「いばらきの地域と自治」(第2号)
早梅や筑波へ茜雲一条 大マスクして若者の細面
作 高島つよし(高島剛・常総市[旧水海道市]在住、元県職員、小貝保育園長、当研究所顧問)
茨城県自治体問題研究所 理事
宇佐神 忠 捷
この頃、いろいろな所で、いろいろな人々から「いつまでこうやって暮していけるのだろうか」という心配の声を聞きます。この背景には、地域の「くらしといのちを守る機能」が崩れてきていることにあると思われます。医療や福祉の後退、自分たちの住むまちが壊されてきていることで、健康や日々の買物なども含めて毎日の暮らしに不安を感じている人が増えていることです。
今こそ自分たちの住むまちを「いのち」と「くらし」の両面から見直し、安心して住み続けることができるまちにつくり上げていかなくてはならないと考えます。そこに住む人々の連携・協同でハード・ソフト併せた総合的で具体的なまちづくりプランを持ち、国や自治体にも働きかけ、それを実現していくことが必要だと思います。
その試みの一つとして、今私たちの地域で毎日利用している幹線道路を「誰もが、安全に安心して通行できるものにする」運動を始めています。過日、県に陳情し意見交換を行ない、いくつか期待できる見通しも得ることができました。今後、地域全体に広げるとともに、県・市の道路政策に反映できる活動として行きたいと考えています。
県内各地で、「いのちとくらしを守るまちづくり」「安心して住み続けられるまちづくり」の輪が大きく拡がることを期待します。
投 稿
茨城県自治体問題研究所 顧問
井川 二彦
1「非正規切り」、「年越し派遣村」のこと
09春闘は、アメリカ発の深刻な経済、金融危機の中でたたかわれています。既存の労組が例年の如く「討論集会」等を開いて準備活動を開始した時、突如として大企業の戦場で「非正規切り」が始まり、これに対して予想もしなかった当該労働者達の反撃が始まりました。
マスコミがこのニュースを好意的に取り上げて報道すると、たちまち国民的な関心事となり、大企業の横暴な仕打ちに対する批判と、解雇された労働者達への同情の声が一挙に高まりました。特筆すべき事は、解雇された「非正規労働者」達がJMIU等の支援を受けながら全国各地で「解雇反対」のたたかいに立ち上がったことです。こうして09春闘は文字通り「国民春闘」として劇的な幕開けとなりました。
昨年12月、東京日比谷公園に設営された「年越し派遣村」の運動は国民の共感を更に広め、「村」閉鎖後の宿泊施設の確保や生活安定のための生活保護申請の認定など、国や自治体への要求運動が高まり、解雇撤回を求める「非正規労働者」への支援の輪が全国に広がっていきました。こうして麻生首相をして「大企業は内部留保を取り崩して雇用を守れ」と言わしめたことは画期的な意義を持っています。
2 盛り上がりはじめた連帯行動
「非正規切り」の犠牲者を救おうとする世論の高まりが地方自治体を動かし、行政の各分野で人員不足補填のための臨時職員の募集が広まっています。ハローワークでの積極的な相談活動も進められ、行政の最先端では、いまだ経験したことがない積極的な失業者救済の活動が進められています。しかし政府は、大言壮語しながらも、今もって腰を上げようとはしません。
特に重要なことは、失業者救済と生活向上を目指す新たな国民的気運の高まりの中で、「食糧自給率40%」の確保という目標に見られるように、歪んだ閉塞状態に陥っている日本の各産業分野の活性化と本格的再建に向けての新しい取り組みが始まったことです。
農業、中小商工業、漁業、林業をはじめほとんどの産業分野から「失業者受け入れ」の声が掛かっていることはこれまでほとんど見られなかったことです。そして、この様な劇的体験を通して外需依存の産業構造が「諸悪の根源」になっていることを急速に自覚するようになってきました。
