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第30号

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画像の説明

(第30号) (2011・06・20発行)

福島原発.jpg

福島第一原発4号機の無残な骨組(福島県大熊町)

2011年3月31日朝日新聞朝刊

第37回茨城県自治体問題研究所総会のご案内   

と き:2011年7月9日(土)午後1時30分から4時

ところ:茨城自治労連会館(つくば市花畑3-9-10) 

電話:029-864-2548

  • 記念講演:「自動車産業と地域経済」

    講師:牧 良明氏(茨城大学人文学部講師)

議 事
2010年度活動報告、会計報告、監査報告、2011年度活動方針、予算、役員改選等  

2011年度活動方針 (案)   

はじめに

 国民の大きな期待のもとに発足した民主党中心の政権は,普天間問題や「政治とカネ」をめぐる醜聞などで国民の支持を急速に失いました。鳩山の後を引き継いだ菅内閣は,増税路線に舵を切ろうとした結果,7月の参院選挙で敗北しました。その後も,公約破りや財源の危うさが露呈され,TPP問題等でアメリカすり寄りが目立つ一方,中国漁船の不法行為への対応等で国民の強い批判を受けました。
 3月11日に発生した未曽有の地震・津波・原発事故は甚大な被害をもたらし,被災地の復旧・復興は最優先課題ですが、原発事故は今もって深刻な状況にあります。「創造的復興」と称して高所移転、漁港や農地の集約化を押しつけ、消費税増税を図る動きが強まる一方、協約締結権をエサにした公務員給与の大幅削減の動きも重大です。
 こうしたなかで、菅政権はついに終末を迎えようとしております。
 本県における地震と津波の被害は,東北三県に次いで大きなものとなりました。特に太平洋岸の北茨城,鹿嶋,潮来等の市町村の被害は深刻なものでした。原発対策を含む復旧・復興は,県内でも緊急の課題となっています。また,昨年末の県議選は全体として自民党が強く,今春の一斉地方選挙は大震災の陰に隠れた感がありました。
 
 震災の陰になりましたが、「大阪維新の会」の暴走はきわめて危険な動きです。復旧・復興を進める中で「地方自治の本旨」が福祉増進や環境保全にあることをあらためて確認するとともに,「住民の安全・安心」を基本とする自治の再構築が求められています。
 10年度は,昨年11月に自治体セミナーをつくば市で開催し,一定の実績を積み重ねました。しかし,こうしたイベント参加者の減少傾向,調査研究体制の弱化傾向にあわせ,会員・『住民と自治』購読者の減少傾向に歯止めがかからないという深刻な局面が続いています。
 住民自治の本旨に立ってメッセージを発信する自治体問題研究所の役割は,ますます重要になっています。2011年度は,学習交流,調査研究,組織強化の各分野で事業展開の枠組みを大胆に見直しながら,実状に見合った体制を確立・整備し,活動を進めることとします。

Ⅰ 2011年度の重点目標

  1. 職場・地域における「研究会」活動の組織化を図り,調査・研究活動の新たな展開を追求し,自治体政策のレベルアップに貢献します。
  2. 自治体職場・住民運動関係者・つくば地域の組織化,「若返り」,女性会員確保に留意しながら,当面,減少傾向の歯止めに全力を挙げます。
  3. 大震災を踏まえ,まちづくり学校の再出発を図ります。

Ⅱ 三つの具体的な活動

1 学習交流活動の推進

(1)まちづくり学校の再出発
 大震災を踏まえ,住民参加を重視する観点及び自治体職場の実体に立脚して,魅力的な新たな学校をめざします。具体的には潮来市を念頭におき,自治労連と協力して来年2月頃の開催をめざします。
(2)第12回自治体セミナー
 本年11月頃の開催をめざし,引き続き自治労連と連携して取り組みます。取組み体制を再検討し,確信を持って取り組めるように,時期・場所・テーマを具体化します。
(3)自治体学校・政策セミナーなど
 第53回自治体学校は奈良市で開催されます。本県から20人以上の参加をめざします。
 第37回自治体政策セミナー(12年1~2月開催予定)など,全国研究所等の主催する各種学習交流会に積極的に参加します。
 大気汚染測定運動(NO2)に取り組みます。運動のあり方,活用等について,引き続き関係者と協議を進めます。
(4)自治体労組,住民組織等との連携
 各種セミナー,研究集会等への参加を要請するとともに,取手の経験を踏まえながら自治体労組の自治研活動を支援します。
 また,各分野の運動組織等との交流会・懇談会を重視し,「地域を変える」ことの重要性を共有できる活動を進めます。

