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2019/08

2019/08

''''過去の自治関連ニューススクラップ

月間自治ニューススクラップ(茨城県内の出来事を中心に )
2019年08月分


3.11東日本大震災

被災者支援 休めない 職員疲労長期ケア重要(8.22 朝日)

 西日本豪雨が発生した昨年7月、被災自治体の職員の少なくとも2700人以上が「過労死ライン」を上回って働いていた。被災者の要望をこまめに聞きながら対応にあたる一方、長時間労働が避けられない現状が浮かぶ。心身のストレスを心配する専門家からは、ケア体制の充実などを求める声が上がる。
 「心身の負担が過度となり、メンタル不調をきたすことが懸念される」。総務省は昨年8月、広島・岡山・愛媛の3県に通知を出した。交代制の導入などで職員が休養を取得できるよう求めるものだ。実際、職員の中には体調不良を訴える人もいた。自治体は対応に乗り出した。広島県熊野町は職員の夏季休暇の取得期間を11末まで2カ月延長。8、10月に月にそれぞれほぼ全職員にストレスチエツクを行った。被災1年後の今年7月には全職員を対象にアンケートを実施し「睡眠中に途中で目が覚めることはないか」「イライラして怒りつぼくなっていないか」などと質問。担当者は「時間が経ってから心身の不調がぶり返すこともある。改めて状況を確認したい」と話す。
 81人(約24%)が過労死ラインを超えた岡山県高梁市。昨年8月から今年3月末まで、支援情報の提供や罹災証明の発行などに関係する部署をまとめた「復興対策課」を設けた。窓口を一本化することで被災者が効率良く手続きできただけでなく、職員配置もスリム化できて勤務時間短縮にも役立ったという。

被災地職員 過労死ライン 西日本豪雨 46自治体で2768人  (8.22 朝日)
 昨年7月の西日本豪雨で被害の大きかった広島、岡山、愛媛県の46自治体で、同月の時間外労働が過労死ラインの月100時間超だった職員が少なくとも2700人以上いたことが朝日新聞の調査で分かった。自治体によっては調査対象職員の9割強が基準を超えるなど、過酷な現場環境の一端が明らかになった。
 朝日新聞は被害が大きかった広島、岡山、愛媛の3県と県内で災害救助法が適用された市町村の計46自治体を対象に調査。「首長部局」職員のうち、管理職を除いて7月の時間外労働が100時間(過労死ライン)を超えた職員数を聞いた。その結果、調査対象の3万4542人のうち2768人(約8・O%)が100時間を超えていた。 一昨年7月の3万4853人では104人(約O・3%)にとどまっており、人数は約26・6倍に増加。自治体側は「建物被害の調査のため」(愛媛県大洲市)、「豪雨災害関連を除く一般業務のみで100時間を超えた者はいない」(広島県)などと答えた。過労死ラインを超えた職員数が最も多かったのは、広島市の498人(対象職員の約8・7%)。次いで愛媛県が227人(同7・4%)、広島県呉市が202人(同19・4%)。真備町地区が水没するなどした岡山県倉敷市でも199人(同16・9%)にのぼった。職員数が比較的少ない自治体では、過労死ラインを超える職員の割合が高いケースもあった。

原発問題(東海第二原発関係も含む)

福島第1事故 県と東電ADR和解へ 未払い分1億円賠償  (8.24 茨城)
 東京電力福島第1原発事故に伴い、県が東電に職員の超過勤務手当などの損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電が未払いの約1億700万円を県に支払うことで和解する見通しとなった。県が23日、30日開会の定例県議会に提出する和解議案を発表した。可決されれば、県は国の原子力損害賠償紛争解決センターに和解の意向を伝える。
 今回の和解金は2010~12年度分。県は東電に約10億7800万円を請求したが、支払われたのは約9億1500万円。県は17年3月、残る約1億6300万円の支払いを求め、同センターに和解仲介を申し立てていた。センターは今年7月、東電が約1億700万円を支払うとの和解案を提示した。県によると、東電は和解に応じる意向。
和解金の主な内訳は▽空間放射線量や農林水産物の放射性物質測定に伴う職員の超過勤務手当など人件費(5400万円)▽放射性物質に汚染された刈草の処分経費(3400万円)▽観光キャンペーンや農林水産物のPRなど風評被害対策費(1300万円)。県は今年1月末までに、今回の請求分を含めて総額約23億8100万円を東電に求めており、うち約16億2500万円が既に支払われている。県は現在、13年度以降の未払い分について東電と協議しているほか、18年度分の損害賠償も取りまとめを行っている。大井川和彦知事は23日の定例会見で、「今回の和解によって(10~12年度分の)賠償額は請求額の95%になる。他県との比較も含め、受け入れるのが適切だと思った。これが一つの指針となり、13年度分以降も速やかに賠償が進むと期待している」と述べた。
福島第1原発事故を巡っては、本県を含む関東、東北の11県が損害賠償を求めて同センターに申し立て、うち9県が既に和解し、本県と栃木県が和解に至っていなかった。
同原発事故のADRの申立件数は、自治体や個人など2万4336件(18年末現在)。今年5月10日現在で、全体の約77%が和解成立にこぎ着ける一方、取り下げや協議打ち切りが約18%に上っている。進行中なのは約4%。昨年1年間にも、県内39件を含む1121件の申し立てがあった。

地方制度・自治体論・地方自治一般

地方制度調査会中間報告 人口減見据え 自治体間の連携必要   (8.1 日本農業)
 政府の第3次地方制度調査会は総会を開き、人口減少が深刻化する2040年ごろを見据えた自治体行政の在り方に関する中間報告をまとめた。将来にわたって行政サービスを維持するため、自治体の枠を超えた広域連携の必要性を訴えた。
 (中間報告のポイント)
 ・2040年にかけ労働力不足が深刻化、高齢化で医療、介護需要増大
 ・インフラ老朽化が進み、空き家が増加
 ・AIなど先端技術を地域課題解決に活用できる可能性
 ・行政サービス維持へ生活、経済圏が同じ自治体の連携が必要
 ・都道府県が市町村の補完を
 ・官民を超えた人材・組織の連携や行政デジタル化を今後議論

