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第97号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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第97号

2017・01・25 更新
利根川どんど祭り

とりで利根川どんどまつり=取手市

とりで利根川どんどまつり。
 どんどまつりとは、正月のしめ飾りや門松などを燃やし、残り火で紅白の餅を焼いて一年の無事息災をお祈りする新春行事です。点火直前の光景。2017年1月14日

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新年のご挨拶

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茨城県自治体問題研究所理事長 田中 重博

 新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 昨年は、市民が政治を動かした一年であったと思います。
 7月の参議院選挙では、安倍改憲勢力が三分の二を確保したものの、市民と野党の共同で32の一人区すべてに統一候補を擁立、うち11の選挙区で自公勢力に勝利するという歴史的な事件が起こりました。また10月の新潟県知事選挙では、やはり市民と野党の共同による脱原発派の米山統一候補が当選、市民と野党が本気で共闘し、脱原発などの大義が鮮明ならば、自公勢力を打ち破ることができることを実証しました。
 国民運動や市民運動でも、市民のパワーと野党共闘の力が発揮されました。
 安倍政権は安保法制=戦争法の具体化として南スーダンPKOの自衛隊に「駆けつけ警護」などの新任務を与え、派兵を強行し、「戦争する国づくり」への道にさらに一歩を踏み出しましたが、これに対し、自衛隊の南スーダンからの撤退、戦争法の廃止を求める市民と野党の国民運動は全国各地で継続して展開されました。
地元では、戦争法の廃止と立憲主義の回復を求める茨城県市民連合が結成され、参院選や次期衆院選挙に向けて活発な活動を繰り広げています。東海第二原発の再稼働を許さず、廃炉にする運動、TPPからの撤退を求める運動、年金の改悪を許さない闘いなども広範な県民の参加によって行われました。
 特筆すべきは、つくば、水戸、鉾田などで、総合運動公園、市民会館などの公的施設の計画をめぐり、住民投票条例制定のための署名運動が展開され、水戸、鉾田では議会で否決されたものの、つくばでは議会で可決、住民投票で市長案に8割の住民が反対票を投じ、市民運動派が勝利、そしてその後の市長選挙でこの市民運動派の五十嵐統一候補が現職後継者などを打ち破って当選したことです。これらは、地方自治の主人公で主権者である市民が税金の無駄使いを排すると同時に、市民参加型の市政改革でもあり、民主主義と地方自治にとって画期的な出来事と評価できるでしょう。
 また、10月1.2日につくばで開催された「第13回地方自治研究全国集会」は、延べ2200名の参加者によって熱心な議論が繰り広げられ、大きな成功を収めたことをともに喜びあいたいと思います。関係者の皆様のご尽力に深く敬意を表します。

 今年は、衆院総選挙と9月には県知事選挙が行われます。そして、安倍改憲問題、戦争法廃止、地元の東海第二原発再稼働阻止・廃炉、「地方創生」など平和と民主主義、住民の安全、暮らしと地域経済をめぐるせめぎあいが激化する年になると予想されます。
 本研究所は、近年、会員・読者の減少、学習交流や調査研究活動の停滞などの課題を抱えており、今年はそれらを乗り越える方向に一歩を踏み出したいと考えています。
 本年も皆様の力強いご支援、ご参加、ご協力を心からお願い申し上げます。

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寄 稿

つくば市政、民主化への扉を開く

新しいつくばを創る市民の会 代表委員 山本千秋



 市民の声を生かす市政へ
 つくば市では、2016年11月13日、市長と市会議員の選挙が行われました。市長選は、保守から革新まで幅広い議会会派の支持を得た元市議の五十嵐立青氏(38歳)が4万0069票を獲得し、市原市長の後継として自民党県連の推薦を受けた前市議の飯岡宏之氏(54歳)の3万5346票、元衆議院議員の大泉博子氏(66歳)の1万6180票を破って初当選しました(有権者17万4956人、投票率53.3%)。
 同時に行われた市議選では、五十嵐氏を支持する現職・新人16人が当選し、新市長与党議員が定数28人の過半数を占めました。16人の会派別内訳は、自民つくばクラブ・新しい風7人、市民ネットワーク4人、共産党3人、新社会党1人、山中八策の会1人です。

