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第172号

第172号

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第172号

2023・04・25更新

投票所 (2)


大学における期日前投票の光景

 選挙期間中に大学内に一日だけ、期日前投票が行われることになったが、投票率はかんばしくない。
 投票の便宜が図られても駆けつけない学生の多さは、政治に対する関心、期待が極めて低いことの表れか。奇をてらったり威勢のいいことを言う政党・候補者にひかれる傾向が危惧される。







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低投票率の打開策は?

 昨今の選挙は、国政選挙、地方選挙を問わず50%を下回り、民主政治の危機が喧伝されている。
 日本学術会議は、2014年8月29日『提言 投票率低下への対応策 』(政治学委員会)を発表している。

提言等の内容
1 政治活動・選挙運動の自由化促進と、政治における透明性の増大

 日本では公職選挙法の規定により、選挙運動に対してさまざまな制限が課せられている。これらの規制の中には、現在の時点ではもはや不要と思われるものも多い。たとえば、選挙時における「戸別訪問の禁止」などは、もはや不要な規制であろう。
 この間に実現した「インターネットを利用した選挙運動」の解禁と併せて、選挙運動に従来課せられていた規制の見直しを進めることは、選挙運動の活性化につながるであろうし、有権者にとっても「政治情報に触れる機会の増大」につながるであろう。
 ただし、このような選挙運動の自由化が、「金権選挙」の拡大につながることがあってはならず、政治における透明性の増大を伴う必要がある。「法定選挙運動費用」の規定は、従来は厳密に適用されてこなかったと思われるが、現在その厳格な適用が必要とされている。
 その他、投票所・投票機会の拡充にも言及して、政府・国会に改革改善を促している。

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 寄 稿 

 2023年度茨城県予算・議会の特徴と県民要求 

江尻 加那(日本共産党 県議会議員)

◆県議会改選後初の定例議会で予算審議 昨年12月の県議会議員選挙後、はじめての定例議会 が開かれ(2/28~3/24)、2023年度予算案 等を審議しました。
 最終日の議案採決では、日本共産党 が予算や条例案など34件に反対したほか、つくば市民 ネットワークが一般会計と水道事業会計に反対討論。共産党以外の会派が予算に反対するのは異例のことです。 しかし、自民党、公明党、国民民主党、立憲民主党ほ か、初議席をもった日本維新の会を含め、知事提案議案にすべて賛成という「オール与党」議会の本質は変わっっていません。
 すべての提出議案等(84件)に対する各会派の採決態度が、県議会ホームページに掲載されています。

【主な予算・事業(県予算案関係資料より)】

・新観光コンテンツ造成事業 1.4億円
・工業団地整備推進事業 64.2億円
 (圏央道沿線地区、ひたちなか地区)
・新産廃最終処分場整備事業 10.8億円
・有機農業推進事業 2.7億円
・ブランド牛・豚・メロン拡大事業 9.3億円
・障害者施設あすなろの郷建替え事業 44.2億円
・コロナ感染症対策事業 398億円
・産業技術短大の大学校化事業 1.5億円
・運動部活動地域連携事業 2.2億円
・出産・子育て応援事業 1.8億円
・台湾いばらき経済交流促進事業 1億円
・TX県内延伸構想促進事業 2600万円
・移住・二地域居住推進事業 1.6億円
・県北起業家育成事業 1.7億円
・ひたちなか大洗リゾート構想事業 5300万円
・サイクリングツーリズム推進事業 7000万円
・アンモニアサプライチェーン事業 3000万円
・宇宙ビジネス創造拠点事業 6400万円
・中高生プログラミング育成事業 4700万円
・リスキリング推進事業 6600万円

 これらの事業は、県予算案関係資料に記載されたものですが、その内容は知事がPRしたいものに特化され、医療や福祉、 教育などの県民要望がどのように予算化されているのか分かりません。
 そのため、各担当課に一つひとつ聞き取りしています。 その中で、児童相談所や保健所・衛生研究所職員の増員やフリースクールの運営費や保護者負担への補助の拡充、医療的ケア児やヤングケアラーへの支援など が予算に盛り込まれていることが分かりました。

