第141号
第141号
第141号
2020・09・23更新
ひたち海浜公園=ひたちなか市・10月中旬頃
コキアの紅葉は、見頃の時期を確認して訪れるのが一番大切です。ひたち海浜公園のコキアカーニバルは、9月下旬から10月中旬まで開催。例年、期間の終盤が紅葉の最盛期で、ズバリ10月中旬が見頃時期
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今冬のPCR検査能力は必要十分なのか?
ー7月末時点で全国最大5・6万件必要、 30都道府県が不足ー
新型コロナウイルスのPCRなどの検査能力について、厚生労働省は8月7日、都道府県が推計した今後の流行時に必要となる1日あたりの最大検査件数は、全国で計計5万5933件(豪雨災害の影響で熊本県は含まず)にのぼると発表した。
この以前に、厚労省は6月、検査体制の強化が欠かせないとして、3~5月の国内の流行時の患者数、重症化率などをもとに患者の推計モデルを都道府県に提示。それに基づき、都道府県が流行時に必要な最大の検査数を推計して、必要な検査体制を整えるよう求めていた。
朝日新聞社が各都道府県に7月末時点での検査能力を聞いたところ、回答があった46都道府県で計4万2203件(民間検査機関の活用を含む)。4月7日に東京都などに緊急事態宣言が出た時点の検査可能件数のl・l~23・9倍と、各地で検査能力は強化されていた。ただ、7月末時点で検査可能件数が、推計された最大必要件数以上だったのは15県のみに止まる。30都道府県が最大必要件数を下回っている。
今春の流行時には、検査能力の限界のためにPCR検査を受けられない例が頻発したが、感染者が確実に増加するといわれている今秋、今冬に同様の事態が起こる懸念がある。
本県は大丈夫か? 大井川和彦知事は、「今、最も重視すべきは、感染対策と経済活動の両立。感染者との接触可能性をメールで通知する本県独自のシステム「いばらきアマビエちゃん」を使った感染防止対策の徹底を図る。」、「アマビエちゃんを使ってピンポイントで対策を取る。また、検査をしっかり行って感染した人を表に出して治療してもらう。これで十分対策は取れる。」と強調。
9月県議会で関係条例を制定し、飲食業者および利用者の登録を義務づけたが、果たして巧くいくか?
後掲の江尻議員の論考をご参照ください。
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今月の俳句
食堂の暖簾だらりと秋暑し
遠景の富士くっきりと今朝の秋
新涼の貝殻にある海の音
妻の手の箒先減る終戦日
長き夜の仕舞風呂より女唄
永らへて常のごとくに終戦日
(八月十五日九十歳の誕生日に)
高 島 つよし
本名 高島剛 常総市在住、句歴六十年 元茨城県職員 小貝保育園長、当研究所顧問
寄 稿
「鉄砲を捨てた日本人」 ― 日本史に学ぶ軍縮 ―
加藤 岑生(原水爆禁止茨城県協議会会長)
新型コロナ禍に人類生存の危機に見舞われ、新自由主義的な生き方が破綻し、弱者、弱小国に犠牲を強い、その感染の蔓延は結局、強者の核保有大国の一国主義的対応では生き延びることはできないことは明らかで、これまでの人類社会に「新しい生き方」を強制している。
また、人類の滅亡の脅威として核兵器がある。今、国連において、弱小国が大国に逆らって声を上げ、核兵器禁止条約を制定し、50カ国が批准すれば発効するまで6各国に迫っている。核兵器に悪魔の兵器として烙印を押し、明確に核兵器を今年中にも人類史上の快挙を実現しようとしている。
これまでの世界史的な事実は経済力と科学技術に支えられた軍事力が世界を支配してきた。経済力はともかくとして核兵器を含む軍事力を捨てたら世界はどうなるのか?これに暗示を与えているのが本書と思いこの本を紹介する。
