第96号
第96号
2016・12・25 更新
那珂湊おさかな市場=ひたちなか市湊本町
その日の朝に水揚げされた新鮮な魚介類を販売する量販店街として人気があり、関東を代表する観光市場として県内外から毎年およそ100万人が訪れているという。「那珂湊おさかな市場」はひたちなか海浜鉄道那珂湊駅から徒歩10分にある。
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中流下層が低所得層に反発、ポピュリズムのターゲットに!
2016年12月22日付け朝日新聞に載った井手英策氏の「(あすを探る 財政・経済)中の下の反乱、食い止めよ」と題する文書が注目される。安倍政権を支え、トランプを大統領に押し上げたのは「中の下」層だという指摘。
井手氏はこう述べている。
日本では、非正規雇用の割合が4割を超え、平均所得以下の人たちが6割を占める。格差是正を訴えるリベラルの戦略は一見正しく映る。 だが、多くの低所得層が「自分は下流ではない」と認識していたらどうか。生活不安に怯(おび)えているのに政治的に取り残された中の下層は、格差是正の訴えを聞けば聞くほど、低所得層への反発を強めるのではないか。
貧困に苦しむ女子高校生の番組が激しい批判にさらされた。その多くは、「自分の生活の方が苦しい」という 怒りの声だった。非正規労働者の待遇改善もそうだ。残業代の未払いと長時間労働に苦しむ中の
下意識の正社員たちの多くは、この動きを冷ややかな目で見ていると聞く。
じつは、日米英の3国には共通点がある。いずれも、財源が限られ、給付に所得制限がつき、財政が低所得層の利益で固められている。だからこそ、中間層の不満が沈積し、中の下層に「移民や貧困層があなたたちの暮らしを悪くする」と訴え、下流への転落の恐怖をあおるポピュリズムが威力を発揮する。米英のできごとは対岸の火事ではない。
「中の下」層と貧困(低所得)層の対立、相互不信を権力維持のバネにしている巧妙さを突いている。伝統的な「分裂させて統治せよ」の現代版である。政策上でも民主運動の上でも「中の下」層の意識・動向に留意しなければならない。新自由主義政策がもたしている格差拡大社会の帰結がポピュリズムの威力によってとんでもないデーモン(悪魔)社会・狂気のファシズム社会にならないように十分に警戒する必要がありそうだ。(T.T)
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寄 稿
「エコフロンティアかさま」の現状と諸問題
エコフロンティアかさまを監視する市民の会 多崎 貞夫 加藤 正敏
「エコフロンティアかさま」は、2005年に「茨城県環境保全事業団」により開設された、県の指導監督下にある『公共処分場』である。産業廃棄物処分場であるが、旧笠間市の一般廃棄物を週1回受入れ、他市町村清掃センターからの燃え殻ごみも受入れている。近年は福島原発事故由来の膨大な量の放射性廃棄物の搬入が続けられている。
1 茨城県環境保全事業団 「エコフロンティアかさま」
・所 在 地 茨城県笠間市福田165
・最終処分場 用地面積 28.6ha 埋立容量 240万㎥
・溶融処理施設 72.5t/日×2炉
2 管理型処分場に放射性廃棄物
「エコフロンティアかさま」は管理型最終処分場で、営業開始時より放射性廃棄物は受け入れないとしていた。しかし2011年の福島原発事故後、特別措置法により放射性廃棄物も8000ベクレル/kg以下であれば、管理型処分場に埋め立ててよいとされ、現在は、県内外から放射性廃棄物を含む廃棄物が搬入されている。しかし、3年前より受入数の開示は拒否されている。
(1)埋立て処理の放射性セシウムの総量
2015年1月現在、放射性セシウムを帯びたばいじん(飛灰)や燃えがら(主灰)などの埋立て量は、71,756トン、放射性セシウムの総量は約1100億ベクレルと推定された。
現在は、1500億ベクレル超と推定される。
(2)環境に及ぼす影響
①管理型処分場に放射性廃棄物の埋立て
「エコフロンティアかさま」では、放射性廃棄物を処分場の 一角(約1000㎡)に埋立て、それを毎日農業用シートで覆い、その上に数十センチ覆土していた。
2016年4月にはこのエリアに厚い防水シートを覆い覆土している。