◆企業は収益増の一方、賃金は上がらず・・・ 一般会計予算(1兆2922億円)を見ると、輸出 関連企業の収益増で法人2税は過去最高の税収(前年 比12.4%増)を見込む一方で、賃金が上がらず県民 税の税収(1.7%増)は伸び悩んでいます。
  疲弊する家計や事業者への支援が不十分であり、相変わらず大型公共事業を推進しています。国直轄の 霞ヶ浦導水事業に9億1000万円、常陸那珂港整備 の9億5000万円を計上。この他、企業誘致に50 億円補助、新たな工業団地3カ所の造成に64億2000万円。地元住民が反対する日立市での県産廃処分場整備は19億8000万円を盛り込みました。
 コロナ感染症対策では、「5類」への移行を前提に、移行段階に必要な病床確保や医療設備補助のほか、ワクチン接種・検査費が盛り込まれたものの、どこまで実行されるか不確実です。また、高齢者入所施設に対し、国も県も感染者を施設内で療養するよう求めていますが、その対策費が削られています。
 公的負担と役割を後退させないよう、国や県の責任 を追及していくことが重要です。

◆いばらきの少子化・人口減少のゆくえは・・・ 今回の県議会では、知事の所信表明でも各会派の質問でも、人口減少・少子化が重要論点のひとつになりました。
 知事は議会初日の提案説明の中で、「新たな働き手の確保や生産性の向上が不可欠であり、国内需要の先細りに対応するため活路を海外に見出していくことも求められる」と、少子化問題を企業や経済の視点からとらえ、いかに海外に打って出るかが勝負だとしています。
 若者や子育て家庭への支援こそ求められますが、 知事は少子化の最大の要因は「未婚化・晩婚化」だとし て、結婚支援を打ち出すばかりです。
 議会では、負担の重い学費の減免や給付型奨学金の拡充を求める質問がありましたが、知事は「国の問題」として県独自の取組に後ろ向きです。
 唯一、奨学金返還支援制度については、私の質問に「結婚や子育てを控えた若者の経済的な負担軽減に加え、人材確保が課題となっている県内企業への就職につながる」として、「返還支援を行う企業への助成など検討していく」と答えました。今後の取組に注目したいと思います。
 市町村で広がる小中学校の給食費無償化に対する県補助はなく、県立特別支援学校や県立高校附属中学校に通う児童生徒の給食費も有償のままです。 子どもの医療費補助制度の拡充もありません。
 現在、県補助は外来診療費が小学6年生まで、入院費が高校3年生までですが、すべての市町村が上乗せして外来医療費も高校3年生以上に拡充しています。
 また、学校部活動の地域移行や活動時間の上限設定などについて論議されましたが、生徒の意見を尊重すると同時に、教員を増やす抜本対策が求められます。
 高齢者福祉では、医療や介護の充実に加え、外出支援が切実な県民要望です。車がなければ途端に生活が不便になってしまいます。
 水戸市と潮来市以外の市町村が乗合タクシーやコミュニティバスを運行していますが、運行経費に県補助がありません。
 さらに、認知症予防としても注目される高齢者の補聴器購入への補助は、古河市に続き筑西市や城里町で始まりましたが、これにも県の支援がありません。
 県は「健康長寿日本一」を掲げるならば、市町村の取組をさらに拡充・支援する必要があります。

◆畜産の危機酪農家6年で3割減少・・・いま、輸入飼料のかつてない高騰のもと、酪農が廃業 の危機にあります。
 2017年度に319戸あった県内 酪農家が、昨年度までに292戸へ3割も減っていま す。生乳生産量が全国8位の本県畜産農家へのエサ代補填とともに、エサとなる牧草やトウモロコシを自家生産して自給率を高める農家への支援を拡充すべきです。

◆地球温暖化対策実行計画を改定・・・ 県はCO2排出の削減目標をまとめた実行計画を改定しました。
 各分野の2030年度までの削減目標は、13年度比で▽産業 38%▽業務51%▽家庭66%▽運輸35%▽エネル ギー転換47%です。
 茨城県はCO2排出量が全国上位で、とりわけ製造・鉱業などの産業部門の排出割合は全国平均の2倍です。家庭の取組も大事ですが、石炭火発や製鉄での排出削減が決定的に重要です。

