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第132号

第132号

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第132号

2019・12・26更新

火渉祭 (2)

火渉祭 加波山神社本宮=
桜川市真壁町12月22日




 俗に「火わたり」と呼ばれる奇祭で、神社境内に薪を積み上げ火焔(かえん)を焚き、燃え盛る薪の上を素足で踏み渉り無病息災を祈るお祭り。室町時代から続く伝統行事で、かつて修験者の荒行として行われていた。



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水戸市民、住民訴訟で市政転換をめざす
ー新水戸市民会館建設費356億円の無駄金にメスをー

12月16日、水戸市民16人が「水戸市民会館費用支出差止等住民訴訟」を水戸地裁に提訴した。原告代表は、自治問研理事長の田中重博さん、訴訟代理人弁護士は谷萩陽一さんら3人。 

 住民訴訟は、「住民全体の利益を保障するために法律によって特別に定められた参政権」(最高裁昭和53年3月30日判決)で、市長等の違法・不当な予算支出の差し止め、支出済みは返還請求(賠償)を求める客観訴訟といわれる。
 差し止め額235億9670万円、返還請求額28億4488万円。合計264億円余となり、総予算353億円の75%に達する。
 なぜ違法か。「地方自治行政の基本原則」等を定めた地方自治法第2条14項は、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、・・・ 最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定。この原則を予算執行の立場から表現した規定が地方財政法第4条で、第1項は「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえて、これを支出してはならない。」と規定。
 最小限支出原則に違反している理由、(1)2015年9月策定の水戸市第6次総合計画では市民会館整備68億0910円と計上、現事業経費353億円の5分の1で市議会も承認決定。(2)会館建設地の泉町1丁目北地区再開発と市民会館建設の合計115億7720万円ということも決定していた。(3)市街地郊外の広大な市有地に建設すれば第6次総合計画経常費で十二分に賄える。(4)5箇所の候補地のうち4箇所は更地で建物の解体・明け渡し不要、が泉町1丁目選定で旧京成デパートはじめ多数のビル・店舗・住宅の解体・明け渡し(補償)に多大な経費支出。(5)市の「街活性化へ起爆」は証明・検証されず、抽象的で実体なし。市の既存の再開発事業の総括がない。
 市の予算1千億円の35%も喰い、市債2千億円に達し公債費23%、水道料金11%値上げはじめ施設利用料など値上げラッシュ。市民のフトコロ無視の巨額支出に司法のメスを期して裁判はかじまった。

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今月の俳句

逃げる風ついひかける風冬始め
  親鸞の縁りの寺の銀杏散る  
冬帽子目深に老いを隠しけり
  無駄多き生涯なりし帰り花

高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴四十年 元茨城県職員 小貝保育園長、当研究所顧問

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寄 稿

台風19号
水戸市の甚大な被害と避難対応、被災者支援について

土田 記代美(水戸市議会議員)

はじめに

 この度の台風による水害で被災された多くの方々、今なお不自由で苦しい生活を余儀なくされている被災地の皆様にこころからお見舞いを申しあげます。生活再建へ向けての多くの課題に、市がしっかりと取り組み、一日も早い被災地の復旧復興にむけ、最大限の支援をつくすことこそ自治体の役割であり、地元議員としても、現場の多くの声を聞きながら、市民に寄り添う活動を続けていくことが求められているとの思いを強くしています。また、今後の災害対策への教訓や指針がたくさんつまった経験となったことを確実に未来に生かしていきたいと思います。

1 台風被害と避難対応について
 
 那珂川が想定を超える過去最大の水位となり、那珂川と合流する西田川、藤井川、田野川からも水が溢れ、水戸市北部の那珂川沿いの地域、飯富地区、国田地区などが甚大な被害、思いもよらぬほどの大水害に見舞われてしまいました。今回の台風19号は、上陸前から、歴史的な大型台風となるとの報道があり、水戸市では前日から災害対策本部を立ち上げ、各避難所を開設し避難の呼びかけをしていました。また、浸水想定区域内の要支援者に対しては個別に連絡、避難誘導を行い、移動手段のない人には、職員やタクシー会社などの協力で、全員が避難所へ移動していました。甚大な水害であったにもかかわらず、水戸市では他自治体とは違い死者や行方不明者といった人的被害がなかったことは、こうした早めの避難が実際に行われたことが大きかったのではないかと思います。