3 公務員が地域を守る先頭に
茨城自治労連の「09春闘方針」を読ませていただきました。「情勢方針」も正確で立派なもので」が始まり、これに対して予想もしなかった当該労働者達の反撃が始まりました。
マスコミがこのニュースを好意的に取り上げて報道すると、たちまち国民的な関心事となり、大企業の横暴な仕打ちに対する批判と、解雇された労働者達への同情の声が一挙に高まりました。特筆すべき事は、解雇された「非正規労働者」達がJMIU等の支援を受けながら全国各地で「解雇反対」のたたかいに立ち上がったことです。こうして09春闘は文字通り「国民春闘」として劇的な幕開けとなりました。
昨年12月、東京日比谷公園に設営された「年越し派遣村」の運動は国民の共感を更に広め、「村」閉鎖後の宿泊施設の確保や生活安定のための生活保護申請の認定など、国や自治体への要求運動が高まり、解雇撤回を求める「非正規労働者」への支援の輪が全国に広がっていきました。こうして麻生首相をして「大企業は内部留保を取り崩して雇用を守れ」と言わしめたことは画期的な意義を持っています。
2 盛り上がりはじめた連帯行動
「非正規切り」の犠牲者を救おうとする世論の高まりが地方自治体を動かし、行政の各分野で人員不足補填のための臨時職員の募集が広まっています。ハローワークでの積極的な相談活動も進められ、行政の最先端では、いまだ経験したことがない積極的な失業者救済の活動が進められています。しかし政府は、大言壮語しながらも、今もって腰を上げようとはしません。
特に重要なことは、失業者救済と生活向上を目指す新たな国民的気運の高まりの中で、「食糧自給率40%」の確保という目標に見られるように、歪んだ閉塞状態に陥っている日本の各産業分野の活性化と本格的再建に向けての新しい取り組みが始まったことです。
農業、中小商工業、漁業、林業をはじめほとんどの産業分野から「失業者受け入れ」の声が掛かっていることはこれまでほとんど見られなかったことです。そして、この様な劇的体験を通して外需依存の産業構造が「諸悪の根源」になっていることを急速に自覚するようになってきました。
3 公務員が地域を守る先頭に
茨城自治労連の「09春闘方針」を読ませていただきました。「情勢方針」も正確で立派なものです。その方針どれに対して予想もしなかった当該労働者達の反撃が始まりました。
マスコミがこのニュースを好意的に取り上げて報道すると、たちまち国民的な関心事となり、大企業の横暴な仕打ちに対する批判と、解雇された労働者達への同情の声が一挙に高まりました。特筆すべき事は、解雇された「非正規労働者」達がJMIU等の支援を受けながら全国各地で「解雇反対」のたたかいに立ち上がったことです。こうして09春闘は文字通り「国民春闘」として劇的な幕開けとなりました。
昨年12月、東京日比谷公園に設営された「年越し派遣村」の運動は国民の共感を更に広め、「村」閉鎖後の宿泊施設の確保や生活安定のための生活保護申請の認定など、国や自治体への要求運動が高まり、解雇撤回を求める「非正規労働者」への支援の輪が全国に広がっていきました。こうして麻生首相をして「大企業は内部留保を取り崩して雇用を守れ」と言わしめたことは画期的な意義を持っています。
2 盛り上がりはじめた連帯行動
「非正規切り」の犠牲者を救おうとする世論の高まりが地方自治体を動かし、行政の各分野で人員不足補填のための臨時職員の募集が広まっています。ハローワークでの積極的な相談活動も進められ、行政の最先端では、いまだ経験したことがない積極的な失業者救済の活動が進められています。しかし政府は、大言壮語しながらも、今もって腰を上げようとはしません。
