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第75号

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第75号

2015・03・22 更新
水海道・野坂邸

水海道風土博物館・坂野家住宅=常総市

 江戸中期の豪農の暮らしを今に伝える古民家。主屋、書院、庭園、
表門の保存修理が完成し、内部の見学もできるようになった。
 昭和43年に国の重要文化財の指定を受けた。

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「女性ゼロ」地方議会は全国で20%超 女性の議員は全議員の11%

 2月23日付けの朝日新聞に「『女性ゼロ』議会2割超 女性の議員は11%」の大見出しが記された。 
 1~2月、全国の都道府県議会と市区町村議会に1月1日時点の状況についてアンケートを依頼し、回収や直接取材によって全議会から回答が得られたという同社の調査によると、全国の地方議会1788のうち、2割超にあたる379の市町村議会に女性が1人もいない、町村では35%を超え、九州や東北で女性議員の少なさが目立つとのことである。
 379の「女性ゼロ」議会は、市が49、町村が330、最も議員数が多いのは34人の愛媛県今治市議会で、議員数が20人以上の議会は22市町ある。「女性ゼロ」議会の割合が最も高い都道府県は青森で51・2%。41・7%の福島、40%の奈良が続く。都道府県議会には「女性ゼロ」議会はないが、岐阜、香川、佐賀の3県は女性議員が1入。山形、茨城、石川、愛媛、高知、熊本の6県は2人だった。
 地方議員計3万3416人のうち、女性は3926人。1970年代の1%程度から徐々に増えてはいるものの、1割強の11・7%にとどまっている。
 女性議員の割合を都道府県別で見ると、最も低いのは青森で6%。6・1%の長崎、6・5%の石川が続く。逆に、割合が高いのは東京(24・7%)、神奈川(19・8%)、埼玉(18・9%)、大阪(18・4%)など大都市圏だったと示されている。
 有権者数では女性が半数を超えているのに、被選挙権の行使(立候補)程度が低いゆえに議会に占める割合も低率に止まらざるをえない。女性の立候補を阻害している制度的制約、例えば、供託金ー世界でもっとも高額ー、議員の出産・育児休暇のなさ(労働基準法の非適用)、過重労働(議会内外の多忙+家事・ 育児)軽減化措置のなさなど多々指摘されている。
 一貫して改善されないのは、圧倒的多数の男性議員が女性の政治参画の必要性や意義について無理解ないし否定しているからである。男性のみによる政治の異常さ、欠陥が女性(さらに、子ども、高齢者、ハンデキャップを負った人、外国人など)を社会的弱者(生活困難者・貧困者)に追いやっている原因であることに気づくべきある。
 選挙は、社会の多数派=強者が多数議席を獲得する方法であり、多数決の利益を最大に享受することにつながっている。そしてこれが民主制といわれている。
 社会的弱者、とくに女性がそれとして自覚的に政治参画しないと日本社会は旧態依然たるままであろう。

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秘密法総理の腹を見てご用
気がつけばテロの脅威が目の前に  
返したと知らなかったとうすとぼけ
吹きさらしあれから四年仮の宿
梅見酒鬼さんこちらと手をたたき

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

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講演記録

『地方創生』・『地方消滅』論批判と真の地方再生への道

田中 重博(茨城県自治体問題研究所理事長)

Ⅰ「地方消滅」論の衝撃
 (1)増田寛也元総務大臣(1995年から2007年まで岩手県知事3期、2007年から2008年まで総務大臣)を座長とする日本創成会議が、2014年5月8日に「ストップ少子化・地方元気戦略」(増田レポート)を発表した。そこで、2010年から2040年までの間に「20~39歳の女性人口」(若年女性人口)が5割以下に減少する市区町村数は896自治体(全体の49.8%)にのぼり、これを「消滅可能性都市」とした。さらに、896自治体のうち、2040年時点で、人口が1万人を切る市町村が523自治体(全体の29.1%)にのぼり、これが「消滅市町村」とされた。
 翌日の各紙は大々的にこれを報道した。茨城県の場合、前者には、大子町、城里町、河内町、常陸太田市、稲敷市、利根町、常陸大宮市、高萩市、美浦村、桜川市、行方市、五霞町、北茨城市、石岡市、日立市、筑西市、潮来市、笠間市の18市町村が該当し、後者には大子町、河内町、五霞町の3町が該当する。

