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第51号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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2013・03・21 更新
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雨引山楽法寺の山門(桜川市) 

 雨引山の中腹にある楽法寺(雨引観音)も桜の名所として知られ安産子育ての霊場としても関東屈指という。
真言宗豊山派に属し、板東三十三カ所巡礼の二十四番札所になっている。

高齢化終の住み家が見つからず
雪とけて氷もとけて党が解け  
賃上げに心にもなく語呂合わせ
うぐすや小枝の先で音痴鳴き

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

自民の後退は呆れてものがいえない・・・発送電分離の改革を放棄

 電力会社(発電)から送配電部門を切り離す「発送電分離」改革について自民党の経済産業部会が事実上ストップ決定をくだした(3月19日)。電力業界の働きかけに応じたのだ。民主党政権の発送電分離改革を数年遅らせながらも引き継ぐといっていた安倍内閣だが党内からの反対論もあって腰砕けになりそうだ。
 発送電分離改革が急がれるのは、発電シフトの転換、すなわち原発・火力発電から自然エネルギーへの転換に直結しているからである。
 太陽光発電、風力発電、地熱発電など持続可能な自然エネルギー開発に多くの有力な民間企業が参入してきている。しかし、北海道電力や東北電力はじめ電力会社は、送電線の容量に限界があるとして民間からの太陽光発電計画の申請を30%から50%も拒否している。送電容量の限界とは、将来原発が再稼働して発電した電気の送電を確保するに必要な容量のことである。
 電力会社は、原発の再稼働に固執して日本社会のなかに生まれている自然エネルギー利用への動をさえぎろうとしている。電力会社のかような姿勢は、自公民政権による原発維持・再稼働促進の方向が顕著になってきたからである。2012年4月末~11月末の7ヶ月間で自然エネルギーの発電能力は約144万KW増え、その97%を太陽光が占めた。申請されている発電計画は1400万KWもあり原発の発電能力の半分に達する。 
 発送電分離で送電自由化になれば勢いはもっと増しドイツと同様、脱原発は実現可能となる。 
 福島第一原発の過酷事故に目を背け、原発からの撤退・発送電分離要求にも耳を貸さずに、ひたすら原発維持・再稼働促進に走る自民党と電力業界に、国際社会からも批判の声が寄せられており、日本国内でも脱原発の世論に追い込まれていくにちがいない。(T.T)

新しい展望を切り開く自治研活動をめざして

茨城自治労連自治研推進委員会委員長 加藤木 正

 茨城自治労連では、今年度の大会の運動方針の中で、自治研活動を推進することを打ち出し、住民のいのちとくらしを守るためにいかに住民の切実な要求に対し、行政マンのプロとして何ができるかを考えまた、その時々の情勢に対応していくための政策の研究、学習活動を充実するために、先日3月1日に52人体制の自治研推進委員会を立ち上げました。
 その中で、二つの学習会を実施しました。一つ目の学習会には茨城自治体問題研究所より飯田三年氏を招きました。飯田さんには「『つくば白書』と自治研活動について」というテーマで、いま私たちがおかれている現状の大きな矛盾について話があり、「矛盾があるからこそ運動につながる」など貴重なお話を頂きました。また、自治体職員の3つの姿という項目では、自治体で働く私たちの立場をいろいろな角度から分析し、私たちの働き甲斐や生きがいについての話を分かりやすく教えていただきました。さらにはそのようなことを踏まえて、つくば市民白書と自治研活動というテーマでは、自治研活動を通じて新しい展望を切り開いていくことが私たち自治体労働者の大きな役割なのだということを具体的に示され、今後の組合活動の一つとして推進していただきたいと励ましのお言葉を頂きました。
 もう一つの学習会は、茨城共同運動事務局長の岩岡俊治氏(茨城自治労連管理職ユニオン)をお迎えし、「自治研活動の内容と意義について ~自治研活動を楽しくすすめるために~」と題して、自治体と自治体労働者の役割について、自治研活動の必要性や意義、そのために取り組んでいる茨城共同運動の生い立ちや組織、目標、県民要求実現のための方策、要求づくりの基本、交渉懇談の仕方など具体的に分かりやすく教えてもらいました。岩岡さんは長年共同運動に携わってきた中で、「時には住民の要求が自分の仕事に対してだったこともあり、自分たちで作った要求に自分が回答するような時もあり、板挟みになって苦労した時もあった」そうです。しかし、公務労働者は人を生かすことも殺すこともできてしまう。よく使うか悪く使うかで人の命にもかかわってくる。そんな中でいかに地域住民のための仕事につなげていくかは、地域住民と議論し、共に要求実現のために一緒になってたたかっていくことで、私たち公務労働者が働き甲斐を感じ、ひいては自分たちの仕事を守ることにつながっていく。地域住民の期待が我々の共同運動に対して高まっていけば、さらなる展望が開けるのではないかとのことでした。
 私たち茨城自治労連自治研推進委員会では、今後共同運動の要求づくり、まちづくり学校、自治体セミナーなどを通じて、自分たちの仕事の勉強、地域住民に喜んでもらえるためにはどうしたらよいかの調査・研究・学習活動等をみんなで力を合わせて行っていきたいと思います。そのためには自治体問題研究所の存在なしでは到底できません。今後とも自治体問題研究所のますますの発展とご協力を切に懇願して、今回の自治研推進委員会のご報告とさせていただきます。今後とも皆さんのご協力をお願いします。

