2024/09
2024/09
月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2024年09月
災害・対策(能登半島地震含む)
災害・対策(東日本大地震含む)
河川改修計画不備 原告側改めて主張 常総水害控訴審第1回弁論 (9.10 朝日)
2015年、豪雨による鬼怒川の水害で被害を受けた常総市の住民らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が9日、東京高裁で開かれた。原告側は一審判決が認めなかった河川改修計画の不備を改めて主張。国側はこれを受け入れず、争う構えを示した。22年7月の水戸地裁一審判決は、若宮戸地区の堤防の役割を果たす砂丘について、国が河川区域に指定すべき義務を怠ったと認定。原告9人に計約3900万円の賠償を命じた。
一方で、決壊した上三坂地区の堤防については「国の改修計画が格別不合理だったとまでは言えない」として退けた。約2億2200万円の賠償を求める原告側と、国の双方が控訴していた。
口頭弁論の意見陳述で、原告団の片倉一美共同代表(71)は上三坂地区の堤防をめぐる国の改修計画の順番が「現実を反映していない」と指摘。上三坂は「堤防の高さが低く、最優先で改修すべきだった」などと主張した。
国側は一審判決を踏まえ「(堤防改修は)下流から整備する原則に沿っており、格別不合理とは言えない」などと反論した。一審判決が認めた砂丘の河川区域指定についても争う姿勢を示した。
避難所開設訓練に100人 水戸市・台風想定 職員を指定動員 (9.19 毎日)
台風に備え、水戸市は18日、洪水発生時を想定した避難所開設などの訓練を実施した。同市では災害時、市内に34ヵ所ある市民センターに円滑に避難所を開設するため、あらかじめ近くに住んでいる本庁舎勤務の職員を「避難所指定動員」に任命している。休日や夜間などに災害が発生した際、センター職員らと協力し、避難者の受け入れなどを行う。18日の訓練では、避難所指定動員の職員約.100人が市防災・危機管理課の職員から、間仕切りや段ボールベツド、簡易トインの設置方法などを学んだ。また、各市民センターにクラッカーの備蓄があるものの、小麦アレルギーの人は食べられないため、そうした人向けに腎疾患などがある人も食べられるアルファ米を用意していることなどの説明を受けた。
原発問題(東海第二原発関係も含む)
原発避難見直し「必要」3割、156自治体調査 (9.1 朝日)
東日本大震災から13年6カ月となる11日を前に、朝日新聞は全国の16原発30キロ圏の156自治体の首長にアンケートを行った。原発事故に備えた避難ルートの寸断が相次いだ元日の能登半島地震を受け、計3割が各自治体の避難計画の見直しについて「必要」「どちらかと言えば必要」と回答。地震や津波などの自然災害と原発事故が同時に起きる「複合災害」への危機感を示した。
原発の30キロ圏の自治体は、原子力規制委員会の「原子力災害対策指針」などに基づき、住民の避難や屋内退避の計画を定め、必要があれば修正することが法律で義務づけられている。避難計画の基礎となる指針の見直しに規制委が消極的な一方で、アンケートでは一定数の首長が計画見直しの必要性に踏み込んだ。ただ、要否を明確にしない「その他」も5割余りに上った。
アンケートは計156の道府県や市町村を対象に7~9月に実施し、147自治体が回答した。うち、避難計画見直しの必要性を認めたのは41治体(28%)。地域別では、政府が再稼働に注力する柏崎刈羽原発(新潟県)、南海トラフ巨大地震の想定震源域にある浜岡原発(静岡県)では、それぞれ5割の自治体が必要性を認めた。一方、いずれも今年中の再稼働が見込まれる東北電力女川原発(宮城県)は1割余り、中国電力島根原発(島根県)はゼロだった。
必要だとした自治体に見直すべき点を複数回答で問うと、「避難用の道路が寸断された場合の復旧」(50%)が最も多く、続いて「救助活動と避難・屋内退避の両立」と「要援護者の避難支援策」が48%だった。
「常陽」工事を了解 運転再開 事実上容認 (9.7 朝日)
日本原子力研究開発機構が2026年度半ばに運転再開をめざす高速実験炉「常陽」(大洗町)の安全対策工事について、県と大洗町は6日、原子力安全協定に基づく事前了解をした。事実上の運転再開容認になる。今後、機構は原子炉の停止や監視システムの多重化などの工事に着手する。
大洗町は同日午前、国井豊町長が町役場で機構大洗研究所の吉武庸光所長に了解書を手渡した。国井町長は「安全最優先でゃってほしい。住民が安心できるよう情報開示をお願いしたい」と述べ、吉武所長は「安全第一で工事を進める。地元の安心、安全、信頼を第一に、事業進捗の広報に努めたい」と話した。
県は同日、原子力安全対策課の担当者が、県庁で機構の職員に了解書を手渡した。