 私が所属する「新しいつくばを創る市民の会」は、市民運動の立場からおよそ30年間、市長選に関わってきましたが、今回初めて、「市民の声に耳を傾け、市民の暮らしに寄り添う市政」への転換を掲げる市長の誕生に貢献できました。ここでは、市長選の特徴や勝利の意義について考えてみます。

 原点は住民投票運動
 昨年つくば市では、市原市長が提案した巨額な総合運動公園計画に関して、「税金の使い方が間違っている」「横暴勝手な市政運営をやめ市民の声を聞け」という市民運動が起こり、市議会野党会派の共同と相まって、運動公園計画の賛否を問う住民投票が実施されました。 その結果、80%の市民が市長提案を拒否したため、市長は計画の白紙撤回を余儀なくされ(詳細は、○○○○)、4期目の出馬を断念しました。
 こうした動きの中で迎えた市長選ですから、長く続いた市民無視、ハコモノ優先、独断専行の市政を引き継ぐのか、それとも市民のくらし第一の市政へ大転換を図るのか、この二者択一が争点になるのは必然の流れでした。住民投票運動が無かったとすれば、市原市長の悪政を洗い出すことができず、悠々と4選出馬を果たしたでしょう。五十嵐氏を支援する野党議員会派の共同も根拠を失いますので、五十嵐氏の当選を展望することは困難です。

 11月15日付朝日新聞は、市長選の出口調査で108人に聞いたところ、半数が「昨年の住民投票の結果を重視して投票した」と答え、そのほとんどが五十嵐氏に投票した、と報じています。同紙はさらに、「多くの市民が、住民投票の先に、今回の市長選を見据えていた可能性がある」と記していますが、一連の運動に関わってきた私も、全く同感できる記事です。

 候補者の成長
 五十嵐氏は、4年前にも市長選に立候補しており、2万8千票を取りましたが市原市長に敗れ次点でした。この時は、政策上も人物的評価の点でも、例えば共産党の支持は得られず、逆に、共産党は無所属で候補者を立て、市原市長や五十嵐氏と対決するという構図でした。それが、今回五十嵐氏支持にまわった理由は、さまざまな情勢の発展があったと側聞していますが、五十嵐氏自身が謙虚に自己を分析されている言葉から、氏の変化、発展、成長を読み取ることができます。
 11月6日の午後、学園中心部のホテルで1000人以上を集めた「五十嵐立青出陣式」で、五十嵐氏はこう述べています。「4年前、市議を2期8年やっただけで、俺はつくば市のことは、すべてよく分かっている、と思い上がった気持ちでいた。落選して初めて、自分が如何に狭い範囲しか見ずに調子に乗っていたかが判った。この4年間、地域を回り、声にならない声を聴いてきた。バスが無い。70代の老人が90代の母親を介護しているが、おいてけぼりにされている。学園中心部でも保育所が足りない、学童保育施設が少ない。一方で、国保税、介護保険税、下水道は値上げという。税金は市民のために使うのならいいが、必要性が低いのにカッコよく目立つものにつぎ込んでいる。その最大のアダ花が運動公園だった。市民がどれほど問題点を指摘しても、市長は全く無視してきた。私は、市民無視の市政を市民第一の市政に変えたい」と。

 現在、国政レベルで野党と市民の共同が追求されていますが、こうした運動に関わる人々の間でも、敬意を持って誠実に向き合えば、意見の違いを越えて、個々人の前向きの変化・成長は可能であり、固定的に見てはいけないと言われています。市長に就任した五十嵐氏に、「成長した」とは大変失礼な言い方ですが、氏が私の娘と同年配であることに免じて、許しを請う次第です。

 市長選勝利の意義と今後
 つくば市民は、住民投票を通じて、税金の使い方を自分たちで決める体験を積みました。同時に、市民の声を無視してトップダウンで市政を牛耳る独善的な市原市長に対して、事実上の不信任を突きつけました。住民投票は、市政改革の第一段階であり、「市政を動かす」ことになりました。こんどの選挙で市民は、自分たちの声に耳を傾け、寄り添う市長を選び取ったことによって、市政改革の第二段階である「市政の転換」を実現しました。今後は、スピード感をもって実績を積み上げる段階に入りますが、保守色がきわめて強い茨城県で、市民本位の市政を目ざす市長を生み出したことは、やはり歴史的快挙と言えるでしょう。
 
