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2022/03

2022/03

過去の自治関連ニューススクラップ

月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2022年3月分


コロナ禍の実情と県の対処施策

重点措置を延長 国へ要請 1009人感染、3人死亡   (3.2 朝日)

 大井川和彦知事は1日、6日が期限となっている新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置を2週間程度延長するよう国に求めた。県の要請を受けて国が近く正式に判断する。延長が決まれば、対象は県内全域で、20日ごろまでとなる見通し。飲食店には引き続き営業時間の短縮を求める。1日に県内で確認された新型コロナの感染者は1009人だった。大井川知事は、感染拡大のピークは過ぎたとの認識を示した。一方で、新規感染者数の減り方が鈍いことや入院者数と重症者数が高止まりしていることを挙げ、「リバウンド(再拡大)にならないよう、下降傾向をしっかりと定着させることが必要だ」と理解を求めた。
 1日時点で、直近1週間の1日平均の感染者数は1232人で、前週の1322.8人を下回った。入院者数は372人(前週379人)、重症者数は17人(同16人)だった。重点措置が延長になった場合も、対策の内容は変わらない。

新型コロナ まん延防止 本県など18都道府県延長 21日まで、13県解除   (3.4 茨城)

 政府は3日、まん延防止等重点措置の期限を6日に迎える31都道府県について茨城、東京、大阪など18都道府県を21日まで延長し、福岡など13県を解除する方針を明らかにした。当初目指していた6日までの全面的な終了には至らなかった。オミクロン株の派生株「BA・2」への置き換わりにより感染状況が悪化する可能性があるとして、警戒感を示した。
 水際強化措置に関しては、1日当たりの入国者数の上限を現行の5千人から7千人へ緩和する。政府は4日に専門家らによる基本的対処方針分科会に諮問、国会報告を経て政府の対策本部で正式決定する。首相は延長方針について「オミクロン株の新規感染拡大は落ち着きつつあるものの、病床使用率が引き続き高い水準にある」と説明。18都道府県の重点措置を21日で解除できるか問われ、病床使用率などの動向を見極めつつ、専門家の意見を聞きながら総合的に判断すると述べるにとどめた。
 同時に、オミクロン株の派生株への置き換わりにより「再度、感染状況が悪化する可能性にも十分に注意し、悪化の兆しがあった場合には対応を見直す」と強調。高齢者を中心に死者数が高止まりしている現状について「政府として重く受け止めなければならない。政治は結果責任だ。おわび申し上げる」と陳謝した。
 延長するのは茨城や東京、大阪のほか、北海道、青森、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、石川、岐阜、静岡、愛知、京都、兵庫、香川、熊本。解除は福岡のほか福島、新潟、長野、三重、和歌山、岡山、広島、高知、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島。

県、引き続き時短要請 重点措置延長 (3.5 朝日)

 6日が期限だった新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置が、21日まで県内全域で再延長されることが正式に決まった。  県の対策に変更はなく、飲食店には引き続き営業時間短縮を求める。4日に県が公表した新型コロナの感染者は1624人。入院中だった80~90代の男女4人の死亡と、緊急搬送で死亡した90代女性の感染も発表した。累計感染者は7万8727人(死者303人)。また県は4日、薬局などでの無料PCR検査を6日から再開することも発表した。2月5日から停止していたが、検査キットの流通状況が改善されたため。

県の警戒レベル 基準見直し 「ステージ2」で重点措置解除要請  (3.8 朝日)
  
 新型コロナウイルスの対策を決める県独自の警戒レベルについて、県は7日、ステージ判断の基準となる数値を見直した。現在の状況は従来の基準では最も深刻な「ステージ4」だが、新基準では「ステージ3」とした。オミクロン株は感染力は強いが、入院したり重症化したりする感染者の割合が低いことや、コロナ患者用の病床が増えたことを考慮した。
 警戒レベルは、入院者数、重症者数、新規感染者数の直近1週間平均、濃厚接触者以外の感染者の直近1週間平均の四つの指標から総合的に判断している。今回の改訂では、四つの指標はそのままで数値を変更した。例えばステージ4の基準は入院者数は287人超から420人超に、新規感染者数の直近1週間平均は100人超から1300人超に大幅に増やした。

重点措置 21日で解除要請 知事、経済活動など懸念 (3.16 朝日)

 県内全域に適用されている新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」について、大井川和彦知事は15日、期限の21日で解除するよう国に要請した。大井川知事は記者会見で、入院者が減っていることや、これ以上重点措置が続けば経済活動に与える影響が大きいことなどを考え、総合的に判断したと説明した。解除されれば、飲食店への営業時間短縮要請や会食の人数制限はなくなる。小学校へのリモート学習などの要請についても予定通り18日までとし、22日から通常登校にする。
 9~15日の感染者数の合計は9893人で、直前の1週間の9740人から増えた。高齢者のワクチン3回目接種が進んだことで、60歳以上が減少している一方、小学校や幼稚園、保育園などで感染が相次ぎ、20歳未満が急増している。

新型コロナ まん延防止解除要請 21日期限 医療負荷が軽減傾向  (3.16 茨城)

