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第35号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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(第35号) (2011・11・21発行)

大子町永源寺.jpg


大子町・永源寺

もみじ寺といわれる大子町の永源寺。紅葉は見事。文安3年(1446)に創建。曹洞宗で臥雲山と号。1864年、天狗党の乱で寺の大半を焼失。現本堂は、1953年に再建。

再稼働原発マネーは小躍りし
どじょう髭アメリカ向いてピンと立ち  
農さびれ案山子はついに解雇され
足音は冬の顔して通りすぎ

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

TPP交渉参加に こんな疑問と心配
茨城自治体問題研究所 顧問  宇佐神 忠捷

 11月11日 野田首相はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に向けて関係国との協議に入ることを表明しました。TPPについては国民への説明がまったく不十分であり国会でも十分な論議がされていません。また、8割の都道府県、市町村議会が「反対」「慎重」の意見書をあげ、1166万を超える国民の反対署名が集められています。こうした状況の中で、なぜ今この表明をしなく てはならないのか。これが最大の疑問です。この行為は民意に反し、民主政治に相反することであり怒りすら憶えます。
 首相は「国益の視点」に立っての判断をいいますが、では「国益とはなにか」についての説明はまったくありません。「国益」の名の下で一部の大企業の利益だけが追求されてはたまったものではありません。 また、「開国」「内向きを脱するチャンス」などの言葉も良く耳にします。日本はすでに十分開かれており、アジアを始め多くの国々と友好的な関係を築いています。それなのに「なぜ」です。一部報道されている日米及びアジアの軍事強化の尖兵に使われるとしたら大変です。TPP参加によって「国のかたち」がゆがめられてしまうことを心配します。
 最後に「農」と「食」への心配です。さすがに推進の立場の人もこの点を「心配なし」とは言えないようです。それでも「農地の大規模化」や「農産物の輸出」などでカバーできると言います。本当に大丈夫でしょうか。WTO加盟の時も同じような論陣をはられましたが、農業の現状はご承知の通りです。大変心配です。

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放射能汚染対策・東海第2原発廃炉の意見書可決について
加増みつ子    日本共産党取手市議

 3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故は、未曾有の被害をもたらし、被災地の皆さんは未だに先の見えない毎日を余儀なくされています。一日も早い復興をと願わずにはいられません。
 また、放射能汚染が広がる中、ホットスポットといわれている取手市。子育て中のお母さんは「放射能から子どもたちを守って!」と乳飲み子を抱えながら、市に要請したり、議会に請願・陳情を提出したり、積極的に取り組んでいます。私たちも、議会の中で取手市当局に、「徹底した放射能対策を」と繰り返し求め、地域の中では毎日のように、線量測定をおこないその結果を地域にチラシで知らせています。地域では喜ばれており、こうした市民世論の広がりがある中、9月議会では、福島原発事故による放射能汚染から子どもと国民の健康を守る対策を求める意見書と、「東海第2原発を廃炉に」の意見書が賛成多数で可決されました。
 3月11日の大震災からすぐさま私たちは、被災者の暮らしを守れ・放射能から子どもを守れと国・県・取手市に要請を繰り返してきました。5月1日のメーデーは、「復興支援メーデー」として避難場所になっている取手競輪場宿舎で、被災者も一緒に参加して集会を成功させることができました。また10月29日は、「原発なくせ、子どもを守る10,29取手集会」を行ない、市内約4kmのアピールウォークを行ないました。今も、線量測定は攻勢的に進めていて、測定を行なう地域を決め、その地域には前もってチラシをまき、積極的に行なっています。地域に入ると「うちの側溝をはかってください」「家庭菜園のところを測ってほしい」など次から次へと要請され、訪問しながら要望を伺っています。地域から寄せられた声は、議員団として市に届ける予定です。
 国は、8月に放射能除染対策の方針を明らかにしました。しかしまだまだ不充分です。
 取手市も学校・幼稚園・保育所の測定、除染を済ませ、市内217箇所の公園の除染を進めていますが、通学道路などはすすんでいません。これから除染計画で取り組んでいくとのことですが、この計画を充実させ、実効あるものにすることが重要だと考えます。そのためにもがんばって行きたいと思います。

福島原発事放による放射能汚染から子どもと国民の健康を守る対策を求める意見書

 東京電力福島原発事故によって、大量かつ広範囲に放射性物質「死の灰]が放出され、国民の放射能への不安が広がっている。とりわけ、放射能への感受注が高い子どもの健康を守ることは、 日本社会の大問題である。放射能汚染の実態を正確に把握し、その実態とリスクを国民に正直に明らかにし、その被害から国民の命と健康を守るためにあらゆる対策をとることが求められている。
 放射能による健康被害は、急性障害だけでなく、晩発性障害がある。放射線被ばくは、少量であっても、将来、発がんなどの健康被害が起きる危険性がある。放射線被ばくの健康への影響は、「これ以下なら安全」という「しきい値」はなく、「少なければ少ないほど良い」というのが放射線防護の大原則である。
 現在の科学・技術では、原発から外部に放出された放射能を消去することも、減らすこともできない。しかし、汚染された土壌を取り除くなど放射性物質をできる限り生活環境から切り離すなどの措置をとることで、人間があびる放射線量を下げることはできる。放射能の実態を正確かつ系統的に調査し、最大限の除染を行い、被災者の健康調査と管理を行うことが求められている。