水戸19号
川の水があふれてから1日半以上が経過しても冠水したままのホームセンター=2019年10月14日

 私は、当日午前5時すぎに国田地域の方から「水が出て避難した」との連絡を受け、国田に向かう途中で足止めとなり、後日テレビで何度も映し出された水戸北スマートインター付近、水没してしまったホームセンターが、まさにどんどんと水に浸かっていくところを坂の上から見ていました。近所の人たちが「昭和61年の時より酷い」と口々に不安な思いで集まってきていました。その後、那珂市側から回って国田のJA教育センター、飯富中学校などの避難所に向かいました。避難所では、とにかく情報がない、情報が欲しいという声が一番多く聞かれました。情報不足については、国の責任も大きかったわけですが、「前日からずっとテレビをつけていたが那珂川のことは全く報道されなかったので大丈夫かと思っていた」「早くから避難勧告は出ていたが避難指示ではないからいいと思っていた」という声が大きく、実際、水戸市で避難指示が出たのは未明であり、飯富地区では那珂川支流の西田川の越水が起きた午前2時30分、国田地区など他の浸水想定区域全域の避難指示は午前3時30分でした。そのため、いきなりたたき起こされ着の身着のままで避難することになった方、あわやというところで水に浸かりながら逃げた方、そして避難できずに水に浸かった家に取り残された方を多くつくってしまいました。災害避難に早すぎる、備えすぎるということはありません。結果的に大丈夫だったとしても、まず先に避難をしてもらうこと、それを徹底する手立てを、今後考えていく必要があります。また、今回は水害であり、避難所はそもそも浸水地域の低い場所にある市民センターではなく、初めから高台の避難所を指定するべきです。今回、いったん避難したセンターから、また避難所を移動しなければならなかった方も多く、市民にとっても市の災害対策にとっても無駄な二度手間となりました。

町水戸市岩根
 10月15日、ようやく水が引いた水戸市岩根町。道路は泥で覆われ、泥水に侵された家具類置き場。

 避難所では、日々、避難者の要望を聞き、市の災害対策本部に伝えると、速やかに改善されていたこと、水戸市では、翌日には温かい汁ものが提供されたり、世帯毎にパーテーションが用意されたことなど、東日本大震災を機に積み上げられてきた防災行政の蓄積が発揮されていたことはよかったと思います。他市では問題となっているペット同行避難についても、飯富中学校では同室避難ができ、市民センターでは同室はできなかったものの一緒に避難が出来ました。
 しかし、残念なことに、水戸はペット同行避難ができることを、多くの市民が知らなかったため、「ペットがいるから避難しなかった」「ペットを置いてきてしまった」という声もたくさん聞きました。
 また、長期にわたる避難所開設を考えれば、学校体育館では、避難者にとっても、その学校の児童生徒にとっても大変不便です。さらに、飯富地域では「避難所に行ってしまうと水がきたら戻れないから、行かずに2階で避難した」「近くの高台で避難した」という方が多く、安心して避難できる場所という認識が浸透していないことも強く感じました。
 一方で、国田のJA教育センターでは、もともと宿泊施設として、お風呂もあり、食堂であたたかい食事も提供され、避難した方々がホッとして過ごすことができたとおっしゃっていました。こうした民間の施設との連携協力はいざというとき本当に大きな力になります。今後、市の指定避難所のあり方を根本的に考え直していく必要があると考えます。

