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第121号

第121号

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第121号

2019・01・26更新

無題

 板橋のお不動さんと呼ばれ親しまれてきた不動院は、求子安産、子どもの成長安全に特に霊験あらたかと信仰され、安産祈願のお守りは有名である。関東三大不動尊の1つでもあり、本堂、楼門、三重塔はいずれも県指定文化財。元旦~7日まで護摩祈祷が行われる。

見慣れたる天守新し初御空
撞く鐘の返らず大枯野  
余寒なお鳥低く飛ぶ雑木山庇
風光るテトラポットの波しぶき
鳥雲に入る傘立てに妻の杖

高 島 つよし

本名 高島剛 常総市在住、句歴四十年 元茨城県職員 小貝保育園長、当研究所顧問

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田中 重博

茨城県自治体問題研究所理事長

新 年 の ご あ い さ つ

 新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 昨年は、12月に県議会議員選挙がありました。関与された皆様、お疲れさまでした。
 本年は、消費税10%増税(10月1日予定)をストップさせる運動、安倍九条改憲を最終的に断念させ、27兆円を超える「中期防衛計画」の大軍拡計画など「戦争する国づくり」に反対する闘い、辺野古新基地建設に反対する沖縄県民に連帯する闘い、「原発ゼロ」と自然エネルギーへの転換の運動などが、重要な政治課題として提起されています。さらに、4月に統一地方選挙、7月に参議院議員選挙が行われ、市民と野党の共闘によって、「安倍政治」に代わる新しい政治を実現させることが期待されています。
 地方自治の面では、東海第二原発の20年延長と再稼働をめぐる問題が正念場を迎え、自治体問題研究所としてどう関与できるかが問われています。また、この数年、県内のつくば、鉾田、神栖、水戸などで展開されてきた「箱もの」行政による税金のむだ遣いに対する住民運動などに、研究所としてどう参加していくのかということも重要です。
 「人口減少」と「高齢化」のピークとなる2040年頃の社会保障など公共サービスの効率化と行政機構の再編をめぐって「自治体戦略2040構想」が総務省から提起され、32次地方制度調査会で議論が行われています。これは、「圏域」行政を基軸とし地方中心都市に行政・経済機能を集中させ、小規模市町村の地方自治権と住民自治権を弱体化させようとするものにほかなりません。また、昨年臨時国会で強行された「水道民営化法」は、水道事業を民間の利潤追求の場に提供し、水道料金の不当な値上げや水漏れなど様々の不具合を発生させます。世界的潮流としての「水道事業の再公営化」にも逆行するものです。

 本研究所は、近年、会員・読者の減少、学習交流や調査研究能力の減退が続いています。今年は、このような傾向に抗し、会員・読者の減少に歯止めをかけ、そして2月9日に境町で開催される「第34回茨城県まちづくり学校」の成功などをきっかけに、学習交流活動や調査研究活動を充実させる方向に一歩踏み出す年にしたいと考えています。
 皆様の力強いご支援、ご参加、ご協力を心からお願い申し上げます。

