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第168号

第168号

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第168号

2022・12・22更新

鹿島神宮すす払い (2)

鹿島神宮桜門 (2)


鹿島神宮=鹿嶋市宮中

 1年に1度、家の煤を払い=内外の掃除をすること。全国的に12月13日に行われることが多い。煤払いのことを、正月迎え、ことはじめ、ええことはじめ、まつならし等と呼ぶ地域もあり、お正月準備のはじめとも言われています。








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岸田内閣、原発の60年超運転延長を提示
― 福島の反省を忘れたのか! ―

 
 「原則40年、最長60年」と定められている原発の運転期間をめぐり、経済産業省は11月8目、有識者会議・原子力小委員会で、①現行の上限規定の維持、②上限規定の撤廃、③上限規定を維持しつつ、停止期間を除外の3案を示した。
 岸田首相が今年8月、エネルギーの高騰や電力需給ひっ迫の克服ならびに2050年の脱炭素社会実現のため、原発依存へ全面回帰を宣言し、原発の運転期間の延長も指示したことに経産省が対応したもの。火事場泥棒的対応である。
 今回の方針転換は疑問が多い。政府のエネルギー基本計画は、原発の新増設・リプレース(建て替え)に一言も触れていない。今回、唐突に打ち出された形だ。次世代原発は、従来の原発よりも耐震性を強化し、炉心を冷却する手段を増やすなど安全性を高めたものだというが、事故のリスクはゼロではない。
 「『核のごみ』と呼ばれる原発運転後に発生する高レベル放射性廃棄物の処分方法についても、見通しは立たないままだ。日本は福島の事故で、エネルギー供給を原発に依存する危うさを学んだはずだ。ひとたび事故やトラブルが起きれば、影響は甚大で、長期に及ぶ。原発回帰が安定供給につながるとは限らない。再生可能エネルギーを含めた多様な供給源を構築すべきだ。福島の事故以降、原発の安全性への不安は根強く残る。国民不在の方針転換は、政治への信頼を失わせるだけだ」と指摘されている(10/13毎日新聞社説)。
 今回の転換では、原発を活用しやすくする『事業環境整備』の検討方針も示された。要は政府による電力会社に対する補助制度だ。対象になるのは事実上、原発を手がける大手だけになる。新規参入した電力会社との格差が広がり、市場をゆがめかねない、との批判も識者からだされている。
 原発事故の危険性に怯える度合いがますます高まるのは必至であろう。

                   

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今月の俳句

冬ぬくし家の数ほど橋の数
   裏方の生涯なりし注連飾る
裏木戸の鳴らし年逝く風の音  
   道曲がるたび冬ざれの深みゆく
冬うらら揺れ止まざりし吊玩具
   紅の山茶花日和父祖の郷


高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問



 寄 稿 

『360億円超の税金 ムダづかいハコモノ』強行
―新水戸市民会館・住民訴訟 最終盤へー

   
岩清水 理( 新・水戸市民会館計画を白紙にもどし、市民の声を反映させる会・略称「市民の会」事務局長 )

●再開発の失敗を反省せず
 茨城県の県都・水戸市(人口27万人)においては、これまで赤塚駅北口や大工町など再開発の失敗が続いてきた。これらの総括をしないまま2013年以降、国道50号に沿った中心市街地(泉町1丁目北地区。以下予定地)に巨大・巨額の市民会館建設を組合方式の再開発事業として進めている。経過の概要は表のとおり。これらは住民訴訟の争点とも言える事項である。

●最も不適切な立地判断
 高橋靖市長が立地を表明する3カ月前の2013年9月議会で中心市街地の5カ所を候補地と発表。他の4カ所はいずれも予定地より水戸駅に近いうえ更地もしくは建物は少ない状態であった。商店、病院、美容院などとともに住宅が30軒以上ある予定地をあえて選択をしたのは、最大地権者(伊勢甚)への利益供与としか言いようがない。
 立地表明の4カ月前となる8月28日、水戸駅の東方向にある備前堀まちづくり協議会は、市長に対して「①東部公園予定の市有地(予定地の19倍)への市民会館の新築移転、
②中心市街地は交通混雑で反対」の要望書を提出していた。
 だが、市長は全く無視をしていたことが後日の情報開示で明らかになった。その市有地であれば土地買収は不要であり、水戸駅から東へ3km弱の好立地である。
 予定地(敷地面積8286㎡)は狭いうえ、交通渋滞が必至である。しかし、市民、有識者らの意見聴取はなく、市議会との相談もなく立地はたった1回の庁内会議で決められた。

