2018/05
2018/05
月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2018年5月分
関東・東北豪雨災害(常総市災害を含む)
つくば災害6年 竜巻予測高まる制度 防災科研「1時間先予測」の手ごたえ (5.6 茨城)
つくば市を襲った2012年5月の竜巻災害から6日で丸6年。死者1人、負傷者37人、建物損壊約1100棟に上った国内最大級の竜巻は、日本の気象観測にとって分岐点となった。首都圏を中心に最新の観測機器の整備が進み、「1時間先の竜巻予測」に研究者は手応えを感じている。精度は今後さらに高まるとみられる一方、予測を住民の備えや万一の避難につなげるため、研究・気象機関と行政の連携が課題として浮上している。
原発問題(東海第二原発関係も含む)
東海第2審査正念場 原電、資料準備遅れ 申請から4年 (5.10 茨城)
東海第2原発(東海村白方)の再稼働審査が正念場を迎えている。新規制基準の適合審査は原子力規制委員会の議論をほぼ終えたが、各設備の詳細設計を踏まえた工事計画認可の審査は原電の資料準備が遅れ、規制委が審査打ち切りの可能性に言及しているためだ。原電は全社を挙げて必死に対応しているが、先行きは見通せない。
4月11日に開かれた規制委の定例会合。審査を担当する山中伸介委員は、工事計画の審査に必要な多くの資料準備が遅れていることに怒りを隠さなかった。東海第2が再稼働するには、営業運転から40年を迎える今年11月までに、新規制基準と工事計画、最長20年の運転延長の三つの審査を全てクリアする必要があり、できなければ廃炉となる。
工事計画の審査を巡っては、各種データの解析が続いている上、まだ解析の前段となる試験さえも終わっていないものがあり、当初の想定より審査が遅れている。規制委の更田豊志委員長は9日の定例記者会見で工事計画の審査対応について「(認可するかの)判断に向けて(審査を)走らせるのか、一定の期間内に判断を得るのが難しいとの感触になるのか、6月上旬がポイントになる」との認識を示した。原電が6月末までに資料を順次提出する計画を示していることにも触れ、「6月末まで待って良いのか。場合によっては大きな判断をせざるを得ない時期にさしかかっている」と述べ、改めて審査打ち切りの可能性を示唆した。一つ目のハードルである新規制基準審査は、規制委が審査合格の条件とした約1740億円に上る安全対策費の確保について、原電が4月に東京電力ホールディングスと東北電力から支援を得られることを報告。規制委はこれを了承し、議論をほぼ終えた。
運転延長審査も昨年12月から始まり、今月11日に現地調査も行われる予定で、着実に進む。再稼働の可否は、工事計画審査の行方が左右する状況となっており、原電は他の電力会社の協力を得て、審査対応の人員を当初の約160人から約210人に増員するなど、全社を挙げて対応している。原電の村松衛社長は3月の記者会見で、「東海第2の審査対応が最優先課題だ」と厳しい表情で語った。原電が規制委に東海第2の審査を申請したのは2014年5月20日。間もなく申請から丸4年を迎える中、厳しい状況に追い込まれている。
原発避難計画 「実行性」の行方 (5.13~15 茨城)
上5月13日 山積 計画わずか3市 対象96万人 避難直面
中5月14日 憂慮 災害弱者支援に限界 問われる 共助の範囲
下5月15日 困惑 自治体どこまで想定 不安解消、 課題多く
核燃料の位置に誤り 東海第二の図面 建設以来 (5.17 朝日)
原子力規制委員会は16日、日本原子力発電の東海第二原発(東海村、停止中)で、原子炉内の核燃料の位置を約5㌢誤って記した図面を使つていたとして、保安規定違反に当たると認定した。安全上の問題はなかったが、約40年にわたって原子炉の水位計の数値が正確に表示されていなかったという。原電は建設時、原子炉圧力容器の底部から核燃料の最上部までの高さを約5㌢高く変えたのに、社内の一部で変更前の低い設計の図面を使い続けていた。そのため、原子炉内の冷却水の高さを測定する水位計が誤った数値をもとに設定され、水位が実際より高く表示されていたという。
規制委は、安全上の問題は無かったが、4段階ある違反区分のうち3番目に重い「違反3」とした。図面の誤りは今年1月、東海第二原発の運転延長の審査の中で規制委が指摘して判明した。