 大井川和彦知事は15日、臨時会見し、21日に適用期限を迎える新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置について、政府に解除を要請したと発表した。本県は1月27日に適用となり、2度にわたって延長されていた。政府は本県の要請を踏まえ、解除するか近く決定する見通し。県内の新規陽性者数は高止まりしているが、医療機関への負荷が軽減傾向にあることや、さらに延長した場合の社会経済活動に与える影響などを総合的に判断した。解除されれば、飲食店の営業時間短縮要請や県民への行動制限もほとんどなくなる。

新型コロナ まん延防止全面解除へ 本県など18都道府県  (3.17 茨城)

 政府は16日、まん延防止等重点措置の期限を21日に迎える本県など18都道府県について、全面解除する方針を表明した。新規感染者数はピーク時の半分程度で、病床使用率や在宅療養者数も明確な低下傾向にあると解除理由を説明した。ただオミクロン株の致死率や重症化率がインフルエンザより高いなどとして当面は「平時への移行期間」と位置付けた。

最多1800人が感染 20歳未満 増加止まらず  (3.19 朝日)

 県は18日、新たに1800人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日に発表される感染者数としては12日の1748人を上回り、過去最多を更新した。累計感染者数は9万8471人となった。 
 1800人の年代別の内訳は、10歳未満が394人で最多、次いで10代が341人、30代が292人。20歳未満だけで全体の41%を占める。新たに集団感染が報告された16カ所のうち、保育施設は3カ所、小学校は3校、高校は2校、児童福祉施設は1カ所だった。
 県によると、国内の新規感染者数が減少傾向にある中で、県内では特に20歳未満の感染者が減っていない。2月下旬以降、増加し続けているという。21日を期限に、県内ではまん延防止等重点措置の適用が解除される。県感染症対策課の担当者は「原因を分析し、教育委員会と相談しながら対策を考えていく」と話す。

51カ所に「罹患後症状外来」  (3.23 朝日)

 新型コロナウイルスに感染し、療養が終わった後も症状が残る人を診療するため、県内の51医療機関に「罹患後症状外来」が設けられる。県医師会が22日に発表し、順次診療をはじめるという。 
 コロナ療養後も症状が残る人を専門的な治療につなげるねらいがある。県医師会によると、罹患後症状外来は、呼吸器内科や耳鼻咽喉科、皮膚科、心療内科などで、診療科は医療機関によって異なる。息苦しさやせきのほか、だるさ、不眠、嗅覚や味覚障害などの症状がある人が対象になるという。
 生活に支障が出始めていると感じる症状がある場合、まず、かかりつけ医かコロナの診療をした医療機関を受診する。専門的な治療が必要だと医師が判断したときに、罹患後症状外来にかかることができるという。
 療養した後に残る症状の例は、県と県医師会のホームページに今後掲載される。

原発問題(東海第二原発関係も含む)

処理水放出 県内首長「反対」ゼロ (3.9 朝日)

 東京電力福島第一原発の処理水が来春にも海洋放出される。放出を容認できるかどうかや懸念について、岩手、宮城、福島、茨城4県の沿岸や原発事故で避難指示が出た地域の首長に朝日新聞が尋ねたところ、茨城では放出に反対姿勢を示す首長はおらず、東北3県の傾向とは差が出た。ただ、風評被害への懸念は根強く、漁業者の間には不信感が残る。
 福島第一原発では、溶け落ちた核燃料を冷やす水に雨水や地下水が混ざり、高濃度の放射性物質を含む汚染水が出る。大半の放射性物質を取り除く処理を施してきたが、政府は昨年4月、処理水を保管するタンクが満杯になるとして、2023年春にも海洋放出することを決めた。この方針について、4県の沿岸地域などの首長にアンケートしたところ、岩手県では12人の首長のうち10人が、宮城県でも6割が反対姿勢を示した。福島県では放出への意見を明らかにした9人のうち5人が「容認できない」「どちらかと言えば容認できない」で、4人が「どちらかと言えば容認できる」だった。
 茨城県では、回答を求めた9市町村のうち北茨城、高萩、鹿嶋、神栖、東海の5市村の首長が「容認できる」「どちらかと言えば容認できる」と回答。ひたちなか、鉾田、大洗の3市町の首長は放出自体への意見を尋ねる質問への回答は見送り、日立市はアンケート自体への回答を「差し控える」と説明した。
 表立って反対姿勢を示す意見がなかったことについて、ある自民党県議は、同党県連会長の梶山弘志衆院議員が、処理水の海洋放出を決めたときの経済産業相だったことも影響していると分析する。

東海第2原発避難計画「実行性」の現在地(上)早期策定で議論紛糾 (3.20 茨城)

 日本原子力発電東海第2原発(東海村白方)の運転差し止めを命じた水戸地裁判決から、18日で1年が過ぎた。判決の柱となった広域避難計画の策定は、新型コロナウイルスの影響もあり進んでいない。避難に欠かせない移動手段のバスや福祉車両の確保は依然大きな課題で、病院や福祉施設の計画も十分ではない。策定を求められる市町村は手探りで作業を続けるが、先行きは見通せない。「実効性」は確保できるのか。計画策定の現在地を探る。
 2月1日に開かれた東海村議会原子力聞題調査特別委員会は、広域避難計画を早期に策定するよう国と県に求める村商工会の請願を巡り紛糾した。原発推進の最大会派「新政とうかい」の議員が採決を求めたのに対し、議論は尽くされておらず時期尚早とする議員が反対した。同会派の村議は「原発や使用済み核燃料がすでに存在し、一定のリスクがある。今ある知見を最大限取り入れて作ることは住民の安心につながる」と主張した。
 それに対し、反対した村議は「策定が困難となっている課題を無視して早く作れというのは無責任。一つ一つの課題を知り、議論を深めるべきだ」と訴えた。議論は平行線をたどったが、採決が行われ、委員長と棄権1人を除く14人のうち同会派の9人が賛成し、採択された。
 この請願と並行して審査していた、慎重な策定を求める市民団体の請願は今月14日、賛成少数で不採択となった。

