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第165号

第165号

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第165号

2022・09・24更新

偕楽園 萩 夜景

偕楽園萩 (2)


偕楽園=水戸市

 偕楽園の萩は、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公が仙台藩から譲り受け、園内に植えたと言われ、秋になると、宮城野萩を中心に白萩・山萩・丸葉萩など、約750株が花を咲かせます。








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つくば・スパーシティ始動

  
 つくば市は、最先端技術活用した国家戦略特区「スーパーシティ」に令和3年1月25日に選ばれ、「未来のまち」へ社会実験がスタートする。スーパーシティは、人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用し、未来都市を目指す。政府の公募に31件の提案があり、つくばと大阪の2市が認められた。
政府は国家戦略特区を定める政令改正を閣議決定。つくば市は、関係省庁と協議して規制緩和に取り組み、最先端技術を活用できる土壌をつくる。目標は「誰もが暮らしやすいまちづくり」の実現だ。
取り組みは6分野にまたがる。①移動・物流②行政③医療・健康④防犯・防災・インフラ。加えて、⑤3Dの仮想空間での実験⑥新興企業の支援。具体的には、電子投票、ドローンでの荷物配送、キャッシュレス決済、ロボットなどを使った新公共交通、マイナンバーを利用した医療情報の連携など。実証地域は、小田▽宝陽台▽筑波大周辺▽つくばエクズプレス(TX)つくば駅周辺。
市内の研究機関や大学も協力。筑波技術大は、障害者の目線で先端的サービスの使い勝手や改善点を助言する。
 市は対象地域を中心に説明会を開き、理解を得ながら、利用者の生の声を取り入れていく考えだ。事業化も課題となる。新サービスを維持するには採算性が欠かせない。住民二―ズを把握した上で価格を決める。公共性が高いサービスには市の支援も求められる。(茨城新聞が9月4~5日連載で、目指す具体策の内容を伝えており、参考になる)
                   

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今月の俳句

俗名の みななつかしき 墓洗ふ
   明日の 予定決まらず 百日紅(さるすべり)  
クレーンが 鉄骨を吊る 大西日
    郵便夫 コスモスの風 纒い来る
朱を点づ 過疎の小径の 烏瓜(からすうり)
    歩道橋 二つ渡りて 鰯雲(いわしぐも)


高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 元小貝保育園長、当研究所顧問



 寄 稿 

第64回自治体学校in松本への参加報告

   
秋庭 繁( 古河市議会議員)

 コロナ禍で中止になっていた自治体学校が久しぶりに開かれることになり、古河市議会議員4人で申し込みをしましたが、一人が体調を崩されたこともあり3人で参加してきました。
 分科会は、7つの課題と現地分科会が2箇所で開催され、現地分科会に3人で参加しました。私たちは、以下の日程で行なわれた講演を聞き、現地分科会に参加し学びました。

1日目 全体会(7月23日)
キッセイ文化ホール 中ホール 420名
・記念講演① 「参院選の結果とこれからの課題」
   講師 中山 徹(奈良女子大学教授)
・記念講演② 「大規模災害に備える自治体の課題」
   講師 室崎益輝(神戸大学名誉教授)
2日目 現地分科会(7月24日)
あがたの森文化会館(3人で参加)
午前 
・「松本モデルを現地に学ぶー公民館活動が広げた住民自治」 30名
:手塚英男(生涯学習実践者):田開寛太郎(松本大学専任講師)
午後
・「再生可能エネルギーと地域の力」 34名
:助言者 傘木宏夫(NPO地域づくり攻防)
3日目 全体会(7月25日)
キッセイ文化ホール 中ホール
・特別講演「地球環境の危機と地方自治」
  宮本憲一(大阪私立大学名誉教授)
・特別報告「社会教育から住民自治へー松本市の取組み
  田開寛太郎(松本大学専任講師)