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水道「民営化」法がいかに問題を抱えているかを考察する

 12月6日、水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が可決成立した。改正法は、自治体の水道事業権を売却させることも狙っている。水道の民営化をめぐり、海外での失敗例の分析が不十分だとして野党側は「審議不十分」と反発していた。本件水道法の改定案に対して参院本会議で反対討論を行った倉林明子議員の指摘を参照しながら問題に迫ってみる(反対討論要旨は12月6日赤旗2面掲載)。
 自治体が抱える水道事業の難題は、過剰な水需要を見込んだダム建設など過大な投資が、事業経営を大きく圧迫し、必要な老朽管の更新や耐震化も進まない実態として現れている。本件水道法の改定案は、こうした深刻な現状を解決するどころか、「清浄、豊富、低廉な水の供給を図り、生活環境の改善に寄与する」と定めた水道法1条の目的を損なう危険が極めて高い内容である。
 水道事業で施設の所有権を自治体に残しながらも運営権を民間に移すコンセツション方式を導入するのは水道民営化に他ならない。世界では水道民営化の失敗から再公営化の動きが加速している。ところが、法案提出にあたつて厚労省が検証した海外の事例はわずか10件、その内容も10年も前の古い資料の調査結果である。
 直近、2000年からの15年間を見ると、水道事業を再公営化した水道事業は、37カ国、235事業にものぼる。調査時点で民営化事業が少なくなかった英国でも、現在では、水道再公営化の方針が国民に支持され、PFI法による新規事業は行わないことを決めている。政府が直近の再公営化の事態をまともに検証していなかったことは明らかだ。政府は、水道施設の所有は自治体であり、厚生労働相が実施方針や契約を確認するため、監視は可能だと繰り返した。しかし、海外の事例では、「企業秘密」が情報公開の壁となり、利益や株主配当など経営の詳細を公的機関がつかめなかったことも民営化の破たんの要因となっている。
 コンセツション方式では、民間企業との長期契約を結ぶことになり、契約途中で地方自治体が再び公営に戻す決断をしたとしても、多額の違約金や訴訟リスクが地方自治体に重くのしかかる。実際にベルリン市では、料金値上げという事態に直面し再公営化を決めたが、契約途中の打ち切りということで、多額の違約金が発生し、再公営化の大きな障害となった。
 厚労省は、導入の可否は自治体が決めると説明してきたが、要望書を提出した自治体はわずか1件のみ。厚労省こそが、自治体首長に売り込んでいたのが実態だ。法案による広域水道の押しつけは、簡易水道など自己水源の廃止につながる危険があり、災害対応にも有効な地域分散型水道の否定にもつながる。
水道事業者の6割を超える給水人口5万人未満の事業者では、技術職が1人というところも少なくありません。政府が進めてきた行政改革によって、自治体が職員削減に追い込まれた結果です。
水は人権、自治が基本です。国民の貴重な財産である水道インフラは、市町村主体で健全な運営が可能となる道こそ目指すべきである。(T.T)    

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寄稿

東海第二原発再稼働阻止のために一人ひとりが声をあげよう!

―避難計画と再稼働への意見を言わせぬ住民説明会・パブコメで地ならし急ぐ茨城県―

川澄敏雄(さよなら原発いばらきネットワーク)

・感電死亡事故は、原電の技術力、管理能力がない表れ
 昨年12月、東海第二原発の屋内開閉所(超高圧送電線を受け渡しする設備)で点検作業中の関連会社の作業員が超高圧ケーブルに触れ感電死するという痛ましい事故が発生した。技術面、管理面の両面から徹底的に究明する必要がある。点検作業時のミスによって原子炉冷却電源を遮断し過酷事故につながる可能性があるからだ。
 日常的に行われる点検業務で事故を発生させてしまう原電が、過酷事故に備え10台近くの移動電源車を用意しても、事故時の緊迫した状況下で安全に使いこなせるのかという心配が現実的なものになったと言える。

・県議選結果が示したのは、「東海第二再稼働ノー」
 再稼働問題を大きな争点の一つとしてたたかわれた昨年暮の茨城県議選では、東京新聞のアンケート調査に「再稼働反対」と回答した候補が当選者62人のうち、12人に上った。特筆すべきは、水戸市・城里町選挙区で、東電出身の現職が落選し立憲新人と入れ替わったことや、原子力推進の旗振り役を務めてきた自民党県連幹事長が、「再稼働反対」を掲げた候補にやぶれたことだろう。改めて、県民大多数の意思が選挙結果に示されたと言ってよい。
 しかし、安倍政権と電力資本を後ろ盾にする日本原電が、易々と再稼働を断念する訳がない。朝日新聞などが報じた新安全協定をめぐる6市村と原電の協議の経緯を見ても明らかである。首長に歩み寄る姿勢を示しながら、規制委の審査が終われば、「協定には拒否権なんて言葉はどこにもない」などと開き直るのが原電である。

・県主催の住民説明会とパブコメに意見を
 茨城県は、東海第二原発再稼働のための地ならしともとれる動きを、急速に強めている。県は、住民説明会を今月13日の東海村での開催を皮切りに2月17日の水戸会場まで6市村で開催する。県はお膳立てだけ。原子力規制庁の職員が、再稼働と運転延長を認めた理由を説明する。エネルギー問題や、避難計画についての質問は受け付けない。続いて、3月15日までの日程でパブコメを開始したが、避難計画ばかりか再稼働への賛否も対象外と言う。そもそも、県の避難計画は2015年3月にパブコメもやらずに策定した代物だ。
 こうした動きの背景には、実効性ある避難計画策定の行き詰まりがあるのだが、こんなもので、「県民の意見は十分聞きました」ということにさせてはならない。だが、問題点があるからと言って軽視することなく、多くの人が住民説明会にもパブコメにも積極的に参加すべきだ。「誰かがやってくれるだろう」では、だめなのだ。