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住民自治の主旨に沿う議会改革
ー取手市議会基本条例を読むー

茨城大学名誉教授  田村武夫

1はじめに  
 2月2日付け朝日新聞の茨城版にこんな見出しが大書きされていた。
 「取手市議会へ視察 県外から議員続々、基本条例・採決集計システムに関心」
 記事の大略はつぎのごとし。全国各地の市議会や区議会の議員らが昨春から、取手市議会を相次いで視察している。「全国でも例がない」と学識者からも評価された議会基本条例や、県内初の押しボタン式の採決集計システムなどを見聞している。
 取手市議会基本条例は、「飾り物の条例は不要」との意気込みで策定され、1年前に施行された。本会議の議員討論については、1議題につき1議員が3回まで発言できる規定を盛り込んだ。従来は、1議員が賛成か反対の発言を1回すれば「出番」はなくなったが、ほかの議員の発言を踏まえて、さらに突っ込んだ発言ができるようになった。策定時、地方議会に詳しい広瀬克哉・法政大教授(行政学)は「3回は、全国でも例が見あたらない」と評した。また、本会議や委員会で、市長などから委任された職員が議員の質問に対し、逆に問いただす「反問」もできるようにした。
 2月1日は埼玉県久喜市議会の議員30人が来て、委員会の視察旅費を5年間凍結して導入したという採決集計システムを体験した。
 地域情報誌「日経グロ-カル」が昨年5月に発表した全国市区議会の「議会改革度」で、取手市議会は7位にランクイン。市のメールマガジンやツイッターでも議会情報を発信している。インターネット中継は、多い日は千件ほどのアクセスがあるという。
 かように注目される取手市議会改革を方向づけている『取手市議会基本条例』を考察してみる。

2議会と市民の関係の再構成
 地方議会、とりわけ市町村議会の役割や存在意義について地域住民がかねてよりつよい批判や不満を抱いていたことはよく知られている。住民の請願ないし陳情によって議会自身が議員定数削減条例を採択せざるを得ないところまで追い詰められた例も少なくない。議院内閣制を採る中央の統治構造と違って、二元代表の地方自治体は、議会が代表機能を果たすのには困難がある。実は「住民を代表するとは何なのか」がこれまで明確にされてこなかったというのも一因ではある。住民の生活に直接関与している行政の機関(首長)に住民が依存するのは容易に見て取れる。行政依存の日常性が行政を住民代表体であると錯覚させ行政首長をわれらの代表と意識させている。逆に、行政依存が議会(員)の住民代表性否認という意識を生み出しているのである。<我々の役に立たないから代表ではない>という発想である。
 日常の中から生まれるかような住民の意識を変え、議会(員)が代表であるとの存在意義を確立することをも目指して制定されたのが『取手市議会基本条例』である。 
 条例前文に議会の責務として、「自治体政策の立案、決定、執行、評価での論点を明確にし、市民に開かれた行政を目指す」と明示し、この責務の達成のため「多様な意見を集約するために、市民との対話を行い、自由かっ達な討議を重ね、その審議過程を市民に積極的に公開しなければならない。」と全面的に開かれた議会にすることを打ち出した。
 開かれた行政の実現という議会の役割、議会がこれを達成するために市民の力を結集するという意思表明は、これまでの議会像の曖昧さを払拭してずいぶんすっきりしたといえる。決定内容と執行内容を点検・評価し結果を市民に開示して市民の行政評価(議会の決定評価も含む)をも促すという点に議会の自負をみることができ、文字どおりこれが実行できる仕組みを議会でつくってほしいと期待したい。
 開かれた議会、市民の力の結集という理念の制度設計として、「第3章 市民と議会との関係」の第5条は注目されてよい。情報公開・説明責任(1項)、市民との多様な意見交換の場の確保(2項)、請願者及び陳情者の発言機会の保障(3項)、議会委員会における市民発言の保障(4項)などが掲げられ、市民とともに議員の政策立案能力の向上・強化をめざしている。一皮むけた姿が浮かび上がる。

