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第16号

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「いばらきの地域と自治」(第16号)


 

  • 背伸びして 微かな春を たぐり寄せ
  • 消費税 大根めしの レシピ買い
  • 晩酌で 斟酌思う 名護の月
  • うぐいすや 鳴かぬ総理に 耳が腫れ

作:泉  明 羅

(泉 明羅・本名 福田正雄、水戸市在住、句歴十年、所属 元吉田川柳の会)



「米軍の抑止力が日本の安全保障」という神話から脱却を!
―沖縄・米軍海兵隊普天間基地の撤去問題で迷走する鳩山内閣―

 鳩山内閣の前途は危うい。最大の原因は、米軍普天間基地の撤去(少なくとも県外移設)問題が袋小路に陥り、解決不能にいたった無策ぶり・無能力にある。8カ月前国民が民主党に期待を寄せた政治の抜本的な変化=自・公の展望なき格差政策・閉塞状況の変革は、もう諦められた感がある。なぜ、こうも短時間で国民から見放されたのか。それは、まさに“アンシャン・レジーム”(旧体制)をそのまま引きずって見せかけのパフォーマンス(振る舞い)に終始しているからである。
鳩山首相は、就任演説で「東アジア共同体」構想を発表し、その基調として日本の安全保障を近隣国との「ゆるやかな国家連合」=紛争の平和的外交解決・非戦軍縮の推進=EUイメージを含意    していたはずである。当然に日米安保体制の転換=解消を指向する提起である。アメリカ側が神経を尖らせるだけの重みをもった構想である。
国際関係の激変=グルーバル化が起こり、超大国も一国では身動きがとれないし、古い同盟関係で世界を動かす事も不可能な状態になっている。「米軍の抑止力が日本の安全保障」という考えはすでに神話であり、当のアメリカ自身が在日米軍はグローバル即応戦力といい、在日基地は中継・通過点で、日本防衛を固有の軍務とはしていないと発表している。
米軍普天間基地の撤去はじめ在日米軍基地の解消、その根拠となっている日米安保条約の廃棄という指向こそ、東アジア共同体に向かう実際的なあゆみであり、日本の自立の一歩となる。独立・対等な日米関係の樹立がわが国の平和の鍵である。


投 稿

後期高齢者医療制度茨城県広域連合議会の現状について


笠間市議会議員
鈴 木 貞 夫

 後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者の医療費を削減することを意図した、差別的医療制度であると当初から指摘されています。2年毎に保険料を見直すことになっており、2010年はその年に当たります。全国的に値上げ反対の声が高まっていますが、茨城県でも社会保障推進協議会を中心として値上げ反対の請願署名が取り組まれ短期間に7,512名の署名があつまりました。広域連合議会事務局に対し全県各地から30数名が参加して各地で起こっている問題点を示し、署名を渡して保険料を値上げしないよう要求しました。

 また、1月29日に県に対して申し入れを行っています。このような動きを背景にして、2月17日に開かれた広域連合議会において全国に先がけて保険料の据え置きが決議されました。
 全国では27都道府県が値上げし、引き上げは7県、据え置きは16県になっています。
 茨城県は均等割、所得割率とも据え置きになっていますが、昨年に比べ2,668円減額となっているのは高齢者の所得減によるものです。

 この後期高齢者制度は発足の前から、どこが主体となるのかが一つの問題でした。結局、都道府県単位の広域連合となりました。今までも各種の事務組合はありましたが、国民生活に直結する医療関係の分野では存在しなかった。
 75歳以上の高齢者制度づくり、更に問題となっている65歳~74歳の障害のある人を含めた医療保険というあり方は世界に例がなく、高齢者の医療費削減を目的として制度化されたことは明らかです。そういう中にあって広域連合の役割は、一般財源はなく、保険料、公費、現役の支援金などで運営し、医療費の支払いをすることが主な事業です。広域連合議会は年2回、臨時議会があれば3回開かれます。茨城県の広域連合議会は44市町村から各1名選出されて、44議員で構成されていますが、2月17日に開かれた広域連合議会は、年間予算2400億円という巨額について事務局の説明を受けたものの、笠間市議会選出の私一人が一般質疑、意見陳述を行ったのみで他に発言者はなく一活採択で決議されています。
 今までの広域連合議会をみると国の制度を追認しているとしか思えません。保険料の徴収を含め実務を行う市町村には決議権がありません。この制度の責任は、国、県、市町村の何れにあるのか。これが最大の問題だと思います。

