第58号
第58号
2013・10・24 更新
やまがた宿の芋煮会・常陸大宮市(清流公園)
直径3.5mの関東一の大鍋で5,000食の芋煮を一気に作ります。奥久慈シャモ肉・里芋・玉コンニャク・ネギ・ゴボウなど、地元でとれた食材をふんだんに使った特製の芋煮をお楽しみいただけます。
八策が愚作となって賞味切れ
低年金口ふさがれて剥ぎ取られ
安倍饅頭きつくないのか塩加減
おもてなし裏でこそこそ金あつめ
耳たぶを虫がくすぐる夜長かな
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)
日弁連、政令201号犠牲者に救済勧告!
日本弁護士連合会は、2013年8月28日付けで会長山岸憲司名で、内閣総理大臣安倍晋三、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備機構理事長の石川裕己、国土交通大臣太田昭宏の三氏宛に、「当連合会は、申立人亡土井尚義申し立てに係る人権救済申立事件につき、貴殿に対し、以下のとおり勧告する。」として、「1948(昭和23)年8月9日付けで旧国的札幌鉄道局がなした土井尚義に対する懲戒免職処分は、本来適法な争議行為について、労働基本権を違法に剥奪した同年7月31日公布の政令201号を根拠になされたもので、労働基本権および勤労の権利という人権を侵害した違法な処分であることが認められる。
このような労働基本権および勤労の権利の侵害は、当時わが国が連合国最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策の下にあり、同司令部の指令により政令201号公布されたとしても、許されるものではない。
よって当連合会は、国に対し、可及的速やかに、土井尚義の被った被害の回復のために、謝罪と名誉回復や補償を含めた適切な措置を講ずるよう勧告する」との救済勧告書を送付した。
今回の勧告は、2008年8月のレッド・パージ犠牲者救済勧告につぐ画期的なものである。日弁連による歴史の見直し、すなわち最高裁が超憲法的存在としてマッカーサーの指令や占領軍司令部の圧力を絶対のものと受け入れ、日本政府の追従を無条件に容認した判例にメスを入れ、マッカーサーやGHQのポツダム宣言違反(権限逸脱)、間接占領によって日本法体系(とくに新日本国憲法や労働組合法)に従うべき義務があるのに違反したなどと論じ、かたや、土井さんら政令201号犠牲者の処分対象行為は正当な権利行使である旨を当時の法令に照らして証明し、明快に是正救済の見解を示された。
昔の在朝裁判官、今風に言えば官僚裁判官の判断や裁判に対して、在野法曹の弁護士団体が社会的正義の実現に尽力されている最新の典型例として、今回の勧告を高く評価したい。
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どうなる!どうする!まちづくり(市政)を考える講演会
「自治体財政と地域経済を考えるー年々減る市税・人口、本当に元気の出るまちづくりとは」
講 師 入 谷 貴 夫(宮崎大学教授)
9月1日 新石岡市を考える市民の会主催による「自治体財政と地域経済を考える」講演会を開催した。講師は地域政策や公共事業問題などを専門とする宮崎大学の入谷貴夫教授です。講演要旨を報告します。
1 地域をめぐる現状と課題
地域の現状は
①人口の動向
H12~17年とH17~22年の人口動態を比較すると、人口減道府県が増加し、9都府県で増加しているが他は減少傾向。1321市町村で人口減少しているがこれは76.4%にあたる。人口が一人減ると1年間で数百万の生活費が減る。これは地域経済にとってマイナスになる。
②海外生産・企業立地の動向
このような中で企業動向は、1985年以降企業の海外進出が進む。この年にプラザ合意によってドル安円高になり、生産基地を海外に移すようになり、企業の地方への進出は減少し、都市圏には進出しても、地方では待てども来たらずとなった。
③公共事業(行政投資)の動向
高度成長時代は大都市圏に公共事業が集中したが、過疎化高齢化で地方が疲弊し一時地方圏への公共事業が増えた。1994年以降行政投資が減少し、再び地方圏の公共事業が減少し、もはや公共事業頼みで地域がなり立つというに状況にはないし、大きな企業を誘致するという状況にはない。ここがかつての高成長の時代とは根本的に異なっている。いくら待てども,企業は来ないし、公共事業も来ない。
④産業構造の動向
1985年から2000年の間に一次産業で就業者が減少し、2000年から2005年では第一次産業だけでなく第二次・第三次産業でも就業者が減少している。そうした中で、唯一医療福祉の分野で増加しているが、高齢社会から生じている。