常陽は1977年に運転を開始したが、機器トラブルで2007年から停止。福島第一原発事故の後にできた新規制基準に合わせるため、機構は17年3月、原子力規制委員会に審査を申請。昨年7月、規制委は新規制基準への適合を認めて安全対策を許可した。
機構によると、原子炉制御室が使えなくなった場合に別の場所や方法で炉を停止させたり、状態を監視したりできる機能を持たせる。多量の放射性物質が放出された場合の事故拡大防止策も施すという。
県は昨秋以降、有識者による原子力安全対策委員会で、機構が示した安全対策を検証。「おおむね適切」と結論づけた。今年8月には、原子力審議会を開き、有識者や首長、県議らが常陽の意義について審議し、必要性を了承。その後、水戸、ひたちなか、鉾田、茨城の隣接4市町に意見を募り、工事実施に異論はなかったという。
高速炉は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再び発電に使う「核燃料サイクル」の中核施設で、放射性廃棄物を減らし、資源を有効利用できる、「夢の原子炉」とされる。
この高速炉開発の第1段階にあたるのが、常陽だ。第2段階の原型炉「もんじゆ」(福井県)は深刻な事故や不祥事が相次ぎ1兆円以上を投じながら、計250日しか運転できず、2016年に廃炉が決まった。このため、常陽は国内で唯一、動かすことができる高速炉になっている。
東海第2避難計画を検証する県委員会設置 拡散予測で対策強化 (9.19 茨城)
日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村)の事故に備える広域避難計画で、県が放射性物質の拡散予測を活用して実効性を検証する委員会を設置することが18日、分かった。委員会での議論を通じ、避難の際に想定される事態と対応状況を確認し、各種対策を強化する。
関係者によると、検証委員会の初会合は10月17日、水戸市で開催する。危機管理や災害情報、放射線を専門とする東大や茨城大の教授、民間事業者ら9人で構成する。
委員会は原則非公開となる。終了後に毎回、議事録をホームページで公開する方針だ。初回は拡散予測を検証手段として活用することを説明した上で、具体的な方法や議論の方向性を決める。その後、避難にかかる時間、避難に必要なバスや福祉車両などの確保、車両配備や搬送計画の妥当性、必要な資機材や人材の充足状況などの面で、対策が十分かどうかを検証する。
県は委員会を通じ、計画が実際に安全で円滑な避難につながるかを確認。指摘があれば改善する。開催回数や結果をまとめる時期は未定という。拡散予測は原電が2022年12月に提出し、県が昨年11月に公表した。原子力災害による炉心の損傷を想定し、24時間後の拡散範囲を事故状況や気象条件ごとに計22通りで分析。避難や一時移転の対象となる住民は、最大で約17万人と試算された。
東海第二避難計画 県が委員会設置へ 実効性を検証 (9.20 朝日)
日本原子力発電が再稼働を目指す東海第二原発(東海村)の重大事故に備えた広域避難計画について、県は、その実効性を検証する委員会を設置する。県が19日、発表した。検証は放射性物質の拡散予測を活用して行われ、住民が安全かつ円滑に避難できるかを検討する。
県によると、委員会は原子力安全や交通工学、災害情報論などを専門とする、東大や筑波大、防災科学技術研究所などの識者ら9人の委員で構成し、原則非公開。初会合は10月17日を予定しており、終了後に議事録を公・表する。原発30キロ圏内で計画策定が求められる14市町村もオブザーバーとして参加する。
県が要請して原電が試算した事故時における放射性物質の拡散予測では、最大で約17万人が避難対象になると示された。委員会ではこの予測をもとに、避難時間短縮や移動手段の確保、防災資機材の確保、防災業務にあたる要員の確保といった対策を検証する。
また県は19日、東海第二原発30キロ圏内の約92万人の避難先について、9月時点で9万4千人分が不足していると公表した。昨年12月時点では、12万5千人分が不足していた。
東海第二 地震の備え知りたい、住民説明会始まる (9.23 朝日)
東海第二原発の安全対策工事の見通しについて、日本原子力発電(原電)は22日、東海村で地域住民を対象とした説明会を開き、住民からの質問や意見を受けた。東海第二原発から半径30キロ圏内の14市町村と小美玉市の住民が対象。10月3日まで計12回開く。
初回のこの日は15人が参加した。冒頭部分を除き、非公開で実施された。原電は防潮堤の基礎部分に施工不備が見つかり、安全対策工事の工期を延長することなどを説明。質疑応答の時間では防潮堤の基礎部分に不具合が起きた原因や、工事完了の見通しについても答え、原電は「地盤改良をしたり補強したりして、これまで以上の津波対策ができる」と理解を求めた。住民からは「安全を重視した工期変更であれば安心できる」といった声もあったという。