2 被災者の生活再建について

 国の災害支援法による被災者支援は全壊、半壊、床上浸水と、被害の状態により差がつけられてしまいますが、水害の場合、たとえ浸水が少なかったとしても水につかってしまえば、住民はすぐにもとの生活にはもどれません。例えば畳や家財道具一式がダメになってしまいます。本来、国や県がやってしかるべき被災者支援であっても、国がやらない場合、住民にとって一番身近な市が、最大限、被災者の生活再建に力をつくすべきと考え、様々な要望と迅速な支援を求めてきました。
現在、避難所にいた方たちは皆、隣接地域にある県営アパートなどの仮住まいに移られましたが、当初、多くの方が、鍵をもらってもなかなかそちらでの生活がスタートできずに、避難所で過ごしていました。部屋があっても生活用品がそろわないと暮らせないからです。部屋を提供すると同時に、すぐ生活ができる最低限の生活用品の準備、環境整備を、市としてできないものか、家財道具すべてが水につかってダメになっている中、そして毎日家の片づけに追われている中で、被災者が新たな部屋で生活用品一式を自分でそろえなければならないというのは本当に酷なことです。最低限、生活に必要な布団・冷蔵庫・洗濯機・炊飯器、そして寒い季節に向かう今の時期なら暖房器具などを現物で備え、すぐにも生活ができるようにしてこそ、被災者に寄り添う支援です。大子町などで作られた仮設住宅の場合には、エアコン、ガスコンロ、ユニットバスがついて、すぐに生活できるようになっていますが、空いている公営住宅では、すぐに生活できる状況にはないことが多いのです。その改善は国や県がすべきことであると考え、私たち日本共産党地方議員団は、何度も国や県に要請をしてきましたが、ほとんど聞く耳がありません。避難された方たちは、体育館で休むよりも、一日も早くそれぞれの仮住まいに移る方が、どれだけ安心できることでしょう。今回、12月定例議会の代表質問でこの問題を取り上げ、今後、市として検討していくとの答弁を得ました。次につながる被災者支援となるよう働きかけを続けていきたいと思います。

3 水害対策と再発防止について

 今回の水害は、那珂川の堤防整備の遅れが甚大な被害をもたらしたと考えられますが、中でも国田地域に一部分だけ残された無堤防部分から大量の水が出ました。地元では10年以上も前から、この無堤防部分をなんとかしてほしいと切実な要望が出されており、私たち日本共産党水戸市議団も県議団とともに、毎年、国への要請を続けてきました。国交省は、自然な高さのある山付き堤だから大丈夫だといい続け、計画すら作られないまま、とうとう心配していた事態を招いたと言わざるを得ません。一刻も早く築堤整備を進め、住民の不安の解消、地域の安心安全の強化に取り組むべきです。

調査する市議団
被災地調査する共産党県議団と水戸市議団.塩川衆議院議員

 また、台風19号被害の翌週、11月25日の大雨では、市内の多くの道路が冠水し、沢渡川など市街地の河川が溢れ、市民はまたしても不安な一日を過ごしました。集中豪雨、ゲリラ豪雨が、いつ起こるかわからない気象状況となっている今、あっという間に冠水する道路の整備や河川整備は、本当に喫緊の課題と考えます。水戸市は雨水排水プログラムを策定し改善を目指していますが、なかなか進んでいないのが現状です。こうした生活環境をまもるための河川整備、道路整備、下水排水管の整備にこそ、予算を拡充し整備のスピードアップに力を注ぐべきです。残念ながら、水戸市はムダで大きな新市民会館整備など、ハコモノ事業には予算を湯水のようにつぎ込む一方で、市民生活に直結するインフラ整備の予算が削られ続けてきました。今回、茨城県が全県の台風19号による災害対策のために組んだ補正予算は354億円とのことですが、水戸市では、多くの市民が反対している新市民会館計画の事業費が353億円であり、本当に異常な税金の使い方です。今こそ、こうしたムダな事業を見直して、今、まさに必要な市民のための予算、水害からの復旧と再発防止、被災者支援、生活道路や河川整備にまわすべきです。
 水害の現場や避難所に通い、被災地域を歩き被災者の声を聞きながら、変わり果てたふるさとの風景に心が痛む日々でしたが、どんな時にも市民の声にこたえ、市民のくらしを支えまもることこそ自治体の役割であり、そのために全力を尽くし市政を動かすことこそ議員の仕事という思いを改めて強く自覚しているところです。

