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第151号

第151号

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第151号

2021・07・28更新

大賀はす (2)

大賀ハス(古代ハス)
古河市=古河総合公園

 古河公方公園の池の大賀ハス。戦時中の東京で草炭の発掘現場より発見されたハスの実を、1951年に大賀一郎博士が発芽させた。約2,000年前(弥生時代以前)のものと推定。公園開設を記念して千葉市より2本が株分けされたものが今では3000㎡のハス池いっぱいにまで広がる。


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野党の共闘は市民も共同に引き込む

 7月4日の東京都議選は、この国の政治史の画期をなす教訓、経験、成果を示した。
 既に報じられているように、今回、日本共産党と立憲民主党などが1、2人区と3人区の一部で候補者を調整。共産党に一本化した11選挙区のうち5選挙区、立民や生活者ネット、無所属候補で一本化した10選挙区のうち8選挙区で勝利した。相互に支援しあう共闘が実現したことが、相互に当選者を増やす結果につながった。共闘した選挙区での得票率をみても効果は歴然である。
 「今回の都議選のようにほぼ全都的な規模での選挙協力が進んだというのは、大げさでなく戦後史上初と言っていいと思う。総選挙を前に非常に大きい結果だった」。政治学者の小原隆治早稲田大学教授は、全42選挙区中21選挙区での候補者一本化の構築をこう評価している。
 忘れてならないのは、従前からの市民と野党が積み上げてきた協力・共同が多くの選挙区で政党間共闘を生み出し、政党間共闘の前進に勇気と希望を抱いた市民がよりいっそう力を発揮し、選挙戦を通じて市民と野党の相互協力・共同が強力に発展したということである。
 立憲民主党の安住淳国対委員長が、成果の基礎に「リアルパワー」の存在を指摘された。「『リアルパワー』は、単に共産党の票の力だけではない。市民も含め、みんなで新しい政治をつくるという意気込みだ」とのコメント・理解は、市民と野党の共同がいかに巨大な力を生み出すかを明らかにしている。
 衆議院総選挙まで3カ月もない。国民の生命と生活を脅かす危機=コロナ禍に真摯に向き合わない自公・菅政権を舞台から追放するためにも、市民と野党の共闘・共同の確立がまったなしである。

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今月の俳句

人一人降り荒梅雨の無人駅
   駅の名に昔を偲ぶ雲の峰  
紫陽花の紺極まりて雨浄土
  水中花派手に咲かせて無宗教
濃紫陽花城跡といふも石一つ


高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴七十年 元茨城県職員 小貝保育園長、当研究所顧問


寄 稿

会計年度任用職員制度の課題と今後の取り組みについて

川又 範英 (茨城県自治体労働組合連合書記長)
                     

はじめに

 公務公共職場で職員の非正規化が進んでいます。正規職員が削減され続け、非正規職員が急増している状況の中、2020年4月から「会計年度任用職員制度」という新たな非正規職員制度が始まりました。制度開始時点で、都道府県・市町村の会計年度任用職員は約62.2万人、臨時的任用は約6.8万人、特別職非常勤職員は約0.4万人。地方自治体の一般行政部門では職員の約4割が非正規職員となっています。
 「会計年度任用職員制度」は公務公共職場で働く非正規労働者の適正な任用と処遇を確保する観点から導入したもので、「働き方改革」における「同一労働同一賃金」の方針に基づき、正規・非正規間の格差を是正することを目的としていますが、問題点は多くあります。制度開始から1年以上が経過しました。あらためて制度の課題を確認し、労働組合としての今後の取り組みについて述べていきたいと思います。

1「会計年度任用職員制度」の主な課題について

 
(1) 期末手当と引き換えに月例給を減額

 制度の導入によって会計年度任用職員に期末手当が支給されることになりました。しかし、期末手当を支給する代わりに、月例給を引き下げるといった運用を行う自治体等もありました。期末手当はこの制度の目玉ですが、賃金の総額が制度導入以前と変わらなくなってしまっては元も子もありません。総務省も「期末手当を支給する一方で給料や報酬について抑制を図ることは、改正法の趣旨に沿わない」といった内容の通知を発出しています。

(2) 低い賃金水準

 会計年度任用職員の初任給について、行政職俸給表(一)の1級1号給146,100円を月例給、時給の算定基礎とするケースが多くあります。時間単価に換算すると約897円であり、最低賃金の全国加重平均902円を下回っています。茨城労連が県内の市町村を対象に行った「公契約に関するアンケート」でも、会計年度任用職員の時給を800円台とする自治体が22ヶ所もあると明らかにしており、茨城県の最低賃金水準ぎりぎりです。

