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第24号

「いばらきの地域と自治」(第24号) (2010・12・20発行)

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松見公園=つくば市天久保に位置する公園。高さ45メートルの展望塔からは筑波研究学園都市から筑波山まで360度のパノラマが楽しめる。また、芝生広場、鯉がいる池、遊具があり家族連れで楽しめる。


  • 戦中と戦後を生きて鬼やらひ
  • 豆打つや昭和の匂ふ桐箪笥
  • 使はざる鍬掛けてある初明かり
  • 自適には遠し傘寿の鍬(くわ)始(はじめ)
  • 仏にも神にも馴染(なじ)み去年(こぞ)今年     
                  
       作:高島 つよし

    (高島剛・常総市(旧水海道市)在住、元県職員、小貝保育園長、当研究所顧問)


                    

「取手市は本当に財政困難」? 市職労は財政分析を開始

根本 和彦(取手市職員労働組合 執行委員長)

 2008年11月、取手市は法人市民税の大幅減収見通しを理由に「脱法人税依存宣言」を記者発表した。2008年度決算で12億円の減収を見込んでのものである。その後、具体的な取り組みとして「財政構造改革アクションプラン」を2009年9月に発表した。2010年度から3年間の「財政に特化した」というこのプランの中身は①人件費削減(12億千4百万円)②事務事業の見直し(9億5千9百万円)③施設の統廃合(2億8千5百万円)などの歳出削減と①受益者負担(8千5百万円)などの歳入対策である。
 いま、格差と貧困が社会問題になり、雇用不安や増税で市民の暮らしが大変なとき、市町村の果たす役割は重要である。市民生活を応援するか、市民犠牲の政策を行うかである。今回のプランは職員の人件費削減が大きな柱となっている。市の広報のコラム欄で藤井市長は、「合併(2005年3月)時1,088人の職員数が2011年4月には854名になる見通しで234名減少した。人件費も2011年度は前年度比で4億5千万円削減できる」と誇らしげに書いている。事務事業の見直しでは、補助金のつかない事業はすべての事業を見直すというもので、これまでも福祉サービス事業をかなり削ってきた。
 取手市の財政力は全国の類似団体(35団体)と比較しても上位(2008年度決算で10位)であり、決して財政難とは言えないはずである。しかし社会福祉や高齢福祉などに支出する民生費の割合は類似団体35のなかでは32番目である。
 わたしたちは、職員や市民を犠牲にするほど取手市の財政は大変なのか、大きな疑問をもって、自治体問題研究所の支援を受けて、市民とともに財政学習会・財政分析を開始した。2011年中には財政白書をまとめたいという夢をもって学習活動をすすめている。


資 料

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)めぐる動き

宇佐神 忠捷(茨城食健連事務局員・茨城県自治体問題研究所理事) 

 菅首相が10月1日の国会所信表明演説において「TPPへの参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と延べたことから、TPPをめぐって国内での論議と行動が各地で起きています。この問題は、ともすると農業だけの問題として捕られがちですが日本という国の姿、そして何よりの私たちの暮らしに直結する問題です。国民的な視野と規模でしっかりと捕え論議が尽くされるべきだと思います。
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 TPP参加の方針は今年6月に閣議決定された菅内閣の「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ~」の工程表で、日豪EPA、日米FTAの締結・推進が明示され、ここからスタートしました。そして先述の首相の所信表明があり、関係閣僚に「検討」を指示しています。これを受けて、農業者・農業団体をはじめ、消費者(団体)、自治体のなかから疑問や反対の声が起きており、政府与党のなかでも異論・慎重論が続出していると伝えられています。

 こうしたなか、政府は11月6日に首相主催で関係閣僚会議を開き、「包括的経済連携に関する基本方針」をまとめ、①TPP交渉への対応については、参加の是非に関する判断を先送りし、情報収集のために「関係国との協議を開始する」 ②既存の経済連携協定(EPA)で自由化の例外としてきた農産品の一部開放も視野に入れて「農業改革」を先行的に推進することとし、11月9日の閣議で決定しました(別掲資料①)。

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TPP交渉参加の判断時期について、仙谷官房長官は記者会見で11年6月前後になるとの考えを表明しました。菅首相は、「日本の新たな繁栄を築くための大戦略のスタート。明治の開国に続く平成の開国と、農業の再生を進める基本方針だ」と本格交渉入りに意欲を示したと伝えられています。そして、11月13~14日、横浜市で開催されたAPEC首脳会議では、抜本的な国内改革を進め、高いレベルの経済連携を目指す「平成の開国」を宣言、TPPの交渉参加国首脳会議にオブザーバーとして出席し、積極的な姿勢をアピールしています。

 TPPについては、日米の財界は推進の立場を取っています。10月に開催された日米財界人会議の共同声明では「(TPPを)遅くとも2015年までに実現させる」ことを求め、締結に向け「今から取り組みを開始すべきである」と踏み込んで参加を迫っています。また、アメリカの在日大企業で構成する在日米国商工会議所の政策提言では、米政府に、日本をTPPに参加させるよう働きかけることを求めています。国内の財界もTPP参加で足並みをそろえています。11月2日には日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の財界3団体が、TPPへの交渉参加を求めた緊急集会を開きました。決議は「(TPP参加という)この機会を逃せば、わが国は世界の成長と繁栄から取り残されかねない」と強調、ここに財界のTPP参加の論拠が示されています。

