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第112号

第112号

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第112号

2018・04・25更新

昔のメーデー

メーデーの集会・今年は八九回

1886年5月1日米国の労働者がゼネラルストライキを行った。彼らは翌年以降も5月1日にゼネストを実施。この動きが世界の労働組合に広まり、1890年5月1日に第1回国際メーデーが多くの国で開催された。日本では1920年5月2日に第1回メーデーが東京・上野公園で開かた。第二次世界大戦中は政府により開催が禁止。

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東海第二原発の再稼働を巡る新安全協定の締結

 3月29日に日本原子力発電(原電)は東海第二原発の再稼働を巡り、東海村のほか、周辺5市にも事前了解の権限を認める新しい安全協定(新協定)を6市村と結んだ。これまでは県と東海村に限定されていて、対象を30キロ圏に拡大するのは全国で初めてのことである。
 新協定では、原電は「原子力施設及びこれと密接な関連を有する施設を新設し、増設し、変更しようとするときは、事前に県、東海村、日立市、常陸太田市、ひたちなか市、那珂市、水戸市にその旨を説明するとともに、県及び東海村の了解を得るものとする」とある。このくだりは、依然として東海村と他の5市とでは差があるが、同じ日に原電が出した確認書には、「発電所の稼働及び延長運転を行う前に、6市村それぞれが事前協議を求める権限を確保した。事前協議においては、6市村それぞれが納得するまでとことん協議を継続する」とあり、6市村のうち一つでも了解しなければ再稼働はできないと、原電の村松衛社長は記者会見で述べている。
 朝日社説は「協定には、6市村の中で意見が食い違った場合にどうするかなど、あいまいな部分も残る。関係する全自治体が納得するまで徹底的に協議するなど、住民の安全を最優先に考えて運用してほしい」と提言している。

 事前了解権の行使は首長が行うが、議会の判断も大きい。議会が賛成したのだからと首長が再稼働を認める。次に、県の議会は地元が同意したのだからと賛成し、知事はそれを受けて了解する。議会の判断が極めて重要になるということだ。常陸太田市議会は3月の定例会で7団体と5人から出された「東海第二原子力発電所の20年延長稼働に反対する意見書の採択を求める請願」を可決した。水戸市は3月議会の総務環境委員会で、現時点での再稼働を認めないという意見書を採択し、手続きの関係で遅れ、6月議会で採択される見通しだ。那珂市では3月議会に再稼働反対の請願と陳情が3本出されたが、原子力安全対策委員会は審議しないまま継続審査にし、先送りされた。ひたちなか市では6月議会に向けて住民が請願を出す準備をしているようだ。

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連載「小話コーナー」

第6回

『ちょっと一息』

梅雨に入って鬱陶しい日々が続いていた。

「いくら梅雨でも、こう雨ばかりでは頭の中までカビが生えそうだね。」
「もうすぐ梅雨も明けべえ。あれ、あの花を見てみなよ。あの花の蕾がてっぺんまで咲くと夏が来るんだと。」
「あれタチアオイだっぺよ。家にもいっぱいあるよ。どんどん増えっからね。あの花が一番上まで咲くと梅雨明けか。梅雨が明けたら、今年は日照りが続くべよ。辛夷の花付きが見事だったもの。暑い夏になるべね。」
「年を取ると夏の暑さはこたえるよねエ。だけど日照りに凶作無しって言うからコメは良くできべエ。」
「だな。倅はコシヒカリとササニシキと両方作るようだが、ササニシキは丈が高くなるから風に弱いだよ。」

 …… 二人の話も梅雨のように止みそうにない。


高木 知子(茨城県自治体問題研究所 理事)

寄 稿

新たな補助金で企業を呼び込む予算 ー 2018年度茨城県予算分析

上野高志(日本共産党県議会議員)

【 はじめに 】

昨年8月に当選した大井川茨城県知事(自民・公明推薦)初の新年度県予算が、3月23日の議会最終日にいばらき自民党、自民県政クラブ、公明党、県民フォーラム(前民進党)、無所属の賛成多数で成立しました。

「当たればホームラン」県税をまるで賭け事に

 2018年度予算の特徴の一つは、「企業誘致強化事業」として、「本社機能を県内に移転した企業に最大50億円補助」や「豪華ホテル誘致に10億円補助」など、新しい企業呼び込みを盛り込んだことです。知事は「空振りすればひっくり返るが、当たればホームラン」と自民党県連大会挨拶の中で述べました。県民の税金を、まるでゲームか賭け事に使うかのような発言です。

営業戦略部を新たに創設

 さらに、県庁内の組織に「営業戦略部」を置いたことです。企業誘致や進出企業の売り込み、県産品の海外展開、観光誘客などを行います。県職員をセールスマン化することに疑問の声も上がっています。

