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第28号

月刊「いばらきの地域と自治」既刊号すべて

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(第28号) (2011・04・20発行)


  • 世界は一つ政界はばらばら  福島県 根本 中 
  • 夭折の命引き継ぐ祈り込め      豊橋市 河合 保雄
  • 気休めでしかない他所と比べても     泉佐野市 河原崎純隆
  • 風評の対策いつも食べるだけ    いすみ市 佐藤 健 
                    

    (4月16日「朝日川柳」西木空人選より)


    福島原発.jpg

福島第一原発4号機の無残な骨組(福島県大熊町)

2011年3月31日朝日新聞朝刊

東電福島第一原発事故は人災 国民的議論で原子力政策を見直しさせよう!  

匿名希望 (元原子力事業所勤務)

 日本の原発は国の審査で安全を確認した上で建設、運転される。 国や電力会社は当然地震や津波も想定しており、十分安全は担保されると主張してきた。しかし科学者などの指摘を受け入れず事故を防げなかった。事故への初期対応も的確さを欠き炉心溶融・水素爆発など事態を悪化させ、夥しい放射能の放出で国際原子力事故評価尺度最高の「レベル7」の過酷事故にしてしまった。
 新潟刈羽原発で'07年におきた想定を超える地震をうけて、'09年6月原発の耐震指針改定を検討する審議会が開かれた。この場で岡村行信委員が、869年に宮城県沖で発生したマグニチュード8以上とみられる「貞観地震」を取り上げて、「非常にでかいものが来ているのが分かっている」「福島の広い範囲が浸水したとの証拠がある」と指摘し対策を求めた。しかし東電は無視し、この指摘は活かされなかった。
 国会でも吉井英勝衆議院議員が、津波によりディーゼル発電機が破壊されるなど冷却材が喪失して、炉心溶融が起こる危険を度々指摘。しかし政府は「論理的には考え得る」と認めながら対策をとらなかった。結果、建設時の安全審査での津波の想定は3.12㍍が見直し後でも5.4~5.7㍍となり、今回の14㍍の津波に耐えられなかった。東電は指摘を無視して、国民に甚大な被害を与え、自らの存在も危うくしている。今回の事故は「想定外」では決してなく人災である。
 今後のエネルギー政策は、長期的には新しい電源を選択することも可能だ。ところが短中期でみると節電には限界があり、原子力発電所を総点検して継続するか、それとも安全最優先で多くの原発を停止させるのかの選択となる。後者を選べば経済活動の停滞や失業など大変な不便と不利益が発生する。安全対策を怠ったツケは大きい。エネルギー政策の見直しが国民的な課題になっている。

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東日本大地震と福島第一原発事故による甚大な被災状況に潜む問題をとらえ、今後の復興のあり方を考えるうえで参考になる資料を掲載しました。阪神淡路大震災についての調査研究からの提言です。一部省略しました。全文は茨城県自治体問題研究所にお問い合わせください。(編集委員会)

 資 料 

大震災と地方自治にかんする第一次提言
1995年6月23日

大震災と地方自治研究会 代表 宮本  憲一
自治体問題研究所・兵庫県自治体問題研究所
(社)大阪自治体問題研究所・(社)京都自治体問題研究所

主な提言内容
提言1 大規模開発・経済成長優先型の都市政策からの転換をはかり、これ以上の自然破壊を停止する。
提言2 港湾・幹線道路網優先、都市業務機能の拡散政策からの脱却をはかり、低所得者向け住宅の保障、福祉、地域防災を優先させる。
提言3 行政による強引な「都市計画決定」については棚上げにし、住民主体の復旧・復興への転換をはかる。
提言4 大規模プロジェクト優先、外部企業誘致志向の産業政策から脱却し、地域産業・地場産業の再建と振興、雇用と零細営業権の保障を重点とする。
提言5 中央集権的・国家主導の危機管理ではなく、自治体中心・地域コミュニティ主体のネットワーク型防災システムの確立をはかる。区の権限を強化し、区評議会を設置し、住民参加システムを具体化する。全中学校区を単位とする地域福祉・防災センターの設置を進める。

 われわれは、こうした被害の特徴ー略ーをふまえ、そこから得られる貴重な教訓を正確に認識しておく必要がある。それは、次のような諸点である。
(1)高齢者・障害者・低所得者が安心して居住できる住宅の保障を最優先すべきこと。
(2)都市行政における防災計画・防災対策・消防力の強化等に高い優先順位を与えること。
(3)経済効率優先・開発優先の都市政策から、市民の生活権・環境権を優先した都市政策への転換をはかること。
(4)中央集権的・国家主導型の危機管理ではなく、自治体中心・地域コミュニティ主体の小規模分散・ネットワーク型の防災システムの確立に重点をおくべきこと。
(5)震災からの復旧・復興にかんしては、国の補助金・起債・地方交付税等による財政援助を拡大するとともに、公共投資計画の組み替え、被災地への優先的配分等抜本的対策を講じること。

救援・救命および避難生活段階の教訓と提言
救命・救援
 中央政府の危機管理や自衛隊の救援活動には限界があり、地域のコミュニティおよび自治体(大都市では区)、ボランティアの果たす役割の重要性が明らかになった。
 中央集権的・国家主導型の危機管理ではなく、自治体中心・地域コミュニティ主体の小規模分散ネットワーク型の防災システムの確立をはかることが必要である。
 ① 災害時の危機管理の権限を自治体に大幅に移管し、自治体中心の危機管理体制を構築する。
 ② 府県・自治体・区・コミュニティの役割分担を明確にするとともに、自治体間の災害救援ネットワークの強化をはかる。
 ③ ボランティア・周辺自治体の支援をうけとめる「救援センター」の設置をはかるとともに、継続的なボランティア活動を保障するための非営利団体の育成など、法的・財政的措置を行う。
 ④ 地域コミュニティの防災力の強化(地下水槽・緊急物資・オープンスペース・緊急連絡網・地域企業等との協力)をはかり、広域的防災拠点ではなく、多数の狭域的防災拠点を設置する。地域に密着した医療施設・保健所・福祉施設の共同による救命・救援地域ネットワークを構築する。
避難生活 (省略)