◆東海第二原発を廃炉にさせる県民世論を ・・・岸田政権は、原発の運転期間の60年超えを認める強 硬姿勢です。しかし、東海第二原発は原子炉の劣化を調べる監視試験片は4セットをすべて使い切っており、県安全性検証委員会でも評価方法が議題になっています。
 そもそも、原発事故を想定した実効性ある避難計画が成り立たないことは明らかです。ところが、自民党や国民民主党の県議は「広域避難計画の策定完了」を迫る質問するなど、稼働推進の動きを強めています。
 持続可能な茨城の発展と県民福祉向上のためにも、原発は廃止すること、税金のムダ遣いを止めることなど、県政の転換が求められます。 (以上)

                 

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今月の俳句

堀に舟浮かべ水郷春時雨
   竹林の奥が明るく冴返る
川波のひかりに消へし流し雛  
   境内に絵馬が犇(ひしめ)く朧月
筑波嶺の雲瑞々し木の芽時


高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問

事務局たより

第4回理事会のご案内

        
日 時 : 4月30日(日)午後1時30分
場 所 : 茨城自治労連会館大会議室

・第3回茨城自治研合同セミナー報告について 
・東海第2原発避難計画の調査検討について
・組織拡大について
・その他

第3回茨城自治研合同セミナー 報告

叶谷 正(茨城県自治体問題研究所事務局長)

 3月21日(火) 茨城自治労連会館及びWebにより、第3回茨城自治研合同セミナーが開催された。
 セミナーは、現在、調査検討委員会を立ち上げ進めている、「東海第二原発災害時4市の広域避難計画調査結果と今後」と題して、当研究所理事で、調査検討委員会委員の佐藤 英一氏を講師に、28名(会館9名・Web19名)が参加して開催された。

以下、主な発言内容を報告します。

 現在、東海第二原発は、再稼働にむけて工事が進められているが、これを住民側がどう止めるか、実効性のある避難計画が作れるのかが、大きな問題になっている。
 当研究所は、茨城県や4市1町が、策定した避難計画を実効性のあるものにするために、「提言して行こう、研究して行こう。」と、1年近く議論を重ねてきた。
 まだ、結論には至らないが、本セミナーにおいて、これまでの調査結果を整理して、皆さんに提供したい。

 セミナーは、県原子力安全対策課ホームページの「避難計画の主な課題」を引用して、県外の避難先確保、避難退域時の検査体制、安定ヨウ素剤の配布体制、複合災害時における第二の避難先確保、道路等の被災状況を住民へ情報提供する手段、停電時の対応など、具体的な例やシミュレーションを交えながら、課題や問題に迫った。
 国、県、市町村で検討する課題では、移動手段の確保(バス、福祉車両の確保)、要配慮者対策(病院、社会福祉施設等への放射線防護対策)、避難途中でのトラブル対策(ガソリン補給、トイレ対策、事故車の対応、降雪時の対応)などが上げられた。
 屋内退避時の対応では、電気、水道、ガス等のライフラインの確保や食糧等の手配、病気の人への対応などが上げられた。
 家庭内の動物の避難対策では、犬や猫などを飼う家が増えているが、そうしたペットをどうするのか、県でまだ議論されていないが、ペットを置いては避難できないという人も多いので、そのことを念頭におく必要がある。
 また、避難計画策定の大きな課題として、水問題が上げられた。 
 県内の水道水は、県企業局が、県南西広域水道用水供給事業所、鹿行広域水道用水供給事業所、県中央広域水道用水供給事業所の3つの事業所で供給しているが、なかでも県南地域が県企業局の供給する水に依存している割合が高く、水が汚染された場合、給水事業は停止になるのだろうか。給水制限や給水停止になった場合の対応は、どうするのかなどの問題提起がされた。
 避難計画の策定では、たくさんの市民が参加し、意見を反映させた避難計画でないと、絵に書いた餅になる。どんな立派な外車が入ってきても、日本人が乗りこなせなければ、何にもならない。市町村との交渉では、市民が避難計画を乗りこなせなければ(うまく遂行できなければ)、実効性には繋がらないと、意見をはっきり言うべきだ。