⑤道州制について
今TPPと道州制がこの秋政治問題としてでてきているが、道州制は47都道府県を廃止して10くらいの州にする。道州制となるともう一回合併がくる。今は人口5000位の村と100万都市も自治体としては同等だが、道州制になると市長村は地域完結性を有する主体として人口30~40万ないともたない状況になると言われる。茨城の場合10くらいの市にする。道州制は究極の構造改革で、国際競争力をもつ地域経営の主体となる。ナショナルミニマムといわれる福祉や教育・医療制度などに国が責任を持たず、基礎自治体に財源を付与する一方、地方交付税は廃止される。
2 地域経済をめぐる課題
高成長期以来、国による大企業や大型公共事業を誘致する「外来型の開発」をすすめてきた。県も市も工業団地を造って企業誘致を推進したが、地域の経済は工場だけでなく農業・地場産業・サービス業などトータルなものとしてあるべきだが、企業誘致のみが中心となりいびつになっている。地域は生活の場であり、生活を支えるために経済活動をするが、その逆ではない。しかし現実は逆で地域は経済活動の償却資産でしかない。
さらに、今日ではグローバリゼーションによる企業の海外進出と構造改革により、地域格差が拡大し、地域自体の存続が問われる時代に至っている。そうした中で、これまでの他力本願の外来型の開発ではなく、地域循環構造のマネジメントによる維持可能で内発的な発展をめざす必要がある。近年では千葉県や横浜市など大都市圏の自治体でも内発的な発展を志向する動きが出ている。具体的には、中小企業振興条例づくりの実践や小さくても輝く自治体フォーラムのように合併しない町村づくりに取り組む実践がある。
3 産業の川上・川中・川下が循環する林業立村・・・
宮崎県諸塚村の取り組み
人口2500人の小さな諸塚村、面積の95%が森林、山林は針葉樹だけでなく椎茸原木の広葉樹を残している。また、カーボン・オフセット(相殺する)を始めCO2を減らす取り組みを進める。ここでは明治40年、林業立村を村是(そんぜ)に決め、林業で得た木材を加工し、住宅づくりに利用する地域循環を行っている。昭和32年4大産業(造林・椎茸・畜産・茶)を重点に自治公民館組織の中に産業部会つくり組織として機能させている。
4 中小企業振興基本条例と帯広・十勝の地域経済
・・・帯広市
ここは大規模農業を基幹産業として、第二次・第三次産業との間に産業連関が形成され地域経済循環の高い地域を形成してきた。しかし地域経済が衰退し人口減少によって危機感が生まれ、中小企業振興と産業振興を一体化した条例を制定し、内発的な発展をめざし、農産物の地元加工を基本に地域経済循環創造の取り組みを行っている。
5 石岡市の地域経済について
石岡市経済の特徴として首都圏の工業配置に規定されて首都圏北東部の工業都市として発展。石岡市の経済5783億円の循環は、その56%の3218億円を移輸出産業が占め地元市場産業は1614億円に過ぎない。地元で作ったものを地元で買うというより、域外から多くを購入している。生活関連産業で石岡市の金が市外に流出しているので、物と金が市内で回る地域循環の余地がある。ローカル循環・循環型地域経済(中小企業振興条例の制定により)を形成しないと益々市内の金が吸い取られるようになる。
人口9万余の横手市の住宅リフォーム助成制度は3年間で58億円の工事費が生まれた。それによって雇用が生まれ、税収効果も上がるし、地域の様々な分野に波及効果がでてくる。このように、地域で金を回す取り組みと、地場産業や中小企業を振興する循環型地域経済を形成する取り組みが求められる。
(文責:髙栖 敬【元高校教諭】)
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資 料
かすみがうら市の「学校統廃合を考えるシンポジウム」
学校統廃合シンポ実行委員会
かすみがうら市は、小中学校適正規模化実施計画のもと、中学校を現在の4校から3校に、小学校を現在の13校から5校に統合し再編するとしている。学校統廃合については、子どもの教育と地域社会の存続の双方に関わるものだけに、地域住民でよく話し合い合意をはかるべきだが、地区懇談会および説明会への参加者数はきわめて少ない現状にあることから、今回、専門家を交えて問題点を掘り下げる目的でシンポジウムが企画された。9月16日に開かれたシンポジウムでの資料から三輪定宣氏(千葉大学名誉教授)講演「学校統廃合を考える」の一部を以下紹介する。
学校統廃合政策の現状と推移
1.学校統廃合をめぐる現状
(1)少人数学級の実施
文科省は2011年度概算要求に少人数学級計画(2011~16年度に40→35人学級、17年度~35→30人学級)を盛り込み、国は「30人学級」方針を明らかにした(2011年度、小1の35人学級スタート)。