東海第2原発避難計画「実行性」の現在地(中)視界不良の策定時期「停滞」 (3.21 茨城)

 2月22日の定例会見で小川春樹日立市長は苦渋の表情を浮かべた。「計画はできるだけ早く作りたいが、(現段階で)策定は難しい状況だ。同市久慈町7丁目の市南部支所は5キロ圏からやや外れた高台にある。市は新年度、同支所の放射線防護施設化工事に着手する。市内公共施設として3カ所目。内部の気圧を高める装置などを設置し、放射性物質の流入を防ぐ。「長時間移動による体調悪化を考慮し、防護施設で過してもらうのも一つの方法だ」。市原子力安全対策室の担当者は説明する。3カ所の収容人数は計約400人。自力での避難が難しい5キロ圏の在宅要配慮者は現状で全員の一時避難が可能になる。
 福祉車両の確保が見通せない中、市は「ライトバンの荷台に布団のまま乗せて運ぶことも含め、何でもやらないといけない」(同室)と腹をくくる。今後は個別避難計画作りに取り組み、それぞれがどこに、誰の支援を受けて避難するか、きめ細かく決めていく考えだ。ただ、防護施設から福島県まで、どう避難するかは未定だ。
 要配慮者避難は重い課題ながら、プライバシーの観点などから、在宅で寝たきり状態などの住民を把握するのは容易ではない、と指摘する声もある。「1人も残さずに避難を完了させる計画を作るのは無理だ」。30キロ圏の別の自治体幹部は唇をかむ。
 
東海第2原発避難計画「実行性」の現在地(下)病院や施設 策定半数 (3.22 茨城)

 「障がい者グループホーム太陽」(東海村照沼)は国道245号に沿った集落の一角にある。北側約4キ。先の日本原子力発電東海第2原発までの間には、原子力関連施設が並び、ホームからはそうした施設から伸びる排気筒が見える。
 管理者の本田直樹さんは21日、利用者らと計4人で、原子力事故に備え村が主催した避難誘導訓練に参加した。研究用原子炉から放射性物質が放出されたとの想定だ。ホームの入所者は13人。「車いすの人もいるな」「移動中のトイレは」「全員分の薬を漏れなく持ち出せるか」、受け入れ先と見立てた約25キロ先の常陸大宮市の目的地まで約50分。本田さんは避難車両に揺られながら、利用者一人一人を思い浮かべた。
 実際に事故が起きれば職員1人で利用者4、5人を移送する可能性もある。東京電力福島第1原発事故は地震との複合災害だった。訓練後、本田さんは険しい表情で語った。「避難にどれだけの時間がかかるかは見当もつかない。利用者へのケアも相当厳しくなる」

 原発から30キロ圏の社会福祉施設や病院には、事故に備え、利用者や入院患者を避難させるために個別の避難計画を策定することが求められている。ただ、対象の福祉施設や病院6O5施設のうち策定を終えたのは320施設(2月時点)。策定率は半数程度で、病院に限れば3分の1にすぎない。昨年10月の県議会で大井川和彦知事は、実効性のある避難計画の条件の一つを明言した。
 「要配慮者の避難体制の構築は不可欠。全ての施設.で計画が策定されることが必要だ」計画では避難ルートや避難先、移動手段などを事前に定めなければならないが、策定済みの中には必要な車両台数の記載がない例も見られる。県北地域の病院幹部は、義務と現実とのはざまで苦悩を深める。「机上の計画は作ることはできる。ただ、その計画に病院が責任を持てるか、自信はない」日々対応する入院患者は100人単位。当然、寝たきりや重症患者の移動には1人1台の救急車がいるが、確保できる見通しはない。この2年は新型コロナ対応に追われ、計画作りは「後回しにせざるを得なかった」。
 ひたちなか市と那珂市に施設がある特別養護老人ホーム「いくり苑」はともに原発10キロ圏内。計画はすでに作り終えた。自前の車両だけで足りなければ県が手配した車で避難することになっており、昨年11月には県が開発した「配車オペレーションシステム」の操作訓練にも参加した。バス会社などが用意できる車両と施設側の需要を自動マッチングする仕組みで、菊池賢二主任生活相談員は「孤立せず、外部とつながれている点で安心感はある」と話す。ただ、入所者の大半は要介護4以上。移動のリスクを考慮して放射性物質の流入を防ぐ工事を行い、屋内退避に備える。
 また、策定後も欠かさない作業がある。今いる利用者のうち、移動にストレッチャーなどが必要な「担送」や、車いすでの「護送」、「独歩」はそれぞれ何人いるのか。この評価を少なくとも年2回は更新し、現状で対応可能か再検討する。デイサービスなども含めると両施設の利用者は計200人近い。命を預かる現場で、計画の実効性は問われ続けるものだと山形しづ子施設長は言う。「ニーズは日々変わる。計画も作って終わりじゃない」