・いい加減な計画で「策定済」にするな!
 首長らは「避難計画ができない限り再稼働は認められない」と言っているが、再稼働に向け、再稼働のハードルを下げるために、「(実効性はまだないが)策定した」ということにしてしまった常陸太田市、常陸大宮市、笠間市のような自治体を増やす動きが強まるだろう。
 さよなら原発いばらきネットワークでは、30キロ圏内の市町村に対し避難計画についてのアンケート調査を始めた。避難する側、県内-外の受入れ側の住民が、「いい加減な避難計画は許さない!」という立場で、計画の発表を待つことなく、避難施設の収容人数や駐車可能台数等々をチェックし、市町村に是正を求めていきましょう。

住民説明会、パブコメの詳細は、「茨城県原子力安全対策課」で検索してください。       http://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/seikatsukankyo/gentai/
問合せ・意見は、茨城県原子力安全対策課 ☎029-301-2916

資料   住民説明会の日時・会場

会場名日時
(H31年)
会場施設席数駐車場空席状況
(1月1日)
東海1月13日(日)
15:00
東海文化センター
(東海村船場768-15)
798有(無料)余裕があります
那珂1月24日(木)
18:30
那珂市総合センター らぽーる
(那珂市古徳371)
300有(無料)集計中
日立2月 2日(土)
15:00
日立シビックセンター
(日立市幸町1-21-1)
825有(有料)集計中
ひたちなか2月 7日(木)
18:30
市文化会館
(ひたちなか市青葉町1-1)
411有(無料)集計中
常陸太田2月13日(水)
18:30
常陸太田市民交流センター
(常陸太田市中城町3210)
1,004有(無料)集計中
水戸
2月17日(日)
15:00
駿優教育会館
(水戸市三の丸1-1-42)
880集計中


説明会の内容は,いずれの会場も同一です。
説明会の所要時間は,概ね2時間を予定しています。(質疑を含む。)
いずれの会場も開会時刻の30分前から開場します。
水戸会場には駐車場がないため,公共交通機関等を利用してご来場ください。また,その他の会場も駐車場には限りがありますので,なるべく公共交通機関等のご利用をお願いします。(有料駐車場をご利用の際は,各自の負担でお願いします。)
取材エリア及び関係者席等確保のため,一般参加者の参加可能人数は座席数より若干少なくなる場合があります。予めご了承ください。

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資 料

茨城県「税金滞納処分対策会議」が設立される

 12月16日、本県に「税金滞納処分対策会議」が設立された。
 設立の趣旨は、下記記事に見られるとおり、滞納に苦しむ県民を解消、支援しようとするものである。

しんぶん赤旗

 選出された役員は、共同代表に、戸張順平(弁護士)、古徳正義(茨城税経新人会)、白石勝巳(茨城県労働組合総連合)、岡野 忠(農民運道茨城県連合会)、松澤 博(茨城県商工団体連合会)の5氏。
 事務局長には、高橋孝(土浦民主商工会)氏を選出。
 記念講演では、税理士の角谷啓一氏(滞納処分対策全国会議代表)が「『滞納処分問題』への対応を考えるー機構の『取扱要領』を生かし、猶予適用の道を切り拓こうー」と題して、「茨城租税債権管理機構」の「徴収猶予・換価の猶予に関する事務取扱要領」(これは行政文書開示請求によって取得したもの)を基に、本要領を最大限生かし、猶予実務に活用できれば、行政(機構)側も、納税者の言い分に耳を傾けざるをえないのではないか、との観点から
詳しく本要領を検討された。本県「租税債権管理機構」の類を見ない強権的差押えに苦しむ納税者の強い味方の登場だ。

1月の 川柳

軍拡の安倍の声だけ野を走り
美しい海に醜い顔ならび
平成のブランド消えて猪のなべ
防衛費うなぎ昇りで目がくらみ
爆買いの病うつって金枕
遂に出た空母時代という悪夢
まだ続くアベノミクスの茶番劇
ガバナンス偽装の上でもたれ合い
気嵐の朝日もえ立つ初の夢
初春や梅のつぼみは未だ見えず