著書のノエリ・ペリン氏はアメリカのダートマス大学英米文学教授である。朝鮮戦争には、何の疑問を持たないで正義の戦争と思い参戦した。その際、日本を訪れ、日本の自然の美しさに魅了された。その後、「アメリカ合衆国がベトナムに介入した時、私は戦争を全く違った目で見るようになった」。アメリカ軍がベトナムでの人を殺し、熱帯雨林・自然を破壊し、多大な環境破壊と非人道的で悪逆な行為を悪魔的な仕業だと。
「ベトナム戦争のころには、かの注目すべき出来事、世界史に恐らく類例を見ない17世紀に日本における鉄砲の放棄という事実に知っており、すでに『ニューヨーカー(The New Yorker)』という雑誌にそのことについて論文を発表していました。ベトナムでのアメリカ人のしていることに戦慄を覚えた私は-その論文を一冊の書物にまとめる決意を固めました。」この時代(1983年)にアメリカ人に向けに書かれたものである。
さて、日本人が鉄砲を捨てた時代は、NHKで放映中の「麒麟が来る」の下克上の動乱の時代、外国から鉄砲が伝来し、その当時、世界有数の銀と銅の生産国であった。これらの経済力を背景に、瞬く間に鉄砲生産工業国に発展し、軍事大国になった。日本各地の大名は、これらを競って、手に入れ、鉄砲を使用した新たな戦術を生みだした。「天下布武」を旗印に織田信長が天下を統一に向かった。しかし、豊臣秀吉そして徳川家康は天下を統一を果たしたのち、農民などの庶民から刀と鉄砲を取り上げ、徳川幕府になり、庶民と大名などの鉄砲の保持・生産・管理を抑制した。このことにより、最先端の軍事技術を放棄し、250年にわたる「天下泰平の社会」を築いた。天下統一した覇権者が軍事力を背景に庶民から武器を取り上げ、大名に鉄砲の保持、生産・抑制と管理の施策を取り、大名の経済力を削ぐために、江戸に妻子を人質に取り、参勤交代を強いた。このことが、交易の発展と経済効果を生んだ。鎖国政策により、文化的退廃と庶民の暮らしが後退するどころか、平和で安心に暮らし、独自の農業生産、芸術、和算、化学、建築・水利、文化を発展させ、規律ある社会を生み出した。
その間、西洋では各国が科学技術を発展させた軍事力を背景に侵略と略奪の覇権争いがくりかえされ、遅れた国々を植民地とし、世界を分割支配する体制を築いた。
しかし、近代日本は、列強諸国と同じ軍事産業を背景とした軍国主義の国へと変わり、アジア諸国を侵略し2,000万以上、日本人320万人以上の犠牲で塗炭の苦しみを与えた。そして、原爆投下で20万人以上の犠牲の上に敗戦を迎えた。この犠牲の上に軍事力(武器)を捨て、再び戦火を交えることのないよう交戦権を放棄する憲法9条を生み、世界各国にこれを誓った。しかし、世界と日本を含めて各国政府は今なお、経済力と毎年200兆円の軍事費を使う核軍事力により他国を支配して、今なお動乱は絶えず起きている。
世界史に稀な出来事として、一支配者による強制であったが軍事力(鉄砲)を放棄、または抑制することにより「天下泰平」の世の中を築いた。これらの時代的経験を日本人がこれに学び生かし、「核兵器を無くし公正で平和な社会を築くこと」に貢献する役割こそ世界から求められている。
今まさに、核保有大国に抗して122ヵ国が核兵器を無くすことを要求して、核兵器禁止条約を制定し、弱小国の多数が核兵器の放棄し平和な世界を核保有大国の強国に要求している。被爆国日本が被爆者の願いであるか核兵器のない平和な社会実現のため、日本人が鉄砲を捨てた社会を経験したことが、地球上から核兵器を無くした世界社会の明るい展望を暗示している。
2020年9月15日
著者ノエリ・ペリン 川勝 平太訳 中公文庫より
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事務局たより
緊急開催! Zoom 議員研修会
わがまちのコロナ感染症への対策を考える