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 これに対して多くの農民、農業団体は参加反対を表明し、行動を起しています。農協組織は、菅首相TPP参加表明を受けて、直ちに集会を開き「断じて認めることができない」との特別決議(別掲資料②)を行いました。
 さらに、中央、地方で反対集会を開催するとともに、議会・自治体に参加反対の要請を行っています。茨城でも、県知事に対して「参加反対に関する緊急要請」(別掲資料③)、県議会に反対請願を行いました。

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また、日本消費者連盟が交渉参加に対して明確に「反対」を表明するなど、消費者・環境団体からも反対、慎重にとの声が出ています。さらに、中小商工業者、自治体関係者からも、「地場産業や地域経済に打撃を与える」として不安と反対の声が広まっています。全国町村長会は、TPP参加反対の特別決議(別掲資料④)を採択しており、また多数の自治体首長が「反対」「慎重に」との表明を行っています。

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 こうしたなかで、特に反対が強いのは農業関係者で、この背景にはTPPによって日本農業が壊滅的な打撃を受け、農業を続けていくことができなくなる心配があります。特に、10月27日、政府[添付](農林水産省)が発表した「TPPに日本が参加した場合についての影響について(農林水産省試算)」(別掲資料⑤⑥)は大きな反響を呼びました。また、北海道など各道県や各県JA中央会が、それぞれの地域における影響試算を公表しています。
 本県でも、JA中央会が農林水産省試算を元に試算を発表、主要農産物合計で1,481億円(減少率35%)を超える生産縮小につながるとしています(別掲資料③)。
政府は、来年6月に参加を決めるとしていますが、まず参加ありきでなくTPPの狙い、性格(別掲資料⑦)についてきちんと分析するとともに、「くらし」の立場からその影響、そして功罪を明らかにすることが求められていると思います。

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 ジャーナリズムがこの問題をどう考えているかについてもふれたいと思いましたが、紙面がつきました。ただ、中央の大手ジャーナリズムは、TPP参加推進の立場であることが明確です。また、経済学者など識者の中も賛否両論があるのは当然のことです。私自身についていえば、これ以上、日本の農業を壊し、そして私たちのいのちの元である食を危険にさらすTPP参加には反対です。

TPPッてなんだ
(以下週刊金曜日11月26日号 NO.825参照)

 10月の国会で菅総理がTPPへの参加を取り上げたのをきっかけに、経済団体がTPPに参加して世界の自由貿易の波に乗れという要望書を政府に提出した。 以後、メディアではTPPに参加しないと日本は危機的状況になるとか滅んでしまうといった大政翼賛的報道があふれている。
 TPPはシンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイの4カ国が集まって2006年に発効した地域的な自由貿易協定である。徹底した自由化路線を打ち出していることが特徴だ。
 物の貿易については全品目について例外を認めずに関税を撤廃することを打ち出している。対象は物品貿易ばかりでなく、公共サービス・知的所有権・人の移動などもふくむ包括的協定である。すなわち、教育・医療・福祉、上下水道といった従来行政が担ってきた分野でも規制緩和をして外資導入・民営化を推進しようとするものだ。
 内容が過激なわりに小国連合であったため注目を集めなかったが、2009年、米国のオバマ大統領が突然参加を表明して注目を集める存在となった。米国に続いて現在、オーストラリア・ペルー・ベトナム・マレーシアが参加交渉に入り、カナダも参加を希望している。米国の参加で小国連合だった同協定は米国主導の広域経済連携協定を目指す存在となった。
 アジア太平洋地域で経済のイニシアティブを握ることは落ち目の米国経済にとって最重要課題だ。ところがアジア太平洋地域の最大の経済連携体であるASEAN=東南アジア諸国連合及び東アジアでは中国が主導権握っている。TPPはアジア・太平洋地域で米国が中国に対抗して主導権を握れる唯一の経済連携グループである。
 農業ジャーナリストの大野和興はTPPは「日米自由貿易協定」の別名だとして次のように書いている。
「TPPは菅政権にとって普天間で揺るぎ、尖閣でその効用を再認識させられた日米同盟を立て直す切り札だったのだ。それは経済政策というより政治選択だったのである。沖縄の人々の思いより日米同盟優先でキャンペーンを張った主流メディアがTPP太鼓をたたいたのも当然の帰結だった」と(上記週刊金曜日より)。
 それでは日本がTPPに参加したらどうなるか。
 農林水産省の試算によると、食糧自給率は現在の40%から14%程度になる。農業との関連産業をあわせると、国内総生産の減少額は7.9兆円で、340万人の雇用が失われる。
 国内のコメ生産は新潟コシヒカリや有機米など一部を除きほぼ壊滅。現在の生産量の10%ほどが残る程度だ。国産小麦は壊滅。牛肉は生産量の75%が外国産牛肉に。乳製品の国産はほぼ壊滅。また、食品の安全基準なども外国よりきびしい基準は認められなくなり、国民の健康より貿易の自由が優先される。さらに、労働者の権利を守る制度や企業活動による環境汚染を防ぐための基準も非関税障壁とされる。

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