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第52号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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2013・04・26 更新

東海第二原発



保安林に囲まれた東海第二原発(東海村)

 

東海村の海岸線は、北は久慈川河口から南は常陸那珂火力発電所まで約6Km。一夜にして集落が砂の中に消えたという「千々乱風」伝説の残る地であった。写真は朝日新聞より。 

東電も老化したのかすぐ漏らし
金あふれ呑んで騒げと発破かけ  
九六条ハードル高いと鉈(なた)を入れ
水仙はお辞儀したまま老けて行き

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

東海第二原発の防潮堤建設と保安林指定の解除

 日本原子力発電(以下、日本原電)が、東海第二原発の海側に津波対策の防潮堤を建設する目的で、敷地内の保安林の伐採を計画している。日本原電は、森林法に基づく保安林指定の解除申請の意向を県に伝えている。申請には事前に地元首長等の同意が必要とされている。村上達也東海村長は「再稼働を前提にしたもので、認められない」と述べている。
 地域住民の生命、健康、生活および財産を守るために伐採が禁じられ、特別の公共の利益があるときに解除されるのが保安林指定制度である。県知事の解除処分には、東海村民(伐採範囲如何ではひたちなか市民)から処分取り消しの訴えが提起される可能性が高い。保安林指定解除処分の取り消し訴訟では、長沼ナイキ基地訴訟がよく知られている。最後は最高裁で敗訴したが、伐採後の集中豪雨による洪水で原告住民等が被災して、取り消し訴訟の提起が正しかったことを証明した。
 東海第二原発が立地する東海村の村松海岸には、潮風や砂から農耕地や住宅を守ため砂防林が植えられている。1919年から1953年までの間3回にわたって184㌶に計220万本のクロマツが植えられ、「海岸砂防発祥の地」とも呼ばれている。現在、村内の136㌶が砂防目的の保安林として指定されている。
 日本原電は、原子力規制委員会の新安全基準(7月18日発効)を満たさないと東海第二原発の再稼働が認められず、それゆえ、保安林を伐採して高い防潮堤を建設する必要がある。しかし、保安林指定解除には町長の同意が不可欠なため、今夏の村長選挙に運命を託すしかない。選挙のゆくえは東海第二原発の廃炉をも左右することになる。従前の例にならえば、村長選挙は知事選挙と同時実施になる。(T.T.)

資料

「道州制推進基本法案」が今国会提出へ
 与党ワーキングチームが合意
 自民、公明の与党両党は4月11日、道州制基本法に関する立法ワーキングチーム(WT)の初会合を開き、「道州制推進基本法案」として今国会に共同提出することで合意した。
 法案の骨子は以下のとおり。

第3条(道州制の実施時期)
 道州制は本法施行後5年以内に全国同時に実施するものとする。
第4条(道州の区域)
 道州の区域は、地域の自立的で活力のある圏域を実現するとともに、国と地域を通じた効率的な行政システムを構築するという道州制の趣旨に沿うよう、ふさわしい範囲をもって定めるものとする。
 このため、地域の社会経済的諸条件、地理的条件、歴史的条件、文化的条件を勘案し、また、地域の自主性を尊重し、全国について重複及び空白なく画定するものとし、次の手続きを経て、法律で定めるものとする。
 国は道州の予定地を示す。
 都道府県は、その区域内の市町村の意見を聞き、別に定める期限内に、協議により当該予定区域に関する意見を国に提出する。
国は、当該意見を尊重して区域に関する法律案を作成する。
第5条(基礎自治体及び道州と国の事務分担) 
 基礎自治体は生活に密着する、福祉関連、救急を含む消防、保健衛生、教育文化、まちづくり、公害対策、戸籍・住民基本台帳の事務を分担する。
 道州は広域的に連携を要する、警察、公共事業、環境保全、災害復旧・危機管理、労働・雇用対策の事務を分担する。
 国は最小限国家として果たすべき、国際公共財、国民基盤サービス、全国的ルール設定・監視、調査・研究の事務を分担する。
第6条(道州の議会)
 道州に決議機関として議会を置く。議会の議員は道州の住民が直接選挙する。
第7条(道州の執行機関)
 道州の執行機関として長を置く。長は道州の住民が直接選挙する。長の多選は禁止する。第8条(税制)
 税は、道州税及び市町村税とし、国税は道州税の中から国と道州の協議により定めた割合のものを道州から国に納付するものとする。国民から直接徴収する国税は廃止する。
 道州間の税の偏在については、道州制実施後10年間の期間に限って格差是正を図る制度を設けることができるものとする。
第9条(検討機関の設置)
 本法の具体的推進に当たり、国会に次の検討機関を設置し、1年以内に結論を出す。

