第42号
(第42号) (2012・06・20発行)
朝居の棚田(常陸太田市、旧山方町)
県内の棚田は県北地方を中心に40ヵ所あります。棚田は米を作るだけでなく、小さなダムの役割をしており、森や川の上流から流れてくる雨水を一時的にためて洪水を防いだり、山の斜面が崩れたりするのを防いでいます。棚田は、江戸時代以前から守られてきたものです。
物言えば唇までも監視され
金庫あけ原発マネーも再稼働
タトゥー狩り遠山桜が目を覚まし
クールビズ女房の財布も冷えました
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)
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やはり消費税は増税、社会保障改革はみせかけであった!
民主・自民・公明3党の密室会談で合意された消費税は増税、社会保障改革は放棄という結末は、共産党など増税反対陣営が早くから指摘してきた「社会保障改革はみせかけ、資本所得は税負担軽減、勤労者だけが税負担増」を明白に証明した。
政権(=経済界の後ろ盾)に取り憑かれた3党が消費税増税にこだわる理由は、消費税が勤労所得にもっぱら税源を求める税制であって、資本蓄積促進税制であるからである。一年間の所得は、消費と貯蓄に回り、この貯蓄は将来の投資源泉になるが、勤労国民は貯蓄する余裕はなく、稼いだ所得の大半を消費に回す。消費税はこの消費に回った所得にかける税金である。ここに基幹税を移す、つまり、財界が消費税を基幹税にせよと言い続けてきた理由は、国民所得のうち主に勤労所得に当たる部分、大体が消費さる部分に税金をかけ、貯蓄ないし、利子や配当、キャピタルゲインなど資本所得、マクロ経済学のいう貯蓄部分には税金をかけない、いうなれば、資本の蓄積に回る原資には税をかけないことになり法人税の減税につながるということである。
消費税の増税を進めることは、資本所得には税金をかけない方向に向かうことを意味している。今回の一体改革案でも、資本の所得に当たる利息、配当、キャピタルゲインは「金融所得一体課税」といって、勤労所得と別扱いにして、低い税率の定率課税をやるという提案がでている。財界が主張する法人税ゼロに大きな一歩を進めた。(T.T)
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7.14茨城県自治体問題研究所第38回総会提案
2012年度活動方針 (案)
はじめに
民主党政権の惨状は救いがたいものとなりました。鳩山・菅の後を受けた野田内閣は,TPP問題等でアメリカへのすり寄りが目立つ一方,公約破りを踏襲するとともに増税路線を突っ走っています。その結果,消費税をすぐ増税するかをめぐって,民主党分裂・自民党との再編成の動きも見えてきました。
大震災による原発事故は、今もって深刻な状況にあります。また,「創造的復興」と称して高所移転,漁港や農地の集約化を押し付ける一方,公務員給与の大幅削減を含め労働者の賃金引下げの動きも一層強まっています。賃金ばかりでなく,公務員の“奴隷化”ともいうべき風潮など,労働者の無権利状態促進の動きは,生活保護への攻撃や石原都知事の言動に見られる排外主義扇動とあいまって,極めて“危険な水域”に入りつつあります。
本県における地震と津波の被害は東北三県に次いで大きなものでした。原発被害対策を含む復旧・復興は,依然として県内で緊急の課題となっています。特に,東海原発の廃炉は,村上達也村長の先進的姿勢を後押しして,実現を図ることが県民共通の課題になっています。
国政と地方政治を通じて「大阪維新の会」の暴走は極めて危険な動きです。復旧・復興を進める中で「地方自治の本旨」が福祉増進や環境保全にあることをあらためて確認するとともに,「住民の安全・安心」を基本とする自治の再構築が求められています。
11年度は,本年3月にまちづくり学校を潮来市(会場:香取市)で開催し,一定の実績を残しました。しかし,イベント参加者の減少傾向,調査研究体制の弱化傾向,会員・『住民と自治』購読者の減少傾向に歯止めがかからないという深刻な局面を打開できないでいます。