 この市長選挙で特筆すべきもう一点は、保守や革新の枠組みを超えた市議会会派の共同です。この共同は、14年3月議会で運動公園の用地46haを66億円で購入する案件を、賛成14、反対13で可決した時から始まりました。反対した13人は、今回の市議選まで2年半余の間、採決のたびに意思統一を図り共同を維持してきました。その結果、運動公園関連予算の凍結や住民投票条例の可決など、民意を市政に反映させる重要な役割を果たしてきました。この共同の旗印はもちろん、「市原市長提案の運動公園計画反対」の一点でした。
 しかし、運動公園問題が一段落した後も共同は維持され、市長選では、市原市長後継候補に組みせず、住民投票運動で世話人として活動した五十嵐候補支持で共同することになりました。これは、単一課題での一点共同が、市政全般に関わる市長選挙での超党派共同に発展したことを意味しており、驚くべきことです。このような共同は、沖縄県政を除いてあまり例がないようです。未知の領域での「新たな経験」の積み重ねが、全国の闘いに少しでも貢献できれば幸いです。

 新市長にとって初めての12月議会は、保育士の給与引き上げ、高校までの医療費無料化など4つの請願を採択して終了しました。副市長と教育長の人事では、誰もが認める適任者が任命されました。市民の願いを実現する上で、希望の持てる動きが早くも現れているのです。
 最後に、超党派の共同は、内部に矛盾や波乱要因を抱えることも意味します。市政運営の過程では、さまざまな困難や曲折も予想されます。選挙中もその兆しが垣間見られました。新市長の初心を支え、市長与党会派の団結を確かなものにしていく最大の保障は、市民が主体性をもって、積極的に市政や地域の活動に参加していくことだと思われます。

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立ち話すずめが覗く共謀罪
オスプレイ我が物顔で空汚し  
真珠湾謝罪もなくて手打ち式
小寒の凍える肌にうす陽さし
初日の出護憲の光身を照らし

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

事務局から

第2回理事会の報告

 第2回理事会が1月9日(月)午後3時から大洗町「鷗松亭」において開催されました。

 協議された主な内容は次のとおりです。

1事務局運営の若返りについて
 ・役員及び事務局の強化刷新が提起され18年度までに体制の確立を図ることになりました。また事務局体制の若返りと強化をめざします。
2現在までの活動結果について
 ・全国自治研集会の結果について
 10月1-2日、筑波大学において開催され、全国から延べ約2200人の参加(実人数で1276人)を得て成功を収めました。本県関係の参加者は実人員448人集約されました。
 研究所としては、6月のプレ企画(第33回まちづくり学校)に引き続き、次のような役割を担い貢献しました。
 ① 分科会関係では、理事長が第1分科会助言者になったほか、役員等が第4、16、21、22の各分科会運営委員を務めた。
 ② 当日の要員として、実人数で8人、延べ11人が奮闘した。
 ③ 宣伝組織面でも、各団体・個人等によびかけ、環を広げた。

3当面の活動計画について
 ・ 第13回茨城自治体セミナーについて
 自治労連から、第13回茨城自治体セミナーを2月25日(土)に取手市で開催する旨提案があった。
 内容は憲法問題をテーマに水戸翔合同法律事務所長谷萩陽一弁護士の講演を中心にしたい、との提案であった。1月11日に「第1回運営委員会」を開催する。
 ・ 第59回自治体学校の千葉開催について
 全国自治体学校の7月22(土)~24(月)日の千葉市開催が決定し、関東規模での実行委員会を組織されることになり、昨年10月に発足した。
 本県から岡村次長が実行委員として参加することになった。
 ・その他
 小貫雅史顧問が2016年12月30日に逝去されました。
 ご冥福をお祈りいたします。

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イベント案内

◎ 第13回自治体セミナー
  期日:2017年2月25日(土)13時から16時まで
  場所:取手市役所藤代庁舎「大会議室」
     テーマ「共同の力で憲法が生きる地方自治」
     記念講演:谷萩陽一氏(水戸翔合同法律事務所長・弁護士)
     事例報告:①取手総がかり行動の取組み
          ②茨厚労の闘い
          ③公務・公共サービスは正規職員で
                         
     資料代:300円

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新刊紹介

『新版 改定介護保険法と自治体の役割ー 新総合事業と地域包括ケアシステムへの課題 』
伊藤周平・日下部雅喜著

自治体研究社・定価:本体1,389円+税

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