動員発覚し中断→運営見直し水戸でも 核ゴミ説明会 低姿勢 (5.18 朝日)
原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する住民向けの説明会が17日、水戸市内であった。説明会をめぐっては昨年、広報活動を委託した広告会社が謝礼金を約束して学生を動員したことなどが発覚し、一時中断。運営方法を見直したうえで再開し、今回、大阪に次ぐ全国2回目の開催となった。説明会は、経済産業省資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)が主催した。今回は50人の定員に対し、31人が参加した。昨年2月にあった説明会は76人だった。
説明会では、NUMO役員らが、使用済み燃料から出る廃液を固めたガラス固化体の最終処分について、「地下300㍍より深い場所に数万年以上埋める必要がある」などと解説した。
主催者側は今回、NUMO職員らの説明に加え、住民が質問をし、職員らと対話する時間を設けた。また、説明会の宣伝などを他社へ外注せず、自ら広報活動を行い、新聞やインターネット上で広告を出す。る」としている。今後は、島根や香川など、全国で説明会を開いていくという。
東海第2原発 再稼働阻止へ 連絡会 (5.22 毎日)
日本原電東海第2原発の再稼働を首都圏一帯で団結して阻止しようと県内や首都圏1都7県の市民団体が「とめよう!東海第2原発首都圏連絡会」を結成した。村上達也元東海村長も出席。原電が今年3月、立地自治体の東海村長に加え「実質的な事前了解権」を周辺5市にも与える安全協定を結んだことを説明。「住民の意識を高めて、首長らに働きかけ再稼働を止めたい」と訴えかけた。
結成を呼びかけた再稼働阻止全国ネットワークの他県内の自治体議員でつくる「東海第2原発の再稼働に反対する県自治体議員連盟」と国会議員でつくる「原発ゼロの会」のメンバーも参加した。
原電、原発動かず苦境 増収増益でも再稼働見通せず 3月期決算 (5.25 朝日)
原発専業会社の日本原子力発電の2018年3月期決算は7年ぶりの増収増益となった。東日本大震災以降、保有する原発が1基も動いておらず、大手電力から受け取る「基本料金」頼みの経営は変わっていない。売上高は前年より4・3%増の1147億円、純損益は前年の64億円の赤字から26億円の黒字となった。東京電力福島第一原発の廃炉支援事業やコスト削減の効果が出たという。
7年もの間、発電した電気を売るという本業ができていない。それでも利益を出せるのは、電気を売る契約を結んでいる大手電力から年計1千億円超の基本料金を受け取るからだ。ただ、その基本料金も大手電力から減額を求められているとみられ、「大変厳しい交渉が続いている」(村松社長)。経営環境は苦しさを増している。頼みの綱とするのは、11月に運転開始から40年を迎える東海第二原発(茨城県、停止中)の再稼働と運転延長だ。そのためには11月までに、再稼働の前提となる安全対策の基本方針や設備の工事計画、運転延長の三つの許認可を原子力規制委員会から得る必要がある。
資金繰りに窮する原電は東海第二を動かすのに必要な約1740億円の安全対策費を自力で調達できない。そこで規制委の求めに応じ、東電ホールデイングスと東北電力から資金支援の確約を取りつけなければならなかった。加えて、審査に必要な書類の提出が遅れており、東海第二の再稼働は見通せない。規制委の更田豊志委員長も「じつくりゆつくり考える時間はあると思っていない」と警告する。
東海第二原発の審査 事故時の対策了承 (5.30 朝日)
原子力規制委員会は29日、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)の再稼働に向けた審査のうち、安全対策の基本方針について大筋で議論を終えた。近く原電が審査で指摘された点を修正した申請書類を出す。内容に大きな問題がなければ、規制委は新規制基準に適合していると認める審査書案づくりに入る。
この日の審査会合で、積み残していた重大事故時の対策が了承され、主要部分の審査にめどが立った。再稼働するには、運転40年となる今年11月までに設備の工事計画と運転延長のさらに二つの認可を得なければならない。原電は6月中に設備の性能試験などを終えて7月末までに報告する方針だが、審査には時間がかかるため、期限切れによる廃炉を迫られかねない。