住民自治の本旨に立ってメッセージを発信する自治体問題研究所の役割は,ますます重要になっています。2012年度は,学習交流,調査研究,組織強化の各分野で事業展開の枠組みを大胆に見直しながら,実状に見合った体制を確立・整備し,活動を進めることとします。
Ⅰ 2012年度の重点目標
(1) 職場・地域における「研究会」活動の組織化を図り,調査・研究活動の新たな展開を追求し,自治体政策のレベルアップに貢献します。 (2) 自治体職場・住民運動関係者・つくば地域の組織化,「若返り」,女性会員確保に留意しながら,当面,減少傾向の食い止めに全力を挙げます。 (3) 潮来学校を踏まえ,まちづくり学校の新たな定着を図ります。
Ⅱ 三つの具体的な活動
(1) 学習交流活動の推進
① まちづくり学校再出発の定着追求
潮来学校を踏まえ,住民参加を重視する観点及び自治体職場の実体に立脚して,新たな学校の定着をめざします。具体的には,自治労連と協力して来年2月頃の開催をめざします。
② 第12回自治体セミナー
本年11月頃の開催をめざし,引き続き自治労連と協議します。取組み体制を再検討し,確信を持って取り組めるように,時期・場所・テーマを具体化します。
③ 自治体学校・政策セミナーなど
・第54回自治体学校は浜松市で開催されます。本県から20人以上の参加をめざします。
・第38回自治体政策セミナー(13年1~2月開催予定)など,全国研究所等の主催する各種学習交流会に積極的に参加します。
・大気汚染測定運動(No2)に取り組みます。運動のあり方,活用等について,引き続き関係者と協議を進めます。
④ 自治体労組,住民組織等との連携
各種セミナー,研究集会等への参加を要請するとともに,取手の経験を踏まえながら自治体労組の自治研活動を支援します。
また,各分野の運動組織等との交流会・懇談会を重視し,「地域を変える」ことの重要性を共有できる活動を進めます。
(2)調査研究活動の推進
① 調査研究体制の確立
調査研究に従事する研究者・自治体職員の確保が課題です。「人材登録」をさらに工夫しながら新たな事業の実施をめざします。さらに,大学による地域連携の動きに注目しながら,課題に応じ「計画自治研究所」等とタイアップし,自治体や自治体労組等からの調査依頼に応えられるように体制整備を図ります。
② 県政に関する調査研究組織の立上げ
来年の知事選前に県行財政の分析評価体制を確立するため,調査研究組織立上げをめざし具体的な検討を行います。
③ 地域・職域の研究会活動の強化
全国の「まち研」の成果に学びながら,テーマ別や市町村単位の研究会の組織化と活性化を進め,職場と地域の諸課題への的確な対応に努めます。
④ 自治体労組の自治研活動への協力
取手市職労の前例を重視し,自治体労組からの講師派遣に応える体制を整えるとともに,財政白書づくり等に協力し,日常的な自治研活動の強化に努めます。
⑤ 『いばらきの地域と自治第9集』の継続検討
県内の重要課題を取り上げる第9集の発行については,厳しさはありますが,採算上の見通しが付けられるよう検討を継続します。
⑥ 「情報資料センター」としての機能充実
各種資料,書籍等の収集を行い,会員の利用に供し,情報提供を行います。
⑦ 『月報いばらきの地域と自治』
所報『月報いばらきの地域と自治』は,現在茨城研究所にとって存在感を示す重要媒体になっています。引き続き毎月発行し,編集委員会体制を維持し,内容充実をめざします。
(3) 組織財政活動の強化
① 理事会体制
活性化のため執行体制を強化し,かつ,常任理事と地域・職域の理事が積極的に研究所業務に関与することを追求します。自治体現役職員の役員就任を重視するとともに,理事会に先立つ学習会を継続します。
また,茨城自治労連が自治研活動強化の観点から自治研担当役員明確化等の動きと提携して組織強化を具体化します。
② 事務局体制
専従事務局制を展望しながらも,当面,複数体制を含む半専従制を継続します。
③ 部会体制