●360億円の税金投入、集客を見込めない3700人収容施設
 水戸市は第6次総合計画で、市民会館の予算を68億円としている。しかし、表のように事業費は増え続け、360億円超と5倍以上に膨れ上がった。さらに水戸市は毎年の維持管理費を3億7000万円と発表した。
 2000席の大ホールをメーンとする3700人収容の市民会館計画は、大規模コンベンションの誘致を主な目的としている。しかし、これは空想的な話だ。

●都市再開発法の悪用
 50人(軒)前後の地権者・借家権者のなかには100年以上営業をつづけてきた店や、立ち退きに強く反対の人がいた。しかし多くを再開発組合に取り組み、権利変換という再開発組合法を「活用」して一気に所有権を奪い取ってしまった。
 予定地にある旧京成ビル(使用不能の百貨店)に対して再開発法などを「利用」して、所有者である伊勢甚に29億円余を支払った。そのうえ市民会館建物の40坪(7100万円相当)を同社に渡し、さらに地上11階・地下2階のビル解体費用などを事業費として支出している。以上のように市民や有識者などから「迷惑施設」「粗大ゴミ」と評される会館計画は、それらの声を無視してすすめられている。

●事業費発表をごまかす市長
 今年10月26日、高橋市長は緊急記者会見で来年7月2日に会館すると発表した。
そこで事業費を192億5千万円と主張しマスコミ各社がそれを報道した。「市民の会」は11月1日公開質問状を出し、訂正を求めたが工事費のみの数字と開き直っている。

●地方自治法と地方財政法に違反
 地方自治法第2条(自治行政の基本原則)は、「地方公共団体は・・・最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と定めている。地方財政法第4条も「・・・必要かつ最少の限度をこえてこれを支出してはならない」としている。これに真っ向から違反するのがこの会館建設である。

表 水戸市民会館計画を巡る主な経過

  年  月経     過
20113東日本大震災で旧市民会館一部損壊(当時、水戸駅南口から0.8㎞の水戸市役所敷地内)。
201312市長が泉町1丁目北地区(水戸駅北口から1.3km)に新築すると表明(市長出席の庁内会議は2013年10月28日の1回のみ。市民や市議会からの意見聴取なし)
20143水戸市第6次総合計画策定(14年度から23年度までの10年間の「上位計画」。市民会館予算68億円)。
20153水戸市が「市民会館基本計画」を発表(96ページ)。
4水戸市長選(現市長2選、「明るい会」候補者得票率27.7%。現市長は市民会館の論戦回避)。
11事業費263億円と発表。
12「水戸市民会館計画・市民の会」結成。
20162住民投票条例を求める署名(3月まで)。約15000筆(法定数の3.4倍)・市長が否決意見、議会・否決)。なお、住民投票運動の後も市民への宣伝、市長への申し入れなどを継続。
20172事業費285億円と増額発表。
20185事業計画認可(県知事)。
20193権利変換計画認可(県知事)
4水戸市長選(現市長3選、「はばたく会」候補者得票率28.0%。現市長は市民会館の論戦今回も回避)。
9事業費312億円と再増額発表。加えて、駐車場18億円、周辺道路整備13億円、備品購入費8億円と市長が発表(市議会)。
市民16人が住民監査請求(11月棄却)
12市民会館予算支出の差止めと支出分の返還を求める住民訴訟を水戸地裁へ提訴。(原告16人、被告水戸市長)。
20211維持管理費 年3億7千万円(1日100万円)と発表(特別委員会)
20226上空通路。会館前バス停。設計追加など9億円。事業費360億円超。

住民訴訟の今後の口頭弁論

2022年12月22日(木)  同年2月16日(木)(予定)  

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イラスト1


イベント

3月議会の論点となる必聴の講義
デジタル化と2023年度予算案、災害避難計画

「第60回、第61回市町村議会議員研修会 Zoom 開催」ご案内

第 60回

■2023年1月26日(木)13100~17:00

入門「自治体DXと地方自治」
「白治体DX」を読み解く
「マイナンバーカード」の仕組みと普及拡大のねらい
個人情報保護条例「改正」のポイント
本多滝夫 龍谷大学法学部教授 
 ①では、自治体DXとは何か、デジタル田園都市国家構想とは何か、医療や子育てなどの情報連携によって自治体の組織や公共サービスはどう変わるかなど、政府の進める自治体DXの全体像と自治体政策への影響を解説します。②では、マイナンバー・マイナンバーカード・マイナポータルとは何か、“保険証廃止"案まであるマイナンバーカード普及のねらいはどこにあるのかなど、その仕組みを分かりやすく解説します。③では、23年4月に自治体でも施行される「改正個人情報保護法」。議会では、法改正にともなう個人情報保護条例改正の内容が議題となります。個人情報保護法と自治体の条例改正のポイントを解説します。