2 調査研究活動の推進

(1)調査研究体制の確立
 調査研究に従事できる研究者・自治体職員の確保が課題です。「人材登録」を工夫しながら新たな事業の実施をめざします。さらに,大学による地域連携の動きに注目しながら,課題に応じ「計画自治研究所」等とタイアップし,自治体や自治体労組等からの調査依頼に応えられるように体制整備を図ります。
(2)県政に関する調査研究組織の立上げ
 2年後の知事選前に県行財政の分析評価体制を確立するため,調 査研究組織立上げをめざし具体的な検討を行います。
(3)地域・職域の研究会活動の強化
 上記(1)とともに,全国の「まち研」の成果に学びながら,テーマ別や市町村単位の研究会の組織化と活性化を進め,職場と地域の諸課題への的確な対応に努めます。
(4)自治体労組の自治研活動への協力
 取手市職労の例を重視し,自治体労組からの講師派遣に応える体制を整えるとともに,財政白書づくり等に協力し,日常的な自治研活動の強化に力を尽くします。
(5)『いばらきの地域と自治第9集』の継続検討
 県内の重要課題を取り上げる第9集の発行については,厳しさはありますが,採算上の見通しが付けられるよう検討を継続します。
(6)「情報資料センター」としての機能充実
 各種資料,書籍等の収集を行い,会員の利用に供し,情報提供を行います。また,所報『月報いばらきの地域と自治』を毎月発行します。そのため,編集委員会体制を維持し,一層の内容充実を図ります。

3 組織財政活動の強化

(1)理事会体制
 活性化のため執行体制を強化し,かつ,常任理事と地域・職域の理事が積極的に研究所業務に関与することを追求します。また,自治体現役職員からの就任を重視するとともに,理事会に先立つ学習会を継続します。
(2)事務局体制
 専従事務局制を展望しながらも,当面,半専従制を継続します。
(3)部会体制
 引き続き,組織財政,調査研究,学習交流の3部会による業務分 担制をとります。
(4)会員・読者の拡大
 減少傾向―特に20~30歳代が少ない傾向が続いています。増勢に転じるため,見本誌の活用,職場・地域における目標と担当の明
確化,自治体退職者や引退議員等の対策を強化するとともに,「ブロック別理事懇談会」を開催し,組織財政部会を軸に拡大を進めます。 また,研究者会員の強化を重視するとともに,自治体の若い職員,女性,住民運動の活動家,つくば地域の研究者などの会員・読者拡大と役員就任を追求します。
《目 標》               
 会  員  30人
 団体会員  3団体/5口(口数増含む。)
 読  者  30人
(5)財政の確立
 会員・読者の拡大を基本としながらも,可能な範囲で受託事業の 積極的な開拓,イベントの財政的成功をめざします。
 しかし,会員減少や受託事業の見通しが厳しいことから今後楽観できない情勢にあります。引き続き経費節減等を図るとともに,今年度は事務所問題等を含めた抜本的な検討を行い,中長期的な見通しを明らかにします。
(6)自治体OB会員懇談会の強化
 自治体OB会員懇談会の活動の体制強化と活性化を図ります。具体的には独自の研修活動を行うとともに,自治体退職会員への働きかけを強化します。
(7)ホームページ充実とEメール活用
 前記2(6)の所報編集委員会と協力して,ホームページの運営・編集にも当たります。
 また,会員等との双方向での活用を促進できるように運用し,さらに,会員等のメールアドレスを整備し、Eメールによる迅速な情報提供を行います。
(8)事務局の機能充実と移転検討
 事務所の老朽化が著しいので,前記(5)とも関連して,移転の検討を続行します。また,事務管理と業務の両面で「計画自治研究所」との相互協力を継続します。
(9)全国研究所50周年募金への取組み
 創立50周年記念の「財政基盤確立・活動飛躍」2,500万円募金については,本県目標75万円を完遂するため,全力を挙げます。
(10)研究所法人化の検討
 調査研究事業の受託のうえで,法人化のメリットはあります。調査研究体制の再建が先決ですが,公益法人,NPO法人等に関する検討を引き続き行います。