道州制の検討に当たっての全国知事会の立場  2013.1.25
道州制の基本原則
 道州制の検討に当たっては、以下の基本原則が前提とならなければならない。
 国と地方自治体双方のあり方を同時・一体的に抜本的に見直し、国から地方への決定権の移譲を実現し、分権型社会における広域自治体に必要な要件を満たす新たな地方制度として「道州制」を検討しなければならない。
 道州は、国と市町村の間の広域自治体として、市町村と役割を分担して、主に地域における広域行政を担うものとすべきである。国との必要な連携は確保しつつも、道州が国の出先機関的な性格や国と地方自治体の中間的な性格を持つようなものであってはならない。また、単なる都道府県合併となってはならない。
 「国と地方の役割分担」を抜本的に見直し、現在国が担っている事務については、外交、防衛、司法など、国が本来果たすべき役割に重点化し、内政に関する事務は、基本的に地方が担うこととすべきであり、このことは、国と地方の双方の政府の機能強化や行政の効率化による国民負担の軽減にもつながるものである。
 その際、都道府県が担ってきた事務については可能な限り市町村に移管することとし、道州は、広域的な事務や高度な技術や専門性が必要な事務等を担うこととすべきである。また、都道府県の事務を移管するに当たっては、基礎自治体たる市町村は、自立性の高い行政主体として、十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる体制とする必要があり、このための方策を検討する必要がある。
 国と地方の役割分担に基づき、国が果たすべき役割に最もふさわしい中央政府の姿を検討するという観点から、国の事務権限の仕分けを行い、国の出先機関の廃止のみならず、中央府省の解体再編を含め、地方への権限移譲が行われなければならない。 その際には、財政面等において地方の過大な負担とならないよう、権限・財源の一体的移譲を前提とした制度設計や、人員移管のルールづくりが確実になされなければならない。
 内政に関する事務について、道州が事務を自主的・自立的に担えるようにするため、国の法令については大綱的なものに限定するなど、基本的な事項を定めるにとどめ、道州に広範な自治立法権を付与するようにしなければならない。
 地方が担う役割に見合った地方税収を確保するため、税体系を抜本的に再構築し、地方の課税自主権を強化する必要がある。例えば、諸外国の事例を参考にした共有税の導入など、現行の国税と地方税の税目や課税自主権のあり方も含めた抜本的な見直しを行い、可能な限り偏在性が少なく、安定性を備えた地方税体系を構築しなければならない。道州間の歳入を一定程度均等化するための財政調整制度については、まず、現行の地方交付税がそもそも標準的な行政サービスを全国どの地域においても享受できることを前提とした自治体の財源保障を担うものであることから、これを地方の固有財源として明確に法的に位置づけ、その総額や配分方法については、国と地方において決定する仕組みの導入を検討しなければならない。
 さらに、全てを国と地方の垂直的な財政調整で賄っている現行方式に加えて、国からの関与や依存度を縮小するという観点から、一部について、道州間で主体的に財政調整を行う水平的な調整の仕組みを併用することも検討しなければならない。
 道州の区域は、経済的に自立性の高い圏域を形成するという観点や地域の事情を考慮して定めるものとするが、その際、道州と市町村の二層制としたときにも、住民サービスがさらに充実・強化されるのは当然のことであり、加えて住民が一体感を持つことができるよう地方の意見を最大限尊重した区域となるように設定すべきである。
 また、地理的特性、歴史的事情、文化的条件も最大限考慮すべきである。
 なお、道州の区域等の枠組は、国と地方双方のあり方の検討を踏まえて議論されるべきものであり、国において一方的に区域を絞り込むなど、枠組を先行させた議論を行うべきではない。

