2016/11
月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2016年11月分
3.11東日本大災害、関東・東北豪雨災害
自宅再建へ独自支援策 常総市 利子補給など検討 (11.26 朝日)
昨年9月の関東・東北豪雨で大きな被害を受けた常総市の神道岳志市長は25日、今も市内外で避難生活をしている70世帯が自宅に戻れるよう、市独自の個人向け支援制度を検討していることを記者会見で明らかにした。自宅再建のためのローンの利子を市が補助したり、公営住宅や空き家をあっせんしたりして、支援資金を出すという。被災者個人への支援としては、これまで国の支援金や、県や市に寄せられた義援金の配分が主だった。ただ、いずれも「全壊」「大規模半壊」などの被害程度で一律に配られ、今も自宅再建のめどがただない人だけへの支援は難しかった。
市によると、避難住宅に住んでいる人は市内外で70世帯、180人いる。市が今月、この人たちに意向調査をしたところ、半数近くが「自宅再建のめどがたっていない」と答え、その大きな要因が資金だった。国の支後金や義援金では、全壊でも自宅再建前では約200万円にしかならず、数千万円かかる自宅再建には足らないためだ。財源は市の一般財源で、12月中に制度設計を終えて議会にはかる予定。
被災経験の管理職派遣 総務省事前登録 行政トップに助言 (11.27 茨城)
総務省は、地震などで被災した市町村のアドバイザーとして、別の自治体で災害対応を経験した管理職を派遣する制度を2017年度にも導入する方針だ。組織全体を見渡して職員の効率的な配置を助言し、罹災証明書の発行など被災者の生活再建に向けた業務を迅速に進める狙い。
熊本地震の被災自治体では、職員が避難所の対応に忙殺され、役場が手薄になった。こういった事態を避けるため、新たな制度で派遣する職員は過去の経験を踏まえて、行政トップへ直接助言する。これまでの応援職員は主に避難所運営などの現場業務を担ってきた。候補となる職員は、自治体が過去の職歴などを総務省に登録。東京都や兵庫県など防災部門が充実し、応援派遣の実績がある自治体から課長級らの登録を想定する。登録された職員には研修を実施し、最近の災害対応での成功例などを学んでもらう。災害が発生した際は、被災地の都道府県が、市町村の要請を総務省へ連絡。総務省は派遣する職員を選び、在籍する自治体に協力を要請する。
現行法では、応援職員の業務内容に関する規定がなく、
首長らへの助言がしにくいとの声があった。そのため18年通常国会で制度の裏付けとなる法整備をするかどうかも検討する。具体的な制度設計は17年夏ごろまでに自治体側の意見を聞いて詰める。準備が整えば17年度中に運用を始める。この制度とは別に、被災市町村への職員派遣と受け入れを都道府県知事レベルで調整するため、災害対策基本法と地方自治法の改正も検討する。
3.11東日本大震災 大洗の防潮堤計画 防波堤かさ上げ 県方針漁港内を見直し (11.8 茨城)
大洗町の茨城港大洗港区の防潮堤整備計画で、大洗港区の防潮堤は、大洗サンビーチの北端から大洗リゾートアウトレットやマリンタワー、めんたいパーク大洗など、海岸線を通る県道沿いの集客施設の海側に設けられる。高さが海抜約4・5メートルになるよう、2メートル前後の高さの防潮堤を築く計画。道路が通る防潮堤の切れ目部分には、津波が押し寄せた際に水の浮力で閉まるフラップゲート式の門が設置される。また、魚市場や町漁協の関連施設が集まる第1埠頭周辺は、陸上に設置するとした当初のライン案が施設を分断していたことなどから、漁協などの見直し要請を受けていた。変更案は、陸上に防潮堤を設置せず、漁港の防波堤の一部を海抜6メートルまでかさ上げして防潮堤とする。さらに、漁船などが出入りする漁港の出入り口となる部分幅約20メートルに水門を設ける計画。防潮堤の総延長は、当初の案より約0・7キロ長い約2・9キロになる見通し。第1埠頭周辺を除く区闇は本年度中の着工を目指し、防波堤のかさ上げなどについては来年度の着工を見込んでいる。
原発問題(東海第二原発関係も含む)
東海第2 市町村避難計画 県、年内策定を支援(11.3 茨城)
日本原子力発電東海第2原発(東海村白方)の過酷事故に備え、原発から半径30キロ圏の14市町村が進める避難計画作りについて、橋本昌知事は2日の定例会見で、「市町村で進捗状況に差はあるが、全体としては年度内の策定を目指している状況にある」と述べ、本年度中の計画策定に向けて市町村を支援していく考えを示した。