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県内被災地からの報告

水戸市の震災状況と防災対策について 

水戸市議会議員 田中まさき

 

 「3月11日から100日」、本日6月19日の新聞のトップの見出しです。県都・水戸市も大きな被災をした東日本大震災、まだまだ傷跡が深く残されています。震災直後を振り返りつつ、現状をレポートします。

 水戸市は震度6弱を記録、過去最高の地震となりました。市役所本庁舎、水道庁舎、消防本部がいずれも使用不能に陥りました。おそらく市役所本体が使えないのは県内では水戸だけ、被災した県庁所在地でも唯一ではないでしょうか。現在はプレハブなど15カ所に窓口が分散し、市民にとっても市職員にとっても、極めて不便な状態です。 市長選と市議選も4月の一斉選挙から5月末に延期され、現在、改選後はじめての議会が行われており、復旧のための大規模な補正予算が組まれました。ちなみに議会は芸術館の隣のみと文化交流プラザ(旧・文化福祉会館)の6階ホールを仮議場としています。

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 東日本大震災における水戸市の被災状況は、全壊172件、大規模半壊143件、半壊591件、一部損壊18,408件(6月4日現在)、死者2名、負傷者80名です。学校施設では、今も使えない校舎・体育館が16校残されています。市民センターなどでも使用不能施設が続出し、今も2カ所はプレハブです。本来、避難所となるべきこれらの公共施設がその機能を果たせなかったことが大きな問題です。現在も通常の文化活動などへの貸し出しができなくなっています。また、市民会館が市役所臨時庁舎となっているため、様々な会合などをするのにも会場がなく支障をきたしています。駅南地区を中心に液状化の被害が深刻で、道路の陥没やマンホールの飛び出し、電柱の傾きなど、余震で今も動いているものもあります。道路も応急復旧から本格復旧にまだ移れていません。

 震災を振り返っての教訓、問題点としては、第一に市民への情報伝達がほとんどなされなかったことです。水戸市の防災広報車はわずか2台、しかもライトバンに小さなラッパ2つだけ。防災無線は旧内原地区と国田などの周辺地区に屋外のスピーカー式のものがあるだけで、主要都市部の情報の頼りは茨城放送のラジオだけ、という状況でした。私達が震災直後に発行した災害情報をのせた「災害復旧支援ニュース」が喜ばれよく読まれました。新市長は災害対策本部と市民センター、学校などの緊急時の連絡用に、携帯式の防災無線受信機を配備するとしています。それは当然としても、私達は大洗町やひたちなか市のように、各家庭に防災無線の戸別受信機の設置を求めている所です。

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 第ニは、水道の断水が全市で解消し、完全通水になるまで1週間かかったことです。水戸市の水源は那珂川で、そこから楮川浄水場、開江浄水場の2カ所にポンプアップして市内に自然流下で配水しています。楮川浄水場には1カ月分を賄える水が蓄えられているというのがこれまでの市の説明でした。幸い2つの浄水場は地盤がよいのか施設面での被災は少なく水をつくれる状態でした。しかし、水をつくるにも電気が必要。川からポンプアップし、水をつくり、タンクにためるためにまた電気でポンプアップする。停電が市の想定以上長く続いたため、自家発電機では通常時の8分の1しか水をつくれない、あちこちで水道管が破損し漏水する、水道タンクにも水道管の中にも水が空っぽになってしまい、通常の水圧に戻るまで日時を要したとのことです。県の企業局の浄水場が大きく破損したため、多くが県の水に頼っていた常澄地区は特に断水が長く続く結果となりました。安定給水のために県の水は必要だとしてきた説明が全く逆の皮肉な結果となりました。自家発電の容量拡大や水道管など水道施設の耐震化が課題です。また、個人の井戸が活躍したこともあり、防災用井戸登録制度の実施を求めていきたいと考えています。

