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第41号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

(第41号) (2012・05・20発行)

つくば市北条


被災直後の北条商店街「5月6日午後1時前」

つくば市北条で発生した竜巻・突風による被害は、死者1名、家屋損壊2千棟に上った。

君が代を音痴歌って国旗ゆれ
ずぶ濡れて雹(ひょう)のひとつぶつまみ食い  
憲法が他人行儀に見える沖縄(しま)
古物商維新の会を品定め

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

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「税と社会保障の一体改革」とはなにか?

 「一体改革」案では、まずは社会保障の安定財源の確保として、当面10%へ引き上げるとしています。しかし「一体改革」案では、消費税率を5%引き上げた場合の使途が、社会保障4経費(年金・医療・介護の給付費、及び少子化対策費用)の維持に1%、消費税引き上げに伴う物質調達を含む社会保障支出増に1%、高齢化に伴う自然増に1%、復興財源に充てた基礎年金財源の編成に1%が振り向けられるという説明です。社会保障の機能強化=「制度改革に伴う増」には消費税1%分しか回らないことになります。しかも、「制度改革に伴う増」以外の消費税増税分によって、「2015年度段階での財政健全化目標の達成が見込まれ」と明記されているように、財政赤字の補填に回される計算になります。2020年度までの黒字化目標、さらに2021年度以降の目標に充てるには、さらなる消費税引き上げが必至となる計算で、際限のない消費税増税路線に国民を追い込もうとするものです。政府の「一体改革」に関する集中検討会議でも、閣僚からは「これで国民に説得できるどうか自信がない」という声さえ出ています。
 政府税制調査会では「一体改革というのは議論をオブラートに包みすぎ。これは財政問題だ」との指摘も出ており、“社会保障財源のため”にというのは消費税を引き上げるための口実というべきです。
  

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雨の憲法記念日に想う

山浦五十一(「茨城県九条の会」事務局員)

 日本国憲法公布65周年、今年5月3日の記念日は、ひどい風雨であった。
 まさに、憲法が風雨に曝されている感がある。

 憲法問題や憲法改正原案を審議する「憲法審査会」の運営手続きを定めた規程を民主、自民党などの賛成多数で可決、制定したのが昨年の5月であった。
 民主、自民、公明など超党派の国会議員による「衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」は、憲法42条を改正し、1院制とする改憲原案を衆院に提出した。改憲原案の国会提出は現憲法下では初めてのことである。
 自民党は今年2月に「憲法改正原案」を発表した。その内容は
①天皇を「元首」と位置付け
②国旗国歌を「表象」と明記
③自衛隊を「自衛軍」とし
④「緊急事態条項」を盛り込む
⑤外国人参政権は容認せず「国籍条項」新設
⑥憲法改正発議要件「2分の1以上」に緩和、など一昔前に逆戻りするものである。
 特に注意すべきは、国民の側に改正憲法の尊重義務を盛り込んだことである。本来、近代憲法は、国家権力側が「しなければならないこと」と「してはならないこと」を規定するものであるはずだ。

 また、メディアでは読売・産経などが自社の『憲法改正原案』作成を予告するとともに、上記の動きを「焦眉の急」と煽りたてている。

 見過ごすことができないのは、橋下大阪市長と彼が率いる「大阪維新の会」の動きである。大阪維新の会は、「9条に決着をつけ、国家安全保障」を前面に出し、選挙で現憲法の改定に国民の「同意」を獲得しようと狙っている。
 橋下氏は「9条は他人を助ける際に嫌なこと、危険なことはやらないという価値観」と述べたという。憲法9条の理念を故意に歪曲し、憲法9条の精神を侮辱し、憲法9条を敵視する姿勢を示したものだ。

 世の中に強い閉塞感が蔓延し、一挙に事態を変えて欲しいという意識が強くなったとき、既存の体制の「解体」を説き、そのためには「政治には独裁といわれるぐらいの力が必要」と言い放つ橋下氏の「ポピュリズム」型政治手法は、大きな旋風となる危険がある。すでにいくつもの政党がすり寄って、旧体質政治再編の本流になりつつある。
 生活者の「貧困」が深刻化し、「格差」が進行するなかで、本来なら改善要求が組織化されるべきところだが、求心軸が貧弱なためか、特に若者たちには一見歯切れよく見かけのよい強い指導力と映るのだろうか。

 敵味方という単純化した理屈で個人攻撃をして反対論者を黙らせ、人々の恐怖心をあおり、統率し、やがて国家主義・軍国主義に引き込まれた歴史を私たちは一度体験している。二度と轍を踏んではならない。

 話は変わるが、憲法9条を敵視する論調によく「思考停止」という言葉が使われる。9条の規定が、国家の安全を守るという国民の思考を停止させているということらしい。  
 はたしてそうだろうか?
 その論者の多くは、他国との平和の維持、または他国との紛争の防止には、武力の保持・軍事力の均衡のみが抑止力となるという固定観念に固執している。このことの方が「思考停止」ではないのかと思う。武力の均衡とは、結局、武力優位の競争であり、最終的に「核」保有の競争にいたる。イラク・北朝鮮と核保有国との確執を見れば明らかではないだろうか。「自国のみ優先」「自民族のみ優先」という考え方では、現今の国際関係が平穏であろうはずがない。
 紛争の多くはこの考え方が根底にあるように思う。