県の広域避難計画の対象は東海村や水戸市など14市町村で人口は全国最多の約96万人。このうち約40万人は県内30市町村で受け入れ、残る約56万人は福島と栃木、群馬、埼玉、千葉の隣接5県に避難する。14市町村は現在、県計画に沿ってそれぞれの避難計画作りを進めている。14市町村のうち、避難先に県外を含む自治体は水戸市や日立市など9市町あるが、他県との調整が長引き、具体的な受け入れ先市町村はまだ確定していない。このため県は、避難元と避難先の市町村同士が協議する場を設けるなどして市町村計画の策定作業を後押ししている。
那珂市長 「ヨウ素剤、市全域に」東海第2過酷事故、配布計画検討へ (11.12 茨城)
日本原電東海第2原発(東海村白方)の過酷事故時に用いる安定ヨウ素剤の事前配布に関連して那珂市の海野徹市長は11日、原発30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る市内全域にヨウ素剤を配布する方針を固め、同日開かれた同市議会原子力安全対策常任委員会(笹島猛委員長)で説明した。出席後、新年度予算案への配布事業費計上を前提に来年1月中にも市議会全員協議会で具体的な計画案を示し、議会の理解を得たい考えを明らかにした。
国、県の指針ではヨウ素剤の事前配布は原発から半径5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)に限られ、5~30キロ圏には事故発生後、必要に応じて配布することになっている。同市は全域が30キロ圏だが、5キロ圏は人口の約2%の約1100人にとどまる。同委員会で同市長は、大規模地震や災害が発生する危険性を指摘。「那珂市の場合、30キロ圏で避難時に医師や薬剤師を立ち会わせて5万人以上に有効時間の24時間以内に住民配布するのは現実的に不可能。その判断に基づいて自治体として住民の安全を確保する立場で、独自の配布計画を検討している。市医師会、市薬剤師会がまとまり、案ができた時点で議会に説明の場を設けたい」と発言した。議会側は「国、県と十分話し合って財政負担の少ない方策にすべきで、計画立案は唐突すぎる」などと反発。原電に対し安全協定で所在地並みの権限拡大を求めている県央地域首長懇話会(座長・高橋靖水戸市長、9市町村)や原子カ所在地域懇談会(座長・山田修東海村長、6市村)で周辺自治体の首長と足並み調整などを図って実施すべきなどの慎重論が出た。海野市長は取材に「原発事故発生時に5キロ圏、30キロ圏という区別は無意味。国、県の担当者には指針の条件で住民が守れるかどうか問いたい」などと語った。
ヨウ素剤配布率は52.5% 原発5キロ圈日立・那珂・東海 (11.18 朝日)
日本原子力発電東海第二原発(東海村)の事故時に服用する安定ヨウ素剤について、県は17日、原発から5㌔圈の日立、那珂、東海の3市村への配布率が52・5%になったと発表した。昨年度末時点より9・7㌽増えたが、県は「まだ不十分」として、来年3月に追加で安定ヨウ素剤の配布会を開く方針だ。
県は10月中旬から11月中旬にかけて、甲状腺被曝を抑える安定ヨウ素剤の配布会を開催。初めて実施した昨年度の分と合わせた配布率は、日立市(対象者2万4292人)が50・3%、那珂市(同1075人)が68・7%、東海村(同3万7702人)が53・4%となった。内閣府によると、これまでに事前配布しているのは11道府県で、対象者数は茨城県が最多。
「全住民配布」ひだちなかは1割
ひたちなか市は8月中旬から全住民への安定ヨウ素剤の配布を独自に始めたが、10月末時点で配布率は10・8%にとどまっている。同市は全域が原発から半径30㌔圈の緊急時防護措置準備区域(UPZ)に含まれ、配布対象は約15万9千人。このうち本来、県の配布対象だった5㌔圈の予防的防護措置準備区域(PAZ)に住む人も1100人いる。市は原発事故後のヨウ素剤の配布は困難と全戸への事前配布を主張。市内と東海村の調剤薬局71力所で8月中旬から独自に配布している。しかし、配布率は9月末で7・3%、10月末でやっと2桁にのった。この結果について市健康推進課の担当者は「いつでも取りに行けるようにしたことが逆効果になったのでは」と分析したが、「関心、危機感の低さも大きい」と話した。このためポスターやチラシ、開催中の広域避難計画に関する住民説明会などを通して安定ヨウ素剤の事前受け取りを市民に促している。ひたちなか市と同様に全域が30㌔圈で、一部が5㌔圈に入る隣接の那珂市でも全戸への事前配布の検討を開始。すでに市議会委員会で説明したほか、来年度中の実施に向けて関係機関と調整を進めているという。