都市政策の教訓と復興計画への提言
(3)復興政策の基本視点と提言

1)大規模開発・経済成長優先型の都市政策からの転換をはかり、これ以上の自然破壊を停止する。
 海の埋め立て、山地の破壊を中止し、現存の農地、森林、屋敷林の保全を図る。市街地における小規模公園緑地の創出に全力をあげるとともに、市街地での水と緑と土の循環の復活をはかる。
2)港湾・高速道路網整備優先、都市業務機能拡散論からの脱却をはかり、住宅供給・福祉地域防災を捷先する。
災害復興公営住宅等の大量建設を優先的に促進するため、兵庫県と関係各市町、住宅都市計画専門家、住民代表等からなる「復興住宅公社」を創設し、必要な財源確保、土地の確保、住宅建設と環境整備を行う。
 「ゴールド・プラン10カ年計画」の5年前倒しを図り、福祉施設の拡充、ホームヘルパー等の確保、地域ボランティアのネットワークづくりを進める。
 地域コミュニティの防災・福祉拠点としての役割を強化するための支援を、いわゆる「モデル防災区」方式ではなく、全地域ですすめる。
3)今回の「都市計画決定」を再検討し、住民主体の復興への転換を図る。
 災害に強いまちづくりを前提としつつ、従前の町並み・雰囲気の破壊につながるような計画を避ける。
 現地における仮設住宅・仮設店舗の早期建設によって住民をよびもどし、住宅建設を中心にすえたまちづくりをじっくりと進める。
 都市計画は復興推進地域の指定だけにとどめ、区画整理・再開発計画は棚上げにする。
その上で、最低2年以上かけて、区画整理、再開発、地区計画、住宅地区改良事業、総合的住環境整備事業等をくわえた多様な事業手法の選択について住民参加できめる。
 「まちづくり協議会」の組織化をはかるとともに、住民の立場にたったまちづくり専門家・法律家等の支援を保障するための「まちづくり支援機構」を制度化する。
4)大規模プロジェクト・「先端産業」誘致志向の産業政策から脱却し、地域産業・地場産業の振興、雇用と零細営業権保障を重点とする。
 ケミカル・シューズ、灘の酒等の地場産業の再生を優先させ、下町の個性を生かした、モノづくり、商業、観光、住環境整備、伝統文化の保存、国際交流等の一体化したまちづくりを進める。個別的産業政策だけでなく、地域の企業間、産業間、および工・商・住・公・憩間の相乗効果の発揮をはかる。
 基本的人権としての小規模・零細営業権の保護のための施策を実施する。
 地域雇用の確保のための情報・調整活動を拡充する。
 公共・民間共同出資による「地域経済復興公社」(仮称)を設立し、中小企業を中心に、新製品デザイン開発、技術開発、市場調査・市場開拓、特許・許認可、経営組織、経理・税務、融資・信用供与等にかんする情報サービス(「リアル・サービス」)の提供を行う。
 大企業に対しても、雇用の確保、地域経済への社会的責任という観点から協定その他の施策を講じる必要がある。
5)民間活力・規制緩和格繰からの脱却をはかり、復興に向けての自治体財政システムを確立する。
 今回の震災の被害規模の大きさ、復旧・復興にむけての公的責任の大きさと長期性からみて、補助率の嵩上げ、起債枠の拡大、交付税による財瀕保障といった方式だけでは、財源を保障することは不可能である。こうした方式は、機関委任事務と補助金行政の集権的縦割り的性格による硬直性、裏負担となる自主財瀬の不足、用地買収の困難・用地費の不足につながるといった点で重大な限界がある。また、6,000億円の「復興基金」も、復旧・復興需要の規模の大きさからみてきわめて不十分なものである。自治体による復興計画の財源を十分に保障するための抜本的財政対策、および630兆円の公共投資計画の見直しを含む国家財政の根本的くみかえが検討されるべきである。
6)住民自治・地域コミュニティが活性化するための具体的方策を実施する。
 地域福祉、保健、医療、防災、まちづくり、文化・スポーツ、子育て等にかんする「区」の権限を強化し、区暇員を増員するとともに、選挙でえらばれる区評議会を設置する。
 区単位の公聴会、公開評議会、情報公開、住民集会の保障等、住民参加システムの具体化を図る。
 全ての中学校区を単位として地域福祉・防災センターを設置する。
近隣住区(30~50世帯)を単位とする民主的でゆるやかな地域相互扶助システムの構築を支援する。

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、戦後日本の国土形成や都市づくりに根本的な反省をうながす大災害であった。いうまでもなく、この災害は直下型地震という天災であるが、同時に、その被害を探刻にしたのは社会的諸要因であり、人災とよんでよいものであった。
現在、政府、自治体、大学、研究機関等で、被害の実態把握や防災対策のあり万、あるいは復旧・復興についての多くの調査研究が行われている。この震災にかんする調査研究の分野は科学の全分野にわたるほど広いので、多くの機関や個人が調査研究に参加し、それが総合化されて、具体的な被害者救済や復旧・復興、あるいは今後の防災行政や都市政策に生かされることが望まれる。

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