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第72号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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第72号

2014・12・24 更新
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いこいの村涸沼=鉾田市

 『県立自然公園涸沼湖畔にある公共の宿』目の前に広がる涸沼は日本でもめずらしい海水と淡水が交じり合う汽水湖として有名。周囲22kmのこの湖は、那珂川の支流である涸沼川によって太平洋と結ばれ、海水と淡水が交わる汽水湖。日本三大しじみ産地(島根県・青森県・茨城県)

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惨敗に懲りず辺野古にへばりつき
美らの海光ってジュゴン大ジャンプ  
復興のかけ声さえも虫の息
みそぎだと溜まった垢を爪でかき
春雷に馬の蹄が遠ざかり  

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

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寄 稿

米つくって 飯くえねえ!

宇佐神 忠捷(茨城県自治体問題研究所 顧問)

 いま、農村で米作農家を中心に大変な事態がおきています。米価の大暴落で「米つくって 飯くえねえ!」という事態です。米のほとんどの銘柄の価格が前年比2割前後も下落しています。2014年産米の9月の取引価格は全銘柄平均で1俵(60キロ)12,481円、農水省が調査を始めた06年産以来の最低価格です。
 農水省調査によると、米の生産費は1俵当たり16,236円(過去5年の全国平均)。種籾や肥料、燃料など物財経費だけでも9,666円(同)とのことですから米作農家は、生産費を賄えない価格で米を出荷しなければならなくなっています。
 農民連発行『農民』に、米とミネラルウオーターとの価格を比べた記事がありました。それによると、ペットボトル500ミリリットルは自販機で110~120円、そのペットボトルに入る米の量は403グラムで、これを9,000円の米価で計算すると米入りペットボトルは60円、7,000円だと47円にしかなりません。大量の水と労力、月日をかけて作られた米がミネラルウオーターの水の半値にしかならないとはビックリ、こんなことが許されてよいのでしょうか。

(注)9,000円、7,000円という米価は、今年度の農協の概算金が前年度より1俵3,000~4,000円引き下げられた結果、それをもとにするとコシヒカリでも9,000円、その他の銘柄は7,000~8,000円にしかならない。実際の取引価格はこれよりも高くなります。 

 米価暴落の原因は、ひとつではないと思いますが、直接的には2013年産米の “過剰”と言われています。しかし、過剰=米余りにであることは分かっていたのであるから、この事態と2014年産米に対して政府が迅速に適切な対策を取っておくべきだったのに放置していたのです。
 安倍政権がこの間、米作り対策としてとる施策は、2018年度に米の生産調整をやめること(減反政策の廃止)、そして「米価は市場で決まるもの」として市場まかせにするというもので、有効な価格安定対策はありません。昨年まで米作農家に交付されていた10アール当たり15,000円出されていた直接支払交付金も今年産から半減されています。供給が過剰になれば、価格が下落するのは常識であり、それが分かっていながら何の手(緊急買い上げなどの措置)も打ってこなかったことが今日の状態を招いています。さらに心配は、これがTPPの先取り(輸入米を念頭においた米価)になるのではないかということにもあります。
 このままこれが続けば、一時的には消費者の生活にプラス(安く米が手に入る)になっても今後米を作る人がいなくなり、日本の米作りが衰退し、私たちの「食」の中心にある米、そしてそれを育む農業、さらには私たちの食糧そのものに危機が訪れるでしょう。政府もこうした心配に耳を傾けざるを得ず、一定の価格を補償する処置の検討を始めているようですが、その内容が本当に米作農家の期待に応えられるものなのかも含めて明らかになっていません。一刻も早く、米作農家が来年度以降も安心して米を作れるよう手立てを講じてもらいたいものです。
 量販店などでは5キロ1,300~1,500円で安売りを競っていますが、1キロ当たりの価格は300円で、これは茶わん一杯のご飯にすると20円にしかなりません。国民の命をつなぐ米をこんなに粗末にしてよいのか。皆が考えてみるべき問題と思います。

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イベント紹介

弁護士ドキュメンタリー 映画『日本の原発』上映会  
海渡雄一弁護士の講演「原発と暮らして幸せですか」

映画『日本の原発』 弁護士 河合弘之 初監督
脱原発裁判の先頭に立つ弁護士が裁判闘争の限界を打破するために あえて世に問う日本の原発のすべて!

と き  2015年1月31日(土) 
ところ  ワークプラザ勝田 
一般1000円 (学生500円)
 ◇ 14:00~ 第1回上映  
 ◇ 16:30~ 海渡雄一弁護士 講演会   
 ◇ 18:00~ 第2回上映

映画『日本と原発』上映会&講演会実行委員会

連絡先Tel.029-231-4555 (水戸翔合同法律事務所)

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新刊本紹介

雇用・くらし・教育再生の道
大阪都構想・カジノからの転換

編著 中山 徹(奈良女子大学教授)・大阪自治体問題研究所

第1章 自治体がとるべき経済対策の基本は雇用の安定 資料 ブラック企業規制条例素案
第2章 強権的な手法により作成された「大阪都」構想の協定書
第3章 「特別区設置協定書」批判
第4章 維新政治が進めてきたこと  教育介入、組合攻撃、文化予算削減、公共交通、市民病院、保育、学童保育、地域福祉、維新・維新系市長 
第5章 堺市長選挙で示された「反維新」市民共同の流れをさらに太く
自治体研究社 A5判 926円+税

「自治体消滅」論を超えて
著者 岡田知弘(京都大学教授・自治体問題研究所理事長) 

1 「地方創生」と道州制  首相がめざす国のかたち/「ビジネスしやすい環境をつくる」改革/府県を廃止する道州制案    
2 日本創生会議・増田レポートの自治体消滅論とその活用のされ方  安倍政権の基本政策・成長戦略づくりに活用される「増田レポート」
3 「増田レポート」の何が問題か 「自治体消滅」シミュレーションの虚構/人口減少の本当の原因は何か
4 安倍内閣の「地方創生」に展望はあるか  なぜ「地方創生」なのか/地方創生政策の柱/実施法としての地域再生法/「地方創生」の根本矛盾
5 地域を「活性化する」「豊かにする」とは  
6 グローバル競争に左右されない個性あふれる地域経済・社会の再構築と自治体の役割

自治体研究社 A5判 926 円+税

地域医療を支える自治体病院
医療・介護一体改革の中で
伊藤周平・邉見公雄・武村義人・自治労連医療部会=編 


第1部 医療・介護一体改革の本質と問題点 (問題の所在—消費税の増税と安倍政権の社会保障改革プログラム法にみる医療・介護分野の改革の方向性 ほか)
第2部 病院・かかりつけ医・介護の連携 (病院とかかりつけ医 連携の問題入院医療から在宅復帰の現実名古屋市の例から ほか)
第3部 地域の中核医療機関としての自治体病院 (全国自治体病院協議会会長・邉見公雄先生に聞く自治体病院が地域で果たしている役割 ほか)
第4部 社会保障改革の新段階と対抗運動の展望 

自治体研究社 A5判  1400 円+税 


『小さい自治体 輝く自治 ー「平成の大合併」と「フォーラムの会」ー』
全国小さくても輝く自治体フォーラムの会ほか編 


* 「自治体消滅論」をうち破るヒントと実践(住民と自治体関係者が力を合わせて進めている住み続けられる自治体づくり)がある。
定価1700円+税

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