(3) 非正規職員間の格差

 期末手当はすべての会計年度任用職員に支給されるものではなく、勤務時間の長短で線引きをしています。多くの自治体等が週15時間30分の勤務時間を目安としていますが、週30時間以上という要件を設けている自治体等もあります。
 また、会計年度任用職員には勤勉手当が支給されていませんが、国の非常勤職員である期間業務職員の約9割は期末手当と勤勉手当が支給されています。この実態について自治労連は、2021年3月に実施した総務省交渉で「現時点で確かに、均衡が生じていないという指摘はもっともだが、法改正の背景や地方の実態などを踏まえて、今後検討を進めてまいりたい」との見解を引き出し、課題として認識していることを明らかにしました。

(4) 勤務時間を削ってのパートタイム雇用

 会計年度任用職員は、勤務時間によってフルタイムとパートタイムに分けられます。正規職員の勤務時間である週38時間45分と同等の場合はフルタイムの会計年度任用職員、勤務時間がこれ未満だとパートタイムの会計年度任用職員とされています。待遇面では受け取れる諸手当に大きな差があり、パートタイムの会計年度任用職員は基本的に期末手当しか対象になっておらず、フルタイムの会計年度任用職員のみ退職手当等の支給要件が定められています。
 会計年度任用職員への移行によって、今までの勤務時間が削減された事例は多くあります。業務内容の整理、見直しを理由としていますが、週の勤務時間を37時間30分(フルタイムより1日15分短い)とする運用が散見され、財政上の理由によりフルタイムの任用を避けているといった印象を受けます。

2 今後の取り組み

(1) 不安定な雇用の解消を目指して

 会計年度任用職員制度はその名のとおり、1会計年度の任用を意味しています。そして、再度の任用(継続雇用)回数の制限を設けています。総務省が示すマニュアルでは、「再度の任用の際に公募を行うことが法律上必須ではないが、できる限り広く募集を行うことが望ましい」とし、国の期間業務職員の場合、公募によらない再度の任用は原則2回までといった例も挙げています。毎回公募を行うとしている自治体等もあり、不安定な雇用に拍車をかけています。
 非正規の公務公共労働者には労働契約法による無期転換制度(有期契約5年超で無期転換)が適用されず、いつでも雇止め、いつまでも非正規といった大きな問題が放置されています。民間では非正規労働者の雇止めを規制する方向で法改正が進んでいます。私たち労働組合が、「公務公共職場は雇用に対する規範を示すべき」といった気概をもち、不安定雇用の労働者を生まないよう運動を展開していくことが重要です。

(2) 均等待遇を求める裁判判例をいかして

 日本郵便事件では、2020年10月15日の最高裁判決で、正社員には支給される扶養手当、年末年始勤務手当、年始期間における祝日給が有期雇用社員には支給されないこと、有給の病気休暇制度、夏季冬季休暇制度について正社員との労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められました。しかし、一般職の地方公務員、会計年度任用職員は「パートタイム・有期雇用法」、「最低賃金法」、「労働契約法」が適用除外となっています。それでも、これらの法の趣旨を踏まえて、その水準を公務公共職場でも下回ることがないようにしていくことが重要です。判例をいかし、会計年度任用職員の病気休暇や特別休暇の有給化、勤勉手当支給の早期実現をめざしていきます。

(3) 要求実現のため仲間と一致団結

 自治労連では「すべての非正規公務員の処遇改善を求める要求署名」に取り組んでいます。会計年度任用職員等への期末・勤勉手当の支給、賃金の底上げ、有給の休暇制度の拡充、無期転換制度の確立などを求めています。
 要求実現のためには当事者の声がとても重要です。労働組合の活動として、公務公共職場で働く非正規職員と対話を重ね、現状の課題と要求を共有することが求められています。住民サービスを担う同じ仲間として、地域の発展と労働環境の充実に向けて、一致団結して運動に取り組んでいきましょう。

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イラスト1


今月の 川柳

怪獣が熟れたリンゴをわしづかみ 
   土石流病んだ地球があばれ出し
オリパラを皆んな観たいと首のばし 
   世の流れ横文字ふえて白髪ふえ 
老朽の橋のたもとで署名拒否 
   自由主義新がついたら世が乱れ 
金バッジつけて先生夏休み 
   最賃のアップで財布重くなり 
耳遠く球児の夏の声はるか
   梅雨晴れ間日傘をさして行く老女 
 
 


泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)

第47回総会のご案内

総会

日時 : 8月1日(日)午後1時30分 場所 : 茨城自治労連会館
記念講話 :「東海第2原発差し止め裁判の判決について」
講師:弁護士:丸山幸司氏 (水戸翔合同法律事務所)