 広域連合議会は住民からかけ離れており、加えて後期高齢者制度の内容や運用実務が住民に知らされずに済んでいるという実情にあります。昨年発足した鳩山内閣は、後期高齢者医療制度を即廃止するというのが公約でした。4年後に新しい制度に移行するとして厚生労働省の高齢者医療制度改革会議が昨年から審議をしていますが、審議内容が明らかになるにつれ、廃止するのかどうか疑問をいだかずにはいられません。65歳以上を国保加入させ、そして75歳以上には更に引き下げ差別医療と負担増を押し付ける「姥捨て山」をますます拡大させようとしています。

 国保は現在、市町村単位で運営されていますが今回の案では、保険料は市町村が徴収し運営は都道府県単位の広域連合が行うとしています。このことは後期高齢者制度と同じです。
 民主党は、共産党、社民党、国民新党とともに2008年参議院において廃止を決議し、昨年の総選挙においてもマニフェストに廃止をかかげておきながら、今回の改革案では高齢者医療を更に差別しようとするもので、反故にすることは許されません。今、全国でこの制度の廃止の運動が日増しに広がっています。その声を大きくすることが必要です。            2010年4月記

投 稿

ベトナムへ旅して


大 内 健 次(ひたちなか市)

 ニャチャンのホテルからの夜景は、いつまでも忘れる事ができない。海岸のわきを走る道路の両側の明かりはどこまでも続いている。バイクの光が切れ目なしにうごめいている。 
 夕方、真夏のような暑さが少し涼しくなると、信号のない道路をそれた海岸に面した広場にはベトナムの若い男女が海をみながら夕涼みをしている。
 泳いでいる人もいる。数キロメートルも続く海岸にはたくさんの遊ぶ人がいる。
 エビやイカを売る人もいる。私のところへもタバコや絵葉書を売りに来る人がいた。「ハウ・マッチ」と聞くと「スリ・ドラー」と言って三本の指をひろげた。また、小学生のベトナム人が靴を魔がかせて欲しいという素振りをしていた。日々そこで生活している人と少しでも会話ができるのは旅の楽しみだ。
 ホーチミン市やハノイ市でのバイクは洪水のようだ。ホイアン市での木工品づくりや女工さんの刺しゅう作業は一針一針手造りである。ハノイからハロン湾への車窓からは人の手のみの田植え風景が見られた。これらは皆日本の昭和30年代の風景ではないか。
 1986年からドイモイ(市場経済)政策が始まって発展しているとガイドのユアンさんが話していた。日本の高度成長と同じである。まるでタイムカプセルに乗って、昔の日本を見ているようであった。それを写真や新聞でなく実感として今の瞬間異なった発展の存在を見て触れて感じたのである。
 ダナンの天井の高い明るい立派な建物のある空港からホイアンに向かう幹線道路の左側にはホテルやゴルフ練習場、中にはカジノまで建設中であった。しかも昔からあったお墓を移動しての事とか。それは外国人向けに作られたもので、観光・外資獲得のためである。
 どこの町へ行っても年々発展していて、壊れるもの、新たに造られるもの、混然一体となった風景が見られた。
 ホーチミン市の北西のクチへ行った。ベトナム解放軍がアメリカと闘うための地下トンネルを見学した。狭いトンネル、巧みな空気穴など、ベトナム人の勇気と知恵に皆感服したようである。戦争博物館には、素朴な農民がアメリカと闘う様子が描かれていた。
 これからベトナムには外国資本がどんどん入って来て、ますます発展するだろう。
 しかし、あの時代を生き抜いてきた人が生きているならベトナムの「心」は消えることはないだろうと感じた旅でもあった。

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