参考資料;11月11日午後3時現在被害状況11/12茨城新聞

■避難所 ピーク時(10月13日)44市町村で526カ所開設され、1万9595人の避難者がいたが、3市町の25世帯43人まで減少した。大子町は避難所2カ所に18世帯31人、水戸市はーカ所に4世帯6人、常陸大宮市はーカ所に3世帯6人が今も避難している。
■住宅 建物被害は全壊が9市町で286棟、半壊が!3市町で2206棟、一部損壊が32市町村で1246棟、床上浸水が8市町で207棟、床下浸水が15市町で714棟。
 被災者を対象に公営住宅が提供され、11日午後1時現在で県営住宅に104世帯の入居が決定している。市町営住宅は79世帯、国家公務員宿舎は8世帯、賃貸型応急住宅は8世帯。大子町と常陸大宮市では仮設住宅の建設が進められ、常陸大宮市ではすでにトレーラーハウス型仮設住宅の提供が開始し、5世帯12人が入居予定。自宅に帰れない被災者は少なくとも200世帯以上おり、親戚の家に身を寄せる被災者も多い。罹災証明書の申請件数は39市町で2956件、交付件数は2506件。
■行方不明 常陸大宮市では、10月12日夜に外の様子を見に行った男性(71)が行方不明となったまま。死者は桜川市と大子町で計2人、中等症7人、軽傷13人。
■堤防 決壊した堤防12カ所全てで応急復旧が完了。県管理河川で、護岸崩壊や越水による被災で応急復旧が必要とされた54カ所も全てで応急復旧工事が終了した。
■交通 袋田-常陸大子間の第6久慈川橋梁が流失したJR水郡線は西金-常陸大子間で不通が続き、代替輸送バスを運行している。農林水産、中小企業、農林水産業の被害額は76億5388万円。9月の台風15号と合わせると、平成以降の風水害では2015年9月の関東・東北豪雨時の121億2416万円を抜いて2番目の甚大な規模。中小企業の推計被害額は74億9421万円。
■災害ごみ 県災害対策本部の5日午後3時現在の建物被害数を基にした推計で県内8万5千トン。多いのは水戸市4万6千トン、常陸大宮市1万4干トン、大子町1万3千トン、常陸太田市6千トン。

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イラスト1

今月の 川柳

消費税坊主と共に急ぎ足
   病院をつぶして命野にさらし
見本市武器商人のえびす顔
   トランプに尻尾をふって毒もらい
教皇の講話に官邸尻を向け
   香港のデモに涙の雨がふり
温暖化少女の声に地がゆれる
   アフガンの地に水を引き命萌え
幕引きの馬脚が見える安倍劇場
    ひと文字を桜と書いてソバを食い

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

イベント紹介

第49回市町村議会 議員研修会 in 東京 

1月27日(月)~28日(火) TKP神田ビジネスセンター

1日目 全体会13:00~16:50 
講演 自治体財政の基礎と2020年度予算  森 裕之氏(立命館大学教授)
2日目 選科3コース 9;30~16:00

選科A 国保・地域医療再編の動向と自治体   長友 薫輝氏(津市立三重短期大学教授)
選科B 自治体戦略2040構想と公共サービスの民営化 尾林 芳匡氏(八王子合同・弁護士)
選科C 地域公共交通にどのように取り組むべきか  西村 茂氏(金沢大学名誉教授)
 

 年々激しくなる台風・豪雨災害をふまえ、例年の1月末の議員研修会(1/28-29)とは別に、「緊急企画 台風・豪雨災害と自治体の役割 議員研修会」を2月5日(水)-6日(木)に開催いたします。

日 時:2020年2月5日(水曜)13時~6日(木曜)16時 
会 場:「神戸ポートオアシス」5階会議室  
 〒650-0041 神戸市中央区新港町5番2号 TEL:078-333-2822
 JR「三ノ宮駅」から徒歩18分 あるいは「三ノ宮駅」からポートライナーに乗り換え1駅目「貿易センタービル」から徒歩10分

参加費
都道府県・市区議会議員 30,500円 同 自治体問題研究所個人会員 28,500円  町村議会議員・議会事務局 20,500円 同 自治体問題研究所個人会員 18,500円
一般 18,500円 同 自治体問題研究所個人会員 15,500円
定 員:  先着100人

日程詳細: 選科はありません。
      防災問題での全体会だけで3本の講義と特別報告・質疑等をおこないます。

2月5日13:00~17:00 
第1講義「豪雨災害と自治体の防災・減災対策」講師 室崎益輝 兵庫県立大学大学院教授
2月6日9:30~正午 
第2講義「土石流など土砂災害や河川氾濫、ダム問題のメカニズムと自治体の役割」講師 田結庄良昭 神戸大学名誉教授
13:00~16:00 
第3講義「豪雨災害と避難・生活再建 ―自治体の役割―」講師 塩崎賢明 神戸大学名誉教授

企画:自治体問題研究所  主催:(株)自治体研究社

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新刊紹介

公民館は だれのものⅡ
文部科学省組織再編・第9次地方分権一括法による「改正」を問う!

