で虚偽の発言や証言をしたと認め、違法と指摘。公判で弁護側が求めた証拠開示を拒否した・.検察側の対応も違法と認定し、これら違法行為がなければ「原告は遅くとも控訴審で無罪判決が言い渡され、すぐに釈放された可能性が高い」と述べた。桜井さん側代理人によると、無罪となった元被告が国家賠償を求めた訴訟で、証拠開示を巡って検察の違法性が認められたのは初めてという。
 判決は、取り調べで警察官が発言した「現場付近で(桜井さんを)見たという目撃証言がある」「母親が早く自白するようにと言っている」は虚偽で違法だと指摘。公判で取り調べ録音テープが1本だけと証言した点も虚偽で違法と判断した。検察官による証拠開示の在り方についても「裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白な証拠は、被告に有利、不利を問わず法廷に出すべき義務を負う」と指摘。
 弁護側が求めた目撃証言に関する捜査報告書などの開示を検察側が拒んだのは違法と結論付けた。判決後、桜井さんは「勝つことができてほっとしている」と安堵の表情を浮かべた。
 判決を受け、水戸地検の横井朗次席検事は「判決内容を精査した上で、早急に、関係機関および上級庁と協議をして今後の対応を検討したい」、県警の浅野芳徳警務部監察室長は「判決内容を精査した上で、今後の対応について検討してまいりたい」とそれぞれコメントを出した。

まちづくり・都市計画 

空き家 強制撤去進まず 自治体が代執行4年で100件余  (5.6 朝日)

 倒壊の恐れや衛生上の問題がある空き家を自治体が撤去できる法律が施行されて4年。実績は100件余りにとどまっている。全国の空き家は総住宅数の1割強、850万戸近くあり、周囲に影響を及ぼすケースも出ているが、自治体の人手やノウハウ不足に加え、私有財産の強制的な取り壊しは容易ではない実情がある。
 総務省は4月下旬、2018年の調査で、全国の空き家がアパートなどの空き室も含めて846万戸あり、総住宅数の13・6%を占めると発表した。いずれも過去最高で、少子高齢化に伴い、急増している。自治体が強制撤去する際に根拠となる空き家対策特別措置法は15年2~5月、順次施行された。倒壊の恐れが高い、衛生上著しく有害――といった空き家を「特定空き家」に認定。撤去や修繕の助言・指導、勧告、命令ができ、従わなければ市区町村長が代執行して強制的に撤去できる。
 国の調査によると、助言・指導に至ったのは15年度以降、計1万3084件。代執行に踏みきった事例は、計118件。15年度が9件、16年度が37件、17年度が52件、18年度(半年間)が20件だった。ただ、代執行は所有者の理解や金銭的負担のほか、そもそも所有権が複雑だったり交渉相手が見つからなかったり、簡単には進まないのが現状だ。国土交通省は代執行に至るまでの対策も重視し、17年10月には空き家の利活用を促進するため、空き家・空き地バンクを開設。現在約600自治体が参加し、延べ約9千件の情報を掲載している。自治体も撤去費の補助や、更地にしても税負担を軽減するといった施策を設け、所有者の自発的な対応を促している。

住み続けられる国土提言 専門委が最終報告(5.16 日本農業)

 国土交通省は、持続可能な地域づくりに向けて議論してきた「住み続けられる国土専門委員会」の最終報告を公表した。
 住民だけでなく、農山村と多様に関わる関係人口や移住者、外部組織など人と人がつながることを重視した。それに向けた「人材育成」、人が集まる「場」、継続的な「仕組み」の三つの要素の推進を提起。地域の医療や福祉など生活支援機能を集約する小さな拠点の強化などを明記した。最終報告は政府の国土審議会で議論し、各省庁の政策に反映する。
『持続可能な地域社会に向けて 人をつなげる三つの要素』
「人」サポートする  ・人材育成
           ・地域間の学び合い
「場」気軽に集まれる ・空間や滞在施設の整備
           ・小さな拠点の機能強化
「仕組み」継続的につなげる
           ・シェアリングエコノミーの 
            活用
           ・地域との関わりの深化 

コンパクトな街 実現遠く 住宅・商業施設の集約進まず  (5.20 日本経済)