戦後憲法裁判 代表的記録 86%廃棄 (8.5 茨城)

 自衛隊に一審札幌地裁で違憲判決が出た長沼ナイキ訴訟や、沖縄の米軍用地の強制使用を巡る代理署名訴訟をはじめ、合憲違憲などが争われた戦後の重要な民事裁判の記録多数を全国の裁判所が既に廃棄処分していたことが4日分かった。
 代表的な憲法判例集に掲載された137件について共同通信が調査した結果、廃棄は118件(86%)、保存は18件(13%)、不明1件だった。判決文など結論文書はおおむね残されていたが、審理過程の文書が失われ、歴史的な憲法裁判の検証が不可能になった。
裁判所の規定は重要裁判記録の保存を義務づけ、専門家は違反の疑いを指摘する。著名裁判記録の廃棄は東京地裁で一部判明していたが、全国規模で捨てられていたことが分かったのは初めて。米国などでは重要裁判記録は原則永年保存され閲覧できる。裁判所の規定は「史料または参考資料となるべき」裁判記録を事実上永久保存の「特別保存」とするよう義務づけるが、特別保存は今回調査した中では6件のみ。他に1件が国立公文書館に移送、それ以外の経緯で11件が現存し、計18件が保存されていた。判明した多数の廃棄が適切か否かについて最高裁は「(廃棄は)各裁判所の個別の判断」とし回答を避けた。
 裁判記録は訴状をはじめ書類、法廷やりとりの記録など全てをとじた文書で、裁判所の規定では通常の民事裁判の場合、確定や和解後に一審の裁判所が5年間保存し廃棄する。重要裁判もそのまま適用し特別保存を判断してこなかった形。

若者の声 総合計画に、結城市 会議で提案を集約 (8.14 読売)
 結城市は、策定を目指す第6次総合計画(2021年度から10年間)に若者の提案を反映させるため、市内の高校生や専門学校生を集めた会議を7月に3日間にわたって開いた。テーマは「若者にとって魅力的なまちにするにはどうしたら良いか」。参加者は市の現状に対する不満や本音を語り合い、提案をまとめた。
 会議には、結城一高、鬼怒商高、結城看護専門学校の計20人が参加。「何もないから住みたくない」「学生が利用しやすい施設がない」といった厳しい声を上げた。市と連携協定を結ぶ白鴎大学で都市戦略や地方創生などを学ぶ学生らが調整役を務め、こうした声を基に提案をまとめ、最終日に市職員や市民らに成果を発表した。主な提案は▽空き店舗を改修し、広いテーブルがあり、コンセントや公衆無線LAN「WilFi(ワイファイ)」が24時間使える空間の整備▽結城で目立つ野良猫を活用した「ノラネコカフェ」の設置▽蚕をモチーフにしたソフトクリームの商品化―など。
 参加した鬼怒商高2年の野口愛実さん(16)は「不満もあるが、市が若い人に目線を向けてくれているのがわかった」と話した。

日本経済新聞社の「議会活力度」調査 三重、鳥取、兵庫県がベスト3に (8.19 日本経済)

 情報公開、住民参加、議会運営のほか、女性議員数や年齢、投票率、ICT化など4分野について聞き回答を得点化してランキングした。
(情報公開)
 ・政活費の収支報告書をHPに掲載 38議会(81%)
 ・領収書の掲載     17議会(36%)
(政活費の透明性を確保する取組み)
 ・マニュアルの策定       全議会
 ・視察などの事前計画書、実積報告書の提出義務付け
  20議会(43%)
 ・第3者にチェック依頼 7議会(15%)
 ・後払い方式   2議会
(住民参加)
 ・議会への要望提出した住民に委員会で直接発言する
  機会を与えている    16議会(34%)
 ・参考人制度の活用    25議会(53%)  
 ・住民向けの議会報告会の開催 8議会(17%)
 ・特定の団体などとの意見交換会の開催  21議会(45%)
(議会運営)
 ・知事、執行部の反問を認める 16議会(34%)
 ・政策条例の議員提案 過去2年間で7割超の34議会で
 ・女性議員の比率  平均10.5%
 ・議員の平均年齢    56.8歳
 ・議員1人当たりの年間報酬 平均1376万円
             最高東京1737万円
             最低沖縄1179万円
 ・1人当たりの年間政務活動費 平均412万円
 ・出席する際に支給される費用弁償 実費支給13議会(28%)
      「なし」は東京、大阪
      その他の議会はなんらかの形での支給あり
都道府県議会の「議会活動力度ランキング」
1位 三重県  2位 鳥取県  3位 兵庫県
4位 大阪府  5位 神奈川県 茨城県は不明(21位以下)

PCで顔認証 ネット投票 つくば市など実験 マイナンバーカードの顔写真で照合  (8.26 朝日)

 つくば市役所で、マイナンバーカードの顔写真と、パソコンのヵメラで撮影した顔写真を照合して個人を認証し、投票する実験が行われている。市が新技術開発を支援する補助事業の対象を、参加者が選んで投票する。市が民間企業と協力した実験で、顔認証による投票は、選挙での活用を視野に入れている。
 実験は、マイナンバーカードを持つ人が対象。補助事業への公募提案11件から、有望な提案を選んで投票する。初日の23日は、五十嵐立青市長が、カードリーダーにマイナンバーカードを読み込ませ、パソコン内蔵のヵメラで顔写真を撮影。画面で事業提案を選ぶ一連の流れを公開した。マイナンバーカードを用いた投票実験で、顔認証と、短い4桁のパスワードで手続きが簡単になった。
 実験の中心を担う投票システム開発会社「VOTE FOR」(東京都)の市ノ沢充社長は「人口減少に伴って閉鎖される投票所が増え、投票時間を繰り上げる自治体も多い。投票機会を保障するためにも新しい技術を用いた投票を進める必要がある」と意義を語る。