 当日、提出する予定の活動方針(案)は、次のとおりです。

2021年度活動方針 (案) 
はじめに
① 新型コロナウイルス感染症は、国内外で依然として終息の見通しがたたない状況で、このような大規模災害が継続するなかで、人々の命と健康、最低限の文化的生活を守るべき、国と地方自治体の責任が問われています。国民の目が厳しくなる中で、各国の新自由主義的な政治に変化が表れています。
アメリカでは、トランプ前大統領に代わり民主党のバイデン大統領が勝利し、ヨーロッパでは、緊縮財政が崩れ、国民の命と生活を守るための財政出動や付加価値税の引き下げが、相次いでなされています。
② 日本では、長期政権にあった安倍首相が、「持病悪化」を理由に辞任しましたが、実際は、コロナ対策よりも憲法改正や検察庁法改正案を優先したり、全国一律休校、「補償なき自粛」、「アベノマスク」、各種補助金・給付金運営委託問題など、愚策を続けた「安倍政治」に対して、国民の批判、反発が高まったことによるものだといえます。
③ 「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざんでは、重要資料を国が開示しました。改ざんの経緯をまとめた「赤木ファイル」から、財務省が会計検査院の検査を妨害する目的で改ざんを指示したという重大問題が浮上し、行政に対する信頼を失墜させたばかりか、議会制民主主義を根底から揺るがす事態となっています。
偽造という点で、愛知県知事のリコール運動を巡っては、選挙管理委員会に提出された43万5231人分の署名のうち、83.2%に当たる、36万2187人分の署名が無効とされ、うち90%が複数の同一人物によって書かれたものであり、約48%が選挙人名簿に載っていない人物の署名であることが判明しました。偽の「民意」によって民主主義を冒涜した今回の事件がもたらす影響は、重大です。
④ コロナ禍は、1990年代半ば以降の新自由主義的な構造改革、「平成の大合併」と「三位一体の改革」によって、保健所や公立病院の再編統合が進み、感染症の検査・医療体制を弱体化させたことも、炙り出しました。
しかし、「安倍政治」の継承を宣言して登場した菅内閣は、このような構造的な問題にメスを入れて「国民のために働く」どころか、法と憲法を侵して日本学術会議会員6名の任命拒否を強行したり、財界が要求する「デジタル・ニューディール」の推進に躍起となって、デジタル改革関連法の成立に注力する始末です。
⑤ また、原発推進姿勢や中小企業・地方金融機関の整理・再編を進める成長戦略を新たに打ち出しており、菅内閣は、安倍政権以上に強硬性・危険性を有しています。しかも、東京五輪の開催にこだわっているために、第4波の感染拡大を認めない姿勢をとり、ワクチンをはじめ、後手・後手の政策運営となっており、国民の命はますます危険にさらされています。
コロナ禍の下で提出された第32次地方制度調査会答申は、「圏域行政」の法制化については、継続審議とする一方で、広域的な情報システムの統合や「地域の未来予測」という新たな計画の策定を国がトップダウン的に遂行することを求めています。「公共サービスの産業化」の観点から「自治体戦略2040構想」の具体化を企図するものであり、デジタル改革関連法案やスーパーシティ構想はじめ各種事業、さらに自治体業務改革によって、一気に団体自治を脅かそうとしています。
⑥ こうした中で、今年は衆議院総選挙の年であり、国のあり方が大きく問われ、それを変える絶好のチャンスです。コロナ禍という大惨事に当面し、これまでのように便乗した政治や一部企業の利益のための開発、自治破壊を許していいのか、それても国民、住民の命と暮らしを最優先するのか、という「憲法と地方自治法を基本においた対抗軸」が明確になっています。
⑦ 今年は衆議院総選挙に加え、茨城では、8月19日告示、9月5日投票で、茨城県知事選挙が戦われます。この4年間の大井川県政は「選択と集中」をキーワードにして、企業等の収益増大に力を入れて、県庁の構造改革を進めて、営業戦略課、産業戦略課など、大幅な課名の変更も行い、県民福祉の推進から転換する姿勢を鮮明にしています。
  医療関係では、12あった保健所を2019年11月1日から9保健所に再編・統合し、「保健所の再編統合することで、保健所機能の強化を図ります」と言っていましたが、台風19号風水害やコロナ感染の拡大などで、保健所の再編・統合が救助の遅れなど問題をより深刻にしています。
  教育では、2019年2月に、県教育委員会は10の中高一貫校の開設を市町村教育委員会や当該高校に事前の説明や合意を得ずに計画を発表したばかりか、大井川知事自らが記者発表を行い、校長の採用にあたっては、公募制を導入して民間人校長の採用も可能にしています。
  農業では、大半を担っている小規模家族農業にこそ支援をすべきところを「儲かる農業」をスローガンに、大規模経営や規模拡大する経営などに支援を選択し、集中しています。
  東海第二原発問題では、2020年5月に「県民投票の会」が8万6703筆の東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例を求める署名を大井川知事に提出しました。条例案を提出する際の意見書には、条例案に対する賛否を明らかにせず、県民から意見を聞く方法として「県民投票を含め様々あり、慎重に検討していく必要がある」と県民投票に後ろ向きともとれる姿勢を示しました。
このように、新自由主義政策の国政に追随し、大企業のための県政、医療機関の統廃合、教育への介入など、4年間の大井川県政で、県民のいのちとくらしは、脅かされています。
⑧ コロナ感染対策を抜本的に改善し、県民の安全、暮らし、福祉と地域経済を守るため、当研究所が本来の役割を果たすことが強く求められています。
現在、当研究所は、会員・『住民と自治』購読者の減少、調査研究の停滞、イベント等の未実施など、深刻な状況にありますが、現実的な対策(コロナ禍でのオンライン対応なども含めて)を講じながら、学習交流、調査研究、組織強化の各分野で可能な事業展開を図ります。