 第三は、被災住宅が多くある中で、90%以上は一部損壊の見込みです。国の被災者生活再建支援制度や、各種税金の減免も全壊、半壊までが対象です。罹災証明の調査に期待していたのに一部損壊では何の援助も受けられないと、市民の中に不満の声が広がっています。そこで、私達は県内自治体で取り組まれている住宅修繕費の補助制度の実施を求め、署名運動にも取り組んでいます。また、一部損壊でも確定申告の雑損控除の対象になることなど、広く広報するよう求めていきたいと思います。梅まつりの真っ最中に震災となり、偕楽園も大きな被害をうけ、閉鎖となったこともあり、観光や地域経済にも打撃となっています。農地が地割れしたり、常澄地区では津波被害による冠水で作付できない地区もあり、こうした被災者への支援や無利子の融資などの制度の拡充も必要です。

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 第四に、塀や瓦などのガレキの撤去では、市が回収作業も行うとしながらそれを翻して個人責任でやるように変更し、その後一部は回収するとしたため混乱が起きました。今は災害ごみの個人持ち込みによる回収を6月末で締め切ろうとしています。しかし業者が忙しく、ブルーシートが屋根にかかったままの家が大多数です。塀の修繕もはじまっていない所がほとんどです。災害ごみの回収の延長を求めていきたいと思います。ちなみにインターネットでグーグルアースを開いてみると、震災後の航空写真が公開されており、水戸の町はブルーシートだらけということがよくわかります。

 第五に、「市役所はどうなるのですか」とよく聞かれます。市は今年10月頃までかけて、市役所本庁舎の損傷度調査を行い、補強して使えるのか、壊すしかないのかの判断をするとしています。壊すことになった場合、現在地に建て替えるのか、引っ越すのか、いずれかの決断を下す時がくるでしょう。その場合は耐震性を確保し安全で、あまりお金をかけず経済的で、市民が利用しやすい機能性を確保し、位置についても市民合意で進めることが大事だと考えています。新市長は旧県庁のあった三の丸の庁舎跡に窓口機能を集約したプレハブ庁舎を建設する方針です。私達も市民のみなさんの意見を広く聞いて、議会でも取り上げて行きたいと思っています。水道庁舎は市役所本体より深刻で、すでに西南方向に傾き、沈みこんでいるため、解体しかない見込みだそうです。消防本部は現在地建て替えで設計予算が組まれました。いずれにしても国・県などが庁舎再建に補助をしてくれるよう(今の制度では補助がない!)私達も強く要請していきたいと思います。

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 第六に原発事故、放射能汚染の問題です。今、水戸市では水道水の放射能濃度測定、大気の固定モニタリングポストは3カ所で測定しています。これに加え、携帯測定器による34小学校での測定に続き、保育所などで測定を行い、ホームおページで公表しています。また、市の教育委員会は学校でのプール実施を見合わせています。給食の食材が不安だとして弁当持参の児童もいます。放射能測定の場所と回数を増やし、広く広報するよう求めていきたいと思います。原子力災害対策を定めた防災計画をみると、想定しているのは大洗の「常陽」のみで、半径8キロ圏内だけです。東海第2原発から20キロ圏内に市役所も県庁も入ってしまうわけで、1万2000人分しか備蓄がないヨウ素剤の配備を含め、防災計画そのものの根本的見直しも必要です。

 市民の要望も市の課題も山積しています。福祉と防災のまちづくりをすすめ、1日も早く水戸のまち、市民生活の復興を実現できるようがんばっていきたいと思います。

注:文中の写真は、編集部で用意した水戸市内の被災状況です。

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