泉  明 羅

(泉明羅・本名 福田正雄 水戸市在住、句歴 十二年、所属 元吉田川柳の会)

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いべんと

第34回 まちづくり学校

住民全体の奉仕者として、自治体職員のあり方を考る

まちづくりについて いっしょに考えてみませんか

『まちづくり』には、住民のみなさんのご意見とご協力、ご支援 
が大変重要です。市役所だけでは良い『まちづくり』は決して出 
来ません。より良い『まちづくり』、住み良い『まちづくり』を 
していくためには、住民のみなさんと私たち自治体職員とのつな 
がりも大変重要だと思います。
 私たち自治体職員の現場の声と住民のみなさんの貴重なご意見 
を聞きながら、みんなで『まちづくり』について一緒に考えてみ 
ませんか?

皆様の参加をお待ちしています。お気軽にお出かけ下さい。

***

日 時 : 2月9日(土) 10時開校( 9時30分 受付開始)
場 所 : 境町中央公民館 (猿島郡境町395番地1 ℡0280-81-1340)
講 演 : 清山 玲 氏(茨城大学教授) 「自治体職員の働き方改革とは」

分科会 午後1時30~4時

① 自治体職員の働き方改革(調理実習室2階)

 長時間残業の横行、非正規職員の増大、人事評価の賃金反映等、様変わりする仕事職場での自治体職員の働き方を考えます。

田中重博氏(茨城大学名誉教授)


② 介護保険法の改正による住民と国・自治体の役割(研修室A・2階)

 4月に介護保険が改正され65歳以上の保険料引き上げや利用者負担増がなされた保険料の引き上げ、滞納差し押さえの問題と国・自治体の役割を考えます。

木村冬樹氏(茨城民医連事務局長)


③ 貧困問題と生活保護 セフティネットを考える(研修室B・2階)

 貧困が拡大する中、生活保護基準が引き下げがあり、制度が改悪されています。憲法25条を活かし誰もが人間らしい生活ができるように、セーフティーネッツトのあるべき姿を考えます。
田川英信氏(全国生活と健康を守る会連絡会事務局員)


④  講座  東海第ニ原発をめぐる情勢と今後の課題(講堂)

 原子力規制委員会は11月7日、最長20年延長を認可した。被災原発で初めての再稼働。地元同意や避難計画など先行きは不透明である。今後廃炉に向けた闘いの方向を探ります。
小川仙月氏(脱原発ネットワーク茨城)


資料代 500円  
昼食代(弁当) 800円 【希望者は事前に申込が必要】
その他 保育ルームあり(無料・1階和室)

主 催: 第34回まちづくり学校実行委員会 後 援 : 境町

<問い合わせ>

茨城県自治体問題研究所 ☎029-252-5440(FAX兼用)
茨城県自治体労働組合連合☎ 029-864-2548・FAX 029-864-2579
境町職員組合 ☎ 0280-87-1604(FAX 兼用)

新刊紹介

『人口減少時代の自治体政策 市民共同自治体への展望』

中山 徹(著)

発行年月日:2018/11/15  1,200円+税  A5 112ページ

 人口減少に歯止めがかからず、東京一極集中はさらに進む。自治体そのものを見直そうとする「2040構想」も始動した。こうしたなか、保守と革新の共同による「市民共同自治体」の動きも出始めている。地域が大きく再編されようとしている今、市民と地域を守るためにはどうしたらよいのか。「市民共同自治体」を提唱して、市民のニーズを政策に活かす方法を考える。

目次
はじめに
 1章 新自由主義による国土・地域・コミュニティの再編
  なぜ国土・地域・コミュニティの再編なのか
  再編の具体的内容とそれを進める政策
  自治体再編の方向性
  再編のコンセプトと進め方
 2章 自治体の動向と市民共同自治体への展望
  開発型自治体と削減型自治体
  市民共同自治体の誕生
  市民共同自治体の展望
 3章 市民共同自治体の政策
  政策の基本的な枠組み
  すべての主要施策に格差是正を貫く
  地域のまとまりをどのようにして創り出すのか
  行政責任を明らかにする
  なぜ市民参加が重要なのか