職員の「倫理規則」 取手市が条例化へ 市長らの会食問題めぐり  (8.27 朝日)
 取手市の藤井信吾市長と職員が2016年に京都・祗園の高級料亭で利害関係者と会食していた問題をめぐり、市は26日、職員の倫理規定を定めた条例案を発表した。9月2日開会の市議会に提案する。県内では9市町村が内部で作った倫理規定を設けているが、条例化は初の試みだという。
 この日の会見で、藤井市長は自らの責任は触れず、「職員が順守すべきことを改めて守っていくことに尽きる」と述べた。市によると、条例案は一般職員の職務について市民の疑惑や不信を招く行為の防止が目的。職員が守るべき倫理原則と、利害関係者からの贈与などの禁上を盛り込んだ「職員倫理規則」を設ける。10月1日施行予定。市は規則の中で、1万円を超える飲食は倫理監督者(各部長級職員など)への届け出制にする予定で、違反すれば懲戒処分の対象になるという。

住んでないのに立候補 投票無効に 地方議員選で相次ぐ選管、開票時に判断する運用 (8.27 朝日)
 自治体の議員選挙で、投開票後に被選挙権はないと判断され、投票が無効になるケースが相次いでいる。公職選挙法では、都道府県議選の場合はその都道府県の同一市区町村に、市区町村議選の場合はその市区町村に、それぞれ3カ月以上住所を持つことを被選挙権の要件としている。
 東京都日の出町議選(8/25)で町内に住んでいない男性が立候補し、33票の得票が無効となった。町選挙管理委員会によると、届け出時に住民票の提出を求めておらず、「書類上は町内に住所があるとされていたため受理した」という。投開票日の25日、開票立会人も交えた選挙会で、被選挙権がないと正式に判断した。
 なぜ、投開票日まで判断できなかったのか。根拠の一つが、1951年の福岡高裁の判決だ。被選挙権の有無、特に住所要件の認定について「開票手続きにおいて選挙会が決定すべき事項で、選挙管理機関が選挙期日前に特定の候補者に被選挙権のない旨を一般選挙人に公表することは、その候補者の選挙運動を著しく妨害する」などとした。公職選挙法は「投票の効力は、開票立会人の意見を聴き、開票管理者が決定しなければならない」と定める。総務省によると、住所要件を満たしているかどうかは、通常、開票時に判断しているという。

予算・税・財政 

18年度 ふるさと納税 最多 境町に60億円、全国8位(8.3 茨城)
 総務省は2日、ふるさと納税による2018年度の寄付総額が前年度の約1・4倍の5127億円となり、6年連続で過去最多を更新したと発表した。寄付件数も最多で、1・3倍の2322万件となった。返礼品を寄付額の30%以下の地場産品に規制する新制度の実施を今年6月に控えていたため、高額の返礼を目当てにした駆け込みで増加した。
 自治体別トップは17年度に続き大阪府泉佐野市。アマゾンのギフト券などを贈るキャンペーンを展開し、3・7倍の498億円を獲得した。2~4位は静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町で、新制度から除外された4市町が上位を独占。4市町の合計は1113億円と全体の2割を超え、突出した寄付集めが鮮明となった。
 県内では、境町が2・8倍の60億8300万円(寄付件数18万件)を集めて全国8位にランクインした。町の年間予算(約126億円)の半分に匹敵する額を獲得した勘定で、橋本正裕町長は「お得な自治体と認知され、駆け込み需要があった」と大幅増の要因を分析した。
19年度は新制度で「お得感」が薄れ、寄付額の増加が一段落するという見方もある。総務省の担当者は「新制度の健全な運用を期待する」と話すにとどめた。
 都道府県別の最多は泉佐野市がある大阪府で656億円。2位は504億円の北海道だった。3位は佐賀県の424億円で、みやき町だけで168億円を集めた。本県は136億円で、境町が4割以上を占めた。寄付をする際に、具体的な使い道を選択できたのは360自治体。全体の20・1%に当たり、前年度から5・8ポイント上昇。目的を明確にした上で寄付を募る動きが広がっている。受け取った寄付金のうち、返礼品調達費や事務費といった経費に充てた割合は全国平均で55・0%。残り45・0%が地域活性化の財源になった。
 寄付した人は翌年度、居住地に納める住民税が軽減される。19年度の減収額が最も多いのは横浜市の137億円。名古屋市、大阪市、川崎市と続き、都市部の財源流出が浮き彫りになった。

ふるさと納税 4割増 過去最高を更新(8.3 毎日)
 総務省によると2018年度のふるさと納税の寄付総額は、前年度比40.3%増の5127億円、6年連続で過去最高を更新し、伸び率は17年度の28.4%から大幅に拡大した。6月から始まった新制度の対象外となった大阪府泉佐野市など4市町が駆け込み的に寄付を集めた影響が大きかった。
 総務省は、17年度以降、返礼品額は寄付額の3割以下に自主規制するよう求めてきた。ところが4市町は事実上無視。要請を守った市町村との返礼品の差が顕著になり、4市町への寄付が膨らんだ。総務省は今年6月「寄付額の3割以下」などルールを守らない市町村はふるさと納税の対象から外す新制度を導入。4市町に寄付した納税者は控除を受けられないため、4市町への寄付は減額する見通しだ。
 全体では受け入れ総額に占める返礼品額の割合は35%。配送費や広告費など関連経費を含めると55%は経費として消えた。
寄付した人は居住地の住民税が軽減されるため、大都市は軒並み税収減となった。

ふるさと納税額が多かった上位自治体

順位自治体-人口受入寄付額(億円)前年比摘要
1大阪府泉佐野市-約10万497+267%新制度から除外
2静岡県小山市-約1.8万250+815%新制度から除外
3和歌山県高野町-約3千196+9621%新制度から除外
4佐賀県みやぎ町-約2.6万168+133%新制度から除外
5宮崎県都農町-約1万96+21%
8茨城県境町-約2.4万60+181%