地方制度・自治体論・地方自治一般
地方創生68%「不十分」 人口減「単独対策に限界」 (9.1 茨城)
人口減少克服と東京一極集中の是正を目指す地方創生について、自治体の68%はこの10年間の取り組みの成果が不十分と受け止めていることが全国の都道府県知事、市区町村長に共同通信社が行ったアンケートで分かった。理由として、日本全体で人口減に歯止めがかからない中で移住者獲得の競争が起きるなど「自治体単独での対策には限界があった」の声が多かった。地方からの女性流出に雇用などの男女格差が影響しているとの回答は60%に上った。31日までの回答を集計した。
7~8月、47都道府県知事と1741市区町村長にアンケートを実施。93%の1667人から回答を得。人口減少を食い止めるための各自治体の地方創生の取り組みの効果は15%が「不十分」、54%が「どちらかといえば不十分」と回答。「どちらかといえば十分」は27%、「十分」は1%にとどまった。不十分だった理由は「自治体単独での対策には限界があった」が73%と最多。「予算・人手が足りなかった」が13%、「対策のノウハウがなかった」が7%。「自治体間で人口の奪い合いになっている」(岩手県平泉町)、「国が責任を持って進めるべき課題だ」(長野県飯山市)との指摘があった。
総務省の23年人口移動報告によると、20~30代男女の転出者が転入者を上回った43道府県のうち、29道県は女性の人数が男性を上回った。
アンケートでは15%が、雇用や賃金、根強い性別役割分担の意識などのジェンダーギャップ(男女格差)が人口流出に影響を与えていると思うとし、45%も「どちらかといえば思う」と回答。「若い女性が魅力を感じる仕事が地元に少ない」(香川県琴平町)、「地域の集まりで食事の用意をするのは女性といった固定的な考えの打破が必要」(広島県呉市)との声もあった。
本県42自治体 67%不十分
過去10年間の地方創生取り組みについて、本県で回答した42自治体(県を含む)の67%が、人口減少を食い止める上で不十分だったと受け止めていることが分かった。
つくば市職員が請願 相次ぐ不祥事、市議会は特別委設置 (9.5 朝日)
生活保護業務を担当していたつくば市職員が、不祥事が相次ぐ元職場の業務内容の適正化を求める請願書を9月議会に提出した。市議会は3日、議論する特別委員会を設置した。
生活保護業務を扱う社会福祉課では今年度になって、 一部職員への時間外手当の未払いや、障害者への生活保護費の誤支給などが明るみに出た。請願書を出した職員は、今春までこの課に在籍していた。
請願書で職員は、「不適正事案の具体的な内容や、発覚の本当の経緯が示されていない」などと指摘。在任中に労務環境の改善などを訴えていたが、管理職から「逆ハラスメント」と言われて敬遠されたとも主張している。また、「公の奉仕者として、市民の信頼にこたえたい」として、組織の根本的な改革を求めた。
請願書の内容が福祉保健、総務文教の二つの委員会にまたがるため、市議会は両委員会の議員13人でつくる特別委員会を設置した。
また、この職員とは別の元担当者も、公益通報の実効性を担保できる外部窓口の設置などを求める陳情書を9月議会に出した。
関東1都7県、公務員離職に「待った」茨城 勤務調査 で週休3日 (9.7 日本経済)
地方自治体職員の離職が深刻化している。山梨県を含む関東1都7県では好条件を提示する民間企業との争奪戦が激しく、もはや公のために働く高い職業意識だけでは優秀な人材を引き留められない。週休3日もできるフレックスタイム制を選べるようにしたり、能力向上を支援したりと、あの手この手で定着に懸命になっている。
親の介護や子育てなど家庭の事情と業務の両立が難しく、柔軟な働き方ができる仕事に転職する地方公務員も少なくない。そんな人材を引き留め、また呼び込もうと茨城県は4月から、日々の勤務時間を調整して週休3日も選べるフレックスタイム制を導入した。同県のフレックスタイム制は教員や交代制勤務の職員を除く全職員が対象。1日最短2時間(午後1~3時)最長12時間を条件に1~4週間単位で所定の時間を勤務すれば、土・日曜日に加えてもう1日、平日を「週休日」にすることも選択できる。あわせて時差出勤制度も拡充。通常の1日あたり勤務時間(7時間45分)で就労する場合、最も早い出勤時間は従来、午前7時(通常8時30分)だったが、4月からは午前6時半に繰り上げるなどした。
大井川知事は「国や他県に先駆けて新しい働き方の見本になるような職場をめざしたい」と語る。
―地方公務員の退職者増加率―
千葉 84.3%(全国 6位)
茨城 39.9 (〃 31位)
埼玉 22.3 (〃 44位)
市長の退職金額 投票条例案否決 つくば市議会委 (9.18 朝日)