全国市町村会の動き

全国町村会は4月17日、道州制の導入を目指す法案が与野党共同で今国会へ提出されることを懸念し、4月10日衆・参国会議員に対して行った「全国町村会長書簡」等の配付に続き、本日、自民党及び日本維新の会に対し要請活動を行った。
 本会からは藤原会長(長野県町村会長・川上村長)荒木副会長(熊本県町村会長・嘉島町長)渡邊行政委員会副委員長(新潟県町村会長・聖籠町長)が出席し、道州制は地方分権の名を借りた新たな集権体制を生み出すものであり、大都市へのさらなる集中を招き地域間格差を一層拡大させる道州制の導入については一貫して反対であることを重ねて訴えた。 
 自民党に対しては、準備中の「道州制推進基本法案」は、単に、『道州制国民会議』を設置し、導入の是非を含め議論していくためのものではなく、その実態は、道州制の導入を前提に、 具体的な制度設計や必要な法制の整備を、期限を切って政府に義務付けるもので、極めて問題があり、全国町村会としては、提出に反対であるとの意向を伝えた。
 

全国町村会、「道州制」導入反対で行動計画

信濃毎日新聞2013年01月03日(木)

 全国町村会(会長・藤原忠彦南佐久郡川上村長)が10日に開く衆院選後初の正副会長会で、自民、公明両党が連立合意で確認した「道州制」導入について反対攻勢を強める行動計画をまとめることが2日、分かった。藤原会長は「政府との対決姿勢を出さなくてはいけない。相当強い反対攻勢をかける」としている。 
 自公両党は衆院選で「道州制基本法」の早期制定、道州制導入を公約。自民は既に法案の骨子案を策定している。町村会は法案の年内国会提出を警戒。骨子案は「都道府県を廃止し、全国の区域を分けて道州を設置する」とする一方、道州の区割りなどは今後検討としているため、町村会側には「自治体の機能強化を理由にした合併を迫られる」「県を分断する再編が生じる」といった懸念も出ている。「平成の大合併」を経て、市周辺部となった旧町村では住民サービスの低下などを訴える声が少なくない。全国町村会は衆院選前の昨年11月、道州制導入反対を特別決議した。だが、新政権は推進の構えを崩しておらず、行動計画では、各政党や国会議員の道州制への姿勢を把握し、どう働き掛けるかを確認する。町村会設置の有識者による「道州制と町村に関する研究会」(座長・大森弥(わたる)東大名誉教授)に理論的な支援も求める。

住民の声とくらしを切り捨てる道州制を批判する・・・自由法曹団

2013年4月15日

はじめに
政財界は,道州制への移行を進めるべきであると主張し,通常国会に議員提案で「道州制基本法案」を提出する動きも報道されている。しかし,いまねらわれている道州制は,わが国の憲法や法令の基本原則と相いれないものである。
 これまで政財界は,「小さな政府」を目指すと称して政府機関を縮小し,地方への交付金を削減してきた。いわゆる三位一体の改革では,国の行政機関・機能・財源が都道府県に移譲されないままで,都道府県や市町村が福祉・教育にもちいることのできる財源が大きく削減された。この結果,地方はますます疲弊するようになっており,地方自治体の働き手が大幅に減少している。また,平成の大合併によって基礎自治体である市町村が削減され,地域住民と自治体・議会との距離が拡大し,行政サービスの低下や地方自治に住民の意思が十分に反映されなくなるという弊害が生じている。
 道州制の導入は,府県を統廃合して地方自治を空洞化するにとどまらず,憲法25条等に定める社会権保障について国の責任を放棄する。国の権限と責任を防衛・外交等に限定し,地方政治に住民意思が十分に反映しないもとで,財政と権限を財界本位に集中投入することを可能にし,地域住民のくらしと福祉に大きな地域間格差をもたらすとともに,国と地方自治体で働く労働者の大量首切りを引き起こすことになるのである。
 自由法曹団は,基本的人権と平和・民主主義を擁護する法律家団体として,「道州制」の導入に反対し,その問題点を指摘するために,以下のとおり意見を述べる。