【2018年度予算の特徴】

「企業の収益改善」で県税収入は増加

 予算額は1兆1117億円と前年度とほぼ同額です。歳入は、県税が3844億円と前年度比3.3%増で「企業収益の改善等で法人事業税の増加によるもの」と説明しています。
 1230億円の県債を発行し、2019年度末の県債残高は総額2兆1506億円と一般会計の2倍近くにも上ります。

県が国民健康保険税の運営主体に

 2018年度から国民健康保険税の運営主体が県になりました。県は各市町村に「納付金」を割り当て納めさせます。県が納付金額を提示する際、市町村ごとの「医療給付費の水準」「標準的な収納率」「標準保険料率」などを提示します。「医療費をたくさん使っている」「保険税の滞納世帯が多い」などの自治体は目立つようになります。県に市町村を指導させることに政府の狙いがあります。
 予算特別委員会で山中県議は、「一般会計からの繰り入れ削減や保険料引き上げ、収納率対策などの項目は根本から見直すべき」と迫りました。知事は「国の方針が変更されない限り変えない」「国の財政援助が減るので運営方針に基づいて取り組んでいく」と答えています。

 今回、県内44市町村中17市町村で国保税が値上げとなります。 
 一方、笠間市では値下げに、取手市は18才以下の均等割を半額(年31000円を15500円に)にする改定を行いました。

「全クラス35人以下」は8億4千万円、高校卒業まで医療費完全無料は24.7億円

歳出トップの「教育費」は、前年度比42億200万円減額(▲1.5%)の2786億3500万円です。
 新年度から「茨城型」35人以下学級が中学3年生までに対象が広がりました。「茨城型」は「1学年に、35人以上のクラスが3つ以上になれば35人以下にする」というものですが、どのクラスも35人以下にする場合、担任教員が約300名増え、より行きとどいた教育をすすめることができます。予算は8億4千万円です。

 県は初めて教員の勤務実態調査を行いました。1日の平均勤務時間は中学校教員が12時間15分、小学校は11時間39分と、過労死ラインを上回る長時間勤務となっています。
 私立高校の授業料減免制度は、年収350万円から400万円以下の世帯に拡充されました(4億7千万円)。
 保健福祉費は39億3600万円減(▲1.9%)の2042億8400万円です。子どもの医療費助成(小児マル福)の拡充は、高校3年生までの入院費に10月から補助が実施されます(1日300円負担)。
 県は「全国トップクラス」と誇っていますが、外来は小学6年生までの据え置きです。高校卒業までの医療費を、所得制限も窓口負担もない完全無料にするためには、あと24億7千万円です。
 その他、県民要望が実現したものとしては、「医療的ケア児を受け入れる児童通所事業所の開設・設備補助」として500万円、「月額20~25万円の医師修学資金貸与」を10人から20人に拡充するなど医師確保策に22億7600万円、児童相談所体制の拡充として、児童福祉士を65人から70人に、心理士を29人から35人に拡充することなどがあります。
 また、「公共交通空白地域解消に取り組むコミュニティー交通等の導入・運行支援」などに3000万円、「信号機新設30基・更新372基」(7億9千万円)は、もっと予算を増額すべきです。ちなみに信号機新設の要望は、毎年300~400基にも上っています。
県民要望にこたえた予算の金額は、企業呼び込みや大型開発予算と比べ、ほんのわずかです。

家族農家への支援策なし

 農業予算について知事は、「儲かる農業」を掲げ、「農産物輸出」「農地集積」「6次産業化」等が中心です。
 2017年度の6000ヘクタールを上回る7500ヘクタールを目標に、農地の集積化をはかります。100ヘクタールを超える大規模水田経営育成に8000万円(農地集約化加速化事業)、農産物等輸出促進事業に5400万円、生産・加工・販売まで一体的に行う「6次産業化総合対策事業」に6100万円を計上。
 2018年度から水田10aあたり7500円を補助する制度が廃止となりました。98.7%を占める家族経営農家には「あとは自分で考えて販売せよ」と言わんばかりの無策です。県独自の農業者戸別所得補償をおこなうには190億円です。

大型補助金で新たな企業呼び込み策も

 「茨城空港就航対策利用促進」は、空港駐車場を500台拡張するなど12億円の公費を投入します。
 港湾関連では、茨城港(日立港区・常陸那珂港区・大洗港区)、鹿島港の整備に62億円です。常陸那珂港区は現在、完成した北ふ頭に立地する東京電力石炭火発で出た灰を埋め立てる「廃棄物処分場」として中央ふ頭を建設中です。
 県が開発した工業団地の売れ残りは1000ヘクタールを超えています。大井川知事の下で「3割から5割引き」で販売する計画です。
 国直轄事業の霞ケ浦導水事業負担金(2億円)、八ッ場ダム事業負担金(25億円)と、大型水開発はこれまで通り続けます。