 (2)各方面の政治的対応
 増田レポートは、結局、第1に、日本では今後、激しい少子化と人口減少が進む。第2に、東京圏への若者の集中化傾向が進む。これらの対策が早急に必要であると強調する。増田レポートは、名指しされた市町村など地方に衝撃を与えるとともに、各方面が迅速に対応した。
 第1に、安倍内閣は「骨太の方針2014」の基本認識に盛り込むとともに、今春の統一地方選挙を意識し「地方創生本部」(「まち・ひと・しごと創生本部」)を設置した(地方活性化や人口減少対策のため)。
 第2に、5月15日には、第31次地方制度調査会(総務大臣の諮問機関)が発足。増田レポートを前提として、「人口減少時代に的確に対応する三大都市圏及び地方圏の地方行政体制の在り方」が諮問される。政財界は「自治体消滅」の危機をあおり、道州制がらみの自治体再編(市町村合併)への道筋をつくることを狙う。
 第3に、国土交通省が2050年に向け、『国土のグランドデザイン2050』を7月4日に決定。そこで、増田レポートをベースにした「集約とネットワーク」化と「日本版コンパクトシティ」づくりの根拠にしている。
 第4に、臨時国会での対応。「地方創生」を「女性が輝く社会」とともに安倍内閣の今臨時国会での目玉とする。地方創生関連法案が11月6日、衆院で自・公・次世代等の賛成で可決された。来年度予算案で最大4兆円の特別枠を設ける方針。

 (3)さまざまな反応のタイプ
 まず、「増田レポート」に関連して日本の人口減少について、国民の間に全般的に不安感や危機意識が高まっている。例えば、日本世論調査会が昨年の9月27、28日両日に実施した人口減少問題に関する世論調査によると、日本の人口減少に関し「大いに不安を感じる」「ある程度不安を感じる」と答えた人は計84%に達し、少子高齢化が進む中、本格的な人口減少時代の到来への国民の危機意識の高まりが鮮明となった。とくに、将来の自治体運営が困難になると感じている人は計62%に上っている(「茨城新聞」2014年10月13日参照)。
 この全般的な不安と危機意識を前提に、「増田レポート」に対する反応の第1のタイプは、「期待」である。すなわち、上述の政府の「地方創生」政策による地方への財政資金や公共事業の配分に対する「期待」である。地域活性化の実際の効果と合わせ、安倍政権の「地方選挙対策」とも微妙に関わっていることは言うまでもない。
 第2のタイプは、特に「消滅する(可能性のある)自治体」とされた市町村の住民や自治体関係者に広がる「いずれ消滅するなら、あきらめよう」という感情と雰囲気である。小田切徳美氏は、「市町村消滅」「地方消滅」が言われることにより、「農村たたみ論」「あきらめ論」「制度リセット論」(「市町村消滅ショック・ドクトリン」による市町村消滅論を意識した道州制への思惑など)の三者が入り乱れた状況が進んでいることを指摘している(『農山村は消滅しない』岩波新書、序章)。鋭い指摘である。
 なお、行政学が専門で地方自治に詳しい大森弥東大名誉教授は「(自治体消滅が)起こるとすれば、自治体消滅という最悪の事態を想定したがゆえに、人々の気持ちが萎えてしまい、そのすきに乗じて『撤退』を不可避だと思わせ、人為的に市町村を消滅させようとする動きが出てくる場合である」(『町村週報』2014年5月19日「自治体消滅の罠」)と述べておられるのは、含蓄が深い。
 第3に、「市町村消滅論」を批判し、真の地方再生を求める議論と政策実践である。後述するように、「全国小さくても輝く自治体フォーラムの会」による地域づくりの多様な実践はそのひとつの典型である(『小さい自治体・輝く自治』自治体研究社、岡田知弘『「自治体消滅」論を超えて』自治体研究社)。