長澤成次著

A5判・並製カバー・216 頁/定価(本体2000 円+税)

 公民館は〈社会教育法〉を支えに地域での教育権・学習権を守り続けてきた。しかし、規制緩和の名の下に〈社会教育法〉が壊されようとしている。この事実を、戦後の社会教育行政の変遷と公民館の歩みをたどって検証する。社会教育法制定70 周年記念=制定当時の全文を収録。前著に引き続き、学びの自由と自治を守る公民館を論じる。

目 次  
Ⅰ●文部科学省組織再編と第9次地方分権一括法:文部科学省生涯学習政策局・社会教育課「廃止」を問う/
公立社会教育施設の首長部局移管問題と第9次地方分権一括法案/第9次地方分権一括法案と社会教育関連法「改正」の問題点
Ⅱ●公民館をめぐる歴史・政策動向と自治体社会教育行政:「新憲法の精神を日常生活に具現するための恒久的施設」としての公民館/公民館への指定管理者制度導入における問題点と課題/「公共施設等総合管理計画」をめぐる政策動向と課題
Ⅲ●人権としての学習権思想の歩みと社会教育法制をめぐる課題:学習権思想の芽生えと社会教育の戦前的性格/憲法・教育基本法制と社会教育法「改正」の歴史/権利としての社会教育を求めて

[資料編]日本国憲法(抄)/教育基本法(1947 年・2006 年)/社會敎育法 他目次より

「競争の時代」の国・地方財政関係論
競争の時代に一般財源は自治体の自由になるのか!

中島正博著

A5判・上製カバー・228 頁/定価(本体2500 円+税)

 1980 年代後半からの30 年間の国と地方の財政関係を地方財政計画に基づいて分析する。この30 年間を「地方分権さきがけ
「財政構造改革期」「競争の時代」に分け、地方財政計画が地方の財源保障機能から競争を前提にしたシステムへと変容する様子を追う。そこでは分権と集権のせめぎ合いを観察し、「一般財源」が本当に自治体の自由になっているかを検証する。併せて、地域振興政策として島根県海士町の定住政策、宮崎県西米良村の人口減少対策を紹介する。

序 章 本書の目的と課題 
第1 章 地方財政計画と地方交付税 
第2 章 地方財政の構造変化と計画・決算のかい離 
第3 章 定住政策と地方交付税
第4 章 地方創生と地方交付税
第5 章 地方財政における「自由な財源」とは何か
終 章 「競争の時代」の国・地方財政関係


準新刊

疾病に苦しむ人が、だれでも、どこでも、いつでも無償で医療が受けられる社会を求めて!
『医療保険「一部負担」の根拠を追うー 厚生労働白書では何が語られたのか』 

芝田英昭著
A5判・並製カバー・180頁 定価(本体1800円+税)

 
 1962 年以降の皆保険体制の下、日本の医療保険は大きく発展してきた。しかし、国庫負担、患者の一部負担は、「厚生労働白書」から読み取れるように、時々の経済情勢、財政的制約から導き出されたものであり、決して人権思想が反映された結果とは言えなかった。今、国民から求められているのは、基本的人権を基軸にした社会保障の構築であり、その基礎にあるのが、人間の尊厳であり人権思想なのである。
 疾病に苦しむ人はたくさんいる。そのだれもが、いつでも、どこでも、無償で医療が受けられる社会の実現に向けて、「権利としての社会保障」の観点から論究する。