一般のPCR検査に加えて、保育や介護など多くの住民と接して仕事に携わる人を対象とする社会的検査を行うという「世田谷モデル」が注目されています。ポイントは、社会的検査の実施と医療機関への支援にあります。
どういう方法で具体化されるのか(保健所をはじめとする庁内の体制、関係機関との連携など推進のためのフレーム)、検査の大幅拡大のための予算はどのように確保されるのか(事務事業見直しと補正予算の編成)、そして感染症対策の基盤となる医療機関への支援策などについて、区長自らが語り、参加者からの質問に答えます。
世田谷の実践に学び、わがまちでできるコロナ感染症への対応策を考えます。
日時: 2020 年 9 月 27 日(日) 10 00 12 00
講師: 保坂展人(ほさか のぶと)氏
Zoom オンライン開催 Zoom 視聴の設定をお手伝いいたします。
参加費 :(税込み地域 研究所 関係者 限定 5,000 円 定員 先着 100 名 ご送金いただいた順に受付完了。
記載事項:
氏名(ふりがな)
◆e-mail(視聴に必須)
電話
FAX
住所
領収書宛名
上記の申込書をFAX[03-3235-5933]またはe-mail [info@jichiken.jp]でお送りください。
自治体問題研究所ホームページ(http://www.jichiken.jp/)よりもお申し込みいただけます。
◆ご連絡先自治体研究社議員研修会係 〒162-8512 東京都新宿区矢来町123矢来ビル4FTEL:03-3235-5941 FAX:03-3235-5933e-mail:info@jichiken.jp
OB懇談会20年度総会(解散総会)のご案内
と き:2020年10月11日(日)午後3時から
ところ:「いづみ荘」 石岡市高浜735
☎ 0299-26-3232
負担金:10,000円(1泊2食) 会食のみの方は、5,000円
今月の 川柳
核廃絶見向きもせずに腹を切り
消費税打ち出の小ずちもて遊び
敵基地を叩いてやると飛沫出し
改憲へタクトを振ってまだやる気
女房役主人倒れて主役とり
負の遺産かついで総理肩がこり
継承と云って悪事に精を出し
国民に負担を強いる三助かな
コロナ禍の収束希う彼岸花
虫の声耳にとどかず風しずか
泉 明 羅
(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 四十二年、所属 元吉田川柳の会)
寄 稿
県独自の感染防止システム「アマビエちゃん」
ー 全国初の飲食店など登録義務化条例 ー
江尻 加那 (茨城県議会議員)
みなさんは「いばらきアマビエちゃん」をご存知でしょうか。
コロナ禍のもとで、「アマビエ」は疫病退散する妖怪としてその風貌とともに話題になりました。
その名前を利用したのが「いばらきアマビエちゃん」で、新型コロナウイルスの感染拡大防止を名目に県が独自につくったシステムです。そのシステムに、事業者や利用者の登録を義務付ける条例案が9月県議会に提出されました。
システムの概要と登録の流れは次の通りです。
県が登録義務対象とする店舗や施設、大規模イベント事業者が、感染防止策を行った上でシステムに登録し、県から送られる「感染防止対策宣誓書」を見える場所に掲示する。
宣誓書が掲示された店舗や施設を利用するたびに、利用者は宣誓書にあるQRコードをスマートフォンなどで読み込み、自分のメールアドレスを登録する。
新型コロナ陽性者の行動履歴を保健所が調査し、陽性者と同じ日に同じ施設を利用した登録者に県が注意喚起メールを送る。
以上のシステムによって、県は感染症の発生予防・まん延防止と社会経済活動との両立を促進するとしています。
【登録義務対象となる主な業種】
飲食店、スナック、キャバレー、カラオケボックス、ライブハウス、パチンコ店、ゲームセンター、スポーツクラブ、陸上・野球・テニス等競技場、劇場、映画館、集会場、ホテル、旅館、百貨店、ショッピングモール、理容店、美容室など