Ⅱ 「地方消滅論」批判
 「増田レポート」には様々な欠陥や事実誤認がみられる。
 その第1は、20~39歳の若年女性人口が30年後に半減すると、なぜその自治体が「消滅可能性」があることになるのか、また、そのうち人口1万人以下(523市町村)になるとなぜ「消滅可能性が高い」とか「消滅する」のか、それらの根拠が説明されていないことである(『世界』2014年9月号、小田切徳美、坂本誠論文)。
 なお、小田切徳美氏は前掲書で、総務省過疎対策室が2010年に、過疎地域の6万5000集落の将来動向について調査したデータによれば、「消滅の可能性あり」はわずか4.3%、「消滅の可能性はない」が83.4%と圧倒的多数であった(無回答12.3%)ことを示し、日本の集落は「強靭」であり、直線的に消滅するものではないことを説得的に主張している。
 第2に、この間みられる都市部から農村部への若者の「農村回帰」傾向に対する過小評価である。これの
動きは、とくに2011年の東日本大震災以降に顕在化したものであり、2010年を基準とする今回の推計には一切反映されていないことである。
 Iターン、Uターン、二地域居住、そして「地域おこし協力隊」(総務省、2009年設置2013年12月現在で978人)等の形での滞在を含めた幅広く、多様な動きである。特にその動きは中国地方で顕著であり、島根県や鳥取県内の過疎地域の小規模町村で、里山評価による若者の移住で人口の社会増加を実現した事例がいくつも生まれていることである。つまり、増田レポートで「消滅」が言われている小規模町村でこそ「田園回帰」が生じているのである。しかもそれは、一過性のものではなく、20年以上続く傾向なのである(前掲『世界』9月号、小田切徳美論文)。
 第3に、現代日本で「少子化」や「人口減少」が急速に広がっていることについての構造的な分析が欠落
していることである。若年世代が子供をつくれない背景として、岡田知弘氏は、小泉構造改革による若者層における「格差と貧困」の拡大を指摘する。つまり、低所得で不安定な非正規労働者や「ワーキングプア」の増大により、子供をつくる大前提である結婚も不可能になっているということである。例えば、男性の300万円未満年収層の既婚率はわずか9.3%(非正規雇用では5.6%)にとどまっている(『世界』10月号、岡田知弘論文)。ここに、メスを入れないと根本的な人口減少対策とはなりえないのである。
 第4に、増田レポートでは、「東京一極集中」の人の流れを変えるために、若者に魅力のある「地方中都
市」をつくり、そこに投資と政策を集中する「選択と集中」によって(それ以外の地域は投資や施策対象から外すということ)、地域からの人口流出を食い止める「ダム機能」を構築しなおすことを目指している(増田寛也編著『地方消滅』中公新書)。
 総務省の言う「地方中枢拠点都市」(政令指定都市および中核市<人口20万人以上>のうち、昼夜人口が1以上の都市。全国で61、平均人口は約45万人)に重なる内容である。地方中核都市より規模の小さい自治体においては、「コンパクトシティ」の形成(市役所や診療所・商店を「まちなか」に集約し、周辺部とつなぐ地域公共交通ネットワークの整備を一体的に進める)が推奨される。
 一方、前述の国土交通省が公表した『国土のグランドデザイン2050』は、国土を、三大都市圏を中心とする「大都市圏域」とその他の「地方圏域」に区分する。後者は「高次地方都市連合」(人口30万人以上、全国で60~70か所)と農村部の中心に整備される「小さな拠点」(おおむね小学校区、中心部に「道の駅」や診療所、郵便、ATM施設等を配置。全国で5000か所程度)があり、さらに過疎地域の約6万5000の集落はコミュニティバスなどで「小さな拠点」と結ばれる。
 しかし、これらの方式は、旧来の「拠点開発方式」の焼き直しであり、周辺地域の「集約化」によって、さらなる人口減少と農村地域の切り捨てと衰退をもたらす恐れが強い。そして、さらなる市町村合併と道州制導入が伏線に含まれていると考えられる。