規制委の更田豊志委員長は4月以降、「夏以降に議論が残っているなら時間的に不可能」などと述べ、6月上旬にも審査を打ち切る可能性を示唆。その後撤回したが、原電の対応次第では、11月の期限を待たずに許可見送りに言及している。一方、原電は、安全対策工事などの費用約1740億円の確保も求められている。資金繰りが厳しい原電に対し、主要株主である東京電カホールディングスと東北電力が3月末に資金支援を表明し、調達のめどが一立ったと主張している。規制委は30日に東電の小早川智明社長から具体的な支援の内容などについて聞く考えだ。
地方制度・自治体論・地方自治一般
公文書保存9万点 県立歴史館 未整理資料の確認、捕修 (5.8 茨城)
森友、加計学園問題や自衛隊の日報隠蔽などで注目を集めている公文書(行政文書)。本県でも旧優生保護法下の障害者への不妊手術に関する個人記録が1月に見つかっていたのに4月まで公表が遅れ、課題が浮かび上がった。県立歴史館(水戸市緑町、山口やちゑ館長)は県関連の公文書約9万点を保存し、未整理資料の内容確認や補修、製本を日々行っている。行政運営の指針となり、事案完結から30年後には一般にも公開される公文書。「茨城の歴史の宝庫」とも言えます。
幾つかの冊子をとじて製本された公文書は、背表紙の表題がデータベース化され、インターネットで検索できる。ただ、冊子の中身までは検索対象に入っていない。旧優生保護法関連文書の公表が遅れたのを受け、大井川和彦知事はより詳細なデータベース化を指示した。本県自治体では同館のほか、常陸大宮市が文書館を整備している。
農業委員会改革 任命制 87%移行 (5.11 日本農業)
農水省は、農業委員会改革の進捗状況をまとめた。農業委員の選出方法を市町村長による任命制にするなど新制度に移行した農業委員会は2017年度末で全農業委員会の87%を占めた。18年度中には全農業委員会で移行する見通し。農業委員への認定農業者の登用や担い手への農地集積を補佐するために新たに位置付けられた農地利用最適化推進委員の選任なども進んでいる。
16年4月に施行した改正農業委員会法では、農業委員の選出について、公選制を廃止し市町村長が議会の同意を得て任命する制度とした。農業委員数を半分程度にする一方、新たに現場で農地のマッチングなどを手がける推進委員も位置付けた。農業委員の過半数は認定農業者を原則とし、女性や青年農業者の積極的登用も求めている。
守谷市 図書館直営復活 (5.11 毎日)
守谷市は来年度、市立図書館の運営を民間委託から直営に戻す方針を決めた。民間だと経費削減を優先して専門知識を持つスタッフを十分に確保できず良質なサービスを提供できないと判断した。指定管理者制度などに基づく民間委託の動きは全国的に拡大しているが、不適切な図書の購入が問題化するなど批判も根強く同市の判断は一石を投じそうだ。
同市は、2016年度から4カ所の公民館図書室の運営を「図書館流通センター」(東京文京区)と県内のビルメンテナンス会社でつくる共同企業体に委託した。指定管理者制度に基づく委託期間は18年度までの3年間で今年度の委託料は1億2652万円(図書購入は別)。
委託により開館時間が長くなり、会館日数も増えたが初年度からスタッフの退職があり、市が要求している常勤スタッフの6割以上を専門職の司書にすることもクリアできていないという。利用者から不安の声があがったことや図書館の運営を支援していた市民ボランティアからも不満が寄せられたため市教育委は、昨年11月有識者による「守谷市図書館協議会」に運営の在り方を諮問したところ、今年2月の答申で「直営に戻すよう」求められた。
日本図書館協会によると、昨年4月現在全国市区町村立図書館3215館のうち、指定管理者制度に基づく民間委託は530館(16.5%)。直営に戻したケースも15館あるという。
候補者男女均等法案 きょう成立 (5.16 朝日)
参院内閣委員会は15日、選挙で男女の候補者数をできる限り「均等」にするよう政党に求める「政治分野における男女共同参画推進法案」(候補者男女均等法案)を全会一致で可決した。16日の参院本会議で可決、成立する見通し。女性に参政権が認められた戦後、女性議員を増やすよう後押しする初めての法整備だ。政治の風景や政策は変わるのだろうか。