【 おわりに 】

東海第2原発の20年延長するな

 今年11月に東海第2原発は稼働から40年を迎えます。日本共産党は一般質問や予算特別委員会で繰り返し、「再稼働中止」の決断を知事に求めてきました。3月議会の一般質問では、「再稼働反対の県民の声を聞き再稼働中止を」と迫り、予算特別委員会では「福島原発事故からの県内避難者への対応について」、それぞれただしました。
 老朽化し、半径30㎞圏内に96万人が住む日本一の人口密集原発―東海第2原発は廃炉にするしかありません。県議選の争点にしっかり位置づけたたかいます。

全国8位の財政力を暮らし・福祉にこそ

 県の施策には、暮らし・福祉分野の県独自策がほとんどありません。財政力指数が全国8位の茨城県。民生費(保健福祉費等)の割合を他県並みに増やせば100億円の予算が生み出せます。
 県政世論調査の中で、県政への要望は、1位「子育て支援・少子化対策を推進する」(32.6%)、2位「医療体制(医療従事者の確保、救急医療やがん対策の推進など)を充実する」(29.7%)、3位「高齢者福祉サービス体制(老人福祉施設、ホームヘルプなど在宅福祉)を充実する」(29.2%)です。1位から3位までの要望は、毎回変わらないトップ3です。
 次代を担う子どもたち、若者たちが、夢と希望が持てる茨城県政へ、3議席を必ず確保し、議席増に挑戦したい。12月にたたかわれる県議選では、全力で頑張る決意です。

(2018年4月10日 脱稿)
県歳入G歳出県

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東京の空まで汚すかオスプレイ
戦場の砂をかぶって出る文書  
一極の力腐って毒まわり
八億円どこに消えたかゴミの山
余りにも速いサクラの別れかな

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

いべんと

● 第44回市町村議会議員研修会in岡山
• 6月議会を前に「自治体の役割」を考えます
• 2018年5月14日(月)・15日(火)
• 岡山商工会議所

 6月議会を前に、いま知っておきたい政策課題と「自治体の役割」を考えます。1日目は人口減少社会での公共施設・空き家問題・コンパクトシティへの向き合い方を考えます。2日目は大規模災害への備え、地域産業・地域経済への向き合い方をじっくり学びます。

● 第41回自治体政策セミナーinさいたま

• 地方自治・地方財政・地方公務員制度の行方と展望
• 2018年5月26日(土)・27日(日)
• さいたま共済会館

 安倍政権の「公務公共サービスの産業化」「地方創生」戦略などのもとで、自治体の役割が変質させられようとしています。地方自治と地方財政、地方公務員制度の面からその実態と問題点、打開の方向を、3つの講義と参加者のみなさんの討論で明らかにします。

● 第60回自治体学校in福岡
• 第60回自治体学校は2018年7月21日(土)~23日(月)福岡市で開催されます。初の九州での開催です。
• 2018年7月21日(土)・22日(日)・23日(月)
• 福岡市民会館/西南学院大学
自治体学校福岡

詳しくはこちらhttps://www.jichiken.jp/

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新刊紹介

Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用

武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授

B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)

 総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
 地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
 地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
 グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
 財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
 合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
 国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業                            

準新刊

本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長

A5判110頁 定価(本体1,100円)

 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。

第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ

第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する

第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育

第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする

第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために

改訂新版『地域再生と町内会・自治会』

著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司

   
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
 私は「上原公子」

上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編

 国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
 第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り   上原公子
 第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる  
 窪田之喜
 第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
 田中 隆
 第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
 小川ひろみ
 第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
 年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
 くにたち上原景観基金1万人の会

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使っているの?(歳出のしくみ): 目的別と性質別/「充当一般財源等」

『公共施設の統廃合・再編問題にどう取り組む-計画づくりから本格実施へ-』

角田英明
A5版・32頁 一般普及300円(地域研・自治労連割引単価200円)

 全国の自治体では、現在、公共施設等総合管理計画づくりが急ピッチで進められています。
 既に2015年度末までに全国30道府県、15指定都市、396市区町村でつくられ、今年度末にはほぼ全自治体で策定されます。これはこれまでのような個別施設の更新、統廃合に止まらず、公共施設全体を中長期的な視野に立って全面的に見直し、再編していくものです。そのため国は、公共施設等の解体撤去や公共施設の集約化・複合化、転用等に係る財政措置を講じて各自治体に計画の策定と実施を迫っています。同時に、この計画は「地方創生」戦略や市町村合併、指定管理者制度などと一体的に進められています。
 本書では、こうした状況を踏まえ、政府施策や各自治体の計画内容、今後の取組みの課題、方向を検討しました。皆さん方の活動に活用していただければ幸いです。

はじめに 
 1.いま、なぜ、公共施設の統廃合・再編か 
 2.計画の策定・推進に向けた政府の対応 
 3.各自治体の計画づくりと実施方針(秦野市 さいたま市 相模原市)
 4.今後の取り組みの留意点と課題 
 5.「地方創生」総合戦略と一体的に推進 
 6.市町村合併の中で進む公共施設の統廃合・再編 
 7.指定管理者制度における公共施設の再編問題 
おわりに

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