東海第2営業運転開始38年 遠い「合格」、迫る「40年」 (11.28 茨城)
原発(東海村白方)は28日、営業運転開始から38年を迎える。再稼働の前提となる国の審査は中盤に入り、基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)の決定など一定の進展はあったものの、依然として「合格」は見通せない。国が定めた原則40年の寿命も迫る中、延長申請の期限までは残り1年を切る。
東海第2は国内初の出力100万キロワットを上回る大型原発(沸騰水型)として、1978年11月28日に営業運転を始めた。東日本大震災では、津波で海水ポンプ1台が浸水した影響で、3台ある非常用発電機のうち1台が停止した。その後は一度も運転せず定期検査に入り、現在に至る。原電は再稼働の前提となる原子力規制委員会による適合性審査を2014年5月に申請した。停滞気味だった審査は本年度に入り開催頻度が増え、これまでに計35回開かれた。既に、17・1メートルとする基準津波(原発ごとに想定する最大規模の津波)や基準地震動が了承され、地震・津波に関する審査は大きな山を越えた。一方で、古い原発特有の課題となるケーブルの防火対策や、防潮堤を越えてくる津波に備えた対策など、設備関係の議論はあまり進んでおらず、合格までには相当な期間を要する見通しだ。
40年超え運転の是非も今後、焦点の一つになる。東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間は原則40年とされ、規制委が認めれば一度に限り最大20年間延長できる。原電の村松衛社長は「まずは審査が最優先」と延長申請は審査終了後に判断する考えを示すが、運転延長するには40年を迎える1~1年3カ月前までに規制委に申請する必要があり、東海第2は17年11月が期限になる。
再稼働への「地元同意権」などを定めた安全協定については、同村や水戸市などの立地・周辺市町村は被害が広範囲に及んだ福島の事故を踏まえ、原電に対して枠組み拡大を求めているが、協議はほとんど進んでいない。
両者は「県や地元自治体に発電所の今後にかかる判断を求める時の前まで」に協定を見直すとする覚書を結んでおり、今後、規制委の審査の進展に合わせて見直し協議も本格化するとみられる自治体の避難計画づくりも難航している。対象となる原発から半径30キロ圏の住民は全国最多の約96万人に上り、県外の受け入れ先市町村はまだ決まっていない。 要配慮者の支援体判に加え、大地震などとの複合災害を想定していない点など多くの課題が積み残されている。
地方制度・自治体論・地方自治一般
高齢者が県人口の26.8% 国勢調査確定値 1人暮らし10万世帯超 (11.2 茨城)
2015年国勢調査の確定値で、県人口に占める65歳以上の高齢者の割合が昨年10月1日時点、過去最高の26・8%に上ったことが、1日までに県が公表した本県分の調査結果で分かった。前回10年調査時(22・5%)から4・3ポイント上昇し、4人に1人を超えた。1人暮らしの高齢者(65歳以上の単独世帯)も初めて10万世帯を超え、県内でも高齢化の進展が顕著となった。一方、0~14歳の年少人口の割合は、前回比0・9ポイント減の12・6%で過去最少を更新した。
確定値によると、本県の総人口は291万6976人。05年以降、3回連続の減少で、前回調査から11年の東日本大震災後を含めた5年間で1・8%、5万2794人の大幅減となった。人口減少が加速する中、県内の65歳以上の人口は77万1678人に上り、前回と比べ約10万7千人増えた。そのうち35万9029人が75歳以上で、県人口の8人に1人(12・5%)を占めている。
一方、0~14歳の人口は前回比約3万5千人減の36万4351人。85年以降、7回連続の減少で、ピーク時の50年(約75万人)からほぼ半減した。ほかに、15~64歳の人口は、同約14万4千人減の174万7312人。県人口に占める割合は60・6%で、前回から3・4%低下した。
地方公務員給与、上昇に陰り 春闘にも波及の懸念も(11.7 日本経済)