 人口減少に合わせたコンパクトな街をつくる。そんな目的で都市再生特別措置法が改正されて間もなく5年となる。住宅や商業施設などを集約する「立地適正化計画」をつくる地方都市が増えているが、まだ十分な効果は上がっていない。コンパクトシティを実現するためには様々な課題を乗り越える必要がある。
 コンパクトな街づくりが進まない理由は大きく3つある。まず、土地利用の規制に及び腰な自治体が多い。郊外にある調整区域は地価が相対的に安いから、宅地になりやすい。これを容認したままでは街がコンパクトになるはずがない。
 第2の理由は「グレーンゾーン」があることだ。郊外の調整区域で制限しても居住誘導区域に入らない市街化区域は制度上、自由に開発できる。
 第3は交通面の対策が遅れている点だ。公共交通での移動が便利でなければ「郊外で暮らし、車で移動する」という生活スタイルを変えることは難しい。
 街の機能を集約するには時間がかかる。しかし、少なくともこの3つの課題を克服しないと、いつまでたっても街は変わらない。

なくせ危険な塀 市町村が撤去費補助検討(5.20 茨城)

 昨年6月の大阪府北部地震で、建築基準法に違反した学校のブロック塀が倒れて通学中の児童が犠牲となった事故から来月で1年。 
 通学路の安全を守るため、公共施設の危険なブロック塀の点検や撤去が進みつつある。一方、民家のブロック塀対策は遅れていたが、国の新制度を活用した撤去費補助に自治体が取り組み始めた。 本県では水戸市がいち早く着手。他市町村も検討を進める。撤去補助事業の拡大とともに、危険なブロック塀に対する所有者の認識の高まりも期待される。

「スポーツと防災」 神栖に新アリーナ 最大1万人避難可  (5.31 朝日) 

 神栖市が2017年から同市木崎の神栖中央公園に整備していた「かみす防災アリーナ」が完成した。31日に開館式が行われ、6月1日にオープンする。平常時はスポーツや文化の施設だが、災害時には最大1万人が一時的に避難できる。敷地面積2万9千平方㍍、鉄骨造り地上2階、地下1階で延べ床面積約2万平方㍍。総事業費は約171億円で、内訳は施設整備費用が約121億円、15年間の維持管理費が約50億円。
 倉庫には、災害時に自宅での生活が困難な人約2千人が避難生活を送れるよう、ストーブ、「仕切り」などの道具や、2千人の3日分の非常食がある。発電機は万が一の大水に備えて、2階に設置した。
 施設を巡っては、2017年10月の住民投票で「規模の見直しに賛成」が多数を占め、同年11月の新顔3氏による市長選でも「見直しできる」と訴えた石田進市長が初当選した。しかし18年3月、石田市長は「見直しは困難。苦渋の判断だ」と表明した。
 

地 域 経 済 

就農支援交付予算1割超減「現場に説明できない」― 自治体から異論相次ぐ    (5.11 日本農業)

 新規就農者を支援する「農業次世代人材投資事業」の2019年度予算が昨年に比べて1割以上減額されたことで、全国の自治体に波紋が広がっている。複数の自治体によると研修や経営開始を予定していた若者が給付されない他、既に交付されていた就農者も今年度は継続されない可能性があるとしている。対象年齢の引き上げなどで今年度から対象者を広げた一方で、予算額を減額したことに対し自治体から「現場に説明できない」などの声が上がっている。
 同事業は、今年度支給対象の年齢を原則45歳未満から50歳未満に引き下げた。一方で、予算は154.7億円で昨年度の175.34億円に比べ20億円減額した。
 過去の実積などを踏まえ農林水産省は3月、都道府県に予算を配分した。だが、実態に即した要望額を提示していた自治体からは異論の声が相次いでいる。「対象を広げたのもかかわらず、この予算では新規だけでなく継続も含めて厳しい。頼りにしている若者に説明できない」など自治体の困惑に対し、同省は「必要な人を見極めて交付してほしい」と呼び掛けるにとどまる。同事業の成果もあり、17年度の新規就業者は55,670人、うち49歳以下は20,760人で、4年連続2万人を超えた。予算減額が今後の就農者数に影響する懸念がある。
〈農業次世代人材投資事業〉
 新規就農者の準備段階から経営を確立するまで総合的に支援する。就農前の研修期間に最大150万円を最長2年交付する「準備型」と新規就農者の定着へ就農から最長5年間、同額を交付する「経営開始型」の2本立で構成されている。      