県は6月にシステムを導入して以降、知事自ら県職員とともに店舗等を訪問し、システムの周知と登録への協力を呼び掛けてきましたが、今回の条例はさらなる対策強化のために登録を義務付けるもので、全国初の義務化条例です。
これらの内容について、日本共産党県議団は9月11日の本会議で大井川知事に3点質問しました。
1.県条例よる登録義務化の法的整合性
【質問】県独自の任意システムに登録を義務付ける権限が県にあるのか。登録するかどうかは事業者や利用者の自主的判断であり、義務化は基本的人権などに抵触しないか。
【答弁】条例は、感染拡大防止と社会経済活動の両立という「公共の福祉」の実現を目的としており、感染症法やインフルエンザ特措法に違反せず、憲法との整合性は保たれていると考える。
2.義務違反事業者の名前や所在地の公表
【質問】感染対策を行った事業者が、単にシステムに登録しないことを理由に勧告し、店舗名と所在地を公表することは事実上の「社会的制裁」であり、営業を妨げることにならないか。
【答弁】公表により事業活動に影響が生じる可能性があることから適切な運用に努める。感染防止に必要な経費の一部助成や店舗利用者に県産品プレゼントを実施する。それでも登録されない場合や、虚偽の登録が是正されないときは公表する場合がある。
3.注意喚起メール受信者のPCR検査
【質問】陽性者と同一日・同一施設を利用した登録者に、県から注意喚起メールが送られるが、メールが届いたからといってPCR検査を受けられる訳ではないとされている。感染防止というなら、検査を受けられるようにすべきではないか。
【答弁】システム導入後に12施設59件の注意喚起メールを送信しているが、受信者からの相談は確認していない
本条例案について、県は8月にパブリックコメントを実施し、寄せられた139件の県民意見と県の回答をホームページに公表しています。県民意見では、憲法が保障する人権侵害をはじめとする批判や個人情報漏えいへの危惧、義務化の必要性への疑問、不安などが多く出されました。
感染防止と社会経済の両立に必要なことは、抜本的な検査の拡充で感染を抑制することです。ところが、9月県議会の補正予算で、アマビエ登録促進事業は10億円かけるのに比べ、PCR検査拡充費は8億円にとどまり両立どころか逆転しています。
コロナの影響で、倒産・解雇が最も多いのが飲食、宿泊、食品卸売です。これら事業者の深刻な底冷えに、「アマビエ」の登録義務化は追い打ちをかけることになります。
条例案の採決は10月1日の議会最終日となりますが、新型コロナの影響で疲弊する地域経済と県民生活への直接支援こそ強めなければなりません。
2020年9月15日
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新刊紹介
自治体は国のデジタル端末になるのか?
デジタル化でどうなる暮らしと地方自治
白藤博行・自治体問題研究所編
A5判 定価(本体1400 円+税)
コロナ禍のなかで、行政のデジタル化が声高に叫ばれ、官民で国民・住民の個人情報を利活用しようという政策が進んでいる。その基盤づくりとして、行政のレベルでは戸籍・税務・健康保険など自治体の行う事務の「標準化・統一化」と全国レベルでのクラウド化が、国民・住民にはマイナンバーカードの取得が推進されている。
しかし、この仕組みでは、国民・住民の個人情報の大規模な漏洩が危惧されることや、国民・住民が自己の情報をコントロールする権利の保障がどうなるかなど、検討されるべき課題も多い。
政府が進めているIT 戦略の内容にそって、行政デジタル化が暮らしや自治体行政に何をもたらすかを考える。
地域の病院は命の砦
― 地域医療をつくる政策と行動 ―
横山壽一・長友薫輝編著
A5判 ・並製カバー・160 頁 定価(本体1300 円+税)
地域の病院がなくなる?!