都道府県職員の給与上昇に陰りが見え始めている。昨年度は15年ぶりに全都道府県人事委員会が月給引き上げを勧告したが、今年度は41道府県が引き下げを勧告したものの、5都府県(東京、大阪、三重、高知、熊本)が据置きで、佐賀県は引き下げだった。勧告は地域の企業を参考にしているため、賃上げの動きが鈍い地域があったことを映している。人事院は8月、国家公務員一般職の月給を平均0.17%引き上げるよう勧告したが引き上げを勧告した都府県の人事委でも21県は下回っている。公務員の給与削減は春闘にも影響を及ぼすため、勧告が地方の賃金上昇鈍化につながることが懸念される。安倍政権は、アベノミックスの地方波及を訴えるが、来年の春闘を前に地方経済の先行きにも厳しさが見え始めている。
つくば市長に五十嵐氏 初当選 幅広い党派支援 (11.14 朝日)
つくば市長選と市議選(定数28)は13日、投開票され、市長選は保守から革新まで、幅広い党派の支援を集めた無所属新顔の元市議、五十嵐立青氏(38)=つくば・市民ネットワーク推薦=が初当選した。当日有権者数は17万4956人、投票率は市長選も市議選も53・31%で、前回を下回って過去最低だった。
今回の市長選は、現職の市原市長が昨年8月にあった「市総合運動公園計画」の是非をめぐる住民投票で8割もの反対にあい、不出馬を表明したことで始まった。市長選にも住民投票の結果が反映されるかどうかが注目された。朝日新聞社が市内4ヵ所の投票所前で投票した108人に聞いたところ、半数が「昨年の住民投票の結果を重視して投票した」と答えた。そのほとんどが五十嵐氏に投票した。多くの市民が住民投票の先に、今回の市長選を見据えていた可能性がある。
職員数削減に歯止め 第7次県行革大綱中間案 質向上に主眼、採用増も (11.18 茨城)
2017年度から5年間の第7次県行財政改革大綱の策定に向け、県は17日、県庁で開かれた「県行財政改革推進懇談会」(会長・細川知正茨城キリスト教学園理事長)に中間取りまとめ案を示した。同案は、これまで全庁的に推進してきた職員数の削減に歯止めをかけ、人材育成や適正配置などにより行政の質を高めることに主眼を置いた。現行の第6次大綱で前面に掲げた「県庁改革」をさらに一歩進め、「時代の変化に対応する県庁への進化」を改革項目の柱に据えた。県は21日に同案を決定し、パブリックコメント(意見公募)などを経て、本年度中の策定を目指す。
中間取りまとめ案では、一般行政部門の定員管理について、これまで築いてきたスリムな人員体制を基本としながら、各分野の職員配置数を見直し、緊急性や重要性の高い分野に職員を重点配置する方針。若手職員の増加に向け、採用数を増やすとともに、社会人採用も実施していく。併せて、自ら考え行動する人材の育成や女性活躍促進、働き方改革などに取り組み、時代の変化に対応で政構造の確立▽出資団体改革・連携の推進の4本柱。市町村や民間企業、大学、NPOなど多様な主体と連携した行政運営を推進し、相互交流に向けた庁内の窓口機能の明確化を図る。さらに、健全化判断比率の改善や基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字維持など財政健全とともに、出資団体改革も引き続き取り組んでいく。
茨城県「観光の職人」養成 魅力度ランク最下位返上へ (11.30 日本経済)
民間の調査会社がまとめた都道府県魅力度ランキングで4年連続の最下位となった茨城県で、おもてなしの向上をめざす動きが広がっている。県が2015年から始めたのは、ご当地検定におもてなしの技術試験を組み合わせた「いばらき観光マイスターS級」試験。県民一体となって勧光客をもてなして県の魅力向上につなげる。
県の試験は、14年11月に施行した「いばらき観光おもてなし推進条例」に基づき始まった。県民なら誰でも受けられる。県の観光情報について問う質問で合格すると「いばらき観光マスター」として認定される。珍しいのは、合格者を対象とした、おもてなしの作法を披露する実技試験。実際に観光客を相手にしている場面を想定し実演する。
昨年10月から2月にかけて実施した第1回試験では509人が受験し、筆紀試験で282人が合格。おもてなし実技試験に進んだ。176人のうちS級に認定されたのは47人だけの狭き門だった。合格者は観光ボランティアなどが多いが中には勧光業以外の合格者もいる。
第2回は10月に筆紀試験があり501人中294人が合格した。今回は交通業や宿泊業からが全体の3分の1を占めた。実技試験は来年2月の予定。
予算・税・財政