第1 「道州制基本法」をめぐる情勢
 1 加速する「道州制基本法」案提出の動き
 すでに「道州制推進連盟」により「道州制基本法案」が公表されており,同法案では「我が国に広域自治体として道または州(以下「道州」という。)を置き,県は廃止する」,「地方自治は基礎自治体たる市町村が自らの責任で実施することを基本とする」,「基礎自治体の範囲を超える広域且つ戦略的な自治を基礎自治体の連合体である道州が担う」,「国は国として果たすべき役割に重点化する」などとされている。また,自由民主党も,「国民会議」アピールを受け「道州制基本法案(骨子案)」(以下「自民党骨子案」という。)を2012 年9 月6 日付で公表している。
 2012 年の総選挙後,道州制基本法案の国会提出・成立への動きが一気に加速している。自民党は,今通常国会に「道州制基本法案」を議員立法で提出する方針であると伝えられ(「産経」1 月11 日付「自民,道州制基本法案を来年度予算成立後に提出へ」),安倍晋三首相は2013 年1 月31 日の衆院本会議で,「道州制基本法」について,「早期制定を目指して議論を行う与党と連携を深めて取り組む」と述べた(「東京」1 月31 日付「首相,道州制法の早期制定目指す」)。また,自民党は2013 年2 月21 日,衆院選後初となる道州制推進本部(今村雅弘本部長)の総会を開き,「道州制基本法案」の骨子案に前文を追加し,会合後の記者会見で今村本部長は道州制導入に前向きな野党との共同提案も視野に,今通常国会への提出,成立をめざす考えを表明した(「自治日報」2013 年3 月1 日付「道州制基本法,今国会成立目指す」)。
 なお,自民・公明両党は,「道州制推進基本法案」と名前を変えた上で,みんな・維新各党と共同して4月中にも国会提出をめざすと伝えられている。
 2 期限を区切った制度化へ
 自民党骨子案によると, 「道州制基本法」の「目的」は,「道州制の導入の在り方について具体的な検討に着手するため,当該検討の基本的方向及び手続を定める」こととされる。この「道州制基本法」は,道州制導入という枠組みを先に設けた上で,期限を区切って具体的な制度設計を議論し,速やかに「道州制」へ移行することを予定している。
 具体的な進め方としては,道州制の基本理念を国の正式方針とした上で,内閣に「道州制推進本部」を設けて「道州制に関する企画及び立案並びに総合調整」と「施策の実施の推進」をはかり,内閣府に30 人以内の有識者らで構成する「道州制国民会議」をおき,道州の区割り,国・道州・基礎自治体の事務分担,道州・基礎自治体の税財政,道州・基礎自治体の公務員制度と道州制の導入に伴う公務員の身分の変更等について,首相の諮問を受けて3 年以内に答申し,制度設計を進める。
 「道州制基本法」が成立すれば,期限を区切って一気に「道州制」への移行が事務手続段階に入ることになる。「道州制基本法」は「道州制」の基本方針を定めるもので,その内容は下記のとおり憲法や法令の基本原則に反するものであり,許してはならない。
 