今後問われるのは、「男女均等」の努力義務を課される各党の姿勢だ。強制力はなく、女性を増やすかどうかは候補者の公認権を持つ政党次第。候補者名簿がそのまま、各党の「本気度」になる。公布と同時に施行され、来年の統一地方選、参院選が試金石だ。
知事多選制限 判断を先送り 条例案めぐり自民 (5.17 朝日)
県議会の自民党は16日、議員会を開き、大井川和彦知事が原案を示した「多選制限条例」で焦点となっている在任期間の上限について、判断を役員一任とすることを確認した。自民内で協議が続くことになる。県も6月議会への条例上程を見送る方針を自民側に伝えているといい、条例成立は9月以降に先送りとなる。
自民党内では、4期を上限とした知事側に対し、党内では3期までを主張する声が強い。県議会の改選が年末にも予定されていることから、9月議会をめどに知事側と協議していく方針だ。8日にあった党の政務調査会では「(多選反対とした)知事選での訴えと整合性がとれない」「党本部のルールで知事選の場合、3期を超えての公認はできないとなっている」など原案に反発する声が上がっていた。
新市民会館 県が認可 水戸市街開発本格化へ (5.25 朝日)
水戸市が市中心部の泉町1丁目で整備を進めている新市民会館の事業計画が24日、県の認可を受け、開発が本格的に進むことになった。空洞化が進む中心部のにぎわいの拠点として期待されるが、巨額の事業費や不透明な運営計画に疑間の声も上がっている。
開発予定地は水戸芸術館と国道50号に挟まれた約1・4㌶。事業費は285億円で、周辺道路の整備や駐車場の建設を含めると総工費は320億円を超える。新市民会館は、県内初となる約2千人収容の大ホールが備えられ、全国各地を回るコンサートツアーの会場に選ばれるようになるという。地上4階、地下1階建てで、延べ床面積は約2万2千平方㍍に及ぶ。当初は21年4月に完成が予定されていたが、22年9月に延期された。
開発を巡っては、これまで市民から計画内容について疑間の声が上がっている。計画の自紙撤回を求める「市民の会」は15年に約1万5千人の署名を集め、住民投票条例の制定を市に請求した。翌年5月の市議会で否決されたが、その後も署名活動を続け、約6千人の署名が集まっているという。また、今年1月に事業計画が縦覧にかけられると、県の都市整備課に136通の意見書が届けられ、24人が口頭意見陳述した。
同会が問題視するのは、建設後の収支計画が不透明な点だ。市は、具体的な収支予測は「設計が終わるまで決められない」として、公表していない。また、建設が予定されている駐車場は最大で300台しか収容できないため、施設周辺の混雑が懸念される。市は「周辺の既存駐車場の連携で機能分散する」としているが、具体的な分散方法については明かされていない。
県総合計画 将来構想の期間 「10年後」加え2段階に (5.30 朝日)
県の中長期的なグランドデザインとなる県総合計画を策定している県は29日、将来構想の期間を従来の30年後に加えて、「10年後」との2段階にする素案を示した。同日あった外部委員を交えた審議会(非公開)で説明した。計画の柱となる将来構想の期間をめぐり、県議会から「30年後は描ききれる期間ではない」などの批判が出てぃたことを受けて変更した。新たに構想の期間として設定した「おおむね10年後」は、大井川和彦知事が昨年の選挙戦で訴えた公約を基にした「政策ビジョン」実現に充てる期間とし、7月の次回の審議会までに数値目標を決める。
また計画実施を目指す上で、従来の県北、県央、鹿行、県南、県西に加えて、産業構造や交通基盤などによって新たに11に分ける地域分けも試みる。市町村が地域連携をする際に、目安としてもらうという。
予算・税・財政
森林資産 隠れた損失 公社廃止で497億円が1億円に (5.6 朝日)
「育てるのにかけた費用と同じ価値がある」という考え方で、帳簿上の評価額が引き上げられてきた林業公社の森林資産。だが昨今、公社の廃止とともに、実際の価値を算出する動きが出始めている。そこから見えてきたのは林業の厳しい現実だ。「廃止前の債務総額 497億円」「廃上に伴う時価評価額 1億円」。朝日新聞のアンケートに福井県が答えた。公社廃止時に再評価したところ、債務と同額分あることになっていた約I万5千 ㌶の森林の価値は1%未満だった。債務と帳簿上の資産価値が釣り合いながら膨らみ、損失表面化が遅れた典型例だ。損失が表面化するとどうなるのか。県が公社に貸し付けていたお金の回収を諦めたり、公社の借金を肩代わりしたり。「県民サービスに回るはずだったお金が消えるのと同じ」。