813市区 15年度 NEEDS調査結果(11.24 日本経済)
日本経済新聞社がNEEDS(日経の総合経済データバンク)を使い全国790市と東京23区の2015年度決算(普通会計速報)を調べたところ、社会保障関連の負担である「扶助費」が歳出全体の4分の1に迫っていることが分かった。
人口減少と相まって進む少子高齢化が自治体財政に重くのしかかっている。
〇 扶助費 歳出の23%に 子育て支援、高齢化で膨張
〇 被災地復興 遅れ鮮明 調整に手間 だぶつく予算
〇 徴収困難な税金など「不能欠損額」 厳しい地域経済反映
〇 まちの家計 ここに注目 経営収支比率―財政にゆとりがない
○ 実質公債比率―借金の負担が重い
○ 住民1人当たり個人住民税―富裕層は東京に集中
都会→農村 〃応援〃 膨らみ 今や2000億円 (11.27 日本農業)
インターネットを活用して不特定多数の個人から出資を募る「クラウドファンデング(CF)」や住民居住地以外の自治体に寄付をする「ふるさと納税」といった新しい資金調達を通じ、農村を応援する動きが広がってきた。2つあわせた市場規模は2000億円に上る。返礼品目的だけでなく農村や農家の挑戦を応援したいという都市住民が増加、農業支援や地域の課題解決に結びつく事業が目立つ。都市農村交流の新しい形で田園回帰の潮流に一つだ。
〇 ふるさと納税 15年度の寄付額は1650億円に達する。総務省は、4月、古里や関わりのある地域への思いを届けるという本来の趣旨に沿う仕組みにするよう自治体に要請。災害支援や農山村再生、地域の課題解決につなげるようとする自治体が目立ってきた。
〇 被災地復興事業の新しい資金調達として広がった。プロジェクト実現を目指す企業や個人が必要とする目標額を提示して資金を呼びかけて事業の財源とする。15年度の市場規模は363億円(前年度比68%増)に拡大、テーマは多様だが最も多いのは、耕作放棄地再生や移住者のカフェ起業といった地域活性化につながる活動への支援。
まちづくり・都市計画
鉾田市が交流館用地取得 臨時議会で議案可決(11.15 茨城)
鉾田市が同市飯名に整備予定の市民交流館(仮称)の事業用地約2万7千平方㍍を取得することが14日、正式に決まった。同市議会が同日、臨時会を開き、地権者13人から計約1億4700万円で購入する財産取得議案を賛成12、反対6(定数20、欠員1)の賛成多数で原案通り可決した。
市は用地取得に当たり、地権者13人と10月21日~11月1日までに仮契約を結んだ。用地の地目は山林と畑、雑種地。'交流館建設の賛否を問う住民投票を求める市民活動により事業は約4カ月遅れた。市は「(事業を)少しでも前倒ししたい」として12月の定例会を待たず、臨時会に用地取得の議案を提出した。
交通「空白地」に低料金タクシー 水戸市が実証実験 (11.17 茨城)
水戸市は来年1月と2月の2カ月間、国土交通省と連携し、タクシーの運賃を割り引く実証実験を一部地域で実施する。昼間の時間帯に市がタクシーを時間制で借り上げ、路線バスなどの運行が少ない地域に配車、低運賃で利用できるようにする。タクシー事業者の経営環境が厳しさを増す中、稼働率が低い日中の効果的な活用を探るほか、公共交通の"空白地"での市民の移動手段確保に向け、有効か否かを検証していく。
実証実験は国交省の「タクシー革新プラン2016」に基づき、全国で水戸市が初めて実施。実験結果は、国と市、事業者などが移動手段としての有効性や経済効果、今後の運行計画、サービス向上、住民ニーズの把握などを分析し、検証する。実験は、タクシー利用が少ない午前10時ごろから午後4時ごろまでの約6時間、市が事業者からタクシー2台を借り上げて実施。借り上げ料金のうち5割は事業者が負担し、残りの5割を市と利用者が負担する。運賃は距離にかかわらず、1回千円とする計画だ。タクシーは来年1、2月の2カ月間、毎日運行する。市は対象地域として国田地区(上国井町、下国井町、田谷町)を想定。借り上げたタクシーは国田市民センターに待機させ、利用者が指定の事業者に電話で予約し、同センターから配車する仕組み。利用できる区間は自宅とバス停などの交通結節点、商業施設、病院、公共施設、金融機関などの往復に制限する予定。隣接市町のかかりつけ医などへの往復は利用できる。
同地区は4月1日現在、65歳以上の人口が約900人で、高齢化率は市全体を11%上回る35・7%に上る。市は同地区を路線バスの運行数が少ない半面、公共交通の必要性が高い地域と位置付け、実証実験の場に選定した。