つくば市の五十嵐立青市長(46)がインターネット投票で金額を決めるとしていた自身の退職金について、市議会の総務文教委員会は17日、関連する条例案を否決した。10月4日の本会議での採決で、最終的な可否が決まる。ネット投票は、五十嵐市長の業績を市民が0~100点の間の11段階で評価するというもの。
11月16日に任期満了を迎える五十嵐市長は、退職金の算出根拠となる同日時点の給与月額に市民評価の平均点を反映するよう変える条例案を、市議会に提案していた。
市の計画では、投票するには有効な電子証明書を備えたマイナンバーカ―ドと、生活情報を発信する市のスマートフオンアプリ「つくスマ」が必要とされる。
反対する市議らは「マイナカードを持っていない人が投票できないのは公平性に欠ける」「市長への好き嫌いで結果が左右される恐れがある」などと主張。賛成する市議らは「公平性の担保にこだわりすぎるとDX(デジタル化)が進まない」「課題はあるが、(退職金の金額は)市民に身近なテーマだ」などと反論した。
委員会で賛否は3対3の同数だったが、反対の立場をとる木村修寿委員長の裁決で否決された。
本会議でも否決された場合、退職金は満額の2039万4千円となる。
まちづくり・都市計画
住民の声を政策に 高知県職員が市町村駐在“困り事“サポート (9.1 日本農業)
県職員が市町村に駐在し地域づくりを支援する高知県の「地域支援企画員」が住民の意見を反映させた施策づくりや県職員研修に成果を上げている。2003年の開始以来、企画員を経験した職員は1169人、現在の課長級以上の管理職員で13%を占める。市町村の実態に応じて事業を改善、地域密着型の政策を打ち出すことにつながっている。
現在、市町村に駐在する企画員の県職員は33人。基本的に各市町村役場に1人の企画員が平均3~5年駐在する。中山間地域対策の柱である「集落活動センター」の設立や産業振興の計画作りなどを支援。企画員の総括・サポート役としてブロック単位で県の出先機関に副部長級や課長補佐級の職員も配置している。
集落活動センターはガソリンスタンドや直売所の運営、移住支援など多様な取り組みを住民主体で進め市町村と県がサポートする。県の仕事を持ちながら地域担当制をとる県もあるが、高知県は市町村専属とするので特徴だ。地域づくりに深く関わることで職員の現場感覚も培われる。
水道値上げ、過去10年で最多、32道府県82事業者最大37%増 (9.14 朝日)
水道料金の値上げが今年は最多となる32道府県の82事業者にのぼることが分かった。値上げ率は最大で4割近く、対象は800万人を超える。今後も人口減少と、老朽施設の更新などで、値上げ幅が大きくなるとみられている。
施設更新・人口減で採算悪化
水道は主に市町村が運営し、給水を計画する人口が5千人超の上水道事業者は約1200。税金に頼らず水道料金でまかなう独立採算制が原則で、料金は地域ごとに異なる。3人世帯(20立方㍍)の全国平均は2023年4月1日時点で月3343円と、10年前から234円上がった。
朝日新聞は日本水道協会の公表データや、都道府県などに取材した。その結果、2015~24年にのべ約520事業者が値上げし、今年は神奈川県営水道や岡山市、愛知県豊田市など最多の82事業者に上り、値上げ率は約3~37%に及ぶことが分かった。東北地方ではモデル世帯で年間1万428円の増加を見込む事業者もある。
水道は高度経済成長期に整備され、多くが更新時期を迎えている。ただ、人口減少などで料金収入は減少し、採算が悪化。「原価割れ」の事業者は57%(22年度)にのぼる。主要な水道管のうち、震度6強程度の地震に耐えられるのは約4割にとどまる。
元日の能登半島地震では、耐震化されていない施設の損傷によって断水が長期化した。水道事業に詳しい近畿大学の浦上拓也教授(公益事業論)は「施設の更新は今後本格化するうえ、能登半島地震での被害を受けて耐震化を進める費用捻出のために値上げをするところは増える可能性がある。大幅な値上げを抑えるためにも、施設の統廃合を含む事業統合などの経営効率化を進める必要がある」と指摘する。
基準地価、全用途で上昇幅拡大 TX沿線高騰 周辺に波及 (9.18 朝日)
県は17日、土地を売買する目安となる基準地価(7月1日時点)を公表した。住宅地、商業地、工業地を合わせた平均は昨年より0・9%上がり、3年連続の上昇となった。つくばエクスプレス(TX)沿線に加え、JR常磐線沿線や圏央道周辺など県南地域での上昇が県全体を押し上げていると、県は分析する。
県によると、地価の調査は547地点で実施。前年からの平均変動率は、住宅地で0.7%と2年連続で上昇。商業地は1.4%で3年連続、工業地は1.6%で9年連続の上昇だった。上昇幅も、いずれの用途でも昨年より拡大した。住宅地で地価が最高だったのは、10年連続でTXつくば駅に近いつくば市吾妻1の16の24。1平方㍍あたり21万4千円だった。上位5地点はいずれもTX沿線だつた。