債務残高608億円の公社を持つ島根県は2083年度までに債務をできる限り圧縮するとしつつ、「拡大造林は国策でもあった」と国に支援を求める方針だが、林野庁は朝日新聞の取材に「公社を設置して事業を進めたのは都道府県側」と話している。
宮脇淳・北海道大学教授(行政学)の話: 独自の簿価の仕組みが対応の遅れにつながり、負担が将来世代に先送りされる結果となった。早めに時価で評価し直し、損失を確定して原因を総括するべきだ。その上で、「環境や防災のため」という公益性を明確にし、新しい森林管理の制度を考える必要がある。
林業公社 債務2200億円 廃止11県の資産、実際は100億円 (5.6 朝日)
都道府県の外郭団体「林業公社」の廃止が近年相次いでいる。これまで公社を抱えていた39都道府県に朝日新聞がアンケートしたところ14府県が公社を廃上し、うち11県が森林資産の実際の価値を回答。計2200億円の債務に対し、時価評価額は100億円弱だつた。差額の多くは税金での穴埋めになる。
法人税の地方再配分強化へ 総務省、有識者検討会で議論 (5.12 朝日)
自治体間の税収格差を減らそうと、総務省は企業が納める法人税の一部について、大都市から地方に再配分するしくみを強化する検討に入った。23日から有識者による検討会で議論を始め、秋までに報告書をまとめる。与党の税制改正大綱に反映させたい考えだ。
総務省によると、人ロ一人あたりの地方税収額を都道府県別で見ると、最多の東京都は23万5千円で、9万6千円で最少の沖縄県の2・4倍。特に企業が自治体に納める法人三税(法人住民税と法人事業税)の隔たりが大きく、最大の東京都は最少の奈良県と比べて6・1倍の税収がある。
与党が昨年末にまとめた一税制改正大綱では、来年度の税制改正で格差是正に向けた新たな措置を検討することが明記された。
ふるさと納税 3000億円越え 17年度見通し (5.12 日本経済)
ふるさと納税が返礼品の抑制が広がるなかでも増えている。日経新聞が全国814市区を調査したところ6割が2017年度の寄付額が増えると見込む。市区だけでも2014億円と前年度より10%伸びており、都道府県や市町村分を含めると3000億円の大台を突破する勢い。自治体の歳入としてはガソリン税に匹敵する規模で主要な収入源となってきた。
「交付税ゼロ」 76自治体 リーマン前の半分 (5.19 日本経済)
日本経済は、景気拡大局面が6年目に入り、戦後最長をうかがう。ただ地方財政に好況の実感は薄い。国から地方交付税をもらわずに行政運営をする自治体は2017年度に76団体、リーマンショック後の底だった2010年度の42団体からは増えているが、リーマンショック前の140団体の半分に止まっている。地方税を一部国税化した税制改正や高齢化の影響が根底にある。
一般財源総額は、18年度は過去最高の62兆円超で伸びている。このうち自治体の自前の税収も18年度は42兆円とやはり過去最高だ。しかし景気回復のペースに自治体の財政が追いつかない。理由は大きく二つある。第一に「税制改正のしわ寄せ」。政府は自治体間の税財源の偏りを減らすと地歩税のルールに手を加え続けている。例えば、都道府県、市町村が立地企業から集める法人住民税の一部を国税化し、交付税の原首にして配り直す仕組み。14年度に導入した結果、企業業績が好調でも以前ほど税収には結びつかなくなった。
もうひとつ「高齢化という構造問題」高齢者が増えることによる社会保障関連経費の増大、税収が増えてもそれ以上に支出の見込みが多ければ交付税で穴埋めすることになる。 ただ自治体も歳出増加圧力に手をこまぬいてばかりはいられない。自治体問題の連携による事務やインフラの共同化、広域化など地方自治体の知恵も問われている。
まちづくり・都市計画
「北沢トンネル」着工へ 常陸太田、国道461号の難所 来年開通予定 (5.27 茨城)
常陸太田市上高倉町から同市折橋町に通じる国道461号の難所「北沢峠」について、県が「北沢トンネル」(仮称)の工事に着手する方針であることが26日までに分かった。県議会最大会派いばらき自民党に工事請負契約案を説明した。
北沢峠の区間は現在、幅員が狭く、乗用車が擦れ違うのも困難な状況。トンネルの開通は2019年度、拡幅事業全体の完成は20年度末を見込こむ。県北地域の海と山を結ぶ「肋骨道路」の拡幅が実現すれば、広域的な周遊観光ルートや災害時の緊急輸送道路として期待がかかる。