プロローグ●健康は自己責任か
第1章●医療保険「一部負担」の意味とは
①医療保険における一部負担の制度的根拠 
②社会保障審議会等の歴史的文書に見る医療保険における一部負担の考え方
第2章●『厚生労働白書』(『厚生白書』)に見る医療保険「一部負担」記述の変遷
1950年代厚生白書/1960年代厚生白書/1970年代厚生白書/1980年代厚生白/1990年代厚生白書
2000年代厚生労働白書/2010年代厚生労働白書
第3章●医療保険一部負担に関する先行研究
①厚生労働白書は医療保険「一部負担」の根拠を示せたか ②モラルハザード、濫用防止は心理的圧力 ③医療サービスは「私的財」なのか
第4章●一部負担の受診抑制と世界のトレンド
①一部負担と受診抑制 ②一部負担増による受診抑制の研究事例 ③一部負担無料化の意義
第5章●医療保険の保険料・一部負担の未来展望
①社会保険に一部負担は必要か ②国保保険料の応益割と保険料上限の廃止 ③健康保険における標準報酬月額の上限を撤廃すべき ④健康保険から排除される被用者と無保険問題
第6章●人権としての社会保障と能力の共同性
①社会保障を考える基本的視点としての尊厳と人権 ②人間の尊厳の要素としての人格 ③日本国憲法に見る社会保障と人権 ④能力の共同生から社会保険料応能負担の根拠を考える

問い直そう税金―消費税増税ではない別の選択肢がある! 
鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』
              A5判 定価(本体1000 円+税)

 税の目的、仕組みと問題点、改革の方向について入門的に解説し、わが国の税制全体を問い直すことで、消費税増税ではない別の選択肢があることを明らかにします。

本書を推薦します 白藤博行氏(専修大学法学部教授)

 法律の世界では、租税法律主義といって、納税者の権利を守る大原則があります。でも、私たちは、日ごろ税の中身のことをどこまで考えているでしょうか。消費税が上がるといっても、「またか」で終わっていませんか。私たちは、公共サービスを受給する権利がありますが、税を公平に負担する義務もあります。ですから税
の集め方や使い道を、主権者としてしっかりと考えなければなりません。

 私たちは居酒屋でビール1 本の追加を迷っていますが、何百兆円もの「内部留保」がある大企業は、労働者に相応の賃金を払い、まっとうな法人税を納めているのでしょうか。主権者の税への無関心は、悪政を助長します。「税のバイブル」である本書を読んで、賢い主権者・納税者になりましょう。

『公契約条例がひらく地域のしごと・くらし』
働く人の労働条件・事業者の経営環境・地域産業振興を一体で改善するみち

永山利和・中村重美著

A5判/定価(本体2000 円+税)

 公共工事や公共サービスの低価格受注が広がり、疎漏工事や官製ワーキング・プアが問題となってきた。
この課題を解決する公契約条例の意味と実際(世田谷区・野田市など)を紹介する。

世田谷区長・ジャーナリスト 保坂展人とさん推薦
 8年がかりの粘り強い運動により区議会全会一致で成立した世田谷区公契約条例は2014 年に成立後も改善と進化を遂げていく。2019年には労働報酬下限額を1,070 円とする。全国に拡がる公契約条例の基礎から今後の課題等必携の一冊。

『新版 自治体の財政』 
まちの財政のしくみを分かりやすく解説! 自治体財政入門書

初村尤而著(都市行政コンサルタント)
   A5判 定価(本体2000円+税)

 暮らしのなかのお金の流れに注目して、予算書・決算書を読みます。公共サービスのあらましをたどって、歳入・歳出のしくみを解説します。そして、地方交付税、基準財政需要額や財政健全化指標、企業会計など自治体財政に欠かせない用語も分かりやすく説明し、数字に隠れた市民生活や地域の現状へといざないます。
主な内容
第1章 私たちの暮らしと財政
第2章 予算書、決算書を読んでみよう
第3章 歳出(経費)のしくみ
第4章 歳入(財源)のしくみ
第5章 さまざまな自治体財政
第6章 地方公営企業のしくみ
第7章 わがまちの財政健全度を量る指標
第8章 自治体財政のあり方を考える
終 章 財政数値との向き合い方

「自治体戦略2040構想」と地方自治

白藤博行・岡田知弘・平岡和久著 

A5判/定価(本体1000 円+税)