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新刊紹介

<コロナ>と並走する新シリーズ 

「学び」をとめない自治体の教育行政   

朝岡幸彦・山本由美編著
A5判・並製カバー・136 頁/定価1430 円(10% 税込)

 緊急事態宣言が繰り返される中で、どう感染リスクを減らして教育・学習を継続するのか が問われている。本書では「学び」をとめないための努力に光を当て、学校、公民館、図書館、NPO などの挑戦を紹介。あわせて、アメリカの教員組合が保護者・地域の方ととも に「安全な」学校再開条件を勝ち取る過程のレポートも。

第1章 コロナ禍の下での教育・学習の権利と地方自治体 池上洋通
 生命の尊厳と学習・教育の権利/「一斉休校」は憲法違反の行為である/「基礎的自治体最優先」の原則の実現
第2章 新型コロナ感染症に教育はどう向き合ったのか 朝岡幸彦
パンデミック下における医療資源の「配分と倫理」問題/学校一斉休校と学校における防疫指針/など
第3章 新型コロナ禍の公民館・図書館・自然学校の取り組み

 1 新型コロナウイルス感染症拡大にともなう公民館の模索
   ―試される「公民館の底力」 伊東静一
 2 新型コロナウイルス感染症と「図書館」
   ―どうしなやかにまなびつづけるか 呉服淳二朗
 3 小規模自治体×自然学校NPO の挑戦
   ―今こそ教育立村へ 辻 英之

第4章 アメリカにおけるコロナ禍の学校再開
   ―シカゴ教員組合の事例を中心に 山本由美

準新刊

<コロナ>と並走する新シリーズ               

新型コロナウイルス感染症と自治体の攻防   
- コロナと自治体 1 -

平岡和久・尾関俊紀編著
A5判・並製カバー・172 頁/定価1650 円(10% 税込)

 ゼロコロナをめざす方策を提示。医学的見地からコロナウイルスの特質、変異株のメカニズム、ワクチンの最新の知見を解説し、財政面からは政府の感染対策を批判的に検証し、自治体財政の今後の対応を示す。併せて、東京・世田谷区の社会的検査、広島県の PCR の集中検査、鳥取県の積極的疫学調査ほか、ワクチン接種・練馬区モデルおよび高知県・過疎地域におけるワクチン接種など、自治体独自の先進的な対応を紹介。

目次より

はしがき●本書の意図 尾関俊紀
第Ⅰ部 新型コロナウイルス感染症対策を問う
1 新型コロナウイルスの検査とワクチン 徳田安春感染力をみる防疫目的PCR 検査の最新知見/コロナ対策ではゴール設定が大切/ウィズコロナ政策の副作用/ワクチン開発は国家安全保障/変異コロナウイルスの脅威/変異ウイルスに効くワクチンの製造/Back to the Future 思考で考える大規模検査/世界モデル
と身近な対応から学ぶ対コロナ戦略
2 新型コロナ禍と自治体の対応 平岡和久 災害としての新型コロナ禍/政府の対策と第三次補正予算/政府の新型コロナ対策、何が問題か/地域と自治体の取り組みと公共部門の課題/補論:緊急事態宣言解除後の対策のあり方

シリーズ続刊 2 感染症に備える医療・公衆衛生 長友薫輝編著/3 コロナがあばく社会保障と生活の実態 伊藤周平編著/4 コロナと地域経済 岡田知弘編著/5 「学び」をとめない自治体の教育行政 朝岡幸彦・山本由美編著

社会保障法 ――権利としての社会保障の再構築に向けて

伊藤周平著

A5判 定価(本体3200 円+税)