 自治体学校は、3年ぶりコロナ禍での開催であり、コロナの感染に気をつけながらの受講となりました。
 1日目の「大規模災害に備える自治体の課題」では、温暖化が進む中で気候が大きく変わり、自然災害も巨大化し、頻繁に多様な災害が起きており、継続的に地域密着の連携的な取組みが求められており、それらに合わせた地方自治体の在り方について提起がされました。
 2日目は、会場をあがたの森文化会館内(重要文化財・旧松本高等学校)の教室で「松本モデルを現地に学ぶー公民館活動が広げた住民自治」について、3人から、公民館活動の歴史、現在の取組み、今後の課題について報告がされました。
 松本市では、35地区にある公民館活動を通して、地区住民と地区常駐職員が協働して地区の学習・福祉・健康・子育て・防災の輪を築いていく取組みが報告され、松本市の住民主体の地区自治=地域分権の姿を学びました。
 松本市の公民館活動の歴史と到達点、その中で「市民がつくる財政白書」もつくられるなど住民が積極的にまちづくりに参加しています。市役所に地域づくりセンターを設置、地域のことは地域でと権限強化、交付金、保健師の駐在化など住民自治に対する支援を強化しています。そのことによって、多様な主体が協働・連携(幅広い世代・NPO)して地域課題を解決しています。
 35地区ある公民館ごとに地域の特色(眺望が良い等の魅力)などを発見・宣伝し、同時に課題(少子・高齢化、空き家、土砂災害リスクなど)解決の取組みが報告されました。四賀地区では、重点事業の空き家対策に550,000円を予算化、5事業に交付したことによって、7件の移住があったことが報告されました。
 35地区の公民館地域の活動は、人口、面積も大小様々、要求も多種多様ですが、地域ごとの学習、話し合いで進められ、目的達成のため地域づくり市民委員会等の市民組織や地域づくりセンター長会、市関係課等、各方面の意見集約を行ないながら地域づくりセンターの強化が進められています。
 1971(昭和46年)年、松本市第1次総合構想・基本計画策定で地区を廃止し、8行政ブロックに再編、コミュニティセンターを設置、地区公民館の統廃合の方針(自治省のコミニュティ政策)を掲げたが、江戸時代以来の村(地区)がなくなると地区住民反対運動に呼応して、公民館主事会も反対運動。主事会「寺中構想」に基づく、松本市の公民館像策定(公民館は①小地域設置、②住民が主体、③地域課題学習が柱、④学んだことを地域づくりの活動に、⑤公民館主事の必置、⑥自治公民館<町内公民館>の支援と連携、⑦学習の自由・社会教育行政の役割=条件整理に徹する)。
 この方針に沿って、住民主体の学び、実践が進められているようです。

松本城

 昨年の市長選では、地区自治を積極評価する市長が当選し、35地区を基盤とする「分権型市政」が展開されている報告がされました。住民に寄り添い身近で暖かい地方自治の在り方を学ぶ機会となりました。

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イラスト1


事務局たより

第2回理事会のご案内

日時 : 10月8日(土)午後1時30分
場所 : 茨城自治労連会館会議室

東海第2原発避難計画の調査について
組織拡大について
その他

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今月の 川柳

五輪旗をしぼってみれば臭い金 
   税金で三途の川に舟を出し
幾万の心輝やく美らの海 
   マイカーが水浴びしてる道路川 
原発が止まっていても足る電気 
   秋来たとツクツク法師ひとり鳴き 
米補完今日も汗かく自衛隊 
   白河を越えて深紅の旗なびく 
軍拡の暴走列車ベルが鳴る
   秋雨に肩をぬらして咳ひとつ 

  
 

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)

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新刊紹介

『健康で文化的な生活をすべての人にー憲法25条の探求』

浜岡 政好, 唐鎌 直義, 河合 克義 (編著)

A5判 308頁 定価2970円(税込み)  2022年3月31日発行

                                
概要:人間らしい生活を求めて
 格差と貧困が拡大する今、私たちは「健康で文化的な生活」を送れているのでしょうか。全国生活と健康を守る会連合会と全日本民主医療機関連合会による大規模アンケート調査から庶民の肉声を掬い上げました。そこには、さまざまな生活を送る人びとの日常があります。
 このデータの多角的な分析と、第2次調査としての面談による取材によって、日本の庶民の現実が見えてきます。また、「健康で文化的な生活」とは何かを、憲法25条の文言の成立からたずね、フランスとの比較も通して、「人間らしい生活」を求めて、社会保障・社会福祉の低位性を乗り越える方策を追究します。

準新刊

コロナ対応にみる法と民主主義

コロナ禍とデジタル化のもと見つめ直すべきは民主主義と地方自治のあり方である

市橋克哉・榊原秀訓・塚田哲之・植松健―著  定価1,870円

                                
概要:
 コロナ禍とデジタル化のもと、パンデミックに便乗して、立憲主義・法治主義を掘り崩す政策が頻発した。国家は人びとの「命と暮らし」を一番に考えていたのか。地方自治体、地方議会は、その役割を十分に果たすことができているのか。さまざまな事実を法と民主主義の観点から詳細に分析して地方自治と民主主義の可能性を追究する。