 アベノミクスの失敗で疲弊が続く地方。住民のいのちと暮らしを守る市町村の役割が再認識されている。
 ところが、政府は、連携中枢都市圏(や定住自立圏)のような「圏域」を地方行政の単位として法制化し、住民サービスも自治体間で「標準化」「共通化」「広域化」しAI やロボットそして民間企業に任せ、公務員は半減させるなど、地方自治を骨抜きにすることを狙っている。これらは、「自治体戦略2040 構想」という研究会報告として公表され、法制化への議論とともに、地方財政政策などを通じて具体化も始まった。
 本書では、「自治体戦略2040 構想」とは何か、地方自治の姿をどう変えると予想されるのか、憲法と地方自治法が示す自治の視点から見たときに何が問題となるのかについて、解説する。

「豪雨災害と自治体 防災・減災を考える」

A5判・並製・160 頁/定価(本体1600 円+税)

 豪雨災害はどのように発生し、どう対応すべきか?
 毎年のように豪雨災害が猛威を振るっている。その原因・メカニズムを気象学、被害の拡大を地質学から追究し(寺尾徹、田結庄良昭)、2018 年の豪雨が各地にどのような災害をもたらしたか、現地からの詳細な報告を収める(磯部作、越智秀二、村田武、山藤篤、松岡淳、小淵港、田結庄良昭、池田豊)。そして、このような災害に対して自治体はどう対応すればよいのか、防災と減災の視点から問う(室崎益輝、塩崎賢明、有田洋明)。

「水道の民営化・広域化を考える(改訂版)

尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー184 頁/定価(本体1700 円+税)

 改正水道法成立!「いのちの水」をどうする。2018 年12 月6 日、改正水道法が成立した。多くの庶民の疑問、マスメディアでの反論をものともせず、既定方針のように審議を通した。水道が生き残るには、民営化、広域化しかないのか。すでに、各地で起こっている「水」めぐる民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくか多角的に考える。

『人口減少時代の自治体政策 市民共同自治体への展望』

中山 徹(著)

発行年月日:2018/11/15  1,200円+税  A5 112ページ

 人口減少に歯止めがかからず、東京一極集中はさらに進む。自治体そのものを見直そうとする「2040構想」も始動した。こうしたなか、保守と革新の共同による「市民共同自治体」の動きも出始めている。地域が大きく再編されようとしている今、市民と地域を守るためにはどうしたらよいのか。「市民共同自治体」を提唱して、市民のニーズを政策に活かす方法を考える。

目次
はじめに
 1章 新自由主義による国土・地域・コミュニティの再編
  なぜ国土・地域・コミュニティの再編なのか
  再編の具体的内容とそれを進める政策
  自治体再編の方向性
  再編のコンセプトと進め方
 2章 自治体の動向と市民共同自治体への展望
  開発型自治体と削減型自治体
  市民共同自治体の誕生
  市民共同自治体の展望
 3章 市民共同自治体の政策
  政策の基本的な枠組み
  すべての主要施策に格差是正を貫く
  地域のまとまりをどのようにして創り出すのか
  行政責任を明らかにする
  なぜ市民参加が重要なのか

原発再稼働と自治体
―民意が動かす「3つの検証」― 新潟県はその出口を探す先頭に立っている
立石雅昭・にいがた自治体研究所編

A5判 定価(本体1200 円+税)

 福島原発事故から7 年半。控えられていた原発の再稼働が復活してきているが、それでも再稼働はスムーズに進んでいるとは言いがたい。それは、国民の過半数が原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論が強く根を張っているためである。世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は「3 つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げて福島原発事故の検証を行っている。その活動の意味を問う。

序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること 池内 了
1 新潟県検証委員会の活動の意味 大矢健吉
2 技術委員会の検証―明らかにしてきたことと引き続く課題 立石雅昭
3 原発事故による避難(新潟県内避難者)生活の現状と課題 松井克浩
4 原子力災害がもたらした避難(福島県相双地区)生活の実態  丹波史紀
5 避難計画をめぐって 佐々木寛
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質 石崎誠也
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済 保母武彦