原発話せる場 避難計画整備 自分ごと化六つの柱  (3.26 朝日)

 無作為に選ばれた東海村の住民が原発問題について議論する「自分ごと化会議」の提案書が完成し、山田修村長に手渡された。原発に対して様々なスタンスの人が話し合える場の創設や避難計画の整備など六つの柱を提案し、村民や地域、行政や原子力事業者が取り組むべきことを記した。
 自分ごと化会議は、日本原子力発電がめざす東海第二原発の再稼働を判断するための民意集約に向けて、原発問題への関心を高めるために村が主催した。住民基本台帳から無作為抽出した村民1千人のうち、参加を希望した26人が参加。2020年12月~昨年12月に5回にわたって話し合い、東海第二や東京電力福島第一原発も視察した。村から運営を委託された政策シンクタンクが、参加者の意見を提案書にまとめた。近日中に村ホームページで公開される。

■自分ごと化会議提案書の六つの柱
・ 原子力事業所が多いことや原発立地による交付金など、村のいまの特徴や現状の魅力を知り、伝える
・原発に代わる新たな村の魅力をつくり出す
・原発に賛成、反対、どちらでもない人など多様な人が参加して、建設的な議論を行う場を多くつくる
・原子力や原発に関して行政や事業者と住民との情報のギャップを埋める
・東海第二原発の安全性を強化する。安全対策工事のプロセスやそれでも残るリスクについて、住民に丁寧に説明する
・安全に避難できる計画を整備する

早期避難計画 請願採択 (3.26 朝日)

 東海第二原発(東海村)で重大事故が起きた際の広域避難計画をめぐり、東海村議会は25日の本会議で、速やかな策定を求める請願を賛成多数で採択した。請願は村商工会が提出したもの。今後、「村民の安心安全につながる原子力防災体制構築のため、広域避難計画の速やかな策定に向けた取り組みを要望します」と記した意見書を首相、知事宛てに提出する。一方、広域避難計画の策定には慎重を期市、住民との合意が必要だとする請願については「早急に策定することが自治休の責務である」などの意見が出て、賛成少数で不採択となった。原発反対を訴える市民団体「3 11を忘れない東海村アクション」が提出していた。

地方制度・自治体論・地方自治一般

ネット投票導入探る つ<ば市スーパーシティ特区に (3.13 朝日)

 つくば市が、人工知能(AI)やビッグデータを使って生活の困りごとを解決する国の「スーパーシティ」構想の特区に指定される。複数の省庁にまたがる規制を一括緩和でき、対象地区でインターネット投票など先端技術の社会実装がしやすくなる。
 政府の国家戦略特別区域諮問会議(議長・岸田文雄首相)が10日、全国の自治体などが提案した候補地28件から、つくば市と大阪市の指定を決めた。閣議決定を経て正式に決まる。つくば市は、移動や物流、行政、医療などの分野で先端技術を活用することをスーパーシティで計画している。その一つが、選挙の投票率アップが期待される「インターネット投票」だ。スマートフオンやパソコンを使って自宅からでも投票ができるようになる。現状では、重度の身体障害者やコロナ感染者らによる郵便投票などの例外を除き、選挙の投票は原則、投票所以外で認められていない。特区の対象地区で特例措置が認められる必要がある。市によると、2024年の市長・市議選での実施も視野に入れているという。
 このほか、個人情報の提供に同意した住民を対象にしたマイナンバーを活用した健康データ管理▽高齢者が自宅から短い距離を低速で移動できる交通手段▽ドローンでマンション住民へ品物を配送する買い物支援などを計画している。市はまず、高齢者が多い小田、宝陽台の2地区、学生や外国人が多い筑波大周辺、子育て世代が多いつくば駅周辺の4地区を対象地区として、少しずつ全域に広げることを想定している。市や国、民間事業者と地域住民などが「区域会議」を設置し、住民の意向を踏まえながら計画の実現を図る。

新県総合計画を策定 県民の幸せ「見える化」幸福度指標も導入  (3.24 茨城)

 県は23日、県政運営の基本方針となる県総合計画の次期計画(2022~25年度)を正式決定した。現行計画で取り組んだ「四つのチャレンジ」をより加速させるほか、新型コロナゥイルス感染拡大を踏まえた対応や、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」、デジタル技術で暮らしや産業を変革させる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の取り組みを随所に盛り込んだ。38項目の客観的指標を基に県民の幸せを「見える化」する「いばらき幸福度指標」の新導入も目玉となる。

魅力度ランキング 最下位常連 県独自指標は全国9位  (3.25  毎日)