社会保障のあゆみと協同
  
社会保障の枠組、歴史、さらに協同との関係性を紹介

芝田 英昭著 (立教大学コミュニティ福祉学部教授) 

A 5 判・並製カバー・160 頁/定価1870 円(10% 税込)

本著の概要:
 社会保障は、私たちが生きていく上で必ず抱える生活問題を緩和・解決するための公的な制度・政策や協同の取り組みです。その目的は、全ての人の「健康で文化的な生活を保障」するもので、 
健康権・文化権・生活権等の基本的人権を保障する制度だといえます。しかし、基本的人権は、戦争ではしばしば侵害されます。
 平和であることが社会保障の発展にもつながり、また社会保障の発展が平和に貢献できるともいえます。本書では、社会保障の基本的枠組、歴史、さらに生命の尊厳、協同の力・運動・実践と社会保障発展との関係性を学びたいと思います。 (本書「プロローグ」より)

危険!建設残土 - 土砂条例と法規制を求めて
  
熱海土石流事故は、あなたの身近でも起りうる!

畑 明郎著 (滋賀環境問題研究所所長、日本環境学会元会長、元大阪市立大学教授) 

定価1650 円(本体1500 円+税10%)

本著の概要:
 2021 年7 月、熱海土石流事故は建設残土問題をクローズアップした。同じように全国には、持ち込まれ、積み上げられる危険な建設残土が多数存在する。熱海市をはじめ、京都、滋賀、大阪、奈良、愛知、三重の現状を精査して、その危険性を報告する。
 そして、大量の残土を生み出す、北海道・北陸新幹線の延伸工事、リニア中央新幹線工事の問題点を明らかにする。
 こうした現実に対して、土砂条例と実効性のある法規制の必要性を説く。

どう考える 公共施設の統廃合・再編、民間化
  
―公共施設等総合管理計画と指定管理者制度―

角田英昭 編著 

A5版・32頁  地域研割引単価300円(定価400円)

 現在、公共施設の統廃合・再編が急ピッチで進められています。
 その基軸となるのが公共施設等総合管理計画です。この計画は、これまでのような自治体による個別、施設ごとの統廃合・再編に止まらず、中長期的な視野に立って全面的に見直し、施設の総量削減、経費抑制を国主導で推進していくものです。
 また、公共施設の管理・運営については、国は指定管理者制度を先行して実施し、管理運営委託、民間化を全面的に推進しています。総務省資料によれば既に7万7千超の施設に導入されていますが、実際の運用では、指定取り消し等が過去最高を更新するなど様々な問題、課題が指摘され、その見直しは急務になっています。
 改めて公共施設とは何か、どうあるべきなのか、それが根本から問われています。 「公の施設」とは、住民のライフサイクル全体を通して福祉の増進を図り、地域の社会経済活動の基盤をつくり、まさに自治体の仕事の根幹をなすものです。
 こうした状況を踏まえ、今回、自治体問題研究所では公共施設のあり方、統廃合・再編、民間化を考えるブックレットを作成しました。今年3月に公表された2021年「公の施設の指定管理者制度導入状況等調査」の概要も掲載しました。是非お読み頂き、地域、職場での学習と政策づくり、運動に役立てていただければ幸いです。

新刊書


戦後最大の国民生活の危機!コロナがあばいた日本の弱点!

伊藤周平著『コロナ禍からみる日本の社会保障』  

定価 2200円

 オミクロン株が猛威を奮い、まさに第6波の真っ只中である。コロナ禍の収束は見通せず、日本の社会保障の制度的脆弱さは深刻化を増している。医療・保健(公衆衛生)、介護、保育・学童保育、雇用保障、生活保護・住宅政策等の実際を論じ、社会保障の法政策と税制改革を中心に財政政策の方向性を提示する。

デジタル化でどうなる個人情報
デジタル改革と個人情報保護のゆくえ

ー「2000個の条例リセット論」を問う ―

庄村勇人(名城大学法学部教授)・ 中村重美(世田谷地区労働組合協議会議長)著

定価990円(10% 税込)

 デジタル改革関連法の成立により、住民の個人情報は“利活用"する方向が示され、個人情報保護条例は国の法律に合わせて「改正」を強いられ、その監督権限も国に一元化される方向へと動きだした。本書では、地方自治の視点から、デジタル改革関連法における個人情報保護法制の内容を検証するとともに、住民の権利と団体自治を守るための自治体の課題や条例の論点を具体的に考える。