書籍の内容
暮らしのなかから社会保障を考えるために
 社会保障の削減が進む現在、生存権侵害という観点から社会保障のあり方を追究する。章ごとにひとつのテーマ、公的扶助(生活保護)、年金、社会手当、医療保障、労働保険、社会福祉を取り上げ、憲法との関係から現状の不備を検証する。社会保障法の全体像をとらえた最新、最適なテキストにとどまらず、暮らしを社会保障から見直そうする人たち必携の一冊。社会保障法辞典としても使える事項・判例索引完備。

「公共私」・「広域」の連携と自治の課題

榊原秀訓・岡田知弘・白藤博行編著

A5判 定価(本体2300 円+税)

書籍の内容
 コロナ禍への対応を理由として「行政のデジタル化」が最優先で進められている。地方自治制度の抜本的な改変をねらう「自治体戦略2040 構想」とその具体化を諮問された第32 次地制調の答申は、自治体の事務の標準化(統一化)や全国的なクラウド化などのデジタル化具体策とどう関係するのか。また、「組織の枠超えとしての公共私の連携」論や「地域の枠越えとしての広域連携」論は、デジタル化でどう具体化されようとしているのか。
 コロナ禍の下で国が進めている地方自治制度再編の動向を分析し、自律・自治の自治体論を考える。
地域と自治体 第39集

『検証 介護保険施行20年 ―介護保障は達成できたのか』

芝田 英昭(編著), 河合 克義, 服部 万里子, 井口 克郎, 日下部 雅喜, 森 周子:金 滉垣, 鈴木 森夫, 藤原 るか(著)

¥2,420(税込)・発行年月日: 2020/12/15 ページ数: 248ページ ・本のサイズ: A5

介護保険施行20 (2)

書籍の内容
介護の危機をのりこえるために
介護保険が目的とした「社会的入院の解消」「介護の社会化」「介護離職の解消」等は達成できたのか。果たして介護保険は必要とするサービスを提供しているのか、市場化・営利に走る介護現場の深刻な人材不足、保険者である市町村の混乱をどうするのかなど、介護保険が高齢者福祉に与えた影響をとらえつつ考察する。
 また、介護保険の利用当事者として「認知症の人と家族の会」の運動を跡づけ、劣悪な労働環境に置かれる在宅介護の現場を実態報告する。併せて、同様な介護保険制度をもつドイツ、韓国の現状レポートを収録。権利としての社会保障の視点から「介護保障とは何か」を総合的にとらえる。

コロナ禍のなか、自治体はどう予算を編成するのか

新型コロナ対策と自治体財政

平岡和久・森 裕之著
A5判 144頁 定価(本体1500 円+税)

Ⅰ部 新型コロナ対策と自治体財政の動向・課題
 1 新型コロナ対策と自治体財政
   新型コロナ禍の地域経済/ 自然災害としてのコロナ禍と政策のあり方/ 新型コロナ第一波と対策の問題点、教訓/ 自治体財政の仕組みと見方/ 政府のコロナ対策と補正予算/ 地域経済対策の展開と課題/ 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金/ 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金/ 自治体の独自対策と財源確保策/ 政府の対策と財政政策の課題/ 第二波、第三波における自治体の対策と財政運営の課題
 2 都道府県、政令市、中核市の財政担当課へのアンケート調査から見るコロナ対策と自治体財政の課題 アンケート調査の概要/ 各自治体の財政状況と補正予算
 3 自治体財政運営の課題
  今後10 年以上にわたる地方財政の混乱/ 短期的な財政運営/ 中長期的な財政運営/ 国による行財政措置
Ⅱ部 資料 アンケート回答内容
 資料1 コロナ対策と財政に関する都道府県アンケートの回答の整理/ 資料2 コロナ対策と財政に関する政令市アンケートの回答の整理/ 資料3 コロナ対策と財政に関する中核市アンケートの回答の整理/ 資料4 自治体のコロナ対策と補正予算に関する事例

地域の病院は命の砦
― 地域医療をつくる政策と行動 ―

横山壽一・長友薫輝編著

A5判 ・並製カバー・160 頁 定価(本体1300 円+税)

地域の病院がなくなる?!
 病院は、地域で暮らし続けるために欠くことができません。ところが、国は、町や村に1 つしかない病院をふくめて、全国424 の公立・公的病院を名指しし、統合再編を含めた病床削減計画の提出を自治体に求めています。そこには、「地域医療構想」の早期実現という政策があります。
 本書では、地域医療を取り巻く情勢を整理した上で、「地域医療構想」とはなにか、「地域医療構想」が病院再編とどう連動しているか、地域医療を守り発展させるための政策や課題をどう考えていくかなどについて、各地の実践にそいながら紹介します。