上昇率が最も大きかった同市みどりの東39の9は、TXみどりの駅から徒歩40分程度の場所だ。同市では、TX各駅に近接する住宅地の販売物件が少なくなってきているため、駅からやや離れた地域にも地価の上昇が波及しているという。JR常磐線の取手―土浦間沿線でも地価が上昇している。地価調査に協力した不動産鑑定士の
羽場睦夫さんは「TX沿線が高騰して住宅を買えない県内客の需要が、牛久市や阿見町などに流れ込んでいる」と分析する。
図書館と書店連携支援 文科省 読書推進へモデル構築 (9.24 日本経済)
読者離れが進み各地で書店の閉店も相次ぐ中、文科省は図書館と書店の連携による読書推進や地域活性化の取り組みを支援する方針を固めた。6カ所の自治体など公募で選んで事業モデルを構築し、全国に普及させる。2025年度予算の概算要求に関連経費4100万円を盛り込んだ。
文化庁が発表した23年度の国語に関する世論調査では、1か月に読む本の数について「読まない」との回答が6割超に上り過去最多だった。また、日本出版インフラセンターによると全国の書店数は今年3月時点で10,918店。
10年前から約3割減っている。文科省によると、図書館と書店などが連携した取り組みは、これまでも各地で行われている。こうした活動をさらに拡大するため、文科省は来年度市町村などを公募で選定し財政支援する。また、協力事例を調査し連携に向けた課題の分析も進める。
地域計画「策定」6% 7月末時点調査 (9.30 日本農業)
集落単位で農地利用の将来像を定める地域計画を巡り、少なくとも1地区で計画を策定した市町村の数が7月末時点で108となったことが農水省の調べで分かった。前回調査(3月時点)から4培に増えたものの策定が必要な市町村の6%にとどまった。 策定期限が来年3月末に迫る中、てこ入れが急務だ。
同省によると計画の策定が必要な市町村の数は1672。これらの市町村で少なくとも1地区で協議の場を設置し、策定作業に乗り出した市町村の数は1467。前回調査から193(159)増え、策定が必要な市町村の9割を占めた。ただ実際に策定・公告まで行った市町村は108にとどまり、1割に満たなかった。策定に未着手の市町村も12%(205)あり今後どのように策定を働きかけるかが課題となる。
地域経済
就農者 2年連続最小 23年4万3460人 (9.2 日本農業)
2023年の新規就農者数が43,460人となり、2年連続で過去最少となったことが農水省の調べで分かった。就職先として農業界を選ぶ人や定年後に実家の農業に携わる人が減ったことが要因。新規就農者数は、データのある06年(81,030人)をピークに減少傾向で推移している。06年と比べると半減している。内訳をみると、実家の農業に携わる「親元就農者」が前年比3%(1010人)減の30,330人。新規就農者の7割を占めた。年齢別では「60~64歳」が1010人減とへり巾が最も大きかった。企業の再雇用や定年延長の影響で定年帰農する人が減ったことが要因とみられる。
農業法人への就農者など「新規雇用就農者」は12%(1270人)減の9300人。農家出身者以外が9割を占めた。新規就農者のうち49歳以下は15,890人、全体の37%を占めた。49歳以下の割合は、親元就農者(21%)で低く、新規雇用就農者(74%)と新規参入者(68%)で高かった。男性が占める割合は、親元就農が71%、新規雇用就農が65%、新規参入者が80%だった。
女性の賃金 男性の7~8割 本県格差ワースト2位 (9.3 茨城)
厚生労働省は2日、2023年の都道府県別の男女賃金格差を初めて指数化し公表した。男性の賃金に対し女性の水準は7~8割にとどまり、格差が最も大きいのは栃木で、最小は高知だった。本県は栃木に次ぐ46位だった。管理職に占める女性の割合が低かったり、女性の平均勤続年数が短かったりする地域は賃金格差が大きくなる傾向にあると分析している。
格差大 栃木71.0 茨城72.1 長野72.8 東京73.0 愛知73.2
格差小 奈良79.8 秋田79.9 長崎80.2 岩手80.3 高知80.4
漁業者確保に費用補助 県、今秋交付決定 船や設備の導入支援 (9.4 茨城)
県は、海面漁業の担い手を確保するため、就業に必要な漁船や設備の導入を支援する。国の「被災地次世代漁業人材確保支援事業」を活用し、取得や改修にかかる費用の4分の3以内を補助する。独立する人や親子間の継承を後押しし、漁業者の減少を食い止めるのが狙い。県は今秋以降、順次交付決定する方針。対象となるのは、独立して新規で漁業を始める経営体など。漁船やエンジン、漁具などのリース方式による導入を支援する。費用に対する補助の割合は国が2分の1、県が4分の1以内。予算額は国と県合わせて6億5600万円。同事業は東京電力福島第1原発事故後、福島県の漁業者が大幅に減少したことを受け、国が2022年に始めた。