引き続き,組織財政,調査研究,学習交流の3部会による業務分担制をとります。
④ 会員・読者の拡大
減少傾向―特に20~30歳代が少ない傾向が続いています。増勢に転じるため,見本誌の活用,職場・地域における目標と担当の明確化,自治体退職者や引退議員等の対策を強化するとともに,「ブロック別理事懇談会」を開催し,組織財政部会を軸に拡大を進めます。
また,研究者会員の強化を重視するとともに,自治体の若い職員,女性,住民運動の活動家,つくば地域の研究者などの会員・読者拡大と役員就任を追求します。
《目標》
会 員 30人
団体会員 3団体/5口(口数増含む。)
読 者 30人
⑤ 財政の確立
会員・読者の拡大を基本としながらも,可能な範囲で受託事業の積極的な開拓,イベントの財政的成功をめざします。
しかし,会員減少や受託事業の見通しが厳しいことから楽観できない情勢にあります。引き続き経費節減等を図るとともに,事務所問題等を含めた抜本的な検討を行い,中長期的な見通しを明らかにします。
⑥ 自治体OB会員懇談会の強化
自治体OB会員懇談会の活動の体制強化と活性化を図ります。
具体的には独自の研修活動を行うとともに,自治体退職会員への働きかけを強化します。
⑦ ホームページ充実とEメール活用
前記(2)⑦の所報編集委員会と協力して,ホームページの運営・編集に当たります。
また,会員等との双方向での活用を促進するように,会員等のメールアドレスを把握し、Eメールによる情報提供を追求します。
⑧ 事務局の機能充実と移転具体化
財政困難の到来と事務所老朽化を見据えて,来年3月を目途に移転具体化図ります。
また,事務所移転のほか,事務管理と業務の両面で「計画自治研究所」との相互協力を継続します。
⑨ 全国研究所50周年募金への取組み
創立50周年記念の「財政基盤確立・活動飛躍」2500万円募金については,本県目標75万円を達成したので一段落とします。全国段階では目標未達成のため,可能な範囲で取組みを継続します。
⑩ 研究所法人化の検討
調査研究事業の受託のうえで,法人化のメリットはあります。調査研究体制の再建が先決ですが,公益法人,NPO法人等に関する検討を引き続き行います。
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お知らせ ◎茨城県自治体問題研究所第38回総会の開催について と き:2012年7月14日(土)午後1時30分から ところ:「茨城自治労連会館」、 つくば市 ☎ 029-864-2548 ◎全国研事務局長に石橋映二さんが就任 4月から全国研事務局長に石橋映二さん(前東京都研究所事務局次長)が就任されました。 なお、前事務局長の中島正博さんは国立大学法人和歌山大学の准教授に就任されました。今後のご活躍を期待いたします。 また、編集部(単行本)担当として品田 茂さん、『住民と自治』の編集担当として中村友璃亜さんが、それぞれ4月から採用されました。今後の活躍に期待します。 ◎訃 報 笠原義人さん(とちぎ地域・自治研究所理事長) 去る6月9日、とちぎ地域・自治研究所理事長の笠原義人さんが病気のため逝去されました。享年71歳でした。10年前の研究所設立以来理事長を務められ、研究所の活動を先頭に立って支えてこられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。 中村 榮 研究員 (かすみがうら市) 去る6月8日、当自治体問題研究所の研究員の中村 榮さんが病気のため逝去されました。享年 64歳でした。取手市の学習会では財政分析等で活躍されました。 謹んでご冥福をお祈りいたします。
『大都市自治の新展開 名古屋からの発信』
編集 ; 東海自治体問題研究所
発行 ; 自治体研究社1,619円+税
「分権改革」の中で、なぜ極端な首長主導改革が生まれているのか?そのめざすものは何か? 河村市政分析をとおして明らかにし、新たな自治の展開、市民主導の改革の展望を示す。
三上禮次『市場論 ー研究・雑話ー』
自治体研究社 1600円+税