■2023年1月30日(月)10:00~12:00 13:00~15:00

2023年度政府予算案・地方財政対策のポイントと自デジタル化関連予算の課題
2023年度予算案と地方財政対策のポイント
自治体のデジタル化関連予算の課題
平岡和久 立命館大学政策科学部教授
 コロナ禍と物価高騰のなかで、2023年度政府予算案・2023年度地方財政対策はどうなるか。①では、予算案と自治体財政への影響を整理し、それらのポイントを解説します。また、「デジタル田園都市国家構想」をはじめ「新しい資本主義」の関連施策に配分する「特別枠」の問題と課題などを読み解きます。②では、政府のデジタル化関連予算について考えます。政府のデジタル化政策がどのように展開され、自治体に対する財政措置がどうなるかを整理します。自治体におけるデジタル化関連予算の具体的な事例を検討しながら、行政デジタル化と財政に関する問題点、課題を考えます。

第 61回

3月議会の論点の一つ ー災害避難対策の抜本的強化のために-

■2023年2月8日(水)10:00~12:00  13:00~15:00

市民社会保護を基盤とした災害避難対策の課題
榛沢和彦 新潟大学医歯学総合研究科特任教授 / 避難所・避難生活学会常任理事
 災害関連死を防ぐためには避難環境の迅速な整備が必要です。そのためには①災害省庁と県にその下部組織の設立、②大規模な分散備蓄、③国の職能ボランティア登録システムの3つが必要です。日本より進んだ災害対応を可能にしているイタリアの①から③を説明します。また災害対策ではお互いに交流の無いイタリアと米国では両国とも「水害対策」など個別の「…対策」|ま無くし、災害現場で起きていることに対応する方策になっています。最後にイタリアでは「理念の無い災害対策はうまくいかない」と言われており、その理念とは災害時の市民社会保護のことです。その重要性についても説明します。

事例報告

300km離れた備蓄でも有用:北海道胆振東部地震の備蓄型段ボールベッド搬送事例

根本昌宏 日本赤十字北海道看護大学教授・災害対策教育センター長
2015年から日本赤十字北海道吾護大学看護薬理学領域教授、2017年から同大学災害対策教育センター長。避難所。避難生活学会常任理事、日本災害医療薬剤師学会理事。

防災協定の落とし穴:西日本豪雨災害における段ボールベッドの展開について
水谷嘉浩 Jパックス株式会社代表取締役
みずた|こ・よしひろ  Jパックス株式会社代表取締役。避難所。避難生活学会常任理事、全国段ボール工業組合連合会防災担当アドバイザー。東日本大震災をきっかけに段ボールベッドを考案。11年間で国内外の避難所延べ400か所以上を訪間し、2万床以上の段ボールベッドを届けた。雑魚寝を無くし、避難所の環境改善を通じて2次健康被害を減らす取り組みを始めると同時に、段ボール産業が災害時に避難所を支える防災協定の仕組みを構築し、全国に普及するように努めている。

◇お問い合わせ先:自治体研究社議員研修会係
〒162-8512東京都新宿区矢来町123矢来ビル4F
TEL:03-3235…5941 FAX:03-3235-5933
e‐rnail:info@jichiken.jp


今月の 川柳

芋づるの様に出てくる五輪悪 
   宰相ののぞいてみたい腹のうち
戦争を知らぬ奴らが銃を持ち 
   軍拡の妖怪走る永田町 
敵基地を叩けと口角泡をふき 
   師は走りコロナも走って汗まみれ 
根上げ屋はカラ財布にも手をのばし 
   戦場の臭いただよう除夜の鐘 
ひまつぶし疑惑大臣書きならべ
   今日の夢明日につなぐ菊の花 


泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)

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新刊紹介

自治体の財政は、こんなにも分かりやすく、おもしろくて、大切なことです

自治体財政を診断する
―『財政状況資料集』の使い方―

森 裕之 著
A5判、150頁 定価1870円 自治体研究社

 『財政状況資料集_の「経常経費分析表」「歳出決算分析表」「健全化判断比率」などをページごとに解説して、データが示す多面的な情報を読み解きます.そこから浮き彫りになる自治体のさまざまな政策課題をとらえます]自治体の財政が分りやすく、大切であることを示して、市民や議員が財政にアクセスするための必携の一冊です。