福島原発災害10年を経て  
ー 生活・生業の再建、地域社会・地域経済の再生に向けて ー

鈴木 浩著
A5/258頁 定価(価格3200円+税)

東日本大震災・福島第一原子力発電所事故による原発災害から10年が経った。被災者の生活再建と、被災地の地域社会の再生はどこまで進んだのか。災害発生直後から福島県と浪江町、双葉町の復興ビジョンや復興計画の策定、そして仮設住宅の供給についての計画づくりに関わり、「ふくしま復興支援フォーラム」を立ち上げた著者が、被災者、被災地そして自治体のいままでの取組みとこれからの方策を語る。10年は決して区切りではない。再建、再生の実際を問う。

再生可能エネルギーと環境問題

傘木 宏夫著
A5/162頁 定価(価格1600円+税)

 「脱炭素」「脱原発依存」といった社会的要請を背景に、再生可能エネルギーの普及に対する期待が高まり、同エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取るFIT(固定価格買取制度)制定後、各地で開発が進んでいる。しかし、開発による山間地の森林伐採、景観破壊など様々な問題が地域社会で噴出。本書では、開発が自然環境との調和を図りつつ、地域社会の利益に繋がるように進めるには、地域の側に主体的な力が育つ必要があることを説く。

子どものための児童相談所
ー 児童虐待と子どもへの政治の無関心を超えてー

浅井 春夫編著
A5/176頁 定価(価格1700円+税)

 2020年、20万5029件(速報値)の「子ども虐待相談」が全国の児童相談所に持ち込まれた。全国の児童相談所は225か所、対応する児童福祉司は4553人。この現実のなかで、子どもに寄り添い、家族に寄り添う児童相談所のいまを伝え、改革の方向を模索する。

子どものための保育制度改革

中山 徹著
A5/108頁 定価(本体価格1200円+税)

                 
 2013年から待機児童解消が政策的に進められ、2015年には子ども・子育て支援新制度が始まり、2019年から教育・保育無償化もスタートした。2010年代の10年間は、保育制度、保育施策それと連動して保育所などが大きく変化した。そして、今、保育所、幼稚園、認定子ども園は岐路に立っている。質を犠牲にした量の拡大、行政責任の後退等、だれのための制度改革だったのか。2025年、保育所利用者は減少に転じる、ここで「子どものため」の保育を真剣に考えなくてはいけない。保育環境の改善に舵を切り本当の少子化対策の必要性を説く

〈コロナ〉と並走する新シリーズ全5巻
コロナがあばく社会保障と生活の実態  
コロナと自治体3

伊藤周平編著(鹿児島大学教授)
瀬戸大作(反貧困ネットワーク事務局長) 楠本美紀(兵庫県明石市議会議員) 著

A5判・並製カバー・124 頁/定価1430 円(10% 税込)

 ココロナで明らかになった社会保障の脆弱さを、医療・介護、雇用政策の観点から検証し、是正策を提示。また、生活困窮と貧困の状況を具体的に示して、支援に奮闘する民間団体の活動を跡づけ公的支援の必要性を訴える。市民生活に即した支援策を展開する兵庫県明石市の取組みも伝える。

【シリーズ既刊】1新型コロナウイルス感染症と自治体の攻防 定価1650 円
5「学び」をとめない自治体の教育行政 定価1430 円
【シリーズ続刊】2感染症に備える医療・公衆衛生 / 4コロナと地域経済 体 
<目次>
第Ⅰ部●コロナがあばいたもの
1  コロナ禍があばく社会保障の脆弱さと政策課題
コロナ禍で明らかになった医療政策の問題点と課題/コロナ禍で明らかになった介護政策の問題点と課題/コロナ禍で明らかになった雇用政策の問題点と課題
第Ⅱ部●コロナに対応するネットワークと自治体
1  「死のうと思ったが死ねなかった。最後だと思いメールした」 
コロナ災害ではなく政治の責任による人災/新型コロナ災害緊急アクション/追い詰められている生活困窮者自立支援の現場/コロナ禍が浮き彫りにした移民外国人の「平等性」からの排除と差別
2  兵庫県明石市の市民生活に即したコロナ対応
保健所がどのような役割を果たしたのか/コロナ対策としての市独自の17 の施策/新型コロナウイルス感染症の患者に対する支援及び差別禁止に関する条例の制定

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