主な内容
地域医療を守る 住江憲勇/眞木高之/尾関俊紀
第Ⅰ部 地域医療をとりまく情勢
社会保障改革と地域医療 横山壽一
第Ⅱ部 地域医療をつくる政策と行動
1 地域医療構想と地域づくり 長友薫輝
2 424 病院リストの根拠「診療実績データの分析」のねらいと問題点 塩見 正
第Ⅲ部 地域医療の現場
1 難病医療の拠点・国立徳島病院を守る 井上 純
2 広大・多雪・寒冷な北海道の地域医療を守れ 沢野 天
3 三重県の地域医療構想と公立・公的病院の再編・統合 新家忠文
4 愛知県の実態から考える大都市圏域における地域医療構想の問題点 長尾 実
5 京都の地域医療構想にかかわる諸課題と地域医療実態調査の取り組み 塩見 正

  資料 厚生労働省が再編統合の検討を求めた公立・公的病院424 施設

「競争の時代」の国・地方財政関係論
競争の時代に一般財源は自治体の自由になるのか!

中島正博著

A5判・上製カバー・228 頁/定価(本体2500 円+税)

 1980 年代後半からの30 年間の国と地方の財政関係を地方財政計画に基づいて分析する。この30 年間を「地方分権さきがけ
「財政構造改革期」「競争の時代」に分け、地方財政計画が地方の財源保障機能から競争を前提にしたシステムへと変容する様子を追う。そこでは分権と集権のせめぎ合いを観察し、「一般財源」が本当に自治体の自由になっているかを検証する。併せて、地域振興政策として島根県海士町の定住政策、宮崎県西米良村の人口減少対策を紹介する。

序 章 本書の目的と課題 
第1 章 地方財政計画と地方交付税 
第2 章 地方財政の構造変化と計画・決算のかい離 
第3 章 定住政策と地方交付税
第4 章 地方創生と地方交付税
第5 章 地方財政における「自由な財源」とは何か
終 章 「競争の時代」の国・地方財政関係


疾病に苦しむ人が、だれでも、どこでも、いつでも無償で医療が受けられる社会を求めて!
『医療保険「一部負担」の根拠を追うー 厚生労働白書では何が語られたのか』 

芝田英昭著
A5判・並製カバー・180頁 定価(本体1800円+税)

 
 1962 年以降の皆保険体制の下、日本の医療保険は大きく発展してきた。しかし、国庫負担、患者の一部負担は、「厚生労働白書」から読み取れるように、時々の経済情勢、財政的制約から導き出されたものであり、決して人権思想が反映された結果とは言えなかった。今、国民から求められているのは、基本的人権を基軸にした社会保障の構築であり、その基礎にあるのが、人間の尊厳であり人権思想なのである。
 疾病に苦しむ人はたくさんいる。そのだれもが、いつでも、どこでも、無償で医療が受けられる社会の実現に向けて、「権利としての社会保障」の観点から論究する。

プロローグ●健康は自己責任か
第1章●医療保険「一部負担」の意味とは
①医療保険における一部負担の制度的根拠 
②社会保障審議会等の歴史的文書に見る医療保険における一部負担の考え方
第2章●『厚生労働白書』(『厚生白書』)に見る医療保険「一部負担」記述の変遷
1950年代厚生白書/1960年代厚生白書/1970年代厚生白書/1980年代厚生白/1990年代厚生白書
2000年代厚生労働白書/2010年代厚生労働白書
第3章●医療保険一部負担に関する先行研究
①厚生労働白書は医療保険「一部負担」の根拠を示せたか ②モラルハザード、濫用防止は心理的圧力 ③医療サービスは「私的財」なのか
第4章●一部負担の受診抑制と世界のトレンド
①一部負担と受診抑制 ②一部負担増による受診抑制の研究事例 ③一部負担無料化の意義
第5章●医療保険の保険料・一部負担の未来展望
①社会保険に一部負担は必要か ②国保保険料の応益割と保険料上限の廃止 ③健康保険における標準報酬月額の上限を撤廃すべき ④健康保険から排除される被用者と無保険問題
第6章●人権としての社会保障と能力の共同性
①社会保障を考える基本的視点としての尊厳と人権 ②人間の尊厳の要素としての人格 ③日本国憲法に見る社会保障と人権 ④能力の共同生から社会保険料応能負担の根拠を考える

問い直そう税金―消費税増税ではない別の選択肢がある! 
鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』
              A5判 定価(本体1000 円+税)

 税の目的、仕組みと問題点、改革の方向について入門的に解説し、わが国の税制全体を問い直すことで、消費税増税ではない別の選択肢があることを明らかにします。

本書を推薦します 白藤博行氏(専修大学法学部教授)