病院は、地域で暮らし続けるために欠くことができません。ところが、国は、町や村に1 つしかない病院をふくめて、全国424 の公立・公的病院を名指しし、統合再編を含めた病床削減計画の提出を自治体に求めています。そこには、「地域医療構想」の早期実現という政策があります。
本書では、地域医療を取り巻く情勢を整理した上で、「地域医療構想」とはなにか、「地域医療構想」が病院再編とどう連動しているか、地域医療を守り発展させるための政策や課題をどう考えていくかなどについて、各地の実践にそいながら紹介します。
主な内容
地域医療を守る 住江憲勇/眞木高之/尾関俊紀
第Ⅰ部 地域医療をとりまく情勢
社会保障改革と地域医療 横山壽一
第Ⅱ部 地域医療をつくる政策と行動
1 地域医療構想と地域づくり 長友薫輝
2 424 病院リストの根拠「診療実績データの分析」のねらいと問題点 塩見 正
第Ⅲ部 地域医療の現場
1 難病医療の拠点・国立徳島病院を守る 井上 純
2 広大・多雪・寒冷な北海道の地域医療を守れ 沢野 天
3 三重県の地域医療構想と公立・公的病院の再編・統合 新家忠文
4 愛知県の実態から考える大都市圏域における地域医療構想の問題点 長尾 実
5 京都の地域医療構想にかかわる諸課題と地域医療実態調査の取り組み 塩見 正
資料 厚生労働省が再編統合の検討を求めた公立・公的病院424 施設
準新刊
「競争の時代」の国・地方財政関係論
競争の時代に一般財源は自治体の自由になるのか!
中島正博著
A5判・上製カバー・228 頁/定価(本体2500 円+税)
1980 年代後半からの30 年間の国と地方の財政関係を地方財政計画に基づいて分析する。この30 年間を「地方分権さきがけ
「財政構造改革期」「競争の時代」に分け、地方財政計画が地方の財源保障機能から競争を前提にしたシステムへと変容する様子を追う。そこでは分権と集権のせめぎ合いを観察し、「一般財源」が本当に自治体の自由になっているかを検証する。併せて、地域振興政策として島根県海士町の定住政策、宮崎県西米良村の人口減少対策を紹介する。
序 章 本書の目的と課題
第1 章 地方財政計画と地方交付税
第2 章 地方財政の構造変化と計画・決算のかい離
第3 章 定住政策と地方交付税
第4 章 地方創生と地方交付税
第5 章 地方財政における「自由な財源」とは何か
終 章 「競争の時代」の国・地方財政関係
疾病に苦しむ人が、だれでも、どこでも、いつでも無償で医療が受けられる社会を求めて!