準新刊

生まれる前から、子育て・教育の枠を超え「子どものデータ」が収集・利活用される ‼

『保育・教育のDXが子育て、学校、地方自治を変える』

稲葉 一將, 稲葉 多喜生, 児美川 孝一郎 著

A5判 98頁 定価1100円(税込み)  2022年 11月10日発行

概 要
 デジタル改革によって、子どもの個人情報が大量に収集、集積、利活用される仕組みが準備されている。
 本書では、Ⅰこども家庭庁の設置を前に、複数の行政組織や自治体の部局を超えて「こどものデータ」が連携・集積される構図とその意味すること、Ⅱ保護者と保育園をつなぐ保育支援システムによってこどものビッグデータがテック企業に集積される仕組みとその意味すること、 ⅢGIGAスクール構想の先ですすむ「教育DX」政策が公教育にもたらすものを整理する。「こどものデータ」の収集と利活用は、子ども像を変えるだけでなく、子育て・教育に携わる専門職の存在や自治体行政の姿を変えることにつながる。

主な内容
Ⅰ 子どものデータ連携と行政組織における調整の強化―こども家庭庁新設の地方自治への影響……稲葉一将
 国家によって形成される「デジタル社会」の特徴/子どもと行政に及ぶ「デジタル化」/転形期の子どもと行政
Ⅱ 保育業務のSaaS化とテック企業のデータ寡占―保育と一体で行われる子どもデータの収集……稲葉多喜生
SaaS で行われる保育データ収集の意味すること/企業任せとなっている個人情報収集/便利さの背後で進む、テック企業のデータ寡占化/子どものデータ連携で変わる保育
Ⅲ 教育DXが学びと学校を変える……児美川孝一郎
「Society 5.0 型教育改革」の構想―EdTech を通じた教育 DX の実現へ/GIGA スクール構想とコロナ禍の教育政策/教育 DX は学びと学校をどう変えるか

子どもを真ん中に考える!

学童保育を哲学する ―子供に必要な生活・遊び・権利保障―
  

増 山 均 著

A5判、150頁 定価1870円 自治体研究社

 コロナパンデミックのなか、学童保育の社会的役割が増しています。そこにはさまざまな運営主体が参入し多くの人々がかかわっています。いま「学童保育とは何か」「学童保育はどうあれば良いのか」という≪理念の確認≫が必要な時です。子どもの生活と遊び、権利保障のあり方、地域との連携,子ども観など、子どもを中心に置いて問題を熟考(哲学)します。

『健康で文化的な生活をすべての人にー憲法25条の探求』

浜岡 政好, 唐鎌 直義, 河合 克義 (編著)

A5判 308頁 定価2970円(税込み)  2022年3月31日発行

                                
概要:人間らしい生活を求めて
 格差と貧困が拡大する今、私たちは「健康で文化的な生活」を送れているのでしょうか。全国生活と健康を守る会連合会と全日本民主医療機関連合会による大規模アンケート調査から庶民の肉声を掬い上げました。そこには、さまざまな生活を送る人びとの日常があります。
 このデータの多角的な分析と、第2次調査としての面談による取材によって、日本の庶民の現実が見えてきます。また、「健康で文化的な生活」とは何かを、憲法25条の文言の成立からたずね、フランスとの比較も通して、「人間らしい生活」を求めて、社会保障・社会福祉の低位性を乗り越える方策を追究します。

コロナ対応にみる法と民主主義

コロナ禍とデジタル化のもと見つめ直すべきは民主主義と地方自治のあり方である

市橋克哉・榊原秀訓・塚田哲之・植松健―著  定価1,870円

                                
概要:
 コロナ禍とデジタル化のもと、パンデミックに便乗して、立憲主義・法治主義を掘り崩す政策が頻発した。国家は人びとの「命と暮らし」を一番に考えていたのか。地方自治体、地方議会は、その役割を十分に果たすことができているのか。さまざまな事実を法と民主主義の観点から詳細に分析して地方自治と民主主義の可能性を追究する。

社会保障のあゆみと協同
  
社会保障の枠組、歴史、さらに協同との関係性を紹介

芝田 英昭著 (立教大学コミュニティ福祉学部教授) 

A 5 判・並製カバー・160 頁/定価1870 円(10% 税込)

本著の概要:
 社会保障は、私たちが生きていく上で必ず抱える生活問題を緩和・解決するための公的な制度・政策や協同の取り組みです。その目的は、全ての人の「健康で文化的な生活を保障」するもので、 
健康権・文化権・生活権等の基本的人権を保障する制度だといえます。しかし、基本的人権は、戦争ではしばしば侵害されます。
 平和であることが社会保障の発展にもつながり、また社会保障の発展が平和に貢献できるともいえます。本書では、社会保障の基本的枠組、歴史、さらに生命の尊厳、協同の力・運動・実践と社会保障発展との関係性を学びたいと思います。 (本書「プロローグ」より)

危険!建設残土 - 土砂条例と法規制を求めて
  
熱海土石流事故は、あなたの身近でも起りうる!