 法律の世界では、租税法律主義といって、納税者の権利を守る大原則があります。でも、私たちは、日ごろ税の中身のことをどこまで考えているでしょうか。消費税が上がるといっても、「またか」で終わっていませんか。私たちは、公共サービスを受給する権利がありますが、税を公平に負担する義務もあります。ですから税
の集め方や使い道を、主権者としてしっかりと考えなければなりません。

 私たちは居酒屋でビール1 本の追加を迷っていますが、何百兆円もの「内部留保」がある大企業は、労働者に相応の賃金を払い、まっとうな法人税を納めているのでしょうか。主権者の税への無関心は、悪政を助長します。「税のバイブル」である本書を読んで、賢い主権者・納税者になりましょう。

『公契約条例がひらく地域のしごと・くらし』
働く人の労働条件・事業者の経営環境・地域産業振興を一体で改善するみち

永山利和・中村重美著

A5判/定価(本体2000 円+税)

 公共工事や公共サービスの低価格受注が広がり、疎漏工事や官製ワーキング・プアが問題となってきた。
この課題を解決する公契約条例の意味と実際(世田谷区・野田市など)を紹介する。

世田谷区長・ジャーナリスト 保坂展人とさん推薦
 8年がかりの粘り強い運動により区議会全会一致で成立した世田谷区公契約条例は2014 年に成立後も改善と進化を遂げていく。2019年には労働報酬下限額を1,070 円とする。全国に拡がる公契約条例の基礎から今後の課題等必携の一冊。

『新版 自治体の財政』 
まちの財政のしくみを分かりやすく解説! 自治体財政入門書

初村尤而著(都市行政コンサルタント)
   A5判 定価(本体2000円+税)

 暮らしのなかのお金の流れに注目して、予算書・決算書を読みます。公共サービスのあらましをたどって、歳入・歳出のしくみを解説します。そして、地方交付税、基準財政需要額や財政健全化指標、企業会計など自治体財政に欠かせない用語も分かりやすく説明し、数字に隠れた市民生活や地域の現状へといざないます。
主な内容
第1章 私たちの暮らしと財政
第2章 予算書、決算書を読んでみよう
第3章 歳出(経費)のしくみ
第4章 歳入(財源)のしくみ
第5章 さまざまな自治体財政
第6章 地方公営企業のしくみ
第7章 わがまちの財政健全度を量る指標
第8章 自治体財政のあり方を考える
終 章 財政数値との向き合い方

「自治体戦略2040構想」と地方自治

白藤博行・岡田知弘・平岡和久著 

A5判/定価(本体1000 円+税)

 アベノミクスの失敗で疲弊が続く地方。住民のいのちと暮らしを守る市町村の役割が再認識されている。
 ところが、政府は、連携中枢都市圏(や定住自立圏)のような「圏域」を地方行政の単位として法制化し、住民サービスも自治体間で「標準化」「共通化」「広域化」しAI やロボットそして民間企業に任せ、公務員は半減させるなど、地方自治を骨抜きにすることを狙っている。これらは、「自治体戦略2040 構想」という研究会報告として公表され、法制化への議論とともに、地方財政政策などを通じて具体化も始まった。
 本書では、「自治体戦略2040 構想」とは何か、地方自治の姿をどう変えると予想されるのか、憲法と地方自治法が示す自治の視点から見たときに何が問題となるのかについて、解説する。

「豪雨災害と自治体 防災・減災を考える」

A5判・並製・160 頁/定価(本体1600 円+税)

 豪雨災害はどのように発生し、どう対応すべきか?
 毎年のように豪雨災害が猛威を振るっている。その原因・メカニズムを気象学、被害の拡大を地質学から追究し(寺尾徹、田結庄良昭)、2018 年の豪雨が各地にどのような災害をもたらしたか、現地からの詳細な報告を収める(磯部作、越智秀二、村田武、山藤篤、松岡淳、小淵港、田結庄良昭、池田豊)。そして、このような災害に対して自治体はどう対応すればよいのか、防災と減災の視点から問う(室崎益輝、塩崎賢明、有田洋明)。

「水道の民営化・広域化を考える(改訂版)

尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー184 頁/定価(本体1700 円+税)

 改正水道法成立!「いのちの水」をどうする。2018 年12 月6 日、改正水道法が成立した。多くの庶民の疑問、マスメディアでの反論をものともせず、既定方針のように審議を通した。水道が生き残るには、民営化、広域化しかないのか。すでに、各地で起こっている「水」めぐる民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくか多角的に考える。

『人口減少時代の自治体政策 市民共同自治体への展望』

中山 徹(著)