『医療保険「一部負担」の根拠を追うー 厚生労働白書では何が語られたのか』
芝田英昭著
A5判・並製カバー・180頁 定価(本体1800円+税)
1962 年以降の皆保険体制の下、日本の医療保険は大きく発展してきた。しかし、国庫負担、患者の一部負担は、「厚生労働白書」から読み取れるように、時々の経済情勢、財政的制約から導き出されたものであり、決して人権思想が反映された結果とは言えなかった。今、国民から求められているのは、基本的人権を基軸にした社会保障の構築であり、その基礎にあるのが、人間の尊厳であり人権思想なのである。
疾病に苦しむ人はたくさんいる。そのだれもが、いつでも、どこでも、無償で医療が受けられる社会の実現に向けて、「権利としての社会保障」の観点から論究する。
プロローグ●健康は自己責任か
第1章●医療保険「一部負担」の意味とは
①医療保険における一部負担の制度的根拠
②社会保障審議会等の歴史的文書に見る医療保険における一部負担の考え方
第2章●『厚生労働白書』(『厚生白書』)に見る医療保険「一部負担」記述の変遷
1950年代厚生白書/1960年代厚生白書/1970年代厚生白書/1980年代厚生白/1990年代厚生白書
2000年代厚生労働白書/2010年代厚生労働白書
第3章●医療保険一部負担に関する先行研究
①厚生労働白書は医療保険「一部負担」の根拠を示せたか ②モラルハザード、濫用防止は心理的圧力 ③医療サービスは「私的財」なのか
第4章●一部負担の受診抑制と世界のトレンド
①一部負担と受診抑制 ②一部負担増による受診抑制の研究事例 ③一部負担無料化の意義
第5章●医療保険の保険料・一部負担の未来展望
①社会保険に一部負担は必要か ②国保保険料の応益割と保険料上限の廃止 ③健康保険における標準報酬月額の上限を撤廃すべき ④健康保険から排除される被用者と無保険問題
第6章●人権としての社会保障と能力の共同性
①社会保障を考える基本的視点としての尊厳と人権 ②人間の尊厳の要素としての人格 ③日本国憲法に見る社会保障と人権 ④能力の共同生から社会保険料応能負担の根拠を考える
問い直そう税金―消費税増税ではない別の選択肢がある!
鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』
A5判 定価(本体1000 円+税)
税の目的、仕組みと問題点、改革の方向について入門的に解説し、わが国の税制全体を問い直すことで、消費税増税ではない別の選択肢があることを明らかにします。
本書を推薦します 白藤博行氏(専修大学法学部教授)
法律の世界では、租税法律主義といって、納税者の権利を守る大原則があります。でも、私たちは、日ごろ税の中身のことをどこまで考えているでしょうか。消費税が上がるといっても、「またか」で終わっていませんか。私たちは、公共サービスを受給する権利がありますが、税を公平に負担する義務もあります。ですから税
の集め方や使い道を、主権者としてしっかりと考えなければなりません。
私たちは居酒屋でビール1 本の追加を迷っていますが、何百兆円もの「内部留保」がある大企業は、労働者に相応の賃金を払い、まっとうな法人税を納めているのでしょうか。主権者の税への無関心は、悪政を助長します。「税のバイブル」である本書を読んで、賢い主権者・納税者になりましょう。
『公契約条例がひらく地域のしごと・くらし』
働く人の労働条件・事業者の経営環境・地域産業振興を一体で改善するみち
永山利和・中村重美著
A5判/定価(本体2000 円+税)
公共工事や公共サービスの低価格受注が広がり、疎漏工事や官製ワーキング・プアが問題となってきた。
この課題を解決する公契約条例の意味と実際(世田谷区・野田市など)を紹介する。
世田谷区長・ジャーナリスト 保坂展人とさん推薦
8年がかりの粘り強い運動により区議会全会一致で成立した世田谷区公契約条例は2014 年に成立後も改善と進化を遂げていく。2019年には労働報酬下限額を1,070 円とする。全国に拡がる公契約条例の基礎から今後の課題等必携の一冊。
『新版 自治体の財政』
まちの財政のしくみを分かりやすく解説! 自治体財政入門書
初村尤而著(都市行政コンサルタント)
A5判 定価(本体2000円+税)
暮らしのなかのお金の流れに注目して、予算書・決算書を読みます。公共サービスのあらましをたどって、歳入・歳出のしくみを解説します。そして、地方交付税、基準財政需要額や財政健全化指標、企業会計など自治体財政に欠かせない用語も分かりやすく説明し、数字に隠れた市民生活や地域の現状へといざないます。
主な内容
第1章 私たちの暮らしと財政
第2章 予算書、決算書を読んでみよう
第3章 歳出(経費)のしくみ
第4章 歳入(財源)のしくみ
第5章 さまざまな自治体財政
第6章 地方公営企業のしくみ
第7章 わがまちの財政健全度を量る指標
第8章 自治体財政のあり方を考える
終 章 財政数値との向き合い方
「自治体戦略2040構想」と地方自治
白藤博行・岡田知弘・平岡和久著
A5判/定価(本体1000 円+税)
アベノミクスの失敗で疲弊が続く地方。住民のいのちと暮らしを守る市町村の役割が再認識されている。
ところが、政府は、連携中枢都市圏(や定住自立圏)のような「圏域」を地方行政の単位として法制化し、住民サービスも自治体間で「標準化」「共通化」「広域化」しAI やロボットそして民間企業に任せ、公務員は半減させるなど、地方自治を骨抜きにすることを狙っている。これらは、「自治体戦略2040 構想」という研究会報告として公表され、法制化への議論とともに、地方財政政策などを通じて具体化も始まった。
本書では、「自治体戦略2040 構想」とは何か、地方自治の姿をどう変えると予想されるのか、憲法と地方自治法が示す自治の視点から見たときに何が問題となるのかについて、解説する。
「豪雨災害と自治体 防災・減災を考える」
A5判・並製・160 頁/定価(本体1600 円+税)
豪雨災害はどのように発生し、どう対応すべきか?
毎年のように豪雨災害が猛威を振るっている。その原因・メカニズムを気象学、被害の拡大を地質学から追究し(寺尾徹、田結庄良昭)、2018 年の豪雨が各地にどのような災害をもたらしたか、現地からの詳細な報告を収める(磯部作、越智秀二、村田武、山藤篤、松岡淳、小淵港、田結庄良昭、池田豊)。そして、このような災害に対して自治体はどう対応すればよいのか、防災と減災の視点から問う(室崎益輝、塩崎賢明、有田洋明)。