(2)国の「適正規模」基準制定作業の中止
文科省・中教審は、財務省の方針を受け、1年ほど専門家グループで学校の「適正規模」基準を検討したが、「教育的観点」からの基準づくりは困難としてその研究を中止した。
○2007年11月、財政制度等審議会の2008年度予算建議;「学校の最適化」で「コストも約3割」効率化。教育機関に対する公財政支出の対GDP比(2008年)はOECD平均5.1%、日本3.3%でデータ掲載
31ヶ国で最低、そのさらなる削減が財務省のねらい。
○同年12月、政府の「教育再生会議」第3次報告;「学校の適正配置を進め、教育効果を高める」。
○2008年6月、「骨太の方針2008年」;「教育的観点からの学校の適正配置」
○同月、中央教育審議会(中教審)、「教育的観点」からの学校統廃合の基準つくり検討開始。しかし、予定の12月中間報告、2009年3月報告なく、4月から審議中断し8月答申なし。09年8月総選挙への影響回避のためか。08年12月「論点例」(全10頁)は方向不明。専門部会の主査、委員も消極的(主査;小川正人放送大学教授〔現中教審副会長、前東大教授、専攻・教育行政学〕)。 2009年8月総選挙による政権交代後、
全く動きなし。
(3)統廃合の背景の変化
学校統廃合の背景である少子化、自治体合併、地方交付税削減、行政改革なども2007年時点より変化している。少子化はV字回復の兆候(出生率;2005年1.26~2009年1.37、2010年1.39。「平成の大合併」(2001~2005年度)で市町村数3227から1821に急減したがその後下げ止まり、「構造改革」で2000~05年度に地方交付税は23%急減したが、08年度以降増加に転じる。「行政改革推進法」(2007~10年度。地方公務員6万人、4.6%以上削減目標)も期限切れとなった。
かすみがうら市の小学生数は、2013~18年度、1105~967人(87.5%)、その後は不明であるが、増加も予想される。
(4)学校耐震化期間の短縮
2011年3月11日の東日本大震災を契機に、文科省は学校耐震化予算を2012年度に1500校分1246億円計上し、耐震指標「ls値」0.6未満(震度6以上で倒壊の危険性)84.8%(2012年4月、茨城県70.5%、全国45位)を90%に引き上げる目標を設定した。学校統廃合計画による廃校予定校の耐震化の遅滞は許され
ない。
2.学校統廃合政策の推移
(1)国の「適正規模」基準一「適正神話」の問題点
国の学校「適正規模」基準は、予算補助の目安であり、教育的な基準を意味せず、現行の学校設置基準も規模を重視していない。学校規模の実態は基準外が8割であり、基準に教育的道理がないことを示している。
○I947年5月、学校教育法施行規則41条;「標準規模」12~18学級、「ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」 戦後6.3制発足時の新設学校の目標であり、例外を前提とし、それに従う道理も義務もない。
○2007年12月、小中学校設置基準;学級規模、校舎、運動場、設置施設の基準を規定しているが、学校規模の基準を規定していない。「適正規模」論を金科玉条とし、それを最優先する千葉市の方針は、この点でも虚偽、空論である。
○1958年4月、義務教育諸学校施設費国庫負担法施行令4条=国が公立小中学校を「適正な規模」に統合する場合に建築費の2分の1(改築なら3分の1)を負担し、その「適正な規模の条件」はおおむね12~18学級(小規模校の吸収統合のときに限り24学級)、通学距離はと小学校4km以内、中学校6km以内。過疎地域等でその後3分の2に嵩上げ。
国の学校「適正規模」基準は、統合のための補助金支出・誘導基準であり、教育的観点の基準ではない。 12~24学級まで学校統廃合をしたら補助金を有利にするという財政誘導基準であり、広域化による農村・農業切り捨て・財政効率をめざした「昭和の大合併」(1953~55年、町村3年間で約1万から3千台へ急減)、大規模町村合併に合わせた学校統廃合基準であった。その基準は「適正な規模」と表現されているが、あくまでも補助金の支出基準であり、教育的に適正という意味ではなく、建築基準などと異なる。自治体・施設の
統廃合で地方交付税の測定単位(学校、学級、教職員など)が減れば、国の経費が大幅に削減できる。
通学距離の適正基準値=
農村部;小学校 1 km 15 分以下、
中学校 2 km 30 分以下
都市部 小学校 0.5 km 10 分以下
中学校 1 km 15 分以下
(文部省、学校施設規準規格調査会、1963年)