管理型処分場に、このような簡便な埋立て方法で放射性廃棄物を埋立てることは極めて無謀であり、本会では、「放射性廃棄物は分厚い隔壁を持つ遮断型の処分場で処理すべきである」と主張している。
②放射性セシウムの消滅期限と遮水シートの寿命
放射性セシウム137の半減期は30年、ほぼ消滅には300年かかるが、管理型処分場の遮水シートの寿命はよくもって15年といわれる。「エコフロンティアかさま」の遮水工の寿命はあと数年。劣化していく遮水工から汚染水がいずれ漏れ出すことは必然である。
③放射能汚染の広がりの懸念
放射性セシウムが遮水シートから漏れだし、地下水を汚染していくと、やがて涸沼川や涸沼を汚染していく。その間、田畑も汚染していく。こうして涸沼川や涸沼の魚介類が汚染され、食物連鎖で被害は広く長くなることが懸念される。
3 堰堤及び仮堰堤の問題
・貯留構造物 堤高 15m
・法面勾配 場内側 1:2.0 場外側1:0.8
処分場計画断面図を見ると、埋立て完了時には堰堤から奥側に向けた勾配が10度になっており、建設工事前の住民への説明では、この上に盛土をして植林するとしていた。しかし、この10度という傾斜については、安全上大きな問題がある。
埋立て処分場の周辺、東側や南北は山地であり、異常降雨があった場合、山の表層を流れ落ちる水や多量の地下水流を考えれば、堰堤はその事態に耐えられる構造であるとは考えにくい。事業団もそれを懸念してか、一昨年から場内下手に高さ3mほどの仮堰堤を築いた。しかしこの仮堰堤はスラグや土を重機で転圧しただけのもので、異常降雨にどれだけ耐えられるのか大きな疑問がある。
4 開設10年超の諸問題
開設時、埋立期間は10年であったが、10年後の今日も埋立容量は5割弱である。ごみ不足が続いている。
2016年3月の「第15回環境保全委員会」では、懸念される問題がいくつか取り上げられた。
① 遮水シート破損の懸念
埋設される廃棄物の量は年々大きくなり、シートがその重量に十分耐えられるか、どうすればその破損が探知できるのか。シートの伸びは許容範囲内にあるということだが、それなりに伸びてきている。検知器の電極でわかるといっているが、小さな穴が開いているのを見つけるのはむつかしいのではないか。
② 地盤沈下の懸念
2011年の東北大地震で、最終処分場の地盤沈下は最大で約27センチである。そして今後、埋立て処分場の上載荷重が大きくなればなるほど不等沈下が予測される。
局所的に沈下が大きければ、掘出して検査する必要があるが、現状ではまだ大丈夫か。地盤沈下が大きいところに埋める場合は軽いものをもっていくという方策が考えられないか。
③ 地下水の汚染
2013年以降、地下水中の塩化物イオンが大きく上昇している。その原因が何か議論になり、シート破損の可能性を指摘する委員も出ている。
5 「エコフロンティアかさま」を監視する機関の問題
① 「笠間市監視委員会」
笠間市主催で毎月1回開催。委員15名は、地元福田地区から10名(5地区の区長と対策協議会役員5名)、隣接地区から3名、市から2名。しかし、質問も意見もほとんど出ない会議である。
② 「環境保全委員会」
事業団主催で毎年度3月開催。委員は、学識経験者14名、市民8名、行政2名。意見を出す委員は例年3~4名で審議は低調であるが、2016年3月は、上記のとおり、地盤沈下などの問題で珍しく発言が多く出た。しかし、福島原発経由の放射性廃棄物の持ち込みと埋立問題については、かつて1人の委員がどのような埋立方法をしているのかという発言はあったが、この4年間はそれが漏れ出す危険性などについての質疑は一切なく、処分場最大の問題に目をそらし逃げているとしか考えられない。
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老いらくの命を削るカット法
カリブ海巨星がが落ちて波しずか
猿芝居拍手もなくて年は暮れ
一文字は暴走ここに「極」まれり
乱れ世に異端の人が法螺を吹き
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)
新刊紹介
『新版 改定介護保険法と自治体の役割ー 新総合事業と地域包括ケアシステムへの課題 』
伊藤周平・日下部雅喜著
自治体研究社・定価:本体1,389円+税