準新刊

原発再稼働と自治体
―民意が動かす「3つの検証」― 新潟県はその出口を探す先頭に立っている
立石雅昭・にいがた自治体研究所編

A5判 定価(本体1200 円+税)

 福島原発事故から7 年半。控えられていた原発の再稼働が復活してきているが、それでも再稼働はスムーズに進んでいるとは言いがたい。それは、国民の過半数が原発再稼働に懐疑的であり、反原発・脱原発の世論が強く根を張っているためである。世界最大の柏崎刈羽原発を有する新潟県は「3 つの検証」―事故原因の検証、健康と生活に及ぼす影響の検証、安全な避難方法の検証―を掲げて福島原発事故の検証を行っている。その活動の意味を問う。

序 原発立地自治体・地元自治体に問われていること 池内 了
1 新潟県検証委員会の活動の意味 大矢健吉
2 技術委員会の検証―明らかにしてきたことと引き続く課題 立石雅昭
3 原発事故による避難(新潟県内避難者)生活の現状と課題 松井克浩
4 原子力災害がもたらした避難(福島県相双地区)生活の実態  丹波史紀
5 避難計画をめぐって 佐々木寛
6 柏崎刈羽原発をめぐる原子力安全協定とその法的性質 石崎誠也
7 原発立地都市・柏崎市の地域と経済 保母武彦

どこを目指す !! 自治体戦略2040構想
― 研究会報告の概要と問題点、課題 ―

A5版・24頁  定価250円(地域研卸単価200円)

地域研の皆様へ
 地域研の皆様には日頃から大変お世話になっています。
 さて、自治体戦略2040構想研究会の最終報告が7月に公表されました。構想研は「2040年頃をターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方を検討する」として2017年10月に設置された総務省の有識者研究会です。
 その趣旨は「高齢化がピークを迎え、若い勤労者が激減する2040年頃の姿から自治体の課題を逆算する形で整理し、今の半数の職員でも対応できる仕組みを構築」するというもので、それは今日の地方自治、自治体のあり方を抜本的に見直し再編していくものです。 
 これを受けて、同月に第32次地方制度調査会が設置され、この内容が諮問されました。
 地制調に諮問したということは、その結果を踏まえて法制度改革を行うということです。
 私たちも地制調での議論を見極め、内容を検証し、対置政策を示して世論を喚起していくことが必要です。そのため研究所ではまず構想研報告の内容を知らせ、問題点、課題を明らかにしていくことが急務と考え、今回、職場や地域等での学習会向けに標記ブックレットを緊急に発行しましたので1冊送付(贈呈)します。また、皆様には割引単価を設けましたので、普及(490部)にもご協力をお願いします。
 なお、ブックレットの表題、目次、報告表題の「自治体戦略2040年構想」は誤記で、正しくは「自治体戦略2040構想」ですので正誤表を入れてあります。

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    はじめに  岡田 知弘
    自治体戦略2040構想研究会報告の概要と問題点、課題- 角田英昭 
    1.構想研報告の概要 
    2.構想研報告の問題点、課題

既刊ブックレットもお手元に!      
どこを目指す、自治体戦略2040構想(A5 ・ 24頁) 200円   
原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題(A5 ・ 40頁)300円   
どこを目指す、公共施設等総合管理計画(A5 ・ 40頁)300円   

「いのちの水」をどう守っていくのか!

水道の民営化・広域化を考える
尾林芳匡・渡辺卓也編著

A5判・並製カバー180 頁/定価(本体1700 円+税)

 老朽化、料金6 割上昇、人口減に維持困難……、これらは水道について語られる危機だ。国は水道法改正を視野に入れ、民営化と広域化を推し進め、この危機を乗り越えようとしている。しかし、こ
の方向は正しいのか。すでに、各地で始まっている民営化と広域化の動きを検証して、「いのちの水」をどう守っていくのか多角的に考える。
目次から
プロローグ●水をめぐるウソ・ホント 解説● 2018 年水道法改正とは
Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場
イントロダクション ●各地で具体化する広域化・民営化の動き/ 香川県●県主導の水道広域化の矛盾/ 宮城県●水道事業へのコンセッション導入の問題点/ 浜松市●下水道処理場のコンセッシ ョン化問題/ 京都府●簡易水道と上水道の統合/ 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道のコンセッション計画/ 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動/ 大阪市●市民が止めた水 道民営化/滋賀県●大津市のガス事業コンセッション
Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点
上水道インフラの更新における広域性と効率性/水道の民営化・広域化を考える