県北芸術祭閉幕 来場者75万人に 地域の魅力掘り起こす (11.21 茨城)
県北6市町を舞台に初めて開催された国際アートフェスティバル「KENPOKUART2016茨城県北芸術祭」は20日、全65日間の会期を終え、閉幕した。会期中、現代アートを中心とする国内外のアーティスト85組が計約100の作品・プロジェクトを発表。総来場者数は当初目標の30万入を大きく上回り、延べ約75万人に達する見通し。常陸大宮市岩崎の道の駅常陸大宮・かわプラザで同日夜、閉幕を記念するイベントがあり、実行委会長の橋本昌知事は「間違いなく成功といっていい」と成果をアピールした。
同芸術祭は9月17日に開幕。「海か、山か、芸術か?」をテーマに、4エリアの計32会場で展示が行われた。開幕前から千人を超える住民らがサポーターとして、アーティストの作品制作や会場運営を支援。さらに、住民参加型のイベントやワークショップなどで、来場者や地域住民らが参加アーティストと触れ合う場面も多く見られた。来場者数は10月末時点で、延べ約45万9千人に上り、11月以降も紅葉シーズンと重なり、週末を中心に順調に客足を伸ばした。
マンション「管理組合なし」 671棟 自治体危機感 強める (11.24 毎日)
老朽化が進む一方で管理がままならないマンションが増え続けている。毎日新聞社が都道府県や人口20万人以上の市区など計178自治体にアンケートしたところ、過去5年間で49自治体が分譲マンションの実態を独自に調査し、所有者でつくる管理組合すらないマンションが少なくとも671棟の上ることが分かった。老朽化の目安の一つとなる築30年以上のマンションは今後10年で倍増すると見込まれ、回答した自治体の約8割が「管理不全マンション」の急増で治安や防災上の懸念を抱いている実態が浮かんだ。(管理組合は、区分所有法で設置が定められている。)
国の推計では分譲マンションは、全国に約12.8万棟(13年)ある。管理組合がないと確認されたのは200棟に1棟だが「地方都市ではすでに管理不全が広がっている。今後は一気に進行する恐れがあり、国や自治体は早急に支援策を検討する必要がある」と指摘されている。
老朽化マンションは今後急増する。築40年以上は現在56万戸だが10年後に2.9倍に、20年後には5.6倍の316万戸になる。古いマンションほど住民の高齢化も進む。1970年以前建てられたマンションでは60歳以上だけで暮らす世帯の割合が52%を占めている。建物と住民の「ニつの老い」が管理不全マンションを生む要因となっている。
地 域 経 済
県内産米「ゆめひたち」米国に輸出 (11. 1 日本農業)
下妻市、坂東市、八千代町などの稲作農家で組織する「県西地域輸出米生産者協議会」は県オリジナル米「ゆめひたち」を北米に輸出する。同協議会として米国に輸出するのは初めて。県産米の評価を高め販路拡大を目指す。10月31日に茨城港常陸那珂港区で出荷式とコンテナ詰が行われた。米国カリフォルニア州の日本食レストラン向けに3回に分けて約60トン(玄米)をサンフランシスコ・オークランド港へ順次運ぶ。価格は1俵(60キロ)7000~7500円。
同協議会は米国への県産米輸出を視野に8人の生産者で6月成立した。「ゆめひたち」は、カリフォルニア産「コシヒカリ」に比べて品質に優れ現地でも評判がよかったと云う。米国で輸入販売を担当する「田牧ファームズ」とのマッチングで米国輸出が実現した。
2016年の耕地面積 0.6%減の447万ha(11.6 日本農業)
2016年の耕地面積(田畑計7月15日現在)は、447.1万haと前年より2.5万ha(0.6%)減ったことが農水省の調べで分かった。前年割れは55年連続。山間部などの条件不利地を中心に荒廃地が増えたのが最大の原因。
耕地面積は、1961年の608.6haをピークに減り続けている。高齢化による耕作放棄や宅地への転用などで、これまでに約3割の農地が失われた。耕地面積で前年より減少した分の6割は荒廃農地で、前年より2700ha増え、過去10年間で最大を更新した。
地域別に見ると、田畑の面積が前年より最も落ち込んだのは関東・東山と九州でともに5300ha減った。
関東・東山は宅地化の増加、九州は熊本地震などの自然災害が響いた。
特区・養父市 企業の農地所有解禁(11.10 日本農業)
政府は、国家戦略特区の兵庫県養父市で企業の農地所有を全国で初めて認めた。農業参入した3社が1.5haを来年1月までに購入し、稲作や園芸に乗り出す。だが、企業の経営撤退や農地が適正に利用されない懸念が根強く残る。
