第36号
(第36号) (2011・12・20発行)
ひたちなか市「反 射 炉 跡 」
幕末、沖に出没する異国船に備え9代藩主徳川斉昭の命により建設された大砲鋳造所、合計で28門の鉄製大砲を鋳造したという。元治元年の天狗党騒乱で破壊されたが、昭和12年に復元された。(茨城交通湊線那珂湊駅近く)
パーテイーは枯葉のように銭が舞い
原発や積み木ならべて炉がくずれ
TPP手術の後は保険外
自らの冷温停止は先のばし
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)
子どもを考えない「子ども・子育て新システム」案 必ずストップさせる
茨城自治労連保育部会 志谷 玉江(坂東市職)
「子ども・子育て新システム」案は、幼稚園と保育所の一体化で待機児童をなくし全ての子どもに学校教育と保育が保障されるなどと宣伝されましたが、実は公的保育の解体と企業参入がねらいだということがはっきりしました。
当初から終始一貫していることは、①児童福祉法第24条に基づく市町村の保育実施義務をなくし、市町村の仕事を保育の必要性の認定と補助金交付のみとすることです。公的保育(委託を含む)は無くても合法ですし、公立には国から給付金が出なくなり存続が困難になります。②一方で、企業参入を促進することです。そのために、ⅰ)施設の基準緩和し、ⅱ)園庭も窓もないといった施設の不備な形態にも給付金を支給し、ⅲ)企業利益金の株主配当や他事業への転用をみとめます。③保護者には、自己責任で保育所を探させることです。就労時間を基本に認定される必要保育時間を超える保育費用は保護者負担となります。英会話等特別保育も可能となり、所得による格差が生まれます。
いまや、「新システム」の最大の目的だった幼保一体化は消えてしまいました。(詳細は自治労連HP参照)。私達は新システム反対大集会や署名活動に取り組み、茨城県議会ほか全国の地方議会からは反対の意見書が次々と国にあげられています。自ら声を上げられない子どもを守り公的保育制度の解体を許さないために、保護者や地域住民の方々、茨城共同運動の仲間と運動の輪を広げ、新システムを阻止したいと思います。
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資 料
原発による電力供給からの脱却
(震災後の日本産業再構築の課題より)
藤田 実(桜美林大学教授)
電力は、産業活動の基本的エネルギーであるから、財界が主張するような国際競争力を考えれば、低コストでの供給が望ましいのは当然となる。一般家庭における安い電力価格も、それだけ生活費を低減させ、労働力の価値を低下させることを通じて、賃金上昇を抑制できる。そのため政府は財政上の支援をすることで、原発の発電コストを低下させ、供給ロエ量を増加させてきた。
発電量でみれば、2009年の日本の発電力量は、原子力が29%、天然ガスや石炭などの化石燃料が61%、大規模水力7・3%で、太陽光や地熱など自然エネルギーは2・7%、大規模水力とあわせても持続可能な発電割合は、10%に過ぎない。こうした発電量割合からもわかるように、日本は原子力に固執してきた。産(電力会社)・官(経産省や文科省〉・学(原子力推進の原子力且学者)・政(原子力推進の政治家や地方の議会や首長)が結託し、予算配分や研究費の助成、政治献金、仕事の配分を通じて強固な原発推進体制を築き、自然エネルギーへの転換などエネルギーシフトを阻止してきた、原子力は「低炭素」であるとして、その危険性や発電後に出てくる放射性廃棄物の最終処理法が未確立であるという事実を軽視して、原発保有を進めてきただけではなく、新成長戦略では、原発輸出を新産業として官民一体となって押し進めることを表明してきた。財界も有望な輸出産業として原発推進体制を表明してきた。経団連は、電力の安定的供給と地球温暖化対策のため、原子力は「重要な技術」であるとして、原子力発電所の新設・増設・リプレースとともに、猛毒のプルトニウムを使用するプルサーマル技術の推進や高速増殖炉の開発を進めるように求めてきた。また国と一体になって、海外での原子力発電所の受注に結びつける活動を行うことを表明してきた(「経団連タイムス」2010年8月12日)。
しかし.震災後の日本経済を構想するとき、なによりも重視すべきは、原発事故による放射性物質の放出とそれによる自然汚染の広がりである。放射性ヨウ素や放射性セシウムが、農産物や魚介類から暫定規制値を超えるレベルで検出され、出荷制限されるなど農業や水産業に大きな打撃を与えた。また福島第一原発周辺での十地は高濃度の放射性物質に汚染され、避難を余儀なくされた住民が多数いる。しかも避難は長期化し、いつになったら居住地に戻れるのか、政府は明確な計画を示せないでいる、地域住民は長期間にわたって放射線にさらされており、将来の健康障害が危惧されている、とくに子どもの甲状腺から放射性ヨウ素が検出されており、不安が広がっている。結局、福島原発事故が明らかにしたのは、津波の高さが想定内であれ、想定外であれ(実際は、東電自体も10m超の津波を想定していたとのことであるが)、地震国である口本では原子力発電所は設置してはならないということである。
これは、経済活動よりも人命の重さを考えるならば、当然の結論である。原子力発電は、いったん事故が起きると長期間にわたって自然や人間に大きなマイナスの影響をもたらす、危険なエネルギーであることが国民の誰の目にも明らかになった。また原発から出される放射性廃棄物の安全な保管方法は確立しているわけではなく、放射性物質が人間に無害になるまでに数万年、場合によっては10万年もの期間を必要とする。このような途方もない時間を安全に保管する場所や方法は確立していない.しかも原子力発電は事故の危険性が現実になっただけではなく、原発の燃料であるウラン鉱石も自然資源である以ヒ有限であり、採掘量の減少につれて価格が上昇するのは必然である。かといって、日本政府や竃力会社などが推進している、使用済みの核燃料を再処理して、再度原発で燃料として使用する核燃料サイクルは、世界のどの国でも確立していない。したがって、当面は原発に依存できても、中長期的には原発による電力供給は不可能になるだろう。この点からも電力供給面での原発依存からの脱却は緊急の課題となっているのである。
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