高速バス県、今秋に実証実験 水戸―つくば増便(5.22 茨城)

 県は本年度、水戸とつくば両市を直接結ぶ高速バス増便の実証実験を行う。今秋開始の予定で、現在、平日の4便(2往復)となっている両市間の高速バスを平日16便、土日曜・祝日8便まで大幅に増やす。多くの利用が見込める通勤通学客を主要なターゲットとした上で、県内1、2位の人口を誇る両市を結ぶことで都市間交流を拡大し、観光や国際会議などでの需要を呼び起こしたい考えだ。

県が「宇宙」算入企業支援   (6.27 毎日)

 県が宇宙に関連する企業の誘致や育成に力を入れている。昨秋から「宇宙ビジネス」への参入希望の企業を支援する事業を始め、これまでに5社の応募があった。県は、つくば市にある宇宙航空研究開発機構(TAXA)などと連携して宇宙産業の拠点化を進めたい考えだ。
 県は、昨年12月つくば市で「いばらき宇宙ビジネスサミット」を開き、大井川知事も参加、企業関係者約200人が参加し宇宙ビジネスの将来性を議論した。
 こうした取組みの結果、5社が「宇宙ビジネス」に参入した。3社は県内の企業で、このうち日立市の金属加工会社は、ロケットや人工衛星の部品加工に取り組む。他の2社はベンチャー企業で、つくば市に新たに事業所を開いた。
 県の事業の名称は「いばらき宇宙ビジネス創造拠点事業」。支援の柱は、TAXA筑波宇宙センターが所有する人工衛星やロケット関連の設備利用を最大80万円まで補助すること。企業側は部品にどのくらいの強度が必要かなどを知ることができる。衛星データを活用したソフトウエア開発費、宇宙関連の展示会への出展費にもそれぞれ最大400万円を補助する。 ロケットや人工衛星の開発は、国主導の大型開発が主流だが市場が拡大しており、世界の市場規模は約39兆円(16年)で2050年までに200兆円まで拡大するとの試算もある。国内の市場規模は現在1兆2000億円で、政府は30年代に倍増させる目標を掲げている。

環境と開発

つくば人口急伸のTX沿線 新設校はや「満杯」(5.31 朝日)

 つくば市は30日、人口が急伸するつくばエクスプレス(TX)沿線の5校区の学校に通う児童・生徒数の将来推計値を市議会全員協議会で公表した。昨年開校した義務教育学校2校は約10年以内のピーク時に2~4倍強に膨らみ、教室は2、3年後に満杯に。市は新校舎建設で対応する。
 市側は児童・生徒数の膨張について「予想を超える勢いで子育て世帯が住んだため」などと説明する。市議からは見通しの甘さや、年齢の幅が広い大人数の子どもが同じ校舎で学ぶ義務教育学校建設を推進してきた市の方針への批判や疑間の声が上がった。市は、児童・生徒の急増に対応するため、推計値を踏まえ、今年度中に学校の規模や学区などを見直す計画をつくる。五十嵐立青市長は「学区の問題は簡単に決められない。丁寧に議論していきたい」と話した。

医療・福祉・社会保障・教育 

自転車保険を義務化 笠間市条例、10月施行(5.10 朝日)

 自転車事故で発生する高額な損害賠償に備えて、「自転車保険」への加入を市民に義務づける条例が、笠間市でこのほど制定された。市によると、保険加入と同乗させる幼児(6歳未満)へのヘルメットの着用を義務づけた条例は県内初だという。罰則規定はない。
 自転車事故による高額賠償請求で支払いが困難になるケースが起きていることを受け、市議会で3月に可決、制定された。10月から施行される。市民活動課によると、自転車専用の保険に加入していなくても、一般的な傷害保険や家族の保険特約で保障できることもあるという。同課は「自分と家族が加入している保険の保障内容を確認して、施行に備えてほしい」と呼びかけている。

電子母子手帳が人気 県内7市町で導入 健康案内、予防接種を管理  (5.11 茨城)

 妊娠、出産、子育て情報を一括管理できる「電子母子手帳」が母親らの間で好評だ。スマートフォンに専用アプリをダウンロードして登録すれば、最適な予防接種時期や日々の成長記録、自治体からの情報を手軽に確認できるのが人気の秘密。下妻市が4月に導入するなど、この2年余で少なくとも県内7市町に広がっている。情報通信技術(ICT)を活用した支援が、子育てや仕事に忙しい母親らの負担軽減に心強い味方となっている。