 参加者からは、原発で大きな事故が起きたら、住民の苦難はもとより、自治体労働者が否応なく住民避難の支援業務に当たらざるを得ない事になり、過酷な労働が強いられることになる。実効性のない避難計画を「策定済み」としてしまうことで、再稼働の条件が整ってしまう。受け入れ側の自治体で声を挙げることが、安易な「策定済み」市町村を作らないことに繋がる。
 今回、自治労連の皆さんが、原発問題に関心を示してくださったことに敬意を表する。引き続き、ご尽力をお願いしたいと述べられた。
 研究所は、引き続き、茨城自治労連と連携し、実効性ある避難計画を作ることは可能かどうかを追求し、その結果を広く県民の皆さんに公表したいと考えている。

イラスト1


今月の 川柳

核ボタン玩具のようにもて遊び 
   アラートは警戒警報発令中
ヘソ曲げて改憲(甲斐犬)人にからみつき 
   軍拡に消費税をねらい打ち 
少子化に内部留保をかつぎ上げ 
   三年ぶりマスクはずして紅をさし 
原発に延長戦のルール出来 
   日銀はアベノミクスの船をこぎ 
I R バクチ映画のやき直し
   かけ足のサクラ前線夢で追い  


泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)


新刊紹介

住民の学習と自治を発展させる実践を紹介

地方自治の 未来をひらく 社会教育

社会教育・生涯学習研究所 監修 辻 浩・細山俊男・石井山竜平
A5判・150頁/定価1870円 自治体研究社

 地域づくり、ひとづくり、歴史を知る会、おしゃべり会、保育園、デイサービス、子育て広場、 子ども食堂、フードパントリー等の運営、これらはすべて社会教育に関わる実践。社会教育は人びとの自発的な学びを支援することを通して、一人ひとりの可能性を拓き、人生を豊かにするも のである。
 本書では、各執筆陣がそれぞれに力を入れている社会教育の取り組みを紹介するとともに、そのための適正な労働のあり方も考える。住民とともに自治をつくる姿がここにある。

マイナンバーカードの「市民カード化」!?

緊急講座 マイナンバーカードと 公共サービス
― 取得の「強制」によって住民生活はどう変わるか ―

講師 稲葉一将 (名古屋大学教授) 時間 60 分

配信・発売開始 4 月 20 日(予定) 受講料 3000 円(録画配信も DVD も同額です)

 「任意」となっているマイナンバーカードの取得をめぐって、カードをもたない住民へ公共サー ビスを制限する自治体があらわれ、国会ではマイナンバーカードと健康保険証を一体化(保険証廃 止)させる法案が議論されています。
 国の交付金(デジタル田園都市国家構想交付金)を受け、マ イナンバーカードの「市民カード化」「デジタルパスポート化」を計画する自治体も急増しています。すでに図書館カードと一体化させた自治体はかなりの数になっています。各種社会保障、国家資格、公金口座登録などにおいてもマイナンバーカードとの紐づけが予定され、任意であるはずのカード取得は「強制」へと動きだしています。マイナンバーカードの取得と利用によって、私たち住民の生活はどう変わるのでしょうか。個人情報はどう扱われることになるのでしょうか。
 この講座では、マイナンバーカードの取得と利用を めぐっていま起きていること、マイナンバーカードとマイナポータルの仕組み、市民生活や地方自治という視点で考えておきたいことを分かりやすく解説します。

■ 受講お申込み お名前(ふりがな) メールアドレス 住所(郵便番号) 電話 FAX 領収書宛名。

学生・市民のための画期的なテキスト!

入門 地方財政  地域から考える自治と共同社会

平岡和久・川瀬憲子・桒田但馬・霜田博史 編著 
A5判並製カバー、416 頁 定価 2970 円

【推薦のことば】 
 地方財政は民主主義の基礎である地方自治の顔です。「ヨーロッパ地方 自治憲章」のように、日本も分権改革をしましたが、肝心の財政改革は未完に終わっています。しかし東京一極集中を是正し、温暖化や地震による大災害を防止するためには、 地方自治体の力、特に財政の自立・自治が必要です。この本は地方財政の歴史、制度の 具体的な解説と評価、さらに地域経済やコミュニティの政策をわかりやすく説明した市民のための必須の教科書です。
 
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授・滋賀大学元学長)
 私たちの生活に密接に関わる地方財政を、理論・制度、個別テーマ・分析、改革・展望の観点から解説します。地域で起っている具体的な問題や優れた地方自治の実践例も紹 介する画期的なテキストです。大学での教科書、地域での勉強会に最適です

準新刊

デジタル化シリーズ(既刊)