 必ず近い将来、人類の英知は、武力による紛争解決という愚行を排除する方向に向かうと期待したい。その時期が来たとき、日本国憲法は輝かしい「世界標準」のモデルとなるだろう。

 運動は「攻める」より「守る」が難しいという。風雨の中にある「憲法」が関西からの逆向きのトルネードに巻き込まれないために、「笑顔のファシズム」に多数の人々がからめ捕られないように、「茨城県九条の会」は微力ながら県民の皆さんに呼びかけつづけたいと考えている。

ご案内

第54回 自治体学校 in 浜松

 
7月21日(土)13:00~17:00  全体会  アクトシティ浜松大ホール

全体会テーマ : みんなでつくるホンモノの地方自治

第1部 パネル討論:「問題はあなたの地元で起きているんです!」

 長引く不況と雇用不安、孤立生活、格差社会等々…政府がすすめてきた市町村合併や「地域主権」改革は、むしろこの流れを加速させています。東日本大震災からの復旧・復興においても、同様の事態が進行しつつあります。住民と自治体関係者・専門家が力をあわせ、安心して働き暮らせるホンモノの地方自治をどうつくっていくか-ともに語り、学び合いましょう。

【パネラー】

学校給 食の現場から宮下早紀子(浜松市職員組合学校給食部会/静岡県静岡市生まれ)
福祉事務所の現場から 渡辺  潤(東京・大田区役所生活保護面接員/東京都大田区生まれ)
商工業者の立場から  服部 守延 (愛知県商工団体連合会副会長/愛知県稲沢市生まれ)
大震災被災地・福島から 小川 英雄 (ふくしま復興共同センター/北海道紋別市生まれ)
コーディネーター  傘木 宏夫 (NPO地域づくり工房/長野県大町市生まれ)

第2部 総括講演

「『分権改革』と地方財政」講師;川瀬憲子(静岡大学)

 第1部のパネル討論が浮き彫りにした地域社会・自治体の変容の背景にはいったい何かあるのでしょう。静岡県内各地をフィールドに調査・研究し、また東日本大震災の惨状をつぶさに見てきた研究者として、いま地方自治体のかかえる課題をもういちど歴史的な観点をふまえて見てみたいと思います。

ナイター企画

⒜「東北支援、浜松うまいもの味自慢・地酒交流会」参加費4,000円 
⒝「地域主権改革にどう取り組む」 助言者 三橋良士明(静岡大学)
⒞「生活保護抑制策にどう対抗するか」 運営者 渡辺 潤(大田区役所生活保護面接員)

7月22日(日)10:00~16:00 分科会 アクトシティ浜松ほか

討論のひろば
1.「住民と自治体の絆を確かなものに!」
運営者:傘木宏夫(NPO地域づくり工房)
助言者:川瀬憲子(静岡大学)
分科会
2「脱原発そして再生可能エネルギーの社会へ」
  助言者:井内尚樹(名城大学)
3「経済の再生で笑顔あふれる地域社会を」
  助言者:岡田知弘(京都大学)
4 「人命尊重のコミュニティづくり」
  助言者:山崎丈夫(元愛知学泉大)
5 「災害から住民をまもる」
  助言者:中村八郎(くらしの安全安心サポーター)
6「TPPと私たちの暮らし」
  助言者:中嶋 信(徳島大学名誉教授)
7「健全で安全攻水循環を考える」
  講師:市野和夫(元愛知大学)
8 「住民を遠ざける“大きな自治体"の自治を考える」
  助言者:柏原 誠(大阪経済大学)
基礎講座
9 「基本の『き』から学ぶ地方自治」
  講師:池上洋通(自治体問題研究所主任研究員)
10「なるほど・ザ・自治体財政」
  講師:初村尤而(大阪自治体問題研究所研究員)
現地分科会
11 「浜岡原発を訪ね、地元住民と交流しよう」
  案内人:岡村哲志(ひまわり集会実行委員会)
12「山間地の村おこしに頑張る女性たち」
  案内人:酒井豊実(元天竜市議)

7月23日(月)9:30~11:30 全体会 アクトシティ浜松中ホール

特別講演 「東海地震による浜岡原発のリスク管理を考える」
 講師:渡辺敦雄(NPO法人APAST事務局長、福島、女川、浜岡で原子力発電所の基本設計を担当)

 福島第一原発事故を踏まえ、確実視される東海地震震源域に立地する浜岡原発の地震と津波に関するリスクを明確化し、対策をどのように講じるかについて最新の情報を踏まえてお話しします。

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参加者発言「今年の自治体学校で学んだこと」、 

閉校挨拶「今年の学校を振り返って」
     学校長 中嶋 信

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