県漁政課によると、沿海漁業に出る小型船(4・9トン)が新規で漁業を始める場合でも、初期費用は設備を含め約1億円かかるという。今回補助を受ける漁業者は、リース事業者となる茨城沿海地区漁業協同組合連合会(茨城漁連)と約5年間の契約を結び、リース期間が終了した後、茨城漁連から譲渡される。
今後、県などが審査した上で交付先を決定する。すでに複数の漁業者から申請されている。予算額に達し次第、終了する。県漁政課は「本県漁業の担い手確保のため支援したい」と話した。
漁業就業者が5年で1割減 県漁業センサス (9.4 朝日)
県の「2023年漁業センサス」が発表され、昨年の県内の漁業就業者数は1082人で、5年前の2018年と比べて112人(9.4%)減つたことがわかった。1963年には6713人いたが、60年でおよそ16%にまで減少した計算になる。漁業センサスは農林水産省が5年に1度おこなっている全国調査。県統計課が昨年11月1日現在で実施した調査の結果を、8月30日に公表した。県によると、漁業就業者数1082人のうち、65歳以上は254人で、23.5%を占めた。漁船数は400隻で、18年より65隻(14.0%)減少。漁業経営体の数も310と、18年と比べ33(9.6%)少なくなった。
県漁政課の担当者は、近年には新型コロナや東京電力福島第一原発の処理水放出もあったが「基本的に高齢化が進み、そのまま廃業することが多く、全国的に労働人口が減るなかで漁業に新たに就業する若者が減少している状況。新たに参入してくれた人や事業継続のための支援策に力を入れていきたい」と話す。
農地貸借 本県1位 関東近隣10都県 バンク活用進む (9.11 茨城)
県内の農地の貸し手と借り手をつなぐ「県農地中間管理機構」(農地バンク)が2023年度、農家などから借り入れた農地は計2237ha、耕作者に貸し付けた農地は計2574haと、いずれの面積も関東農政局管内20都県で1位となったことが10日、機構のまとめで分かった。創設当初の10年前に比べ借り入れ面積は5・9倍、貸し付け面積は7・4倍に増加。認知度が高まり、活用が進んだとみられる。
農地バンクは、高齢化や離農などを理由に耕作されなくなった農地を借り入れ、安定的な農業経営を行う担い手などに10年以上の長期にわたって貸し付け、農地の集約を進める。各都道府県に一つあり、本県は県農林振興公社(水戸市)が県から指定を受けている。機構のまとめでは、23年度の借り入れ面積は対前年比で1・7倍、貸し付け面積も1・4倍に増えた。増加の理由に、「農業者の相談窓口として、市町村に働きかけてきた効果が出てきたのではないか」(同機構)とみる。貸付先の経営体数(個人・法人)は1842に上った。
10都県は関東7都県に山梨、長野、静岡の3県。県によると、本県の23年度の担い手への集積面積は1835haで、北海道に次いで全国2位。集積率は41・3%で、10年間で着実に増加している。しかし、全国平均の60・4%を下回っており、県農業経営課は「(本県は)販売農家数や兼業農家が多く、担い手の割合が低いことが要因と考えられる」と分析する。「県農地中間管理事業の推進に関する基本方針」では、担い手への農地の集積目標値を30年度に66%を掲げている。
機構は今後、市町村が策定した地域計画の10年後の耕作者を示した「設計図」の実現に向け、農地の貸借を進める。「地域計画には期待している。農家などから信頼されるよう、管理体制をさらに充実させたい」としている。
バイト時給 地方底上げ (9.14 日本経済)
アルバイト・パート時給が一段と上昇した。リクルートが発表した8月のアルバイト・パート募集時平均時給は3大都市圏で前年同月比34円(2.9%)増の1190円だった。過去最高値となった2月の1192円に次ぐ水準だ。地方でも上昇続き地域格差が縮小している。
時給の上昇は地方で目立つ。地方も含めた8月の全国集計の時給は1151円。増加巾は37円で、三大都市圏を上回る。両者の差は39円で前年から3円縮小した。地方で大きいことが背景にある。最高と最後の格差は212円で8円縮小した。
企業の人材確保競争が時給引上げに拍車をかけている面もある。若者の流出を避けるため地方企業が時給値上げに動く。近隣都道府県でも時給の高い地域の水準に安い地域の引っ張られる傾向にある。
ただ、地方の中小企業は経営の厳しさもあり十分に賃上げができない面もあり、地域差が広がる可能性も指摘されている。
「正社員不足」企業の5割超 帝国データ、建設業84.8% (9.16 朝日)
帝国データバンク水戸支店が、県内の企業に実施した人で不足に関する調査で、半数以上の企業が「正社員が不足している」と回答したことが明らかになった。非正社員についても3割超の企業が「不足している」と回答し、深刻な人手不足の状態が続いていることが分かった。