「水道の民営化・広域化を考える(改訂版)
尾林芳匡・渡辺卓也編著
A5判・並製カバー184 頁/定価(本体1700 円+税)
改正水道法成立!「いのちの水」をどうする。2018 年12 月6 日、改正水道法が成立した。多くの庶民の疑問、マスメディアでの反論をものともせず、既定方針のように審議を通した。水道が生き残るには、民営化、広域化しかないのか。すでに、各地で起こっている「水」めぐる民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくか多角的に考える。
『人口減少時代の自治体政策 市民共同自治体への展望』
中山 徹(著)
発行年月日:2018/11/15 1,200円+税 A5 112ページ
人口減少に歯止めがかからず、東京一極集中はさらに進む。自治体そのものを見直そうとする「2040構想」も始動した。こうしたなか、保守と革新の共同による「市民共同自治体」の動きも出始めている。地域が大きく再編されようとしている今、市民と地域を守るためにはどうしたらよいのか。「市民共同自治体」を提唱して、市民のニーズを政策に活かす方法を考える。
目次
はじめに
1章 新自由主義による国土・地域・コミュニティの再編
なぜ国土・地域・コミュニティの再編なのか
再編の具体的内容とそれを進める政策
自治体再編の方向性
再編のコンセプトと進め方
2章 自治体の動向と市民共同自治体への展望
開発型自治体と削減型自治体
市民共同自治体の誕生
市民共同自治体の展望
3章 市民共同自治体の政策
政策の基本的な枠組み
すべての主要施策に格差是正を貫く
地域のまとまりをどのようにして創り出すのか
行政責任を明らかにする
なぜ市民参加が重要なのか
原発再稼働と自治体
―民意が動かす「3つの検証」― 新潟県はその出口を探す先頭に立っている
立石雅昭・にいがた自治体研究所編
A5判 定価(本体1200 円+税)
福島原発事故から7 年半。控えられていた原発の再稼働が復活してきているが、それでも再稼働はスムーズに進んでいるとは言いがたい。それは、国民の過半数が原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論が強く根を張っているためである。世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は「3 つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げて福島原発事故の検証を行っている。その活動の意味を問う。
序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること 池内 了
1 新潟県検証委員会の活動の意味 大矢健吉
2 技術委員会の検証―明らかにしてきたことと引き続く課題 立石雅昭
3 原発事故による避難(新潟県内避難者)生活の現状と課題 松井克浩
4 原子力災害がもたらした避難(福島県相双地区)生活の実態 丹波史紀
5 避難計画をめぐって 佐々木寛
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質 石崎誠也
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済 保母武彦
どこを目指す !! 自治体戦略2040構想
― 研究会報告の概要と問題点、課題 ―
A5版・24頁 定価250円(地域研卸単価200円)
地域研の皆様へ
地域研の皆様には日頃から大変お世話になっています。
さて、自治体戦略2040構想研究会の最終報告が7月に公表されました。構想研は「2040年頃をターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方を検討する」として2017年10月に設置された総務省の有識者研究会です。
その趣旨は「高齢化がピークを迎え、若い勤労者が激減する2040年頃の姿から自治体の課題を逆算する形で整理し、今の半数の職員でも対応できる仕組みを構築」するというもので、それは今日の地方自治、自治体のあり方を抜本的に見直し再編していくものです。
これを受けて、同月に第32次地方制度調査会が設置され、この内容が諮問されました。
地制調に諮問したということは、その結果を踏まえて法制度改革を行うということです。
私たちも地制調での議論を見極め、内容を検証し、対置政策を示して世論を喚起していくことが必要です。そのため研究所ではまず構想研報告の内容を知らせ、問題点、課題を明らかにしていくことが急務と考え、今回、職場や地域等での学習会向けに標記ブックレットを緊急に発行しましたので1冊送付(贈呈)します。また、皆様には割引単価を設けましたので、普及(490部)にもご協力をお願いします。
なお、ブックレットの表題、目次、報告表題の「自治体戦略2040年構想」は誤記で、正しくは「自治体戦略2040構想」ですので正誤表を入れてあります。
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はじめに 岡田 知弘
自治体戦略2040構想研究会報告の概要と問題点、課題- 角田英昭
1.構想研報告の概要
2.構想研報告の問題点、課題
既刊ブックレットもお手元に!
どこを目指す、自治体戦略2040構想(A5 ・ 24頁) 200円
原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題(A5 ・ 40頁)300円
どこを目指す、公共施設等総合管理計画(A5 ・ 40頁)300円
「いのちの水」をどう守っていくのか!
水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著
A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)
老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から;
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える
川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』
A5 133頁 1600円+税