デジタル改革とマイナンバー制度
―情報連携ネットワークにおける人権と自治の未来―

稲葉―将・内田聖子著 定価990円

概要;マイナンバー制度の3つの仕組みとは何か、マイナポータルを通じた情報連携で公共サービスはどう変わるかを解説する。さらに、EUなど海外の事例に学び、日本のデジタル化政策の在り方を問い直す。

自治体の財政は、こんなにも分かりやすく、おもしろくて、大切なことです

自治体財政を診断する
―『財政状況資料集』の使い方―

森 裕之 著
A5判、150頁 定価1870円 自治体研究社

 『財政状況資料集_の「経常経費分析表」「歳出決算分析表」「健全化判断比率」などをページごとに解説して、データが示す多面的な情報を読み解きます.そこから浮き彫りになる自治体のさまざまな政策課題をとらえます]自治体の財政が分りやすく、大切であることを示して、市民や議員が財政にアクセスするための必携の一冊です。

生まれる前から、子育て・教育の枠を超え「子どものデータ」が収集・利活用される ‼

『保育・教育のDXが子育て、学校、地方自治を変える』

稲葉 一將, 稲葉 多喜生, 児美川 孝一郎 著

A5判 98頁 定価1100円(税込み)  2022年 11月10日発行

概 要
 デジタル改革によって、子どもの個人情報が大量に収集、集積、利活用される仕組みが準備されている。
 本書では、Ⅰこども家庭庁の設置を前に、複数の行政組織や自治体の部局を超えて「こどものデータ」が連携・集積される構図とその意味すること、Ⅱ保護者と保育園をつなぐ保育支援システムによってこどものビッグデータがテック企業に集積される仕組みとその意味すること、 ⅢGIGAスクール構想の先ですすむ「教育DX」政策が公教育にもたらすものを整理する。「こどものデータ」の収集と利活用は、子ども像を変えるだけでなく、子育て・教育に携わる専門職の存在や自治体行政の姿を変えることにつながる。

主な内容
Ⅰ 子どものデータ連携と行政組織における調整の強化―こども家庭庁新設の地方自治への影響……稲葉一将
 国家によって形成される「デジタル社会」の特徴/子どもと行政に及ぶ「デジタル化」/転形期の子どもと行政
Ⅱ 保育業務のSaaS化とテック企業のデータ寡占―保育と一体で行われる子どもデータの収集……稲葉多喜生
SaaS で行われる保育データ収集の意味すること/企業任せとなっている個人情報収集/便利さの背後で進む、テック企業のデータ寡占化/子どものデータ連携で変わる保育
Ⅲ 教育DXが学びと学校を変える……児美川孝一郎
「Society 5.0 型教育改革」の構想―EdTech を通じた教育 DX の実現へ/GIGA スクール構想とコロナ禍の教育政策/教育 DX は学びと学校をどう変えるか

子どもを真ん中に考える!

学童保育を哲学する ―子供に必要な生活・遊び・権利保障―
  

増 山 均 著

A5判、150頁 定価1870円 自治体研究社

 コロナパンデミックのなか、学童保育の社会的役割が増しています。そこにはさまざまな運営主体が参入し多くの人々がかかわっています。いま「学童保育とは何か」「学童保育はどうあれば良いのか」という≪理念の確認≫が必要な時です。子どもの生活と遊び、権利保障のあり方、地域との連携,子ども観など、子どもを中心に置いて問題を熟考(哲学)します。

『健康で文化的な生活をすべての人にー憲法25条の探求』

浜岡 政好, 唐鎌 直義, 河合 克義 (編著)

A5判 308頁 定価2970円(税込み)  2022年3月31日発行

                                
概要:人間らしい生活を求めて
 格差と貧困が拡大する今、私たちは「健康で文化的な生活」を送れているのでしょうか。全国生活と健康を守る会連合会と全日本民主医療機関連合会による大規模アンケート調査から庶民の肉声を掬い上げました。そこには、さまざまな生活を送る人びとの日常があります。
 このデータの多角的な分析と、第2次調査としての面談による取材によって、日本の庶民の現実が見えてきます。また、「健康で文化的な生活」とは何かを、憲法25条の文言の成立からたずね、フランスとの比較も通して、「人間らしい生活」を求めて、社会保障・社会福祉の低位性を乗り越える方策を追究します。

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