川瀬 光義『基地と財政 ー 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策』

A5 133頁 1600円+税

本書のねらいは、このあまりにも不条理な基地新設の「同意」を得ることを目的として日本政府が講じてきた 財政政策が、いかに醜いものであるかを示すところにあります。名護市をはじめとする沖縄本島北部地域自治体への特別な財政政策を最初に提示した当時の首相は、橋本龍太郎氏でした。そのとき、これは基地新設の見返り
かという旨の問いかけに対して橋本氏は、強く否定しました。その姿勢からは、沖縄の人々に対する後ろめたさ'を少しは感じることができました。しかしその後ろめたさ'は次第に後退し、第4章で紹介した米軍再編交付金及び再編特別補助金に至っては、政治的意見の相違によつて公的資金の配分を差別することを合法化するという、醜さの極致と言ってよいなものとなつてしまいました。

 本書を通じて、こうした醜い政策でしか維持できないような日米安全保障体制とは何なのかにつぃて、読者の皆さんが考える糸口になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。

『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
         

本田宏著 (医師・NPO法人医療制度研究会副理事長)

A5判110頁 定価(本体1100円+税)

主な内容
 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著書が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて究明する。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方まで俎上に載せて検討する。

Excelを駆使して自治体の財政を分析する!
データベースで読み解く自治体財政 地方財政状況調査DB の活用

武田公子 著 金沢大学経済学経営学系教授

B 5 判94 頁 定価(本体 1600円+税)

 総務省は市町村の財政状況を表わす「地方財政状況調査DB(データベース)」をウェブサイトで公開しています。そのサイトへのアクセスから、様々なデータファイルのダウンロードと整理ファイルを使った分析手法までを、図表を駆使して分かりやすく解説します。自治体財政の全般的な動向を捉える基本的な分析方法を初め、公営企業や国民健康保険会計、公立病院事業に対する繰出金の分析、合併特例債の終了期を迎える合併自治体の財政状況の検証、そして復旧・復興に関わる被災自治体の財政分析などを実例に即して展開します。
第1章 自治体財政の制度概要と全般的動向
 地方財政の基本的な枠組み/地方財政に関する全国的動向
第2章 地方財政状況調査データベースの利用方法
 地方財政状況調査データベースの所在と意味/地方財政状況調査DB 利用の実際――歳入内訳の分析/データの整理/性質別経費の分析/目的別経費の分析
第3章 グラフの読み取りとさらなる分析方法
 グラフの作成/全国自治体に共通した動向/普通建設事業費の内訳とその財源/民生費と扶助費の関係/ 地方債の分析/積立金の動向/人件費と物件費の動向
第4章 一般会計と他会計との関係
 財政健全化判断比率と財政状況資料集/繰出金の分析/国民健康保険会計の分析/公営企業会計への繰出の詳細を調べる――病院の例
第5章 合併自治体の財政分析
 合併自治体の分析目的とデータのダウンロード/データ整理の手順/歳入グラフの読み取り/歳出グラフの読み取りと詳細データ/地方債の分析
第6章 被災自治体の財政分析
 国による財政措置/復旧・復興事業分歳入の分析/歳出の分析/災害復旧事業と普通建設事業/復旧・復興事業                            

本田宏著『Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』
医師・NPO法人医療制度研究会副理事長

A5判110頁 定価(本体1,100円)

 日本の医療はどなってしまうのか。日本の社会保障はどうなっているのか。外科医として36年間、医療の最前線に立ち続けてきた著者が、医療・社会保障崩壊の実態を体験とデータに基づいて糾弾します。そして、日本のどこが問題で何を変えれば医療や社会保障が充実するのかを、政治、社会、教育、デモクラシーのあり方にまで俎上に載せて追究します。

第1章 外科医引退、市民運動ヘ
私が医師になつたきつかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最少の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まつたものの/外科医引退、市民運動ヘ

第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに編されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する