 県は、県民所得や健康寿命、医師数などのデータを使って独自に県民の幸福度を算出する「いばらき幸福度指標」を導入すると発表した。指標に基づきと、茨城県は全国9位。民間シンクタンクによる「都道府県魅力度ランキング」では最下位常連の茨城県だが、大井川知事は「根拠のない勝手な各付けに惑わされる必要はない。この指標で課題が客観的に示せる」と話した。
 県によると、指標は今後の政策決定などの軸となる県総合計画に導入する。県は2019年から「活力があり、県民が日本一幸せな県」を総合計画の基本理念としてきたが「象徴的で伝わりにくい」として今回から産業や教育、健康、起業率など38の直近データで幸福度を可視化した。
 これらの指標に基づくと、茨城県は全国9位。工場立地件数や子どもの運動能力、労働生産性などが全体を押し上げたのとみられる。県は、同時に、県政運営の柱としてきた4分野についてもランキングを公表。「新しい人材育成(大学進学率、女性の管理職登用率など)」で全国2位、「新しい豊かさ(正規雇用率、リサイクル率)」で同6位、「新しい夢、希望(本社機能流出入数や起業率など)」で13位になった一方、「新しい安心安全(10万人あたりの医師数や刑法犯認知件数など)は同38位だった。
 知事は「これは我々の通信簿であって、他県の通信簿ではない」としたうえで、「県の潜在能力が皆さんが思っているよりも大きいことを示せた」と話した。この結果に基づき、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)事業の拠点化推進や行政手続きのオンライン化といった対応を進めていく方針だ。

長野 職員副業に農促進 県レベル初 公益性判断 (3.26 日本農業)

 長野県は、県職員の副業ができる範囲を明確にし、その活動例に「農産物の生産」を盛り込むことを明らかにした。公益性が高い分野で副業をしやすくするための措置。県によると、副業の活動対象に農業を明示したのは都道府県で初。職員が農作業を通じて地域貢献できる環境を整え、産地や景観、農地の保全につなげる。
 運用は4月1日から。
<県が示した副業の活動例>
O 国土・景観・生態系保全や文化継承
O 交流人口の増加、農山村活性化
O スポーツ普及促進、健康増進
O 地域課題を解決する事業による新しい価値創造

まちづくり・都市計画 

 

若者の地域振興策支援 県事業STAND 2年目 学びや発信継続的に  (3.3 茨城)

 茨城を面白くするプロジェクトに挑戦する若者を県が伴走支援する事業「STAND(スタンド)」の取り組みが進んでいる。地域と継続的に関わる関係人口創出などを目的に、本県を舞台に地域振興に取り組む若者たちに対し、事業実践への学びや発信を継続サポートする。2年目となる本年度のプログラムでは、若者たちが県内各地で、交流拠点づくりや二地域居住促進、観光創出など"地域振興の種まき"を精力的に始め、着実に成果を上げている。
 同事業は、「小さなチャレンジが地域をつくる」を合言葉に、本県を舞台に思いを形にする学びと実践のプログラム。2020年度に始まり、本年度は昨年9月から、参加者18組が7カ月間、活動に必要な地域のキーパーソンとのつながりづくりや事業のつくり方で、県の支援を受けて取り組んできた。起業経験がなく、地域とのつながりのない人にも、県や多分野の専門家がサポートしながら育成する仕組みとなっている。
 参加者のプロジェクトに共通するのが「人と人とのつながり」や「幸せの共有」。2月12日、オンラインで最終成果発表会が開かれ、参加者たちが7カ月間の実践成果や、本県でのさらなる取り組みへの思いなどを発表。審査員や視聴者の投票で受賞者も決まった。
 最も総合評価が高かったプロジェクトに贈られる「NEWIBARAKI賞」に輝いた北茨城市出身もとみの新妻幹生さんは、地域の発信力強化に取り組んだ。発信力のない事業者や個人と「発信人」をマッチングし、持続的な地域発展を目指す計画。新妻さんは「廃れゆく地元をなんとかしたい。地元出身なのに何もなかった私が、地域で生きていく力と覚悟ができた」と述べた。  
 「STAND賞」は常陸太田市の眺めの良い空き家を活用して交流拠点をつくる阿部深雪さんと、「観光以上移住未満の暮らし体験」を提供する平間一輝さん、「はじまり商店街賞」は大洗町で二地域居住を提案する葦原亜由美さん、ひたちなか市那珂湊地区で居酒屋兼ゲストハウスを開く篠崎桃子さんが受賞した。
 同事業は、取り組みに永続的に関わるサポーター制度もあり、一過性でない目線が特徴。

稲敷市出資、新電力会社設立へ エネルギー「地産地消」目指す  (3.5 朝日)

 稲敷市は、電気の小売り事業などをする地域新電力会社を民間と共同で2022年度中に設立すると発表した。市の資料によると、自治体が出資する新電力は全国に61社あるが、県内にはまだないという。市内にある太陽光発電施設などから電気を調達し、公共施設や企業などに供給する。資本金1千万自治体による新電力は、公共施設の電気料金削減や広域災害時の電力確保などにもつながるとされる。市は、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入を促進し、エネルギーの「地産地消」を目指すとしている。
 これらを含め、先月28日に発表された同市の新年度予算案の一般会計は222億4400万円で、前年度比3.5%増。市域のほぼ半分が洪水浸水想定区域になっている状況に対応するための防災センター整備計画策定に673万円、シニア世代へのスマートフォン購入補助に600万円などを盛り込んだ。

いばらき発 SDGs先導役担う未来都市(3.6 茨城)