''交付税ゼロ自治体伸び悩み 税収増も子育て費など重く''  (8.12 日本経済)
 地方税収は、過去最高水準にあるのに、国から地方交付税をもらわずに財源を賄える自立した自治体の数が伸び悩んでいる。総務省によると、2019年度に不交付団体は1788自治体のうち86.不交付団体は、1988年度に193まで増えたが、バブル崩壊で長期低迷に。その後03年度の65を底に07年度に142まで回復。しかし、88年度には遠く及ばない。
 地方税収は増えている。18年度は39.9兆円(地方法人特別譲渡税を除く)と過去最高になったとみられ、19年度は40兆円の大台を見込む。都道府県は法人2税、市町村は住民税の伸びが大きい。税収が回復しているのに不交付団体が増えない理由の一つが社会保障関係費など歳出の増加だ。高齢化で介護関連などの費用が増え続けているのに加え最近は子育て関連の費用が増えている。
 不交付団体が伸び悩む理由は歳入面にもある。もう一つの交付税と位置づけられる臨時財政対策債(臨財債)の存在だ。国の財源不足で交付税が足りない状況が続き自治体が実質的な赤字地方債とされる臨財債を発行して不足分を補ってきた。残高は年々増え、140兆円ある地方債残高の3分の1に達する。
 臨財債は、返済額を交付税で賄うが一時的に自治体が国の肩代りすることになるため、自治体は廃止を求めている。国はそれに応え19年度は発行を2割近く減らした。ただこれを減らすと代わりに交付税をもらわなければやっていけない自治体が増えてしまう。
 その直撃を受けるのが都市部の自治体だ。総務省は臨時債を比較的財源力のある都市部の自治体に多く割り当ててきた。税収の回復で不交付団体に近づきつつあるのに臨財債の消滅で歳入が足りなくなる。
 臨財債削減は望ましい方向だが、それが不交付団体への歩にブレーキをかける皮肉な構図だ。
 いびつな制度が地方財政の実態を見えにくくしている。

ふるさと納税18年度 136億円、半数は赤字 (8.15 茨城)

 県内の市町村が2018年度に受け取ったふるさと納税の寄付額は計約136億円となり、前年度の1・5倍と大幅に増えた。今年6月から始まった返礼品などの規制強化を控え、駆け込み需要による寄付増加が相次いだ。寄付受入額から経費や他自治体寄付分を除いた収支は、半数に当たる22市町村が「赤字」となった。受入額トップの境町は約3倍増となる約60億円を集め、全国でも8位の巨額収入となった。
 寄付額の収支は、総務省が2日公表した調査結果を基に計算。各自治体が18年度に受け入れた寄付額から、返礼品調達やポータルサイト利用料、人件費などの経費総額を引き、さらに住民が他自治体に寄付したことによる昨年1年間の住民税減収分を差し引いた。境町は17年度の21億6千万円から約2・8倍の60億8千万円を集めた。町の一般会計当初予算125億円の約半額に匹敵し、収支は30億円の「黒字」だった。町ふるさと納税推進室は「使い道を明確にし、寄付者へ事業報告を徹底している」として、リピーターや町のファンの拡大を増加の要因に挙げた。昨年、総務省から高額返礼自治体の一つとして公表されたことで「全国的にお得な自治体と認知され、駆け込み需要があったことも要因の一つ」とした。使い道は6割を「教育、子育て」に充当。3年前から7月の「利根川大花火大会」に寄付者を招待しているほか、町の観光施設などの設計を建築家の隈研吾氏に依頼して整備し注目を集めている。
 つくばみらい市は17年度の1633万円から60倍を超す10億2千万円を受け、県内4位に躍り出た。急増の理由を市秘書広報課は「昨年12月に食事券や旅行券を返礼品として扱った。年明け以降はルールに従っている」と説明。地場産品が少なく、返礼品探しは苦労しているという。一方、つくばや水戸、ひたちなかなど都市部では、住民が他自治体に寄付することによる収支の「赤字」が膨らむ傾向にある。県内最大の5億6千万円の赤字となったつくば市は「東京など都市圏は流出が多く、本市も同様に厳しい。体験型などの返礼品を充実して市の魅力を発信する手段とするとともに、少しずつ収支の差を埋めたい」(市持続可能都市戦略室)。赤字一が1億9千万円と2番目に大きかった水戸市は「返礼贔競争が過熱したのが大きい。健全なルール、制度運営をしてもらいたい」(市市民税課)と受け止めた。
 ふるさと納税の赤字は、住民税減収額の75%が国から地方交付税で穴埋めされる。ただ、つくば市や神栖市など交付税の不交付団体は対象外で、赤字分がそのまま減収となる。
 県は寄付受入額が5460万円の一方、県民税減収分がかさみ、17億5千万円の赤字となった。返礼品は地場産品と無関係なギフト券を贈るなど競争が過熱。総務省の通知や19年度からの法改正で適正化が図られた。「今やネッ一トショッピングと言ってもいいぐらい、その返礼品を見ながら納税をしている」(18年9月、水戸市議会代表質問)との批判も出てい[た。

消費増税2%相当 水道料金値下げヘ 守谷市10月分から予定 (8.23 朝日)
 10月に実施される消費税増税に絡み、守谷市は22日、上下水道料金の税抜き単価から増税分2%相当分を値下げし、増税後も税込み単価で現行料金以下を維持すると発表した。10月分の料金算定から適用予定で、29日開会の9月市議会に議案を提案する。市によると、水道料金と下水道使用料(ともに税抜き額)の基本料金(1カ月当たり)を10円ずつ値下げし、1立方㍍ごとの使用料金を、水道料金で3~5円、下水道使用料で1~4円値下げするという。この結果、2018年度の平均家庭(2カ月で33立方㍍使用)の場合、現行の水道料金が5928円から5908円へ20円、下水道使用料が3582円から3553円へ29円それぞれ値下げとなる。年間では294円の値下げとなる一方、現行料金に消費税10%を適用した場合は、年間で1092円の値上げとなる。