どこを目指す !! 自治体戦略2040構想
― 研究会報告の概要と問題点、課題 ―

A5版・24頁  定価250円(地域研卸単価200円)

地域研の皆様へ
 地域研の皆様には日頃から大変お世話になっています。
 さて、自治体戦略2040構想研究会の最終報告が7月に公表されました。構想研は「2040年頃をターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方を検討する」として2017年10月に設置された総務省の有識者研究会です。
 その趣旨は「高齢化がピークを迎え、若い勤労者が激減する2040年頃の姿から自治体の課題を逆算する形で整理し、今の半数の職員でも対応できる仕組みを構築」するというもので、それは今日の地方自治、自治体のあり方を抜本的に見直し再編していくものです。 
 これを受けて、同月に第32次地方制度調査会が設置され、この内容が諮問されました。
 地制調に諮問したということは、その結果を踏まえて法制度改革を行うということです。
 私たちも地制調での議論を見極め、内容を検証し、対置政策を示して世論を喚起していくことが必要です。そのため研究所ではまず構想研報告の内容を知らせ、問題点、課題を明らかにしていくことが急務と考え、今回、職場や地域等での学習会向けに標記ブックレットを緊急に発行しましたので1冊送付(贈呈)します。また、皆様には割引単価を設けましたので、普及(490部)にもご協力をお願いします。
 なお、ブックレットの表題、目次、報告表題の「自治体戦略2040年構想」は誤記で、正しくは「自治体戦略2040構想」ですので正誤表を入れてあります。

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    はじめに  岡田 知弘
    自治体戦略2040構想研究会報告の概要と問題点、課題- 角田英昭 
    1.構想研報告の概要 
    2.構想研報告の問題点、課題

既刊ブックレットもお手元に!      
どこを目指す、自治体戦略2040構想(A5 ・ 24頁) 200円   
原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題(A5 ・ 40頁)300円   
どこを目指す、公共施設等総合管理計画(A5 ・ 40頁)300円   

「いのちの水」をどう守っていくのか!

水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)

 老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える

川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』

A5 133頁 1600円+税

本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。

 本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。

『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
         

本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)

A5判110頁 定価(本体1100円+税)

主な内容
 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。

Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用

武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授

B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)

 総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
 地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
 地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
 グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
 財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
 合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
 国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業                            

本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長

A5判110頁 定価(本体1,100円)

 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。

第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ

第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する

第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育

第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする

第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために

改訂新版『地域再生と町内会・自治会』

著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司

   
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
 私は「上原公子」

上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編

 国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
 第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り   上原公子
 第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる  
 窪田之喜
 第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
 田中 隆
 第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
 小川ひろみ
 第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
 年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
 くにたち上原景観基金1万人の会

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使っているの?(歳出のしくみ): 目的別と性質別/「充当一般財源等」

『公共施設の統廃合・再編問題にどう取り組む-計画づくりから本格実施へ-』

角田英明
A5版・32頁 一般普及300円(地域研・自治労連割引単価200円)

 全国の自治体では、現在、公共施設等総合管理計画づくりが急ピッチで進められています。
 既に2015年度末までに全国30道府県、15指定都市、396市区町村でつくられ、今年度末にはほぼ全自治体で策定されます。これはこれまでのような個別施設の更新、統廃合に止まらず、公共施設全体を中長期的な視野に立って全面的に見直し、再編していくものです。そのため国は、公共施設等の解体撤去や公共施設の集約化・複合化、転用等に係る財政措置を講じて各自治体に計画の策定と実施を迫っています。同時に、この計画は「地方創生」戦略や市町村合併、指定管理者制度などと一体的に進められています。
 本書では、こうした状況を踏まえ、政府施策や各自治体の計画内容、今後の取組みの課題、方向を検討しました。皆さん方の活動に活用していただければ幸いです。

はじめに 
 1.いま、なぜ、公共施設の統廃合・再編か 
 2.計画の策定・推進に向けた政府の対応 
 3.各自治体の計画づくりと実施方針(秦野市 さいたま市 相模原市)
 4.今後の取り組みの留意点と課題 
 5.「地方創生」総合戦略と一体的に推進 
 6.市町村合併の中で進む公共施設の統廃合・再編 
 7.指定管理者制度

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