地 域 経 済
県内納豆メーカー 値上げか 据え置きか (5.2 茨城)
大手納豆メーカーが今春、相次ぎ値上げに踏み切っている。原料の大豆や資材の高騰に加え、人件費や物流コストの上昇も続いているためだ。県内では大手に足並みをそろえる動きがある一方、「消費者が離れかねない」と慎重姿勢を崩さないメーカーもあり、コスト増に伴う価格転嫁のはざまで頭を抱えている。
納豆メーカー最大手のタカノフーズ(小美玉市)は4月、27年ぶりに「極小粒ミニ3」「おかめ仕立てミ二3」など5商品の値上"に踏み切った。5月1日には、「旨昧かつおミニ3」を含む5商品の出荷価格を上げた。
ミツカン(愛知)も「くめ納豆」「金のつぶ」など、人気シリーズ計10商品を6月から値上げする。同社は「製造コストの高騰を吸収するべく努力を重ねてきたが、企業努力では吸収しきれない厳しい状況」とする。いずれも、値上げ幅は10~20%。原料の大豆やパックなどの包装資材価格が高騰していることに加え、物流コストや人件費の上昇が影響している。
大子町 奥久慈の特産振興へ 流通公社を設立 (5.2 日本農業)
大子町は、「奥久慈茶」「奥久慈りんご」「奥久慈しゃも」「常陸大黒(花豆)」など町の特産品の販路開拓拡大や新商品開発、ブランド力強化などを支援するため、一般社団法人「大子町特産品流通公社(愛称グランドだいご)」を設立した。
優れた農産物・加工品を推奨する独自ブランド認証制度「だいごみ」と組み合わせ商談会への参加や物産展、セールス講習などに取組み農家の所得増大につなげる。理事会は、大子産米販売促進協議会、奥久慈茶組合、JA常陸大子町りんご部会、奥久慈しゃも生産組合、流通、金融関係の役職員ら12人で構成。理事長は町長が務める。資本金200万円(町出資)で、国の地方創生推進交付金も活用する。町出向者を含め5人の職員で運営する。17年11月の設立以来、りんご、茶、こんにゃく、常陸大黒などの販売商品開発に取り組んできた。
奥久慈しゃもは、地鶏で初となる地理的表示(GI)。保護制度取得に向けて「大子漆(うるし)」は知的財産として保護、「大子那須楮(こうぞ)」は和紙産地との連携を強化する。
同公社は「最終目的は生産者の収益向上。具体的な販路の開拓や商品の販売に結び付けたい」と展望する。
JAしおさい、なめがた 来年2月に合併方針 (5.12 茨城)
JAしおさい(本店神栖市、安藤昌義組合長)とJAなめがた(本店行方市、棚谷保男組合長)が合併する方針を固めたことが11日、分かった。合併期日は2019年2月1日。実現すれば総組合員数は1万9562人(正組合員数1万3927人)と、現時点で県内4番目に大きいJAが誕生する。県内では、組織統合により事業基盤を強化するとともに、組合員サービスの向上と業務の効率化にもつながるとして、JAが合併協議会を設立する動きが活発化しており、今後も広域合併の流れが加速しそうだ。
16年主要農産物の産出額 県産13品目 全国1位 (5.12 茨城, 5.17 毎日)
県が発表した2016年度の主要農産物の品目別産出額で、本県産の計13品目が全国1位となった。3位までをみると28品目となり‟農業県・茨城”を数字の上でも裏づけた
(1位) 鶏卵(447億円)、 さつまいも(261億円)、はくさい(202億円)、レンコン(153億円)、メロン、ピーマン、干し芋、ミズナ、チンゲンサイ、切り枝、芝、栗、セリ
(2位) レタス、コマツナ、シソ、ごぼう、マシュルーム、落下生
(3位) ネギ、ニラ、春菊、らっきょう、ミツバ、ソラマメ、そば、コンニャク
環境と開発
山口県 空き家改修費を助成 営農と生活 共に支援 (5.6 日本農業)
山口県は、雇用と独立双方の就農者の増加・定着を目指し、営農と生活を共に支援する事業の強化に乗り出している。従業員や構成員として受け入れる集落営農法人やJAに対して住居となる空き家の改修費用を助成。住居の確保が就農の支障となる例が多いことから「県域では珍しい」パッケージ支援に踏み切った。
法人など就業者を受け入れる経営体を対象に2017年度に事業を始めた。事業主体と住宅所有者が5年以上の賃貸契約を結ぶことが条件。1カ所当たり改修費300万円を上限に市町と3分の1ずつ助成する。18年度は雇用以外に独立就農者を受け入れるJAなどにも門戸を開いた。