この調査は7月、県内440社に対して実施し、184社から有効回答を得た(回答率41・8%)。正社員が不足していると回答した県内企業の割合は54、9%。昨年の56。7%から低下したものの、依然として高止まりの状況が続いている。業種別では建設が84.8%で最も高く、次いでサービス(57.6%)、小売り(53.8%)、運輸・倉庫(50.0%)と続いた。非正社員が不足していると回答した県内企業の割合は35.0%だった。業種別ではサービスが48.0%で最も高く、小売り46.2%、建設が36.4%となった。
調査では、人手不足が顕著な業種では「倒産に追い込まれるケースが増えてくる」と分析。人材獲得競争が一層激しくなることが予想され、企業には労働者から「選ばれる会社」となるための戦略が必要になると指摘した。
農地計画338地区策定へ 県内、集積率向上に期待 (9.17 茨城)
農業経営基盤強化促進法の改正を受け、全国で10年後の農地利用の設計図となる「地域計画」の策定が義務付けられた。県内でも本年度中に、44市町村で計338地区の地域計画が策定される見込みだ。農業者の減少や耕作放棄地の増加が課題となる中、県は農地の集積率を高め、「農業の持続的な発展につなげたいと期待する。
地域計画は市町村が主体となり、関係機関や農業者らと協議して策定する。地域の農地を「誰が」「どのように」集約していくか、将来の農地利用の姿を明確にする狙いがある。期限となる来年3月末に向け、現在、関係者らによる協議や担い手情報を盛り込んだ「目標地図」の素案作成などが全国的に行われている。県内でも44市町村で計338地区の地域計画が策定される見込み。東海村では昨年度から座談会を開いて協議を続けてきた。田と畑のエリアごとに意見を出し合い、本年度は4地区で実施。先月20日に畑地の利用を話し合う座談会が開かれた。
市町村を支援する県農業経営課によると、先月末までに策定に向け41市町村が協議を行った。同課は「計画策定はスタート地点。実行することで本県農業の持続的な発展につなげたい」としている。
空中イチゴ園 集落に結実 常総の「6次元化」施設 (9.21 日本経済)
関東・山梨でも多くの人口を抱える都市部の大きな購買力を支えに農業の6次産業化が進んでいる。茨城県では自治体主導で整備した大規模施設が想定以上の集客力で6次化の先進例とされ直売所も存在感を増している。
農家や農協による農産物の直売、加工品販売、都市観光など6次化もよる総売り上げは2022年度で栃木県が10年前に比べ72%増え全国で最も高い伸びを示した。次いで茨城県が50%増の604億円だった。象徴的な存在が常総市にある。大規模施設「アグリサイエンスバレー常総」だ。
常総インターチェンジに隣接し自動車でのアクセスがとても良い。市が主導し民間企業と組んで整備した。近隣農家が野菜やコメなどを販売する直売所、地元農産物を加工・提供する組合・物販施設が入る「道の駅」などが集まる。
効果は数字でも明らかだ。常総市のまとめによると23年春の開業以来想定を上回る約285万人が訪れた。不可価値の高いトマトやイチゴなどを効率的に栽培し、年間農業生産者は稲作だけだった頃の約27倍の14億円に急伸した。約2000人の新規雇用も生み出した。
農地を市街化区域としたことで年間50万円だった固定資産税収も土地・建物を合わせて3億円に増えた。市は交流人口の拡大や経済活成化に役立っていると評価する。
環境と開発 災 害
石岡の産廃 県が代執行へ 費用は3億円 (9.18 朝日)
石岡市小見の私有地に産業廃棄物が不適正に積み上げられ、県道に崩落する危険があるとして、県は廃棄物処理法に基づく凝視代執行を実施して強制的に撤去すると発表した。9月中に作業を始め、来年1月に終える予定だという。
県によると、県道笠間つくば線(フルーツライン)沿いの約8千平方㍍に、電線の被覆材など廃プラスチック類や微量の金属くずが入ったフレコンバッグが高く積み上げられている。重みで敷地の鉄製フェンスが傾く状態で、フレコンバッグは劣化し、中身が飛び出ているものもあるという。2020年9月ごろから、「リサイクル製品の原料」と主張する個人などが県外から持ち込んだ。量は最大で約1万5千立法㍍に上がった。県は23年3月、廃棄物処理法に基づく措置命令を出し、1年以内に全量を撤去するように命じたが、24年3月までに撤去されたのは、全体の2割にあたる3300立方㍍だけだった。
県は8月末、残る約1万2千立方厨を行政代執行で撤去する方針を決めた。費用は総額3億3千万円になる。環境省が所業振興財団による支援や国の交付税措置があるため、県の実質的な負担額は1980万円になるというが、代執行が終わった後、3億3千万円全額を、持ち込んだ個人と法人に請求する考えだ。
医療・福祉・社会保障・教育
「つくる会」系教科書採択 常陸大宮市教委、来年度から中学歴史・公民 (9.4 朝日)