 県や各市町村がSDGsの取り組みを本格化している。新年度予算や総合計画に、関連する事業や目標を取り入れる自治体も多い。県も新年度当初予算案にフードロス削減や(温室効果ガス排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラル関連の事業を盛り込んだ。
 各自治体がSDGsに目を向ける背景には、人口減少への危機感がある。生き残りを懸けた「持続可能なまちづくり」は共通の課題と言える。多くの自治体が具体的な取り組みを模索する中、"先導役"を担うのが同未来都市だ。内閣府が18年から優れた取り組みを提案する地方自治体を毎年選定し、現在はつくば市と境町を含む全国124都市に上る。
 内閣府地方創生推進事務局は「(SDGsを通じて)いかに人が集まるまち、稼げるまちにし、地方創生に結び付けていくか。(未来都市には)先導事例をつくって、発信してもらいたい」と期待を込める。SDGsへの関心が県内でも高まり、さまざまな取り組みが広がりつつある。
 県内の自治体、企業、個人などの動きを追った。
SDGs 17の目標
1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさを守ろう
16 平和と公正をすべての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう

県の移住促進策 空き家登録推進 市町村の窓口支援へ (3.7 茨城)

 県は新年度、空き家バンクの登録推進に力を入れる。増え続ける空き家の対応に追われ、登録作業に注力できない市町村もあることなどから、研修会開催やサポートデスク設置を通じ、市町村の空き家バンク運営体制を支援する。専門家派遣による空き家所有者への登録サポートも実施。新型コロナウイルスの影響による東京圏からの転入増などを背景に、本県の空き家需要が高まっている中、供給体制を強化し、本県への移住促進につなげる。
 県内では2007年以降、空き家バンク制度を設ける自治体が増加。県によると現在、県内で37市町村が設置している。ただ、空き家バンク登録に関しては、相続問題や建物の状態調査などの専門的知識が必要なことから、担当職員の少ない市町村は対応に苦慮している状況が続く。
 こうした課題を解消し、バンクの登録推進を通じて本県への移住促進を図るため、県は市町村の窓口体制強化に取り組む。市町村の担当職員や専門相談員向けに研修会を開催し、全国の自治体や民間企業、NPOなどとの連携の好事例などを学ぶ機会を提供。登録作業で担当職員の判断が難しい事例にぶつかったときのためのサポートデスクも、県が準備する。
 所有者にとっても、登録には高い壁が待っている。専門的な知識が必要で、二の足を踏むこともあるという。このため県は、相続に関わる登記手続きなどは弁護士や司法書士、耐震性や補修の必要性に関する助言は建築士や不動産鑑定士など、登録に向けて助言をもらえる専門家を現地に派遣するサポート体制も構築する。
 県計画推進課は「空き家問題は多岐にわたり、連携体制の強化が必要。少しでも登録につながる形に持っていきたい」としている。
 空き家問題にはコロナ禍も大きな影響を与えているといい、「テレワーク普及などで東京圏から本県への移住が増え、空き家ニ―ズが増加。供給不足の市町村もある」と説明する。県は22年度当初予算案に、空き家バンク活用移住促進事業費として1550万円を盛り込んだ。
 総務省の住宅・土地統計調査によると、本県の空き家数は、18年10月1日時帥で19万6千戸に上り、13年の前回調査から5年間で1万1千戸増加。県内の住宅総数に占める割合(空き家率)も5年間で0・1%上昇し14・7%だった。県住宅課によると、本県の空き家率は都道府県別で高い順に25番目。県内市町村の空き家バクの登録状況は、インターネットの「県空き家バン情報検索システム」でもることができる

コロナ前の回復傾向に 公示地価 二極化より進む (3.23 朝日)

 国土交通省が22日に発表した県内の公示地価で、工業地が前年よりO・3%上がり、変動なしから上昇に転じた。住宅地はO・4%、商業地はO・3%それぞれ下がり、30年連続で下落した。ただ下落幅は前年より住宅地がO・2㌽、商業地がO・3㌽縮小しており、新型コロナウイルス流行前に見られた回復傾向に戻った。公示地価は土地売買の目安になる。県内44市町村の687地点で、1月1日時点の1平方㍍あたりの価格を判定した。前年と地点を変えるなどした16地点をのぞくと、上昇したのは63地点、変動なしは205地点、下落したのは403地点だった。下落地点の割合は、前年の70%から60%と低くなった。

地域公共交通持続へ 県、計画策定目指す 赤字路線も必要性検証  (3.29 茨城)

 県は新年度、地域の交通サービス持続に向けた「地域公共交通計画」の策定を目指す。市町村の計画と整合性を図りながら、県全域の公共交通ネットワーク構築に取り組む。
 2020年11月、国の「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が改正され、原則として全ての地方公共団体に計画策定が努力義務とされた。本県では全44市町村のうち30市町村が策定済み。 
 県計画では、幹線から地域につながる「フィーダー系統」を位置付けた市町村計画の策定を踏まえ、それらを広域的につなぐ「地域間幹線系統」と位置付ける。地域公共交通を巡っては、人口減少や運転手不足などを背景に「空白地域」が各地で拡大しつつあり、このままでは交通弱者の増加も見込まれる。さらに、新型コロナウイルス感染拡大で需要が減少し、交通事業者が大きな影響を受けている。
 県計画策定へは、地域の実情に合った交通サービスの最適化を図るため、①県と市町村の役割分担の在り方②幹線交通の選別の在り方とその機能強化に向けた方策③幹線交通の評価手法の在り方などについて検討していく。
 県交通政策課は「利用者が少ない路線でも残すべき路線かどうかをも残すべき路線かどうかをしっかり検討していく。バス停の位置や路線の見直しなども考える」と話した。まだ計画策定していない市町村にも県が助言し、全市町村での計画策定に向け取り組んでいく。
 今後は、県と市町村、鉄道やバスなどの交通事業者、利用者など地域の関係者からなる法定協議会を設置する予定。同協議会が計画案を検討し、パブリックコメント(意見公募)を経て、来年3月の計画策定を目指す。
 県は22年度当初予算案に、県地域公共交通計画策定調査検討事業費として250万円(国費2分の1合わせ計500万円)を盛り込んだ。