ふるさと納税 泉佐野市VS総務省 国の係争委 判断は?  (8.27 朝日)
 ふるさと納税制度から外された大阪府泉佐野市が「除外は無効」として総務省と争っている。法的拘束力を持たない「通知」に違反したことが除外理由として妥当だったかが最大の争点だ。さばく機関は総務省傘下で、政権側に有利な判断が続く。政権の肝いり政策での争いの行方は―。
 両者が争う場は、国地方係争処理委員会(委員長=富越和厚・元東京高裁長官)。自治体と中央省庁が対立する問題を審理し、国の関与が違法と認めた場合は国に勧告する権限を持つ。
 総務省幹部は「法令違反と言っているわけではないが、著しく公益に反する状況だった」と道義的な側面を強調。除外を決めた5月時点と変わり、通知違反への直接的な言及を避けるようになった。省幹部の一人は「係争委がどんな結論を出すか見通せない」と話す。
 新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「国と地方のシビアな対立を公平に扱うことが期待されたが、実際は門前払いや判断の回避ばかり。第三者性を発揮する熱意が欠けている。総務省に近い委員が多いのが問題だ」と指摘。

 

地 域 経 済 

最低賃金 平均時給901円 中央審答申 上げ幅過去最大27円  (8.1 茨城)
 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は31日、2019年度の地域別最低賃金の改定について全国平均の時給を27円引き上げ、901円とする目安をまとめ答申した。02年度に時給で示す現在の方式となって以降、最大の引き上げ。全国平均の時給が900円台に達したのは初めてで東京と神奈川は千円を超える。本県は、27円引き上げで849円となる。
 

まちづくり・都市計画 

空き屋問題 有効活用を促進する対策を(8.24 しんぶん赤旗)

 空き家の急増が止まりません。2018年の住宅・土地統計調査(総務省)では、全国の空き家は846万戸でした。約7戸に1戸は空き家という計算です。33年には空き家は約2150万戸となり、「3戸に1戸」という将来がくると予測する民間調査機関もあります。街のあちこちで空き家や空き地が増える「都市のスポンジ化」も顕著です。空き家をこれ以上増やさず、どう活用するかは、街づくりにとっても大きな課題です。
 日本弁護士連合会が昨年行った全国の市区町村への実態調査では、空き家が発生する制度上の大きな原因として自治体が挙げたのは、①中古建物よりも新築建物を優遇する税制②都市部への人口集中を促すような都市政策③住宅需要を超えた新築建物の建築を容易にするような税制上の措置、でした。国の政策や制度を抜本的に見直すことが不可欠です。15年5月、「空家対策特別措置法(空き家法)」が施行されました。危険な空き家を自治体が「特定空家」と認定して解体し、費用を所有者に請求するなどというものです。しかし、こぅした行政代執行での取り壊しはわずかです。解体・除去は資源の浪費でもあり、空き家を有効に活用できるようにすることが重要です。現存する住宅資源を生かすことを促進し、中古住宅の流通をしやすくできる施策の拡充へ税財政制度の改善などが求められています。

存続危惧 1万集落 山間地域で人口半減(8.31 日本農業)
 農水省は、農村地域の2045年の人口予測結果を発表した。山間農業地域の人口は15年と比べて半減し、65歳以上の高齢者が過半数を占めると見込む。平地の農業地域でも人口が3割以上減少し高齢者が4割を超える。約14万件の農業集落のうち、存続が危惧される集落は1万件に上り、15年の4倍以上に増えるとし、9割は中山間地域と推計した。
・15年人口=100とした45年前の指標
  都市的農業地域     89
  平地  〃       68
  中間  〃       58
  山間  〃       46
・集落人口9人以下で高齢化率50%以上「存続危惧集落」1万件

環境と開発

産廃最終処分場巡り県の検討委 170万~260万立方㍍ 埋め立て容量了承 (8.9 朝日)
 県内に産業廃棄物の最終処分場を新設するため、建設候補地を審議する県の検討委員会(委員長=大迫政浩・国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長)が、170万~260万立方㍍の埋め立て容量を確保するという県の基本方針案を了承した。県の案は、産廃の埋め立て期間を15~20年程度とし、管理型の処分場を陸地に整備するというもの。先月30日にあった委員会で県が説明した。県内の最終処分量を年13万トン程度まで抑えることなどを前提とし、170万~260万立方㍍の埋め立て容量が必要だと試算している。
 事業運営主体は国の廃棄物処理センターの指定を受けた県出資法人などを想定。大災害で発生した廃棄物の処理にも協力しやすいよう、公共関与型で整備する必要性を強調した。
 県は、笠間市で県の出資法人が運営する処分場があと7年ほどで容量が限界になることから、候補地決定と地元調整を2020~21年度に済ませる方針。20~22年度に用地取得や環境影響評価、設計まで進め、23年度に着工。25年度に供用開始という日程を示した。

若手就農 2万人割れ 18年 (8.10 日本農業)

 49歳以下の若手新規就農者数が2018年時点で19,290人になり前年から7%減り、5年ぶりに2万人を割り込んだことが農水省の調査で分かった。新規就農者全体は前年と同水準の55,810人で、2年連続で5万人台にとどまった。生産基盤の再建に向け新たな人材をどう確保するのかが課題に浮かびあがった。

