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第21号

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「いばらきの地域と自治」(第21号)

野口雨情の生家.jpg

 野口雨情の生家(北茨城市磯原町)2010/09/05
雨情が15歳で上京するまで過ごす。木造二階建ての立派な屋敷は磯原海岸に向かって建っていることから「観海亭」とも呼ばれている。併設の資料館と共に雨情を偲ぶ事が出来るスポット。


 

  • 水音のして水見えぬ大花野
  • 菊咲かせ晩年気負うふこともなく
  • 雁渡る父の遺稿の行軍記
  • 帰り花分相応に老いの日々

作:高島つよし
(高島剛・常総市(旧水海道市)在住、元県職員、小貝保育園長、当研究所顧問)




                    

住宅公社も破産し、県有土地対策で今後20年間1940億円を投入

-なぜ、速やかな事業中止・縮小措置がとれないのか-
 2010年度補正予算案が9月の第3回定例県議会に提出された。審議されるべき焦点の一つは、債務超過に陥っている県住宅供給公社の負債を肩代わりするため、第三セクター等改革推進債(三セク債、借金)を380億円発行し、これらを原資に同公社などの保有土地対策約200億円を歳出に計上した点である。国が09年度から認めた三セク債の発行額としては全国最多である。
 さらに、県住宅供給公社やつくばエクスプレス(TX)沿線などの保有土地問題で、県は、将来負担見込み額1890億円を解消するための対策案として、対策期間を20年とし、第三セクター等改革推進債380億円(償還15年)の活用とともに、一般財源を本年度144億円、11年度から24年度にかけ毎年100~120億円、25年度から29年度は30~100億円を投入する試算を発表した(8月19日)。この試算に基づくと、20年間で利子分を含め計1,940億円に上る県民の税金が保有土地対策につぎ込まれる勘定になる。(資料「茨城県・公社等の土地保有状況」も参照されたい)
 地方財政の困窮状況下で、無為無策につくられた巨額の負債への県税支出に怒りを覚える。無責任で杜撰な行政計画と予算支出の結果である。なぜ、トップの県執行担当者や県議会は、年度決算・中間決算の段階で事業中止・縮小などの措置がとれなかったのか。とくに、チェック機能を果たさない県議会・与党多数派は更迭改新すべきである。


投 稿

子どもの貧困と子ども政策を考える


遠藤 憲子 (牛久市議会議員)

 第52回自治体学校(7月31日から8月2日)2日目の「子どもの貧困と子ども政策を考える」分科会に参加しての報告です。
 分科会の中で、元児童相談所に勤務していた司会者より、大阪での幼子2人の育児放棄による虐 待死のことが話されました。報道での判断なので、原因は軽々にはいえないとしながらも、マンションの住民などが「虐待では」と通報していたにもかかわらず何故幼い命が犠牲になったのか、悔しいともいっていました。

 一番弱い立場の子どもたちが、犠牲になるような「子どもの貧困」は、まさに、いのち、健康の格差となって現れてきます。親が国民健康保険税を滞納しているため、保険証が発行されない無保険の子どもは、高熱があっても病院にいけず、虫歯があっても治療しないので放置されたままの子どもや、学校から病院にいこうと親に電話をかけても「家に帰ってから様子を見て病院に行くか決めます」と言わざるをえない保護者の現実、保育園で子どもが発熱し、迎えに来てもらおうと保護者に電話をかけようとしたら、子どもが「お母さんに電話をしないで」と訴えたといいます。それは親が非正規雇用で働いており、何度も迎えに来るようでは仕事を辞めなければならなくなることを心配しての言葉で、幼い子どもたちが心を痛めている現実があります。

 昨年、国会で中学生以下の子どもに対しては「短期保険証」を発行する処置が決まり、「子どもの貧困」が社会的にも見えるようになりました。親のリストラ、失業、倒産など経済的な問題が、子ども期=人生のはじめのスタートラインに立つまえに、格差として広がっています。貧困は、いのちと健康の格差だけでなく、教育の機会や人間関係、さらに発達や意欲・希望の喪失、人生そのものへのあきらめへとつながっており、早い時期からドロップアウトしていく可能性が高いといわれています。
また、大阪の調査によれば生活保護受給者の4分の1は、その親世代も生活保護を受けていた経験があり、母子家庭に関しては4割が親も受けていた状況とのこと。貧困の世代間の連鎖は、人生の早い時期の家族の生活状況が、子どもの人生に大きな影響を与えていることが明らかになっています。
今、この連鎖を社会的に断ち切れることができるかどうかが鋭く問われています。