営農面では、新規就農者らの受け入れに必要な機械や施設の整備を支援する事業もある。補助率は3分の1。
整備費は10アール当たり2000万円が上限。住宅支援と合わせ18年度は1億7400万円を計上した。
県は「住む場所がなく希望先に就農できないとの声も多い。営農だけでなく、生活とのパッケージ支援が必要だ」と説明する。
「特定空き家」 倒壊対策命令 笠間市、所有者に (5.22 朝日)
笠間市は21日、市内の「特定空き家」の所有者に対し、2015年に施行された空き家対策特別措置法に基づき、倒壊防止、扉や窓ガラスの補修、施錠などの対策をするよう命令した。命令は今月11日付。同法に基づく命令の措置は県内では初めて。市によると、特定空き家とは、「倒壊の恐れが高い」「衛生上著しく有害」などのどれかに該当する空き家のこと。対象となる空き家は、同市石井の居宅兼作業所で、基礎や柱の傾斜が著しく、外壁の一部が破損しており、放置すれば倒壊など危険な状態になるとう。
7月11日までに所有者が対策をとらなかったり、対策が不十分だったりするなど、命令に違反した場合は、50万円以下の過料に処せられる。市が建物を取り壊す行政代執行の手続きに移行する可能性もあるという。
監的所を「市文化財に」 市民団体が署名運動 (5.28 朝日)
鉾田市に、小さなのぞき窓があるコンクリート製の古い円柱が建っている。太平洋戦争当時、爆撃機の射撃や砲撃などの訓練を監視した「監的所」だ。市民団体は貴重な歴史遺産として、市教育委員会に文化財の指定を求める署名運動を始めた。専門家も「平和を考える教材にしてほしい」と呼びかけている。この戦争遺跡は同市汲上の県道脇に残る。1939(昭和14)年の鉾田陸軍飛行学校の設置に伴い、造られた。
市郷土文化研究会(大沼信夫会長)が20日、市内で開いた遺跡の保存と活用を考える講演会で、筑波大の伊藤純郎教授が円柱の建物について説明。「人が中に入って窓から訓練の様子を監視した監的所だ」としたうえで、「監的所は貴重な戦争遺跡だ」と指摘し「史跡ではなく登録文化財での保存」を勧めた。飛行学校設置後の40(昭和15)年には鉾田陸軍飛行場が開設。その後、鉾田教導飛行師団に再編された。旧陸軍最初の特別攻撃隊が編成され、後に「万柔隊」として出撃。11隊67人が、フィリピンや沖縄、敗戦直前の鹿島灘東方洋上作戦などに参加、戦死したとされる。
研究会は、監的所の保存活用を求める市教委への要望書の中で「昭和史を語り当時の陸軍教育の実態を把握するために欠かせない文化遺産」と意義づけ、「悲惨な戦争を戒め後世に伝えるための平和教育に活用を」と訴えている。
太陽光発電は今 (5.29~30 茨城)
上 5月29日
右肩上がりの成長 ゴルフ場転用相次ぐ 県内容量、3年で5倍 水戸市が1位 参入のしやすさ
下 5月30日
設置ブーム終焉 規制、費用増で淘汰 買取り半値、倒産も 送電線の不足変わらぬ期待
大子にニホンシカ? 八溝山で雄2頭撮影 農研機構 食害の対策急務 (5.31 茨城)
大子町の八溝山山頂で昨年11月、センサーカメラが雄のシカ2頭を撮影していたことが30日、農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)への取材で分かった。農林業に深刻な食害をもたらす恐れの強いニホンジカとみられる。県内には生息しないとされてきたが、栃木県では県東部まで生息域を拡大、食害が深刻化している。専門家は、群れで八溝山に定着する恐れがあるとして「早急に対策が必要」と警鐘を鳴らしている。通報を受けた県は、栃木県や茨城森林管理署などと連携を強化し、情報収集を進めている。
医療・福祉・社会保障・教育
県内の子ども 過去最低35万人 (5.6 朝日)
5日のこどもの日に合わせ、県統計課は同日現在の県内の子ども(0~14歳)の数を35万381人(推計値)と発表した。県の総人口に占める割合は12・3%。子どもの数、総人口に占める割合ともに、国勢調査を始めた1920(大正9)年以来で過去最低という。
同課によると、県の総人口は288万5934人(5日現在の推計値)で、子どもの数は男子が17万9877人(同)、女子が17万504人(同)。男子が女子を9373人上回っている。県の総人口に占める子どもの割合(4月1日現在)の12・3%は全国平均と同じ数値で全国24位。県内で子どもの割合が最も高いのは、守谷市の15.5%。最低の河内町は7・8%で、44市町村の中で唯一、8%を下回った。前年に比べて子どもの数が増えたのは、つくば市(809人増)とつくばみらい市(189人増)の2市のみだった。