霞ヶ浦流域 下水道接続 申請3.6倍  (8.29 茨城)
 昨年度1年間に霞ケ浦流域の住民から寄せられた下水道接続工事の申請件数が前年度と比べ約3・6倍の878件と、大幅に増加したことが分かった。県は昨年度、霞ケ浦流域で一定の要件を満たす家庭を対象に浄化槽からの切り替えや水洗化に伴う排水設備工事の個人負担を実質ゼロとしたことが功を奏した。
 水質改善が課題となっている霞ケ浦は、生活排水処理率が2017年度現在で西浦79・4%、北浦59・2%にとどまっているのが現状。県は「泳げる霞ケ浦」を目標に、独自財源の県森林湖沼環境税を活用して、下水道接続率のアップや高度処理型浄化槽施設の設置などを進め、20年までに西浦83・3%、北浦69・7%に改善したい考えだ。約95万人が暮らす霞ケ浦流域の下水道接続率は全体で89・6%だが、内訳は西浦90・0%に対し北浦が77・1%と伸び悩んでいる。
 霞ケ浦流域の未接続人口は6万2千人余りに上る。県下水道課によると、霞ケ浦流域の下水道接続工事の申請件数は、2017年度実績で241件。県は昨年度から3力年事業で、県南、県西、鹿行地域にまたがる流域18市町村を対象に、補助金を大幅に拡充。森林湖沼環境税を財源に、年間1億4千万円の予算を計上した。
 従来の補助制度は、霞ケ浦や涸沼、牛久沼の流域を対象に、下水道が使用できるようになった日から3年以内の接続を条件に、工事費に対する市町村の補助金(おおむね2万円)に上乗せする形で、県が最大2万円を補助していた。
 これを昨年度から霞ケ浦流域に限り、高齢者や18歳未満の子どもがいる世帯のうち年収600万円未満の家庭を対象に、接続工事費の県内平均(約35万円)を基準に、県が最大33万円、市町村が2万円を補助する仕組みに拡充。4年目以降も補助対象に追加した、拡充後、各市町村の広報誌に情報を掲載したり対象者宅に職員が訪問したりして制度を周知。昨年度の申請件数の大幅な伸びにつながったという。
 県下水道課は「補助金が奏功して申請件数が大幅に伸びたことは喜ばしいが、まだ下水道接続に消極的な高齢者世帯が多いなど、課題はある。補助制度について、さらに周知を図っていきたい」としている。同課によると、17年度末現在で、県内で下水道の利用が可能な約181万8千人のうち、実際に接続している人口(接続人口)は約163万5千人。下水道接続率は県全体で89・9%、未接続は約18万3千人という。

医療・福祉・社会保障・教育 

つくばの教育事情 子育て世代 大量流入 急伸の南部 (8.2 茨城)
 つくばエクスプレス(TX)沿線の急激な人口増加を受け、つくば市は市南部の「学園の森」「みどりの」両地区に小中学校を新設する方針を明らかにした。一方で、過疎化が進む市北部では学校統廃合に伴う廃校舎の利活用など、課題は残されたままだ。人口の"南高北低"が教育現場や市の将来に及ぼす影響を追った。
 「まるで高校の体育祭。すごい数の子どもに仰天した」。市立学園の森義務教育学校(児童生徒数1519人)の運動会に参加した30代の父親は、驚いた様子で振り返った。今年6月、広大な校庭で体操服を着た約600人の児童らが綱引きやリレーに汗を流した。同校の運動会は1年生、2~4年生、5~9年生に分けて3回も実施された。
父親は「すごく活気があってうれしいが、子どもが増えすぎて学校施設がパンクしないか心配」と不安を口にした。
 ■過大規模校 市は5月、人口が急増するTX沿線の5校区に通う児童生徒数の将来推計を発表した。つくば、研究学園、万博記念公園、みどりの4駅周辺を学区に含む「高山」「手代木」「竹園東」の3中学校と、「学園の森」「みどりの学園」の2義務教育学校が対象だ。この中で学園の森はピーク時の2027年に児童生徒数3427人、みどりの学園は30年に4576人に達するとし、両地区にそれぞれ「小中学校の新設を検討中」と明らかにした。
 国の指針では小中学校1校当たりの適正規模は12~18学級だが、学園の森は現在、普通学級が46、みどりの学園も31に上る。市が14年に改定した学校等適正配置計画ではこれほどの児童生徒の増加を想定しておらず、五十嵐立青市長は記者会見で、「見通しが甘かったのは事実」と認めた。
 ■間に合わない 利用者が年々増えるTXは、予想を超える人口増加をもたらした。研究学園駅に近い市立葛城小の児童数が急増し、最初の受け皿として春日学園義務教育学校が12年に開校。さらに同校から分離し学園の森が昨春に開校した。みどりの学園も昨春、谷田部小など3校が分離し開校したばかりだった。14年当時の推計では、葛城小の18年度児童生徒数は1867人だったが、実際は2341人と500人近く上回った。谷田部小も同様に実数が推計を約170人も上回り、市幹部は「子育て世代が想定以上に大量流入した」と説明する。
 市は本年度、学園の森に27教室、みどりの学園も15教室それぞれ増築するが、みどりの学園は22年度、学園の森は23年度以降から教室が再び足りなくなる見通しで、市の担当者は「学校新設には少なくとも5年はかかる,間に合わない」と急場をしのぐ教室の増築に頭を抱える。
 ■上方修正 市は今年5月、市人口を48年に現在の約23万人から自然増と社会増で約29万人に増やす目標を、「つくば市未来構想」の中間とりまとめ案に盛り込んだ。国立社会保障・人口問題研究所が18年にまとめた推計では、つくば市の45年時点の人口は24万人程度だったが、「TX沿線の人口急増は旧来の方程式に当てはまらない」として、それを約5万人も上回る急激な伸長を見込む。市は将来の人口を展望する上で、TX沿線の開発地区への定着率を見直し、全て70%としていたのを75~85%に上方修正した。女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も、現状の1.43から30年に1.8、40年に2.1に向上すると仮定している。ただ、市幹部は「人口増加は決してうれしいことばかりではない」と漏らす。さらなる教室の増設や学校新設に莫大な出費を強いられる現実がある。