区域計画によると、農地を取得するのは出版関連業のH・N(約70aでニンニク栽培)、住宅施工業の子会社A(約60aで酒造好適米栽培)、生花卸が出資したY(約20aでリンドウの栽培)。これから地権者との交渉を本格化させる。農地を取得する狙いについて、3社とも地域の信頼感を得ることと、本格的な社会資本投下ができることを挙げた。
企業の農地所有を認める特例は、改正国家戦略特区の施行を受け、同市で9月から適用された。自治体がいったん地権者から農地を買い入れて売り渡す仕組み。農地が適正に利用されない場合には自治体の買い戻しも義務付けている。
都市農業振興で全国初 兵庫県が地方計画 (11.22 日本農業)
兵庫県は、今後の都市農業振興の基本方向と施策を示した「兵庫県都市農業振興基本計画」を策定した。昨年4月に施行された都市農業振興基本法への対応や地域住民の都市農業の関心の高まりといった情勢変化をふまえたもので都道府県単位での計画策定は全国初。
地域住民に必要とされる持続的な都市農業への転換を目指し、「産業としての持続的な発展」「営農の継続による多様な機能の発揮と農地の活用」「『農』のある暮らしづくり」の三つを基本方向とし、自給的農業や地域住民も都市農業の担い手として明確に位置付けた。生産緑地制度や税制度や税制の見直しに関する国への提言も盛り込んだ。
常陸那珂港区 スバル車、輸出開始 北米へ月1万~2万台 (11.29 茨城)
大手自動車メーカー富士重工業は28日、茨城港常陸那珂港区(ひたちなか市、東海村)から北米向けに完成自動車の輸出を始めた。スバル車の輸出が増えるのに伴い、現在の京浜港だけでは対応が難しくなり、群馬県内の生産工場から北関東目動車道でつながる同港区の利用を決めた。来年度は同港区から月1万~2万台を輸出する計画。自動車産業の進出で同港区の今後の利用促進にも弾みがつきそうだ。
北関東の海の玄関口 北関東道と直結 常陸那珂港区 (11.29 毎日)
茨城港常陸那珂港区(ひたちなか市・東海村)が「北関東の海の玄関口」として存在感を高めつつある。北関東道が2011年に全線開通し、取扱い貨物量は7割以上も増加した。28日にはスバル車を生産する富士重工業(群馬県太田市)も北米向け輸出を開始しており県はさらなる需要取り込みを図る。
環境と開発
水戸市・新ごみ処理施設 着工後、敷地から産廃 造成費10億円かさむ (11.22 茨城)
水戸市が同市下入野町に整備を進める新ごみ処理施設で、着工後に建設地から大量の産業廃棄物が見つかるなどし、市の造成工事にかかる費用が業者との当初契約額より約10億6102万円かさむことが21日、分かった。廃棄物の処分費用や盛り土による法面の地盤改良費用が新たに必要となったことが主な要因。同施設整備の総事業費365億円に変更はない。
事業者との契約額が増えるのは、昨年10月の着工後に分かった産業廃棄物の処分と盛り土による法面の地盤改良の費用に加え、敷地境界付近の雑木伐採、北側の法面保護工法変更などに伴う費用。昨年9月、同施設建設地(約56ヘクタール)のうち三つの工区について、工事業者と結んだ契約額は合わせて約18億6840万円だった。今回の変更により、契約額は約29億2942万円に膨らむことになる。産業廃棄物はコンクリート片や建築用木材の廃材、廃タイヤ、家電製品などで着工後に各工区の表面や地中から見つかった。容量は約6111立方メートルに上り、一般的な25メートルプールに例えると11~12杯程度。この処分費用に約1億1472万円が新たにかかることとなった。
太陽光発電計画、県に「不許可を」 龍ケ崎の自然保護団体 (11.29 朝日)
龍ケ崎市内での太陽光発電計画をめぐり、同市の自然保護団体「龍ケ崎・里山の会」が28日、計画地の開発について許認可権を持つ県に対し、許可を出さないよう求めた。県によると、東京都の事業者が9月中旬、同市若柴町の林地約2・5㌶に太陽光発電(出力1570㌔ワツト)を設置しようと許可を県に申請した。龍ケ崎市は今年9月、太陽光発電の開発業者に事前の届け出を求める条例を制定。今回の林地は開発しないよう求めた「抑制区域」だ。強制的に止める権限はないものの、今後、開発しないよう協力を求める方針だという。開発予定の林地は江戸時代に造成されたとされるため池「蛇沼」に隣接している。
医療・福祉・社会保障・教育