 福島第一原発から放出された放射性物質は、「ウラン換算で広島型原爆20個分」(児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長 衆院厚生労働委員会参考人質疑)という見解も出されている。
 今回の事故の重大さとその被害の深刻な実態をふまえるなら、この取り組みは迅速性が求められるとともに、子どもと国民の命と健康を守る一犬事業として、長期間継続されなければならない。

 以上の理由から、下記の事項を政府に求める。
                 

  1.  国の責任で放射能汚染の実態を正確かつ全面的に把握する調査を系統的に実施すること。
    (1)放射線量の総合的で系統的な調査を行うニと。
    (2)国の責任で、地方自治体が行っている食品検査体制を抜本的に強化する。
  2.  放射能汚染の規模にふさわしい除染を迅速にすすめること。
    (1)除染は、住民合意で計画をつくり、国が全面的に支援すること。
    (2)放射線量の高い所、子どもに関する施設や場所の緊急除染をすすめること。
    (3)大規模で長期にわたる放射能調査・除染に必要な体制を整えること。
  3.  避難者への支援を抜本的に強化すること。
  4.  内部披ばくを含めた被ばく線量調査をはじめ健康管理をすすめること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

     平成23年9月28日   茨城県取手市議会

提出先 
内閣総理大臣、衆参両院議長、総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣

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資 料

大阪教育条例案:佐藤東大教授らが反対のアピール

毎日新聞 (2011.11.18)

 地域政党「大阪維新の会」が大阪府議会に提案した「教育基本条例案」について、佐藤学・東大教授(教育学)らが17日、東京都内で記者会見し「学校教育を知事や議会の直接的な支配下に置くことに強い危惧を覚える」として反対するアピールを発表した。
 同条例案は、知事が教育目標を設定でき、最低評価の教員を処分の対象にするなどの内容で、27日投開票の大阪府知事・市長選の争点の一つ。アピールは「教育への不当な支配」を禁じる教育基本法などに抵触するとし、「日本社会全体にとって見過ごせない」と訴える。佐藤氏や教育評論家の尾木直樹氏ら10人が呼びかけ、作家の高村薫氏や映画監督の山田洋次氏ら58人が賛同している。

◆アピール全文

大阪府教育基本条例案に反対します

 私たちは、「大阪維新の会」が大阪府議会に提案している教育基本条例案について、大阪にとどまらず日本社会全体にとって見過ごせない問題であると考え、このアピールを発表することにしました。
 私たちは何より条例案が、学校教育を知事及び議会の直接的な支配下に置こうとすることに強い危惧を覚えます。条例案によれば知事は、「学校における教育環境を整備する一般的権限」をもち、府立学校に至っては「教育目標」を設定する権限まで委ねられています。さらに、知事の目標に服さない教育委員の罷免、教職員への厳しい処罰などの教育への権力統制の体系が盛り込まれています。
 人間を育てる教育には、教える者と教えられる者との、自由な人間どうしの魂の交流が不可欠です。また、子ども一人ひとりの現実に即した、教員や保護者、子どもを支える多くの人々の知恵と判断が尊重されなければなりません。知事や議会が教育上何が正しいかを決定し、それに異議をとなえる者を排除していくことは、教育の力を萎えさせ、子どもたちから伸びやかな成長を奪うものです。
 しかも、学校教育を知事や議会の直接的な支配下におくことは、憲法と法令に抵触します。教育基本法第十六条は「教育は不当な支配に服することなく」としていますが、この文言は、時の権力が軍国主義教育をすすめた過去への深い反省のうえに定められた、日本の教育の大原則です。その結果、地方の教育行政は首長が指揮監督する一般行政から分離され、教育委員会がつくられました。
 教育委員会の実態やその行政に不十分さがあることは私たちも知っています。しかしその解決は、教育委員会の民主的な改革に求められるものであり、知事らによる直接的な支配となれば不十分さはますばかりです。
 私たちはさらに、「維新の会」の政治的な手法に危うさを感じています。いったん選挙に勝ったことによって、あたかもすべてを選挙民から白紙委託されたように振る舞うことは、ファシズムの独裁政治を想起せざるをえません。
 多くの方々が力をあわせ、大阪府教育基本条例案やそれに類する計画をとめ、子どもの伸びやかな成長のために考えあい話しあい、できることから行動していくことを訴えます。

【よびかけ人】

池田 香代子(翻訳家)  市川 昭午(国立大学財務・経営センター名誉教授) 尾木 直樹(教育評論家) 小野田 正利(大阪大学教授) 小森 陽一(東京大学教授) 佐藤 学(東京大学教授、日本学術会議会員) 高橋 哲哉(東京大学教授)竹下 景子(女優) 野田 正彰(関西学院大学教授) 藤田 英典(共栄大学教授、日本教 育学会会長)

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