 「子どもの貧困」を削減していくためには、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」、第13条の国民の幸福追求権や、日本も批准していいる「子どもの権利条約」に規定されている子どもの権利利内容に基づき、具体的に政策を立案し、推進することが求められています。

 当面する緊急の施策では、子どもの医療費の無料化、就学援助の拡大、経済的理由により進学断念や中退などの援助施策、定時制高校の廃止方針の再検討など、子どもの健康と教育権を保障することです。
 労働政策では、最低賃金の改善、若者・青年の非正規雇用の比率の改善、人間的に働けるルールづくりが今こそ必要です。その他には、家族政策の拡充、課題別政策など検討すべきことは山積しています。
 具体的な現れ方に対し、さまざまな援助・支援システムの社会的セーフティーネットの構築も必要となってきます。
 少数の子どもたちを大切にできない国は、大勢の子どもたちを大切にできません。子どもを大切にする国への第一歩は、「子どもの貧困」削減に向けて、今の現実を変えていくために、多くの人々と力を合わせ行動することです。


資 料

茨城県・公社等の土地保有状況

- 茨城県の売れ残り分譲面積は1,594ha -

 県や公社が県有する工業団地や宅地などは、1,594㌶が売れずに残っています。土地を売って返すはずの借入金残高は4,293億円にのぼります。 住宅供給公社は90年代に入り、大型開発と一体に住宅団地を大量造成してきました。現存、保有他の7割はこの時期の購入によるものです。県が開発公社に委託して造成した工業団地も、売れ残りの約9割は、バブル経済崩壊後の取得です。この時期に事業を拡大した責任が問われています。

売れ残り保有土地(2010年3月31日現在)

-面 積借入残高
 1164.9ha3,692億円
開発公社114.4ha155億円
土地開発公社70.0ha232億円
住宅供給公社234.1ha213億円
その他10.1ha-
1593.5ha 4,293億円

バブル経済崩壊後も大量に土地取得
(2010年3月31日現在)

団地名取得年分譲可能面積売れ残り面積
宮の郷工業団地1993~9752,2ha46.4ha
茨城中央工業団地1992~123.7ha118.7ha
北浦複合団地1994~129.5ha119.7ha
茨城中央工業団地(笠間地区)1996~74.3ha74.3ha
茨城空港テクノパーク2004~37.2ha37.2ha

出典;『茨城県政と県議会』日本共産党茨城県議会議員団


報告

「第52回自治体学校 in 福井」から

 「守ろう!憲法にもとづく地方自治、検証しよう!『地域主権』」をテーマに第52回自治体学校が8月31日、福井市で3日間の日程で開催されました。自治体労働者、地方議員、研究者ら930人が参加しました。

 自治体学校の永山利和学校長(日本大学教授)は、菅政権が小泉政権以上に「構造改革」路線に走ろうとしているとし、「これを許さないためにも真の民主的国づくりを学びあおう」とあいさつ。
 記念講演した専修大学の晴山一穂教授は、民主党が進める統治システムの改変に言及し、憲法が規定している国や自治体の役割を抜きに議論が進められているが、「時々の政権の都合で統治機構のあり方を変えていけば、憲法に基づく統治という民主主義国家の普遍的原理そのものを否定することになる」と批判。生存権や労働権など現行憲法が幅広い社会権を保障していることをあげ、「国家・行政の公共性の実現こそ憲法に基づいて私たちが目指す基本方向だ」と力説しました。
 リレートークでは4人のパネリストが「地域主権」改革のもとで自治体に期待することを発言。立命館大学の平岡和久教授は、「地域主権」改革の目玉と位置づけられる地方補助金の一括交付金化について「経費や人件費を削減する手段だということがだんだん明らかになってきた」と指摘。住民運動や自治体の努力で国のナショナルミニマムを押し上げてきた歴史を紹介し、改めてそうした取り組みが重要になってきていると強調しました。(岡村)
          

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