特に重要なことは、失業者救済と生活向上を目指す新たな国民的気運の高まりの中で、「食糧自給率40%」の確保という目標に見られるように、歪んだ閉塞状態に陥っている日本の各産業分野の活性化と本格的再建に向けての新しい取り組みが始まったことです。
農業、中小商工業、漁業、林業をはじめほとんどの産業分野から「失業者受け入れ」の声が掛かっていることはこれまでほとんど見られなかったことです。そして、この様な劇的体験を通して外需依存の産業構造が「諸悪の根源」になっていることを急速に自覚するようになってきました。
3 公務員が地域を守る先頭に
茨城自治労連の「09春闘方針」を読ませていただきました。「情勢方針」も正確で立派なものです。その方針どおりに闘えるかどうかが09春闘の明暗を分けることになるでしょう。
何よりも大事なことは、闘いの「情勢と課題と展望」について組合員のみなさんが確信を持ち、自覚的に闘いに参加する体制をしっかりとつくりあげていくことです。学習活動を重視しなければなりません。
当面する情勢との関係でいえば、まず直ちに行動をおこすこと、自分たちの地域から失業者を出さないよう全組合員参加の行動態勢をしっかりつくることが大切です。「茨城にはそれほどせっぱつまった情勢はない」と思っていたら、いきなり日立製作所で7000人の「首切り」が発表される事態です(1月29日)。これからあらゆる地域で中小企業も巻き込んだ「合理化、首切り」が多発することが予想されます。
「当面の経済・金融危機が解決されるのは3年後」というアメリカ経済界の多数意見になっていると言われており、世界不況はさらに深刻になるものと予想されています。日本の民間調査機関の発表でも、今年3月までに40万人の失業者がでると予想されています(1月27日)。ちまたに失業者があふれるようになれば、ひとり公務員だけが安泰と言う訳にはいきません。
地域労連と連帯して、地域経済を守り、住民の生活と権利を守るために先頭に立ち、全力を尽くす事が強く求められています。それが公務労働者に従事する公務員労働者と労働組合の崇高な使命であることを自覚し、広範な住民と09春闘を闘い抜くことが重要です。
「いばらきの地域と自治」(第1号)
投 稿
自治体問題研究所 顧問
本田 忠弘
導水事業とは、霞ヶ浦の水を那珂川へ、那珂川の水を霞ヶ浦へ導水するというものである。
現局面をどうみるか。
霞ヶ浦導水事業の現況をみると、昨年勝利した「水戸市全隈の産廃反対闘争」の経験からいえることだが、やはり人格権(快適な生活をする国民の権利)・生存権を守る反公害闘争の様相を示してきていると感じています。勝つても負けても導水事業の闘いは当然に長期の闘いが必要となるでしょう。しかも、この闘いは、国、県、関係市町村長の方針に対する闘いで、その規模は関係の漁協の闘いを中心に全国的規模にまで広がっているということです。、霞ヶ浦導水の「水戸取水口建設工事反対」の署名は、県内外から10万筆を超えるところまできている。
なぜ反対が広がっているかといえば、すでに公害の発生源となっている霞ヶ浦の水を那珂川へ、那珂川の水を霞ヶ浦へ導水することにより更にそれぞれの水質悪化を促進させるということが明らかになりつつあるからである。
争われている場は、1つは、「アユ裁判」といわれているもの。
アユ裁判は、霞ヶ浦導水が那珂川に決定的な悪影響を与えるとして、漁協が「取水口工事中止の仮処分」を水戸地方裁判所に訴えて審議中のもの。審議の中で、すでに公害の発生源となっている霞ヶ浦の導水は、それ自体が生物多様性条約と生物多様性基本法の違反であるともいわれて、論点の広がりが注目されている。
2つめは、導水が「すでに公害の源凶となっている霞ヶ浦」の「水質浄化」に役立つのか、「更に悪化」させるのか、をめぐる論争で、推進派の国と知事・関係市町村長と県民の生活と健康を守る闘い(人格権・生存権闘争)が始まっている。