21年人口移動報告 子育て世帯の転入増 東京圏からテレワーク浸透も影響  (3.31 茨城)

 本県が統計開始以降初めて、転入者が転出者を上回る「転入超過」となった2021年の総務省の人口移動報告で、東京圏から本県への子育て世帯の転入が大きく増えたことが分かった。中でも、10歳未満と30代の転入超過が目立ち、県計画推進課は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で茨城県に住もうと思う人やテレワークが増えたとみられる」と分析。
 ただ、月別の報告では、東京都が1、2月と2カ月連続の転入超過となり、コロナ禍の傾向が今後も続くかは見通せない。

地域経済 

小商い 移住者を後継者に  (3.15 朝日)

 中小企業や小規模事業者の後継者不足は全国に共通する問題だ。特に地方では、後継者がおらず廃業するケースが後を絶たない。そんな中、地方への移住希望者を後継者に迎える動きが盛んになっている。地域に根ざす「小商い」の存続と、人口減少対策が同時にできるため、積極的に取り組む自治体も増えている。
 岡山県美作市の梶並地区に、釣り場や川魚の養殖を営む有限会社「右手養魚センター」がある。1971年に創業したが、後継者が見つからず、市を通じての募集も難航して、一度は事業所の閉鎖を決めた。そこへ応募者が現れた。
 縁をつないでいるのは、小規模事業の承継支援サービス「ニホン継業バンク」だ。自治体と提携し、後継者を求める事業者の情報をネットで発信して、全国の移住希望者とつなぐ。後継者不足に悩む事業者は全国で増えている。
 中小企業庁によると、25年時点の推計で、中小企業・小規模事業の経営者の6割以上が70歳を超えるが、この半分にあたる127万人が後継者を決めていない。中小企業庁は「事業承継。引継ぎ支援センター」を各都道府県に設置し、親族や従業員以外の第三者にM&A(合併・買収)方式で承継するのを後押しする。地域ぐるみでの取り組みを推奨している。

JX金属 ひたちなかに新工場 半導体や先端素材 需要拡大で生産増強  (3.17 茨城)

 非鉄金属大手のJX金属(東京)は16日、ひたちなか市新光町に半導体や電子機器向けの先端素材を生産する新工場を建設すると発表した。総投資額は同社の先端素材分野で過去最大規模となる2千億円を見込み、同分野の新たな中核拠点とする方針。世界的なデジタル化の加速による需要拡大を受け、県内事業所と連携して生産能力増強を図る。
 「ひたちなか新工場」(仮称)は常陸那珂工業団地の隣接地に建設。日立建機が所有し、建設機械の実験などに使用していた土地約24ヘクタールを取得した。2022年度下期に着工し、早ければ24年度中に一部稼働を始め、25年度以降、順次本格稼働させる。新規雇用は500人以上を見込む。
 新工場では半導体ウエハーに微細な配線パターンを形成するための配線材料「半導体用スパッタリングターゲット」や、スマートフォンなどIT機器に使われる「圧延銅箔」などを生産する。光通信デバイス向けの結晶材料など将来的な需要急増が期待される新規事業の製品も扱う。

環境と開発 災 害

盛り土規制 全国一律に、法案閣議決定(3.2  日本経済)

 政府は、危険な盛り土を一律の基準で規制する「盛土規制法律」を閣議決定した。2021年7月熱海市で発生した大規模な土石流災害を踏まえた対応。法人に最高3億円の罰金を科す規程を設けるなど罰則も強化し、すでに盛土が造成されている土地の所有者らは安全な状態を維持する責務を有することを明記した。23年度中の施行を目指す。
 既存の宅地造成規制法を「宅地造成及び特定盛土等規制法」と改称し、抜本改正し、宅地や森林、農地など土地の用途に関係なく全国一律で規制の網をかける方針を決めた。

脱炭素化の地域形成へ 国交省 国土将来像で方針  (3.4  日本農業)

 国土交通省は、国土審議会計画部会で、地球温暖化への対応を盛り込んだ国土の将来像の策定を目指し、脱炭素に対応した地域づくりを目指す方針を示した。地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入などを盛り込む方向。人口減少の中で交通機関の縮小が見込まれる中、移動手段を持たない交通弱者への支援も、地域を持続させるための課題に挙げた。
〇 脱炭素型の地域づくり=地域と共生する再生可能エネルギーの導入
〇 交通網の整備=運転業務を担う人材や移動手段。物流の確保