3議会と市長との関係
 条例の「第4章 議会と市長等との関係」の第8条は、「市長による政策形成過程の説明」との見出しがつけられ、7点にわたる説明義務項目が明記されている。
(1)政策必要の背景、(2)提案までの経緯、(3)市民参加の有無、(4)他自治体との比較、(5)総合計画の根拠付け、(6)政策実施の財源、(7)政策の効果とコスト。
 議会の政策討論の深化、レベルアップを図って市長による説明義務項目を明記したのであるが、同時に市民にも市政の政策理解に資する情報提供となるものだ。
きちっとした項目明記は、住民の行政情報開示請求にも説明責任要求にも行政側が対応を拒めない根拠となるもので、今後の運用次第では項目追加も考えられる。
 
 「自治基本条例」の制定が主流だが、取手市のように住民自治の趣旨の実現をねらって議会改革に特化した基本条例の制定も意義がある。議会の機能不全、劣化が住民自治の発展を妨げてきたので、ここにメスを入れる必要と意義は強調してもしすぎることはない。

イベント紹介

「東海村から日本の未来を考える」

Big対談

村上達也村長 と 小森陽一さん(東大教授・九条の会事務局長)

 東海村から日本の未来を考える~いのちを守るために~と題して、脱原発の姿勢を鮮明にして奮闘している村上村長と、東大教授で全国「九条の会」事務局長である小森陽一さんとの2時間に及ぶ対談が下記の要領でおこなわれます。
 原子力施設の設置や事故、とくにJCO臨界事故の際に国および県といかに切り結び、どれだけ村という地方自治体の存在感を示してきたか、この国における地方自治=民主主義の実相を推し量る最良の問題が原子力政策であるという村上村長。一方、憲法のめざす平和で人権保障に尽力する日本国の樹立、そのために徹底した民主主義の国家権力をつくっていくことに心神を傾注している小森陽一さん。
 きっと、この国の進むべき方向について熱い対談がおこなわれるものとおもいます。

2013年3月30日(土)14:00~16:30

東海文化センター(JR常磐線東海駅下車、徒歩15分)

入場料 500円 

主催: 3.30Big対談実行委員会

代表 田村 武夫
呼びかけ人:加倉井豊邦(JA茨城中央会会長)齋藤浩(茨城県医師会長)佐藤洋一(茨城県生協連合会会長) 長田満江(茨城県母親大会連絡会会長)相沢一正(東海村議)村上孝(東海村議)大名美恵子(東海村議)
HP:http://talk330.jimdo.com/
E-mail: mk-330taidan@hotmail.co.jp

新刊本紹介

増補版 『中小企業振興条例で地域をつくる』
岡田知弘・高野祐次・渡辺純夫・秋元和夫・西尾栄一・川西洋史著

A5判  2,205 円(税込)

先進自治体の中小企業振興基本条例を紹介する
 振興会議の議論を活かした地域産業おこしの取り組みや、金融機関の地域経済支援の実際など最新情報大幅加筆。
Ⅰ 地域内再投資力が地域を元気にする/急速に広がる中小企業振興条例(岡田知弘)
Ⅱ 条例と自治体政策の実際
①墨田区の商工観光行政(高野祐次) ②帯広市・産業振興ビジョンづくりへ(渡辺純夫) ビジョンの着実な実践に向け官民一体の取り組み(秋元和夫) ③吹田市・条例制定と具体化に向けた民主商工会の政策活動(西尾栄一)④「EU小企業憲章」に共通する精神をもつ千葉県中小企業振興条例(川西洋史)

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『地域と雇用をつくる産業連関分析入門』入谷貴夫      B5判 定価2,940 円 

 産業連関表の仕組み、住宅リフォームの経済効果など活用方法、市町村の産業連関表づくりなどを紹介する。

以上、自治体研究社刊

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