 Ⅲ「地域振興」「地方創生」についての若干の回顧
 真の地方再生への道を考える前に、戦後日本の「高度経済成長」期以降の「地域振興」や「地方創生」の歩みについて若干の回顧を行っておこう。
 (1)地域開発・工業誘致から過疎対策へ
1960年「所得倍増計画」発表、1962年、第1次全国総合開発計画が策定され、これに関連して「新産業都市建設促進法」による地域指定が行われ、全国の自治体は、地域開発と企業誘致競争を展開した。この時の「工業特別整備地域」として、本県の鹿島臨海工業地帯も指定される。
この地域開発政策は「拠点開発」方式で行われ、都市の拠点地域に産業基盤造成の公共投資を集中し、重化学工業を誘致し、周辺地域農林漁業の近代化を図り、住民の所得増大と福祉の向上を図るという構想であった。
 しかし、現実はこのようには進まず、太平洋ベルト地帯を中心に人口の過度の集中を招き、公害など都市問題を噴出させ、地方財政の赤字をもたらす一方、農村から都市への人口の大量移動により、広範な農山村地域に過疎問題を発生させ、過疎過密問題と地域格差の拡大を招いたのである。
 これへの対応として、政府は1970年「過疎地域対策緊急措置法」(10年間の時限立法)を制定したが、効果がみられず、過疎過密問題はさらに深刻化した。そして、ずるずると法律の延長を繰り返し、2010年に5次目の「過疎法」を制定。この40年間に90兆円近くの巨額の過疎対策事業費を実施したが、問題は解決するどころか、農林水産業の振興という根幹の問題はむしろ悪化している。地方創生を進めるにあったっては、このことに対する真摯な検証と総括が必要であろう。
(2)「一村一品運動」の展開
1980年、平松守彦大分県知事が提唱。地方からの独自の提唱と実践として評価できる側面があり、優れた地域の特産品の開発の例を生み出したが、全般的に状況改善を果たせず、一過性に終わる。
(3)リゾート法(1987年)と「地域活性化」の挫折
 1980年代後半のバブル経済下で、農山漁村にリゾート開発の嵐が吹き荒れ、ホテル、ゴルフ場、スキー場(またはマリーナ)の「三点セット」といわれる民間資本による大規模リゾート施設の誘致(典型的な外来型経済開発)が繰り広げられた。しかし、バブル経済の崩壊(1991年)に伴い、民間企業の撤退や参入中止により、その多くが頓挫した。
(4)竹下首相による「ふるさと創生一億円事業」(1988~89年)
 地方に知恵を競わせるねらいをもって提唱され、一部成功例もあるが、意味不明のモニュメントづくり、農村キャバレー、金の延べ棒購入など概して無駄遣い(財政バラマキ)政策の代表例との評価がなされる。
(5)若干の総括
 外部企業の誘致による地域の振興は企業利益の流出をもたらす。地元雇用は総じて少なく、環境汚染も進みやすく、また、インフラ整備のための先行投資により自治体財政の悪化を招きやすい。
また、事業の頓挫や失敗は地域再生の気運を消沈させ、担い手を散逸させる。さらに、開発予定地が未利用地として荒廃する。「財政バラマキ」で問題は解決しない。

(2015年3月1日講演原稿一部加筆)(続く)

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研究所第4回理事会のおしらせ

 
 日 時  4月28日(火)午後6時30分~
 場 所  ミオス 2階・第1小研修室(常磐線赤塚駅北口前)
 議 題  組織・財政対策について
      全国自治研集会について
      40周年記念事業について

周辺のイベント

We love Peace 世界をつなげ9条の輪

2015年 憲法フェステイバル

5月3日(憲法記念日)10:30~15:30 雨天決行・参加無料

水戸市千波公園 はなみずき広場

テント企画10:30~12:00  
◆9条の会交流会 ◆若者交流 ◆原発問題 ◆えん罪を考える
◆TPPと食料主権を考える ◆平和パネル

ステージ12:20~13:00
✩ 水戸工業高校ジャズバンド Blue Beginners
✩ 水戸藩YOSAKOI 連  エネルギッシュな演舞
記念講演13:30 ~
「イラクから見た日本~ 暴力の連鎖のなかで考える平和憲法」

高遠 菜穂子 氏

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