小型船舶の飲酒運転禁止 県、先月に改正条例施行(8.2 朝日)
 県警や茨城海上保安部は、プレジャーボートや水上オートバイなどの小型船舶の「飲酒運転」の禁上を呼びかけている。県内では先月、湖や河川などでの小型船舶の酒気帯び操縦を禁止する「改正県水上安全条例」が施行された。東京都に次いで全国2例目で、県警は啓発や取り締まりに乗り出している。
 県警地域課によると、過去5年間で湖や河川での死亡事故は5件(5人死亡)発生している。酒気帯び操縦の事故件数は統計をとっていないというが、レジャー客や住民などから「飲酒した状態での水上オートバイでの危険な運転が見られる」などの声が県警に寄せられていた。また、条例は海上を対象としていないが、茨城海上保安部によると、海上での船舶事故は18年は15隻。うち小型船舶の事故は9隻で約6割を占める。事故件数は過去5年、高止まりの傾向が続くという。こうした状況にから県は県水上安全条例を改正し、先月1日に施行。1973年施行の同条例では、「酒酔い操縦」を禁じる一方で、泥酔状態でない「酒気帯び操縦」禁じる規定はなかった。

18年度 児童虐待、最多15万9850件  (8.2 茨城)

 全国の児童相談所が2018年度に児童虐待の相談・通告を受けて対応した件数が15万9850件(速報値)に上ったことが1日、厚生労働省のまとめで分かった。1990年度の統計開始から28年連続の増加。連携が進む警察からの通告がほぼ半数を占めた。子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」などの心理的虐待が10年間で9・7倍となり、全体の55・3%を占めるようになった。
 
児童虐待確認 48時間超過1万1984人 大半、緊急性低いと判断 (8.2茨城)
 虐待通告から原則48時間以内に子どもの安全を確認するルールについて、厚生労働省が昨年7月から今年6月までに対象となった延べ15万3571人について調べた結果、1万1984人が時間内に安全を確認できていなかったことが1日、分かった。調査は今年6月に札幌市中央区で池田詩梨ちゃん(2)が亡くなった事件を受けて実施された。
 確認が取れなかった子どものうち415人については、児童相談所が緊急性が高いと判断、家庭訪問や立ち入り調査などで48時間超過後、安全を確認した。残りの1万1569人は緊急性が低いと判断されていた。
 詩梨ちゃんを巡っては、昨年9月に1度目の虐待通告があった際、札幌市児相は48時間以内に本人と面会し、確認を取ったが、今年4月の2度目の通告時には48時間以内の安全確認をしておらず、緊急性が低いケースと判断していたという。15万3571人の中には安全確認だけでなく、虐待があったかどうかも確認が取れなかった1970人も含まれる。近隣住民らから通告を受けたものの、本人が出国しているなどの事情があった。

ブロック塀対策 9000校が未完了(8.7 日本経済)
 2018年6月発生した大阪北部地震で危険性が指摘されたブロック塀について、文部科学省は、全国の学校における安全対策の進捗を公表した。19年4月1日時点で、ブロック塀がある学校の半数近くに上る約9千校で撤去などの対策や安全点検が済んでなかった。同省は各自治体に通知を出し早急な対策を促す。
 公表された調査結果では、学校全体のうち6343校(12.4%)で安全性を確認した。
 一方で、ブロック塀がある20142校のうち9355校で安全対策や点検が終わっていなかった。内訳は、改修や撤去などの対策を「20年3月末までに完了させる」のが3915校(7.7%)
「20年4月以降に完了させる」が1893校(3.7%)「外観上は問題ないが鉄筋など内部の点検が終わっていない」が3547校(6.9%)だった。

食料自給率 37% 最低に  (8.7 日本農業)
 農水省は、2018年度の食料自給率がカロリーベースで37%と、過去最低となったことを明らかにした。小麦・大豆の生産地である北海道が天候不順で生産が大幅に減ったことに加え両品目や畜産物などの生産が全国で増えていないことが要因。生産基盤の弱体化に歯止めがかからず、食料安全保障の確立には程遠い現状が浮き彫りになった。
 37%は、冷夏で米が不作だった1993年度と並び、記録がある60年度以来、過去最低。
 中長期的に見て自給率は09年以降下がり続けている。
 農地面積の減少や面積当たりの生産量の伸び悩みで低下傾向に推移している。

市区町村独自の医療費助成「高校まで」31%に増加(8.8 毎日)
 厚労省は、子育て支援策として自治体が独自に実施している医療費助成について全区市町村のうち外来診療の援助を「高校卒業まで」としているのは、2019年4月時点で前年より67増の541自治体に上ったと発表した。全市町村の31%を占め対象年齢を引き上げる自治体が増加傾向にある。
 「中学校卒業までが最も多く、15減の1007自治体。「小学校卒業まで」は22減の96自治体、「修学前」は30減の81自治体だった。
 外来診療(通院)で「所得制限なし」は全体の86%、「自己負担なし」も63%を占めた。
 子どもの医療費を独自に助成している市区町村に対して、国は補助金を減額してきた。だが自治体側の「少子化対策に逆行」との訴えを受け、小学校入学前までを対象にした助成であれば18年度以降減額しないことにしている。

19年度国保料 大都市圏に値上げ集中 大阪9割・東京6割の自治体  (8.26 赤旗)
 高すぎる国民健康保険料・税が、2019年度も大都市圏を中心にさらに高騰しています。各市区町村の19年度改定料率をモデル世帯で計算すると、全市区町村の動向が分かった32都府県のうち大阪府は9割、東京都は6割、広島・神奈川両県は5割にのぼる自治体で値上げされたことが分かりました。国民生活を無視して大幅・連続値上げを迫る安倍政権と、国言いなりの自治体の姿勢が鮮明になっています。
 安倍政権が18年度から実施した「国保の都道府県化」で、市区町村に大幅・連続値上げの圧力をかけるなか、18年度は全体の31%・約540の市区町村でモデル世帯が値上げされました。
 全市区町村の状況が分かった32都府県のうち、値上げした自治体数の割合が断トツで多いのは大阪府。43市町村のうち90.7%の39市町にのぼりました。田尻町の値上げ幅が府内最大で、年4万円増の45万5千円に。松原市の年額が府内最高で、1万1千円増の47万3千円になりました。
 大阪府の次に、64・5%にあたる40市区町村が値上げした東京都、同52・2%の広島県、5l・5%の神奈川県―と続いています。東京都では、千代田区をのぞく22区が10年連続の値上げを強行しています。