常陸大宮市教育委員会は、2025年度から市立中学校で使用する歴史と公民の教科書について、「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)系の自由社(東京都)の教科書を採択したと発表した。つくる会によると、公立校向けに採択されるのは09年の横浜市や11年の東京都立特別支援学校以来という。
採択されたのは「新しい歴史教科書」と「新しい公民教科書」。市によると、自由社の教科書を採択したのは初めて。教科書選定にあたっては、市内の小中学校の教員で構成する市教科用図書調査研究委員会で、今年6~7月に教科書を調査研究してきた。その後、教育長を含む5人で構成する市の教育委員会が7月29日に全会一致で採択を決定した。
市はこれまで近隣4市町村とともに教科書を選ぶ「共同採択」をしてきたが、今年度から「単独採択」に切り替えた。教科書の採択は4年に1度で、市立小学校に関しては28年度から使用する教科書を単独採択する。
取材に対し、市教委の小野司寿男教育長は「我が国の歴史に誇りを持つことができる内容であり、(市の)教育大綱における基本理念である、故郷を愛し、故郷を慈しむ『郷育』の推進に繋がると考えている」とのコメントを出した。
八つの市民団体で構成する「教科書を考える常陸大宮連絡会」は3日、市教委に抗議文を提出した。7月には保守系出版社の教科書を採択しないよう求める約1600人の署名を集め、市教委に提出していた。連絡会は抗議文で「かたよった教科書を使わせることは、将来性豊かな子どもたちの学力の向上に寄与するとは思えない」としている。
75歳以上医療費方針閣議決定「3割負担」対象拡大検討 (9.14 しんぶん赤旗)
敬老の日を前に政府は13日、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口3割負担の対象拡大を検討する方針を閣議決定しました。高齢者施策の中長期指針「高齢社会対策大綱」に明記しました。
現在75歳以上の窓口負担は原則1割ですが、一定所得があれば2割、現役並み所得の場合は3割です。大綱は、現役並み所得基準の見直しを検討するとしています。
政府が昨年閣議決定した「全世代型社会保障改革工程」も2028年度までの窓口負担の引き上げを求めるメニューを示しており、高齢者にさらなる負担を強いるものです。このほか大綱は、個人型確定拠出年金(iDeCo"イデコ)の加入可能年齢や受給開始年齢の上限引き上げなどを求めています。イデコは掛け金を市場で運用する仕組みですが、運用によっては元本割れで年金額が減るリスクがあり、運用を委託する金融機関への手数料もかかります。年金給付の抑制・削減の仕組みを組み込んだ公的年金だけでは暮らせないことを前提に私的年金への加入でさらなる自助努力を迫るものです。
75歳以上の高胎者の多くは年金生活者ですが、第2次安倍政権以後の12年間で公的年金は実質7・8%削減されました。一方、介護保険料の引き上げや物価高などが暮らしを直撃しており、敬老の日を前に厳しい生活実態を顧みない自公政権の冷たい施策です。
選択的夫婦別姓容認78% アンケート自治体、前向き姿勢 (9.16 茨城)
共同通信が全国の都道府県知事と市区町村長に実施したアンケートで、夫婦が望めばそれぞれ結婚前の姓を使える「選択的夫婦別姓」を容認する回答が78%に上った。15日集計した。理由のトップは、別姓の強制ではなく夫婦同姓も可能だからだった。反対は17%で、理由は「家族の一体感を損なう」が最も多かった。夫婦別姓は27日投開票の自民党総裁選の争点にも浮上。法案提出に意欲を示す候補もいる。自治体トップの大半が前向きな姿勢を示す中、議論が活発化しそうだ。
人出不足の介護施設、虐待増、「日雇い」職員・届かぬ教育 (9.30 朝日)
介護施設での高齢者らへの虐待が絶えない。東京都内の施設では6月、入所者に暴行したとして、元職員(30)が警視庁に逮捕される事件が起きた。元職員はマッチングアプリで採用された「日雇い」だった。背景には人手不足があり、施設の運営会社幹部は職員に教育が行き届かない現場の苦悩を明かした。人出不足が顕著になってきたのは2010年ごろから。入所希望者が増える一方で、介護職員の確保が難しくなり、社員だけでは国が定める配置基準を満たせなくなった。派遣社員に頼るようになったという。
厚生労働省によると、調査を始めた2006年度(54件)以降、介護施設の職員らによる高齢者への虐待は右肩上がりで増え、22年度は856件(前年度比15.8%増)と2年連続で最多を更新。
内容別では、「身体的虐待」が57.6%と最多で、「心理的虐待」(33.0%)、「介護等放棄」(23.2%)と続く。発生要因で最も多かったのが「教育・知識・介護技術等に関する問題」で480件(56.l%)だった。
介護職員の不足は今後さらに深刻化していくとみられている。厚労省の推計によると、65歳以上の高齢者数がほぼピークと予測される40年度に必要な介護職員数は約272万人で、現状と比べて約57万人不足するという。