外国人子女対象 通訳や専門家派遣 (5.23 茨城)

 県教委は本年度、公立小中学校に通う外国人児童生徒を対象に、日本語指導の充実に乗り出す。外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が4月に施行され、地域の学校に在籍する外国人子女の増加が今後見込まれるためだ。日本語が分からず日常生活や授業に支障を来す児童生徒をサポートしようと、早ければ6月から、小中学校に通訳スタッフや日本語教育の専門家を派遣して指導体制の底上げを図る。
 県教委義務教育課によると、外国人児童生徒は年々増加している。県内の小中学校・義務教育学校に在籍する外国人子女は、昨年5月1日現在で計2467人に上り、10年前の1805人から662人(約37%)増えた。
 国籍別で見るとフィリピン、ブラジル、中国が多く、常総市やつくば市など県南や県西地域を中心に、県下の小中学校の約3分の1に当たる県内222校に在籍している。このうち日本語指導を特に必要とする児童生徒は約半数。同課担当者によると「『教科書のこの部分を読んで』など、学習指導上のコミュニケーションが取れなかったり、進路指導の面談などで本人や保護者と十分に意思疎通ができなかったりする場面がある」と現状を説明する。
 県教委や在籍数の多い学校では、特別なカリキュラムを作って「日本語指導教室」を校内に開設したり、在籍数が少ない学校でも個別に指導したりと、以前から支援を行ってきた。改正入管難民法の施行を受け、今後の外国人子女の増加を見込んで支援に本腰を入れる構えだ。
 県教委は本年度当初予算に事業費約700万円を計上した。日本語指導教室を現在開設する県内62校に、大学などから日本語教育の専門家を派遣して助言を行い質の向上を図る。同教室のない学校に対しては、通訳・翻訳スタッフを派遣し、三者面談時などに教員と児童生徒、保護者がスムーズに意思疎通できるようサポートする。
 また、高校進学の機会を確保しようと、高校教員などが外国人児童生徒向けに進路ガイダンスを実施する。このほか、地域のボランティアや自治体、関係団体などとの連携を醸成するため連絡協議会を立ちあげる。
 同課は「関係機関とネットワークを構築して外国人児童生徒の支援体制を充実させたい」としている。

民生委員 高齢化で仕事量増 担い手確保が課題 県内定数30人増 (5.25 茨城)

 12月に行われる民生委員・児童委員の全国一斉改選に合わせ、県は委員定数を拡大する。人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)の上昇に伴い、民生委員の仕事量の増加が深刻化しているため、定数を30人増やして5291人とし、負担軽減を図る。ただ、担い手確保は大きな課題として残ったままだ。
 民生委員は非常勤の地方公務員。高齢者の見守りや医療、介護などの生活相談について行政との橋渡し役を担う。
改選は3年ごとに行われ、各地区の自治会や女性会などで構成する推薦会が候補者を選び、市町村や県へ推薦、厚生労働省が委嘱する。定数は各市町村ごとに、要請に基づき県が条例で定めている。
12月の改選で定数が増えるのは、水戸市(9人増)▽結城市(4人増)▽取手、ひたちなか、鉾田、つくばみらい市と阿見、利根町(各2人増)▽土浦、石岡、つくば、鹿嶋、守谷市(各1人増)の11市2町。1998年に5千人だった県内の定数は、高齢化を背景に年々増加傾向にある。
 県は民生委員の研修や必要資料の準備、交通費など活動支援費として、1人当たり年間で5万9千円を支給している。県福祉指導課は「むやみに定数を増やすことはできないが、高齢化が進む中で定数の増加傾向は避けられない」としている。
 県福祉指導課によると、改選時の欠員数は13年が66人、前回16年は75人とさらに増えた。背景には高齢化のほか、65歳までの雇用を義務付けた高齢者雇用安定法の施行がある。委員の定年は原則75歳のため、高齢の現役世代が増えれば、担い手は減る一途だ。同市民生委員児童委員連絡協議会の大内元一会長(72)は「65歳を迎えても働きたいという人は多い。超高齢化や社会が多様化する中で、民生委員の担い手探しは、どの地域でも苦労しているはず」と指摘した。

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