畑 明郎著 (滋賀環境問題研究所所長、日本環境学会元会長、元大阪市立大学教授) 

定価1650 円(本体1500 円+税10%)

本著の概要:
 2021 年7 月、熱海土石流事故は建設残土問題をクローズアップした。同じように全国には、持ち込まれ、積み上げられる危険な建設残土が多数存在する。熱海市をはじめ、京都、滋賀、大阪、奈良、愛知、三重の現状を精査して、その危険性を報告する。
 そして、大量の残土を生み出す、北海道・北陸新幹線の延伸工事、リニア中央新幹線工事の問題点を明らかにする。
 こうした現実に対して、土砂条例と実効性のある法規制の必要性を説く。

どう考える 公共施設の統廃合・再編、民間化
  
―公共施設等総合管理計画と指定管理者制度―

角田英昭 編著 

A5版・32頁  地域研割引単価300円(定価400円)

 現在、公共施設の統廃合・再編が急ピッチで進められています。
 その基軸となるのが公共施設等総合管理計画です。この計画は、これまでのような自治体による個別、施設ごとの統廃合・再編に止まらず、中長期的な視野に立って全面的に見直し、施設の総量削減、経費抑制を国主導で推進していくものです。
 また、公共施設の管理・運営については、国は指定管理者制度を先行して実施し、管理運営委託、民間化を全面的に推進しています。総務省資料によれば既に7万7千超の施設に導入されていますが、実際の運用では、指定取り消し等が過去最高を更新するなど様々な問題、課題が指摘され、その見直しは急務になっています。
 改めて公共施設とは何か、どうあるべきなのか、それが根本から問われています。 「公の施設」とは、住民のライフサイクル全体を通して福祉の増進を図り、地域の社会経済活動の基盤をつくり、まさに自治体の仕事の根幹をなすものです。
 こうした状況を踏まえ、今回、自治体問題研究所では公共施設のあり方、統廃合・再編、民間化を考えるブックレットを作成しました。今年3月に公表された2021年「公の施設の指定管理者制度導入状況等調査」の概要も掲載しました。是非お読み頂き、地域、職場での学習と政策づくり、運動に役立てていただければ幸いです。

新刊書


戦後最大の国民生活の危機!コロナがあばいた日本の弱点!

伊藤周平著『コロナ禍からみる日本の社会保障』  

定価 2200円

 オミクロン株が猛威を奮い、まさに第6波の真っ只中である。コロナ禍の収束は見通せず、日本の社会保障の制度的脆弱さは深刻化を増している。医療・保健(公衆衛生)、介護、保育・学童保育、雇用保障、生活保護・住宅政策等の実際を論じ、社会保障の法政策と税制改革を中心に財政政策の方向性を提示する。

デジタル化でどうなる個人情報
デジタル改革と個人情報保護のゆくえ

ー「2000個の条例リセット論」を問う ―

庄村勇人(名城大学法学部教授)・ 中村重美(世田谷地区労働組合協議会議長)著

定価990円(10% 税込)

 デジタル改革関連法の成立により、住民の個人情報は“利活用"する方向が示され、個人情報保護条例は国の法律に合わせて「改正」を強いられ、その監督権限も国に一元化される方向へと動きだした。本書では、地方自治の視点から、デジタル改革関連法における個人情報保護法制の内容を検証するとともに、住民の権利と団体自治を守るための自治体の課題や条例の論点を具体的に考える。


福島原発災害10年を経て  
ー 生活・生業の再建、地域社会・地域経済の再生に向けて ー

鈴木 浩著
A5/258頁 定価(価格3200円+税)

東日本大震災・福島第一原子力発電所事故による原発災害から10年が経った。被災者の生活再建と、被災地の地域社会の再生はどこまで進んだのか。災害発生直後から福島県と浪江町、双葉町の復興ビジョンや復興計画の策定、そして仮設住宅の供給についての計画づくりに関わり、「ふくしま復興支援フォーラム」を立ち上げた著者が、被災者、被災地そして自治体のいままでの取組みとこれからの方策を語る。10年は決して区切りではない。再建、再生の実際を問う。

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