発行年月日:2018/11/15  1,200円+税  A5 112ページ

 人口減少に歯止めがかからず、東京一極集中はさらに進む。自治体そのものを見直そうとする「2040構想」も始動した。こうしたなか、保守と革新の共同による「市民共同自治体」の動きも出始めている。地域が大きく再編されようとしている今、市民と地域を守るためにはどうしたらよいのか。「市民共同自治体」を提唱して、市民のニーズを政策に活かす方法を考える。

目次
はじめに
 1章 新自由主義による国土・地域・コミュニティの再編
  なぜ国土・地域・コミュニティの再編なのか
  再編の具体的内容とそれを進める政策
  自治体再編の方向性
  再編のコンセプトと進め方
 2章 自治体の動向と市民共同自治体への展望
  開発型自治体と削減型自治体
  市民共同自治体の誕生
  市民共同自治体の展望
 3章 市民共同自治体の政策
  政策の基本的な枠組み
  すべての主要施策に格差是正を貫く
  地域のまとまりをどのようにして創り出すのか
  行政責任を明らかにする
  なぜ市民参加が重要なのか

原発再稼働と自治体
―民意が動かす「3つの検証」― 新潟県はその出口を探す先頭に立っている
立石雅昭・にいがた自治体研究所編

A5判 定価(本体1200 円+税)

 福島原発事故から7 年半。控えられていた原発の再稼働が復活してきているが、それでも再稼働はスムーズに進んでいるとは言いがたい。それは、国民の過半数が原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論が強く根を張っているためである。世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は「3 つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げて福島原発事故の検証を行っている。その活動の意味を問う。

序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること 池内 了
1 新潟県検証委員会の活動の意味 大矢健吉
2 技術委員会の検証―明らかにしてきたことと引き続く課題 立石雅昭
3 原発事故による避難(新潟県内避難者)生活の現状と課題 松井克浩
4 原子力災害がもたらした避難(福島県相双地区)生活の実態  丹波史紀
5 避難計画をめぐって 佐々木寛
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質 石崎誠也
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済 保母武彦

どこを目指す !! 自治体戦略2040構想
― 研究会報告の概要と問題点、課題 ―

A5版・24頁  定価250円(地域研卸単価200円)

地域研の皆様へ
 地域研の皆様には日頃から大変お世話になっています。
 さて、自治体戦略2040構想研究会の最終報告が7月に公表されました。構想研は「2040年頃をターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方を検討する」として2017年10月に設置された総務省の有識者研究会です。
 その趣旨は「高齢化がピークを迎え、若い勤労者が激減する2040年頃の姿から自治体の課題を逆算する形で整理し、今の半数の職員でも対応できる仕組みを構築」するというもので、それは今日の地方自治、自治体のあり方を抜本的に見直し再編していくものです。 
 これを受けて、同月に第32次地方制度調査会が設置され、この内容が諮問されました。
 地制調に諮問したということは、その結果を踏まえて法制度改革を行うということです。
 私たちも地制調での議論を見極め、内容を検証し、対置政策を示して世論を喚起していくことが必要です。そのため研究所ではまず構想研報告の内容を知らせ、問題点、課題を明らかにしていくことが急務と考え、今回、職場や地域等での学習会向けに標記ブックレットを緊急に発行しましたので1冊送付(贈呈)します。また、皆様には割引単価を設けましたので、普及(490部)にもご協力をお願いします。
 なお、ブックレットの表題、目次、報告表題の「自治体戦略2040年構想」は誤記で、正しくは「自治体戦略2040構想」ですので正誤表を入れてあります。

  • - - -
    はじめに  岡田 知弘
    自治体戦略2040構想研究会報告の概要と問題点、課題- 角田英昭 
    1.構想研報告の概要 
    2.構想研報告の問題点、課題

既刊ブックレットもお手元に!      
どこを目指す、自治体戦略2040構想(A5 ・ 24頁) 200円   
原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題(A5 ・ 40頁)300円   
どこを目指す、公共施設等総合管理計画(A5 ・ 40頁)300円   

「いのちの水」をどう守っていくのか!

水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)

 老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える

川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』

A5 133頁 1600円+税

本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。

 本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。

『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
         

本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)

A5判110頁 定価(本体1100円+税)

主な内容
 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。

Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用

武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授

B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)

 総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
 地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
 地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
 グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
 財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
 合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
 国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業                            

本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長

A5判110頁 定価(本体1,100円)

 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。

第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ

第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する

第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育

第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする

第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために

改訂新版『地域再生と町内会・自治会』

著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司

   
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
 私は「上原公子」

上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編

 国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
 第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り   上原公子
 第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる  
 窪田之喜
 第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
 田中 隆
 第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
 小川ひろみ
 第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
 年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
 くにたち上原景観基金1万人の会

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使って

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