第2 道州制とそのねらい
1 道州制とは
 道州制は,語義としては,行政区画として道と州を置く地方行政制度であり,現行の都道府県を廃止し,これより広域の道もしくは州を行政単位とする制度である。わが国での最近の議論は,北海道は道として存続し,それ以外の地域に数個の州を設置し,それらの道州に現在の国の権限の一部と都道府県の権限の一部を担わせるものとして構想されている。
2 道州制導入を求める議論
 道州制導入を求める声は財界から強く出されている。
 ① 日本経団連の提言
 日本経団連「道州制の導入に向けた第 2 次提言」(2008 年11 月18 日付。以下,「経団連第2 次提言」という。)は,道州制を「究極の構造改革」と位置づけて,「地方支分部局の整理と職員定数の大幅削減を実施する」ことなどを求めてきたが,さらに「道州制実現に向けた緊急提言」(2013 年3 月14 日付)を発表し,ロードマップを示して2018 年までに導入することを求めている。
 ② 「地域主権型道州制国民協議会」
 「地域主権型道州制国民協議会」(2009 年1 月26 日)は,「国内の官僚独裁ともいえる中央集権的政治及び行政を廃し,区分した道州住民の主権による,地域に適した身近な政治及び行政を実現する」ことを目的とし,「国民自身の手で社会システムのデザインを根本的に変える国民運動を展開し,真の民主主義である産官学住の協同による地域主権型道州制を目指」すとしている。
 ③ 「地域主権と道州制を推進する国民会議」アピール
 経済三団体は,「地域主権と道州制を推進する国民会議」を設立し,地方・地域に組織をつくり,道州制を推進する世論をあおっている。「道州制実現に向けた政治のリーダーシップを~ 『地域主権と道州制を推進する国民会議』アピール~」(2012 年6 月27 日付)は次のように述べる。
 「われわれは,社会保障と税の一体改革,財政健全化,環太平洋経済連携協定への参加など,わが国の将来を左右する課題に果敢に立ち向かい,将来にわたり日本の成長を実現していかなければならない。その鍵を握るのは,新しい国づくりともいうべき『地域主権の確立と道州制の導入』に外ならない。各地域が権限と財源を持ち,自らの選択と責任により潜在的な魅力と強みを最大限に発揮できる,都道府県の枠を超えた広域的な地域づくりに邁進することこそ,わが国の未来を切り開くと確信する。」
3 道州制のねらいは財界本位の権限と責任の集中投入=地域間格差と大量首切り
 (1)国の責任を否定し地域間格差を拡大
 これら道州制の推進論は,国から各道州へ様々な権限,的確な財源,適切な人材等を移管すれば,地域活性化,地方経済再生の実現を期待できると主張したり,小さな単位である市町村では実現の難しい政策を大きな単位である道州により,効率的かつ効果的に展開できる,公務員数の大幅な削減により行政をスリムにできる,等と主張している。
 これらの道州制推進論をうけて,「道州制基本法」は「基本理念」に,「国の事務を国家の存立の根幹に関わるもの,国家的危機管理その他国民の生命,身体及び財産の保護に国の関与が必要なもの,国民経済の基盤整備に関するもの並びに真に全国的な視点に立って行わなければならないものに極力限定し,国家機能の集約,強化を図る」こと,この他の国の事務は「国から道州へ広く権限を移譲し,道州は,従来の国家機能の一部を担い,国際競争力を持つ地域経営の主体」と規定する。そして,市町村などの基礎自治体は「住民に身近な地方公共団体として,従来の都道府県及び市町村の権限をおおむね併せ持ち,住民に直接関わる事務について自ら考え,自ら実践できる地域完結性を有する主体」だとした上で,「国及び地方の組織を簡素化し,国,地方を通じた徹底した行政改革を行う」ことも「基本理念」だとしている。
 ここでは,住民のくらしや福祉に国が責任を持つという憲法25 条の社会権保障の理念が否定され,身近な福祉国家的施策は基礎自治体の責任とされ,道州間でも競争と格差が当然のこととされている。道州制は国が課税権を活用して国民の福祉とくらしに財政責任を負うという現行の制度も否定し,「小さな政府」論に立った「行政改革」の名の公務員削減も「基本理念」として強要しようとしているのである。
(2)民意が反映されない道州制
 また,国と地方の役割分担を進めると,特定の分野を国の「専管事項」として地方の権限を奪い,国の権限を強化する方向にもはたらく。
 「地方自治の本旨」(憲法92 条)に基づき保障されるべき地方自治は住民自治と団体自治の二つの側面から成り立っている。これは,住民要求によって支えられた地方自治体が,中央政府の地方を切り捨てる施策に歯止めをかけるという勢力均衡の理念を包含している。国と地方の役割は重層的であり,一つの課題について全国民的視野から国が果たすべき役割と,地方住民の実情に即して地方が果たすべき役割とが重なり合うことにより,国と地方のチェックアンドバランスが図られているのである。道州制は国と地方の役割分担を進めるものであるから,国の「専管事項」についての政策に地方が関与する余地を奪うものである。しかも,自治体が広域化するため地域住民と行政及び議会との距離が拡大し,地方自治では住民の意思が十分に反映されなくなる。住民生活に密接にかかわる問題について,地方住民の声は,地方政治においても反映されないこととなり,地方自
治体が本来果たすべき住民自治・団体自治の役割は否定されることになる。
 財界本位の権限と責任の集中投入
 その結果,国の行政機関・機能・財源が移譲されないまま,都道府県や市町村が福祉・教育に用いることができる財源を削減する道州制は,住民意思が十分反映されない地方自治の下で,地域間格差を拡大させ公務員の削減を加速させることになる。こうした状況を作り出した上で,財界本位の権限と責任の集中投入をすることこそ道州制のねらいなのである。 (以下省略)

【全文はPDFファイルになっており、閲読可能である】

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イベント紹介
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と き:5月18日(土)午後1時30分開会 13:00受付開始
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 水戸市見川5-127-281 Tel:029-251-6525 

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