第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育

第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする

第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために

改訂新版『地域再生と町内会・自治会』

著者 中田実・山崎丈夫・小木曽洋司

   
私たちの景観保護運動、私たちの自治のあり方
国立景観裁判・ドキュメント17年
 私は「上原公子」

上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆 編

 国立景観裁判とはなんだったのか。市民自治による景観保護運動の始まりから企業・司法との闘い至るまでの17年間を跡づけます。付度して判断しない司法の実態に切り込み、元市長個人に賠償金を求めるという理不尽な裁定を全国的な募金運動によって完済していきます。 この市民を中心にした支援運動が大きな共感を勝ち得ていく過程は、今後の景観運動と市民自治のあり方を示しています。
≪目次より≫
 第1章 国立の景観を守り・育てた市民自治の歴史がまちの誇り   上原公子
 第2章 憲法、地方自治と国立景観裁判 ●自治の姿をみる  
 窪田之喜
 第3章 国立景観求償訴訟 ●問われたもの、裁けなかったもの
 田中 隆
 第4章 「上原景観基金1万人」運動 ●4556万2926円完全返済への道のり
 小川ひろみ
 第5章 国立景観裁判と「私」 保坂展人ほか
 年 表 国立の市民自治・明和マンション問題
 くにたち上原景観基金1万人の会

地域と自治体 第38集『TPP・FTAと公共政策の変質―』

岡田知弘・自治体問題研究所編

A5判 216ページ 本体2300円+税

 政府は、TPP11ヵ国、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEU との間での日EU・EPA など、メガFTAをめぐる交渉を、国民には情報を公表しないまま進めている。いずれも「TPP プラスα」の内実となっており、交渉の結果は、国民の暮らし、地域経済、国や地方自治体の公共サービス・公共政策を大きく変質させる危険性をもつ。
 本書では、日本の先をゆく米韓FTA の現実をはじめとする世界のFTA の実際とその政治経済を読み解き、TPP協定をはじめFTA の中に組み込まれている“投資家の自由度を最優先で保障する仕組み”が、国民主権や地方自治にいかなる問題を引き起こすのか、とりわけ国有(公有)企業や生命保険・共済・食品安全・健康・労働のあり方の変質を分析。

減りつづける人口。日本のまちのあり方とは?

人口減少と大規模開発 コンパクトとインバウンドの暴走

中山 徹

 国家戦略特区をはじめ新たな公共事業政策、リニア中央新幹線、長崎・北陸新幹線の沿線整備、MICEによる国際会議・展示会の誘致、立地適正化計画による都心開発など、大規模開発計画が乱立している。この現状を分析して、人口減少時代にふさわしいまちづくりとは何かを考察する。

わたしたちにもつとも近い法律の話し

地方自治法への招待

白藤 博行

 明日に向かう地方自治法と対話しよう!
 地方自治は、憲法が保障する民主主義への道のひとつです。そして地方自治法は、憲法が保障する基本的人権を具体化する法律。近くの人権だけでなく、遠くの人権保障へのまなざしを忘ねず、憲法で地方自治法を、地方自治法で憲法を考えましょう。

高齢期社会保障改革を読み解く

編者 社会保障政策研究会

著者 芝田英昭・潰畑芳和・荻原康一・鶴田禎人・柴崎祐美・曽我千春・密田逸郎・村田隆史・小川栄二・本田 宏

 安倍政権下の社会保障政策の本質は、予算削減や自己負担増だけではなく社会保障の市場化・産業化にある。それは、とりわけ高齢期社会保障政策において顕著にみられる。
 本書は、第2次安倍政権発足以降の中期の視点で高齢期社会保障改革を分析し、改革の基本視点を提起することに努めた。また、高齢者の生活実像を踏まえた市民による改革運動の姿を提起した。

わたしたちの生活はどうデザインされているのか

社会保障のしくみと法

伊藤周平

 社会保障判例を踏まえ、生活保護、年金、社会手当、医療保障、社会福祉、労働保険の法制度を概観し、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(日本国憲法25条1項)のあり方を問う。ひるがえって財源問題を中心に社会保障全般にわたる課題と現状の社会保障法理論の問題点を検討する。

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加茂利男著『地方自治の再発見ー不安と混迷の時代に』(2017/06/05)                 

自治体研究社  定価(本体2,200円十税)