本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその
後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。
本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。
『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)
A5判110頁 定価(本体1100円+税)
主な内容
日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。
Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用
武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授
B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)
総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業
本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長
A5判110頁 定価(本体1,100円)
日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。
第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ
第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する
第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育
第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする
第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために
改訂新版『地域再生と町内会・自治会』
著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
私は「上原公子」
上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編
国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り 上原公子
第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる
窪田之喜
第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
田中 隆
第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
小川ひろみ
第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
くにたち上原景観基金1万人の会
地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』
岡田知弘・自治体問題研究所編
A5判 216ページ 本体2300円+税
政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。
減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?
人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走
中山 徹 著
国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。
わたしたちにもつとも近い法律の話し
地方自治法への招待
白藤 博行 著
明日に向かう地方自治法と対話しよう!
地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。
高齢期社会保障改革を読み解く
編者 社会保障政策研究会
著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏
安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。
わたしたちの生活はどうデザインされているのか
社会保障のしくみと法
伊藤周平著
社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。
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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)
自治体研究社 定価(本体2,200円十税)
何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。
内 容
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私
中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)
自治体研究社 定価2000円(本体1,852円十税)
人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版)
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!
B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)
財政デザイン研究所代表理事 大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著
●基礎からステップアップまで
決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
財政を学ぶ心構え・分析方法
赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
どこにおカネを使って