さて、霞ヶ浦総合開発事業の全体事業とその本質と導水事業の位置について、ここで振返ってみよう。
農工両全を掲げて岩上二郎氏が知事に当選したときの1959年に、奇しくも私が県職員になった。そのときから今日まで(2008年)50年間、霞ヶ浦総合開発をみてきた。結論は、霞ヶ浦総合開発とは「県民がだまされてきた」歴史というようにいうことができる。
「国や知事が県民をだましてきた歴史」
霞ヶ浦総合開発事業は、1961年に成立した「水資源再開発促進法」に基づいて「ダムの建設計画」がつくられ工事が現在まで続いている。
霞ヶ浦総合開発事業の全体は、以下6項目の事業からなる。各事業名と費用と工事期間を記載して「県民がだまされた歴史」に触れてみる。
事業名 | 説 明 | 費用(億円) |
---|---|---|
常陸川水門完成 | 1963年逆水門で始まり、10年後水門が閉鎖 (閉鎖水域・水ガメ化) | 不明 |
鹿島工業用水の給水開始 | 製鉄業、石油コンビナートの稼動(1969年) | 不明 |
霞が浦開発事業 | 1971~1995年 | 2,864 |
霞が浦開発事業 | 県西地域へ送水農業用水、工業用水、都市用水 (県西用水事業) | 2,219 |
水源地域整備計画 | 1976~1999年 | 4,109 |
霞ヶ浦用水事業 | 1984年工事開始 | 1,900 |
合 計 | -- | 11,152 |
〈その1〉国・知事の「うそ」
常陸川水門は「洪水と塩害を防止する目的」から計画されたものというのは「うそ」である。
この水門は通称「逆水門」といって、1963年に上・下に操作ができるものとしてつくられた。海水が霞ヶ浦に入ったり出たりする操作がしばらく続いていた。堤防もほどほどのものであった。ところが10年後完全に閉鎖された。諫早湾干拓事業の「ギロチン」と同じことが行われ、霞ヶ浦の水ガメ化が実行された。
俗にいうだましうちである。こののちに、霞ヶ浦の魚介類が死滅し、アオコが発生するのである。
〈その2〉農工両全の「うそ」
岩上二郎知事は、農業と工業が共に栄えるというスローガンを掲げて鹿行開発を強行した。現実には減反政策とあいまって農業や水産業は壊滅的な打撃を受けて、漁業権は知事にとりあげられた。
鉄鋼業と石油コンビナートを中心にした鹿島臨海工業地帯ができあがった。
霞ヶ浦の水は、塩分のない「工業用水」として用意された。
〈その3〉導水は霞ヶ浦の水質をきれいにするとの「うそ」
国・知事・関係市町村長は、導水は、霞ヶ浦を浄化するといって、「取水口建設」を突破口に事業を進めようとしている。「公害の発生源になってしまった水道水源」である霞ヶ浦の水を那珂川へ導水することにともなう悪影響を無視して浄化効果を強調している。
この点については、たとえば、川崎健東北大学名誉教授が「霞ヶ浦はすでに公害の発生源」、「死の湖・水道水源として不適」であるとつぎのように指摘している。
「霞ヶ浦の汚染は深刻であり、例えば、2000年までに75㎏のダイオキシンが堆積している。 水野玲子氏よれば流域では男児出生率が低い。悪性新生物による死亡者数が多く胆道がんの標準死亡比が高い。」
さらに、高村義親茨城大学名誉教授も「霞ヶ浦のアオコは、毒素を生産する。その毒素は肝臓障害・肝がんの要因となる。」と記している。
霞ヶ浦研究会報11号(2008年9月28日発行)掲載の下記3氏の論文
1那珂川導水による霞ヶ浦の水質悪化の可能性
高村義親茨城大学名誉教授
2導水事業・湖岸植生帯が西浦湖流・水質に与える影響(希釈論)
中曽根秀雄 茨城大学教授
3霞ヶ浦導水事業の現状と問題(開発水量と那珂川への影響論)
浜田篤信(元茨城県内水面水産試験場長)
その他、各種の「霞ヶ浦導水事業シンポジュウム」の報告を参照されたい。