 何が起こるかわからない時代、地域から世界をながめ、世界から自治を再発見する。
 戦争の危機、グローバル資本主義の混迷、人口減少社会 ー 激流のなかに地方自治の新しい可能性を発見する。

内 容 
序 章 「何が起こるかわからない時代」の始まり
第1章 混迷する世界と資本主義のゆくえ
第2章 地方自治の再発見
第3章 「平成の大合併」の検証
第4章 「日本型人口減少社会」と地方自治
終 章 21世紀を生きる
補 遺 講演・地方自治と私

中田 実著『新版 地域分権時代の町内会・自治会』(2017/05/20)

自治体研究社  定価2000円(本体1,852円十税)

 人口減少と高齢化のなかで町内会・自治会の役割は何か。活動内容の改善・充実とともに、分権時代に住民の声をすくい上げ、行政に反映する町内会の底力が求められている。政府から負担を強いられる地域の担い手として、まわりの組織やNPOとも協働する町内会の可能性を多角的に分析する。
内 容 
第1章 町内会とはどういう組織か
第2章 町内会をどう見るか─立ち位置によって見え方が違う町内会
第3章 町内会における自治の二側面─住民自治の諸相
第4章 地域での共同の暮らしの組織─機能の包括性の意味
第5章 町内会と自治体行政との関係
第6章 地域生活の変化と住民組織の主体性
第7章 地域課題の拡大とコミュニティづくり
第8章 町内会の下部組織と上部組織
第9章 町内会とNPOの協働
第10章 町内会・自治会脱退の自由の意味
第11章 町内会の運営の刷新
第12章 町内会の活動の刷新
第13章 行政からの自立と協働
第14章 地域内分権と住民代表性─地域自治区を考える
第15章 地縁型住民組織の可能性

                    
『習うより慣れろの市町村財政分析』(4訂版) 
「地方財政状況調査票」に基づいて大幅改定。分析表を充実させた4訂版!  

B5判 168 ページ 定価(本体2500 円+税)

財政デザイン研究所代表理事  大和田一紘
財政デザイン研究所主任研究員 石山 雄貴 著

●基礎からステップアップまで
 決算カードと決算統計、予算説明書などを使って、歳入、歳出、決算収支、財政指標を分析する方法を分かりやすく紹介する基礎編と、類似団体との比較、特別会計や補助金の分析、合併自治体の財政分析などを紹介するステップアップ編の53講で財政分析の手法がわかる。
●主な内容
 財政を学ぶ心構え・分析方法
 赤字か黒字かをみる「決算収支」: 赤字団体?黒字団体?
 自治体の収入はどれくらい?(歳入をみる): 四大財源/一般財源と特定財源/経常と臨時/地方税/地方交付税のしくみ/財政力指数 ほか
 どこにおカネを使っているの?(歳出のしくみ): 目的別と性質別/「充当一般財源等」

『公共施設の統廃合・再編問題にどう取り組む-計画づくりから本格実施へ-』

角田英明
A5版・32頁 一般普及300円(地域研・自治労連割引単価200円)

 全国の自治体では、現在、公共施設等総合管理計画づくりが急ピッチで進められています。
 既に2015年度末までに全国30道府県、15指定都市、396市区町村でつくられ、今年度末にはほぼ全自治体で策定されます。これはこれまでのような個別施設の更新、統廃合に止まらず、公共施設全体を中長期的な視野に立って全面的に見直し、再編していくものです。そのため国は、公共施設等の解体撤去や公共施設の集約化・複合化、転用等に係る財政措置を講じて各自治体に計画の策定と実施を迫っています。同時に、この計画は「地方創生」戦略や市町村合併、指定管理者制度などと一体的に進められています。
 本書では、こうした状況を踏まえ、政府施策や各自治体の計画内容、今後の取組みの課題、方向を検討しました。皆さん方の活動に活用していただければ幸いです。

はじめに 
 1.いま、なぜ、公共施設の統廃合・再編か 
 2.計画の策定・推進に向けた政府の対応 
 3.各自治体の計画づくりと実施方針(秦野市 さいたま市 相模原市)
 4.今後の取り組みの留意点と課題 
 5.「地方創生」総合戦略と一体的に推進 
 6.市町村合併の中で進む公共施設の統廃合・再編 
 7.指定管理者制度における公共施設の再編問題 
おわりに

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