あすなろの郷 一部施設民間公募へ 建て替え「最重度」は県整備 (8.27 茨城)
 重度の知的障害者が暮らす県内最大の入所施設「県立あすなろの郷」(水戸市杉崎町)の建て替えに伴い、県は一部の施設の整備や運営を任せる民間事業者を公募する方針を決めた。県はセーフティネットの役割に特化し、民間では受け入れが難しい「最重度」の障害者向けに県立施設を整備。一方で、高齢の障害者や比較的障害が軽い人向けの新たな施設は民間に委ねる。県立施設は2024年度の完成を目指す。
 あすなろの郷は建築から40年以上が経過し、現在の設備基準を満たさないなど老朽・狭あい化が課題となっている。このため県は2月、建て替えの具体的な検討を行う整備調整会議を庁内に設け、運営する県社会福祉事業団や民間の社会福祉法人、保護者などを交え議論を進めてきた。
 整備調整会議はこれまでに計4回の会合を開き、新たな施設については機能別に①セーフティネット②高齢障害者の居住③地域生活移行訓練の3種類の施設を造る方向性を大筋で確認した。
①は、自傷行為などを繰り返す強度行動障害や医療的ケアが必要で、民間では処遇が困難な「最重度」の人が入所対象。県立施設として現在の敷地内に整備する。重症心身障害児者の医療や入所者の健康管理を行っているあすなろの郷病院(40床)も規模は維持し、県が再整備する。一方で②と③は民間の社会福祉法人を活用し、原則としてあすなろの郷の入所者を対象に新たな施設を整備する。②の高齢障害者向け施設は65歳以上が対象で、介護と支援を両立し、ついのすみかとしてみとりの機能も備える。③の地域生活移行訓練は、おおむね65歳未満で、地域のグループホームなどでの生活を目指した訓練が可能な人が対象。②③の建設場所はあすなろの郷敷地内外で検討していく。
 現在の入所者を対象に県が実施した調査によると、①のセーフティネットへの入所対象者は240人程度で、②③の合計は230人程度だった。①の県立施設は24年度完成を目標とし、民間に委ねる②③の施設もほぼ同時期に整備したい考え。整備調整会議は9月に第5回会合を開き、整備計画を取りまとめる方針。県は30日開会の第3回定例県議会に提出する本年度一般会計補正予算案に、建て替えに向けた測量調査などの事業費700万円を盛り込んだ。

年金30年後2割目減り 厚労省財政検証 所得代替率50%維持 (8.28 茨城)

 厚生労働省は27日、公的年金の長期見通しを5年に1度試算する財政検証の結果を公表した。少子高齢化の中で財政バランスを図るため計画的に給付水準を下げており、経済成長と就業が進む標準的なケースで約30年後にモデル世帯の年金の実質的な価値は2割近く目減りする。基礎年金(国民年金)部分に限ると約3割低下。現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合「所得代替率」は現在の61・7%から50・8%で下げ止まる。政府は「代替率50%維持」を掲げており、経済成長が見込めれば制度は持続可能と示した形だ。

基礎年金 30年で3割減 マクロ経済スライドで年間7兆円  (8.28 しんぶん赤旗)

 厚生労働省は27日の社会保障審議会(厚労椙の諮問機関)年金部会で、公的年金の収支や給付の見通しを示す「財政検証」を公表しました。経済成長の程度が異なる六つのケース全てで、基礎年金(国民年金)の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する年金の給付水準)が3割程度下がる結果となりました。物価や賃金の伸びよりも年金給付の伸びを抑制して給付水準を自動削減する「マクロ経済スライド」の影響です。
 経済成長と雇用の拡大が進み、収支のバランスがとれた時点で厚生年金と合わせた所得代替率が50%以上確保されるケース1~3でも、基礎年金の削減は2046~47年度まで続きます。基礎年金部分の所得代替率は現在の36%台から26%台に低下。給付水準は最終的に約3割も減ります。
 さらに、経済成長が低かったり、横ばいだったりした場合(ケース4、5)は、厚生年金と合わせても所得代替率が50%以下に陥り、基礎年金部分の削減率は4割に迫るとしています。安倍政権は7月2日、日本共産党の志位和夫委員長の質問主意書に対し、前回の財政検証をもとに、マクロ経済スライドが終了する43年には基礎年金の減額が年間実質7兆円になるとの答弁書を閣議決定しています。
 今回の財政検証でも、終了時期は3~4年遅れるものの、基礎年金の削減総額は年闇約7兆円に上ります。一方、厚生年金の所得代替率は、ケース1で据え置き、ケース2、3でも0・2~0・7%と微減です。マクロ経済スライドの削減の影響は、国民年金のみの加入者など低年金者ほど大きくなります。
 公的年金の財政検証は5年ごとの実施が義務づけられており、前回は14年6月に公表されました。今年6月、年金だけでは老後に2千万円不足するとの金融審議会(財務相の諮問機関)の報告書が批判を浴び、7月の参院選でも争点となる中、安倍政権は公表を先送りしてきました。今回の財政検証は、出生率の改善や労働参加が進んだことで最終的な所得代蓄率が前回よりわずかに上昇するとしています。ただ、ケース1~3は、高い物価上昇率(2~1・2%)とそれを上回る実質賃金の上昇率(1・6~1・1%)を前提としており、安倍政権下で実質賃金が下がっている現実からはかけ離れています。こうした経済前提を置いても、ケース3では基礎年金の満額は現在の月額6万5千円から6万2千円に減少します。

2019年財政検証 主なケースのマクロ経済スライドによる年金水準削減

ケース別経済成長率(%)2019年度所得代替率(%)収支が均衡して削減が終了する時点(カッコ内は終了年度)国民年金(基礎年金)部分の削減率(%)
10.961.751.9(2046)26.6
30.461.750.8(2047)28.0
40.261.746.5(2053)35.7
50.061.744.5(2058)39.8

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