26年にも洋上風力稼働 鹿島港沖 計画1年以上前倒し  (3.11 茨城)

 鹿島港沖で計画されている大規模洋上風力発電事業を巡り、事業者のウィンド・パワー・エナジー(神栖市)は10日、設置する大型風車19基について2026年中の運転開始を目指すとし、計画を1年以上前倒しする考えを明らかにした。
 この日の鹿島港洋上風力発電推進協議会(会長・牛山泉足利大理事長)で説明した。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故から11年を迎える中、再生可能エネルギーの一大拠点形成へ、整備を加速させる。
 同社は風力発電のウィンド・パワー・グループ(同市)と東京ガス(東京)、国内外で再生可能エネルギー電の実績があるヴィーナ・エナジー子会社の日本風力工ネルギー(同)の3社が共同出資。県が鹿島港南側の港湾区域に設定した「再生可能エネルギー源を利活用する区域」の約680 haに、定格出力8400キロワットの大型風車19基を設置する計画だ。発電した電力の全量を固定価格買取制度(FIT)に基づき東京電力へ売電する予定。風車はスペインを本拠とするシーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー社の製品を検討している。一方で、工事や設置後の運用、整備などについては、地元企業の活用を想定している。
 前倒しの理由について、ウィンド・パワー・エナジーは専門家へのヒアリングなどを通し環境影響評価に対する調査項目や内容を手厚くすることにより、手続きを迅速化。現地調査の先行実施も実現し、工程を10カ月ほど早めた。このほか、国が安全性や経済性を評価する「ウィンドファーム認証」でも工程短縮を探っていく。
 これにより、同社が昨年3月に県から認定を受けた事業計画で、28年1月としていた運転開始時期は大幅に短縮する見通しとなった。同社は「1年以上前倒しできる可能性が見えてきた。可能な限り早い運転を目指したい」としている。洋上風力による再生可能エネルギーを巡っては、国が30年までに1000万キロワット、40年までに3000万~4500万キロワットを導入する目標を掲げる。同事業について牛山会長は「鹿島港のカーボンニュートラルを進める上で、(風力発電事業は)非常に有意義なプロジェクト」と評価した。

管理者不明 朽ちゅく橋 全国の河川で無数に放致、重大事故の恐れ  (3.13 日本経済)

 設置者や管理者が分からない橋が全国の河川で見つかっている多くは1970年代前半までの高度成長期の宅地開発に伴い、地元企業や住民が自前で架けたとみられるが、補修や点検がされないまま放置されているものが多い。老朽化や災害で破損する危険があるものの自治体は所有権との兼ねあいで容易に撤去できず対応にあたまを悩ましている。
 管理者不明の橋は各地で問題となっている。宮崎県の2017年の調査では、1級および2級河川に架かる県内4390の橋のうち348本で管理者が分からなかった。滋賀県も20年度時点で1級河川に架かる8724の25%2250本で管理者が見つかっていない。
 12年に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板崩壊事故を契機に政府は13年河川法を改正。
 1級河川と2級河川に架かる橋などの工作物は管理者による維持修繕を義務付けられた。だが、全国に約1万4千ある1級河川と約7千ある2級河川には無数の橋があり国道や県道に架かる大きな橋を除けば、国は全体数を把握できていない。
 橋の老朽化を懸念した国交省は15年、自治体に管理者を把握するよう通知したが、努力義務のため行政の対応にはばらつきがある。千葉県は、県管理の2717河川で1336の管理者不明の橋には予算措置をとれず点検や修繕もできないという。
 管理者不明橋の対策が進まない理由の一つが人材不足だ。総務省による2021年4月時短で技術系(土木、建築)職員は全国の市区町村で約7万人。5年前から1529人増えたが技術系職員が一人もいない市町村も430あり、全体の4分の1に及ぶ。高度成長期に整備されたインフラの老朽化が進む中、適切な維持管理を担う人材の育成が急務だ。

医療・福祉・社会保障・教育 

常陸大宮市、不妊治療 何度でも、自己負担なし  (3.3 朝日)

 常陸大宮市は4月から、保険の対象かどうかにかかわらず、あらゆる不妊治療が何度でも無料で受けられるようにする方針を決めた。県内の他市町村と比べても手厚い支援で、子どもを産み育てたいカップルを呼び込む狙いがある。
 不妊治療はこれまで、大半が公的医療保険の対象外で、代表的な治療の一つの体外受精には1回平均50万円がかかると言われる。政府は保険の枠組みを見直し4月以降は体外受精などの治療が保険対象となる。
 市は昨年春から、年齢に応じて3回か6回を上限に、自己負担なしで治療を受けられる制度を始めている。治療1回につき、国と県の補助金計30万円を超える費用を補助している。補助額の上限は元々ないが、新年度からは、治療回数の上限もなくす。保険が適用される治療の場合には3割の自己負担分を補助する。保険適用外の治療も市が全額を補助し、自己負担なしで何度でも利用できる。所得制限も設けない。
 事業費として、1159万円を計上した。手厚い支援を打ち出す背景には、急速に進む高齢化がある。市内の高齢化率は、上昇傾向にあり、昨年7月時点で38.7%と県内の市町村の中で6番目に高い水準。支援を充実させることで、転入や出生数の増加につなげる狙いだ。

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