○ 公立学校規模の実態(2009年度、文科省統計);国の統合の「適正規模」12~18学級の基準内内の学校は、全国で3分の1以下の29.0%にとどまり、11学級以下が48.3%、19学級以上が22.7%を占める。7割の学校が「適正規模」の範囲外にあり、基準は実態に合わない無理、非常識なものであることは明らか。
○東京都特別区長会は、1984年、「行政改革」のため11学級300人以下の学校を廃校とし、各区が学校統廃合をすすめたが、約30年後の現在、11学級以下の学校は小学校だけで334校(25.4%)を数える。住民の統廃合反対で多くの計画が阻止されている。
(2)学校統廃合政策の反省-”Uターン通達”-
国の学校統廃合政策は、1973年9月の学校統廃合の”Uターン通達”(「公立小中学校の統合について(通達)」)で方向転換した。その原則は以下の通りである。
①無理な学校統廃合禁止と住民合意=「学校規模を重視するあまり無理な学校統合を行い、地域住民等との間に紛争を生じたり、通学上著しい困難を招いたりすることは避けなければならない。」
②小規模校の尊重=「小規模学校には教職員と児童・生徒との人間的ふれあいや個別指導の面で小規模校としての教育上の利点も考えられるので、総合的に判断した場合、なお小規模校として存置するほうが好ましい場合もある」
③学校の地域的意義=「学校統合を計画する場合には、学校のもつ地域的意義等をも考えて、十分に地域住民の理解と協力を得て行うよう努めること。」
「平成の大合併」向け全国都道府県教育長協議会『教育委員会のための市町村合併マニュアル(改訂版)』平成17年8月)の「学校の統合」の項もこの方針を確認している。
Uターン通達は、1956年の学校統廃合推進通達以来、約20年の試行錯誤とそれに反対する住民運動等を背景に出され、重要な教訓や原則が含まれている。高知県の国会議員(日本共産党・山原健二郎)への国会での文部大臣(奥野誠亮)答弁の具体化、三輪定宣「統廃合政策の動向と教育・地域の諸問題」『住民と自治』2008年9月号。
(3)行政手続法の制定と教育政策決定のルール
学校統廃合推進の行政指導は住民の賛成と協力が必要、前提であり、「方針」などを理由に強要できない。
行政手続法(1994年度施行)は、「行政運営における公平性の確保と透明性の向上を回り、もって国民の権利利益の保護に資する」(1条)との観点から、「行政指導の内容があくまでも相手の任意の協力によってのみ実現されることに留意」(32条)し、「当該権限を行使しうる旨を殊更に示すことによって相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない」(34条)と規定している。
国際社会に共通の教育政策決定の原則、ルールは、行政当局と関係団体との完全な協議・合意である。欧米では保護者、生徒、教職員等の代表からなる学校評議会が学校政策を決定する。
「教師の役割と地位に関する勧告」(1996年)は、「教員および教員団体との、並びに、家庭、保護者団体、企業、雇用者、労働団体、メディア、倫理的・精神的な権威ある機関、学界などの教育の変革における他の担い手との、協議、調整及び対話を通じて、教育の目標と変革の方向性を明確にすること。このような協議や調整は、教育のプロジェクト又は改革の実施段階に限定されるべきではなく、その計画策定、着手、追跡調査および評価にも関与すべきである。」と規定している。
(4)子どもの権利条約と意見表明権の保障
条約によれば、当局は当事者の子どもの意見に拘束される。
児童の権利に関する条約(1989年)は、「児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は‥相応に考慮されるものとする。」(12条)と規定している。学校の生徒参加は国際的趨勢である。
イベント案内
道州制と国民・住民の暮らしを考えるシンポジウム
◎道州制に未来はあるか
◎TPP、消費税、社会保障、公共事業をどう考えるか
と き :2013年12月14日(土)13:00~
ところ :明治大学 リバテイタワー 地下1階 1001番教室
参 加 自 由 資料代500円
あいさつ 晴山 一穂 専修大学教授
コーデイネーター 白藤 博行 専修大学教授(地方自治)
永山 利和 元日本大学教授(地域経済、経営)
パネリスト
自治体首長の立場から 稲葉 暉 岩手県一戸町長(全国町村会前副会長)
国と自治体の財政 平岡 和久 立命館大学教授
社会保障と福祉 伊藤 周平 鹿児島大学教授
フロアーから地域や暮らしの実態などを発言していただく予定です。
主催 行財政総合研究所・地方自治問題研究機構・自治体問題研究所
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