特養待機42%減 本県47%減 条件厳格化が主因 (11.7 茨城)
特別養護老人ホーム(特養)に入所を申し込んでも入れない待機者が38道府県で約22万3千人と、2013年の約38万5千人に比べて42%減ったことが6日、共同通信の今年10月末の集計で分かった。15年4月から特養の入所条件が原則「要介護3以上」と厳しくなったことが主因で、一部地域で施設整備が進んだことも影響した。本県は47%減少した。
数字上は待機者が大幅に減ったが、認知症や老老介護など要介護度が低くても自宅で暮らすのが難しい高齢者が門前払いされる例もある。行き場のない「介護難民」や家族の介護離職の増加が懸念されている。調査は47都道府県を対象に実施し、38道府県から回答を得た。条件が厳しくなる前の13年(一部は14年)と16年(同15年)の待機者数を比較した。他の施設に入所中の人も含んでおり、重複の扱いなど集計方法や調査時期が異なる場合もある。
県内いじめ7094件過去最多 規範意識低下の可能性も (11.15 朝日)
県内の小中高校、特別支援学校が2015年度に認知したいじめの件数が過去最多となったことが、文部科学省の調査で分かった。県教育委員会では、子どもたちが顔を合わせて遊ぶ機会が減った結果、「規範意識やコミュニケーション能力が低下し、いじめが増えた可能性もある」と分析。いじめ解消率の向上に向け、対策の強化を進める。県教委はいじめの増加を食い止めようと、今年度から小中学校を対象に派遣してきた「スクールソーーシャルワーカー」を県立高校にも派遣。社会福祉士や精神保健福祉士ら有資格者がアドバイスをするほか、児童相談所や医療機関との連絡・調整もする。
入院ベッド2025年に2割減、県が地域医療構想案まとめる 在宅医療の充実が課題 (11.16 朝日)
2025年に県内の入院ベッド数が約2割減になるとした「県地域医療構想案」が14日、まとまった。社会保障費を抑制するため、軽度の入院患者は自宅や介護施設での療養を促す国の方針を受けたもの。だが、県内の在宅医療の拠点整備は全国的にみても遅れており、受け皿の充実が課題となる。
県が、団塊の世代が75歳以上になる25年の医療需要と必要ベッド数を推計し、それに合わせた施策の方向性をまとめた。在宅復帰に向けた医療やリハビリを提供する「回復期」や長期の療養が必要な「慢性期」の入院患者の一部を、在宅医療や介護へ移行させることなどを想定。13年のベッド数2万6984床が2万1755床に減るとした。区域別では、つくば区域を除く8区域でベッド数が減る。減少率が大きい順に、鹿行区域が1265床(13年比で37・9%減)、筑西・下妻区域が1458床(同36・1%減)、日立区域が1850床(同35・9%減)となった。こうした推計は、在宅医療や介護の充実が前提だが、現状では課題も多い。県内の在宅療養支援診療所は10万人あたり6・8施設と、全国平均の11・2を大きく下回る。訪問看護ステーションも10万人あたり3・7事業所と、全国平均の5・7に届かない。また、25年には県内の介護職員が1万人以上不足するという推計もある。
小型発信器とスマホ通信 徘徊者を早期発見 笠間市が実証実験 (11.24 茨城)
笠間市は、小型発信器とスマートフォンの通信を利用し、徘徊する認知症高齢者などを早期に保護するための実証実験を大手警備会社と共同で始める。発信器を身に着けた高齢者らが、専用アブリを入れたスマホの所有者らと接近すると、時間と位置の情報がサーバーに集積される。高齢化が進む中、同市はお年寄りや家族の安心安全につなげたい
考え。
危険な通学路 5500カ所 文科省まとめ (11.29 日本経済)
登下校中の子どもが巻き込まれる事故が相次ぐなか、2012年に危険性が高いとされる通学路約7万4千カ所のうち16年度末時点で約5500カ所で対策がとられていないことが文科省などの調査で分かった。文科省は、通学路の安全確保に向けた取組みをさらに進めるよう都道府県教育委員会に通知した。対策が必要な地点は、74483カ所で 16年3月末時点で対策がとられたのは68931カ所。
通学路の安全確保の担当は ①教委や学校 ②自治体などの道路管理者 ③警察。特に道路管理者担当の対策遅れが目立ち、4500カ所のうち約4000カ所で対策が取られていなかった。文科省・国交省・警察庁は今月(10月)教委や学校、警察などが連携して通学路を定期的に点検するよう通知した。対策に時間がかかる場合はボランティアによる見守りなどするよう促している。