県内12保健所 再編論議が本格化 業界や医師会に慎重論 (5.20 茨城)
県内12カ所の保健所について、再編を含めた今後の在り方を考える論議が本格化している。医師不足による保健所長の兼務の増加など内部事情の課題が顕在化し、県は管轄区域や組織について有識者会議の意見を踏まえ見直したい考えだ。しかし、食品業界団体や医師会からは「市民や関係者など現場の声を聞いて検討を進めてほしい」「急ぎすぎではないか」など、慎重論も相次いでいる。
医師の子育て環境整備 県 病児保育体制を拡充 (5.21 茨城)
医師確保対策の一環で、県は本年度、医師向けに急病の子どもを一時的に預かる病児保育支援体制を県内全域に拡大する。電話一本で病児を預けられる緊急コール体制の構築や、病院内の病児保育施設の整備費を補助して後押しする。子育て中の医師や女性医師の働きやすい環境を整備することで、医師確保につなげたい考えだ。
介護保険料平均2・6%増 自治体間の料金差拡大 (5.22 朝日)
65歳以上が払う介護保険料が今年度に改定され、県内の1人あたりの平均月額は2・6%増の5389円になる。上げ幅は前回(676円)より縮小したが、自治体間の料金の差は最大でl・41倍となり、現行の1・33倍から拡大した。厚生労働省のまとめによると、値上げする自治体はつくば市など23市町村で、上げ幅が最大だったのは800円増の大子町。引き下げをした自治体は前回はなかったが、今回は4市町(守谷、かすみがうら、大洗、利根)あった。水戸市など17市村は現行と同額。最も安いのは守谷市で4300円。最も高いつくば市はそのl.41倍の6050円だった。
上げ幅が最大だった大子町は、高齢化率43.5%、要介護認定率18.8%でいずれも県内で最も高い。「施設、通所とも介護サービスの供給を増やすことが難しい。値上げに住民の理解を得られるかどうか……、」(福祉課)と対応に苦しむ。 県内全体の平均は月額5339円、伸び率2.6%で、ともに全都道府県で3番目に低かった。県長寿福祉課は「後期高齢者が人口に占める割合がまだ比較的小さく、家族との同居率も高いことなどが考えられる」とみている。介護保険料は、主な利用者である65歳以上の人が払う1号保険料と、40~64歳が公的医療保険と一緒に払う2号保険料がある。1号の改定は3年に1度で、介護保険を運営する市町村が向こう3年間の介護サービス量の見込みを踏まえて算定する。
3保健所廃止 県が再編素案 常陸大宮・鉾田に窓口(5.22 茨城)
県は21日、第2回保健所再編検討懇話会を開き、現行の12保健所を9保健所に再編する素案を示した。常陸大宮、鉾田、常総の3保健所を廃止して本所機能と管轄市町村を近隣の保健所に統合し、常陸大宮、鉾田の2保健所に関しては窓口機能を残す内容。委員からは支所として存続を求める声や慎重論が相次いだ。県は7月までに懇話会の意見書を取りまとめ、今秋に関係条例改正案を県議会に提案し、来年4月にも再編に着手したい考えだ。
素案によると、常陸大宮保健所はひたちなか保健所に、鉾田保健所は潮来保健所に統合し、廃止となる2保健所には各種申請や相談の受付窓口の機能を残す。常総保健所は廃止し、管轄4市町をつくば、筑西、古河の3保健所にそれぞれ再編する。水戸保健所は、水戸市が2020年度に中核市に移行し自前の保健所を開設するとの前提で、同市を除く現行5市町を管轄する。土浦保健所の管内だった阿見、美浦の2町村を竜ケ崎保健所の管轄に変更する。
県の再編素案は、県内九つの2次保健医療圏と保健所の管轄の線引きを一致させ、管轄区域人口の多い保健所に人口の少ない保健所を統合した格好だ。この日の会合では、統合再編により管轄区域が広範囲化することに対し、委員から「住民サービスの低下が心配。支所として残すことはできないのか」「大規模な災害や食中毒などが発生した際に迅速に対応できるのか」など、慎重な意見が相次いだ。事務局の県厚生総務課は「住民にとって必要なサービスの窓口機能を残し、そのほかの人員を本所に集約して体制を強化したい」と素案の方針を説明した。第3回会合では窓口機能の業務内容や人員、支所として残した場合の費用対効果などを提示するという。